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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】紙葉類帯封機構及び紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20221117BHJP
【FI】
G07D11/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018130455
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020009218
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 築
(72)【発明者】
【氏名】十河 健
(72)【発明者】
【氏名】水内 茂徳
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177566(JP,A)
【文献】特開平11-120412(JP,A)
【文献】特開2016-030635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-13/00
B65B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯封紙のリールが装着される装着ユニットと、
前記リールから引き出された前記帯封紙によって紙葉類を帯封する帯封ユニットと、
前記装着ユニットと前記帯封ユニットとの間において前記帯封紙を搬送する搬送部と、を備え、
前記装着ユニットと前記帯封ユニットとは、相対移動が可能に構成され、
前記帯封紙は、前記装着ユニットと前記帯封ユニットとの間にまたがっており、
前記搬送部は、交換検知センサが前記リールを交換すべきことを検知したときに、前記帯封紙の先端が前記装着ユニット内に位置するまで、前記帯封ユニットから前記装着ユニットへ前記帯封紙を巻き戻し、
前記搬送部はまた、前記交換検知センサの検知とは異なる第2条件が成立したときに、前記帯封紙の先端が前記装着ユニット内に位置するまで、前記帯封ユニットから前記装着ユニットへ前記帯封紙を巻き戻し、
前記装着ユニット内に配設された帯封紙検知センサを備え、
前記搬送部は、前記交換検知センサが検知したときには、前記帯封紙検知センサが前記帯封紙の先端の通過を検知するまで、前記帯封ユニットから前記装着ユニットへ前記帯封紙を巻き戻し、
前記搬送部は、前記第2条件が成立したときには、前記帯封紙検知センサが前記帯封紙の先端の通過を検知した後、前記帯封紙を、その先端が、前記装着ユニット内に位置する限度において、前記帯封ユニットに向かって所定量だけ送り出す紙葉類帯封機構。
【請求項2】
請求項に記載の紙葉類帯封機構と、
帯封処理の指示を受けて、前記紙葉類帯封機構に対し、前記紙葉類の帯封処理を実行させる制御部と、を備えている紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記帯封処理の実行中にエラーが発生したときに、前記第2条件が成立したとして、前記帯封紙を巻き戻す請求項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
バラの紙葉類が投入される投入部と、
前記紙葉類を集積する集積部と、を備え、
前記制御部は、前記投入部に投入された紙葉類のうち、帯封対象の前記紙葉類を前記集積部に集積させると共に、前記紙葉類帯封機構に対し、前記集積部に集積している前記紙葉類を帯封させ、
前記搬送部は、前記帯封処理を開始した後、前記投入部が空になると共に、前記集積部が空になったときに、前記第2条件が成立したとして、前記帯封紙を巻き戻す請求項2又は3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記帯封処理の終了後、次の帯封処理の指示を受けないまま所定時間が経過したときに、前記第2条件が成立したとして、前記帯封紙を巻き戻す請求項2~4のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、紙葉類帯封機構及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紙葉類を帯封する帯封装置が記載されている。帯封装置は、帯封紙が巻かれた巻出ロールと、巻出ロールから巻き出された帯封紙を紙葉類の束に巻く帯封部とを有している。巻出ロールは第1引出ユニットに収容され、帯封部は第2引出ユニットに収容されており、第1引出ユニット及び第2引出ユニットはそれぞれ、装置の筐体から引き出し可能に構成されている。操作者は、例えば巻出ロールを交換するときに、第1引出ユニットを筐体から引き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-177566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている帯封装置において、第1引出ユニットと第2引出ユニットとは上下に重なり合って配設されている。帯封紙は、第1引出ユニットと第2引出ユニットとの間にまたがって配設されている。
【0005】
帯封紙が第1引出ユニットと第2引出ユニットとの間にまたがっている状態で、第1引出ユニット、又は、第2引出ユニットが筐体から引き出されると、帯封紙が巻出ロールから不必要に引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりする。こうなると、復旧作業が面倒になる。
【0006】
ここに開示する技術は、紙葉類帯封機構において、帯封紙がリールから不必要に引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、リールが装着される装着ユニットと、リールから引き出された帯封紙によって紙葉類を帯封する帯封ユニットと、の間にまたがった帯封紙を、所定の条件が成立したときに、装着ユニット内へ巻き戻すことにした。
【0008】
具体的に、ここに開示する技術は、紙葉類帯封機構に係る。紙葉類帯封機構は、帯封紙のリールが装着される装着ユニットと、前記リールから引き出された前記帯封紙によって紙葉類を帯封する帯封ユニットと、前記装着ユニットと前記帯封ユニットとの間において前記帯封紙を搬送する搬送部と、を備える、
そして、前記装着ユニットと前記帯封ユニットとは、相対移動が可能に構成され、前記帯封紙は、前記装着ユニットと前記帯封ユニットとの間にまたがっており、前記搬送部は、交換検知センサが前記リールを交換すべきことを検知したときに、前記帯封紙の先端が前記装着ユニット内に位置するまで、前記帯封ユニットから前記装着ユニットへ前記帯封紙を巻き戻し、前記搬送部はまた、前記交換検知センサの検知とは異なる第2条件が成立したときに、前記帯封紙の先端が前記装着ユニット内に位置するまで、前記帯封ユニットから前記装着ユニットへ前記帯封紙を巻き戻す。
【0009】
交換検知センサがリールを交換すべきことを検知すると、操作者は、装着ユニットを移動させてリールの交換を行う。搬送部が、帯封紙の先端が装着ユニット内に位置するまで帯封紙を巻き戻すことにより、装着ユニットを、帯封ユニットに対して相対移動させても、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることが防止される。
【0010】
交換検知センサの検知とは異なる第2条件が成立したときにも、搬送部が、帯封紙を巻き戻す。このことにより、装着ユニットを移動させる、又は、帯封ユニットを移動させても、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることが防止される。
【0011】
前記紙葉類帯封機構は、前記装着ユニット内に配設された帯封紙検知センサを備え、前記搬送部は、前記交換検知センサが検知したときには、前記帯封紙検知センサが前記帯封紙の先端の通過を検知するまで、前記帯封ユニットから前記装着ユニットへ前記帯封紙を巻き戻し、前記搬送部は、前記第2条件が成立したときには、前記帯封紙検知センサが前記帯封紙の先端の通過を検知した後、前記帯封紙を、その先端が、前記装着ユニット内に位置する限度において、前記帯封ユニットに向かって所定量だけ送り出す。
【0012】
交換検知センサがリールを交換すべきことを検知したときには、操作者は、装着ユニットを移動してリールの交換を行う。帯封紙検知センサが帯封紙の先端の通過を検知するまで帯封紙を巻き戻すことにより、帯封紙を装着ユニットまで確実に巻き戻して、リールの交換をスムースに行うことができる。
【0013】
第2条件が成立したときには、リールの交換を行わずに、紙葉類の帯封が再開される。帯封紙検知センサが帯封紙の先端の通過を検知した後、帯封紙を、帯封ユニットに向かって所定量だけ送り出すことにより、帯封紙の先端は、帯封ユニットに近い位置に位置づけられる。帯封紙を、装着ユニットから帯封ユニットへ直ぐに送ることができ、紙葉類の帯封を、速やかに再開することができる。
【0014】
ここに開示する紙葉類処理装置は、前記の紙葉類帯封機構と、帯封処理の指示を受けて、前記紙葉類帯封機構に対し、前記紙葉類の帯封処理を実行させる制御部と、を備えている。
【0015】
紙葉類処理装置の制御部は、帯封処理の指示を受けて、紙葉類帯封機構に対し、紙葉類の帯封処理を実行させる。帯封処理の実行中を除く特定の状態下において、帯封紙は、装着ユニットに巻き戻されているため、紙葉類処理装置において装着ユニットや帯封ユニットが相対移動をしたときに、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることが防止される。
【0016】
前記搬送部は、前記帯封処理の実行中にエラーが発生したときに、前記第2条件が成立したとして、前記帯封紙を巻き戻す、としてもよい。
【0017】
帯封処理の実行中にエラーが発生すると、操作者は、紙葉類処理装置の筐体を開けて、エラーの解除を行うことになる。エラー解除の際に、操作者が装着ユニット及び/又は帯封ユニットを移動させることも起こり得るが、帯封紙を装着ユニットまで巻き戻しておくことにより、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることを防止することができる。
【0018】
紙葉類処理装置は、バラの紙葉類が投入される投入部と、前記紙葉類を集積する集積部と、制御部と、を備え、前記制御部は、帯封処理の指示を受けて、前記投入部に投入された紙葉類のうち、帯封対象の前記紙葉類を前記集積部に集積させると共に、前記紙葉類帯封機構に対し、前記集積部に集積している前記紙葉類を帯封させる。
【0019】
そして、前記搬送部は、前記帯封処理を開始した後、前記投入部が空になると共に、前記集積部が空になったときに、前記第2条件が成立したとして、前記帯封紙を巻き戻す、としてもよい。
【0020】
投入部及び集積部が共に空になると、帯封処理は実質的に終了し、紙葉類処理装置は待機状態にあると考えられる。紙葉類処理装置が待機状態にあるときに帯封紙を装着ユニットまで巻き戻しておくことにより、操作者が装着ユニット及び/又は帯封ユニットを移動させても、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることが防止される。
【0021】
前記制御部は、前記帯封処理の終了後、次の帯封処理の指示を受けないまま所定時間が経過したときに、前記第2条件が成立したとして、前記帯封紙を巻き戻す、としてもよい。
【0022】
次の帯封処理の指示を受けないまま所定時間が経過すれば、紙葉類処理装置は待機状態にあると考えられる。帯封紙を装着ユニットまで巻き戻すことにより、紙葉類処理装置の待機中に、操作者が装着ユニット及び/又は帯封ユニットを移動させても、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることが防止される。この条件は、集積部に端数の紙葉類が集積しているときであっても、帯封紙を装着ユニットまで巻き戻すことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、前記の紙葉類帯封機構及び紙葉類処理装置によると、帯封紙がリールから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、紙幣整理機の外観を例示する斜視図である。
図2図2は、紙幣整理機の内部構成を例示する図である。
図3図3は、リールセット部の構成を示す斜視図である。
図4図4は、帯封紙の巻き戻しの手順の一部を示す遷移図である。
図5図5は、帯封紙の巻き戻しの手順の一部を示す遷移図である。
図6図6は、汚損紙幣を再識別するときの紙幣の搬送経路を説明する図である。
図7図7は、紙幣処理機の内部構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、紙葉類帯封機構及び紙葉類処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、紙葉類帯封機構及び紙葉類処理装置の一例である。
【0026】
(紙幣整理機の構成例)
図1は、紙葉類処理装置としての紙幣整理機1の外観を示している。図2は、紙幣整理機1の内部の構成を示している。紙幣整理機1は、紙幣を識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する帯封処理を実行することができる。尚、以下の説明においては、便宜上、図1における紙面左手前を前、紙面右奥を後と呼ぶ場合がある。これに従うと、「前」は、図2における紙面左、「後」は、図2における紙面右である。
【0027】
紙幣整理機1には、紙幣を集積する第1外部集積部11及び第2外部集積部12と、バラ紙幣が投入される投入部13、リジェクト紙幣を集積するリジェクト部14、帯封された紙幣を出金するための投出部15、及び、後述する端数紙幣を返却する返却部16がそれぞれ設けられている。
【0028】
投入部13は、筐体100の前面の上部に設けられている。投入部13の前面は筐体100の外部に開口している。操作者は投入部13の内部にバラ紙幣を投入することができる。投入部13は、複数枚の紙幣を、集積した状態で保持することができる。投入部13には、例えば、様々な金種を含む紙幣が投入される。投入部13は、保持している紙幣を、繰り出しローラ131によって一枚一枚、筐体100の内部へ繰り出す。
【0029】
第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、紙幣整理機1の筐体100の上部に、前後に並んで設けられている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、紙幣の取出口が筐体100の外部に開口している。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
【0030】
リジェクト部14は 筐体100の前面において、投入部13の下側に設けられている。リジェクト部14の前面は筐体100の外部に開口している。リジェクト部14は、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、リジェクト部14に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
【0031】
投出部15は、筐体100の前面の下部に開口している。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体100の外に投出される。投出部15から投出された帯封紙幣は、予め置かれた容器等に入る。
【0032】
返却部16は、筐体100の上部に設けられている。返却部16は、紙幣が載るトレイ161を有している。トレイ161は、図2に実線及び一点鎖線で示すように、前後方向に移動する。紙幣を載せたトレイ161が、一点鎖線に示すように前進すると、操作者は、トレイ161から紙幣を、手で取り出すことができる。
【0033】
紙幣整理機1の上部には、表示部17が設けられている。表示部17は、返却部16の上側に配設されている。表示部17は、タッチパネルからなる。表示部17は、操作者が操作を行うための操作部を兼用する。表示部17は、紙幣整理機1が行っている紙幣の処理状況等の情報を表示する。操作者が表示部17に表示されている画面に応じて操作を行うことにより、紙幣整理機1に関する各種の設定を行ったり、紙幣整理機1に各種の処理を実行させたりすることができる。
【0034】
図2に示すように、紙幣整理機1は、筐体100の内部に、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、紙幣搬送部3、第1~第5集積部31~35、紙幣運搬部36、帯封部51、リールセット部4、及び、制御部101を備えている。
【0035】
紙幣搬送部3は、紙幣の搬送方向の順に、投入部13から、識別部18、第1反転部21、リジェクト部14、第2反転部22、第1~第5集積部31~35、第1外部集積部11及び第2外部集積部12までの間において、バラ紙幣の搬送を行う。紙幣搬送部3は、筐体100の内部に配設された搬送路を有している。搬送路は、詳細な図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出する通過センサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。紙幣搬送部3は、所定の間隔を設けて、紙幣を一枚一枚、搬送路に沿って搬送する。紙幣搬送部3はまた、図示は省略するが、紙幣の長手の縁を前にして、紙幣を搬送する。
【0036】
識別部18は、紙幣の搬送方向について、投入部13の下流に設けられている。識別部18は、搬送路に沿って搬送される紙幣の金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。
【0037】
第1反転部21は、例えばスイッチバック方式に構成される。第1反転部21は、識別部18の識別結果に応じて、紙幣の表裏及び天地方向の両方を、選択的に反転する。第1反転部21は、紙幣の、少なくとも表裏を揃えることができる。
【0038】
第1反転部21の前側には、リジェクト部14が配設されている。リジェクト部14につながる搬送路141は、紙幣の搬送方向について第1反転部21の下流から分岐している。第1反転部21は、紙幣をリジェクト部14に選択的に送る分岐爪を有している。制御部101は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かす。このことによって、リジェクト紙幣と識別された紙幣は、リジェクト部14へ搬送される。
【0039】
第2反転部22は、紙幣の搬送幅方向の向きを、選択的に反転するよう構成されている。搬送幅方向は、紙幣の搬送方向に直交する方向である。この紙幣整理機1において搬送幅方向は、紙幣の長手方向に相当する。
【0040】
第2反転部22における反転機構の構成の詳細は省略するが、反転機構は、様々な公知の構成を採用することができる。この紙幣整理機1は、反転部として、第1反転部21と第2反転部22との二種類の反転部を備えることにより、第1反転部21及び第2反転部22を通過した紙幣の表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
【0041】
第1~第5集積部31~35は、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側に配設されている。第1~第5集積部31~35は、上下方向に並んで配設されている。第1~第5集積部31~35は、帯封対象の紙幣を、例えば金種毎に集積する。操作者は、第1~第5集積部31~35に集積する紙幣の種類を、予め設定することができる。
【0042】
第2反転部22の下流において紙幣を搬送する搬送路は、第1~第5集積部31~35の前側でかつ、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側において、第1~第5集積部31~35に沿うように上下方向に伸びて配設されている。上下方向に伸びる搬送路から分岐した五つの分岐路が、第1~第5集積部31~35のそれぞれに接続されている。紙幣は、第1~第5集積部31~35のそれぞれに対し、前側から投入される。投入された紙幣は、第1~第5集積部31~35のそれぞれにおいて集積される。
【0043】
図示は省略するが、各分岐路の分岐箇所には、紙幣の搬送方向を切り替える分岐爪が設けられている。制御部101は、識別部18の識別結果に応じて、各分岐爪を動かす。このことによって、紙幣は、第1~第5集積部31~35に、選択的に投入される。
【0044】
上下方向に伸びる搬送路の下流側は、途中で二つに分岐して、第1外部集積部11及び第2外部集積部12のそれぞれに接続されている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、第2反転部22の下流につながっている。分岐箇所には、図示は省略するが、分岐爪が配設されている。制御部101は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かすことにより、紙幣は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に、選択的に投入される。
【0045】
紙幣整理機1において、投入部13、リジェクト部14、第1外部集積部11、第2外部集積部12、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、及び、紙幣搬送部3は、ユニット化されている(整理ユニット6)。整理ユニット6は、図2に一点鎖線で示すように、紙幣整理機1から前方に引き出すことが可能に構成されている。操作者は、紙幣整理機1が処理をしている最中にエラーが発生したときには、必要に応じて、整理ユニット6を引き出して、エラーの解除を行う。整理ユニット6を引き出すと、第1~第5集積部31~35が筐体100の外に露出する。整理ユニット6を引き出した状態において操作者は、第1~第5集積部31~35に集積している紙幣を、第1~第5集積部31~35から手で取り出すことも可能である。
【0046】
紙幣運搬部36は、上下方向に並んだ第1~第5集積部31~35の後側に配設されている。紙幣運搬部36は、紙幣を掴むアーム部361と、アーム部361を上下方向に往復移動させるガイド部362とを備えている。ガイド部362は、上下方向に伸びている。アーム部361は、ガイド部362に沿って上下方向に移動をする。アーム部361は、第1~第5集積部31~35それぞれの高さ位置に位置づけられ、第1~第5集積部31~35に集積されている紙幣を、後方に向かって取り出す。
【0047】
帯封部51は、第2反転部22の下側に配設された帯封ユニット5内に収容されている。帯封ユニット5は、図示は省略するが、整理ユニット6や、後述するリールセット部4と同様に、紙幣整理機1から前方に引き出すことが可能に構成されている。操作者は、主にエラーを解除するときに、帯封ユニット5を紙幣整理機1の前方に引き出す。
【0048】
帯封部51は、紙幣運搬部36の下端部に位置している。紙幣運搬部36は、第1~第5集積部31~35から取り出した紙幣を、帯封部51に運搬する。帯封部51の構成の詳細な図示は省略するが、帯封部51は、公知の様々な構成を採用することができる。帯封部51は、例えば紙幣の束の外周囲に帯封紙を巻き付けることによって帯封を行うようにしてもよい。帯封部51はまた、帯封紙によって形成した輪の中に紙幣の束を挿入することによって帯封を行うようにしてもよい。
【0049】
図4に模式的に示す構成例において、帯封部51は、リールセット部4から送られてきた帯封紙451の先端を掴むハンド53と、ハンド53にまで帯封紙451を送る搬送ローラ54と、を有している。ハンド53は、帯封紙451の先端を掴んだ状態で紙幣の束の外周囲を周回することにより、帯封紙451を紙幣の束の外周囲に巻き付ける。搬送ローラ54は、リールセット部4と帯封ユニット5との間において帯封紙451を搬送する帯封紙搬送部の一部を構成する。
【0050】
帯封ユニット5内において、帯封部51の前側には、第2運搬部52が設けられている。第2運搬部52は、帯封部51が帯封をした帯封紙幣を、前方に向かって投出部15まで搬送する。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体100の外に投出される。
【0051】
紙幣整理機1が帯封処理を行った際、帯封枚数(例えば、100枚)に至らずに第1~第5集積部31~35に紙幣が残ってしまう場合がある。紙幣運搬部36は、第1~第5集積部31~35に残った端数紙幣を、必要に応じて、返却部16へ運搬する。
【0052】
リールセット部4は、帯封部51に供給する帯封紙451のリール45がセットされる。リールセット部4は、帯封ユニット5の下側に、帯封ユニット5に隣り合って配設されている。リールセット部4は、図2に一点鎖線で示すように、紙幣整理機1から前方に引き出すことが可能に構成されている。リールセット部4に帯封紙451のリール45を装着するときには、操作者は、リールセット部4を、紙幣整理機1の前方に引き出す。尚、図示は省略するが、リールセット部4は、紙幣整理機1の筐体100から引き出されたこと、及び、筐体100に押し込まれたことを検知するセンサを有している。リールセット部4の構成の詳細は、後述する。
【0053】
リールセット部4、帯封ユニット5、及び、リールセット部4と帯封ユニット5との間において帯封紙を搬送する搬送部(搬送ローラ54、及び、後述する帯封紙搬送部42)によって、紙幣に対して帯封紙451を帯封する紙葉類帯封機構40が構成されている。
【0054】
制御部101は、図示は省略するが、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、紙幣搬送部3、第1~第5集積部31~35、紙幣運搬部36、帯封ユニット5、及び、リールセット部4が、信号の授受可能に接続されている。制御部101は、前述した第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、紙幣搬送部3、第1~第5集積部31~35、紙幣運搬部36、帯封ユニット5、及び、リールセット部4に制御信号を出力する。紙幣整理機1は、紙幣を識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する帯封処理を行う。
【0055】
より詳細に、帯封処理において紙幣整理機1は、投入部13に投入されたバラの紙幣を一枚ずつ繰り出し、識別部18が、紙幣の識別及び計数をする。紙幣搬送部3は、識別結果に基づいて、帯封対象の紙幣を第1~第5集積部31~35へ搬送し、それ以外の紙幣を、第1外部集積部11又は第2外部集積部12へ搬送する。リジェクト紙幣と識別された紙幣は、リジェクト部14へ搬送する。第1反転部21及び第2反転部22は、紙幣を、適宜反転することにより、第1~第5集積部31~35に集積する紙幣の表裏及び天地の向きを揃える。
【0056】
第1~第5集積部31~35の内、いずれかの集積部において帯封枚数の紙幣が集積されると、紙幣運搬部36が、集積部から紙幣を取り出すと共に、取り出した紙幣を、帯封部51へと運搬する。帯封部51は、紙幣の帯封を行い、帯封紙幣は、第2運搬部52から投出部15を通じて、紙幣整理機1から外へ投出される。
【0057】
投入部13に投入された紙幣が全て紙幣整理機1に取り込まれた後、帯封枚数に至らずに第1~第5集積部31~35に残った端数紙幣は、返却部16に返却される。具体的には、紙幣運搬部36が、端数紙幣を第1~第5集積部31~35から取り出すと共に、返却部16のトレイ161へ搬送する。端数紙幣を載せたトレイ161が前進することによって、端数紙幣が、自動的に操作者に返却される。端数紙幣を、紙幣整理機1の外に払い出すことによって、端数紙幣の取り忘れを防止することができる。
【0058】
尚、端数紙幣を、返却部16を通じて返却するのではなく、第1~第5集積部31~35にそのまま残すことも可能である(いわゆる残置運用)。
【0059】
(リールセット部の構成)
図3は、リールセット部4の構成例を示している。リールセット部4は、帯封紙451のリール45が装着される装着部41と、リール45から引き出された帯封紙451を、帯封部51へ搬送する帯封紙搬送部42の一部と、装着部41と帯封紙搬送部42との間で、帯封紙451に印字をする印字部43とを備えている。リールセット部4は、装着ユニットの一例である。
【0060】
装着部41は、リール軸が上下方向となるようにリール45が載置されるテーブル411を有している。リール45の向きを水平向きにすることにより、紙幣整理機1の小型化に有利になる。テーブル411は、上下方向に伸びる軸を中心に、時計回り方向及び反時計回り方向に回転するよう構成されている。テーブル411には、ベルト413を介してリール駆動モータ412が接続されている。リール駆動モータ412は、リール45が帯封紙451の巻き取り方向に回転するよう、テーブル411を回転させる。
【0061】
装着部41は、リール45の外径を検出することによって帯封紙451が少なくなったことを検出するエンプティセンサ414を有している。制御部101は、エンプティセンサ414の検出信号を受けたときに、表示部17を通じて操作者に対しリール45の交換を促す。
【0062】
帯封紙451は、リール45から水平方向に引き出される。帯封紙451の表面及び裏面は、水平方向を向いている。印字部43は、例えばドットインパクト式のプリンタによって構成されている。水平方向に引き出された帯封紙451に対し、印字ヘッドによってインクリボンが叩きつけられることにより、帯封紙451の表面(つまり、リール45に巻かれている帯封紙451の外側の面)に印字が行われる。
【0063】
帯封紙451の搬送方向において、印字部43よりも下流側でありかつ、帯封紙搬送部42の上流側の位置には、帯封紙451をねじって案内するねじりガイド44が配設されている。ねじりガイド44は、表面及び裏面が水平方向を向いた帯封紙451を、表面が上向きでかつ裏面が下向きとなるように帯封紙451をねじる。ねじりガイド44は、第1ガイド441と第2ガイド442とによって構成されている。詳細な図示は省略するが、第1ガイド441と第2ガイド442とは、帯封紙451の搬送路上において、帯封紙451が通過可能な隙間を空けて、対向して配設されている。第1ガイド441と第2ガイド442とによって形成される隙間は、帯封紙451の進入口において縦向きに形成される一方で、帯封紙451の退出口において横向きに形成されている。隙間は進入口と退出口との間で縦向きから横向きへと向きを変える。
【0064】
帯封紙搬送部42は、送りローラ421(図4及び5参照)と、送りローラ421を駆動する送りモータ422と、を有している。
【0065】
送りモータ422は、送りローラ421に挟まった帯封紙451を、帯封部51へ送るように駆動をする。送りモータ422は、電気モータによって構成されている。送りモータ422は、具体的には、ステッピングモータ、DCモータ、又は、ブラシレスモータ等によって構成してもよい。制御部101は、送りモータ422の駆動と停止とを制御する。送りモータ422が駆動することによって、帯封紙451は、リールセット部4から上方に搬送されて、帯封ユニット5に供給される。
【0066】
帯封紙搬送部42にはまた、図4等に示すように、帯封紙451の先端を検知する帯封紙検知センサ423が配設されている。帯封紙検知センサ423は、リールセット部4において、帯封ユニット5に近い位置に配設されている。帯封紙検知センサ423は、例えば、帯封紙451の搬送経路に配設した透遮光センサによって構成してもよい。透遮光センサが、透光と遮光とが変化したことを検知することによって、帯封紙451の先端の通過を検知することができる。
【0067】
(帯封紙の巻き戻し)
紙幣整理機1の紙葉類帯封機構40は、上下方向に重なったリールセット部4と帯封ユニット5との間で、帯封紙451がまたがっている。帯封ユニット5において、帯封紙451は、搬送ローラ54に挟まっている。帯封紙451がこの状態にあるときに、図1に一点鎖線で示すようにリールセット部4が紙幣整理機1から引き出されたり、図示は省略するが帯封ユニット5が紙幣整理機1から引き出されたりすると、帯封紙451がリール45から不必要に引き出されたり、帯封紙451が途中で切断したりする恐れがある。こうなると、復旧作業が面倒になってしまう。そこで、この紙幣整理機1は、所定の条件が成立したときには、帯封紙をリールセット部4に巻き戻すよう構成されている。
【0068】
所定の条件の1つは、エンプティセンサ414が、リール45を交換すべきことを検出したことである。制御部101は、エンプティセンサ414の検出信号を受けたときに、前述したように、表示部17を通じて操作者に対しリール45の交換を促すと共に、帯封紙搬送部に対し、帯封紙451の巻き戻しを実行させる。
【0069】
図4及び図5は、帯封紙451の巻き戻しの手順を模式的に示している。図4のP1は、紙幣の束の帯封を行うとき様子を示している。帯封紙451の先端は、ハンド53に捕まれる。図4のP2は、帯封が終わった直後の様子を示している。帯封紙451の先端は、帯封ユニット5の搬送ローラ54に挟まれている。
【0070】
制御部101は、エンプティセンサ414の検出信号を受けると、先ず、搬送ローラ54の駆動を切る。これにより、搬送ローラ54に挟まれている帯封紙451は、巻き戻しが許容される。次いで、制御部101は、図5のP3に示すように、リールセット部4のリール駆動モータ412を、帯封紙451の巻き戻し方向に駆動させる。これにより、帯封紙451の先端は、帯封ユニット5からリールセット部4に戻る。
【0071】
制御部101は、帯封紙検知センサ423が透光を検知したことを受けて、リール駆動モータ412を停止させる。帯封紙451の先端は、帯封紙検知センサ423よりもリール45側に位置している。帯封紙451は、リールセット部4内に収まっているから、操作者が、リール45を交換するために、リールセット部4を紙幣整理機1から引き出したときに、帯封紙451が不必要に引き出されたり、帯封紙451が途中で切断したりすることが防止される(図5のP4参照。尚、P4は後述するように、帯封紙451の先端の位置を調節した状態を示している。エンプティセンサ414の検出時に、帯封紙451の先端の位置を調節は行われない)。
【0072】
紙幣整理機1は、エンプティセンサ414の検知以外の条件が成立したときも、帯封紙451の巻き戻しを行う。具体的に制御部101は、帯封処理を開始した後、投入部13に投入されたバラ紙幣が全て繰り出されて、投入部13が空になると共に、第1~第5集積部31~35が全て空になったときに、帯封紙451の巻き戻しを行う(巻き戻し条件1)。帯封処理が終了をして、紙幣整理機1が待機状態にあると考えられるためである。紙幣整理機1が待機状態にあるときには、操作者が誤って、リールセット部4や、帯封ユニット5を引き出してしまうことがある。
【0073】
制御部101はまた、帯封処理の終了後、次の帯封処理の指示を受けないまま所定時間(例えば10秒)が経過したときに、帯封紙451の巻き戻しを行う(巻き戻し条件2)。帯封処理が終了をして、紙幣整理機1が待機状態にあると考えられるためである。このときも、前記と同様に、操作者が誤って、リールセット部4や、帯封ユニット5を引き出してしまうことがある。
【0074】
制御部101はさらに、帯封処理の実行中にエラーが発生したときに、帯封紙451の巻き戻しを行う(巻き戻し条件3)。操作者がエラーを解除するために、リールセット部4や、帯封ユニット5を引き出すことがある。
【0075】
これら巻き戻し条件1~3の三つの条件のうちのいずれかの条件が成立したときにも、制御部101は、前記と同様に、帯封紙検知センサ423が透光を検知するまで帯封紙451の巻き戻しを行うが、制御部101はその後、送りモータ422を、送り方向に、所定量だけ駆動させる。そして、帯封紙検知センサ423が遮光を検知したことを受けて、制御部101は、送りモータ422を停止する。これにより、帯封紙451の先端は、図5のP4に示すように、エンプティセンサ414の検知により帯封紙451の巻き戻しを行うときよりも、帯封ユニット5に近い位置になる。送りモータ422による送り量は、帯封紙451の先端が、リールセット部4内に位置する限度において、適宜、設定される。
【0076】
エンプティセンサ414が検知をしたときには、リール45の交換作業が行われる。これに対し、エンプティセンサ414の検知以外の条件が成立したときには、リール45の交換作業が行われずに、帯封処理が再開される。この場合、帯封処理が速やかに再開されることが好ましい。そこで、エンプティセンサ414の検知以外の条件が成立したときには、リールセット部4に巻き戻した帯封紙451の先端を、帯封ユニット5にできるだけ近い位置に位置づけておく。帯封紙451の先端位置の調節を行うことにより、リールセット部4から帯封ユニット5へ帯封紙451を速やかに送ることができ、帯封処理を速やかに再開することが可能になる。
【0077】
その一方で、帯封紙451の先端は、リールセット部4内に位置していて、帯封紙451は、リールセット部4と帯封ユニット5との間でまたがっていない。そのため、図5のP4に示すように、リールセット部4や帯封ユニット5が、紙幣整理機1から引き出されても、帯封紙451が不必要に引き出されたり、帯封紙451が途中で切断したりすることが防止される。
【0078】
尚、エンプティセンサ414が検知をしたときには、帯封紙検知センサ423が透光状態で、帯封紙451の巻き戻しを終了することにより、制御部101は、リール45が交換されたことを判断することが可能になる。つまり、制御部101は、センサによって検知されるリールセット部4の引き出し及び押し込みと、新しいリール45から繰り出された帯封紙451の先端によって帯封紙検知センサ423が透光から遮光に切り替わることとに基づいて、リール45が交換されたことを判断することが可能になる。
【0079】
(紙幣整理機のモードの切り替え)
紙幣整理機1は、前述した帯封処理を実行する帯封モードと、紙幣の計数を行う入金処理を実行する入金モードと、紙幣を所定枚数毎に区分するバッチ計数処理を実行するバッチモードとを切り替えることができる。
【0080】
より詳細に、入金処理において、紙幣整理機1は、投入部13に投入された紙幣を一枚ずつ繰り出し、識別部18が、紙幣の識別及び計数をする。紙幣搬送部3は、識別結果に基づいて、予め定められている分類条件に従って、紙幣を第1外部集積部11又は第2外部集積部12へ搬送する。第1反転部21及び第2反転部22は、必要に応じて紙幣を反転することにより、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積する紙幣の表裏及び天地の向きを揃える。
【0081】
またバッチ処理において、紙幣整理機1は、投入部13に投入された紙幣を一枚ずつ繰り出し、識別部18が、紙幣の識別及び計数をする。紙幣搬送部3は、識別結果に基づいて、予め定められているバッチ対象の紙幣を、第1外部集積部11及び第2外部集積部12へ搬送する。第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、指定された枚数分の紙幣を、交互に集積する。第1反転部21及び第2反転部22は、必要に応じて紙幣を反転することにより、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積する紙幣の表裏及び天地の向きを揃える。
【0082】
前述したように、紙幣整理機1は、帯封モードにおいて、帯封処理の終了後に、第1~第5集積部31~35に端数紙幣を残す残置運用が可能である。第1~第5集積部31~35に残っている端数紙幣は、計数が確定した紙幣であるため、従来の紙幣整理機においては、集積部に端数紙幣を残っていると、帯封モードは可能である一方で、帯封モードから入金モードやバッチモードに切り替えることができなかった。
【0083】
これに対し、この紙幣整理機1は、第1~第5集積部31~35に端数紙幣が残っていても、入金モードやバッチモードに切り替えることが可能に構成されている。紙幣整理機1は、入金処理やバッチ処理においては、第1~第5集積部31を使用しないため、第1~第5集積部31~35に端数紙幣を残っていても、入金処理やバッチ処理を行うことが可能である。
【0084】
また、入金処理やバッチ処理の実行中にエラーが発生したときには、前述したように、操作者は、整理ユニット6を紙幣整理機1から前方に引き出して、エラー解除を行う場合がある。整理ユニット6を引き出したときに、操作者は、第1~第5集積部31~35に残っている端数紙幣も、第1~第5集積部31~35から取り出す。紙幣整理機1は、リセット動作を行った後に、取り出された端数紙幣の戻し処理を実行する。第1~第5集積部31~35から取り出された端数紙幣は、元の第1~第5集積部31~35に戻される。こうした戻し処理を実行することにより、残置運用状態で、入金処理やバッチ処理中にエラーが発生したときでも、違算の発生を防止することができる。
【0085】
このように、紙幣整理機1は、残置運用時に、入金モード又はバッチモードに切り替えて、入金処理又はバッチ処理を実行することが可能である。また、その後、入金モード又はバッチモードから、再び帯封モードに切り替わったときに、残置運用の状態で、帯封処理を実行することが可能になる。尚、残置運用時に帯封モードに戻るときには、第1~第5集積部31~35に集積する帯封対象の紙幣は、当初の帯封モードにおいて指定されていた紙幣と同じ紙幣に制限される。
【0086】
尚、図示は省略するが、紙幣整理機1の整理ユニット6を引き出したときに、操作者が第1~第5集積部31~35に集積している紙幣に触れることを禁止するロック機構を設けてもよい。ロック機構は、第1~第5集積部31~35のそれぞれに、電磁ロック付きの扉を取り付けてもよい。また、第1~第5集積部31~35の全体を覆う、電磁ロック付きの扉を、紙幣整理機1に取り付けてもよい。こうすることで、整理ユニット6を引き出したときに、操作者は第1~第5集積部31~35に集積している紙幣に触れることができないため、前述したエラー解除の際の戻し処理を省略することができる。
【0087】
(汚損紙幣の再識別)
識別部18の正損判定は、紙幣のインク厚みや素材等の要因によって、表裏及び天地の方向によって、その判定精度に、ばらつきが発生する。そこで、識別部18の正損判定の精度を高めて、汚損紙幣と判定される紙幣の数を減らすために、紙幣整理機1は、汚損紙幣と識別した紙幣の向きを揃えた上で、もう一度、識別を行うよう構成されている。
【0088】
図6は、帯封モードにおける汚損紙幣の搬送経路を説明する図である。前述の通り、投入部13に投入された紙幣は、識別部18によって識別される。識別の結果、汚損紙幣以外の帯封対象の紙幣は、第1反転部21及び第2反転部22を通過して、第1~第5集積部31~35のうちの所定の集積部3aに集積される。これに対し、汚損紙幣と識別された紙幣は、第1~第5集積部31~35のうち、前記集積部3aとは別の集積部3bに集積される。この集積部3bに集積される紙幣は、再識別の対象となる。再識別用の集積部3bに集積する前に、第1反転部21及び第2反転部22は、汚損紙幣と識別された紙幣を反転し、表裏及び天地の両方を揃える。このときに、第1反転部21及び第2反転部22は、正損判定の精度が最も高い向きに、紙幣を揃える。
【0089】
投入部13に投入された紙幣が全て繰り出された後、紙幣運搬部36は、再識別用の集積部3bに集積されている紙幣を、返却部16へ運搬する。操作者は、返却部16から紙幣を取り出して、再度、投入部13に投入し(図6の破線の矢印参照)、紙幣の再識別を行う。紙幣の向きが揃っているため、識別精度が高まる。汚損紙幣と識別される紙幣が減る。識別部18が再識別をした結果、汚損紙幣と判定されなかった紙幣は、所定の集積部3aへ搬送され、そこに集積される。一方、識別部18が再識別をした結果、再び、汚損紙幣と判定された紙幣は、図6に二点鎖線で示すように、リジェクト部14に払い出される。
【0090】
尚、汚損紙幣を識別された紙幣を、集積部に集積する代わりに、図6に一点鎖線で示すように、第1反転部21及び第2反転部22において表裏及び天地の向きを揃えた後、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積してもよい。この場合、操作者は、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積されている紙幣を、投入部13に再投入する。
【0091】
また、図示は省略するが、紙幣整理機1の内部において、集積部3bから識別部18に紙幣を送ることができる搬送経路を設け、紙幣の再識別を自動的に行うことが可能に構成してもよい。
【0092】
また、識別をし直す回数は、2回に限らず、3回以上としてもよい。3回以上の識別を行う場合には、識別の都度、紙幣の表裏及び天地を揃える向きを変更してもよい。
【0093】
紙幣整理機1は、汚損紙幣を識別された紙幣ではなく、リジェクト紙幣と識別された紙幣の再識別を、前述した手順によって行うようにしてもよい。
【0094】
(紙幣処理機の構成例)
ここに開示する技術は、図1等に示す紙幣整理機1に適用することに限らない。図7は、ここに開示する技術が適用可能な紙葉類処理装置の例としての帯封紙幣処理機200を示している。帯封紙幣処理機200は、図示は省略するが、いわゆる出納機の一部を構成している。
【0095】
帯封紙幣処理機200は、所定枚数(例えば100枚)の紙幣を一つに束ねた帯封紙幣を作成しかつ、帯封紙幣を装置内に収納すると共に、指定された金種及び束数の帯封紙幣を、装置外に出金する処理を行う。
【0096】
帯封紙幣処理機200は、帯封機構201と、第一搬送機構202と、昇降機構203と、第二搬送機構204と、五つのスタッカ205と、を備える。帯封機構201と、第一搬送機構202とによって帯封ユニット209が構成される。
【0097】
帯封機構201は、バラ紙幣の束を運搬する運搬部115の前方に設けられている。帯封機構201は、バラ紙幣の束を帯封することによって帯封紙幣を作成する。
【0098】
第一搬送機構202は、帯封機構201の前方に設けられている。第一搬送機構202は、前後方向に延びる上下一対のベルトユニットを有している。第一搬送機構202は、上下一対のベルトユニットの間に帯封紙幣を挟んで、前方の昇降機構203へ帯封紙幣を搬送する。
【0099】
昇降機構203は、帯封紙幣処理機200の前面に沿うように上下に延びる昇降スペース203aと、帯封紙幣を載置した状態で、昇降スペース203a内を昇降するリフト203bとを含んでいる。昇降スペース203aは、その上部において入出金口206につながり、その下部において投出口207につながる。リフト203bは、投出口207の位置を待機位置とし、この待機位置と第一搬送機構202及び入出金口206がある上限位置との間を昇降する。
【0100】
リフト203bは、ベースと、ベース上に積層されかつ、ベースに対して傾斜可能な載置板とを備える。帯封紙幣を載せたリフト203bが待機位置にあるときに載置板が傾斜すると、帯封紙幣が載置板から滑り落ちて投出口207から投出される。また、リフト203bは、第一搬送機構202から帯封紙幣を受け取り、受け取った帯封紙幣を第二搬送機構204まで搬送する。さらに、リフト203bは、第二搬送機構204から帯封紙幣を受け取り、受け取った帯封紙幣を入出金口206や投出口207の位置まで搬送する。
【0101】
第二搬送機構204は、前後に離れて配置された一対のローラの間に架け渡されたベルトによって構成されている。ベルトは、図7における時計回りと反時計回りの双方に周回することができる。ベルトには、複数の突起が等間隔で形成されている。ベルトの周回に伴って突起が前後に移動することにより、ベルトの下方に設けられた束搬送路204bの上を、突起に押されて帯封紙幣が移動する。尚、昇降スペース203a内に張り出しているベルトの前端部は、昇降スペース203a内から退避可能に構成されている。
【0102】
スタッカ205は、帯封機構201により生成された帯封紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、5つのスタッカ205のそれぞれに対し、一万円、千円、5千円等の金種が割り当てられている。スタッカ205内には、帯封紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された帯封紙幣を昇降するため、スタッカ205内に昇降ステージ205aが設けられている。
【0103】
束搬送路204bには、各スタッカ205の上方にシャッターにより開閉される出入口が設けられている。束搬送路204bからスタッカ205へ帯封紙幣を収納する際やスタッカ205から束搬送路204bへ帯封紙幣を送り出す際にシャッターが開放され、出入口が開く。出入口を通じてスタッカ205に帯封紙幣が出し入れされる。
【0104】
帯封ユニット209の下側には、リールセット部208が配設されている。帯封ユニット209とリールセット部208とは上下に重なっている。リールセット部208内には、帯封ユニット209に供給する帯封紙のリール208aがセットされる。リール208aから引き出された帯封紙は、帯封ユニット209に供給される。図示は省略するが、帯封紙は、帯封ユニット209とリールセット部208との間にまたがる。
【0105】
リールセット部208は、図7に一点鎖線で示すように、帯封紙幣処理機200の前部筐体の一部と共に、帯封紙幣処理機200から前方に引き出すことが可能に構成されている。リールセット部208に帯封紙のリール208aを装着するときには、操作者は、リールセット部208を、帯封紙幣処理機200の前方に引き出す。帯封紙幣処理機200においては、帯封ユニット209とリールセット部208とによって、紙葉類帯封機構210が構成される。
【0106】
この帯封紙幣処理機200においても、上下方向に重なったリールセット部208と帯封ユニット209との間で、帯封紙がまたがる。帯封紙がまたがっている状態で、リールセット部208と帯封ユニット209とが相対移動すると、帯封紙はリール208aから不必要に引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりする。そこで、この帯封紙幣処理機200も、所定の条件、つまり、交換検知センサ(エンプティセンサ)が、リール208aを交換すべきことを検知したとき、帯封処理の終了後、次の帯封処理の指示を受けないまま所定時間が経過したとき(巻き戻し条件2)、及び、帯封処理の実行中にエラーが発生したとき(巻き戻し条件3)に、帯封紙をリールセット部208に巻き戻すよう構成されている。帯封紙の巻き戻し手順は、前記と同様に行えばよい(図4及び5参照)。帯封紙の先端がリールセット部208a内に位置するまで帯封紙を巻き戻すことにより、リールセット部208と帯封ユニット209とが相対移動しても、帯封紙がリール208aから引き出されたり、帯封紙が途中で切断したりすることが防止される。
【0107】
尚、ここに開示する技術は、紙幣の処理を行う装置に限らず、小切手や商品券等の有価媒体を含む紙葉類を処理する装置に、広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 紙幣整理機(紙葉類処理装置)
101 制御部
13 投入部
200 帯封紙幣処理機(紙葉類処理装置)
208 リールセット部(装着ユニット)
208a リール
209 帯封ユニット
210 紙葉類帯封機構
31~35 第1~第5集積部(集積部)
4 リールセット部(装着ユニット)
40 紙葉類帯封機構
414 エンプティセンサ(交換検知センサ)
42 帯封紙搬送部
423 帯封紙検知センサ
45 リール
451 帯封紙
5 帯封ユニット
54 搬送ローラ(帯封紙搬送部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7