(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電気回路および電気回路の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20221117BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20221117BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H04B1/38
(21)【出願番号】P 2017527304
(86)(22)【出願日】2015-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2015074087
(87)【国際公開番号】W WO2016078846
(87)【国際公開日】2016-05-26
【審査請求日】2018-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】102014223653.3
(32)【優先日】2014-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】マチアス オスマン
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】衣鳩 文彦
【審判官】角田 慎治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-44778(JP,A)
【文献】特開2011-54640(JP,A)
【文献】特開2010-109140(JP,A)
【文献】特表2013-502856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0157568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 1/52
H01Q 13/00-13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路キャリア(210)と、該回路キャリア(210)に配置された少なくとも1つの電気部品(220)と、アンテナ部(235)を備えデータを無線伝送するよう構成された少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)と、ハウジング(240;640、645)と、を備えた電気回路(200)であって、前記少なくとも1つの電気部品(220)、前記少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)、および前記回路キャリア(210)の少なくとも1つの部分は、前記ハウジング(240;640、645)に収容され密封されている電気回路(200)において、前記少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)の少なくとも前記アンテナ部(235)が、前記ハウジング(240;640、645)内部の伝送領域(250)内に配置されており、該伝送領域(250)は、前記回路キャリア(210)から間隔(d)だけ離れており、
前記データ伝送ユニット(230)は、ハウジングカバー内へ射出成型されており、前記ハウジングカバーの装着により回路キャリアと導電的に接続されていることを特徴とする電気回路(200)。
【請求項2】
前記間隔(d)は、前記少なくとも1つの電気部品(220)の、前記回路キャリア(210)の表面に対する、少なくとも1つの高さに対応することを特徴とする、請求項1に記載の電気回路(200)。
【請求項3】
伝送領域(250)は、
ハウジングカバーの内部に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気回路(200)。
【請求項4】
少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)は、アンテナ部(235)と共に、データ伝送領域(250)内に配置されており、前記少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)は、電気接続手段(370)により、少なくとも1つの電気部品(220)および/または回路キャリア(210)と、導電的に接続されていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の電気回路(200)。
【請求項5】
アンテナ部(235)および少なくとも1つの電気部品(220)を、互いに電磁的にシールドするシールド素子(360)を備え、該シールド素子(360)は、前記少なくとも1つの電気部品(220)に架り、回路キャリア(210)に固定されていることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の電気回路(200)。
【請求項6】
前記シールド素子(360)は、熱的に、少なくとも1つの電気部品(220)と、および/または回路キャリア(210)と、連結されていることを特徴とする、請求項
5に記載の電気回路(200)。
【請求項7】
ハウジング(240;640、645)は、少なくとも部分的に、注入材から形成されているか、および/または合成樹脂材料から形成されているか、および/または少なくとも部分的に、少なくとも1つの合成樹脂部品(645)から組み立てられていることを特徴とする、請求項1~
6の何れか一項に記載の電気回路(200)。
【請求項8】
少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)は、起動信号を受信し、および該起動信号に反応し、電気回路(200)の起動プロセスを始動させるよう、構成されていることを特徴とする、請求項1~
7の何れか一項に記載の電気回路(200)。
【請求項9】
電気回路(200)の製造方法(700)であって:
回路キャリア(210)および少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)を準備するステップ(710)であって、前記回路キャリア(210)には少なくとも1つの電気部品(220)が配置され、および前記データ伝送ユニット(230)は、アンテナ部(235)を備え、データを無線伝送するよう構成されているステップ(710)と;
前記少なくとも1つの電気部品(220)、前記少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)、および前記回路キャリア(210)の少なくとも1つの部分を、ハウジング(240;640、645)内に収容し密封するステップ(720)であって、前記少なくとも1つのデータ伝送ユニット(230)の少なくとも前記アンテナ部(235)が、前記ハウジング(240;640、645)内部の前記電気回路(200)の伝送領域(250)内に配置されており、該伝送領域(250)が、前記回路キャリア(210)から間隔(d)を有して離れており、前記データ伝送ユニット(230)は、ハウジングカバー内へ射出成型されており、前記ハウジングカバーの装着により回路キャリアと導電的に接続されるステップ(720)と、を含む製造方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路および電気回路の製造方法に関し、特に、例えば制御装置、センサ等である、無線でデータ伝送可能な電子機器のための電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御装置は、例えば機械的、物理的および化学的な負荷に曝される可能性があるため、ハウジングにより保護可能である。そうした制御装置は、特にキャリブレーション、診断等のために、例えばプラグ接続である接触可能部を有する。そうした接点には診断装置を挿し込み可能であり、例えばその場合に、制御装置をキャリブレーションすることが可能である。
【0003】
ドイツ特許出願公開第102006012600号明細書は、電子部品、電子アセンブリ、および電子アセンブリの製造方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ドイツ特許出願公開第102006012600号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした背景に鑑み、本発明は、主請求項に記載の、改良された電気回路および電気回路の改良された製造方法を提供するものである。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の記述から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に従い、本発明は特に、ハウジング内部で周囲に対して密封されて配置された無線データ伝送用インターフェースを備えた、電気回路を提供可能である。無線データ伝送用インターフェースは、電磁放射の観点から、回路の電気部品からシールドされることが可能である。従って、電気回路または制御装置に対して、ワイヤレスインターフェースつまりは無線インターフェースを介して、および電気回路において電磁両立性の観点から有利である無線通信ユニットの配置を介して、非接触でキャリブレーション、診断等を実行することが可能である。無線データ伝送用インターフェ-スは、特に無線チップとして実現可能である。無線チップは、電磁両立性の観点から有利であるよう、電気回路のハウジング内部に配置されており、および例えばアクティベーションパターンを介して制御可能である。
【0007】
有利なことに本発明の実施形態に従い、ハウジング部分、または例えば注入材である、中間媒体を可及的に薄くすることにより、伝送ユニットを、他の部品への電磁的負荷を最小化し、かつ送信または通信特性を改良する好適な位置に配置可能である。有利なことに、外部接点をも低減または回避可能であり、および従って、電気回路において潜在的に密封が弱い箇所を低減または回避可能である。更に、無線データ伝送ユニットが封止されているために、長いワイヤハーネスまたは配線、読み出しまたはデータ伝送のために電気回路のハウジングを拡張または開放すること、ならびに封止素子および更なる構成素子を、省略可能である。従って、EMC(electromagnetic compatibility 電磁両立性)が中立の電気回路を備えた無線通信が実現されるのみでなく、電気回路を、製造工程および/またはプログラミング工程の間に、容易に識別および検査可能でもある。従って、例えば車両内部の、例えば変速機制御装置、エンジン制御装置、車軸アクチュエータ等である複数の電気回路が、互いに通信可能であり、およびこれらを同期的または平行して読み出し可能である。
【0008】
対応して電気回路は、回路キャリアと、回路キャリアに配置された少なくとも1つの電気部品と、アンテナ部を備えデータを無線伝送するよう構成された少なくとも1つのデータ伝送ユニットと、ハウジングと、を備え、少なくとも1つの電気部品、少なくとも1つのデータ伝送ユニット、および回路キャリアの少なくとも1つの部分は、ハウジングに収容されている。電気回路は、少なくとも1つのデータ伝送ユニットの少なくともアンテナ部が、ハウジング内部の伝送領域内に配置されており、伝送領域は、回路キャリアから間隔を有して離れていることを特徴とする。
【0009】
電気回路は、例えば制御装置、計測装置、センサ、テレマティクス制御装置等とすることが可能である。特に電気回路は、車両用として使用可能である。回路キャリアは、回路プレート、回路基板または基板とすることが可能である。回路キャリアは、2つの主表面を備えることが可能である。回路キャリアの一方の主表面または両方の主表面に、電気部品を配置可能である。特に電気回路は、複数の部品を備えることが可能である。部品は、回路キャリアの少なくとも1つの主表面に配置可能である。電気部品は、例えば集積回路、チップまたは電圧供給ユニットのような、例えば受動電気部品または能動電気部品とすることが可能である。電気回路1は、1つを超える回路キャリアを備えることが可能である。データ伝送ユニットは、電気回路と電気回路の周辺の間で、無線でデータ伝送するよう構成可能である。データ伝送ユニットは、例えば無線チップ等として実現可能である。この場合データ伝送ユニットは、ディスクリート部品として実現可能である。アンテナ部および主要部分は、レイアウト上で、少なくとも部分的重なり合うことが可能である。データ伝送ユニットは、電気回路を含む回路部、およびアンテナ部を含むことが可能である。一体化された実施形態から逸れ、アンテナ部および回路部を、互いに空間的に分離させて配置し、および電線で互いに接続することも可能である。ハウジングは、電気回路を周辺に対して密封し、ならびに機械的、化学的および/または物理的な負荷から保護するよう構成可能である。伝送領域は、ハウジングの外側表面から間隔をあけて、ハウジング内部に配置可能である。特に伝送領域は、上述の間隔だけ、回路キャリアの主たる延在面に対して垂直に、回路キャリアから離れることが可能である。電気回路は、外側から電気回路に対して電気的に接触するための外部電気接続部を備えることが可能である。外部電気接続部には、ハウジングの外側から接触可能である。
【0010】
実施形態に従い、間隔は、少なくとも1つの電気部品の、回路キャリアの表面に対する、少なくとも1つの高さに対応可能である。この場合高さは、回路キャリアの表面と、電気部品の回路キャリアと反対を向いた表面の間隔に対応可能である。複数の電気部品が回路キャリアの表面上に配置されている場合、従って間隔は、例えば電気部品のうちの最も高背の電気部品の高さに対応可能である。従って伝送領域は、電気回路の部品領域の外側に配置可能である。従って伝送領域は、少なくとも1つの電気部品を備える場合と比較して、回路キャリアの主たる延在面に対して垂直に、より広い間隔を備えることが可能である。例えば伝送領域は、少なくとも1つの部品と、ハウジングの外側表面の間に配置可能である。そうした実施形態には、無線データ伝送に対する電磁両立性を改良可能である、という利点がある。従って、無線データ伝送による電気部品への干渉、および電気部品による無線データ伝送への干渉等を、最小化可能または防止可能である。
【0011】
伝送領域は、ハウジングのハウジング壁内部に配置されることも可能である。この場合、ハウジング壁の壁面強度または材料厚さは、伝送領域の外側表面を向いた側で、少なくとも1つの電気部品を向いた側よりも小さくすることが可能である。そうした実施形態には、少なくとも1つの伝送ユニットの伝送特性を、無線電波に貫通されるべきハウジング材料が僅かであることに起因して改良可能である、という利点がある。
【0012】
実施形態に従いハウジングは、例えば空気が充填された中空室を包囲するハウジング壁を備えることが可能であり、中空室内には少なくとも1つの部品が配置されている。更なる実施形態に従いハウジングは、ハウジング壁が、少なくとも1つの部品の表面にまで延在可能であるよう、大型に実現されることが可能である。
【0013】
特に少なくとも1つのデータ伝送ユニットは、アンテナ部と共に、データ伝送領域内に配置されることが可能である。この場合、少なくとも1つのデータ伝送ユニットは、電気接続手段により、少なくとも1つの電気部品と、および追加的または代替的に回路キャリアと、導電的に接続されることが可能である。そうした実施形態には、回路キャリア上でより広いスペースを省くことが可能であるため、電気回路を、例えばよりコンパクトに実現可能である、という利点がある。更に、例えば無線チップを、データ伝送ユニットとして使用可能である。
【0014】
更に電気回路は、アンテナ部および少なくとも1つの電気部品を、互いに電磁的にシールドするシールド素子を備えることが可能である。この場合シールド素子は、少なくとも1つの電気部品に架り、回路キャリアに固定されることが可能である。この場合伝送領域は、シールド素子の回路キャリアと反対を向いた表面に配置されることが可能である。シールド素子は、少なくとも部分的に、回路キャリアの主表面に亘って延在して、回路キャリアに配置されることが可能である。そうした実施形態には、データ伝送ユニット、またはアンテナ部、または無線データ伝送の電磁両立性を、少なくとも1つの電気部品に対して改良可能である、という利点がある。
【0015】
この場合、少なくとも1つのデータ伝送ユニットの少なくともアンテナ部は、少なくとも1つのシールド素子の、回路キャリアと反対を向いた表面に配置されることが可能である。有利なことに、データ伝送ユニット、またはデータ伝送ユニットのアンテナ部のみを、シールド素子に固定することが可能である。
【0016】
実施形態に従い、この場合シールド素子は、熱的に、少なくとも1つの電気部品と、および追加的または代替的に回路キャリアと、連結されることが可能である。そうした実施形態には、シールド素子を、電気回路の放熱ユニットまたはヒートシンクとして使用可能である、という利点がある。従って、電気部品からの熱の放出を改良することが可能であり、更に、電気回路内部の電磁両立性を改良可能である。
【0017】
追加ハウジングを備えることも可能であり、追加ハウジング内に、少なくとも1つのデータ伝送ユニットの、少なくともアンテナ部が収容されている。この場合、少なくとも1つのデータ伝送ユニットは、データ伝送領域内に配置されることが可能である。そうした実施形態には、少なくとも1つのデータ伝送ユニット、またはデータ伝送ユニットの少なくともアンテナ部を、ハウジングの材料により負荷から保護することが可能である、という利点がある。
【0018】
例えばハウジングは、少なくとも部分的に、注入材から形成されているか、および追加的または代替的に合成樹脂材料から形成されていることが可能である。追加的または代替的に、ハウジングは少なくとも部分的に、少なくとも1つの合成樹脂部品から組み立てられていることが可能である。この場合伝送領域は、少なくとも1つの合成樹脂部品内に配置可能である。従ってハウジングは、注入材、または合成樹脂もしくは合成樹脂部分から実現されるか、または合成樹脂もしくは合成樹脂部分および注入材の混合形状として実現可能である。注入材をハウジング用に使用する場合、回路キャリアは注入材により包囲可能である。少なくとも1つの電気部品は、いわゆるモールドハウジングにより保護されている。注入材は、デュロプラスト合成樹脂(熱硬化性樹脂)等のようなエポキシ樹脂とすることが可能である。ハウジングが合成樹脂から形成されている場合、ハウジングはハウジング底部およびカバーを備えることが可能である。カバーおよびハウジング底部は、ねじ留め、溶接等がされているか、またはねじ留め、溶接されることが可能である。ハウジングの少なくとも1つのハウジング部分は、金属からも形成可能である。そうした実施形態には、高感度の電気部品または電子部品を、例えば振動、温度差、水分、または例えば油のような液状媒体の攻撃である、特に機械的、物理的および/または化学的負荷の、有害な外的影響から保護可能である、という利点がある。
【0019】
少なくとも1つのデータ伝送ユニットは、起動信号を受信し、および例えば起動信号の定義可能な信号経過に反応し、電気回路の起動プロセスに作用するか、または起動プロセスを始動させるよう、構成されることが可能である。定義可能または予め定義可能な制御パターンまたは信号経過を介して、少なくとも1つのデータ伝送ユニットまたは無線チップの、起動または反応に作用可能である。そうした制御信号は少なくとも1つのデータ伝送ユニットを起動可能なため、少なくとも1つのデータ伝送ユニットが活動状態になる。そうした起動は、RFID(Radio Frequency Identification=無線認識、電磁波の助けによる認識)により実行可能である。そうした実施形態には、必要とされる場合に電気回路を起動可能であるため、特にエネルギーを節約して電気回路を作動可能である、という利点がある。更に、少なくとも1つのデータ伝送ユニットおよびエネルギー連結信号を介して、電気回路に対するエネルギー供給を誘導可能である。
【0020】
電気回路の製造方法は、以下のステップを含む:
回路キャリアおよび少なくとも1つのデータ伝送ユニットを準備するステップであって、回路キャリアには少なくとも1つの電気部品が配置され、およびデータ伝送ユニットは、アンテナ部を備え、データを無線伝送するよう構成されているステップと、
少なくとも1つの電気部品、少なくとも1つのデータ伝送ユニット、および回路キャリアの少なくとも1つの部分を、ハウジング内に収容するステップであって、少なくとも1つのデータ伝送ユニットの少なくともアンテナ部が、ハウジング内部の電気回路の伝送領域内に配置されており、該伝送領域が、回路キャリアから間隔を有して離れているステップ。
【0021】
方法を実行することにより、上記で既述された電気回路の実施形態を製造することが可能である。収容するステップは、少なくとも1つのデータ伝送ユニットの少なくともアンテナ部を、ハウジング内部の電気回路の伝送領域内に配置する、部分的ステップを含むことが可能である。
【0022】
従って、本発明の実施形態に従い、例えば無線によるキャリブレーション、無線による、診断、トラブルシューティング、トラブルの修復、またはデバッギング、および追加的または代替的に無線による、回路または制御装置のフラッシュが可能である。電気回路がハウジングにより保護された状態で配置されていても、電気回路は、キャリブレーションまたは診断されるか、およびフラッシュされることが可能とすべきである。電気回路または制御装置のキャリブレーションにより、計測および調整からの反復プロセスが全て実行時に理解可能となり、アルゴリズムのパラメータまたは制御装置アルゴリズムを最適に調整する。電気回路における調節機能を最適化するために、多数のパラメータ値の変更が必要となる可能性がある。これらは、スカラー量、および追加的または代替的に特性曲線および特性図とすることが可能である。いわゆるフラッシュの目的は、電気回路のフラッシュメモリにおける、アプリケーションのアップデートかもしれない。これは、特に開発段階で有意義かつ必要かもしれないが、電気回路または制御装置が既に取り付けられている場合にも、有意義かつ必要となる可能性がある。診断機能の出力パラメータは、計測信号のように検出可能であり、および表示ウインドウにおいて、時間の上に表示可能である。診断機能の入力パラメータは、キャリブレーションパラメータのように、調整ウインドウにおいて、挿入および変更可能である。パラメータの変更の際に、診断機能を電気回路において実行可能である。電気回路のキャリブレーションを実行可能とするために、データ伝送用の接点は、電気回路の周辺で媒体に対して不浸透性を有する必要がある。本発明の実施形態に従い、特に、注入材がオーバーモールドされた電気回路ではあるが、従来の例えば合成樹脂製のハウジングにおいても、媒体不浸透性を達成する特別なユニットが不要となる。従って、密封の際の不具合を回避可能であり、および密封ユニットが脆弱化し更に機能不能になる可能性、その他電気回路の確認に至るような事態を、防止可能である。更に、データ伝送用に機械的な接点が必要となるはずの構造スペースを、省スペース化可能である。オーバーモールドされたハウジング、または注入材からなるハウジングにおいては、そうしたハウジングでない場合にリセスまたは開口/接点を与える特殊ツールを、更に省略可能である。しかしながら、カバーハウジング/底部ハウジングの場合にも、電気回路または制御装置用の機械的接点を与える作業ステップを省略可能である。本発明の実施形態に従い、例えば、複数の部品を読み出す必要がある場合に、これらの部品を回路キャリアに亘って、例えば長いワイヤハーネスを介して、データを伝送するために機械的な接触部と大仰に接続すること、または複数の接点または開口を施すことを、回避可能である。特に電気回路を、データ伝送またはデータ読み出しのために、例えば車両のエンジンルームである設置位置から取り外すことを回避可能である。これらは、電気回路内および電気回路からの無線データ伝送、または適切な無線技術により、達成可能である。そうした無線技術の例として、WLAN(無線ラン)、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee、NFC(近距離無線通信)等がある。データ伝送ユニットは、無線チップとしても構成可能であり、この無線チップは、例えば少なくともWLAN、ブルートゥース(登録商標)およびZigBeeと互換性を有する。データ伝送ユニットにより、そうした無線技術のうちの複数を同時に処理することも可能である。いわゆる、マルチワイヤレスチップにより、簡便かつ費用対効果に優れて、例えばゲートウェイ装置を実現可能であり、およびネットワーク技術を結合可能である。温度、大きさ、性能等の観点からも、データ伝送用に最適のチップを使用可能である。互換性のある読取装置により、データまたは値の読み出し、キャリブレーション等が可能である。少なくとも1つのデータ伝送ユニットにより、例えばテレマティクスサービス用の制御装置(テレマティクス制御ユニットTelematic Control Unit = TCU)である電子部品をも、回路キャリア上に接続可能である。従って、データ伝送ユニットにより表されたデジタル入力を介して、例えばテレマティクスサービス用の制御装置を、キャリブレーションモードまたはパラメータ表記モードに変換可能である。従って製造ロボットは、制御装置にアップロードされるべきソフトウエアバージョンの現状を、必要に応じて常に確認可能であり、制御装置が現在、プロダクションシークエンスのどのステップに存在し、インストールの何パーセントがすでに完了しているか、常にドキュメント化可能である。そのため、ブートローダが制御可能であるか等、全ての検証テストを、製造フェーズの間に常に、制御装置または電気回路の固定ケーブルを不要として、無線または非接触で実行可能である。
【0023】
本発明は、添付の図面を参照して、以下に例示的に詳説される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】本発明の実施形態に従う電気回路の概略的な断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に従う電気回路の概略的な断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に従う電気回路の概略的な断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に従う電気回路の概略的な断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に従う電気回路の概略的な断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に従う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の好適な実施形態に関する以下の記載において,異なる図面に記された類似の作用を有する素子に関しては同一又は類似の符号を使用し,これら素子を繰り返して記載することを控えている。
【0026】
図1は制御装置100の概略的な断面図を示す。制御装置100は、回路基板110を備え、回路基板110上に、複数の電子部品112が配置されている。この場合電子部品112は、回路基板110の両方の主表面に実装されている。更に回路基板110には、無線チップ114が取り付けられている。回路基板110の電気接触は、接続部116を介して実現されている。更に制御装置100は、注入材120または成形材を備える。注入材120は、制御装置100のハウジングを表すものであり、および注入材120内に、回路基板110、電子部品112、無線チップ114、および接続部の部分が封入されている。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に従う電気回路の概略的な断面図を示す。電気回路200は、特に制御装置等であり、例えば車両か、または他の適用箇所において使用される。この場合電気回路200は、非接触または無線でデータ伝送可能に実現されている。
【0028】
電気回路200は、回路キャリア210または回路基板を備える。違う表現をすると、回路キャリア210は、プレートまたは印刷回路である。この場合回路キャリア210は、2つの、互いに反対側を向く主表面を備える。
【0029】
図2に示された本発明の実施形態に従い、回路キャリア210には、例示的に2つの電子部品または電気部品220が配置されている。この場合部品220は、回路キャリア210の2つの主表面のうち、第1主表面に実装されている。代替的に、1つのみの電気部品220、または2つを超える電気部品220、特に多数の電気部品220を、回路キャリア210に配置可能である。この場合回路キャリア210は、両方の主表面に電気部品220を実装することも可能である。
【0030】
更に電気回路200は、回路部233およびアンテナ部235を有する、データ伝送ユニット230を備える。データ伝送ユニット230は、電気回路200と電気回路200の周辺の間で無線でデータを伝送するよう構成されている。
【0031】
更に電気回路200は、ハウジング240を備える。ハウジング240は、電気回路200を少なくとも部分的に収容するよう構成されている。
図2に示された本発明の実施形態に従い、ハウジング240は注入材または成形材から形成されている。違う表現をすると、この場合注入材は、電気回路200のハウジング240を表している。この場合ハウジング240内に、回路キャリア、電気部品220、ならびに回路部233およびアンテナ部235を有するデータ伝送ユニット230が配置されるか、または封入もしくは収容されている。他の実施形態に従い、ハウジング240は合成樹脂材料、および追加的または代替的に金属材料から形成されているか、または少なくとも1つの合成樹脂材料部分および/または少なくとも1つの金属部分から組み立てられている。
【0032】
電気回路200は、伝送領域250を備える。伝送領域250は、ハウジング240内部に配置されている。この場合伝送領域250は、回路キャリア210から、定義可能な間隔dだけ離れている。
図2に示された本発明の実施形態に従い、伝送領域250内には、データ伝送ユニット230のアンテナ部235が配置されている。伝送領域250は完全に、ハウジング240の外側表面に包囲された空間内部に配置されている。アンテナ部235の回路キャリア210を向いた側および/またはデータ伝送ユニット230は、間隔dにより、回路キャリア210のアンテナ部235を向いた側から、空間的に離れている。例えば、アンテナ部235と回路キャリア210の間、またはデータ伝送ユニット230と回路キャリア210の間に、例えば空隙である間隙が存在可能である。この間隙の高さは、間隔dにより定義されることが可能である。
【0033】
この実施形態に従い、アンテナ部235は、少なくとも1つの接続ラインを介して回路部233と接続されている。回路部233は、例えばアンテナ部235を制御する電気回路を備える。伝送領域250内に配置されたアンテナ部235とは異なり、回路部233は、例示的に回路キャリア210の第1主表面に実装されている。
【0034】
代替的に回路部233を、同様に伝送領域250内に配置することが可能である。これは例えば、回路部233およびアンテナ部235を一体化させて配置することで、データ伝送ユニット230が無線チップとして実現される場合に推奨される。
【0035】
電気回路200は、
図2の実施形態から逸れ、1つを超えるデータ伝送ユニット230を備えることが可能である。この場合、少なくともアンテナ部235を、伝送領域250内、または異なる伝送領域内に配置可能である。この場合異なる伝送領域は、回路キャリア210の1つの主表面から、間隔をあけることが可能である。
【0036】
更に、
図2に示された本発明の実施形態に従い、伝送領域250と回路キャリア210の間隔dは、部品220の回路キャリア210の第1主表面に対する最大の高さよりも大きいと認識可能である。他の実施形態に従い、間隔dは、少なくとも、最も高背の部品220の高さに対応することが可能である。更に
図2に示された本発明の実施形態に従い、伝送領域250は、電気部品220よりも、ハウジング240の外側表面に近接して配置されている。
【0037】
データ伝送ユニット230は、任意に、電気回路200の外側から起動信号を受信するよう構成されている。更にデータ伝送ユニット230は、この場合、起動信号の予め定義された信号経過に反応し、電気回路200の起動プロセスに作用するか、または起動プロセスを始動させるよう、構成されている。実施形態に従い、電気回路200は、無線によりエネルギーを供給可能であるよう実現されている。代替的に電気回路200は、電気回路のエネルギー供給部への電気接続部を備えることが可能である。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に従う電気回路200の概略的な断面図を示す。この場合、
図3の電気回路200は、以下を除いて、
図2の電気回路に類似または対応する。つまり
図3の電気回路200においては、単に例示的に5つの電気部品220が示されているが、より多くの個数の電気部品220を備え、回路キャリア210の両側に電気部品220が実装されており、データ伝送ユニット230は無線チップとして実現され、アンテナ部および回路部は伝送領域に配置されている。および電気回路200は更に、例示的に2つの電気接続部315、シールド素子360または遮蔽素子、およびデータ伝送ユニット230または無線チップと接触するための電気接続手段370を備える。
【0039】
電気接続部315は、回路キャリア210から、ハウジング240の外側へと延在する。電気接続部315は、電気回路200を外部と電気的に接触させるために装備されている。
【0040】
図3に示された本発明の実施形態に従い、データ伝送ユニット230は、伝送領域250内に配置されている。従ってこの場合、データ伝送ユニット230は、回路キャリア210から間隔dだけ離れている。この場合、データ伝送ユニット230のアンテナ部は、データ伝送ユニット230の回路部と一体化させて実現されている。
【0041】
図3に示された本発明の実施形態に従い、電気回路200はシールド素子360を備える。電気回路200は、任意に、複数のシールド素子360を備えることも可能である。シールド素子360は、データ伝送ユニット230を電気部品220から電磁的にシールドするよう構成されている。シールド素子360は、回路キャリア210の第1主表面に配置されている。特にシールド素子360は、単に例示的に3つの接点で、回路キャリア210に取り付けられている。この場合、
図3に示された本発明の実施形態に従うシールド素子360は、E字型の断面プロフィールを備える。この断面プロフィールにより、シールド素子360は、例えば中央において、回路キャリア210に対して支承される。更に中間壁を構成可能であり、この中間壁を介して、2つの、互いにシールドされた領域を構成可能である。各電気部品220は、これらの領域内に配置可能である。
【0042】
厳密に表現すると、シールド素子360は、回路キャリア210の第1主表面の電気部品220に架り、回路キャリアに配置されている。
【0043】
伝送領域250は、回路キャリア210と反対を向いた表面、またはシールド素子360の側面に配置されている。従ってデータ伝送ユニット230は、回路キャリア210と反対を向いた表面、またはシールド素子360の側面に配置されている。この場合、データ伝送ユニット230の位置は伝送領域250の位置に対応する。データ伝送ユニット230は、電気接続手段370により、回路キャリア210と導電的に接続されている。この場合電気接続手段370は、データ伝送ユニット230から、シールド素子360を貫通して、回路キャリア210へと延在する。
【0044】
実施形態に従いシールド素子360は、熱的に、少なくとも1つの電気部品220、および追加的または代替的に回路キャリア210と連結されている。そのためシールド素子360は、例えば電気部品220の表面と直に接触可能であり、または熱伝導率が良好な材料を介して電気部品220と接続可能である。この場合シールド素子360は、ヒートシンクまたは放熱ユニットとして、電気回路200において機能する。
【0045】
従って電気回路200または制御装置は、例えば注入材でオーバーモールドされ、注入材はハウジング240を表す。注入材は、従来のエポキシ樹脂、例えばデュロプラスト合成樹脂(熱硬化性樹脂)または熱可塑性樹脂とすることが可能である。この場合電気接触部315または接点は、電気回路200の周囲にある媒体に対して、媒体不浸透に実現されている。従って、油または他の媒体が、例えば金属接触部315を介して、回路キャリア210にまで侵入することは不可能である。例えば、2部品のオーバーモールドの使用も考慮可能である。電子部品または電気部品220、およびシールド素子360は、データ伝送ユニット230と共に回路キャリア210上に実装され、および続いて注入材またはハウジング240の材料により、オーバーモールドされるか、または封入されている。この場合注入材は、ハウジング240を表すか、またはハウジング240を構成する。
【0046】
シールド素子360またはシールド手段により、データ伝送ユニット230が、注入材の外側表面に、および従ってハウジング240に、近接することが可能になる。シールド素子360は、例えば金属プレートとして実現されているか、または金属から形成されている。データ伝送ユニット230を、シールド素子360に施した孔を介して、接続手段370により、回路キャリア210と導電的に接続することも考慮可能である。シールド素子360は、データ伝送ユニット230の制御に起因して発生する可能性のある、回路キャリア210上の電気部品220に対する干渉を防止するよう構成されている。シールド素子360は、例えばプラグ接続、ねじ接続、スナップ接続等により、回路キャリア210と接続可能であるか、または接続されている。
【0047】
回路キャリア210の上部のシールド素子360の高さは、部品220の高さに対して調節可能であるか、またはデータ伝送ユニット230の無線接続を最適化する観点で調節可能である。この場合、伝送領域250と注入材の外側表面の間で、ハウジング240の厚みを低減することが可能である。シールド素子360を使用して、電気回路200内部の電磁両立性を改善可能である。従って、データ伝送ユニット230において放射が集中するアンテナ部の、広い範囲をシールドすることを回避できる。伝送領域250においてハウジング240が厚いと、無線電波をシールドするか、または少なくとも弱めるおそれがあるため、ハウジングの厚みが伝送領域において低減されることにより、データ伝送ユニット230の伝送特性をも改良可能である。
【0048】
シールド素子360は、任意に、電気部品220からの熱を放出する冷却プレートとして機能する。実施形態に従いデータ伝送ユニット230は、注入プロセスからの保護のために、追加ハウジングに収容されることが可能である。追加的または代替的に、電気回路200は多数のシールド素子360を備えることも可能であり、各シールド素子360にはデータ伝送ユニット230を配置可能であり、および/または回路キャリア210の各主表面に、少なくとも1つのシールド素子360を配置可能である。
【0049】
図4は、本発明の実施形態に従う電気回路200の概略的な断面図を示す。この場合、
図4の電気回路200は、以下を除いて、
図3の電気回路に対応する。つまり
図4の電気回路200においては、データ伝送ユニット230の回路部233が、回路キャリア210の第1主表面に配置されており、データ伝送ユニット230のアンテナ部235が、伝送領域250において、シールド素子360の回路キャリア210の反対を向いた側面に配置され、およびアンテナ部235が、追加ハウジング480内に収容されている。
【0050】
図5は、本発明の実施形態に従う電気回路200の概略的な断面図を示す。この場合、
図5の電気回路200は、以下を除いて、
図4の電気回路に対応する。つまり
図5の電気回路200においては、シールド素子360が、回路キャリア210の第1主表面の上部の、部分にのみ亘って延在する。この場合この部分は、
図4のシールド素子360が、回路キャリア210の第1主表面に亘って延在する延在部分よりも、小さい。従って、
図5に示された本発明の実施形態に従うシールド素子360は、部分的に、回路キャリア210の主表面に亘って延在する。電気部品220には、部分的にのみシールド素子360が架けられている。
【0051】
図4および
図5を参照すると、これらの場合に電気回路200が、長いアンテナを有するデータ伝送ユニット230を備えることが認められる。アンテナ部235は伝送領域に配置され、および回路部233またはデータ伝送ユニット230のチップ部は、回路キャリア210に配置されている。
【0052】
図6は、本発明の実施形態に従う電気回路200の概略的な断面図を示す。この場合、
図6の電気回路200は、以下を除いて、
図2の電気回路に類似または対応する。つまり
図6の電気回路200においては、ハウジングが、ハウジングシェル640およびハウジングカバー645から組立てられている。ハウジングカバー645内に配置されている伝送領域250には、この場合に回路部およびアンテナ部を一体化した無線チップとして実現されたデータ伝送ユニット230が配置され、および電気接続手段370により、回路キャリア210と導電的に接続されている。
【0053】
図6に示された本発明の実施形態に従い、ハウジングシェル640は金属材料から形成され、およびハウジングカバー645は合成樹脂材料から形成されている。この場合、ハウジングシェル640およびハウジングカバー645は、電気回路200のハウジングを表す。組立てられた状態のハウジングシェル640およびハウジングカバー645の内部には、回路キャリア210が配置されている。回路キャリア210において、例示的に5つの電気部品220が、回路キャリア210の第1主表面に実装されている。ハウジングカバー645は、回路キャリア210の第1主表面に架り、および従って電気部品220に架る。データ伝送ユニット230は、ハウジングカバー645内に一体化された状態で配置されている。この場合データ伝送ユニット230は、電気接続手段370により、回路キャリア210と導電的に接続されている。この場合電気接続手段370は、データ伝送ユニット230から、回路キャリア210の側を向いたハウジングカバー645の壁面を経て延在し、その壁面から、ハウジングカバー645と回路キャリア210の間の中間スペースを経て、そして回路キャリア210の接点にまで延在する。
【0054】
違う表現をすると、電気回路200は、合成樹脂材料製カバー、および金属製底部または金属製シェルを、ハウジングとして備える。ハウジングが、合成樹脂材料製カバー、および合成樹脂材料製底部または合成樹脂材料製シェルを備えることも、考慮可能である。データ伝送ユニット230は、データ伝送ユニット230に取り付けられた接触手段370または接触脚部と共に、合成樹脂材料製カバーまたはハウジングカバー645内へ射出成型されている。従って、ハウジングカバー645をハウジングシェル640に取り付ける際、または実装する際に、データ伝送ユニット230の接触手段370は、例えば取り付けまたは実装用に装備された、回路キャリア210の開口部または接触開口部内へ圧入され、それによって導電的な接続を作り出す。
【0055】
図6には示されていないが、回路キャリア210は、他の実施形態に従い、例えば両面に部品220を実装することも可能である。実施形態に従い、ハウジングシェル640およびハウジングカバー645で表されるハウジングの内部スペースは、少なくとも部分的に、注入材または成形材で充填されることが可能である。追加的または代替的に、データ伝送ユニット230のアンテナ部のみが、任意に、ハウジングカバー645内の伝送領域250に配置されることも可能である。データ伝送ユニット230の回路部は、回路キャリア210に配置されることが可能である。
【0056】
図7は、本発明の実施形態に従う方法700のフロー図を示す。方法700は、電気回路の製造方法である。方法700を実行することにより、
図2乃至
図6のいずれか1つの電気回路のような電気回路を製造可能である。
【0057】
そのために方法700は、回路キャリアおよび少なくとも1つのデータ伝送ユニットを準備するステップ710であって、回路キャリアには少なくとも1つの電気部品が配置され、およびデータ伝送ユニットはアンテナ部を備えるステップを含む。この場合データ伝送ユニットは、データを無線伝送するよう構成されている。
【0058】
準備するステップ710に続いて実行可能な、収容するステップ720において、少なくとも1つの電気部品または電子部品、少なくとも1つのデータ伝送ユニット、および回路キャリアの少なくとも1つの部分を、ハウジング内に収容する。この場合、収容するステップ720は、少なくとも1つのデータ伝送ユニットの少なくともアンテナ部が、ハウジング内部の電気回路の伝送領域内に配置されており、伝送領域が、回路キャリアから定義可能な間隔だけ離れるよう、実行する。
【0059】
上述及び図示の実施形態は、単に例示的に選択されたものである。異なる実施形態を、全体としてまたは個々の特徴に関して組み合わせ可能である。実施形態はまた,更なる実施形態の特徴により補完可能である。
【0060】
実施形態は第1の特徴及び第2の特徴の間を「及び/又は」として結合した特徴を含むため、1つの実施形態に従う実施形態は第1の特徴と第2の特徴の双方を有し、更なる実施形態に従う実施形態は第1の特徴又は第2の特徴の何れか一方のみを有すると解釈可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 制御装置
110 回路基板
112 電子部品
114 無線チップ
116 接続部
120 注入材
200 電気回路
210 回路キャリア
220 電気部品
230 データ伝送ユニット
233 回路部
235 アンテナ部
240 ハウジング
250 伝送領域
d 間隔
315 電気接続部
360 シールド素子
370 電気接続手段
480 追加ハウジング
640 ハウジングシェル
645 ハウジングカバー
700 電気回路の製造方法
710 準備するステップ
720 収容するステップ