(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/08 20060101AFI20221117BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F24C3/08 R
F24C3/00 J
(21)【出願番号】P 2018119237
(22)【出願日】2018-06-22
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】宮田 充
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0306055(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068214(US,A1)
【文献】特開2008-249178(JP,A)
【文献】米国特許第06299436(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロバーナと、
コンロバーナの上端部を臨ませるバーナ用開口が開設された天板と、を有し、
調理容器を載置するための五徳が天板上に設置されるガスコンロにおいて、
コンロバーナは、
環状筒部及び環状筒部の外周面から外方に一体に延設され、天板のバーナ用開口の周縁部の上面に載置される
バーナリング部を有する上バーナ本体と、天板のバーナ用開口の周縁部の下方に配置される下外周部を有し、且つ混合管が延設される下バーナ本体と、上バーナ本体の
環状筒部の上端部に載置されて
上バーナ本体の環状筒部の上端部との間に多数の炎孔を形成するバーナヘッドと、を備え、
上バーナ本体と下バーナ本体とは、上バーナ本体の
バーナリング部と下バーナ本体の下外周部とで、天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込んだ状態で一体的に連結されるガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
上バーナ本体と下バーナ本体とで天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込む挟圧部は、上バーナ本体と下バーナ本体とを一体的に連結させる連結部と、天板のバーナ用開口の半径方向に離れて位置するガスコンロ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスコンロにおいて
、
環状筒部の内周面には、内方に突出する上突出片部が設けられ、
下バーナ本体は、上突出片部の突出位置に対応する所定位置に内方に突出する下突出片部を有しており、
バーナリング部が天板のバーナ用開口の周縁部の上面に当接している状態で、上突出片部と下突出片部とがバーナ用開口内でネジ締結されるガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に開設されたバーナ用開口からコンロバーナが露出するガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスコンロは、上方開放の矩形箱体であるケース体と、ケース体の上方開放部を被覆する天板とを備えており、ケース体内には1つまたは複数のコンロバーナが収容される。この種のガスコンロでは、天板に開設されたバーナ用開口からコンロバーナを構成するバーナ本体の上端部を露出させ、上端部にバーナヘッドを載置することにより、多数の炎孔が形成されている。また、バーナ用開口の周縁部の上面には、鍋やフライパン等の調理容器を支持するための五徳が位置決め状態で設置される。
【0003】
従来、バーナ用開口を囲むように、天板の下面に略コ字状のフレーム部材を添設固定し、バーナ本体の所定箇所をフレーム部材にネジ止めすることによって、コンロバーナを天板の所定位置に固定することが提案されている(例えば、特許文献1)。このガスコンロでは、天板とコンロバーナとはフレーム部材を介して連結され、五徳は天板のバーナ用開口の周縁部の上面に回り止め状態で設置される。そのため、製造組み付け時やコンロバーナの燃焼時に天板に歪みが生じると、コンロバーナや五徳にも天板の歪みに追従した位置ずれや傾きが生じる。そのため、天板が歪んだ場合でも、バーナ本体の上端部に載置させるバーナヘッドと五徳との相関距離が保持され、バーナ本体とバーナヘッドとの間に形成される炎孔と、五徳に載置させる鍋等の調理容器との相関距離も一定に保持される。それゆえ、安定した加熱効率や燃焼性能を得ることができる。
【0004】
また、バーナ用開口とバーナ本体の外周面との間の隙間に、バーナリングが配設されたガスコンロも提案されている(例えば、特許文献2)。このガスコンロでは、バーナ用開口に沿って天板の下面にリング下を添設させ、バーナリングとリング下とで天板を挟み込んだ状態で、バーナリングがリング下にネジ止めされて天板に固定されている。また、バーナ本体とリング下とは固定金具を介して係合され、五徳はバーナリングに対して回り止め状態で設置される。従って、天板に歪みが生じると、リング下とバーナリング、さらにはバーナ本体と五徳も、天板の歪みに追従して位置ずれが生じるため、各々の相関距離が一定に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-32098号公報
【文献】特開2008-249178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているガスコンロでは、コンロバーナと天板とはフレーム部材を介して連結される。それゆえ、フレーム部材に変形や寸法のばらつきが生じると、フレーム部材と天板との間やフレーム部材とコンロバーナとの間に隙間が生じやすい。このような隙間が生じると、天板の歪みに追従して、バーナ本体が位置ずれしたり、傾いたりし難くなる。その結果、バーナ本体の上端部とバーナ用開口の周辺の天板上に設置される五徳との間の相関距離がずれてきて、加熱効率や燃焼性能が低下するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されているガスコンロでは、バーナリング、リング下、及び固定金具を用いる必要があるため、部品点数がさらに多くなるだけでなく、部品相互間のずれや歪みがさらに生じ易いという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、製造組み付け時やコンロバーナの燃焼時に天板に歪みが生じても、天板のバーナ用開口から露出させたコンロバーナの炎孔と天板上に載置される五徳との相関距離を一定に保持でき、安定した加熱効率や燃焼性能で加熱調理を実行できるガスコンロを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
コンロバーナと、
コンロバーナの上端部を臨ませるバーナ用開口が開設された天板と、を有し、
調理容器を載置するための五徳が天板上に設置されるガスコンロにおいて、
コンロバーナは、環状筒部及び環状筒部の外周面から外方に一体に延設され、天板のバーナ用開口の周縁部の上面に載置されるバーナリング部を有する上バーナ本体と、天板のバーナ用開口の周縁部の下方に配置される下外周部を有し、且つ混合管が延設される下バーナ本体と、上バーナ本体の環状筒部の上端部に載置されて上バーナ本体の環状筒部の上端部との間に多数の炎孔を形成するバーナヘッドと、を備え、
上バーナ本体と下バーナ本体とは、上バーナ本体のバーナリング部と下バーナ本体の下外周部とで、天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込んだ状態で一体的に連結されるガスコンロである。
【0010】
上記ガスコンロによれば、コンロバーナは分割された上バーナ本体と下バーナ本体とを有しており、上バーナ本体のバーナリング部と下バーナ本体の下外周部とで天板を上下から挟み込んだ状態で、上バーナ本体と下バーナ本体とを一体的に連結させることによって、コンロバーナが天板に直に固定される。このため、フレーム部材等の取付け用の他の部品を用いる必要がない。また、製造組み付け時やコンロバーナの燃焼時等に天板に歪みが生じた場合でも、天板の歪みに対してコンロバーナの上下方向の位置が追従するから、天板上に載置される五徳と、上バーナ本体の環状筒部の上端部とバーナヘッドとの間に形成される炎孔との相関距離を一定に保持することができる。また、バーナリング部は上バーナ本体に一体的に設けられているから、バーナリング部を設置するための特別な部品や組み付け工程も不要となり、バーナリング部を有するコンロバーナを天板に容易に組み付けることができる。
【0011】
好ましくは、上記ガスコンロにおいて、
上バーナ本体と下バーナ本体とで天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込む挟圧部は、上バーナ本体と下バーナ本体とを一体的に連結させる連結部と、天板のバーナ用開口の半径方向に離れて位置する。
【0012】
例えば、上バーナ本体と下バーナ本体との連結部をネジ締結により連結させる場合、挟圧部と連結部とが近い位置にあると、強い力でネジが増し締めされたときに連結部の周囲に瞬間的に加えられる強い挟持力が挟圧部にも伝わる。その結果、ガラス製の天板が用いられる場合、天板に割れが発生するおそれがある。しかしながら、上記ガスコンロによれば、挟圧部と連結部とが天板のバーナ用開口の半径方向に離れた位置に設けられるから、上バーナ本体と下バーナ本体とを連結させるためにネジ締結を行った場合でも、天板への挟持力の影響を抑えることができ、ガラス製の天板の割れを防止することができる。
【0013】
好ましくは、上記ガスコンロにおいて、
環状筒部の内周面には、内方に突出する上突出片部が設けられ、
下バーナ本体は、上突出片部の突出位置に対応する所定位置に内方に突出する下突出片部を有しており、
バーナリング部が天板のバーナ用開口の周縁部の上面に当接している状態で、上突出片部と下突出片部とがバーナ用開口内でネジ締結される。
【0014】
上記ガスコンロによれば、バーナヘッドを載置させる上バーナ本体の環状筒部はバーナ用開口内に設置されるから、環状筒部の内周面から内方に向かって突出する上突出片部もバーナ用開口内に配置される。一方、上バーナ本体におけるバーナリング部は、天板のバーナ用開口の周縁部の上面に当接するように設置される。従って、上記ガスコンロでは、上バーナ本体の上外周部を構成するバーナリング部と下バーナ本体の下外周部とが天板のバーナ用開口の周縁部の上下に配置された状態で、バーナ用開口内で上バーナ本体の上突出片部と下バーナ本体の下突出片部とをネジ締結させることにより、上バーナ本体と下バーナ本体とが一体的に連結される。このように、上記ガスコンロによれば、上バーナ本体と下バーナ本体とは、天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込んだ状態で天板に直に固定されるから、確実に天板の歪みにコンロバーナの上下位置を追従させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るガスコンロによれば、コンロバーナが上バーナ本体と下バーナ本体とを有し、これら上バーナ本体と下バーナ本体とが天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込んだ状態で、両者が連結され、コンロバーナが天板に直に固定される。そのため、製造組み付け時やコンロバーナの燃焼時における天板の歪みに対してコンロバーナの上下位置が追従する。従って、天板に歪みが生じても、上バーナ本体の上端部とバーナヘッドとの間に形成される炎孔と、五徳に載置させる鍋等の調理容器との相関距離を一定に保持することができる。これにより、安定した加熱効率や燃焼性能を得ることができる。また、コンロバーナの取付け用の他の部品を用いる必要がないから、天板にコンロバーナを容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るガスコンロの要部拡大断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るガスコンロのコンロバーナの分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るガスコンロの天板に固定された状態における上バーナ本体及び下バーナ本体と、五徳とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るガスコンロを説明する。
ガスコンロは、点火プラグ(31)や炎検知器(32)等とともに、コンロバーナ(100)を収容する上方開放の矩形箱体であるケース体(図示せず)と、ケース体の上方開放部を被覆する天板(4)とを備える。天板(4)には、コンロバーナ(100)の上端部を露出させるためのバーナ用開口(40)と、後方に排気口(図示せず)とが開設されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、コンロバーナ(100)は、バーナヘッド(3)と、上端部にバーナヘッド(3)が載置される上バーナ本体(1)と、燃料ガスと一次空気とが混合されるベンチュリ管状の混合管(24)が略水平に延設された下バーナ本体(2)とを有する。バーナヘッド(3)の外周壁下端部に設けられた多数の歯形部(33)と、上バーナ本体(1)の環状筒部(11)の上端部との間には、多数の炎孔(30)が外側斜め上方に向くように、周方向に形成される。
【0019】
バーナヘッド(3)の上面には、環状のバーナキャップ(44)が載置される。バーナキャップ(44)の中央孔(44a)からは、鍋底温度センサ(41)が上方に突出している。これら上バーナ本体(1)、下バーナ本体(2)、バーナヘッド(3)、及びバーナキャップ(44)は、例えば、高い熱伝導性を有するアルミダイキャスト製の部材からなる。
【0020】
なお、ケース体内の所定位置には、固定台(図示せず)が設置されており、固定台には、下バーナ本体(2)の底部にネジ止め等により接続させたバーナ支持板(29)が架設されている。これにより、コンロバーナ(100)は、ケース体内の所定箇所に位置決めされた状態で収容される。
【0021】
下バーナ本体(2)は、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の下方に配設させるフランジ部(21)が外方に向かって張り出す外筒(22)と、バーナヘッド(3)の中央孔(3a)に続く内筒(23)とを備える。点火プラグ(31)及び炎検知器(32)は、フランジ部(21)を下方から貫通して周方向に並設されている(
図2参照)。このため、外筒(22)からバーナ用開口(40)の周縁部に至るまでのフランジ部(21)の幅は、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)が設置される側で広く、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)が設置されない側で狭くなっている。従って、外筒(22)は、バーナ用開口(40)及びこれと略同心に位置する内筒(23)に対して、偏心して位置する。
【0022】
フランジ部(21)と略同一高さに位置する外筒(22)の内周面には、3つの下突出片部(20a)(20b)(20c)が周方向に等間隔で、内方に向かって略水平に突設されている。各下突出片部(20a)(20b)(20c)は、外筒(22)の内周面から内筒(23)の外周面までの距離に関わらず、突出端が内筒(23)に到達する突出長さを有する。各下突出片部(20a)(20b)(20c)の突出端近傍には、ネジ孔(28)が穿設されている。
【0023】
上バーナ本体(1)は、バーナヘッド(3)の歯形部(33)が載置される上端部を有する環状筒部(11)と、環状筒部(11)の外周面から外方へ一体的に延設されている環状のバーナリング部(12)とを備える。上バーナ本体(1)は、バーナリング部(12)の下面が天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に当接するように、天板(4)上に載置される。
【0024】
バーナリング部(12)のバーナ用開口(40)よりも内周側の下面には、バーナリング部(12)が天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に載置されたときに、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放端部を嵌め込み可能な下方開放の環状溝(12a)が形成されている。また、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)に対応するバーナリング部(12)の各位置には、これらを挿通させるための透孔(13a)(13b)が穿設されている。さらに、バーナリング部(12)の外周縁の対向する位置には、一対の切欠(14a)(14b)が形成されている。
【0025】
環状筒部(11)の内周面下端部には、3つの上突出片部(10a)(10b)(10c)が周方向に等間隔で、内方に向かって略水平に突設されている。各上突出片部(10a)(10b)(10c)は、透孔(13a)(13b)に点火プラグ(31)及び炎検知器(32)がそれぞれ挿通され、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放端部が環状溝(12a)に嵌め込まれた状態で、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)を天板(4)の上面に載置させたときに、下突出片部(20a)(20b)(20c)に対応する位置に設けられている。各上突出片部(10a)(10b)(10c)の先端には、先端に向かって開放する略U字状の切欠(18)が形成されている。
【0026】
天板(4)は、例えば、ガラス製のものが用いられる。天板(4)の下面のうち、バーナ用開口(42)及び後方の排気口の形成域に対応する領域を除いた略全域には、高い熱伝導性を有するアルミ製のヒートオフ材からなる放熱板(42)が添設されている。放熱板(42)には、バーナ用開口(40)が対応する位置に、バーナ用開口(42)と略同一径の開口が開設されている。
【0027】
次に、本実施の形態におけるコンロバーナ(100)の天板(4)への組み付けについて説明する。
まず、下バーナ本体(2)を接続させたバーナ支持板(29)を、ケース体内に固定されている固定台に架設させてネジ止めする。これにより、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)を一体的に具備させた下バーナ本体(2)が、ケース体内の所定箇所に位置決め状態で固定される。
【0028】
次いで、上記ケース体の上方開放部を、天板(4)で被覆する。なお、ケース体の上方開放部が天板(4)で被覆されたとき、バーナ用開口(40)の周縁部の下方に下バーナ本体(2)におけるフランジ部(21)が配設され、且つバーナ用開口(40)内で下バーナ本体(2)の内筒(23)がバーナ用開口(40)と略同心に位置するように、ケース体内における下バーナ本体(2)の設置位置、フランジ部(21)の大きさ、及び天板(4)におけるバーナ用開口(40)の開設位置が設定されている。
【0029】
次いで、バーナ用開口(40)内にバーナ用開口(40)と略同心状に内筒(23)が露出している状態で、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを連結させる。バーナ用開口(40)内には、ケース体内から内筒(23)とともに、点火プラグ(31)や炎検知器(32)が上方に突出しているため、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)に上バーナ本体(1)に設けられている透孔(13a)(13b)が対応するように、上バーナ本体(1)を下バーナ本体(2)上に配置させる。このとき、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)が天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に当接し、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放端部が上バーナ本体(1)の下面に開放している環状溝(12a)に嵌まり込むと、下バーナ本体(2)の下突出片部(20a)(20b)(20c)のネジ孔(28)上に上バーナ本体(1)の上突出片部(10a)(10b)(10c)の切欠(18)が位置する。
【0030】
上記のようにして上バーナ本体(1)が設置されると、上突出片部(10a)(10b)(10c)の各切欠(18)に、上方から固定ネジ(15)を挿通させるとともに、さらにその下方の下突出片部(20a)(20b)(20c)のネジ孔(28)に固定ネジ(15)を螺合させていく。すると、固定ネジ(15)がネジ孔(28)へ螺合されていくに従って、固定台に架設させたバーナ支持板(29)が上方へ撓み、それに伴って下バーナ本体(2)が上昇するため、上バーナ本体(1)に対して下バーナ本体(2)が近接していく。そして、固定ネジ(15)の最終締付状態では、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)と下バーナ本体(2)のフランジ部(21)とによって、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部は、放熱板(42)とともに、上下から挟み込まれた状態となる。また、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とは、密着状態で一体的に連結される。これにより、コンロバーナ(100)が、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部に回り止め状態に固定される。
【0031】
従って、本実施の形態では、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に配置される上バーナ本体(1)におけるバーナリング部(12)の外周部が上外周部を形成し、放熱板(42)を介して天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の下方に配置される下バーナ本体(2)におけるフランジ部(21)の外周部が下外周部を形成する。また、バーナリング部(12)とフランジ部(21)によって上下から挟み込まれた天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部が狭圧部を形成し、固定ネジ(15)によって締結されるネジ締結部が、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを一体的に連結する連結部を形成する。
【0032】
上記のようにしてコンロバーナ(100)が天板(4)に固定されると、上バーナ本体(1)の環状筒部(11)の上端部に、バーナヘッド(3)の歯形部(33)を載置し、バーナヘッド(3)の上端にバーナキャップ(44)をセットする。
【0033】
また、天板(4)上に設置された上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)を囲むように、五徳(5)を載置させる。
図3に示すように、五徳(5)は、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の周囲に載置される円形の五徳枠(51)と、これに取り付けられている複数の五徳爪(50)とを有する。五徳爪(50)のうち、相互に対向する位置にある一対の五徳爪(50a)(50b)の下端部内側には、五徳枠(51)よりも内方へ突出する突出部(52a)(52b)が設けられている。従って、突出部(52a)(52b)をバーナリング部(12)の外周縁に設けた一対の切欠(14a)(14b)に各々係止させることにより、五徳(5)はバーナリング部(12)に対して回り止め状態で天板(4)上に設置される。
【0034】
本発明の実施の形態に係るガスコンロによれば、コンロバーナ(100)のバーナ本体は、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)の分割された2部品からなる。また、上バーナ本体(1)の環状筒部(11)から内方に突設させた上突出片部(10a)(10b)(10c)の切欠(18)に挿通させた固定ネジ(15)を、下バーナ本体(2)の外筒(22)から内方に突設させた下突出片部(20a)(20b)(20c)のネジ孔(28)に螺合させることにより、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部が上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)と下バーナ本体(2)のフランジ部(21)とで上下から挟み込まれた状態で、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とが一体的にネジ締結される。従って、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを有するコンロバーナ(100)が天板(4)に直に固定されるから、従来のフレーム部材等のような取付け用の他の部品を必要としない。そのため、コンロバーナ(100)を容易に天板(4)に取り付けることができるだけでなく、取付け用の他の部品を用いることによる隙間も生じない。
【0035】
また、上記実施の形態のコンロバーナ(100)では、コンロバーナ(100)は天板(4)に直に固定され、五徳(5)は天板(4)上に直に載置されるから、製造組み付け時やコンロバーナ(100)の燃焼時に天板(4)や放熱板(42)に歪みが生じても、これらの歪みに対してコンロバーナ(100)の上下方向の位置が追従する。これにより、天板(4)上に載置される五徳(5)と、上バーナ本体(1)の上端部とバーナヘッド(3)との間に形成される炎孔(30)との相関距離を一定に保持することができる。従って、五徳爪(50)上に載置させる鍋等の調理容器を一定の相関距離にある炎孔(30)からの炎によって加熱することができ、安定した加熱効率及び燃焼性能を得ることができる。
【0036】
また、上記実施の形態のコンロバーナ(100)では、バーナリング部(12)とフランジ部(21)とで天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部を上下から挟み込む挟圧部は、上突出片部(10a)(10b)(10c)と下突出片部(20a)(20b)(20c)とを固定ネジ(15)で締め付けて上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを一体的に連結させるネジ締結部(連結部)と、バーナ用開口(40)の半径方向で離れた位置に設けられる。すなわち、
図1の断面図に示すように、挟圧部をバーナ用開口(40)の半径方向で炎孔(30)よりも外方に位置させ、連結部であるネジ締結部を炎孔(30)よりも内方に位置させることにより、挟圧部と連結部との間の半径方向の距離を確保して、両者が離れて配置されるように構成されている。そのため、固定ネジ(15)によってネジ締結部に瞬間的に強い挟持力が加えられても、その挟持力はバーナ用開口(40)の周縁部の挟圧部に伝わり難い。従って、固定ネジ(15)が強い力で増し締めされても、天板(4)への挟持力の影響を抑えることができるから、ガラス製の天板(4)の割れを防止することができる。
【0037】
特に、本実施の形態のコンロバーナ(100)では、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)と下バーナ本体(2)のフランジ部(21)とによって、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部は放熱板(42)とともに上下の略同一位置で挟み込まれる。それゆえ、コンロバーナ(100)の天板(4)への組み付けにおいて、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを連結させるとき、バーナリング部(12)が当接する天板(4)とその下方の放熱板(4)の略真下にフランジ部(21)が配置される。その結果、バーナリング部(12)による天板(4)への局部的な挟持力が作用し難く、ガラス製の天板(4)を挟んだ連結が行われるときの天板(4)への負荷を低減することができる。
【0038】
なお、上記実施の形態では、上バーナ本体(1)及び下バーナ本体(2)はそれぞれ、3つの上突出片部(10a)(10b)(10c)及び3つの下突出片部(20a)(20b)(20c)を周方向に等間隔で有する。しかしながら、これら上突出片部及び下突出片部はそれぞれ、環状筒部(11)及び外筒(22)の内周面の周方向の全域にわたって環状に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0039】
(1) ・・・・・・・・・上バーナ本体
(2) ・・・・・・・・・下バーナ本体
(24)・・・・・・・・・混合管
(100) ・・・・・・・・コンロバーナ
(3) ・・・・・・・・・バーナヘッド
(30)・・・・・・・・・炎孔
(4) ・・・・・・・・・天板
(40)・・・・・・・・・バーナ用開口
(5) ・・・・・・・・・五徳