(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】シチシン塩、シチシン塩の溶媒和物または水和物、シチシン塩の製造方法、医薬組成物、および治療方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/18 20060101AFI20221117BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20221117BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221117BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221117BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221117BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221117BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221117BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C07D471/18 CSP
A61K31/439
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61P25/34
(21)【出願番号】P 2020504149
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(86)【国際出願番号】 GB2018052085
(87)【国際公開番号】W WO2019020993
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518274319
【氏名又は名称】アチーブ ファーマ ユーケイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ステュワート,リチャード アリステア バルフォア
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0019806(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第101428021(CN,A)
【文献】特表2012-512848(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025718(WO,A1)
【文献】特表2019-504848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/18
A61K 31/439
A61K 9/20
A61K 9/48
A61K 47/26
A61K 47/36
A61K 47/38
A61P 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シチシンメシル酸塩およびシチシンゲンチジン酸塩から選択されるシチシン塩。
【請求項2】
請求項1に記載のシチシン塩を用いて調製したシチシン塩の溶媒和物または水和物。
【請求項3】
シチシンメシル酸塩およびシチシンゲンチジン酸塩から選択されるシチシン塩を製造するための方法であって、
第1溶液であるメタンスルホン酸およびゲンチジン酸から選択される酸性塩生成剤溶液を調製する工程(i)と、
第2溶液であるシチシン溶液を調製する工程(ii)と、
前記第2溶液に前記第1溶液を加える工程(iii)と、
前記工程(iii)で得られた第3溶液を一定時間高温に維持する工程(iv)と、
前記工程(iv)で一定時間高温に維持された前記第3溶液を周囲温度まで冷却させる工程(v)と、
前記工程(v)で冷却された前記第3溶液を濾過する工程(vi)と、
前記工程(vi)で冷却された前記第3溶液を濾過して得られた固体を乾燥させる工程(vii)とを含むシチシン塩の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のシチシン塩、または請求項2に記載のシチシン塩の溶媒和物またはシチシン塩水和物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項5】
前記薬学的に許容される担体が、ラクトース、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、微結晶セルロースおよびそれらの混合物から選択される請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
単位剤形として提供される請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記単位剤形が0.5mgから10mgのシチシン塩を含む請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記単位剤形が1mgから3.5mgのシチシン塩を含む請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
錠剤またはカプセルの形態である請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ニコチン中毒の治療に使用するための請求項1に記載のシチシン
塩。
【請求項11】
ヒトを除く被験体におけるニコチン中毒の治療方法であって、前記被験体に有効量の請求項1に記載のシチシン塩または請求項2に記載のシチシン塩の溶媒和物または水和物または請求項4~9のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のシチシン塩類、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
シチシンは、強力なニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストであることが知られているピリドン様アルカロイドである。薬理学的には、シチシンはニコチンと高度の類似性を示す。多数の研究により、シチシンがニコチン中毒の治療に有用であることが示されている。
【0003】
シチシンを含む医薬禁煙剤は、TABEX(登録商標)の商標名で数年間商業化されてきた。TABEX(登録商標)製品は、遊離塩基として1.5mgのシチシンを含む経口投与錠剤の形で市販されている。この製品は効果があることが見出されており、商業的に成功している一方、製品の承認された貯蔵寿命は2年である。
【0004】
当業者には理解されるように、医薬品の2年間の貯蔵寿命は一般に許容可能であるが、それは製品を迅速に包装し、輸送し、そして使用者に送達することに関しては、製造業者およびサプライチェーンに負担をかける。そしてまた、所与の貯蔵寿命を超える場合、ストック浪費の危険性を増加させる。さらに、製品がより高い温度またはより高い湿度の気候(例えば、ICH気候区域IIIおよびIV)を有する領域に輸送される場合、製品を保護し、貯蔵寿命を維持するために、さらなる包装または気候制御が必要とされ得る。
【0005】
シチシン含有製品のための多くの製剤化アプローチが、先行技術において提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1は、経口投与におけるシチシンの固形の投与製剤を開示している。この製剤は、シチシン遊離塩基、ラクトース、微結晶セルロース、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウムおよびフィルムコーティングを含有する。具体的な値幅はシチシンの量、およびラクトースと微結晶セルロースの比率で与えられる。このような組成によって、有効物質が均等に配分された錠剤が提供されるといわれている。安定性試験の結果を実施例に示す。特許文献1はシチシンの遊離塩基のみに関するものであり、シチシン塩を考慮していない。
【0007】
特許文献2は、微小化されたシチシンおよび周辺の補助剤からなる硬質カプセルの形式での固形の注射剤に関係している。水分と温度の増加使用をせずに調製された、均一に分散した活性成分を含む硬質ゼラチンカプセルに添加された粉末状物質の、均一な塊の生成は、技術的プロセスを通してシリンダーの安定性を確保すると言われている。特許文献2は、シチシンの有効成分とラクトースとの間の非相溶性を議論しており、それによれば、ラクトースは、ラクトース分子中にカルボキシ基が存在するため、シチシンを含む錠剤を不安定にする可能性がある。このカルボキシ基は完全には化学的に不活性ではなく、マイラード反応を引き起こす可能性がある。シチシン塩は考慮されていない。
【0008】
シチシンコハク酸塩は特許文献3により公知である。このシチシン塩は、シチシンコハク酸塩と、例えばラクトース一水和物または無水ラクトースなどの、薬学的に許容される担体とを含む安定な医薬組成物として製剤化されてもよい。そのような医薬組成物は、シチシン遊離塩基およびラクトースの医薬組成物よりも高い安定性を示すことが実証されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】EP1586320
【文献】WO2014/076680
【文献】WO2017/134468
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
シチシン塩の生成は困難であることが知られており、シチシン塩を含有する市販の製剤は、現在入手できない。以下に示すように、シチシンは、酢酸および安息香酸のような一般的な塩生成剤とは安定な塩を生成しない。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、シチシン塩がシチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択される場合、安定なシチシン塩が達成され得ることを見出した。このような安定したシチシン塩は、安定した医薬組成物として、シチシンを製剤化する追加的な選択肢を提示している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(本発明の第1の態様)
本発明の第1の態様によれば、シチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択されるシチシン塩が提供される。このようなシチシン塩は、治療(例えば、ニコチン中毒の処置)における使用のための医薬組成物を提供するために、ラクトースまたは他の一般的な薬学的キャリアとともに処方され得る。
【0012】
本発明のシチシン塩は結晶性塩である。
【0013】
本発明の第1の実施態様において、シチシンメシル酸塩、ゲンチジン酸塩、またはマレイン酸塩は、溶媒和物または水和物の形態で存在し得る。
【0014】
(本発明の第2の態様)
本発明の第2の態様において、シチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択されるシチシン塩を製造する方法が提供され、以下の工程を含む。
工程(i) 第1溶液であるメタンスルホン酸、ゲンチシン酸およびマレイン酸から選択される酸性塩生成剤溶液の調製を行う工程。
工程(ii) 第2溶液であるシチシン溶液の調製を行う工程。
工程(iii) 第2溶液に第1溶液を加える工程。
工程(iv) 工程(iii)で得られた第3溶液を一定時間高温に維持する工程。
工程(v) 工程(iv)で一定時間高温に維持された第3溶液を周囲温度まで冷却させる工程。
工程(vi) 工程(v)で冷却された第3溶液を濾過する工程。
工程(vii) 工程(vi)で冷却された第3溶液を濾過して得られた固体を乾燥させる工程。
【0015】
本発明の方法において、酸性塩生成剤溶液である第1溶液は、例えば酸性塩生成剤を、例えばエタノールまたはエタノールと水との混合物のような、適切な溶媒中で混合することによって提供され得る。
シチシン溶液である第2溶液は、例えばアセトニトリルまたはメチルテトラヒドロフランなどの、適切な溶媒にシチシンを溶解することによって調製することができる。溶解は、溶媒を、例えば40~60℃の温度に加熱することによって、または当業者が知っているのであろう他の適当な方法により、達成することができる。上記(iii)に従って混合されると、得られた溶液は、例えば約40℃の高温で、例えば1時間前後の時間、維持され得る。冷却後に得られた固体の濾過を、例えばPTFEフリットカラムを用いて実施することができる。次に、得られた固体を適切な温度、例えば約50℃の温度で、適切な期間、例えば約48時間、乾燥させる。
【0016】
上記の方法で得られたシチシン塩は、医薬組成物に含まれる前に、さらに公知の手段によって処理することができる。例えばシチシン塩は微粉化され得、または他の方法で処理され得る。
【0017】
(本発明の第3の態様)
本発明の第3の態様によれば、シチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択されるシチシン塩、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0018】
医薬担体は当技術分野で周知である。例えばラクトースは、固体投薬処方物において一般的に使用される。一実施形態では、本発明の医薬組成物中の薬学的に許容される担体はラクトースである。ラクトースは、例えばラクトース一水和物または無水ラクトースであり得る。別の担体としてはセルロース、例えば微結晶セルロース、またはデンプン、例えばトウモロコシデンプンおよび/または小麦デンプンが挙げられる。
【0019】
本発明に係るシチシン塩を含む医薬組成物は、シチシン遊離塩基を構成する既知の組成物と比較して、例えば医薬組成物、特にラクトースを構成する医薬組成物において、安定性を向上させることができる。
【0020】
本明細書中に開示される組成物は、当技術分野で公知の任意の経路による投与に適切であり得る。本発明の第3の態様に含まれる医薬組成物には、経口、経鼻または局所投与に適したものが含まれる。一実施形態では、医薬組成物が経口投与のための錠剤またはカプセルなどの固体形態で製剤化されてもよい。
【0021】
本発明の医薬組成物はさらに、当技術分野で一般的であるような、1つ以上の賦形剤を含有する可能性がある。本発明の医薬組成物に使用することができる賦形剤には、例えば充填剤、崩壊剤、防腐剤、潤滑剤および湿潤剤が含まれる。
【0022】
使用することができる充填剤の例には、ラクトース(例えば無水物または一水和物のいずれか)、セルロース、デンプン(例えばトウモロコシおよび/または小麦デンプン)、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、およびマンニトールが含まれる。
【0023】
保存剤は、製剤の細菌汚染または真菌汚染を防止し、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤を含み得る。
【0024】
適切な潤滑剤としては、ステアリン酸およびその塩が挙げられる。本発明の医薬組成物に使用するための潤滑剤の一例は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0025】
本発明の医薬組成物は、甘味剤、香味剤または着色剤をさらに含んでもよい。
【0026】
当業者であれば、適切な充填剤、保存剤および特に上述したもの以外の潤滑剤、ならびに適切な甘味料、香味料および着色剤、ならびに他の添加剤を十分に知っているであろう。
【0027】
本発明の医薬組成物はコーティング、例えばフィルムコーティングを含み得る。例えばコリドン、セラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタンまたは糖を使用して、当技術分野で公知の任意の方法に従ってコーティングすることができる。
【0028】
本発明による医薬組成物は、任意の適切な方法によって調製することができる。例えばカプセルは、シチシン塩をラクトースまたはソルビトールなどの1つ以上の不活性担体と混合し、ゼラチンカプセルに充填することによって調製することができる。錠剤は、例えば公知の圧縮方法によって製造することができる。
【0029】
本発明の実施例では、医薬組成物を単位剤形(例えば錠剤またはカプセル)として提供する。医薬組成物中のシチシンの量は、約0.5mgまたは約1.0mgから、2.0mg、3.0mg、5.0mgまたは約10mgの範囲である。例えば単位剤形は、1~3.5mgのシチシン塩を含み得る。実施形態において、本発明の医薬組成物は、25℃および60%±5%の相対湿度で保存された場合、2年を超える貯蔵寿命を有し得る。
【0030】
本発明のシチシン塩および医薬組成物は、例えばニコチン中毒の治療における使用に適用される。
【0031】
(本発明の第4の態様)
したがって、本発明の第4の態様において、ニコチン中毒の治療に使用するためのシチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択されるシチシン塩、ならびにニコチン中毒の治療に使用するためのシチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択されるシチシン塩、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物が提供される。
【0032】
(本発明の第5の態様)
本発明の第5の態様では、ヒトを除く被験体におけるニコチン中毒の治療方法であって、前記被験体に有効量のシチシンメシル酸塩、シチシンゲンチジン酸塩およびシチシンマレイン酸塩から選択されるシチシン塩を投与することを含む治療方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】シチシンメシル酸塩のXRPDプロファイルを示す。
【
図2】シチシンメシル酸塩のDSC/TGA複合プロファイルを示す。
【
図3】シチシンゲンチジン酸塩のXRPDプロファイルを示す。
【
図4】シチシンゲンチジン酸塩のDSC/TGA複合プロファイルを示す。
【
図5】シチシンマレイン酸塩のXRPDプロファイルを示す。
【
図6】シチシンマレイン酸塩のDSC/TGA複合プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の実施例を参照して、本発明の様々な実施形態をさらに説明する。
【実施例】
【0035】
(実施例1 シチシン塩生成)
酸性塩生成剤のストック溶液を、以下の表1に詳述するモル濃度を有する担体溶媒中で調製した。
【0036】
【0037】
シチシンAPI(医薬品有効成分、非合成)のストック溶液もまた、CH3CNおよびMe-THF中で調製した。2.4gのシチシンを60℃の温度に加熱された60mlの2-Me-THFに溶解し、2.4gのシチシンを40℃の温度に加熱された24mlのCH3CNに溶解した。
【0038】
40℃に加熱した200ml容量のチューブに、2mlまたは5mlのシチシンのストック溶液を充填した。次に、酸性ストック溶液を等モル量で加熱した管に添加した。溶液を40℃で1時間保持し、次に、周囲温度(~18℃)に18時間冷却した。固体生成が自然に起こらなかった場合、結晶化を誘導するために、連続的な二次操作、すなわち、i)結晶化を誘導するための窒素下での徐々のブローダウン(吹き冷まし)、ii)貧溶媒の充填/トリチュレーション、およびiii)窒素下での第2のブローダウン(吹き冷まし)および3mlのTBMEおよび1mlのアセトンでのトリチュレーションを行った。
【0039】
次に、得られた固体の濾過を、PTFEフリットカラムを用いて行い、得られた固体を50℃で48時間乾燥させた。次に、得られた生成物の特性を分析した。このスクリーニングの結果と得られた生成物の特性を、以下の表2に要約する。
【0040】
【0041】
表2から分かるように、適切なシチシン塩は、一般的な酸性塩生成剤である酢酸および安息香酸、ならびに、より特異な酸性塩生成剤であるアスコルビン酸およびグルクロン酸を用いても生成され得なかった。しかし、メシル酸塩、ゲンチジン酸塩およびマレイン酸塩は容易に生成され、有利な特性を示した。
【0042】
(実施例2 特性評価試験)
得られたシチシン塩を、以下に概説する装置およびパラメーターを用いて、XRPD、DSCおよびTGA分析に供した。結果を表3~5に示し、
図1~6に示す。
【0043】
(X線粉末回折(XRPD))
X線粉末回折パターンを、Cu Kα線(45kV、40mA)、θ-θゴニオメーター、集束ミラー、発散スリット(1/2インチ)、入射および発散光線(4mm)でのソーラースリット、およびPIXcel(登録商標)検出器を使用して、PANalytical(登録商標)回折計で収集した。データ収集に使用したソフトウエアはX'Pert(登録商標)Data Collectorバージョン2.2fであり、データはX'Pert(登録商標)Data Viewerバージョン1.2dを使用して提示された。
【0044】
XRPDパターンは、PANalytical(登録商標)X'Pert(登録商標)PROを用いて、透過箔試料段階(ポリイミド-カプトン、12.7μm厚膜)を介し、周囲条件下で、2.994~35°2θ(
図1,3,5ではθをThetaと表記)、0.202004°s
-1の連続走査で取得された。
【0045】
(示差走査熱量測定(DSC))
DSCデータを、45位置試料ホルダーを備えたPerkinElmer Pyris(登録商標)6000 DSCで収集した。認定されたインジウムを使用して、エネルギーおよび温度較正について装置を検査した。所定量の試料0.5~3.0mgをピンホール付きアルミニウムパンに入れ、30~350℃の20℃.min-1で加熱し、または実験指示に従って(条件を)変化させた。20ml.min-1の乾燥窒素パージを試料上で維持した。機器制御、データ収集および解析は、Pyris(登録商標)Software v11.1.1 Revision Hを用いて行った。
【0046】
(熱重量分析(TGA))
TGAデータを、20位置オートサンプラーを備えたPerkinElmer Pyris(登録商標)1 TGAで収集した。機器は、認定された重量および認定されたAlumelおよびPerkalloyを用いて、温度について較正した。所定量の試料1~5mgを、予め風袋を量ったアルミニウムるつぼに装填し、室温から400℃まで20℃.min-1、加熱した。20ml.min-1での窒素パージを試料上で維持した。機器制御、データ収集および解析は、Pyris(登録商標)Software v11.1.1 Revision Hを用いて行った。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
(実施例3 ラクトースとの相溶性)
ラクトースを含むシチシンおよび本発明のシチシン塩の製剤の安定性を調べた。試料は25℃および60%相対湿度(RH)で、40℃および75%RHで保存し、7日後および14日後に評価した。表6および7のデータから分かるように、シチシンがメシル酸塩またはゲンチジン酸塩の形態で存在する場合、遊離塩基形態で存在する場合よりも実質的に低い速度でシチシンが分解される。したがって、これらのシチシン塩は、シチシンの安定性を効果的に改善し、ラクトースを含む医薬組成物との製剤化を容易にする。
【0051】
【0052】