(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】計時装置、計時システム、及び計時方法
(51)【国際特許分類】
G04G 5/00 20130101AFI20221117BHJP
G06F 1/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G04G5/00 J
G06F1/14 511
(21)【出願番号】P 2018103469
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムクリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】今村 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】細貝 則充
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-003118(JP,A)
【文献】特開2005-257487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 5/00
G06F 1/14
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計時装置と、前記複数の計時装置のうちいずれか1つから計時データの修正値を示す修正時刻情報を受信し、受信した前記修正時刻情報に基づいて自装置の前記計時データを修正する子計時装置とを備える計時システムに含まれる前記複数の計時装置の1つであって、
複数の前記修正時刻情報を1以上の前記子計時装置に所定の送信期間内において
一定周期の送信間隔で繰り返し送信する送信部と、
前記送信期間内において前記送信部が
前記送信間隔で繰り返し送信する
前記複数の前記修正時刻情報の
前記送信間隔を変更する変更部と
を備える計時装置。
【請求項2】
前記変更部は前記送信間隔をランダムに変更する請求項1に記載の計時装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記送信期間のうち、第1送信期間内において前記送信部が順次送信する前記修正時刻情報の送信間隔と、前記第1送信期間とはタイミングが異なる第2送信期間内において前記送信部が順次送信する前記修正時刻情報の送信間隔とを変更する請求項2に記載の計時装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複数の計時装置と、
前記子計時装置と
を備える計時システム。
【請求項5】
複数の計時装置と、前記複数の計時装置のうちいずれか1つから計時データの修正値を示す修正時刻情報を受信し、受信した前記修正時刻情報に基づいて自装置の前記計時データを修正する子計時装置とを備える計時システムに含まれる前記複数の計時装置の1つによって行われる計時方法であって、
複数の前記修正時刻情報を1以上の前記子計時装置に所定の送信期間内において
一定周期の送信間隔で繰り返し送信する送信過程と、
前記送信期間内において前記送信過程において
前記送信間隔で繰り返し送信される
前記複数の前記修正時刻情報の
前記送信間隔を変更する変更過程と
を有する計時方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時装置、計時システム、及び計時方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の計時装置を配置し、親機である計時装置から子機である計時装置へと時刻情報を送信し、子機である計時装置の時刻修正を行なうことが可能な計時システムが知られている。そのような計時システムでは、無線通信を用いてネットワークを構築することが行われる。
【0003】
無線通信を用いてネットワークを構築する場合、Wi-Fi(登録商標)などの様に互いのIPアドレスを識別する方法や、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いた双方向通信によってペアリングする方法が用いられる。そのような方法では、制御が複雑になると共にユーザの手間がかかっていた。
【0004】
複数の計時装置を階層化して、上位階層の計時装置から一段下位階層の計時装置へ順次リレー式に時刻情報を送信して、各階層の計時装置の時刻修正を行なうことが可能な計時システムが知られている。このような計時システムでは、一方向通信により、時刻情報を上位階層の計時装置である親機から下位階層の計時装置である子機に伝えるものである。この一方向通信には、例えば、近距離無線通信が用いられる。子機は、送信データに時刻情報とともに含まれる送信タイミング情報を参照して、親機から以降において送信データを受信するための自動受信タイミングを決定する。
【0005】
このような計時システムでは、計時装置同士をペアリングする双方向通信に比べて容易にネットワークの構築が可能である。例えば、計時装置同士の間に適切なリンク関係を自動的に構築可能な計時装置が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の計時装置を用いた計時システムでは、親機、子機ともに電源が投入され初期受信に成功すると、以降は自動的に送信を開始する。そのためこの計時システムでは、計時装置の設置が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の計時装置を用いた計時システムでは、各計時装置は、時刻修正のための時刻情報を送信する送信動作において間欠的に、例えば10秒毎にアドバタイジングを行う。このような計時システムでは、親機には複数の子機が一方向通信によりつながり、更に各々の子機には一段下位階層の複数の子機がつながる。そのため、このような計時システムでは、設置時には同時に多くのアドバタイジング信号が送信されるため、送信されたアドバタイジング信号が互いに混信する可能性が高いという課題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、時刻修正のための信号の混信を軽減できる計時装置、計時システム、及び計時方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、複数の計時装置と、前記複数の計時装置のうちいずれか1つから計時データの修正値を示す修正時刻情報を受信し、受信した前記修正時刻情報に基づいて自装置の前記計時データを修正する子計時装置とを備える計時システムに含まれる前記複数の計時装置の1つであって、複数の前記修正時刻情報を1以上の前記子計時装置に所定の送信期間内において一定周期の送信間隔で繰り返し送信する送信部と、前記送信期間内において前記送信部が前記送信間隔で繰り返し送信する前記複数の前記修正時刻情報の前記送信間隔を変更する変更部とを備える計時装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の計時装置において、前記変更部は前記送信間隔をランダムに変更する。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の計時装置において、前記変更部は、前記送信期間のうち、第1送信期間内において前記送信部が順次送信する前記修正時刻情報の送信間隔と、前記第1送信期間とはタイミングが異なる第2送信期間内において前記送信部が順次送信する前記修正時刻情報の送信間隔とを変更する。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の複数の計時装置と、前記子計時装置とを備える計時システムである。
【0013】
また、本発明の一態様は、複数の計時装置と、前記複数の計時装置のうちいずれか1つから計時データの修正値を示す修正時刻情報を受信し、受信した前記修正時刻情報に基づいて自装置の前記計時データを修正する子計時装置とを備える計時システムに含まれる前記複数の計時装置の1つによって行われる計時方法であって、複数の前記修正時刻情報を1以上の前記子計時装置に所定の送信期間内において一定周期の送信間隔で繰り返し送信する送信過程と、前記送信期間内において前記送信過程において前記送信間隔で繰り返し送信される前記複数の前記修正時刻情報の前記送信間隔を変更する変更過程とを有する計時方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、時刻修正のための信号の混信を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る計時システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る修正時刻情報及び通信チャネルの一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る1回の送信動作における複数回のアドバタイジングの一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る所定の送信間隔毎の送信動作の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るランダムに設定された送信間隔の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る計時装置の構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る表示装置の表示パネルの表示の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る時刻情報受信のための前処理の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る親機モードにおける長波受信処理の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る親機モードにおける近距離通信処理の一例を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る子機モードにおける近距離受信処理の一例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る通常時の計時処理の一例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る子機の通常時の時刻修正のための処理の一例を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る修正時刻信号の送信動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る計時システムSの構成の一例を示す図である。計時システムSでは、複数の計時装置C1~C6を備え、それら計時装置C1~C6がツリー型のネットワークを構成している。
以下では、計時装置C1~C6のうちの1つを計時装置Cと呼ぶことがある。
【0017】
このネットワークにはレイヤにより示される階層があり、最上位レイヤの計時装置Cが時刻情報を取得して、上位レイヤの計時装置Cから下位レイヤの計時装置Cへと時刻情報が順次送信される。ここで最上位レイヤの計時装置Cが取得する時刻情報とは、例えば、標準電波に含まれる基準となる時刻を示す情報である。各レイヤの計時装置Cは、上位レイヤの計時装置Cから時刻情報を受信すると、自装置の時刻を修正する。これにより、計時システムSを構成する計時装置C1~C6は正確な時刻を維持する。
【0018】
計時システムSに備えられる計時装置C1~C6とは、例えば、オフィスビルや工場などに設置される電波時計である。電波時計では、設置場所によっては、標準電波を受信できない場合がある。
そのため計時システムSでは、計時装置C1~C6は、標準電波を受信する親機と、親機から修正時刻信号を受信する子機とに分けられる。ここで修正時刻信号とは、時刻修正のための時刻情報である修正時刻情報Mを含む信号である。親機となる計時装置C1は、標準電波の受信しやすい窓際などに設置される。一方、子機となる計時装置C2及び計時装置C3は、建物の奥側に設定され、親機である計時装置C1から修正時刻信号を受信する。
【0019】
計時システムSでは、計時装置Cは、上位レイヤの計時装置Cから修正時刻信号を受信すると、以降も所定の受信タイミングにおいて、この上位レイヤの計時装置Cから修正時刻信号を受信する。
【0020】
計時システムSでは、送信時は近距離無線通信における一方向通信を用いている。この近距離無線通信とは、一例としてビーエルイー(Bluetooth(登録商標) Low Energy:BLE)である。送信データにはネットワークの階層を示すレイヤ情報が含まれる。計時装置C2~C6は、初期受信時に受信したレイヤの値に1を加えて自装置のレイヤとする。計時装置C2~C6は、以降、自装置のレイヤの値より1小さいレイヤの値を有する送信データのみを取得し、ツリー型のネットワークが構築される。
【0021】
計時システムSでは、一方向通信を用いることにより近距離通信におけるペアリングや、一般的なネットワークにおけるIPアドレス設定などの手間を省き、それらに比べて容易に親子時計システムを実現できる。
【0022】
親機である計時装置C1は、長波受信によりJJY(登録商標)等の標準電波または衛星電波(UTC)を受信することにより、時刻情報を取得する。または、親機である計時装置C1は、近距離無線通信によりスマートフォンから時刻情報を取得する。計時装置C1がいずれの情報源から時刻情報を取得するかは、ユーザにより設定される。また、計時システムSにおいて計時装置Cが親機と子機とのいずれとして機能するかもユーザにより設定される。
【0023】
計時装置C1は、取得した時刻情報に基づいて、自装置の計時データを修正する。計時装置C1は、修正した計時データに基づき修正時刻情報Mを生成する。計時装置C1は、生成した修正時刻情報Mを含む修正時刻信号を、下位レイヤの計時装置C2及び計時装置C3に送信チャネル0により送信する。
【0024】
ここで
図2を参照し、修正時刻情報M及び通信チャネルについて説明する。
図2は、本実施形態に係る修正時刻情報M及び通信チャネルの一例を示す図である。修正時刻情報Mは、レイヤ情報M1、送信チャネル情報M2、時刻情報M3、局情報M4、及びカレンダー情報M5を含む。
【0025】
レイヤ情報M1は、修正時刻情報Mを送信した計時装置Cが位置するレイヤを特定するための情報である。レイヤ情報M1は、例えば、0~99の範囲をとる。
【0026】
送信チャネル情報M2は、修正時刻情報Mが送信される通信チャネルを特定する情報である。通信チャネルが、例えば、60チャネル用意されている場合には、送信チャネル情報M2には、例えば、0~59の値のうち通信チャネルに対応するものが設定される。
【0027】
時刻情報M3は、年・月・日・時・分・秒・曜日等の時刻を示す情報である。
局情報M4は、時刻情報M3がどの情報源に基づいて修正されたのかを示す情報である。局情報M4は、例えば、UTC、JJY(40kHz;東・福島送信所)、JJY(60kHz,西・九州送信所)、スマートフォン、及び手動調整時の別を示す情報である。
カレンダー情報M5は、カレンダーを示す情報である。
【0028】
図1に戻り、計時システムSの説明を続ける。
計時システムSでは、混信を防ぐために10秒毎のタイムスロットTSを設けてレイヤ、及び送信CHから修正時刻情報Mの送信タイミングを決定し、複数の送信装置間において送信タイミングが重なることを防いでいる。ここで送信CHは、周波数ではなく時分割したタイムスロットを意味し、番号0~59からランダムに設定される。送信タイミングの一例は、式(1)により表される。
【0029】
【0030】
周波数ホッピングにより混信を防ぐBLEの双方向通信と異なり、BLEの一方向通信では、送信装置であるブロードキャスターが送信データであるアドバタイズメントパケットを送信する際は3つの周波数を順次切替えて送信するため、タイミングが重なると混信する可能性が高くなる。計時システムSでは、式(1)により送信タイミングが重なることを防いでいる。
【0031】
ここで
図3~
図5を参照し、計時装置Cの送信動作について説明する。
計時システムSでは、親機である計時装置C、子機である計時装置Cともに初期受信に成功すると自動的に送信を開始する。計時装置Cは、送信時においてBLEのブロードキャスターとしてアドバタイジングを行う。アドバタイジングでは計時装置Cは、
図3のように、チャネルCH37、チャネルCH38、及びチャネルCH39の3つのアドバタイジングチャネルを順次切替えて周波数ホッピングを行う。つまり、1回のアドバタイジングにおいて、3つの周波数を用いてアドバタイジングパケットの送信が行われる。
計時装置Cは、修正時刻情報Mをアドバタイジングパケットとして送信する。アドバタイジングとは、修正時刻情報Mを含む修正時刻信号を送信することである。
【0032】
図3は、1回の送信動作における複数回のアドバタイジングの一例を示す図である。1回の送信動作において時刻データを送信するにはアドバタイジングは1回でよい。ただし、計時システムSでは、受信成功率を上げるために、1回の送信動作において例えば3回アドバタイジングを行う。ここでアドバタイズメントパケットを送信する送信間隔AIはアドバタイジングインターバルと呼ばれる。
図3に示す例では、1回目のアドバタイジングと2回目のアドバタイジングとの間の送信間隔AI1、及び2回目のアドバタイジングと3回目のアドバタイジングとの間の送信間隔AI2が示されている。
【0033】
計時装置Cは、リセット後の自動送信では
図4に示すように10秒毎に3回の送信動作(送信動作TX1~TX3)を行う。
図4は、所定の送信間隔AI毎の送信動作の一例を示す図である。計時装置Cは、各送信動作を行う前に送信間隔AIを式(2)によってランダムに設定する。
【0034】
【0035】
ここで整数nは、一例として、0~31の整数のなかから毎回ランダムに選択される。複数の計時装置Cが初期受信後に送信する際に各々整数nの値が0、1、31であった場合のタイミングを
図5に示す。
図5は、ランダムに設定された送信間隔AIの一例を示す図である。
図5に示すように、計時システムSでは、2回目以降のアドバタイジングにおいては送信タイミングが異なるため混信を回避可能となる。
【0036】
レイヤの値が1の計時装置C2は、レイヤの値が0の計時装置C1から修正時刻情報Mを受信する。計時装置C2は、修正時刻情報Mに含まれる時刻情報M3に基づいて自装置の計時データを修正する。計時装置C2は、修正した計時データに基づき修正時刻情報Mを生成する。計時装置C2は、生成した修正時刻情報Mを、レイヤの値が2の計時装置C4に送信する。ここで計時装置C2は、上位レイヤの計時装置C1が用いている送信チャネル0とは異なる送信チャネル3を送信に用いる。
【0037】
以下、同様にして、各レイヤの計時装置Cは、レイヤの値が1だけ小さいレイヤの計時装置Cから修正時刻情報Mを受信し、受信した修正時刻情報Mに含まれる時刻情報M3に基づいて自装置の計時データを修正する。計時装置Cは、修正した計時データに基づき修正時刻情報Mを生成する。計時装置Cは、レイヤの値が1だけ小さい上位レイヤの計時装置Cが用いている送信チャネルとは異なる送信チャネルを用いて、生成した修正時刻情報Mを、レイヤの値が1だけ大きい下位レイヤの計時装置Cに送信する。
したがって、計時システムSでは、上位レイヤの計時装置Cと、上位レイヤの計時装置Cから修正時刻情報Mを受信し、受信した修正時刻情報Mに基づいて自装置の計時データを修正する子計時装置とを備える。
【0038】
なお、計時システムSには、計時装置C以外に、修正時刻情報Mを送信する機能を有しない計時装置も必要に応じて配置されてよい。
【0039】
次に、
図6を参照し、計時装置Cの構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る計時装置Cの構成の一例を示す図である。計時装置Cは、長波受信回路1と、電源回路2と、コネクタ3と、主装置4と、表示装置5とを備える。
【0040】
長波受信回路1は、時刻情報を含む標準電波JJYまたは衛星電波(UTC)を受信・復調し、ディジタル受信情報を、コネクタ3を介して主装置4に出力する。
電源回路2は、AC(交流)アダプタ接続プラグ21と、バッテリ22とを備え、ACアダプタまたはバッテリ22からの直流電力を、コネクタ3を介して主装置4に供給する。
【0041】
表示装置5は、セグメント構成の表示パネルP(例えば、液晶表示パネル)を備え、時刻情報、電波送受信状況、等の情報を表示する。
【0042】
ここで
図7を参照し、表示装置5の表示パネルPの表示について説明する。
図7は、本実施形態に係る表示装置5の表示パネルPの表示の一例を示す図である。表示パネルPは、午前表示セグメントP1、午後表示セグメントP2、TLマークセグメントP3、時間表示セグメントP4、区切りセグメントP5、分表示セグメントP6、秒表示セグメントP7、親機子機モードマークセグメントP8、情報源マークセグメントP9、BLEマークセグメントP10、アンテナマークセグメントP11、受信レベルセグメントP12、バッテリマークセグメントP13、月表示セグメントP14、日表示セグメントP15、曜日表示セグメントP16を備える。
【0043】
午前表示セグメントP1、及び午後表示セグメントP2は、時刻が12時間表示の場合に、午前と午後の別を表示する。
TLマークセグメントP3は、上位レイヤの計時装置Cから修正時刻信号を受信できていることなどを表示するための表示セグメントである。また、このTLマークセグメントP3の表示態様の切り替えにより、受信中であること、送信中であることなどを表示する。
時間表示セグメントP4と、区切りセグメントP5と、分表示セグメントP6と、秒表示セグメントP7とは、現在時刻を「時:分秒」の形式において表示する。
【0044】
親機子機モードマークセグメントP8は、計時装置Cが親機モードに設定されているか子機モードに設定されているかを表示する。計時装置Cが親機モードに設定されている場合、親機子機モードマークセグメントP8の「P」の文字が点灯する。一方、計時装置Cが子機モードに設定されている場合、親機子機モードマークセグメントP8の「C」の文字が点灯する。
【0045】
情報源マークセグメントP9は、標準電波信号を所定時間以内に受信しているか否か、受信しているとすれば、情報源が西局、東局、及びUTCのいずれであるかを表示する。例えば、計時装置Cが24時間以内に、JJY60kHzを受信して時刻修正に使用している場合には、Wマークセグメントが点灯する。計時装置Cが24時間以内に、JJY40kHzを受信して時刻修正に使用している場合には、Eマークセグメントが点灯する。計時装置Cが24時間以内に、UTCを受信して時刻修正に使用している場合には、Uマークセグメントが点灯する。
【0046】
BLEマークセグメントP10は、スマートフォンからBLEなどの近距離無線通信により時刻情報を受信しているか否かを表示する。
アンテナマークセグメントP11と受信レベルセグメントP12とは、受信電波の強度
を表示するためのセグメントである。
バッテリマークセグメントP13は、バッテリ22の電圧状態を表示するためのセグメントである。
月表示セグメントP14と、日表示セグメントP15と、曜日表示セグメントP16と
は、月日と曜日とを表示するためのセグメントである。
【0047】
図6に戻って、計時装置Cの構成の説明を続ける。
主装置4は、電圧デテクタ6と、レギュレータ7と、スイッチ群8と、RF(Radio Frequency;高周波)回路9と、水晶振動子10と、制御部11とを備える。
【0048】
電圧デテクタ6は、電源回路2の出力電圧を検出し、検出値を制御部11に供給する。
レギュレータ7は、電源回路2から供給される電圧を安定化して、主装置4内に供給する。
【0049】
スイッチ群8は、RESETスイッチ、RECVスイッチ、及びMODEスイッチ、などの複数のスイッチを備える。スイッチ群8は、ユーザの操作によるスイッチのオン/オフ、オン時間の長さなどに応じて、様々な情報や指示を制御部11に供給する。
【0050】
RESETスイッチが操作されると、制御部11は初期状態となる。
RECVスイッチが操作されると、所定時間、受信信号を受信する手動受信処理が実行される。
MODEスイッチが操作されると、長波を受信する長波受信親機モードと、スマートフォンからBLEによる受信により時刻情報を取得するBLE親機モードと、子機モードとの3つのモードが切り替わる。なお、親機モードと子機モードとの2つのモードを切り替えて、親機モードにおいて長波受信とBLE受信とのいずれを用いて時刻情報を取得するかは、自動で選択されてもよい。
【0051】
RF回路9は、制御部11の制御下に、上位レイヤの計時装置Cが送信する修正時刻信号を受信信号として受信する。RF回路9は、受信した修正時刻信号を復調して制御部11に出力する。また、RF回路9は、受信チャネルとは異なる送信チャネルを使用して修正時刻情報Mを下位レイヤの計時装置Cに送信する。
水晶振動子10は、所定の発振周波数で発振し、発振信号を制御部11に供給する。
【0052】
制御部11は、計時装置Cの動作全体を制御する。制御部11は、水晶振動子10の発振信号に基づく計時動作、送信間隔AI(アドバタイジングインターバル)の変更、上位レイヤの計時装置Cから受信した修正時刻信号に基づく時刻データの修正動作、修正した時刻データに基づく修正時刻情報MのRF回路9を介した送信、表示装置5への種々の情報の表示制御、スイッチ群8の操作入力に応答する処理などを行う。
【0053】
ここで
図8を参照し、制御部11の構成について説明する。
図8は、本実施形態に係る制御部11の構成の一例を示す図である。制御部11は、プロセッサ20と、計時データ取得部30と、エンコーダ40と、デコーダ50と、キー入力部60と、電圧データ入力部70と、レジスタ群80とを備える。
【0054】
プロセッサ20は、修正部201と、計時部202と、親機子機モード制御部203と、通信制御部204と、間隔設定部205と、表示制御部206とを備える。プロセッサ20は、修正部201と、計時部202と、親機子機モード制御部203と、通信制御部204と、間隔設定部205と、表示制御部206とにそれぞれ処理を行わせる。
プロセッサ20は、CPU、RAM、及びROMなどにより実現される。
【0055】
修正部201は、長波受信回路1またはRF回路9が受信した受信信号に含まれる標準時刻情報に基づいて、計時データを修正する。また、修正部201は、RF回路9が受信した受信信号である修正時刻信号に含まれる修正時刻情報Mに基づいて、計時データを修正する。
計時部202は、修正部201が修正した計時データに基づき計時を行う。
【0056】
親機子機モード制御部203は、キー入力部60が供給する親機モードと子機モードとを切り替える信号に基づいて、親機子機モードレジスタ801に記憶される親機子機モード設定情報を変更する。
【0057】
通信制御部204は、RF回路9による受信信号の受信、及びRF回路9による修正時刻信号の送信を制御する。ここで通信制御部204は、RF回路9を介して、上位レイヤの計時装置Cが送信する修正時刻信号を受信信号として受信する。
間隔設定部205は、送信間隔AI(アドバタイジングインターバル)を変更する。
表示制御部206は、表示装置5への種々の情報の表示制御を行う。
【0058】
計時データ取得部30は、水晶振動子10からの発振信号をカウントして、一定時間毎に計時データを取得し、プロセッサ20に計時割込信号を出力する。ここで一定時間とは、例えば、100msである。
【0059】
エンコーダ40は、プロセッサ20から供給された送信対象のデータ、例えば、修正時刻情報Mをエンコードしてベースバンド信号を生成し、RF回路9に供給する。
デコーダ50は、長波受信回路1及びRF回路9が受信した受信信号をデコードして、例えば、標準時刻情報や修正時刻情報Mのベースバンド信号を復調し、プロセッサ20に供給する。
【0060】
キー入力部60は、スイッチ群8の操作に従って入力されるオン・オフ信号をデコードして、プロセッサ20に供給する。
電圧データ入力部70は、電圧デテクタ6が検出した電圧値をプロセッサ20に出力する。
【0061】
レジスタ群80は、親機子機モードレジスタ801と、計時データレジスタ802と、受信チャネルレジスタ803と、送信チャネルレジスタ804と、レイヤレジスタ805と、連続受信失敗回数レジスタ806と、送信間隔レジスタ807とを備える。
【0062】
親機子機モードレジスタ801は、親機子機モード設定情報を記憶する。親機子機モード設定情報は、計時装置Cが長波受信親機モードと、BLE親機モードと、子機モードとのいずれに設定されているかを示す。
計時データレジスタ802は、計時装置Cが計時している現在時刻を示す情報を計時データとして記憶する。ここで現在時刻を示す情報とは、月・日・時・分・秒・曜日を示す情報である。
【0063】
受信チャネルレジスタ803は、上位レイヤの計時装置Cから修正時刻情報Mを受信する通信チャネルを指定する受信チャネル指定データ(例えば、前述の0~59のいずれかの値)及び受信したデータ等を記憶する。なお、上位レイヤの計時装置Cが存在しないレイヤの値が0の計時装置C1の場合には、標準時刻などの時刻の種類や、時刻情報を取得した、情報源を示す情報を記憶する。ここで時刻情報を取得した、情報源を示す情報とは、標準電波の種類(UTC、JJY東送信局、JJY西送信局等)やスマートフォンを示す情報である。
【0064】
送信チャネルレジスタ804は、下位レイヤの計時装置Cに修正時刻情報Mを送信する送信チャネルを指定する送信チャネル指定データ(例えば、前述の0~59のいずれかの値)を記憶する。送信チャネルレジスタ804に記憶されているチャネル指定データは、修正時刻情報M内の送信チャネル情報M2として送信される。
【0065】
レイヤレジスタ805は、計時装置Cが、複数のレイヤのどのレイヤに位置するかを示すレイヤデータ(例えば、前述の0~99のいずれかの値)を記憶する。
【0066】
連続受信失敗回数レジスタ806は、上位レイヤの計時装置Cからの修正時刻情報Mを連続して受信できなかった回数である連続受信失敗回数を記憶する。なお、上位レイヤの計時装置Cが存在しないレイヤの値が0の計時装置C1の場合には、標準電波信号を連続して受信できなかった回数を記憶する。
送信間隔レジスタ807は、計時装置Cが1回の送信動作においてアドバタイズメントパケットを送信する送信間隔AIを記憶する。
【0067】
(配置)
ユーザは、計時システムSを構成する複数の計時装置Cを、RF回路9による通信が可能な距離範囲において配置し、電源を投入する。
【0068】
(初期動作)
計時装置Cは、電源が投入されると他の初期化動作と共に時刻情報を受信するための前処理を開始する。この前処理は、スイッチ群8のRESETスイッチが操作され制御部11が初期状態となった場合にも開始される。
【0069】
図9は、本実施形態に係る時刻情報受信のための前処理の一例を示す図である。
ステップS100:親機子機モード制御部203は、計時装置Cが親機モードに設定されているか否かを判定する。ここで親機モードは、長波受信親機モードと、BLE親機モードとのいずれかである。
【0070】
親機子機モード制御部203は、親機子機モードレジスタ801から、親機子機モード設定情報を取得する。親機子機モード制御部203が、取得した親機子機モード設定情報が、長波受信親機モードと、BLE親機モードとのいずれかを示すと判定する場合(ステップS100;YES)、プロセッサ20はステップS110の処理を実行する。
【0071】
一方、親機子機モード制御部203が、取得した親機子機モード設定情報が、長波受信親機モードと、BLE親機モードとのいずれも示さないと判定する場合(ステップS100;NO)、プロセッサ20はステップS140の子機モード近距離受信処理を実行する。子機モード近距離受信処理については、
図12を参照し後述する。
【0072】
ステップS100において、親機子機モード制御部203は、表示制御部206に親機子機モード設定情報を供給する。表示制御部206は、親機子機モード制御部203が供給する親機子機モード設定情報に応じて、表示装置5に親機子機モードマークセグメントP8を用いて、計時装置Cが親機モードに設定されているか、子機モードに設定されているかを表示させる。
【0073】
ステップS110:親機子機モード制御部203は、計時装置Cが長波受信親機モードに設定されているか否かを判定する。親機子機モード制御部203が、親機子機モード設定情報が、長波受信親機モードを示すと判定する場合(ステップS110;YES)、プロセッサ20はステップS120の長波受信処理を実行する。長波受信処理については、
図10を参照し後述する。
一方、親機子機モード制御部203が、親機子機モード設定情報が、長波受信親機モードを示さないと判定する場合(ステップS110;NO)、プロセッサ20はステップS130の親機モード近距離通信処理を実行する。親機モード近距離通信処理については、
図11を参照し後述する。
【0074】
図10は、本実施形態に係る親機モードにおける長波受信処理の一例を示す図である。
図10に示す処理は、
図9に示したステップS120の長波受信処理である。
ステップS200:通信制御部204は、長波受信回路1を制御して、JJYの九州送信所から60kHzにおいて放送されている標準電波を受信させる。ここで所定時間とは、例えば30秒間である。通信制御部204は、長波受信回路1が受信した受信信号を、デコーダ50にデコードさせ、標準時刻情報を取得する。
【0075】
ステップS201:通信制御部204は、長波受信回路1を制御して、JJYの福島送信所から40kHzにおいて放送されている標準電波を受信させる。ここで所定時間とは、例えば30秒間である。通信制御部204は、長波受信回路1が受信した受信信号を、デコーダ50にデコードさせ、標準時刻情報を取得する。
【0076】
ステップS202:通信制御部204は、長波受信回路1が60kHzと40kHの両方の標準電波を受信でき、復号信号を得ることができたと判定する場合(ステップS202;YES)、ステップS208の処理を実行する。一方、通信制御部204は、長波受信回路1が60kHzと40kHの両方の標準電波を受信でなかったと判定する場合(ステップS202;NO)、ステップS208の処理を実行する。
【0077】
ステップS203:通信制御部204は、長波受信回路1が60kHzの標準電波を受信できたと判定する場合には(ステップS203;YES)、ステップS209の処理を実行する。一方、通信制御部204は、長波受信回路1が60kHzの標準電波を受信できなかったと判定する場合には(ステップS203;NO)、ステップS204の処理を実行する。
【0078】
ステップS204:また、通信制御部204は、長波受信回路1が40kHzの標準電波を受信できたと判定する場合には(ステップS204;YES)、ステップS210の処理を実行する。一方、通信制御部204は、長波受信回路1が40kHzの標準電波を受信できなかったと判定する場合には(ステップS204;NO)、ステップS205の処理を実行する。
【0079】
ステップS205:通信制御部204は、長波受信回路1が標準電波を受信できなかった場合、長波受信回路1にGPS衛星等からのUTCを受信させる。
ステップS206:通信制御部204は、長波受信回路1がUTCを受信できたか否かを判定する。通信制御部204が、長波受信回路1がUTCを受信できたと判定する場合(ステップS206;YES)、プロセッサ20はステップS211の処理を実行する。
一方、通信制御部204が、長波受信回路1がUTCを受信できなかったと判定する場合(ステップS206;NO)、プロセッサ20はステップS207の処理を実行する。
【0080】
ステップS207:通信制御部204は、長波受信失敗処理を実行する。通信制御部204は、表示制御部206に長波受信に失敗したことを示す信号を供給する。
表示制御部206は、通信制御部204が供給する信号に基づいて、表示装置5にアンテナマークセグメントP11と受信レベルセグメントP12とを用いて、長波受信に失敗したことを表示させる。ここで表示装置5は、例えば、アンテナマークセグメントP11を点滅させ、受信レベルセグメントP12を消灯させる。
【0081】
ステップS208:通信制御部204は、より安定して受信が可能な一方の送信所を選択する。その後、通信制御部204は、ステップS211の処理を実行する。
【0082】
ステップS209:通信制御部204は、西送信所(九州)を選択する。その後、通信制御部204は、ステップS211の処理を実行する。
【0083】
ステップS210:通信制御部204は、東送信所(福島)を選択する。その後、通信制御部204は、ステップS211の処理を実行する。
【0084】
ステップS211:プロセッサ20は、長波受信初期設定処理を実行する。
計時部202は、計時データレジスタ802に受信した標準電波に基づく計時データをセットする。
通信制御部204は、受信チャネルレジスタ803に時刻種類に標準電波であることと東西送信所の別を示す情報を設定する。また、通信制御部204は、レイヤレジスタ805にレイヤの値として0を設定する。通信制御部204は、連続受信失敗回数レジスタ806に記憶される連続受信失敗回数をリセットする。
プロセッサ20は、計時データをセットすると、修正時刻信号の送信動作を開始する。修正時刻信号の送信動作については、
図15を参照し後述する。
【0085】
また、表示制御部206は、表示装置5に、計時データレジスタ802に記憶されている計時データ、受信状態、バッテリ状態を示す情報を表示させる。表示装置5の表示パネルPの表示内容には、例えば、午前表示セグメントP1、及び午後表示セグメントP2による午前・午後の表示、時間表示セグメントP4、区切りセグメントP5、分表示セグメントP6、秒表示セグメントP7、月表示セグメントP14、日表示セグメントP15、及び曜日表示セグメントP16による年月日時分秒曜日の表示、情報源マークセグメントP9による標準電波の情報源の表示、受信レベルセグメントP12による標準電波の受信状況の表示、及び電圧データ入力部70を介して取り込んだ電圧デテクタ6の検出値に基づいた電源状態の表示、などを含む。
【0086】
図11は、本実施形態に係る親機モードにおける近距離通信処理の一例を示す図である。
図11に示す処理は、
図9に示したステップS130の親機モード近距離通信処理である。
【0087】
ステップS300:通信制御部204は、RF回路9を起動する。
ステップS310:通信制御部204は、RF回路9に、スマートフォンと接続するためのアドバタイズ信号を間欠的に所定時間送信させる。ここで所定時間とは、例えば、30秒間である。
【0088】
ステップS320:通信制御部204は、RF回路9がスマートフォンと接続し近距離時刻信号を受信したか否かを判定する。通信制御部204が、RF回路9が近距離時刻信号を受信したと判定する場合(ステップS320;YES)、プロセッサ20はステップS340の処理を実行する。一方、通信制御部204が、RF回路9が近距離時刻信号を受信していないと判定する場合(ステップS320;NO)、プロセッサ20はステップS330の処理を実行する。
【0089】
ステップS330:通信制御部204は、近距離通信失敗処理を実行する。通信制御部204は、表示制御部206に近距離通信に失敗したことを示す信号を供給する。
表示制御部206は、通信制御部204が供給する信号に基づいて、表示装置5にBLEマークセグメントP10と、アンテナマークセグメントP11と受信レベルセグメントP12とを用いて、近距離通信に失敗したことを表示させる。ここで表示装置5は、例えば、BLEマークセグメントP10を点灯させ、アンテナマークセグメントP11を点滅させ、受信レベルセグメントP12を消灯させる。
【0090】
ステップS340:プロセッサ20は、近距離通信初期設定処理を実行する。
計時部202は、計時データレジスタ802に受信した近距離時刻信号に基づく計時データをセットする。
プロセッサ20は、計時データをセットすると、修正時刻信号の送信動作を開始する。修正時刻信号の送信動作については、
図15を参照し後述する。
通信制御部204は、受信チャネルレジスタ803に時刻種類にスマートフォンなどから受信した時刻であることを示す情報を設定する。また、通信制御部204は、レイヤレジスタ805にレイヤの値として0を設定する。通信制御部204は、連続受信失敗回数レジスタ806に記憶される連続受信失敗回数をリセットする。
【0091】
また、表示制御部206は、表示装置5に、計時データレジスタ802に記憶されている計時データ、受信状態、バッテリ状態を示す情報を表示させる。ここ表示装置5の表示パネルPの表示内容には、例えば、午前表示セグメントP1、及び午後表示セグメントP2による午前・午後の表示、時間表示セグメントP4、区切りセグメントP5、分表示セグメントP6、秒表示セグメントP7、月表示セグメントP14、日表示セグメントP15、及び曜日表示セグメントP16による年月日時分秒曜日の表示、BLEマークセグメントP10によるスマートフォンから時刻情報を取得したことの表示、受信レベルセグメントP12による近距離通信電波の受信状況の表示、及び電圧データ入力部70を介して取り込んだ電圧デテクタ6の検出値に基づいた電源状態の表示、などを含む。
【0092】
なお、親機モードと子機モードとの2つのモードを切り替えて、親機モードにおいて長波受信とBLE受信とのいずれを用いて時刻情報を取得するかが自動で選択される場合、例えば、
図9のステップS120の長波受信処理が失敗した場合に、ステップS130の親機モード近距離通信処理が実行されてよい。別の例では、
図9のステップS130の親機モード近距離通信処理が失敗した場合に、ステップS120の長波受信処理が実行されてもよい。
【0093】
図12は、本実施形態に係る子機モードにおける近距離受信処理の一例を示す図である。
図12に示す処理は、
図9に示したステップS140の子機モード近距離受信処理である。
【0094】
ステップS400:通信制御部204は、RF回路9を起動する。
ステップS410:通信制御部204は、RF回路9が近距離時刻信号を受信したか否かを判定する。通信制御部204が、RF回路9が近距離時刻信号を受信したと判定する場合(ステップS410;YES)、デコーダ50から修正時刻情報Mを取得する。その後、プロセッサ20はステップS420の処理を実行する。
一方、通信制御部204が、RF回路9が近距離時刻信号を受信していないと判定する場合(ステップS410;NO)、プロセッサ20はステップS430の処理を実行する。
【0095】
ステップS420:修正部201は、計時データを修正する。修正部201は、通信制御部204から修正時刻情報Mを取得する。修正部201は、取得した修正時刻情報Mに含まれる時刻情報に基づいて、計時データレジスタ802に記憶されている計時データを修正する。このように修正時刻情報Mは、計時データを修正するために用いられる。
プロセッサ20は、計時データを修正すると、修正時刻信号の送信動作を開始する。修正時刻信号の送信動作については、
図15を参照し後述する。
【0096】
また、ステップS420において、表示制御部206は、表示装置5に、計時データレジスタ802に記憶されている修正された計時データ、受信状態、バッテリ状態を示す情報を表示させる。ここ表示装置5の表示パネルPの表示内容には、例えば、午前表示セグメントP1、及び午後表示セグメントP2による午前・午後の表示、時間表示セグメントP4、区切りセグメントP5、分表示セグメントP6、秒表示セグメントP7、月表示セグメントP14、日表示セグメントP15、及び曜日表示セグメントP16による年月日時分秒曜日の表示、受信レベルセグメントP12による近距離通信電波の受信状況の表示、及び電圧データ入力部70を介して取り込んだ電圧デテクタ6の検出値に基づいた電源状態の表示、などを含む。
【0097】
ステップS430:通信制御部204は、RF回路9を起動させてから所定時間が経過したか否かを判定する。ここで所定時間とは、例えば、24時間である。ただし、所定時間は、計時システムSのレイヤの数により変更されてよい。
通信制御部204は、RF回路9を起動させてから所定時間が経過したと判定する場合(ステップS430;YES)、ステップS440の処理を実行する。一方、通信制御部204は、RF回路9を起動させてから所定時間が経過していないと判定する場合(ステップS430;NO)、ステップS410の処理を繰り返す。
【0098】
ステップS440:通信制御部204は、タイムアウト処理を実行する。通信制御部204は、表示制御部206に修正時刻信号の受信に失敗したことを示す信号を供給する。
表示制御部206は、通信制御部204が供給する信号に基づいて、アンテナマークセグメントP11と受信レベルセグメントP12とを用いて、修正時刻信号の受信に失敗したことを表示装置5に表示させる。ここで表示装置5は、例えば、アンテナマークセグメントP11を点滅させ、受信レベルセグメントP12を消灯させる。ユーザは、計時装置Cが修正時刻信号の受信に失敗したことに応じて、計時装置Cの位置を変えて設置し直してもよい。
(通常時の動作)
通常の動作時において、制御部11の計時データ取得部30は、水晶振動子10の発振信号を用いて一定時間(例えば、50ms)を計時する毎に、計時時刻を更新するための計時割込信号をプロセッサ20に供給する。この計時信号に応答して、プロセッサ20は、
図13に示す処理を開始する。
図13は、本実施形態に係る通常時の計時処理の一例を示す図である。
【0099】
ステップS500:計時部202は、計時データレジスタ802に記憶されている計時データを更新する。
ステップS510:計時部202は、表示制御部206に表示装置5の表示情報の更新などの処理を実行させる。
【0100】
また、計時部202は、所定時間(例えば、500ms)の経過を計時する毎に、プロセッサ20に、修正時刻信号を受信するための計時割込信号を送る。
この計時割込信号に応答して、プロセッサ20は、
図14に示す処理を開始する。
【0101】
図14は、本実施形態に係る子機の通常時の時刻修正のための処理の一例を示す図である。
【0102】
ステップS600:通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の受信タイミングであるか否かを判定する。
ここで、通信制御部204は、レイヤレジスタ805に記憶される自装置のレイヤの値と、受信チャネルレジスタ803に記憶される受信チャネルとに基づいて、上述した式(1)から受信タイミングを算出する。受信タイミングとは、上位レイヤの計時装置Cの送信タイミングである。
【0103】
通信制御部204は、計時データレジスタ802に記憶される計時データを取得する。通信制御部204は、算出した受信タイミングと、取得した計時データが示す現在時刻とを比較し、現在時刻が受信タイミングの所定の時間だけ前であるか否かを判定する。ここで所定の時間とは、例えば、2秒である。
【0104】
通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の受信タイミングであると判定する場合(ステップS600;YES)、ステップS610の処理を実行する。一方、通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の受信タイミングでないと判定する場合(ステップS600;NO)、処理を終了する。
【0105】
ステップS610:通信制御部204は、RF回路9に修正時刻信号を受信させる。ここで通信制御部204は、例えば最大4秒間、RF回路9に修正時刻信号を受信させる。
通信制御部204は、デコーダ50から修正時刻情報Mを取得する。
【0106】
ステップS620:修正部201は、通信制御部204が供給する修正時刻情報Mに基づいて、計時データレジスタ802に記憶される計時データを更新する。
【0107】
次に
図15を参照し、計時装置Cの修正時刻信号の送信動作について説明する。
図15に示す修正時刻信号の送信動作は、
図9における長波受信処理(ステップS120)、親機モード近距離通信処理(ステップS130)、及び子機モード近距離受信処理(ステップS140)のいずれかにおいて計時装置Cが受信信号の初期受信に成功し、受信信号に基づいて計時データを修正すると開始される。つまり、計時システムSでは、計時装置Cは、親機、子機ともに電源が投入され初期受信に成功すると、以降は自動的に送信を開始する。
また、計時部202は、所定時間(例えば、500ms)の経過を計時する毎に、プロセッサ20に、修正時刻信号を送信するための計時割込信号を送る。この計時割込信号に応答して、プロセッサ20は、
図15に示す処理を開始する。
図15は、本実施形態に係る修正時刻信号の送信動作の一例を示す図である。
【0108】
ステップS700:計時部202は、修正時刻情報Mを生成する。計時部202は、レイヤレジスタ805に記憶されるレイヤ情報が示すレイヤの値、送信チャネルレジスタ804に記憶される送信チャネル指定データが示す送信チャネル、計時データレジスタ802に記憶される計時データが示す時刻情報、及び受信チャネルレジスタ803に記憶される時刻情報の情報源を示す情報などに基づいて、修正時刻情報Mを生成する。
計時部202は、生成した修正時刻情報Mを通信制御部204に供給する。
【0109】
ステップS710:通信制御部204は、送信動作回数毎に送信動作を繰り返す処理を開始する。
ステップS720:間隔設定部205は、1回の送信動作に含まれる修正時刻信号の送信間隔AIを設定する。ここで間隔設定部205は、送信間隔AIを上述した式(2)によってランダムに設定する。
送信間隔レジスタ807に記憶される送信間隔AIは、計時装置Cがリセットされた後、初期値に設定されている。ここで初期値とは、例えば、20msである。間隔設定部205は、送信間隔レジスタ807に記憶される送信間隔AIを変更することにより送信間隔AIを設定する。
したがって、間隔設定部205は、送信期間内において通信制御部204が順次送信する修正時刻情報Mの送信間隔AIを変更する。ここで間隔設定部205は、送信間隔AIをランダムに変更する。
【0110】
間隔設定部205は、送信期間TP1内におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AIと、送信期間TP2内におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AIと、送信期間TP3内におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AIとをそれぞれ変更する。
したがって、間隔設定部205は、送信期間(送信期間TP1、送信期間TP2、及び送信期間TP3)のうち、第1送信期間内において通信制御部204が順次送信する修正時刻情報Mの送信間隔と、第1送信期間とはタイミングが異なる第2送信期間内において通信制御部204が順次送信する修正時刻情報Mの送信間隔とを変更する。
【0111】
なお、本実施形態では、間隔設定部205は、送信期間TP1、送信期間TP2、及び送信期間TP3のそれぞれについてアドバタイジングパケットの送信間隔AIを変更する場合について説明しているが、これに限らない。間隔設定部205は、送信期間TP1、送信期間TP2、及び送信期間TP3のうち少なくとも1つの期間におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AIを変更してもよい。
【0112】
ステップS730:通信制御部204は、アドバタイジングを行う。ここで通信制御部204は、間隔設定部205が設定した送信間隔AIに基づいて修正時刻信号を3回送信する。通信制御部204は、それらの修正時刻信号に、修正部201が生成した修正時刻情報Mを含めて送信する。3回の修正時刻信号の送信において、各修正時刻信号に含まれる修正時刻情報Mは同じである。
したがって、通信制御部204は、計時データの修正値を示す複数の修正時刻情報Mを他の計時装置Cに所定の送信期間内において順次送信する。
【0113】
ステップS740:通信制御部204は、10秒間待機する。
ステップS750:通信制御部204は、送信動作回数毎に送信動作を繰り返す処理を終了する。
【0114】
なお、本実施形態においては、間隔設定部205は、送信間隔AIを式(2)に基づいてランダムに変更する場合について説明したが、これに限らない。送信間隔AIは、計時装置Cのレイヤ及び送信チャネルに基づいて変更されてもよい。例えば、間隔設定部205は、0から59までの整数を0から31までの整数に対応させることにより、式(2)の0から31までの値を取る整数nを、0から59までの値を取る送信チャネルに基づいて決定してもよい。
【0115】
以上に説明したように、本実施形態に係る計時装置Cは、送信部(通信制御部204)と、変更部(間隔設定部205)とを備える。
送信部(通信制御部204)は、計時データの修正値を示す複数の修正時刻情報Mを他の計時装置Cに所定の送信期間内において順次送信する。
変更部(間隔設定部205)は、送信期間内において送信部(通信制御部204)が順次送信する修正時刻情報Mの送信間隔AIを変更する。
この構成により、本実施形態に係る計時装置Cでは、変更された送信間隔AIにおいて、複数の修正時刻情報Mを順次送信できるため、時刻修正のための信号の混信を軽減できる。ここで本実施形態に係る計時装置Cでは、設置時に複数の計時装置Cが同時に修正時刻情報Mの送信を開始した場合であっても、それらの修正時刻情報Mは変更された送信間隔AIにおいて送信されるため混信を回避できる。
【0116】
また、本実施形態に係る計時装置Cでは、変更部(間隔設定部205)は、送信間隔AIをランダムに変更する。
この構成により、本実施形態に係る計時装置Cでは、複数の修正時刻情報Mを順次送信する送信間隔AIをランダムに変更できるため、送信間隔AIをランダムに変更しない場合に比べて時刻修正のための信号の混信を軽減できる。
【0117】
また、本実施形態に係る計時装置Cでは、変更部(間隔設定部205)は、送信期間(送信期間TP1、送信期間TP2、及び送信期間TP3)のうち、第1送信期間内において送信部(通信制御部204)が順次送信する修正時刻情報Mの送信間隔AIと、第1送信期間とはタイミングが異なる第2送信期間内において送信部(通信制御部204)が順次送信する修正時刻情報Mの送信間隔AIとを変更する。
【0118】
この構成により、本実施形態に係る計時装置Cでは、間隔設定部205は、送信間隔AIをランダムに変更するため、送信期間TP1内におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AIが、複数の計時装置C同士において重なってしまった場合であっても、送信期間TP2内におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AI、送信期間TP2内におけるアドバタイジングパケットの送信間隔AIをランダムに変更するため、送信期間TP1、送信期間TP2、及び送信期間TP3の全てにおいてアドバタイジングパケットの送信間隔AIが、複数の計時装置C同士において重なってしまうことを防ぐことができる。
【0119】
また、本実施形態に係る計時システムSでは、計時装置Cと、計時装置Cから修正時刻情報Mを受信し、受信した修正時刻情報Mに基づいて自装置の計時データを修正する子計時装置(計時装置Cの下位レイヤの計時装置C)とを備える。
この構成により、本実施形態に係る計時システムSでは、時刻修正のための信号の混信を軽減できるため、時刻修正のための信号の混信が軽減されない場合に比べて正確な時刻を維持することができる。
【0120】
なお、上述した実施形態における計時装置Cの一部、例えば、制御部11をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、計時装置Cに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における計時装置Cの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。計時装置Cの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0121】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0122】
S…計時システム、C、C1、C2、C3、C4、C5、C6…計時装置、1…長波受信回路、2…電源回路、21…AC(交流)アダプタ接続プラグ、22…バッテリ、3…コネクタ、4…主装置、5…表示装置、6…電圧デテクタ、7…レギュレータ、8…スイッチ群、9…RF回路、10…水晶振動子、11…制御部、20…プロセッサ、201…修正部、202…計時部、203…親機子機モード制御部、204…通信制御部、205…間隔設定部、206…表示制御部、30…計時データ取得部、40…エンコーダ、50…デコーダ、60…キー入力部、70…電圧データ入力部、80…レジスタ群、801…親機子機モードレジスタ、802…計時データレジスタ、803…受信チャネルレジスタ、804…送信チャネルレジスタ、805…レイヤレジスタ、806…連続受信失敗回数レジスタ、807…送信間隔レジスタ、P…表示パネル