(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】充放電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20221117BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221117BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221117BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H02J7/00 302C
H01M10/44 P
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2021089272
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】甲月 甫明
(72)【発明者】
【氏名】黒田 弘人
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-035151(JP,A)
【文献】特開2019-140850(JP,A)
【文献】特開2014-060878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/34
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船に配置される交流電源と、
前記交流電源を電源とする交流電源系統と、
前記交流電源系統から受け取る電力によって作動する船内負荷と、
バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統と、
前記交流電源系統と前記直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統と前記直流電源系統との間で電力変換を行うコンバータと、
前記直流電源系統からインバータを介して受け取る電力によって駆動される電動機と、
前記電動機に接続される負荷機と、
前記直流電源系統に接続される第1バッテリと、
前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2直流電源系統と、
前記直流電源系統と
前記第2直流電源系統との間に配置されるダイオードと、
前記ダイオードをバイパスして、前記直流電源系統と
前記第2直流電源系統とを導通させる開閉器と
、
前記交流電源系統または前記交流電源系統とは分離された第2交流電源系統と、前記第2直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統または前記第2交流電源系統と、前記第2直流電源系統との間で電力変換を行う第2コンバータと、
前記第2直流電源系統に接続される第3バッテリと
を具備
し、
前記第2直流電源系統の電圧は、前記直流電源系統の電圧とは独立して変動可能である
充放電システム。
【請求項2】
前記第2直流電源系統から、前記直流電源系統に向かう電流の流れ方向を第1方向と定義し、前記直流電源系統から、
前記第2直流電源系統に向かう電流の流れ方向を第2方向と定義するとき、前記ダイオードは、前記第1方向の電流の流れを阻止する第1ダイオード、および、前記第2方向の電流の流れを阻止する第2ダイオードのうちの少なくとも一方を含む
請求項1に記載の充放電システム。
【請求項3】
切替器を更に具備し、
前記ダイオードは、前記第1ダイオード、および、前記第2ダイオードの両方を含み、
前記切替器は、
前記第2直流電源系統と
前記第1ダイオードとが電気的に接続される第1状態と、
前記第2直流電源系統と
前記第2ダイオードとが電気的に接続される第2状態との間で接続状態を切り替え可能である
請求項2に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記直流電源系統の直流電源電圧を検出する第1電圧検出器と、
前記第2直流電源系統の第2直流電源電圧を検出する第2電圧検出器と、
前記第1電圧検出器が出力する第1電圧信号および前記第2電圧検出器が出力する第2電圧信号が入力され、前記開閉器に開閉信号を出力する開閉器制御部と
を更に具備し、
前記開閉器制御部は、前記第1電圧信号が示す第1電圧と前記第2電圧信号が示す第2電圧との差が予め設定された範囲内の値となることに応じて、前記開閉器を閉じて前記ダイオードをバイパスする
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記直流電源系統の直流電源電圧を検出する第1電圧検出器と、
前記第2直流電源系統の第2直流電源電圧を検出する第2電圧検出器と、
前記第1電圧検出器が出力する第1電圧信号および前記第2電圧検出器が出力する第2電圧信号が入力され、前記切替器に切替信号を出力する切替器制御部と
を更に具備し、
前記切替器制御部は、前記第1電圧信号が示す第1電圧と前記第2電圧信号が示す第2電圧との間の高低関係に応じて前記切替器の前記接続状態を切り替える
請求項3に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記第1電圧検出器が出力する前記第1電圧信号および前記第2電圧検出器が出力する前記第2電圧信号が入力され、前記開閉器に開閉信号を出力する開閉器制御部を更に具備し、
前記開閉器制御部は、前記第1電圧信号が示す前記第1電圧と前記第2電圧信号が示す前記第2電圧との差が予め設定された範囲内の値となることに応じて、前記開閉器を閉じて前記ダイオードをバイパスする
請求項5に記載の充放電システム。
【請求項7】
船に配置される交流電源と、
前記交流電源を電源とする交流電源系統と、
前記交流電源系統から受け取る電力によって作動する船内負荷と、
バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統と、
前記交流電源系統と前記直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統と前記直流電源系統との間で電力変換を行うコンバータと、
前記直流電源系統からインバータを介して受け取る電力によって駆動される電動機と、
前記電動機に接続される負荷機と、
前記直流電源系統に接続される第1バッテリと、
前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2バッテリ、または、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2直流電源系統と、
前記直流電源系統と、前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統との間に配置されるダイオードと、
前記ダイオードをバイパスして、前記直流電源系統と前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統とを導通させる開閉器と
を具備し、
前記開閉器を閉じて前記ダイオードをバイパスすべきタイミングを特定するために、前記ダイオードに直列的に接続される光発生器または音発生器を更に具備する
充放電システム。
【請求項8】
船に配置される交流電源と、
前記交流電源を電源とする交流電源系統と、
前記交流電源系統から受け取る電力によって作動する船内負荷と、
バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統と、
前記交流電源系統と前記直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統と前記直流電源系統との間で電力変換を行うコンバータと、
前記直流電源系統からインバータを介して受け取る電力によって駆動される電動機と、
前記電動機に接続される負荷機と、
前記直流電源系統に接続される第1バッテリと、
前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2バッテリ、または、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2直流電源系統と、
前記直流電源系統と、前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統との間に配置されるダイオードと、
前記ダイオードをバイパスして、前記直流電源系統と前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統とを導通させる開閉器と
を具備し、
前記直流電源系統と、前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統との間を流れる電流を検出する電流検出器を更に具備し、
前記電流検出器が出力する電流信号が示す電流の値がゼロ、または、所定の電流値となったタイミングで前記開閉器が開状態にされる
充放電システム。
【請求項9】
前記直流電源系統と
前記第2直流電源系統との間を流れる電流が所定量以下であるか、あるいは、ゼロであることを示す機器を更に具備する
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、船に配置される充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のバッテリが並列に接続された蓄電システムにおいて、放電中のバッテリに加えて別のバッテリを放電させる場合に、放電中のバッテリの端子電圧と追加で放電させるバッテリの端子電圧との電圧差によってバッテリ間で生じる横流を抑制することが求められる。より具体的には、放電中のバッテリの端子電圧と追加で放電させるバッテリの端子電圧とを一致させてから、追加で放電させるバッテリの放電を開始させる技術が求められる。
そのような技術として、例えば、特許文献1に示されるような複数の二次電池パックを有する蓄電システムがある。
【0003】
図40には、特許文献1から把握される従来技術における蓄電システムの構成が示されている。
図40に示される蓄電システムは、放電中の二次電池パック80、第4の電圧検出器81、第2の電流検出器82、上位制御部83、第1の制御部84、追加で放電される二次電池パック85、第5の電圧検出器86、第3の電流検出器87、第2の制御部88、放電スイッチボディダイオード89、充電スイッチボディダイオード90、第1の放電スイッチ91、第1の充電スイッチ92、第2の放電スイッチ93、および、第2の充電スイッチ94を有する。
図40に示される蓄電システムにおいて、放電中の二次電池パック80と追加の二次電池パック85とは並列に接続され、放電中の二次電池パック80のマイナス側には、第1の放電スイッチ91と放電スイッチボディダイオード89とが並列に配置された並列回路と、第1の充電スイッチ92と充電スイッチボディダイオード90とが並列に配置された並列回路とが直列に接続され、追加の二次電池パック85のマイナス側には、第2の放電スイッチ93と放電スイッチボディダイオード89とが並列に配置された並列回路と、第2の充電スイッチ94と充電スイッチボディダイオード90とが並列に配置された並列回路とが直列に接続されている。
第1の制御部84は、放電中の二次電池パック80の端子電圧を検出する第4の電圧検出器81による検出値と、放電中の二次電池パックの80の放電電流または充電電流を検出する第2の電流検出器82による検出値とを、上位制御部83に通知する。第2の制御部88は、追加の二次電池パック85の端子電圧を検出する第5の電圧検出器86による検出値と、追加の二次電池パック85の放電電流または充電電流を検出する第3の電流検出器87による検出値とを、上位制御部83に通知する。上位制御部83は、第1の制御部84および第2の制御部88に制御信号を送り、第1の放電スイッチ91の開閉状態、第1の充電スイッチ92の開閉状態、第2の放電スイッチ93の開閉状態、および、第2の充電スイッチ94の開閉状態を制御させる。
放電中の二次電池パック80の放電または充電の状態は、第1の放電スイッチ91および第1の充電スイッチ92の開閉状態に応じて決まる。放電中の二次電池パック80が放電中であるとき、第1の放電スイッチ91は閉の状態、第1の充電スイッチ92は開の状態となるように第1の制御部84により制御される。放電中の二次電池パック80が充電中であるとき、第1の放電スイッチ91は開の状態、第1の充電スイッチ92は閉の状態となるように第1の制御部84により制御される。
同様に、追加の二次電池パック85の放電または充電の状態は、第2の放電スイッチ93および第2の充電スイッチ94の開閉状態に応じて決まる。追加の二次電池パック85が放電中であるとき、第2の放電スイッチ93は閉の状態、第2の充電スイッチ94は開の状態となるように第2の制御部88により制御される。追加の二次電池パック85が充電中であるとき、第2の放電スイッチ93は開の状態、第2の充電スイッチ94は閉の状態になるように第2の制御部88により制御される。
上位制御部83は、初めに、放電および充電を行っていない各二次電池パック(80、85)のインピーダンス、および、端子間電圧を測定する。次に、測定した端子間電圧が最も高い二次電池パックとその二次電池パックと端子間電圧が近い二次電池パックを選択し、端子間電圧が最も高い二次電池パックを先に放電させる。
上位制御部83は、第4の電圧検出器81による検出値と第2の電流検出器82による検出値から放電中の二次電池パック80のインピーダンスを測定する。放電中の二次電池パック80の端子間電圧は概ね直線的に下降することから、放電中の二次電池パック80のインピーダンスを時間を変数とする一次関数によって近似することにより、インピーダンスの変化を予測する。また、放電中の二次電池パック80のインピーダンスの変化の予測値と、追加の二次電池パック85のインピーダンスとが一致するタイミングを算出する。上位制御部83は、放電中の二次電池パック80のインピーダンスの予測値と、追加の二次電池パック85のインピーダンスとが一致するタイミングで、第2の制御部88により、第2の放電スイッチ93を閉、第2の充電スイッチ94を開の状態にさせ、追加の二次電池パック85の放電を開始させる。
以上の構成により、追加の二次電池パック85の放電開始時に、放電中の二次電池パック80の端子間電圧と追加の二次電池パック85の端子間電圧との差を低減することができ、二次電池パック(80、85)間で発生する横流を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、放電中の二次電池パックに並列に接続された追加の二次電池パックを追加で放電させる際に横流を抑制するためには、放電中の二次電池パックのインピーダンスの値、追加の二次電池パックのインピーダンスの値を求める必要がある。また、放電中の二次電池パックのインピーダンスの変化を予測するために、放電中の二次電池パックの端子電圧と、放電電流とを算出する必要があり、全体として複雑な構成を必要とする。
そこで、本発明は、船に配置される充放電システムにおいて、第1バッテリが接続された直流電源系統に、第2バッテリあるいは第2直流電源系統を、船内システムを稼働させた状態で追加的に接続する場合でも、簡易な構成で横流を阻止または抑制可能な充放電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における充放電システムは、船に配置される交流電源と、前記交流電源を電源とする交流電源系統と、前記交流電源系統から受け取る電力によって作動する船内負荷と、バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統と、前記交流電源系統と前記直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統と前記直流電源系統との間で電力変換を行うコンバータと、前記直流電源系統からインバータを介して受け取る電力によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷機と、前記直流電源系統に接続される第1バッテリと、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2直流電源系統と、前記直流電源系統と前記第2直流電源系統との間に配置されるダイオードと、前記ダイオードをバイパスして、前記直流電源系統と前記第2直流電源系統とを導通させる開閉器と、前記交流電源系統または前記交流電源系統とは分離された第2交流電源系統と、前記第2直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統または前記第2交流電源系統と、前記第2直流電源系統との間で電力変換を行う第2コンバータと、前記第2直流電源系統に接続される第3バッテリと、を具備し、前記第2直流電源系統の電圧は、前記直流電源系統の電圧とは独立して変動可能であることを特徴とする。代替的に、本発明の実施形態における充放電システムは、船に配置される交流電源と、前記交流電源を電源とする交流電源系統と、前記交流電源系統から受け取る電力によって作動する船内負荷と、バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統と、前記交流電源系統と前記直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統と前記直流電源系統との間で電力変換を行うコンバータと、前記直流電源系統からインバータを介して受け取る電力によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷機と、前記直流電源系統に接続される第1バッテリと、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2バッテリ、または、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2直流電源系統と、前記直流電源系統と、前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統との間に配置されるダイオードと、前記ダイオードをバイパスして、前記直流電源系統と前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統とを導通させる開閉器と、を具備し、前記開閉器を閉じて前記ダイオードをバイパスすべきタイミングを特定するために、前記ダイオードに直列的に接続される光発生器または音発生器を更に具備することを特徴とする。更に代替的に、本発明の実施形態における充放電システムは、船に配置される交流電源と、前記交流電源を電源とする交流電源系統と、前記交流電源系統から受け取る電力によって作動する船内負荷と、バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統と、前記交流電源系統と前記直流電源系統とを接続し、前記交流電源系統と前記直流電源系統との間で電力変換を行うコンバータと、前記直流電源系統からインバータを介して受け取る電力によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷機と、前記直流電源系統に接続される第1バッテリと、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2バッテリ、または、前記直流電源系統に追加的に接続可能な第2直流電源系統と、前記直流電源系統と、前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統との間に配置されるダイオードと、前記ダイオードをバイパスして、前記直流電源系統と前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統とを導通させる開閉器と、を具備し、前記直流電源系統と、前記第2バッテリまたは前記第2直流電源系統との間を流れる電流を検出する電流検出器を更に具備し、前記電流検出器が出力する電流信号が示す電流の値がゼロ、または、所定の電流値となったタイミングで前記開閉器が開状態にされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、船内システムの稼働状態や停止状態に関わらず、簡易な構成で横流を阻止または抑制可能な充放電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、発電量と負荷量との間の関係に基づく、第1バッテリの充放電量を示す図である。
【
図3】
図3は、バッテリの電圧特性の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態において、直流電源系統の直流電源電圧と第2バッテリの端子電圧との関係に基づく、第1ダイオードの電流導通状態の時間変化を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態において、直流電源系統の直流電源電圧と第2バッテリの端子電圧との関係に基づく、第2ダイオードの電流導通状態の時間変化を示す図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態の第1変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第4の実施形態の第2変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第4の実施形態における開閉器制御部の構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第4の実施形態において、第1電圧信号と第2電圧信号との間の大小関係に基づく、開閉器制御部の動作と開閉器の開閉状態の時間変化の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第4の実施形態の第1変形例において、第1電圧信号と第2電圧信号との間の大小関係に基づく、開閉器制御部の動作と開閉器の開閉状態の時間変化の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第5の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第5の実施形態の第1変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第5の実施形態における切替器制御部の構成の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第5の実施形態において、第1電圧信号と第2電圧信号との間の大小関係に基づく、切替器制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第6の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、第6の実施形態の第1変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、第6の実施形態の第2変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、第7の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、第7の実施形態の第1変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、第7の実施形態の第2変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、第7の実施形態の第3変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、第7の実施形態の第4変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、第7の実施形態の第5変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、第7の実施形態の第6変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、第7の実施形態の第7変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、第7の実施形態の第8変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、第7の実施形態の第9変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、第7の実施形態の第10変形例における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、第7の実施形態における開閉器制御部の構成の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、第7の実施形態の第3変形例または第5変形例において、第1電圧信号と第2電圧信号との間の大小関係に基づく、開閉器制御部の動作と開閉器の開閉状態の時間変化の一例を示す図である。
【
図34】
図34は、第7の実施形態の第4変形例または第5変形例において、第1電圧信号と第2電圧信号との間の大小関係に基づく、開閉器制御部の動作と開閉器の開閉状態の時間変化の一例を示す図である。
【
図35】
図35は、第7の実施形態における切替器制御部の構成の一例を示す図である。
【
図36】
図36は、第7の実施形態において、第1電圧信号と第2電圧信号との間の大小関係に基づく、切替器制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図37】
図37は、第8の実施形態における充放電システムの構成の一例を示す図である。
【
図38】
図38は、第8の実施形態における第2開閉器制御部の構成の一例を示す図である。
【
図39】
図39は、第8の実施形態において、発電量と負荷量との間の関係に基づく、第2開閉器制御部の動作と開閉器の開閉状態の時間変化の一例を示す図である。
【
図40】
図40は、従来技術における蓄電システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態における充放電システム100に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0010】
(第1の実施形態)
図1乃至
図4を参照して、第1の実施形態における充放電システム100Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態における充放電システム100Aの構成の一例を示す図である。
図2は、発電量G1と負荷量B1との関係に基づく、第1バッテリ9の充放電量D1を示す図である。
図3は、バッテリの電圧特性の一例を示す図である。
図4は、第1の実施形態において、直流電源系統5の直流電源電圧と第2バッテリ10の端子電圧との関係に基づく、第1ダイオード11aの電流導通状態の時間変化を示す図である。
【0011】
(構成・作用)
図1に記載の例では、充放電システム100Aは、交流電源1と、交流電源系統4と、船内負荷3と、直流電源系統5と、コンバータ2と、インバータ6と、電動機7と、負荷機8と、第1バッテリ9と、第2バッテリ10と、ダイオード11と、開閉器12と、を具備する。
【0012】
交流電源1は、船に配置され、例えば、発電機(より具体的には、ディーゼルエンジン発電機)等によって構成される。交流電源系統4は、交流電源1から電力を受け取る電源系統である。
図1に記載の例では、交流電源系統4は、第1主電線41と、第1副電線42と、第2副電線43とを含む。
図1に記載の例では、交流電源1とコンバータ2とが、第1主電線41および第1副電線42を介して接続されている。また、交流電源1と船内負荷3とが、第1主電線41および第2副電線43を介して接続されている。
【0013】
船内負荷3は、交流電源系統4から受け取る電力によって作動する。船内負荷3は、交流電源系統4から受け取る電力を運動エネルギに変換する機械的要素を含んでいてもよく、交流電源系統4から受け取る電力を熱または光に変換する電気的要素を含んでいてもよい。
【0014】
直流電源系統5は、バッテリを電源の少なくとも一部とする電源系統である。
図1に記載の例では、直流電源系統5は、第2主電線51と、第3副電線53と、第4副電線54と、第5副電線55と、第6副電線56とを含む。
図1に記載の例では、コンバータ2は、第3副電線53を介して直流電源系統5の第2主電線51に接続されている。インバータ6は、第4副電線54を介して第2主電線51に接続されている。第1バッテリ9は、第5副電線55を介して第2主電線51に接続されている。また、第2バッテリ10は、開閉器12が接続される第6副電線56を介して第2主電線51に接続されている。
【0015】
コンバータ2は、交流電源系統4と直流電源系統5とを接続する。また、コンバータ2は、交流電源系統4と直流電源系統5との間で電力変換を行う。直流電源系統5が全体として発電装置として機能する場合には、コンバータ2は、直流電源系統5を流れる直流電流を交流電流に変換して、交流電源系統4に送電する。より具体的には、交流電源1から供給される電力が、船内負荷3で消費されるエネルギよりも小さいとき、コンバータ2は、直流電源系統5から受電し、受電した電力を交流電力に変換して交流電源系統4に供給する。コンバータ2は、交流電源1が作動していない状態で、単独で、船内負荷3に電力を供給してもよい。
【0016】
他方、直流電源系統5が全体として負荷装置として機能する場合には、コンバータ2は、交流電源系統4を流れる交流電流を直流電流に変換して、直流電源系統5に送電する。より具体的には、交流電源1から供給される所定の電力が、船内負荷3で消費されるエネルギよりも大きいとき、コンバータ2は、交流電源系統4から受電し、受電した電力を直流電力に変換して直流電源系統5に供給する。
【0017】
一般的には、交流電源1と交流電源系統4との間、コンバータ2と交流電源系統4との間、船内負荷3と交流電源系統4との間には、回路開閉及び各電気的要素の保護のための遮断器が接続されているが、実施形態における主たるアイデアには影響を及ぼさないため、記載が省略されている。
【0018】
インバータ6は、直流電源系統5に接続され、直流電源系統5を流れる直流電流を交流電流に変換する。また、インバータ6は、交流電流を電動機7に供給する。
【0019】
電動機7は、直流電源系統5からインバータ6を介して受け取る電力によって駆動される。電動機7は、電動機として機能するだけでなく、発電機として機能してもよい。より具体的には、電動機7は、外力によって回転されて電力回生することで発電機として機能してもよい。
【0020】
負荷機8は、電動機7に接続され、電動機7から供給される動力によって駆動される。負荷機8は、例えば、プロペラ等を含む。
【0021】
第1バッテリ9は、直流電源系統5に接続される。第1バッテリ9が放電することにより、第1バッテリ9から直流電源系統5に電力が供給される。他方、直流電源系統5から第1バッテリ9に電力が供給されることにより、第1バッテリ9が充電される。
【0022】
第2バッテリ10は、直流電源系統5に追加的に接続可能なバッテリである。第2バッテリ10が放電することにより、第2バッテリ10から直流電源系統5に電力が供給される。他方、直流電源系統5から第2バッテリ10に電力が供給されることにより、第2バッテリ10が充電される。
【0023】
ダイオード11は、直流電源系統5と第2バッテリ10との間に配置される。ダイオード11の機能については後述される。
【0024】
開閉器12は、ダイオード11をバイパスして、直流電源系統5と第2バッテリ10とを導通させる。
図1に記載の例では、ダイオード11をバイパスするために、充放電システム100Aは、ダイオード11が配置される電流路Lと並列に配置されるバイパス路LBを有する。バイパス路LBは、直流電源系統5と第2バッテリ10とを接続する。開閉器12が開状態であるとき、電流は、バイパス路LBを流れない。他方、開閉器12が閉状態であるとき、電流は、ダイオード11をバイパスして、バイパス路LBを流れることができる。なお、ダイオード11が配置される電流路Lは、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。また、バイパス路LBは、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。
【0025】
交流電源1、船内負荷3におけるエネルギ消費、および、電動機7の動作に起因して生じる直流電源系統5における電力収支に対し、バッテリがバッファとして機能する。つまり、交流電源1における発電量の変動、あるいは、負荷(船内負荷3あるいは負荷機8)が消費するエネルギの変動等に応じて、バッテリの充放電量が変化し、直流電源電圧が変化する。直流電源系統5には、主として直流電源を構成する第1バッテリ9が接続されている。第1バッテリ9は、交流電源1の発電量と、船内負荷3および負荷機8の負荷量とに応じて、放電または充電を行い、放電または充電によって第1バッテリ9の端子電圧は変動する。直流電源系統5の直流電源電圧と第1バッテリ9の端子電圧とは等しいため、第1バッテリ9の端子電圧が変動すると直流電源系統5の直流電源電圧も変動する。
【0026】
図2を参照して、発電量G1と負荷量B1との関係に基づく、第1バッテリ9の充放電量D1について説明する。
図2には、交流電源1の発電量G1と、船内負荷3および負荷機8の負荷量B1(換言すれば、エネルギ消費量)と、第1バッテリ9の充放電量D1とが示されている。なお、充放電量D1が正の値である場合は、充放電量D1は放電量を表し、充放電量D1が負の値である場合は、充放電量D1の絶対値は、充電量を表す。
【0027】
図2において、A点は発電量G1が負荷量B1よりも少ない時点であり、B点は発電量G1と負荷量B1とが一致している時点であり、C点は発電量G1が負荷量B1よりも多い時点である。A点では、第1バッテリ9は、負荷量B1から発電量G1を差し引いた量の放電を行う。B点では、第1バッテリ9は、放電および充電を行わない。換言すれば、第1バッテリ9の充放電量D1はゼロとなる。C点では、第1バッテリ9は、発電量G1から負荷量B1を差し引いた量の充電を行う。
【0028】
図3には、バッテリの電圧特性の一例が示されている。
図3には、バッテリの端子電圧E1が示されている。バッテリが充放電を行うことにより、バッテリの充電率は変動する。また、バッテリの充電率が変動することにより、バッテリの端子電圧E1は変動する。
【0029】
船内システムを稼働させた状態で直流電源電圧が変動する直流電源系統5に、第2バッテリ10を追加的に接続する場合を想定する。換言すれば、充放電システム100Aが、直流電源系統5に追加的に接続される第2バッテリ10を有する場合を想定する。直流電源系統5の直流電源電圧と第2バッテリ10の端子電圧に電圧差がある場合、第2バッテリ10を直流電源系統5に接続する際に、当該電圧差とインピーダンスに応じた電流が流れる。この電流を横流という。
【0030】
図1に記載の例では、充放電システム100Aは、直流電源系統5と第2バッテリ10との間に配置されるダイオード11を備える。当該ダイオード11は、第2バッテリ10から直流電源系統5に向かう電流の流れを阻止する第1ダイオード11aを含む。以下、第1の実施形態乃至第6の実施形態において、第2バッテリ10から直流電源系統5に向かう電流の流れ方向を第1方向DR1と定義し、直流電源系統5から第2バッテリ10に向かう電流の流れ方向を第2方向DR2と定義する。
図1に示される第1ダイオード11aは、第1方向DR1の電流の流れを阻止する。
【0031】
図1に記載の例では、第2バッテリ10の入出力部に、直流電源系統5から第2バッテリ10へ向かう方向に順方向電流を流すように接続される第1ダイオード11aが配置されている。この場合、直流電源系統5の直流電源電圧より高い端子電圧の第2バッテリ10が直流電源系統5に追加的に接続されるとき、第1ダイオード11aが逆方向(より具体的には、第1方向DR1)に電流を流さない特性により、電圧差に起因して第2バッテリ10から直流電源系統5に横流が生じることが阻止される。なお、
図1に記載の例では、第1ダイオード11aは第2バッテリ10のプラス極に接続されているが、代替的に、第1ダイオード11aの方向を反転させ、第1ダイオード11aを第2バッテリ10のマイナス極に接続するようにしてもよい。
【0032】
図4を参照して、直流電源系統5の直流電源電圧と第2バッテリ10の端子電圧の関係に基づく、第1ダイオード11aの電流導通状態の時間変化について説明する。
図4には、直流電源系統5の直流電源電圧V1(=第1バッテリ9の端子電圧)と、第2バッテリ10の端子電圧V2と、第1ダイオード11aの電流導通状態Q1とが示されている。
図4の上側の図は、直流電源電圧V1と端子電圧V2との間の高低関係の変化を示す。
図4の下側の図は、第1ダイオード11aの電流導通状態Q1の変化を示す。
【0033】
時刻T0において直流電源電圧V1は端子電圧V2よりも低く、第1ダイオード11aは電流非導通状態である。直流電源電圧V1と端子電圧V2とが一致するタイミングT1で、第1ダイオード11aは電流非導通状態から電流導通状態となる。タイミングT1以後は、直流電源電圧V1と端子電圧V2とは等しくなる。なお、厳密には、ダイオードには、当該ダイオードの順方向電圧を超える電圧が印加されるまでは電流は流れない。しかし、順方向電圧は大きくないため、本明細書では、ダイオード(例えば、第1ダイオード11a)の順方向電圧の影響は無視するものとする。換言すれば、直流電源電圧V1と端子電圧V2とが一致するタイミングT1には多少の誤差が許容され、直流電源電圧V1と端子電圧V2とが一致するタイミングT1は、第1ダイオード11aが電流非導通状態から電流導通状態となるタイミングと同等とみなされる。同様に、本明細書では、第2ダイオード11bの順方向電圧の影響、後述の第1ダイオード23aの順方向電圧の影響、および、後述の第2ダイオード23bの順方向電圧の影響は無視するものとする。
【0034】
図1に記載の例において、第1ダイオード11aに並列に接続された開閉器12は、第1ダイオード11aが電流導通状態になった後、第1ダイオード11aをバイパスするために閉状態にされる。第1ダイオード11aの電流導通後、第2バッテリ10は、
図2に示される発電量G1が負荷量B1より多い場合に充電可能である。しかし、発電量G1が負荷量B1より少ない場合、第1ダイオード11aが逆方向に電流を流さない特性に起因して、第2バッテリ10は放電を行うことができない。第1ダイオード11aをバイパスするように開閉器12を閉状態にし、バイパス路LBに電流を流すことにより、第2バッテリ10の放電が可能となる。なお、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2とは一致しているため、開閉器12を閉状態にすることにより、第2バッテリ10を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。なお、本明細書において、ショックレスには、ショックがゼロであることに加え、実質的なショックがないことが包含される。例えば、ダイオードの順方向電圧の影響により、直流電源電圧V1と端子電圧V2とが一致するタイミングT1と、第1ダイオード11aが電流非導通状態から電流導通状態となるタイミングとが完全には一致しないことは、ショックレスな追加的な接続に反しない。
【0035】
第1の実施形態、あるいは、後述の任意の実施形態において、開閉器12は第1ダイオード11aをバイパスさせることが可能である限りにおいて、どのような要素によって構成されていてもよい。開閉器12は、電磁接触器であってもよく、遮断器であってもよく、メカニカルなスイッチであってもよい。また、開閉器12を開閉する方法は、自動であってもよいし、手動であってもよい。同様に、後述される開閉器24、後述される切替器14、あるいは、後述される切替器26に関しても、これらの構成に含まれる開閉要素は、電磁接触器、遮断器、メカニカルスイッチのいずれであってもよい。また、当該開閉要素を開閉する手段は、自動であってもよいし、手動であってもよい。
【0036】
第1の実施形態、あるいは、後述の任意の実施形態において、第1バッテリ9としては、蓄電池、二次電池等の充放電可能な電池が想定され、第2バッテリ10としては、蓄電池、二次電池等の充放電可能な電池が想定されている。ただし、第1の実施形態、あるいは、後述の任意の実施形態において、第1バッテリ9および第2バッテリ10のうちの少なくとも1つは、乾電池などの一次電池であってもよい。また、第1バッテリ9および第2バッテリ10のうちの少なくとも1つは、化学反応によって起電力を生み出す燃料電池等であってもよい。
【0037】
図1に記載の例では、直流電源系統5の直流電源電圧V1より高い端子電圧V2の第2バッテリ10を、直流電源系統5に追加的に接続する場合、第1ダイオード11aによって横流を阻止しながら第2バッテリ10を直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0038】
(効果)
第1の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2よりも低い場合に、第1ダイオード11aによって横流を阻止できるとともに、直流電源系統5に追加的に接続される第2バッテリ10を充電可能かつ放電可能な状態にスムーズに移行することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図5および
図6を参照して、第2の実施形態における充放電システム100Bについて説明する。
図5は、第2の実施形態における充放電システム100Bの構成の一例を示す図である。
図6は、第2の実施形態において、直流電源系統5の直流電源電圧と第2バッテリ10の端子電圧との関係に基づく、第2ダイオード11bの電流導通状態の時間変化を示す図である。
【0040】
(構成・作用)
第2の実施形態における充放電システム100Bは、第1方向DR1の電流の流れを阻止する第1ダイオード11aの代わりに、第2方向DR2の電流の流れを阻止する第2ダイオード11bを有する点で、第1の実施形態における充放電システム100Aとは異なる。その他の点では、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様である。
【0041】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。例えば、交流電源1、コンバータ2、船内負荷3、交流電源系統4、直流電源系統5、インバータ6、電動機7、負荷機8、第1バッテリ9、第2バッテリ10、バイパス路LB、開閉器12については、第1の実施形態において説明済みであるため、第2の実施形態において、これらの構成について、繰り返しとなる説明は省略する。
【0042】
第1の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2より低い場合に、横流を阻止しつつ、第2バッテリ10を直流電源系統5に追加的に接続可能にする構成が採用される。当該構成では、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2より高い場合には、横流を阻止することができない。そこで、第2の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2より高い場合に、横流を阻止しつつ、第2バッテリ10を直流電源系統5に追加的に接続可能にする構成が提案される。
【0043】
図5に記載の例では、充放電システム100Bは、直流電源系統5と第2バッテリ10との間に配置されるダイオード11を備える。当該ダイオード11は、第2方向DR2の電流の流れ(換言すれば、直流電源系統5から第2バッテリ10に向かう電流の流れ)を阻止する第2ダイオード11bを含む。
【0044】
図5に記載の例では、第2バッテリ10の入出力部に、第2バッテリ10から直流電源系統5へ向かう方向に順方向電流を流すように接続される第2ダイオード11bが配置されている。この場合、直流電源系統5の直流電源電圧V1より低い端子電圧V2の第2バッテリ10が直流電源系統5に追加的に接続されるとき、第2ダイオード11bが逆方向(より具体的には、第2方向DR2)に電流を流さない特性により、電圧差に起因して直流電源系統5から第2バッテリ10に横流が生じることが阻止される。
【0045】
図6を参照して、直流電源系統5の直流電源電圧V1(=第1バッテリ9の端子電圧)と第2バッテリ10の端子電圧V2との関係に基づく、第2ダイオード11bの電流導通状態Q2の時間変化について説明する。
図6の上側の図は、直流電源電圧V1と端子電圧V2との間の高低関係の変化を示す。
図6の下側の図は、第2ダイオード11bの電流導通状態Q2の変化を示す。
【0046】
時刻T0において直流電源電圧V1は端子電圧V2よりも高く、第2ダイオード11bは電流非導通状態である。直流電源電圧V1と端子電圧V2とが一致するタイミングT1で、第2ダイオード11bは電流非導通状態から電流導通状態となる。タイミングT1以後は、直流電源電圧V1と端子電圧V2とは等しくなる。
【0047】
図5に記載の例において、第2ダイオード11bに並列に接続された開閉器12は、第2ダイオード11bが電流導通状態になった後、第2ダイオード11bをバイパスするために閉状態にされる。第2ダイオード11bの電流導通後、第2バッテリ10は、
図2に示される発電量G1が負荷量B1より少ない場合に放電可能である。しかし、発電量G1が負荷量B1より多い場合、第2ダイオード11bが逆方向に電流を流さない特性に起因して、第2バッテリ10に充電することができない。第2ダイオード11bをバイパスするように開閉器12を閉状態にし、バイパス路LBに電流を流すことにより、第2バッテリ10の充電が可能となる。なお、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2とは一致しているため、開閉器12を閉状態にすることにより、第2バッテリ10を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0048】
(効果)
第2の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2よりも高い場合に、第2ダイオード11bによって横流を阻止できるとともに、直流電源系統5に追加的に接続される第2バッテリ10を充電可能かつ放電可能な状態にスムーズに移行することができる。
【0049】
(第3の実施形態)
図7を参照して、第3の実施形態における充放電システム100Cについて説明する。
図7は、第3の実施形態における充放電システム100Cの構成の一例を示す図である。
【0050】
(構成・作用)
第3の実施形態における充放電システム100Cは、第1方向DR1の電流の流れを阻止する第1ダイオード11aに加えて、第2方向DR2の電流の流れを阻止する第2ダイオード11bと、切替器14とを有する点で、第1の実施形態における充放電システム100Aとは異なる。その他の点では、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様である。
【0051】
第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第3の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第3の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0052】
第1の実施形態および第2の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に基づいて、特定の方向に電流が流れることを阻止するダイオード(11a;11b)を採用して横流が阻止または抑制される。しかし、第1の実施形態および第2の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係が決まっていないシステムに対して柔軟に対応することができない。そこで、第3の実施形態では、切替器14を用いて、第1ダイオード11aおよび第2ダイオード11bのうちのいずれか一方を選択可能とすることにより、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に関わらず、横流を阻止または抑制可能にする構成が提案される。
【0053】
第3の実施形態における充放電システム100Cは、第1の実施形態における充放電システム100Aが有する構成に加え、第2ダイオード11b、切替器14を備える。切替器14は、第2バッテリ10と第1ダイオード11aとが電気的に接続される第1状態と、第2バッテリ10と第2ダイオード11bとが電気的に接続される第2状態との間で接続状態を切り替える。また、第3の実施形態では、ダイオード11は、第1の実施形態において説明された第1ダイオード11aに加え、第2の実施形態において説明された第2ダイオード11bを含む。第3の実施形態では、直流電源系統5と第2バッテリ10とを接続する電流路Lは、第1ダイオード11aが配置される第1電流路L1と、第2ダイオード11bが配置される第2電流路L2とを含む。第1電流路L1は、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。また、第2電流路L2は、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。
【0054】
第3の実施形態において、切替器14は、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に基づいて、第2バッテリ10と、第1ダイオード11aが配置された第1電流路L1とを接続する第1状態と、第2バッテリ10と、第2ダイオード11bが配置された第2電流路L2とを接続する第2状態との間で、切替操作される。直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2よりも低い場合には、切替器14は、第1ダイオード11a側(換言すれば、第1電流路L1側)に切替操作され、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2よりも高い場合には、切替器14は、第2ダイオード11b側(換言すれば、第2電流路L2側)に切替操作される。直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2バッテリ10の端子電圧V2と一致している場合には、切替器14は、第1ダイオード11a側に切替操作されてもよいし、第2ダイオード11b側に切替操作されてもよい。切替器14が第1ダイオード11a側または第2ダイオード11b側に切替操作された後、
図4または
図6に示される例と同様に第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bに順方向電圧が印加されると、第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bは電流導通状態になる。例えば、切替器14が第1ダイオード11aと第2バッテリ10とを接続し、且つ、システムの発電量G1が負荷量B1より多いと、第2バッテリ10が充電される。他方、切替器14が第2ダイオード11bと第2バッテリ10とを接続し、且つ、システムの発電量G1が負荷量B1より少ないと、第2バッテリ10は放電を行う。
【0055】
また、第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bの電流導通後に開閉器12が閉状態にされると、第2バッテリ10と直流電源系統5とがバイパス路LBを介して接続される。よって、第2バッテリ10の充電と第2バッテリ10の放電との両方が可能となる。また、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2とが一致しているため、開閉器12を閉状態にすることにより、第2バッテリ10を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0056】
図7に記載の例では、開閉器12が配置されるバイパス路LBは、第1ダイオード11a、第2ダイオード11b、および、切替器14の全てをバイパスするように配置されている。換言すれば、バイパス路LBの第1端部e1が、第2バッテリ10と切替器14との間の部分に接続され、バイパス路LBの第2端部e2が、直流電源系統5に接続されている。
【0057】
代替的に、バイパス路LBと、第1電流路L1と、第2電流路L2とが並列的に配置されてもよい。より具体的には、バイパス路LBの第1端部e1が、切替器14に接続され、バイパス路LBの第2端部e2が、直流電源系統5に接続されてもよい。この場合、切替器14は、第2バッテリ10と第1ダイオード11aとが電気的に接続される第1状態と、第2バッテリ10と第2ダイオード11bとが電気的に接続される第2状態と、第2バッテリ10とバイパス路LBとが電気的に接続される第3状態との間で接続状態を切り替え可能であってもよい。この場合、切替器14は、開閉器12としても機能する。より具体的には、切替器14が第1状態または第2状態であるときが、開閉器12の開状態に対応し、切替器14が第3状態であるときが、開閉器12の閉状態に対応する。
【0058】
上述のとおり、切替器14を第1ダイオード11a側あるいは第2ダイオード11b側に切り替えることにより、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に関わらず、横流を阻止または抑制することができる。
【0059】
(効果)
第3の実施形態では、切替器14により、第1ダイオード11aと第2バッテリ10とが接続された状態と、第2ダイオード11bと第2バッテリ10とが接続された状態とを切り替えることができる。この場合、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に関わらず、横流を阻止または抑制できる。また、直流電源系統5に追加的に接続される第2バッテリ10を充電可能かつ放電可能な状態にスムーズに移行することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
図8乃至
図13を参照して、第4の実施形態における充放電システム100Dについて説明する。
図8は、第4の実施形態における充放電システム100Dの構成の一例を示す図である。
図9は、第4の実施形態の第1変形例における充放電システム100Dの構成の一例を示す図である。
図10は、第4の実施形態の第2変形例における充放電システム100Dの構成の一例を示す図である。
図11は、第4の実施形態における開閉器制御部17の構成の一例を示す図である。
図12は、第4の実施形態において、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2との間の大小関係に基づく、開閉器制御部17の動作と開閉器12の開閉状態P1の時間変化の一例を示す図である。
図13は、第4の実施形態の第1変形例において、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2との間の大小関係に基づく、開閉器制御部17の動作と開閉器12の開閉状態P1の時間変化の一例を示す図である。
【0061】
第4の実施形態では、第1の実施形態乃至第3の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第4の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第4の実施形態において、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0062】
(構成・作用)
第4の実施形態では、開閉器制御部17を用いて開閉器12を制御することにより、横流を抑制しつつ、直流電源系統5に第2バッテリ10を追加的に接続することができるシステムが提案される。
【0063】
第4の実施形態における充放電システム100Dは、第1の実施形態乃至第3の実施形態のいずれかにおける充放電システム(100A、100B、100C)が有する構成に加え、第1電圧検出器15、第2電圧検出器16、および、開閉器制御部17を備える。なお、
図8に示される充放電システム100Dは、第1の実施形態における充放電システム100Aに、第1電圧検出器15、第2電圧検出器16、および、開閉器制御部17が付加されたものに対応し、
図9に示される第1変形例における充放電システム100Dは、第2の実施形態における充放電システム100Bに、第1電圧検出器15、第2電圧検出器16、および、開閉器制御部17が付加されたものに対応し、
図10に示される第2変形例における充放電システム100Dは、第3の実施形態における充放電システム100Cに、第1電圧検出器15、第2電圧検出器16、および、開閉器制御部17が付加されたものに対応する。
【0064】
図8乃至
図10に記載の例において、第1電圧検出器15は、直流電源系統5の直流電源電圧V1を検出し、第2電圧検出器16は、第2バッテリ10の端子電圧V2を検出する。また、開閉器制御部17には、第1電圧検出器15が出力する第1電圧信号S1および第2電圧検出器16が出力する第2電圧信号S2が入力され、開閉器制御部17は、開閉器12に開閉器閉信号Saを出力する。より具体的には、開閉器制御部17は、第1電圧信号S1が示す第1電圧(V1)と第2電圧信号S2が示す第2電圧(V2)との差が予め設定された範囲内の値となることに応じて、開閉器12を閉じてダイオード11をバイパスする。
【0065】
図11を参照して、開閉器制御部17の構成の一例について説明する。
図11に記載の例では、開閉器制御部17は、加算部17aと、比較部17cと、電圧レベル設定部17bと、開閉器閉信号出力部17dとを備える。なお、これらの要素(17a、17b、17c、17d)は、ハードウェア(換言すれば、物理的な構成要素)によって実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されてもよい。
【0066】
開閉器制御部17には、第1電圧検出器15により検出される直流電源系統5の直流電圧の検出信号(以下、「第1電圧信号S1」という。)、および、第2電圧検出器16により検出される第2バッテリ10の端子電圧の検出信号(以下、「第2電圧信号S2」という。)が入力される。加算部17aは、第1電圧信号S1が示す第1電圧から第2電圧信号S2が示す第2電圧を減算して得られる出力値を比較部17cに出力する。なお、第1電圧信号S1が示す第1電圧(V1)は、第1電圧信号S1そのものであってもよいし、第1電圧信号S1を処理することにより得られる第1電圧に対応する値であってもよい。また、第2電圧信号S2が示す第2電圧(V2)は、第2電圧信号S2そのものであってもよいし、第2電圧信号S2を処理することにより得られる第2電圧に対応する値であってもよい。
【0067】
電圧レベル設定部17bは、第1の設定下限値TH1および第1の設定上限値TH2を設定する。第1の設定下限値TH1は、開閉器12を閉じることが許容される直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との電圧差の下限値に対応し、第1の設定上限値TH2は、開閉器12を閉じることが許容される直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との電圧差の上限値に対応する。比較部17cは加算部17aからの出力値が電圧レベル設定部17bにより設定される電圧差範囲内であるかの判定(換言すれば、第1の設定下限値TH1以上、第1の設定上限値TH2以下の範囲内であるか否かの判定)を行う。開閉器閉信号出力部17dは、加算部17aからの出力値が電圧レベル設定部17bにより設定される電圧差範囲内の値になったタイミングで、開閉器12を閉じるための信号である開閉器閉信号Saを出力する。開閉器12は、開閉器閉信号Saを受信すると閉状態となり、バイパス路LBが有効化される。
【0068】
図12および
図13を参照して、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2との間の大小関係に基づく、開閉器制御部17の動作について説明する。
図12(a)および
図13(a)には、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2との間の大小関係の時間変化が示され、
図12(b)および
図13(b)には、加算部17aから出力される出力値Vdの時間変化と、第1の設定下限値TH1および第1の設定上限値TH2との関係が示されている。なお、出力値Vdは、例えば、第1電圧信号S1から第2電圧信号S2を減算して得られる電圧差信号である。出力値Vdは、第1電圧信号S1が第2電圧信号S2よりも小さいときには負の値であり、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2が一致するときにはゼロであり、第1電圧信号S1が第2電圧信号S2よりも大きいときには正の値である。
図12(c)および
図13(c)には、開閉器閉信号Saの出力状態の時間変化が示され、
図12(d)および
図13(d)には、開閉器12の開閉状態P1の時間変化が示されている。
【0069】
図12は、
図8に示される開閉器制御部17の動作、あるいは、
図10において切替器14が第1ダイオード11aと第2バッテリ10とを接続している状態における開閉器制御部17の動作を示す。
図12において、時刻T0では、第1電圧信号S1は第2電圧信号S2よりも小さい。その後、発電量と負荷量との間の関係によって第1バッテリ9が放電または充電を行うことで第1電圧信号S1が変動する。加算部17aから出力される出力値Vdが、第1の設定下限値TH1と一致したタイミングT2で、開閉器閉信号出力部17dが開閉器閉信号Saを出力し、開閉器12の開閉状態P1が閉状態となる。その後は、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2とは等しくなり、加算部17aから出力される出力値Vdはゼロとなる。
【0070】
図13は、
図9に示される開閉器制御部17の動作、あるいは、
図10において切替器14が第2ダイオード11bと第2バッテリ10とを接続している状態における開閉器制御部17の動作を示す。
図13において、時刻T0では、第1電圧信号S1は第2電圧信号S2よりも大きい。その後、発電量と負荷量との間の関係によって第1バッテリ9が放電または充電を行うことで第1電圧信号S1が変動する。加算部17aから出力される出力値Vdが、第1の設定上限値TH2と一致したタイミングT2で、開閉器閉信号出力部17dが開閉器閉信号Saを出力し、開閉器12の開閉状態P1が閉状態となる。その後は、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2とは等しくなり、加算部17aから出力される出力値Vdはゼロとなる。
【0071】
なお、
図12(c)および
図13(c)において、開閉器閉信号Saはパルス信号であるが、開閉器閉信号Saは、連続信号であってもよい。
【0072】
上述のとおり、開閉器制御部17は、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の電圧差が、電圧レベル設定部17bによって設定される電圧差範囲内になったタイミングで、開閉器閉信号Saを出力し、開閉器12の開閉状態P1が閉状態となる。こうして、開閉器12を閉状態にすることにより、横流を抑制しつつ、第2バッテリ10を、バイパス路LBを介して、直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0073】
(効果)
第4の実施形態では、充放電システム100Dが、電圧検出器(15a、16a)と、開閉器制御部17とを備える。開閉器制御部17は、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の電圧差があらかじめ設定される電圧差範囲内になったタイミングで、開閉器12を閉状態にする。こうして、横流を抑制できるとともに、直流電源系統5に追加的に接続される第2バッテリ10を充電可能かつ放電可能な状態にスムーズに移行することができる。
【0074】
(第5の実施形態)
図14乃至
図17を参照して、第5の実施形態における充放電システム100Eについて説明する。
図14は、第5の実施形態における充放電システム100Eの構成の一例を示す図である。
図15は、第5の実施形態の第1変形例における充放電システム100Eの構成の一例を示す図である。
図16は、第5の実施形態における切替器制御部18の構成の一例を示す図である。
図17は、第5の実施形態において、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2との間の大小関係に基づく、切替器制御部18の動作の一例を示すフローチャートである。
【0075】
第5の実施形態では、第1の実施形態乃至第4の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、または、第4の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第5の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第5の実施形態において、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、または、第4の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0076】
(構成・作用)
第3の実施形態および第4の実施形態では、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に基づいて、第2バッテリ10と接続するダイオードを決定する仕組みが説明された。第3の実施形態および第4の実施形態では、第2バッテリ10と接続するダイオードを決定するために、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係が事前に認識されている必要がある。
【0077】
そこで、第5の実施形態では、充放電システム100Eは、第1電圧検出器15から第1電圧信号S1(換言すれば、直流電源系統5の直流電圧の検出信号)を受け取り、第2電圧検出器16から第2電圧信号S2(換言すれば、第2バッテリ10の端子電圧の検出信号)を受け取る切替器制御部18を備える。そして、第5の実施形態では、切替器制御部18が、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係を特定し、それにより、第2バッテリ10に接続するダイオードが自動選択される構成が提案される。
【0078】
図14において例示される第5の実施形態における充放電システム100Eは、第3の実施形態における充放電システム100Cが有する構成に加え、第1電圧検出器15、第2電圧検出器16、および、切替器制御部18を備える。また、
図15において例示される第5の実施形態の第1変形例における充放電システム100Eは、第4の実施形態における充放電システム100Dが有する構成に加え、切替器制御部18を備える。
【0079】
図14および
図15に記載の例において、第1電圧検出器15は、直流電源系統5の直流電源電圧V1を検出し、第2電圧検出器16は、第2バッテリ10の端子電圧V2を検出する。また、切替器制御部18には、第1電圧検出器15が出力する第1電圧信号S1および第2電圧検出器16が出力する第2電圧信号S2が入力され、切替器制御部18は、切替器14に切替信号Sbを出力する。より具体的には、切替器制御部18は、第1電圧信号S1が示す第1電圧(V1)と第2電圧信号S2が示す第2電圧(V2)との間の高低関係に応じて、切替器14の接続状態を切り替える。
【0080】
図14および
図15に記載の例において、直流電源系統5の直流電源電圧V1(換言すれば、第1電圧)が、第2バッテリ10の端子電圧V2(換言すれば、第2電圧)よりも低いとき、切替器制御部18は、第2バッテリ10と第1ダイオード11aとが電気的に接続されるように、切替器14に切替信号Sbを送信する。こうして、第2バッテリ10から直流電源系統5に流れる横流が阻止される。他方、直流電源系統5の直流電源電圧V1(換言すれば、第1電圧)が、第2バッテリ10の端子電圧V2(換言すれば、第2電圧)よりも高いとき、切替器制御部18は、第2バッテリ10と第2ダイオード11bとが電気的に接続されるように、切替器14に切替信号Sbを送信する。こうして、直流電源系統5から第2バッテリ10に流れる横流が阻止される。
【0081】
図16を参照して、切替器制御部18の構成の一例について説明する。
図16に記載の例では、切替器制御部18は、比較部18a(以下、切替器制御部18が有する比較部18aのことを「第2比較部18a」という。)と、回路切替信号出力部18bとを有する。なお、これらの要素(18a、18b)は、ハードウェア(換言すれば、物理的な構成要素)によって実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されてもよい。
【0082】
切替器制御部18には、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2とが入力される。第2比較部18aは、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2とを比較する。第2比較部18aは、比較結果を回路切替信号出力部18bに送り、回路切替信号出力部18bは、比較結果に基づいて、切替器14の回路切替を行うための信号である切替信号Sbを出力する。切替器は、切替信号Sbに基づいて、回路切替を行う。
【0083】
切替器制御部18の動作の一例を、
図17に示されたフローチャートを用いて説明する。切替器制御部18には、第1電圧信号S1が入力され、第2電圧信号S2が入力される。切替器制御部18は、入力された第1電圧信号S1と第2電圧信号S2との間の大小関係に基づいて、回路切替信号出力部18bから、第1ダイオード11a側の回路(換言すれば、第1電流路L1)と第2バッテリ10とを接続させる切替信号Sb、あるいは、第2ダイオード11b側の回路(換言すれば、第2電流路L2)と第2バッテリ10とを接続させる切替信号Sbを、切替器14に出力する。より具体的には、切替器制御部18は、第1電圧信号S1が第2電圧信号S2より小さい場合、切替器14に、第1ダイオード11a側の回路と第2バッテリ10とを接続する切替信号Sbを出力する。他方、第1電圧信号S1が第2電圧信号S2より大きい場合、切替器制御部18は、切替器14に、第2ダイオード11b側の回路と第2バッテリ10とを接続する切替信号Sbを出力する。第1電圧信号S1と第2電圧信号S2とが一致している場合、切替器制御部18は、切替器14に、第1ダイオード11a側の回路への切替信号Sbを出力してもよいし、第2ダイオード11b側の回路への切替信号Sbを出力してもよい。
【0084】
上述のとおり、切替器制御部18は、第1電圧検出器15により検出される直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2電圧検出器16により検出される第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に基づいて、第1ダイオード11a側の回路、または、第2ダイオード11b側の回路への回路切替を行う。こうして、充放電システム100Eは、直流電源系統5と第2バッテリ10の入出力部との間を接続するダイオード11として、第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bのうちの一方を自動選択することができる。
【0085】
(効果)
第5の実施形態では、充放電システム100Eが切替器制御部18を備えることにより、充放電システム100Eは、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係を事前に認識しておく必要がない。切替器制御部18が直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2との間の高低関係に基づいて切替器14を制御することにより、直流電源系統5と第2バッテリ10の入出力部との間を接続するダイオード11として、第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bのうちの一方を自動選択することができる。
【0086】
(第6の実施形態)
図18乃至
図20を参照して、第6の実施形態における充放電システム100Fについて説明する。
図18は、第6の実施形態における充放電システム100Fの構成の一例を示す図である。
図19は、第6の実施形態の第1変形例における充放電システム100Fの構成の一例を示す図である。
図20は、第6の実施形態の第2変形例における充放電システム100Fの構成の一例を示す図である。
【0087】
第6の実施形態では、第1の実施形態乃至第3の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第6の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第6の実施形態において、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0088】
(構成・作用)
第6の実施形態では、充放電システム100Fは、第1の実施形態乃至第3の実施形態のいずれかにおける構成に加え、ダイオード11に直列的に接続される光発生器または音発生器を備える。ダイオード11に直列的に接続される光発生器または音発生器は、開閉器12を閉じてダイオード11をバイパスすべきタイミングを特定するために使用される。
【0089】
より具体的には、第6の実施形態は、第1ダイオード11aおよび/または第2ダイオード11bのアノード側にLED19が接続されている。なお、第6の実施形態において、LED19は、第1ダイオード11aおよび/または第2ダイオード11bのカソード側に接続されていてもよい。また、LED19(発光ダイオード)の代わりに、白熱ランプや照明器具等の任意の光発生器(換言すれば、可視化できる機器)が用いられてもよいし、ブザー等の音発生器(換言すれば、可聴機器)が用いられてもよい。
【0090】
第4の実施形態では、電圧の高低関係を特定するために電圧検出器(15、16)が必要であった。第6の実施形態では、電圧検出を必須とせず、第1ダイオード11aおよび/または第2ダイオード11bのアノード側あるいはカソード側に接続されるLED19の点灯状態等に基づいて、開閉器12が閉じられ、第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bをバイパスするバイパス路LBが有効化される。第6の実施形態は、このようにして、横流を抑制することを提案するものである。
【0091】
第1の実施形態乃至第3の実施形態に、LED19が付加された場合でも、回路動作は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の回路動作と同様である。
図18において(あるいは、
図20において、切替器14によって第1ダイオード11aが選択されている状態において)、第1ダイオード11aの電流導通によりLED19が点灯し、第1ダイオード11aの電流導通により第2バッテリ10が充電される。また、
図19において(あるいは、
図20において、切替器14によって第2ダイオード11bが選択されている状態において)、第2ダイオード11bの電流導通によりLED19が点灯し、第2ダイオード11bの電流導通により第2バッテリ10が放電を行う。以上のとおり、第6の実施形態では、LED19の点灯状態により第1ダイオード11aおよび/または第2ダイオード11bの電流導通状態を把握でき、LED19が点灯中のとき直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2バッテリ10の端子電圧V2とは一致していると判断できる。よって、LED19が点灯するタイミングで、開閉器12が閉じられることにより、第2バッテリ10を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0092】
上述のとおり、LED19の点灯状態により第1ダイオード11aおよび/または第2ダイオード11bの電流導通状態を把握できるとともに、開閉器12を閉じるべきタイミングを判断することができる。なお、上述のとおり、LED19は、任意の光発生器あるいは音発生器に置換されてもよい。なお、光発生器による光発生、あるいは、音発生器による音発生に基づいて、開閉器12が手動で閉じられてもよい。代替的に、光センサあるいは音センサ等を介在させることにより、光発生器による光発生、あるいは、音発生器による音発生に基づいて、開閉器12が自動で閉じられてもよい。
【0093】
(効果)
第6の実施形態では、開閉器12を閉じるべきタイミングを特定するために、光発生器による光発生、あるいは、音発生器による音発生を用いることができる。換言すれば、電圧検出に依存することはなく、LED19の点灯状態等に応じて開閉器12の開閉制御を行うことが可能となる。なお、第6の実施形態において、切替器14によって選択されるダイオード11を、第1ダイオード11aまたは第2ダイオード11bのいずれにするかの判断に、光発生器による光発生、あるいは、音発生器による音発生が用いられてもよい。
【0094】
(第7の実施形態)
図21乃至
図36を参照して、第7の実施形態における充放電システム100Gについて説明する。
図21は、第7の実施形態における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図22は、第7の実施形態の第1変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図23は、第7の実施形態の第2変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図24は、第7の実施形態の第3変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図25は、第7の実施形態の第4変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図26は、第7の実施形態の第5変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図27は、第7の実施形態の第6変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図28は、第7の実施形態の第7変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図29は、第7の実施形態の第8変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図30は、第7の実施形態の第9変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図31は、第7の実施形態の第10変形例における充放電システム100Gの構成の一例を示す図である。
図32は、第7の実施形態における開閉器制御部28の構成の一例を示す図である。
図33は、第7の実施形態の第3変形例または第5変形例において、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3との間の大小関係に基づく、開閉器制御部28の動作と開閉器24の開閉状態P2の時間変化の一例を示す図である。
図34は、第7の実施形態の第4変形例または第5変形例において、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3との間の大小関係に基づく、開閉器制御部28の動作と開閉器24の開閉状態P2の時間変化の一例を示す図である。
図35は、第7の実施形態における切替器制御部29の構成の一例を示す図である。
図36は、第7の実施形態において、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3との間の大小関係に基づく、切替器制御部29の動作の一例を示すフローチャートである。
【0095】
(構成・作用)
図21乃至
図31を参照して、第7の実施形態における充放電システム100Gの構成の一例について説明する。第1の実施形態乃至第6の実施形態では、直流電源電圧V1が変動する直流電源系統5に第2バッテリ10を追加的に接続するに際して、横流を抑制する技術が説明された。第7の実施形態では、直流電源電圧V1が変動する直流電源系統5に、直流電源電圧V3が変動する第2直流電源系統21を追加的に接続するに際して、横流を抑制する技術を提案するものである。
【0096】
図21乃至
図31において、交流電源1、コンバータ2、船内負荷3、交流電源系統4、直流電源系統5、インバータ6、電動機7、負荷機8、第1バッテリ9、第1電圧検出器15については、第4の実施形態における構成要素と同様であるため、これらの構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0097】
図21等において、充放電システム100Gは、第2コンバータ20、第2直流電源系統21、第3バッテリ22、開閉器24を備える。また、
図21、
図23等において、充放電システム100Gは、第1ダイオード23aを備え、
図22、
図23等において、充放電システム100Gは、第2ダイオード23bを備える。第2直流電源系統21は、バッテリを電源の少なくとも一部とする電源系統である。
図21等に記載の例では、第2直流電源系統21は、第3主電線211と、第7副電線213と、第8副電線216と、を含む。
図21等に記載の例では、第2コンバータ20は、第7副電線213を介して第2直流電源系統21の第3主電線211に接続されている。また、第2コンバータ20は、第9副電線44を介して、交流電源系統4の第1主電線41(あるいは、交流電源系統4とは別の第2交流電源系統の主電線)に接続される。
【0098】
充放電システム100Gは、切替器26(
図23等を参照。)、第2電圧検出器27(
図24等を参照。)、開閉器制御部28(
図24等を参照。)、切替器制御部29(
図27等を参照。)、LED30(
図29等を参照。)等を備えていてもよい。
図32に例示されるように、開閉器制御部28は、加算部28a、電圧レベル設定部28b、比較部28c、および、開閉器閉信号出力部28dを備えていてもよい。
図35に例示されるように、切替器制御部29は、比較部29a、および、回路切替信号出力部29bを備えていてもよい。なお、これらの要素(28a、28b、28c、28d、29a、29b)は、ハードウェア(換言すれば、物理的な構成要素)によって実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されてもよい。
【0099】
第7の実施形態では、第1の実施形態乃至第6の実施形態と比較して、交流電源系統4に接続されるコンバータ20が追加されている。以下、第7の実施形態で追加されるコンバータのことを「第2コンバータ20」という。
図21乃至
図31に記載の例では、コンバータ2と第2コンバータ20とが同一の交流電源系統4に接続されている。代替的に、第2コンバータ20が接続される交流電源系統は、コンバータ2が接続される交流電源系統4とは分離された第2交流電源系統であってもよい。
【0100】
第7の実施形態では、第1の実施形態乃至第6の実施形態と比較して、直流電源系統5に追加的に接続可能な直流電源系統21が追加されている。以下、第7の実施形態で追加される直流電源系統21のことを「第2直流電源系統21」という。
【0101】
第7の実施形態における充放電システム100Gは、第1の実施形態乃至第6の実施形態における「直流電源系統5に追加的に接続可能な第2バッテリ10」の代わりに、直流電源系統5に追加的に接続可能な第2直流電源系統21を備える。よって、第1の実施形態乃至第6の実施形態の説明において、「第2バッテリ10」を「第2直流電源系統21」に読み替えることにより、第7の実施形態における充放電システム100Gの説明とすることができる。なお、上述の読み替えに際して、「ダイオード11」、「第1ダイオード11a」、「第2ダイオード11b」、「開閉器12」、「切替器14」、「第2電圧検出器16」、「開閉器制御部17」、「切替器制御部18」は、それぞれ、「ダイオード23」、「第1ダイオード23a」、「第2ダイオード23b」、「開閉器24」、「切替器26」、「第2電圧検出器27」、「開閉器制御部28」、「切替器制御部29」に読み替えられる。
【0102】
第7の実施形態における充放電システム100Gは、第1の実施形態乃至第6の実施形態における「直流電源系統5に追加的に接続可能な第2バッテリ10」と、「直流電源系統5に追加的に接続可能な第2直流電源系統21」との両方を含んでいてもよい。
【0103】
図21乃至
図31に記載の充放電システム100Gは、(1)船に配置される交流電源1と、(2)交流電源1を電源とする交流電源系統4と、(3)交流電源系統4から受け取る電力によって作動する船内負荷3と、(4)バッテリを電源の少なくとも一部とする直流電源系統5と、(5)交流電源系統4と直流電源系統5とを接続し、交流電源系統4と直流電源系統5との間で電力変換を行うコンバータ2と、(6)直流電源系統5からインバータ6を介して受け取る電力によって駆動される電動機7と、(7)電動機7に接続される負荷機8と、(8)直流電源系統5に接続される第1バッテリ9と、(9)直流電源系統5に追加的に接続可能な第2直流電源系統21と、(10)直流電源系統5と第2直流電源系統21との間に配置されるダイオード23と、(11)ダイオード23をバイパスして、直流電源系統5と第2直流電源系統21とを導通させる開閉器24と、を具備する。
【0104】
第7の実施形態(あるいは、後述の第8の実施形態)において、第2直流電源系統21から直流電源系統5に向かう電流の流れ方向を第1方向DR1と定義し、直流電源系統5から第2直流電源系統21に向かう電流の流れ方向を第2方向DR2と定義する。
【0105】
図21に記載の充放電システム100Gでは、上述のダイオード23は、第1方向DR1の電流の流れを阻止する第1ダイオード23aを含み、
図22に記載の充放電システム100Gでは、上述のダイオード23は、第2方向DR2の電流の流れを阻止する第2ダイオード23bを含む。
【0106】
また、
図21および
図22に記載の例では、開閉器24は、ダイオード23をバイパスして、直流電源系統5と第2直流電源系統21とを導通させる。
図21および
図22に記載の例では、ダイオード23をバイパスするために、充放電システム100Gは、ダイオード23が配置される電流路Lと並列に配置されるバイパス路LBを有する。バイパス路LBは、直流電源系統5と第2直流電源系統21とを接続する。開閉器24が開状態であるとき、電流は、バイパス路LBを流れない。他方、開閉器24が閉状態であるとき、電流は、ダイオード23をバイパスして、バイパス路LBを流れることができる。なお、ダイオード23が配置される電流路Lは、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。また、バイパス路LBは、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。
【0107】
図23に記載の充放電システム100Gでは、上述のダイオード23は、第1方向DR1の電流の流れを阻止する第1ダイオード23aおよび第2方向DR2の電流の流れを阻止する第2ダイオード23bの両方を含む。また、上述の電流路Lは、第1ダイオード23aが配置される第1電流路L3と、第2ダイオード23bが配置される第2電流路L4とを含む。第1電流路L3は、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。また、第2電流路L4は、電線、半導体素子の一部、基板上の回路の一部、あるいは、これらの組み合わせ等によって構成される。
【0108】
図23に記載の充放電システム100Gは、切替器26を備える。切替器26は、第2直流電源系統21と第1ダイオード23aとが電気的に接続される第1状態と、第2直流電源系統21と第2ダイオード23bとが電気的に接続される第2状態との間で接続状態を切り替える。
【0109】
図23に記載の例では、切替器26が直流電源系統5と第2直流電源系統21との間に配置されている。また、直流電源系統5と切替器26との間には、第1ダイオード23aと第2ダイオード23bとが並列に接続されている。更に、開閉器24によって開閉されるバイパス路LBは、直流電源系統5と第2直流電源系統21とを接続する。
【0110】
図24乃至
図26に記載の充放電システム100Gは、
図21乃至
図23に示される構成に加え、(1)直流電源系統5の直流電源電圧V1を検出する第1電圧検出器15と、(2)第2直流電源系統21の第2直流電源電圧V3を検出する第2電圧検出器27と、(3)第1電圧検出器15が出力する第1電圧信号S1および第2電圧検出器27が出力する第2電圧信号S3が入力され、開閉器24に開閉器閉信号Scを出力する開閉器制御部28と、を備える。開閉器制御部28は、第1電圧信号S1が示す第1電圧(V1)と第2電圧信号S3が示す第2電圧(V3)との差が予め設定された範囲内の値となることに応じて、開閉器24を閉じてダイオード23をバイパスする。
【0111】
図27に記載の充放電システム100Gは、
図23に示される構成に加え、(1)直流電源系統5の直流電源電圧V1を検出する第1電圧検出器15と、(2)第2直流電源系統21の第2直流電源電圧V3を検出する第2電圧検出器27と、(3)第1電圧検出器15が出力する第1電圧信号S1および第2電圧検出器27が出力する第2電圧信号S3が入力され、切替器26に切替信号Sdを出力する切替器制御部29と、を備える。また、
図28に記載の充放電システム100Gは、
図26に示される構成に加え、(3)第1電圧検出器15が出力する第1電圧信号S1および第2電圧検出器27が出力する第2電圧信号S3が入力され、切替器26に切替信号Sdを出力する切替器制御部29、を備える。
【0112】
切替器制御部29は、第1電圧信号S1が示す第1電圧(V1)と第2電圧信号が示す第2電圧(V3)との間の高低関係に応じて切替器26の接続状態を切り替える。
【0113】
図29乃至
図31に記載の充放電システム100Gは、
図21乃至
図23に示される構成に加え、(1)開閉器24を閉じてダイオード23をバイパスすべきタイミングを特定するために、ダイオード23に直列的に接続される光発生器(例えば、LED30)または音発生器、を備える。LED30は、第1ダイオード23aおよび/または第2ダイオード23bのアノード側に接続されてもよいし、第1ダイオード23aおよび/または第2ダイオード23bのカソード側に接続されてもよい。
【0114】
図21乃至
図31に記載の例では、充放電システム100Gは、(1)直流電源系統5に追加的に接続可能な第2直流電源系統21と、(2)交流電源系統4(または、交流電源系統4とは分離された第2交流電源系統)と第2直流電源系統21とを接続し、交流電源系統4(または第2交流電源系統)と第2直流電源系統21との間で電力変換を行う第2コンバータ20と、(3)第2直流電源系統21に接続される第3バッテリ22と、を備える。
図21乃至
図31に記載の例では、第1バッテリ9が放電または充電を行うことで、直流電源系統5の電圧は変動する。また、第3バッテリ22が放電または充電を行うことで第2直流電源系統21の電圧は変動する。よって、
図21乃至
図31に記載の例では、第2直流電源系統21の電圧は、直流電源系統5の電圧とは独立して変動可能である。
【0115】
続いて、第7の実施形態における充放電システム100Gの動作について説明する。
図21乃至
図31において、第2コンバータ20は、コンバータ2と同様の動作を行い、第2直流電源系統21は直流電源系統5と同様の動作を行い、第3バッテリ22は第1バッテリ9と同様の動作を行う。
【0116】
図21に記載の例において、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3より低い状態を想定する。第1ダイオード23aが逆方向に電流を流さない特性により、電圧の高低差によって第2直流電源系統21から直流電源系統5へ流れる横流を阻止することができる。直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3より高くなると第1ダイオード23aは電流導通状態となる。第1ダイオード23aの電流導通後に開閉器24が閉じられることにより、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0117】
図22に記載の例において、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3より高い状態を想定する。第2ダイオード23bが逆方向に電流を流さない特性により、電圧の高低差によって直流電源系統5から第2直流電源系統21へ流れる横流を阻止することができる。直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3より低くなると第2ダイオード23bは電流導通状態となる。第2ダイオード23bの電流導通後に開閉器24が閉じられることにより、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0118】
図23に記載の例では、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の高低関係に基づいて、切替器26が、第1ダイオード23a側または第2ダイオード23b側に切替操作される。直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3より低い場合には、第1ダイオード23aと第2直流電源系統21とが接続されるように、切替器26が第1ダイオード23a側に切替操作され、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3より高い場合には、第2ダイオード23bと第2直流電源系統21とが接続されるように、切替器26が第2ダイオード23b側に切替操作される。直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3と一致している場合には、切替器26は、第1ダイオード23a側に切替操作されてもよいし、第2ダイオード23b側に切替操作されてもよい。切替器26が、第1ダイオード23a側または第2ダイオード23b側に切替操作された後、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bに順方向電圧が印加されると、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bが電流導通状態になる。第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bの電流導通後に、開閉器24が閉じられることにより、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0119】
図24乃至
図26に記載の例では、開閉器制御部28は、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の電圧差が予め設定された範囲内の値となったタイミングで、開閉器24を閉じる。こうして、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0120】
図32を参照して、開閉器制御部28の構成の一例について説明する。
図32に記載の例では、開閉器制御部28は、加算部28aと、比較部28cと、電圧レベル設定部28bと、開閉器閉信号出力部28dとを備える。
【0121】
開閉器制御部28には、第1電圧信号S1、および、第2電圧検出器27により検出される第2直流電源系統21の直流電源電圧検出信号(以下、「第2電圧信号S3」という。)が入力される。加算部28aは、第1電圧信号S1が示す第1電圧から第2電圧信号S3が示す第2電圧を減算して得られる出力値を比較部28cに出力する。なお、第2電圧信号S3が示す第2電圧(V3)は、第2電圧信号S3そのものであってもよいし、第2電圧信号S3を処理することにより得られる第2電圧に対応する値であってもよい。
【0122】
電圧レベル設定部28bは、第1の設定下限値TH3および第1の設定上限値TH4を設定する。第1の設定下限値TH3は、開閉器24を閉じることが許容される直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との電圧差の下限値に対応し、第1の設定上限値TH4は、開閉器24を閉じることが許容される直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との電圧差の上限値に対応する。比較部28cは加算部28aからの出力値が電圧レベル設定部28bにより設定される電圧差範囲内であるかの判定(換言すれば、第1の設定下限値TH3以上、第1の設定上限値TH4以下の範囲内であるか否かの判定)を行う。開閉器閉信号出力部28dは、加算部28aからの出力値が電圧レベル設定部28bにより設定される電圧差範囲内になったタイミングで、開閉器24を閉じるための信号である開閉器閉信号Scを出力する。開閉器24は、開閉器閉信号Scを受信すると閉状態となり、バイパス路LBが有効化される。
【0123】
図33および
図34を参照して、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3との間の大小関係に基づく、開閉器制御部28の動作について説明する。
図33(a)および
図34(a)には、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3との間の大小関係の時間変化が示され、
図33(b)および
図34(b)には、加算部28aから出力される出力値Veの時間変化と、第1の設定下限値TH3および第1の設定上限値TH4との関係が示されている。なお、出力値Veは、例えば、第1電圧信号S1から第2電圧信号S3を減算して得られる電圧差信号である。出力値Veは、第1電圧信号S1が第2電圧信号S3よりも小さいときには負の値であり、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3が一致するときにはゼロであり、第1電圧信号S1が第2電圧信号S3よりも大きいときには正の値である。
図33(c)および
図34(c)には、開閉器閉信号Scの出力状態の時間変化が示され、
図33(d)および
図34(d)には、開閉器24の開閉状態P2の時間変化が示されている。
【0124】
図33は、
図24に示される開閉器制御部28の動作、あるいは、
図26において切替器26が第1ダイオード23aと第2直流電源系統21とを接続している状態における開閉器制御部28の動作を示す。
図33において、時刻T0では、第1電圧信号S1は第2電圧信号S3よりも小さい。その後、発電量と負荷量との間の関係によって第1バッテリ9および第3バッテリ22の各々が放電または充電を行うことで第1電圧信号S1および第2電圧信号S3が変動する。加算部28aから出力される出力値Veが、第1の設定下限値TH3と一致したタイミングT3で、開閉器閉信号出力部28dが開閉器閉信号Scを出力し、開閉器24の開閉状態P2が閉状態となる。その後は、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3とは等しくなり、加算部28aから出力される出力値Veはゼロとなる。
【0125】
図34は、
図25に示される開閉器制御部28の動作、あるいは、
図26において切替器14が第2ダイオード23bと第2直流電源系統21とを接続している状態における開閉器制御部28の動作を示す。
図34において、時刻T0では、第1電圧信号S1は第2電圧信号S3よりも大きい。その後、発電量と負荷量との間の関係によって第1バッテリ9および第3バッテリ22の各々が放電または充電を行うことで第1電圧信号S1および第2電圧信号S3が変動する。加算部28aから出力される出力値Veが、第1の設定上限値TH4と一致したタイミングT3で、開閉器閉信号出力部28dが開閉器閉信号Scを出力し、開閉器24の開閉状態P2が閉状態となる。その後は、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3とは等しくなり、加算部28aから出力される出力値Veはゼロとなる。
【0126】
なお、
図33(c)および
図34(c)において、開閉器閉信号Scはパルス信号であるが、開閉器閉信号Scは、連続信号であってもよい。
【0127】
図27に記載の例では、切替器制御部29は切替器26を制御し、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の高低関係に基づいて、切替器26の接続状態を、第1ダイオード23aと第2直流電源系統21とを接続する状態と、第2ダイオード23bと第2直流電源系統21とを接続する状態との間で切り替える。切替器26が第1ダイオード23a側または第2ダイオード23b側に切り替えられた後、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bに順方向電圧が印加されると、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bは電流導通状態となる。第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bの電流導通後に開閉器24が閉じられることにより、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0128】
図35を参照して、切替器制御部29の構成の一例について説明する。
図35に記載の例では、切替器制御部29は、比較部29a(以下、切替器制御部29が有する比較部29aのことを「第2比較部29a」という。)と、回路切替信号出力部29bとを有する。
【0129】
切替器制御部29には、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3とが入力される。第2比較部29aは、第1電圧信号S1と第2電圧信号S3とを比較する。第2比較部29aは、比較結果を回路切替信号出力部29bに送り、回路切替信号出力部29bは、比較結果に基づいて、切替器14の回路切替を行うための信号である切替信号Sdを出力する。切替器26は、切替信号Sdに基づいて、回路切替を行う。
【0130】
切替器制御部29の動作の一例を、
図36に示されたフローチャートを用いて説明する。切替器制御部29には、第1電圧信号S1が入力され、第2電圧信号S3が入力される。切替器制御部29は、入力された第1電圧信号S1と第2電圧信号S3との間の大小関係に基づいて、回路切替信号出力部29bから、第1ダイオード23a側の回路(換言すれば、第1電流路L3)と第2直流電源系統21とを接続させる切替信号Sd、あるいは、第2ダイオード23b側の回路(換言すれば、第2電流路L4)と第2直流電源系統21とを接続させる切替信号Sdを、切替器26に出力する。より具体的には、切替器制御部29は、第1電圧信号S1が第2電圧信号S3より小さい場合、切替器26に、第1ダイオード23a側の回路と第2直流電源系統21とを接続する切替信号Sdを出力する。他方、第1電圧信号S1が第2電圧信号S3より大きい場合、切替器制御部29は、切替器26に、第2ダイオード23b側の回路と第2直流電源系統21とを接続する切替信号Sdを出力する。第1電圧信号S1と第2電圧信号S3とが一致している場合、切替器制御部29は、切替器26に、第1ダイオード23a側の回路に切り替える切替信号Sdを出力してもよいし、第2ダイオード23b側の回路に切り替える切替信号Sdを出力してもよい。
【0131】
図28に記載の例では、切替器制御部29からの切替信号Sdに基づいて、切替器26が第1ダイオード23a側または第2ダイオード23b側に回路切替を行った後、開閉器制御部28は、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3の電圧差が予め定めた範囲内の値になったタイミングで開閉器24を閉じる。こうして、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。より具体的には、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3によりも低い場合には、切替器制御部29からの切替信号Sdに基づいて、切替器26は、第1ダイオード23a側への回路切替を行う。その後、
図33に示される例と同様に、それぞれが独立して変動する直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の電圧差が予め定めた範囲内の値になったタイミングT3で、開閉器制御部28は開閉器24を閉じる。他方、直流電源系統5の直流電源電圧V1が第2直流電源系統21の直流電源電圧V3よりも高い場合には、切替器制御部29からの切替信号Sdに基づいて、切替器26は、第2ダイオード23b側への回路切替を行う。その後、
図34に示される例と同様に、それぞれが独立して変動する直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の電圧差が予め定めた範囲内の値になったタイミングT3で、開閉器制御部28は開閉器24を閉じる。
【0132】
【0133】
図29において(あるいは、
図31において、切替器26によって、第1ダイオード23aが選択されている状態において)、第1ダイオード23aの電流導通によりLED30が点灯し、第1ダイオード23aの電流導通により直流電源系統5から第2直流電源系統21に給電される。また、
図30において(あるいは、
図31において、切替器26によって、第2ダイオード23bが選択されている状態において)、第2ダイオード23bの電流導通によりLED30が点灯し、第2ダイオード23bの電流導通により直流電源系統5は第2直流電源系統21から受電する。以上のとおり、LED30の点灯状態により第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bの導通状態を把握でき、LED30が点灯中のとき直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3とは一致していると判断できる。よって、LED30が点灯するタイミングで、開閉器24が閉じられることにより、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。
【0134】
なお、LED30は、任意の光発生器あるいは音発生器に置換されてもよい。光発生器による光発生、あるいは、音発生器による音発生に基づいて、開閉器24が手動で閉じられてもよい。代替的に、光センサあるいは音センサ等を介在させることにより、光発生器による光発生、あるいは、音発生器による音発生に基づいて、開閉器24が自動で閉じられてもよい。
【0135】
上述のとおり、
図21乃至
図31に記載の例では、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の高低関係に起因する横流が、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bにより阻止される。また、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bの電流導通後、あるいは、直流電源系統5の直流電源電圧V1と第2直流電源系統21の直流電源電圧V3との間の電圧差が予め設定された範囲内の値となったタイミングで開閉器24が閉じられることにより、第2直流電源系統21を、バイパス路LBを介して、ショックレスに直流電源系統5に追加的に接続することができる。また、
図29乃至
図31に記載の例では、第1ダイオード23aまたは第2ダイオード23bの電流導通のタイミングを、LED30の点灯状態に基づいて判断することができる。
【0136】
(効果)
第7の実施形態では、ダイオード23、開閉器24、切替器26、および/または、LED30を用いて、直流電源電圧が独立して変化する直流電源系統間の接続に際しての横流が抑制されるシステムを構築することができる。
【0137】
(第8の実施形態)
図37乃至
図39を参照して、第8の実施形態における充放電システム100Hについて説明する。
図37は、第8の実施形態における充放電システム100Hの構成の一例を示す図である。
図38は、第8の実施形態における第2開閉器制御部32の構成の一例を示す図である。
図39は、第8の実施形態において、発電量と負荷量との間の関係に基づく、第2開閉器制御部32の動作と開閉器12の開閉状態P1の時間変化の一例を示す図である。
【0138】
(構成・作用)
図37を参照して、第8の実施形態における充放電システム100Hの構成の一例について説明する。
図37において、交流電源1、コンバータ2、船内負荷3、交流電源系統4、直流電源系統5、インバータ6、電動機7、負荷機8、第1バッテリ9、第2バッテリ10、ダイオード11、開閉器12については、第1の実施形態における構成要素と同様であるため、これらの構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0139】
図37に記載の例では、充放電システム100Hは、電流検出器31と、第2開閉器制御部32とを備える。また、
図38に記載の例では、第2開閉器制御部32は、電流レベル設定部32aと、比較部32bと、開閉器開信号出力部32cとを有する。なお、これらの要素(32a、32b、32c)は、ハードウェア(換言すれば、物理的な構成要素)によって実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されてもよい。
【0140】
第1乃至第6の実施形態では、直流電源系統5に第2バッテリ10を接続する場合の例について説明された。これに対し、第8の実施形態では、直流電源系統5から第2バッテリ10を切り離す場合の例について説明される。船内システムを稼働させた状態で、直流電源系統5から第2バッテリ10を切り離すと、通電電流によって開閉器12の電極間にアークが発生し、安全な切り離しが阻害されるおそれがある。そこで、第8の実施形態では、第2バッテリ10の端子電流C1を検出する電流検出器31と、電流検出器31の検出信号に基づいて開閉器12を制御する第2開閉器制御部32とを設けることにより、船内システムを稼働させた状態で、直流電源系統5から第2バッテリ10を安全に切り離す方策を提案するものである。
【0141】
より具体的には、第8の実施形態における充放電システム100Hは、(1)直流電源系統5と、第2バッテリ10または第2直流電源系統21との間を流れる電流を検出する電流検出器31を備える。また、電流検出器31が出力する電流信号が示す電流の値がゼロ、または、所定の電流値となったタイミングで開閉器12が開状態にされる。
【0142】
続いて、第8の実施形態における充放電システム100Hの動作について説明する。
図37に記載の例において、開閉器12は閉状態であり、第2バッテリ10の放電電流または充電電流が開閉器12を通って流れている場合を想定する。第2バッテリ10の端子電流C1がほぼゼロになるタイミングで(換言すれば、発電量G1と負荷量B1とが一致するタイミングで)、第2開閉器制御部32が開閉器12を開放することにより、直流電源系統5から第2バッテリ10を安全に切り離すことができる。
【0143】
図38を参照して、第2開閉器制御部32の構成の一例について説明する。
図38に記載の例において、第2開閉器制御部32には電流検出器31により検出された電流検出信号(以下、「電流信号S4」という。)が入力される。電流レベル設定部32aは、予め設定された電流値を保持する。当該電流値は、開閉器12が開放されることが許容される閾値TH5に対応する。比較部32b(以下、第2開閉器制御部32が有する比較部のことを「第3比較部32b」という。)は、電流信号S4と電流レベル設定部32aによって設定される電流値とを比較する。開閉器開信号出力部32cは、電流信号S4が電流レベル設定部32aにて設定される電流値になったタイミングで、開閉器12を開放するための信号である開閉器開信号Sfを出力する。開閉器12は、開閉器開信号Sfを受信すると開状態になる。
【0144】
図39を参照して、発電量G1と負荷量B1に基づいた第2開閉器制御部32の動作の一例について説明する。
図39(a)には、発電量G1および負荷量B1の時間変化が示されている。
図39(b)には、第2バッテリ10の充放電量D2(換言すれば、電流信号S4)の時間変化と、電流レベル設定部32aで設定される電流値(換言すれば、閾値TH5)との関係が示されている。発電量G1が負荷量B1よりも少ないとき、第2バッテリ10から直流電源系統5に電流が流れ、電流信号S4によって示される値は「正」となる。なお、電流信号S4によって示される値が「正」であることは、第2バッテリ10が放電を行うことに対応する。他方、発電量G1が負荷量B1よりも多いとき、直流電源系統5から第2バッテリ10に電流が流れ、電流信号S4によって示される値は「負」となる。なお、電流信号S4によって示される値が「負」であることは、第2バッテリ10が充電されることに対応する。
図39(b)に記載の例では、電流レベル設定部32aで設定される電流値(換言すれば、閾値TH5)がゼロであるが、当該電流値(換言すれば、閾値TH5)はゼロ以外の値であってもよい。
図39(c)には、開閉器開信号Sfの出力状態の時間変化が示され、
図39(d)には、開閉器12の開閉状態P1の時間変化が示されている。
【0145】
図39(a)において、時刻T0では、発電量G1が負荷量B1より少ない。発電量G1と負荷量B1との差が小さくなると電流信号S4によって示される値はゼロに近づき、発電量G1が負荷量B1より多くなると電流信号S4によって示される値は負の値になる。第3比較部32bは電流信号S4と電流レベル設定部32aで設定される電流値(例えば、ゼロの値)とを比較する。開閉器開信号出力部32cは、発電量G1と負荷量B1が一致し電流信号S4がほぼゼロになるタイミングT4で(あるいは、電流信号S4が電流レベル設定部32aにて設定される電流値になるタイミングT4で)、開閉器開信号Sfを出力する(
図39(c)を参照。)。開閉器12は、開閉器開信号Sfを受信すると開状態になる(
図39(d)を参照。)。なお、
図39(c)において、開閉器開信号Sfはパルス信号であるが、開閉器開信号Sfは、連続信号であってもよい。
【0146】
図37に記載の例は、第1の実施形態に対して、第2バッテリ10の入出力部に第2バッテリ10の端子電流C1を検出する電流検出器31が付加され、電流検出器31の検出信号に基づいて開閉器12を制御する第2開閉器制御部32が付加された場合に対応する。第2バッテリ10の端子電流C1を検出する電流検出器31および電流検出器31の検出信号に基づいて開閉器12を制御する第2開閉器制御部32を付加することは、上述の第2の実施形態乃至第6の実施形態においても採用可能である。第2の実施形態乃至第6の実施形態において、第2バッテリ10の入出力部に第2バッテリ10の端子電流C1を検出する電流検出器31が付加され、電流検出器31の検出信号に基づいて開閉器12を制御する第2開閉器制御部32が付加される場合、第2バッテリ10の端子電流C1がほぼゼロとなるタイミングT4で(あるいは、電流信号S4が電流レベル設定部32aにて設定される電流値になるタイミングT4で)、開閉器12が開状態にされることにより、直流電源系統5から第2バッテリ10を安全に切り離すことができる。なお、電流検出器31を第2バッテリ10の入出力部に接続する代わりに、電流検出器31を、直流電源系統5とダイオード11との間(または、直流電源系統5と開閉器12との間)の部分に接続してもよい。
【0147】
電流検出器31および電流検出器31の検出信号に基づいて開閉器12を制御する第2開閉器制御部32は、第7の実施形態における充放電システム100Gに付加されてもよい。この場合、電流検出器31は、直流電源系統5と第2直流電源系統21との間を流れる電流を検出する。また、第2開閉器制御部32は、直流電源系統5と第2直流電源系統21との間を流れる電流がほぼゼロとなるタイミングT4で(あるいは、直流電源系統5と第2直流電源系統21との間を流れる電流が、電流レベル設定部32aにて設定される電流値になるタイミングT4で)、開閉器24を開状態にする。こうして、直流電源系統5から第2直流電源系統21を安全に切り離すことができる。
【0148】
なお、パワーマネージメントシステムなどによって、第1バッテリ9および第2バッテリ10の電力分担量を操作し、第2バッテリ10の端子電流C1をほぼゼロにしてから、開閉器12を開状態にする方法も採用可能である。また、第2バッテリ10とは別に、直流電源系統5に第4バッテリを新たに接続し、直流電源系統5に新たに接続する第4バッテリの電圧を直流電源系統5の直流電源電圧に対して高くなるように(あるいは低くなるように)設定もしくは制御することで、第2バッテリ10の端子電流C1をほぼゼロにしてから、開閉器12を開状態にする方法も採用可能である。
【0149】
上述のとおり、第2開閉器制御部32を用いて、電流信号S4がほぼゼロになったタイミングで(あるいは、電流信号S4が電流レベル設定部32aにて設定される電流値になるタイミングで)、開閉器12が開状態にされることにより、直流電源系統5からの第2バッテリ10の切り離し(あるいは、直流電源系統5からの第2直流電源系統21の切り離し)を安全に行うことが可能となる。
【0150】
(効果)
第8の実施形態では、電流検出器31が設けられることにより、電流検出器31の検出信号がほぼゼロになるタイミングで(あるいは、検出信号が電流レベル設定部32aにて設定される電流値になるタイミングで)、開閉器12が開状態にされる。こうして、直流電源系統5からの第2バッテリ10の切り離し(あるいは、直流電源系統5からの第2直流電源系統21の切り離し)を安全に行うことが可能となる。
【0151】
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、第2バッテリ10の端子電流がほぼゼロになったことを判断する方法として、第8の実施形態で説明された電流検出器31の代わりに、別の機器を用いる方策を提案するものである。
【0152】
第9の実施形態における充放電システム100は、直流電源系統5と、第2バッテリ10または第2直流電源系統21との間を流れる電流が所定量以下であるか、あるいは、当該電流の大きさがゼロであることを示す機器を更に具備する。当該機器としては、例えば、LEDが例示される。LEDが、第2バッテリ10の入出力部に配置される場合、あるいは、直流電源系統5と第2直流電源系統21との間に配置される場合、LEDの消灯時には、直流電源系統5と、第2バッテリ10または第2直流電源系統21との間を流れる電流がゼロであるか、あるいは、LEDを点灯できないレベル(換言すれば、所定量以下のレベル)まで低下していると判断できる。なお、上述の機器として、LEDの代わりに任意の光発生器(例えば、白熱ランプ、照明器具等の可視化可能な機器)が配置されてもよい。この場合も、光発生器の消灯時には、直流電源系統5と、第2バッテリ10または第2直流電源系統21との間を流れる電流がゼロであるか、あるいは、光発生器を点灯できないレベルまで低下していると判断できる。代替的に、上述の機器として、ブザーなどの音発生器が配置されてもよい。例えば、音発生器が鳴っていないときには、直流電源系統5と、第2バッテリ10または第2直流電源系統21との間を流れる電流がゼロであるか、あるいは、音発生器を作動できないレベルまで低下していると判断できる。
【0153】
(効果)
第9の実施形態では、電流検出器を用いることなく、第2バッテリ10の端子電流等が十分に低下されているか否かを判断することができる。
【0154】
以上のとおり、本発明の実施形態によれば、ダイオード、開閉器、LED等の簡易な構成を用いて、船内システムを稼働させた状態で、横流の発生を阻止または抑制しつつ、直流電源系統に、バッテリあるいは第2直流電源系統を追加的に接続することができる。また、本発明の実施形態によれば、船内システムを稼働させた状態で、直流電源系統から、バッテリあるいは第2直流電源系統を安全に切り離すことができる。
【0155】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0156】
1…交流電源、2…コンバータ、3…船内負荷、4…交流電源系統、5…直流電源系統、6…インバータ、7…電動機、8…負荷機、9…第1バッテリ、10…第2バッテリ、11…ダイオード、11a…第1ダイオード、11b…第2ダイオード、12…開閉器、14…切替器、15…第1電圧検出器、16…第2電圧検出器、17…開閉器制御部、17a…加算部、17b…電圧レベル設定部、17c…比較部、17d…開閉器閉信号出力部、18…切替器制御部、18a…第2比較部、18b…回路切替信号出力部、19…LED、20…第2コンバータ、21…第2直流電源系統、22…第3バッテリ、23…ダイオード、23a…第1ダイオード、23b…第2ダイオード、24…開閉器、26…切替器、27…第2電圧検出器、28…開閉器制御部、28a…加算部、28b…電圧レベル設定部、28c…比較部、28d…開閉器閉信号出力部、29…切替器制御部、29a…第2比較部、29b…回路切替信号出力部、30…LED、31…電流検出器、32…第2開閉器制御部、32a…電流レベル設定部、32b…第3比較部、32c…開閉器開信号出力部、41…第1主電線、42…第1副電線、43…第2副電線、44…第9副電線、51…第2主電線、53…第3副電線、54…第4副電線、55…第5副電線、56…第6副電線、80…二次電池パック、81…第4の電圧検出器、82…第2の電流検出器、83…上位制御部、84…第1の制御部、85…二次電池パック、86…第5の電圧検出器、87…第3の電流検出器、88…第2の制御部、89…放電スイッチボディダイオード、90…充電スイッチボディダイオード、91…第1の放電スイッチ、92…第1の充電スイッチ、93…第2の放電スイッチ、94…第2の充電スイッチ、100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H…充放電システム、211…第3主電線、213…第7副電線、216…第8副電線、L…電流路、L1…第1電流路、L2…第2電流路、L3…第1電流路、L4…第2電流路、LB…バイパス路、e1…第1端部、e2…第2端部
【要約】
【課題】簡易な構成で横流を阻止または抑制可能な充放電システムを提供する。
【解決手段】充放電システム100は、交流電源系統4と、交流電源系統4から受け取る電力によって作動する船内負荷3と、直流電源系統5と、交流電源系統4と直流電源系統5との間で電力変換を行うコンバータ2と、直流電源系統5から受け取る電力によって駆動される電動機7と、電動機7に接続される負荷機8と、直流電源系統5に接続される第1バッテリ9と、直流電源系統5に追加的に接続可能な第2バッテリ10、または、直流電源系統5に追加的に接続可能な第2直流電源系統21と、直流電源系統5と第2バッテリ10または第2直流電源系統21との間に配置されるダイオード11、23と、ダイオードをバイパスして、直流電源系統5と第2バッテリ10または第2直流電源系統21とを導通させる開閉器12、24と、を具備する。
【選択図】
図1