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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】硬貨入出金装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G07D1/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018132084
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020009348
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】秋田 基晴
(72)【発明者】
【氏名】村岡 至紘
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-021174(JP,U)
【文献】特開平11-016025(JP,A)
【文献】特開昭64-057394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収納する硬貨収納部と、
前記硬貨収納部の排出口から排出される前記硬貨を搬送する硬貨搬送路と、
前記硬貨の搬送方向の下流側の端部に設けられる第1硬貨出金口と、
前記硬貨搬送路上における、前記硬貨収納部の前記排出口と前記第1硬貨出金口との間に設けられ、かつ前記硬貨搬送路を規定する第1側面及び第2側面のうち前記第1側面に固定される第1硬貨規制部と、
前記第1硬貨規制部より前記搬送方向の下流側に設けられる第1支持部と、
を備え、
前記第1硬貨規制部は、前記搬送方向とは反対方向を向く内面が前記搬送方向にいくに従って、前記硬貨搬送路における前記搬送方向に直交する幅方向であって、前記第1側面から前記第2側面に向かう幅方向に湾曲する第1規制湾曲部を含み、
前記第1支持部は、前記第1規制湾曲部における前記搬送方向を向く外面の端部を支持する当接部と、前記搬送方向とは反対方向を向く内面が前記搬送方向にいくに従って、前記硬貨搬送路における前記搬送方向に直交する方向であって、前記第2側面から前記第1側面に向かう幅方向に湾曲する第1支持湾曲部とを含み、
前記硬貨搬送路を上方から見た場合に、前記硬貨搬送路の一方の側面側では前記第1規制湾曲部が前記第1支持湾曲部より前記搬送方向の上流側に位置しており、前記硬貨搬送路の他方の側面側では前記第1支持湾曲部が前記第1規制湾曲部より前記搬送方向の上流側に位置しており、
前記第1硬貨規制部は、当該第1硬貨規制部の下端が、前記硬貨搬送路上に前記硬貨が立った状態のときの当該硬貨の上端よりも低い位置になるように配置されており、
前記第1硬貨規制部及び前記第1支持湾曲部のそれぞれと前記硬貨搬送路との間には、前記硬貨が前記硬貨搬送路上に倒れた状態で通過可能な間隙が形成されており、
前記第1支持湾曲部は、前記第1硬貨規制部の下端の位置よりも低い位置に配置されている、
硬貨入出金装置。
【請求項2】
前記第1規制湾曲部は、弾性部材から成る、
請求項1に記載の硬貨入出金装置。
【請求項3】
前記第1規制湾曲部は、シート状に形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の硬貨入出金装置。
【請求項4】
前記硬貨搬送路の両側に設けられ、前記硬貨の搬送領域を規定する第1ガイド部及び第2ガイド部をさらに備え、
前記第1ガイド部は、前記硬貨搬送路より前記硬貨入出金装置の内側に設けられ、
前記第2ガイド部は、前記硬貨搬送路より前記硬貨入出金装置の外側に設けられ、
前記第1硬貨規制部は、前記第1ガイド部に固定される、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項5】
前記硬貨搬送路上における、前記硬貨収納部の前記排出口より前記搬送方向の上流側に設けられる第2硬貨規制部をさらに備え、
前記第2硬貨規制部は、前記搬送方向を向く内面が前記搬送方向とは反対方向にいくに従って、前記硬貨搬送路における前記搬送方向に直交する幅方向に湾曲する第2規制湾曲部を含む、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項6】
前記第2硬貨規制部より前記搬送方向の上流側に設けられる第2支持部をさらに備え、
前記第2支持部は、前記第2規制湾曲部における前記搬送方向とは反対方向を向く外面を支持する、
請求項5に記載の硬貨入出金装置。
【請求項7】
前記第2支持部は、前記搬送方向を向く内面が前記搬送方向とは反対方向にいくに従って、前記硬貨搬送路における前記搬送方向に直交する幅方向に湾曲する第2支持湾曲部を含む、
請求項6に記載の硬貨入出金装置。
【請求項8】
前記硬貨搬送路の前記搬送方向の上流側の端部に設けられる第2硬貨出金口をさらに備え、
前記硬貨搬送路は、前記搬送方向を逆転することが可能に構成される、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の硬貨入出金装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨入出金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗等において、商品代金として入金された硬貨を収納したり、収納された硬貨を商品代金に応じて釣銭として出金したりする硬貨入出金装置が広く利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、前記硬貨入出金装置は、例えば、硬貨入金口から入金された硬貨を金種別に分類して硬貨収納部に収納し、当該硬貨収納部から釣銭としての硬貨を硬貨搬送路(搬送ベルト)上に排出し、排出された硬貨を前記硬貨搬送路の搬送動作(ベルト回転動作)により硬貨出金口に搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-56210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、前記硬貨入出金装置において、前記硬貨収納部から前記硬貨搬送路上に排出された硬貨が、前記硬貨搬送路の移動方向に転がって前記硬貨出金口に勢い良く搬送されたり、前記移動方向とは反対の意図しない方向に転がって前記硬貨出金口に正常に搬送されなかったりする場合がある。このような場合、利用者は、釣銭としての硬貨を取り損ねたり取り忘れたりする問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、硬貨収納部から排出された硬貨を確実に硬貨出金口に搬送することが可能な硬貨入出金装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る硬貨入出金装置は、硬貨を収納する硬貨収納部と、前記硬貨収納部の排出口から排出される前記硬貨を搬送する硬貨搬送路と、前記硬貨の搬送方向の下流側の端部に設けられる第1硬貨出金口と、前記硬貨搬送路上における、前記硬貨収納部の前記排出口と前記第1硬貨出金口との間に設けられる第1硬貨規制部と、を備え、前記第1硬貨規制部は、前記搬送方向とは反対方向を向く内面が前記搬送方向にいくに従って、前記硬貨搬送路における前記搬送方向に直交する幅方向に湾曲する第1規制湾曲部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬貨収納部から排出された硬貨を確実に硬貨出金口に搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る硬貨入出金装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る硬貨入出金装置の内部構造を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す硬貨搬送部の一部を拡大した斜視図である。
図4図4は、図3に示す硬貨搬送部を搬送方向のA方向の上流側から見た斜視図である。
図5図5は、図4に示す構成において側面カバーを透視した状態を示す斜視図である。
図6図6は、図4に示す構成において側面カバーを省略した状態を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る硬貨規制部及び支持部の外観を示す斜視図である。
図8図8は、図3に示す硬貨搬送部を搬送方向のB方向の上流側から見た斜視図である。
図9図9は、図8に示す構成において側面カバーを透視した状態を示す斜視図である。
図10図10は、図8に示す構成において側面カバーを省略した状態を示す斜視図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る硬貨規制部及び支持部の外観を示す斜視図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態に係る硬貨規制部を示す斜視図である。
図13図13は、本発明の他の実施形態に係る硬貨規制部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の各実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0011】
本発明に係る硬貨入出金装置は、例えば、店舗、ガソリンスタンド等の施設において、POS端末等に接続されて使用される。前記硬貨入出金装置は、例えば自動釣銭機としての機能を有する。以下では、本発明に係る硬貨入出金装置の一実施形態として、ガソリンスタンドに設置される自動釣銭機を例に挙げて説明する。また本実施形態に係る硬貨入出金装置は、利用者が両面から操作することが可能な構成を有するものとする。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る硬貨入出金装置100の外観を示す斜視図である。図2は、硬貨入出金装置100の内部構造を斜め上方から見た斜視図である。
【0013】
硬貨入出金装置100は、一方側(表面)から操作可能な入出金部110Aと、他方側(裏面)から操作可能な入出金部110Bとを備えている。入出金部110Aは、硬貨を入金(投入)するための硬貨入金口113Aと、紙幣を入金又は出金するための紙幣入出金口112Aと、硬貨を出金するための硬貨出金口111Aとを含んでいる。同様に、入出金部110Bは、硬貨を入金するための硬貨入金口113Bと、紙幣を入金又は出金するための紙幣入出金口(図示せず)と、硬貨を出金するための硬貨出金口111Bとを含んでいる。硬貨出金口111Aは、硬貨入出金装置100の下方に設けられる硬貨搬送部130の一端に配置されており、硬貨出金口111Bは、硬貨搬送部130の他端に配置されている。
【0014】
図2に示すように、硬貨入出金装置100の内部の上方には、硬貨集金部101と、入金硬貨搬送部102A,102Bと、搬送通路切換機構103と、硬貨収納部104とが設けられている。硬貨入金口113Aから入金された硬貨及び硬貨入金口113Bから入金された硬貨は、硬貨集金部101に集められる。硬貨集金部101に集められた硬貨は、硬貨識別部(図示せず)により金種が識別され、対応する硬貨収納部104に収納される。硬貨収納部104には、例えば1円、5円、10円、50円、100円及び500円硬貨を個別に収納することができる6個の硬貨収納部を含んでいる。尚、図2では、硬貨搬送部130の構造を視認し得るように、硬貨収納部104を透過した状態で表している。硬貨収納部104の底面には、収納された硬貨を搬送ベルト134上に排出する排出口105が設けられている。図1には、排出口105を模式的に示している。
【0015】
硬貨識別部は、公知の方法、例えば硬貨の大きさ(厚みを含む)、重量、材質等から金種を識別し、硬貨識別信号を制御部(図示せず)に送信する。また、紙幣識別部(図示せず)は、公知の方法、例えば紙幣の印刷パターン(透かしを含む)、印刷インクの材質、縦横寸法等から金種を識別し、紙幣識別信号を制御部に送信する。
【0016】
制御部は、硬貨識別部からの硬貨識別信号を受信し、硬貨識別信号に応じて所定の硬貨収納部104に硬貨を搬送する搬送指令信号を搬送通路切換機構103に送信する。
【0017】
例えば、制御部は、硬貨識別部から1円硬貨の硬貨識別信号を受信すると、1円硬貨用の硬貨収納部104に硬貨を搬送する搬送指令信号を搬送通路切換機構103に送信する。これにより、搬送通路切換機構103に通じる搬送路を搬送する1円硬貨が、1円硬貨用の硬貨収納部104に落下して収納される。
【0018】
また、制御部は、釣銭が必要となったときに所定の硬貨収納部104の駆動部(図示せず)に駆動指令信号を送信する。具体的には、制御部は、硬貨識別部にて金種を識別された硬貨の枚数を計数して合計金額を算出し、かつ外部からの商品代金信号を受信し、合計金額と商品代金信号に含まれる金額とを比較して釣銭が必要であるか否かを判断する。そして、制御部は、釣銭が必要な場合に釣銭に応じた硬貨収納部104に駆動指令信号を送信する。硬貨収納部104は、駆動指令信号に応じて、釣銭としての硬貨Mを硬貨搬送部130に排出する。
【0019】
硬貨搬送部130は、硬貨収納部104から排出される硬貨Mを硬貨出金口111A,111Bに搬送して出金する。硬貨搬送部130は、硬貨Mの搬送方向をA方向及びB方向に相互に切り替えることが可能に構成されている。例えば、硬貨搬送部130は、硬貨MをA方向に搬送して硬貨出金口111Aに出金する。また硬貨搬送部130は、硬貨MをB方向に搬送して硬貨出金口111Bに出金する。尚、硬貨搬送部130は、例えば入出金部110Aにおいて利用者から操作(入金等)を受け付けた場合に、制御部の指令信号に基づいて、硬貨MをA方向に搬送して硬貨出金口111Aに出金する。一方、硬貨搬送部130は、例えば入出金部110Bにおいて利用者から操作(入金等)を受け付けた場合に、制御部の指令信号に基づいて、硬貨MをB方向に搬送して硬貨出金口111Bに出金する。
【0020】
ここで、硬貨Mが出金される場合、硬貨Mは、硬貨収納部104から硬貨搬送部130の搬送ベルト134(図3等参照)上に落下する。このため、硬貨Mは、例えば落下の勢いにより、本来の搬送方向とは反対方向に転がったり、本来の搬送方向に転がって勢いよく硬貨出金口111A(又は硬貨出金口111B)に出金されたりする場合がある。このような場合、利用者は、釣銭としての硬貨Mを取り損ねたり取り忘れたりする問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る硬貨入出金装置100は、硬貨収納部104から排出された硬貨Mを確実に硬貨出金口111A(又は硬貨出金口111B)に搬送することが可能な構成を有する。当該構成について、以下に具体的に説明する。
【0021】
図3は、図2に示す硬貨搬送部130の一部を拡大した斜視図である。硬貨搬送部130は、硬貨Mを搬送する搬送ベルト134(本発明の硬貨搬送路に対応)と、搬送ベルト134より硬貨入出金装置100の内側に設けられるガイド部131(本発明の第1ガイド部に対応)と、搬送ベルト134より硬貨入出金装置100の外側に設けられるガイド部132(本発明の第2ガイド部に対応)と、搬送ベルト134上において硬貨出金口111A(図1参照)より搬送方向(A方向)の上流側に設けられる硬貨規制部150Aと、搬送ベルト134上において硬貨出金口111B(図1参照)より搬送方向(B方向)の上流側に設けられる硬貨規制部150Bと、を含んでいる。ガイド部131、132は、搬送ベルト134の両側に設けられ、硬貨Mの搬送領域を規定する。
【0022】
硬貨規制部150Aの搬送方向(A方向)の下流側には、支持部160Aが設けられ、硬貨規制部150Bの搬送方向(B方向)の下流側(A方向の上流側)には、支持部160Bが設けられている。ガイド部131の下方には、搬送ベルト134に沿って配置されるガイドレール133が設けられている。ガイドレール133には、搬送路上に突出する突出部135が設けられている。ガイドレール133及び突出部135は、搬送ベルト134に対して左右対称となるように、さらに、ガイド部132に設けられてもよい。突出部135は、ガイドレール133に沿って立った状態で転動する硬貨Mを搬送ベルト134上に横倒しにする機能を有する。
【0023】
硬貨搬送部130は、例えば入出金部110Aにおいて利用者から操作(入金等)を受け付けた場合に、制御部の指令信号に基づいて駆動ローラ134R(図9参照)を正回転させることにより搬送ベルト134を一方向に回転駆動させて、硬貨MをA方向に搬送する。また硬貨搬送部130は、例えば入出金部110Bにおいて利用者から操作(入金等)を受け付けた場合に、制御部の指令信号に基づいて駆動ローラ134Rを逆回転させることにより搬送ベルト134を逆方向に回転駆動させて、硬貨MをB方向に搬送する。このように、硬貨搬送部130は、硬貨Mの搬送方向をA方向及びB方向で相互に切り替える(逆転する)構成を有する。以下の説明では、前記搬送方向がA方向に設定される場合を例に挙げて説明する。
【0024】
図4は、図3に示す硬貨搬送部130を搬送方向のA方向の上流側から見た斜視図である。図5は、図4に示す構成において側面カバー120を透視した状態を示し、図6は、図4に示す構成において側面カバー120を省略した状態を示している。
【0025】
硬貨規制部150Aは、搬送ベルト134上における、硬貨Mの搬送方向の下流側の端部の近傍に設けられている。より具体的には、硬貨規制部150Aは、硬貨入出金装置100を上方に見て、硬貨収納部104における硬貨の排出口105(又は搬送ベルト134上の硬貨Mの落下位置)と硬貨出金口111Aとの間に設けられている。支持部160Aは、硬貨規制部150Aにおける前記搬送方向を向く外面(背面)を支持するように搬送ベルト134上に設けられている。
【0026】
図7は、硬貨規制部150A及び支持部160Aの外観を示す斜視図である。硬貨規制部150Aは、固定部151Aと、湾曲部152Aとを含んでいる。硬貨規制部150Aは、弾性部材から成り、例えばPET(Poly Ethylene Terephthalate)等の樹脂フィルム、ゴム等で形成されている。固定部151Aは、端部(図7では左端部)から点線部153Aまでの領域であり、当該領域が、両面テープ等の接着材料又はネジ等によりガイド部131に固定される。湾曲部152Aは、搬送方向のA方向とは反対方向を向く内面154AがA方向に向けて湾曲しており、曲面状に形成されている。換言すると、湾曲部152Aの内面154Aが凹状態となるように湾曲している。より詳細には、湾曲部152Aの内面154Aは、A方向にいくに従って、搬送ベルト134におけるA方向に直交する幅方向C(図6参照)の中心C1(図9参照)に向かうように湾曲している。湾曲部152Aの湾曲状態は、湾曲部152Aの外面を支持する支持部160Aにより保持される。
【0027】
支持部160Aは、当接部161Aと、湾曲部162Aとを含んでいる。支持部160Aは、硬貨規制部150Aより硬い材料から成り、例えばポリカーボネート等の樹脂材料で形成されている。当接部161Aは、湾曲部152Aの外面に当接するとともに、支持部160Aの両側面がガイド部131,132に形成されるスリット(図示せず)に挿入されて固定される。湾曲部162Aは、搬送方向のA方向とは反対方向を向く内面163AがA方向に向けて湾曲しており、曲面状に形成されている。換言すると、湾曲部162Aの内面163Aが凹状態となるように湾曲している。より詳細には、湾曲部162Aの内面163Aは、A方向にいくに従って、搬送ベルト134におけるA方向に直交する幅方向C(図6参照)の中心C1(図9参照)に向かうように湾曲している。
【0028】
硬貨規制部150A及び支持部160Aは、図7に示す状態で、搬送ベルト134上に設けられる。このため、搬送方向(A方向)の上流側から見た場合に、搬送ベルト134の一方側(内側)に湾曲部152Aの一部が露出し、搬送ベルト134の他方側(外側)に湾曲部162Aの一部が露出した状態となる。換言すると、硬貨搬送部130を上方から見た場合に、搬送ベルト134の一方の側面側であるガイド部131側では湾曲部152Aが湾曲部162AよりB方向側(上流側)に位置しており、搬送ベルト134の他方の側面側であるガイド部132側では湾曲部162Aが湾曲部152AよりB方向側に位置している。
【0029】
硬貨規制部150Aの湾曲部152Aと、支持部160Aの当接部161Aとは、互いに同一の高さH1を有する。硬貨規制部150A及び支持部160Aは、それぞれの下端が、搬送ベルト134の上面に硬貨M(例えば1円硬貨)が立った状態のときの硬貨Mの上端よりも低い位置になるように配置される。これにより、硬貨規制部150Aと搬送ベルト134との間には、硬貨Mが搬送ベルト134上に倒れた状態で通過可能な間隙が形成される。また、前記高さH1は、硬貨規制部150A及び支持部160Aそれぞれの上端と、硬貨搬送部130の上部を覆う上部カバー121(図5参照)の下端との間隙が、硬貨Mの厚みより小さくなるように設定される。
【0030】
図8は、図3に示す硬貨搬送部130を搬送方向のA方向の下流側から見た斜視図である。図9は、図8に示す構成において側面カバー120を透視した状態を示し、図10は、図8に示す構成において側面カバー120を省略した状態を示している。
【0031】
硬貨規制部150Bは、搬送ベルト134上における、硬貨Mの搬送方向の上流側に設けられている。より具体的には、硬貨規制部150Bは、硬貨入出金装置100を上方から見て、硬貨収納部104における硬貨の排出口105(又は搬送ベルト134上の硬貨Mの落下位置)と硬貨出金口111Bとの間に設けられている。支持部160Bは、硬貨規制部150Bにおける前記搬送方向とは反対方向を向く外面(背面)を支持するように搬送ベルト134上に設けられている。
【0032】
図11は、硬貨規制部150B及び支持部160Bの外観を示す斜視図である。硬貨規制部150Bは、固定部151Bと、湾曲部152Bとを含んでいる。硬貨規制部150Bは、硬貨規制部150Aと同一の構成を有する。固定部151Bは、端部(図11では右端部)から点線部153Bまでの領域であり、当該領域が、両面テープ等の接着材料又はネジ等によりガイド部131に固定される。湾曲部152Bは、搬送方向のA方向を向く内面154BがB方向に向けて湾曲しており、曲面状に形成されている。換言すると、湾曲部152Bの内面154Bが凹状態となるように湾曲している。湾曲部152Bの湾曲状態は、湾曲部152Bの外面を支持する支持部160Bにより保持される。
【0033】
支持部160Bは、当接部161Bと、湾曲部162Bとを含んでいる。支持部160Bは、支持部160Aと同一の構成を有する。当接部161Bは、湾曲部152Bの外面に当接するとともに、支持部160Bの両側面がガイド部131,132に形成されるスリット(図示せず)に挿入されて固定される。湾曲部162Bは、搬送方向のA方向を向く内面163BがB方向に向けて湾曲しており、曲面状に形成されている。換言すると、湾曲部162Bの内面163Bが凹状態となるように湾曲している。
【0034】
硬貨規制部150B及び支持部160Bは、図11に示す状態で、搬送ベルト134上に設けられる。このため、搬送方向(A方向)の下流側から見た場合に、搬送ベルト134の一方側(内側)に湾曲部152Bの一部が露出し、搬送ベルト134の他方側(外側)に湾曲部162Bの一部が露出した状態となる。換言すると、硬貨搬送部130を上方から見た場合に、搬送ベルト134の一方の側面側であるガイド部131側では湾曲部152Bが湾曲部162BよりA方向側(下流側)に位置しており、搬送ベルト134の他方の側面側であるガイド部132側では湾曲部162Bが湾曲部152BよりA方向側に位置している。
【0035】
硬貨規制部150Bの湾曲部152Bと、支持部160Bの当接部161Bとは、互いに同一の高さH2を有する。高さH2は、硬貨規制部150Aの湾曲部152A及び支持部160Aの当接部161Aの高さH1と同一であってもよいし異なっていてもよい。硬貨規制部150B及び支持部160Bは、それぞれの下端が、搬送ベルト134の上面に硬貨M(例えば1円硬貨)が立った状態のときの硬貨Mの上端よりも低い位置になるように配置される。
【0036】
本実施形態に係る硬貨入出金装置100によれば、硬貨収納部104から硬貨搬送部130に排出された硬貨Mが、搬送ベルト134上に落下した後、落下した勢いにより搬送ベルト134上を搬送方向(例えば図1に示すA方向)に転動した場合に、当該硬貨Mは硬貨規制部150Aに接触する。硬貨規制部150Aには曲面状の湾曲部152A(図7参照)が設けられているため、硬貨規制部150Aに接触した硬貨Mは、湾曲部152Aの形状に沿って転動した後に搬送ベルト134上に転倒する。
【0037】
また、搬送ベルト134上に落下した硬貨Mが、搬送ベルト134上における硬貨入出金装置100の外側を転動した場合には、当該硬貨Mは支持部160Aに接触する。支持部160Aには曲面状の湾曲部162A(図7参照)が設けられているため、支持部160Aに接触した硬貨Mは、湾曲部162Aの形状に沿って転動した後に搬送ベルト134上に転倒する。
【0038】
硬貨規制部150A又は支持部160Aにより転倒させられた硬貨Mは、搬送ベルト134上に載置された状態となるため、搬送ベルト134の回転動作に従って硬貨出金口111Aに誘導される。このように、搬送ベルト134上を転動する硬貨Mを確実に転倒させることができるため、硬貨Mを確実に硬貨出金口111Aに搬送することが可能となる。
【0039】
また、湾曲部152Aは弾性を有し、湾曲部152Aの外面が支持部160Aにより支持されている。これにより、硬貨Mが湾曲部152Aに接触したときに硬貨Mの転動の勢いが湾曲部152Aの撓みにより吸収されるため、硬貨Mの跳ね返りを防ぐことができる。このため、硬貨Mを、当該硬貨Mが湾曲部152Aに接触した位置に確実に転倒させることができる。
【0040】
また、硬貨規制部150Aの湾曲部152Aと、支持部160Aの当接部161Aとは、上部カバー121(図5参照)に達する程度の高さH1(図7参照)を有する。このため、搬送ベルト134上に落下した硬貨Mが、硬貨規制部150A及び支持部160Aを乗り越えることがなく、搬送ベルト134上に確実に転倒させることができる。
【0041】
また、搬送方向(A方向)とは反対方向(B方向)に、硬貨規制部150Bが設けられている。このため、硬貨Mが搬送ベルト134上に落下した後、落下した勢いにより搬送ベルト134上を反対方向(B方向)に転動した場合であっても、硬貨規制部150A及び支持部160Aと同様に、硬貨規制部150B及び支持部160Bにより、搬送ベルト134上を転動する硬貨Mを確実に転倒させることができる。硬貨規制部150B又は支持部160Bにより転倒させられた硬貨Mは、搬送ベルト134上に載置された状態となるため、搬送ベルト134の回転動作に従って硬貨出金口111Aに誘導される。よって、硬貨Mを確実に硬貨出金口111Aに搬送することが可能となる。
【0042】
また、硬貨規制部150A及び硬貨規制部150Bは、搬送ベルト134より硬貨入出金装置100の内側に配置されたガイド部131に固定され、ガイド部132又は硬貨入出金装置100の取り外し可能な側面カバー120等に固定されない。このため、例えば既存の硬貨入出金装置に硬貨規制部150A及び硬貨規制部150Bを容易に取り付けることができる。また、硬貨入出金装置100のメンテナンスの際に硬貨規制部150A及び硬貨規制部150Bを取り外す必要がない。
【0043】
尚、硬貨Mの搬送方向がB方向に設定される場合も、上述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
ここで、硬貨規制部150A及び支持部160Aは、硬貨収納部104における硬貨の排出口105と硬貨出金口111Aとの間、かつ、突出部135と硬貨出金口111Aとの間に設けられることが好ましい。これにより、ガイドレール133(図6参照)に沿って転動する硬貨Mを、突出部135に接触させて搬送ベルト134の中央側に誘導させることにより、硬貨規制部150Aの湾曲部152A及び支持部160Aの湾曲部162Aの内側に誘導することができる。よって、硬貨Mを湾曲部152A、162Aに確実に接触させることができるため、搬送ベルト134上に確実に転倒させることができる。同様に、硬貨規制部150B及び支持部160Bは、硬貨収納部104における硬貨の排出口105と硬貨出金口111Bとの間、かつ、突出部135と硬貨出金口111Bとの間に設けられることが好ましい。
【0045】
本発明に係る硬貨入出金装置100は上述の構成に限定されない。
【0046】
他の実施形態として、硬貨入出金装置100は、利用者が片面(例えば、入出金部110A)からのみ操作可能な構成であってもよい。この場合、硬貨Mの搬送方向は一方向(A方向)となるため、硬貨Mの搬送方向の下流側にのみ、硬貨規制部及び支持部が設けられてもよい。これにより、少なくとも、搬送方向に転動する硬貨Mを確実に転倒させることができる。
【0047】
また他の実施形態として、図12に示すように、支持部160Aは、湾曲部162Aが省略され、当接部161Aのみで構成されてもよい。この場合、硬貨規制部150Aに対称配置される硬貨規制部170Aが設けられることが好ましい。硬貨規制部170Aの固定部171A、すなわち、端部(図12では左端部)から点線部173Aまでの領域が、両面テープ等の接着材料又はネジ等によりガイド部132(図6参照)に固定される。支持部160Aは、硬貨規制部150Aの湾曲部152Aと、硬貨規制部170Aの湾曲部172Aとを外面(背面)から支持する。支持部160B及び硬貨規制部150Bについても上記と同様の構成を採用することができる。
【0048】
また他の実施形態として、硬貨入出金装置100は、支持部(支持部160A、160B)が省略されてもよい。この場合、図13に示すように、硬貨規制部(硬貨規制部150A、150B)は、搬送ベルト134上を横断するように、両側のガイド部131、132に亘って固定される構成とすることができる。図13に示す硬貨規制部150Aは、固定部151Aがガイド部131に固定され、固定部155Aがガイド部132に固定される。また図13に示す硬貨規制部150Aは、例えば、弾性を有する材料(弾性部材)で構成されてもよいし、ポリカーボネート等の樹脂材料(樹脂部材)で構成されてもよい。また硬貨規制部150Aは、シート状に形成されてもよい。
【0049】
本発明に係る硬貨入出金装置100において、硬貨規制部150Aの湾曲部152A、硬貨規制部150Bの湾曲部152B、支持部160Aの湾曲部162A、及び支持部160Bの湾曲部162Bは、硬貨Mの搬送方向とは反対方向を向く内面が前記搬送方向にいくに従って、搬送ベルト134における前記搬送方向に直交する幅方向に湾曲する構成である。具体的には、各湾曲部152A,152Bは、固定部151A,151Bが固定されるガイド部131から、中心C1(図9参照)を超えた位置(例えばガイド部131に対向するガイド部132)に向かうように湾曲する構成でもよいし、中心C1よりガイド部131側の位置に向かうように湾曲する構成でもよい。また各湾曲部152A,152Bは、固定部151A,151Bが固定されるガイド部131から中心C1に向かうように湾曲する構成であることが好ましい。同様に、支持部160Aの湾曲部162A及び支持部160Bの湾曲部162Bは、一方のガイド部から、中心C1を超えた位置(例えば他方のガイド部)に向かうように湾曲する構成でもよいし、中心C1より当該一方のガイド部側の位置に向かうように湾曲する構成でもよい。また各湾曲部162A,162Bは、中心C1に向かうように湾曲する構成であることが好ましい。
【0050】
尚、硬貨Mの搬送方向がA方向に設定される場合、硬貨出金口111Aは本発明の第1硬貨出金口に対応し、硬貨規制部150Aは本発明の第1硬貨規制部に対応し、湾曲部152Aは本発明の第1規制湾曲部に対応し、支持部160Aは本発明の第1支持部に対応し、湾曲部162Aは本発明の第1支持湾曲部に対応する。また、硬貨出金口111Bは本発明の第2硬貨出金口に対応し、硬貨規制部150Bは本発明の第2硬貨規制部に対応し、湾曲部152Bは本発明の第2規制湾曲部に対応し、支持部160Bは本発明の第2支持部に対応し、湾曲部162Bは本発明の第2支持湾曲部に対応する。
【0051】
また、硬貨Mの搬送方向がB方向に設定される場合、硬貨出金口111Bは本発明の第1硬貨出金口に対応し、硬貨規制部150Bは本発明の第1硬貨規制部に対応し、湾曲部152Bは本発明の第1規制湾曲部に対応し、支持部160Bは本発明の第1支持部に対応し、湾曲部162Bは本発明の第1支持湾曲部に対応する。また、硬貨出金口111Aは本発明の第2硬貨出金口に対応し、硬貨規制部150Aは本発明の第2硬貨規制部に対応し、湾曲部152Aは本発明の第2規制湾曲部に対応し、支持部160Aは本発明の第2支持部に対応し、湾曲部162Aは本発明の第2支持湾曲部に対応する。
【符号の説明】
【0052】
100 :硬貨入出金装置
101 :硬貨集金部
102A :入金硬貨搬送部
102B :入金硬貨搬送部
104 :硬貨収納部
105 :排出口
110A :入出金部
110B :入出金部
111A :硬貨出金口
111B :硬貨出金口
112A :紙幣入出金口
113A :硬貨入金口
113B :硬貨入金口
120 :側面カバー
121 :上部カバー
130 :硬貨搬送部
131 :ガイド部
132 :ガイド部
133 :ガイドレール
134 :搬送ベルト
135 :突出部
150A :硬貨規制部
150B :硬貨規制部
151A :固定部
152A :湾曲部
154A :内面
160A :支持部
160B :支持部
161A :当接部
162A :湾曲部
163A :内面
H1 :高さ
H2 :高さ
M :硬貨
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13