(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
B60J 7/02 20060101AFI20221117BHJP
B60J 7/043 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B60J7/02 A
B60J7/043
(21)【出願番号】P 2018132127
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000108889
【氏名又は名称】ベバスト ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋江 享
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-216244(JP,A)
【文献】特開2017-043350(JP,A)
【文献】特開2015-058839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0091334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
B60J 7/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフのアウターパネルに形成されたルーフ開口を密閉する全閉位置と、当該全閉位置から下方に降下した降下位置と、上記アウターパネルの下方に沈み込んで上記ルーフ開口を開放する全開位置とに移動可能なサンルーフリッドと、
被係合部を有し、上記サンルーフリッドの下面にリッド幅方向両側でリッド開閉方向に延びるように取り付けられた1対の長尺状のリッド支持部材と、
上記リッド支持部材の被係合部にスライド可能に係合する係合部を有するスライダと、
上記スライダに下方向から当接して当該スライダを案内するガイド壁部を有するガイドレールとを備え、
上記スライダの係合部を上記被係合部に係合させた状態で上記スライダをリッド閉方向に移動させることで、上記サンルーフリッドを上記降下位置から全閉位置に移動させるように構成されたサンルーフ装置であって、
上記リッド支持部材は、リッド幅方向外側に突出する外側突出片部と、リッド幅方向内側に突出する内側突出片部とをさらに有し、
上記ガイドレールは、
上記サンルーフリッドが上記降下位置よりもリッド開方向側に位置する開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部及び内側突出片部の上方への移動を規制する規制壁部をさらに有し、
上記ガイドレールの規制壁部の少なくとも一部が、上記ガイド壁部と上下方向に重なる位置に位置していることを特徴とするサンルーフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンルーフ装置において、
上記スライダは、リッド幅方向内側に張り出す内側スライダ部、及びリッド幅方向外側に張り出す外側スライダ部をさらに有し、
上記ガイドレールのガイド壁部は、上記スライダの外側スライダ部に下方から当接する第1外側下壁部、及び上記スライダの内側スライダ部に下方から当接する第1内側下壁部であり、
上記ガイドレールの規制壁部は、上記サンルーフリッドが上記降下位置よりもリッド開方向側に位置する開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部に上方から当接又は間隔を空けて対向する外側規制壁部、及び上記開状態で上記リッド支持部材の内側突出片部に上方から当接又は間隔を空けて対向する内側規制壁部であり、
上記ガイドレールは、上記第1外側下壁部に対向する外側対向壁部、上記第1内側下壁部に対向する内側対向壁部、上記開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部に下方から当接する第2外側下壁部、及び上記開状態で上記リッド支持部材の内側突出片部に下方から当接する第2内側下壁部をさらに有していることを特徴とするサンルーフ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のサンルーフ装置において、
上記ガイドレールの第2内側下壁部が上記第1内側下壁部とは別に設けられ、かつ上記ガイドレールの第2内側下壁部のリッド幅方向の少なくとも一部が、上記第1内側下壁部と上下方向に重なる位置に位置している構成、及び上記ガイドレールの第2外側下壁部が上記第1外側下壁部とは別に設けられ、かつ上記ガイドレールの第2外側下壁部のリッド幅方向の少なくとも一部が、上記第1外側下壁部と上下方向に重なる位置に位置している構成の少なくとも一方の構成を備えることを特徴とするサンルーフ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のサンルーフ装置において、
上記リッド支持部材は、板面をリッド幅方向に向けてリッド開閉方向に延びる長板状の主面部、及び当該主面部の一部を舌片状に切欠いて、該切欠いた部分を折り曲げてなる舌片部を有する金属プレートと、上記金属プレートの舌片部を覆う被覆部を有し、上記金属プレートに一体成形されて上記被係合部を形成する樹脂部とを備え、
上記舌片部及び被覆部が上記内側突出片部を構成していることを特徴とするサンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフのアウターパネルに形成されたルーフ開口を密閉する全閉位置と、上記アウターパネルの下方に沈み込んで上記ルーフ開口を開放する全開位置とに移動可能なサンルーフリッドを備えたサンルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたサンルーフ装置は、車両のルーフのアウターパネルに形成されたルーフ開口を密閉する全閉位置と、当該全閉位置から下方に降下した降下位置と、上記アウターパネルの下方に沈み込んで上記ルーフ開口を開放する全開位置とに移動可能なサンルーフリッドと、被係合部を有し、上記サンルーフリッドの下面にリッド幅方向両側でリッド開閉方向に延びるように取り付けられた1対の長尺状のリッド支持部材と、上記リッド支持部材の被係合部にスライド可能に係合する係合部を有するスライダと、上記スライダに下方向から当接して当該スライダを案内するガイド壁部を有するガイドレールとを備え、上記スライダの係合部を上記被係合部に係合させた状態で上記スライダをリッド閉方向に移動させることで、上記サンルーフリッドを上記降下位置から全閉位置に移動させるように構成されている。また、上記リッド支持部材は、リッド幅方向外側に突出する外側突出片部をさらに有し、上記ガイドレールは、上記サンルーフリッドが上記降下位置よりもリッド開方向側に位置する開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部の上方への移動を規制する規制壁部をさらに有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、上記開状態で、リッド支持部材の外側突出片部、すなわちリッド支持部材のリッド幅方向外側の部分の上方への移動は規制されるが、リッド支持部材のリッド幅方向内側の部分の上方への移動は規制されない。したがって、上記開状態で車両の衝突等によりスライダにリッド閉方向への大きな荷重が作用し、スライダの係合部が被係合部をリッド閉方向に高速で移動し、サンルーフリッドに突き上げ荷重が作用すると、リッド支持部材が撓んで上記外側突出片部が規制壁部の下から抜け出て、その結果、リッド支持部材がガイドレールから上方に離脱するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リッド支持部材がガイドレールから上方に離脱するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、車両のルーフのアウターパネルに形成されたルーフ開口を密閉する全閉位置と、当該全閉位置から下方に降下した降下位置と、上記アウターパネルの下方に沈み込んで上記ルーフ開口を開放する全開位置とに移動可能なサンルーフリッドと、被係合部を有し、上記サンルーフリッドの下面にリッド幅方向両側でリッド開閉方向に延びるように取り付けられた1対の長尺状のリッド支持部材と、上記リッド支持部材の被係合部にスライド可能に係合する係合部を有するスライダと、上記スライダに下方向から当接して当該スライダを案内するガイド壁部を有するガイドレールとを備え、上記スライダの係合部を上記被係合部に係合させた状態で上記スライダをリッド閉方向に移動させることで、上記サンルーフリッドを上記降下位置から全閉位置に移動させるように構成されたサンルーフ装置であって、上記リッド支持部材は、リッド幅方向外側に突出する外側突出片部と、リッド幅方向内側に突出する内側突出片部とをさらに有し、上記ガイドレールは、上記サンルーフリッドが上記降下位置よりもリッド開方向側に位置する開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部及び内側突出片部の上方への移動を規制する規制壁部をさらに有し、上記ガイドレールの規制壁部の少なくとも一部が、上記ガイド壁部と上下方向に重なる位置に位置していることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、上記開状態でリッド支持部材の上方への移動がリッド支持部材のリッド幅方向両側で規制されるので、車両の衝突等によりサンルーフリッドに突き上げ荷重が作用しても、リッド支持部材がガイドレールの上方に離脱しにくい。
【0008】
また、ガイドレールの規制壁部とガイド壁部とを上下方向に重ならない位置に配置した場合に比べ、ガイドレールのリッド幅方向の寸法を小さくできる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係るサンルーフ装置において、上記スライダは、リッド幅方向内側に張り出す内側スライダ部、及びリッド幅方向外側に張り出す外側スライダ部をさらに有し、上記ガイドレールのガイド壁部は、上記スライダの外側スライダ部に下方から当接する第1外側下壁部、及び上記スライダの内側スライダ部に下方から当接する第1内側下壁部であり、上記ガイドレールの規制壁部は、上記サンルーフリッドが上記降下位置よりもリッド開方向側に位置する開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部に上方から当接又は間隔を空けて対向する外側規制壁部、及び上記開状態で上記リッド支持部材の内側突出片部に上方から当接又は間隔を空けて対向する内側規制壁部であり、上記ガイドレールは、上記第1外側下壁部に対向する外側対向壁部、上記第1内側下壁部に対向する内側対向壁部、上記開状態で上記リッド支持部材の外側突出片部に下方から当接する第2外側下壁部、及び上記開状態で上記リッド支持部材の内側突出片部に下方から当接する第2内側下壁部をさらに有していることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明に係るサンルーフ装置において、上記ガイドレールの第2内側下壁部が上記第1内側下壁部とは別に設けられ、かつ上記ガイドレールの第2内側下壁部のリッド幅方向の少なくとも一部が、上記第1内側下壁部と上下方向に重なる位置に位置している構成、及び上記ガイドレールの第2外側下壁部が上記第1外側下壁部とは別に設けられ、かつ上記ガイドレールの第2外側下壁部のリッド幅方向の少なくとも一部が、上記第1外側下壁部と上下方向に重なる位置に位置している構成の少なくとも一方の構成を備えることを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、第1内側下壁部と第2内側下壁部とを上下方向に重ならない位置に配置し、かつ第1外側下壁部と第2外側下壁部と上下方向に重ならない位置に配置した場合に比べ、ガイドレールのリッド幅方向の寸法を小さくできる。
【0012】
また、リッド支持部材の外側突出片部に当接する第2外側下壁部を、スライダの外側スライダ部に当接する第1外側下壁部とは別に設けた場合には、スライダの外側スライダ部、及びリッド支持部材の外側突出片部の両方を第1外側下壁部に当接させる場合に比べ、第1外側下壁部が損傷しにくい。したがって、第1外側下壁部の損傷による不具合を防止できる。
【0013】
また、リッド支持部材の内側突出片部に当接する第2内側下壁部を、スライダの内側スライダ部に当接する第1内側下壁部とは別に設けた場合には、スライダの内側スライダ部、及びリッド支持部材の内側突出片部の両方を第1内側下壁部に当接させる場合に比べ、第1内側下壁部が損傷しにくい。したがって、第1内側下壁部の損傷による不具合を防止できる。
【0014】
第4の発明は、第1~3の発明のいずれか1つに係るサンルーフ装置において、上記リッド支持部材は、板面をリッド幅方向に向けてリッド開閉方向に延びる長板状の主面部、及び当該主面部の一部を舌片状に切欠いて、該切欠いた部分を折り曲げてなる舌片部を有する金属プレートと、上記金属プレートの舌片部を覆う被覆部を有し、上記金属プレートに一体成形されて上記被係合カム部を形成する樹脂部とを備え、上記舌片部及び被覆部が上記内側突出片部を構成していることを特徴とする。
【0015】
第4の発明によれば、金属プレートの主面部の一部を切り欠いて折り曲げるだけで舌片部を形成でき、舌片部形成用の金属部品を別途用意して金属プレートに溶着等により取り付ける必要がないので、製造コストを削減できる。
【0016】
また、内側突出片部の外表面が樹脂で構成されているので、金属で構成した場合に比べ、ガイドレールが内側突出片部との接触によって傷付くのを抑制できる。また、ガイドレールと内側突出片部との接触による異音の発生を抑制できる。
【0017】
また、内側突出片部に金属製の舌片部が埋設されることで内側突出片部の剛性が高められているので、内側突出片部がガイドレールとの接触によって破損しにくい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リッド支持部材がガイドレールから上方に離脱するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】サンルーフリッドが全閉位置にあるときのサンルーフ装置の斜視図である。
【
図2】サンルーフリッドが全開位置にあるときのサンルーフ装置の斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線における断面図である。
【
図4】サンルーフリッドが降下位置にあるときの
図3相当図である。
【
図5】サンルーフリッドが全開位置にあるときの
図3相当図である。
【
図6】リッド支持部材周りを車幅方向内側から見た斜視図である。
【
図7】リッド支持部材周りを車幅方向外側から見た斜視図である。
【
図8】サンルーフリッドが全開位置にあるときの
図7のVIII-VIII線に対応する断面図である。
【
図9】サンルーフリッドが全開位置にあるときの
図7のIX-IX線に対応する断面図である。
【
図10】サンルーフリッドが全閉位置にあり、かつシェードで室内開口を閉じた状態におけるフック部材周りの斜視図である。
【
図11】右側のガイドレールの前端部を車幅方向内側から見た斜視図である。
【
図13】
図11のXIII-XIII線における断面図である。
【
図15】カバー部材周りを車幅方向外側から見た斜視図である。
【
図16】(a)は、サンルーフリッドが全閉位置にあり、かつシェードで室内開口を閉じた状態におけるフック部材、シェード支持部材、及び係合解除部材周りを車幅方向外側から見た概略正面図である。(b)は、フック部材のリッド側第1突部がシェード支持部材のリッド側突部を押す状態を示す
図16(a)相当図である。(c)は、フック部材のリッド側第2突部がシェード支持部材を押す状態を示す
図16(a)相当図である。(d)は、フック部材のリッド側第1突部がシェード支持部材のシェード側突部に後方から当接して係合した状態を示す
図16(a)相当図である。(e)は、フック部材の被ガイド片部が係合解除部材の本体部に摺接する状態を示す
図16(a)相当図である。(f)は、フック部材が係合解除部材の本体部に上方に押し上げられた状態を示す
図16(a)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1~5は、本発明の実施形態に係るサンルーフ装置1を示す。このサンルーフ装置1は、車両のルーフ3に取り付けられる。尚、本明細書では、説明の便宜上、車体前後方向における前側を「前」、後側を「後」、車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称する。
【0022】
ルーフ3は、アウターパネル5と、該アウターパネル5を車室内側から覆うインナーパネル7とで構成され、アウターパネル5とインナーパネル7との間には、空間部Sが形成されている。アウターパネル5には、略矩形状のルーフ開口5aが形成されている一方、インナーパネル7には、略矩形状の室内開口7aが上記アウターパネル5のルーフ開口5aに対応して形成されている。
【0023】
一方、サンルーフ装置1は、前後方向にスライドして上記アウターパネル5のルーフ開口5aを開閉するサンルーフリッド9と、サンルーフリッド9を駆動する開閉機構11と、前後方向にスライドして上記インナーパネル7の室内開口7aを開閉するシェード13と、インナーパネル7の車室外側の面における室内開口7aの周縁に沿って配設されるフレーム15と、フレーム15の前端部に設けられたデフレクタ16とを備えている。
【0024】
サンルーフリッド9は、
図1及び
図3に示す全閉位置と、
図4に示す降下位置と、
図2及び
図5に示す全開位置とに移動可能に構成されている。サンルーフリッド9の下面には、1対の長尺状の
図6~9にも示すリッド支持部材19が車幅方向両側(リッド幅方向両側)で前後方向(リッド開閉方向)に延びるように取り付けられている。リッド支持部材19の後端部には、フック部材21が取り付けられている。サンルーフリッド9は、全閉位置にあるとき、その周縁部をアウターパネル5のルーフ開口5aの開口縁と密着させて、ルーフ開口5aを密閉した状態となる。全閉位置から開動作を開始するときには、
図4に示すように、サンルーフリッド9は、全閉位置から下方に降下した降下位置に移動する。サンルーフリッド9が全開位置にあるとき、サンルーフリッド9全体がアウターパネル5の下方に沈み込み、ルーフ開口5aが開放される。
【0025】
サンルーフリッド9は、略方形の透光性を有するガラスパネル23と、該ガラスパネル23の周縁部に設けられたウェザストリップ25とを有している。ガラスパネル23の後端部には、
図3~5に示すように、雨樋26が取り付けられている。
【0026】
リッド支持部材19は、板面を車幅方向に向けて前後方向に延びる長板状の主板部19aを備えている。この主板部19aには、複数の取付孔19bが前後方向に間隔を空けて形成されている。これら取付孔19bの周縁部が、図示しないブラケットを介してガラスパネル23に取り付けられている。また、主板部19aの車幅方向外側の面の後端部には、図示しない締結孔が形成され、該主板部19aの車幅方向内側の面の締結孔対応箇所には、平面視円形状の膨出部19cが形成されている。さらに主板部19aの車幅方向内側の面における長手方向中央よりも後寄りには、所定の曲線に沿って湾曲しながら略前後方向に延びる内側上壁部19dと、該内側上壁部19dの下方で該内側上壁部19dと略平行に延びる内側下壁部19eとが突設されている。そして、これら内側上壁部19dと内側下壁部19eとの間には、被係合部としての内側カム溝19fが形成されている。また、主板部19aの車幅方向内側の面における上記内側カム溝19fに前側から近接する位置には、板面を上下方向に向けた平面視矩形状の板状の内側突出片部19gが車幅方向内側に向けて一体に突設されている。
【0027】
一方、主板部19aの車幅方向外側の面における内側上壁部19d及び内側下壁部19eに対応する位置には、外側上壁部19h及び外側下壁部19iが突設され、これら外側上壁部19hと外側下壁部19iとの間には、被係合部としての外側カム溝19jが形成されている。そして、内側カム溝19f及び外側カム溝19jは、略平坦に延びる平坦領域R1と、該平坦領域R1の後方で前方(リッド閉方向)に向かって下方に傾斜する傾斜領域R2とを有している。また、主板部19aの下端縁における外側カム溝19jに前側から近接する位置には、板面を上下方向に向けた板状の後方外側突出片部19kが車幅方向外側に向けて一体に突設されている。後方外側突出片部19kの後側略半分の部分は、前側部分よりも突出長さの長い後側突出部19mを構成している。また、主板部19aの下端縁における後方外側突出片部19kから前側に離れた位置には、板面を上下方向に向けた板状の前方外側突出片部19nが車幅方向外側に向けて一体に突設されている。該主板部19aの上端縁及び下端縁には、上記外側下壁部19i、後方外側突出片部19k、及び前方外側突出片部19n突設箇所を除く車体前後方向略全体に亘って、外周リブ19pが車幅方向外側に向けて一体に突設されて、上記外側下壁部19i、後方外側突出片部19k、及び前方外側突出片部19nと連続している。
【0028】
また、主板部19aの前端部には、左右に並ぶ2つのシュー19qが設けられている。シュー19qは、主板部19aに連結された先端部19rと、先端部19rの下端から後方に延びた後、折り返して、先端部19rの後端に繋がっている帯状部19sとを有している。シュー19qは、全体として環状に形成されている。シュー19qは、樹脂で形成されており、環状の形状と相俟って弾性的に変形可能となっている。
【0029】
リッド支持部材19は、金属プレート27と、該金属プレート27に該金属プレート27を全体に亘って覆うように一体成形された樹脂部29とを有している。樹脂部29は、金属プレート27の厚さ方向両側に内側カム溝19f及び外側カム溝19jを形成している。金属プレート27は、板面をリッド幅方向に向けてリッド開閉方向に延びる長板状の主面部27aと、主面部27aの上端縁から車幅方向外側に向けて突出する上面部27bと、主面部27aの下端縁から車幅方向外側に向けて突出する下面部27cとを備えている。上記主面部27aの長手方向中央よりも若干後寄りの位置には、矩形状の切欠部27dが形成され、切欠部27dの下端縁には舌片部27eが車幅方向内側に向けて突設されている。当該舌片部27eは、主面部27aの切欠部27d対応箇所を舌片状に切欠いて、該切欠いた部分を折り曲げることで構成されている。樹脂部29の舌片部27eを覆う部分が被覆部29aを構成し、上記舌片部27eと樹脂部29の被覆部29aとが、上記内側突出片部19gを構成している。
【0030】
上記フック部材21は、長手方向一端部に鉤状のリッド側第1突部21aが形成された細長い板状部21bを有し、リッド側第1突部21aを後側で下方に突出させた状態でリッド支持部材19の後端部に取り付けられている。リッド側第1突部21aの後側端面には、上方に向けて後方に湾曲するリッド側案内面21cが形成されている。該板状部21bの長手方向他端部には、ピン挿通孔21d(
図16参照)が形成され、該板状部21bの長手方向中途部には、長手方向他端部側(前側)に向けて徐々に突出高さが短くなる平面視略三角形状のリッド側第2突部21eがリッド側第1突部21aの突出方向に突出するように形成されている。また、板状部21bの一方の面の長手方向中途部には、リッド側第1突部21aの反突出方向(上方)に開放する半筒状の被ガイド片部21fが一体に突設されている。したがって、被ガイド片部21fは、リッド側第1突部21a及びリッド側第2突部21eよりも車幅方向外側に位置している。当該被ガイド片部21fの前端部には、前方に向かって上方に湾曲するフック側案内面21f’が形成されている。このフック部材21は、当該フック部材21のピン挿通孔21dに段付きピン31を挿通させ、段付きピン31をリッド支持部材19の締結孔(図示せず)に締結させることで、リッド側第1突部21aとリッド側第2突部21eとを後側から順に下方に突出させた状態で上下方向に回動可能にリッド支持部材19の後端部に取り付けられている。また、段付きピン31には、捩りコイルバネ33が外装され、当該捩りコイルバネ33は、フック部材21のリッド側第1突部21aを下方に回動させる方向にフック部材21を付勢している。
【0031】
開閉機構11は、スライダ35と、当該スライダ35に連結されたプッシュプルケーブル37と、当該プッシュプルケーブル37を駆動する駆動モータ39とを備えている。スライダ35は、
図8にも示すように、金属プレートからなるスライダ本体41を備えている。スライダ本体41は、相対向する一対の縦壁部41aと、両縦壁部41aの一端縁を互いに連結する連結壁部41bと、各縦壁部41aの他端縁から互いに接近する方向に突出する係合壁部41cと、各縦壁部41aの反係合壁部41c側端部の前端及び後端に縦壁部41aの対向方向外側に張り出すように形成された張出部41dとを有している。スライダ本体41の縦壁部41aの係合壁部41c側端部、及び係合壁部41c全体は、樹脂製の被覆部43により被覆され、スライダ本体41の張出部41dは、樹脂製の摺動部45により被覆されている。係合壁部41cと被覆部43とで、係合部35aが構成されている。スライダ本体41と、被覆部43及び摺動部45とは、インサート成形により一体化されている。一方の係合部35aは、リッド支持部材19の内側カム溝19fにスライド可能に係合し、他方の係合部35aは、リッド支持部材19の外側カム溝19jにスライド可能に係合している。車幅方向内側の張出部41dと摺動部45とで、車幅方向内側に張り出す内側スライダ部35bが構成され、車幅方向外側の張出部41dと摺動部45とで、車幅方向外側に張り出す外側スライダ部35cが構成されている。車幅方向外側の摺動部45には、プッシュプルケーブル37が一体に形成されている。
【0032】
シェード13は、略板状のシェード本体47を有し、該シェード本体47の車室外側の面における後端部近傍には、
図10に示すように、凹所49aを有する固定部材49が上記凹所49aの開放方向を上方に向けた状態で取り付けられている。当該固定部材49には、シェード支持部材51が取り付けられている。シェード支持部材51は、前後方向に延び、その前側部分が後側部分よりも下側に位置するように段部51aが形成された長板部51bと、該長板部51bの外周縁から上方及び下方に突出する周壁部51cとを有するシェード支持部51dを備えている。このシェード支持部51dは、上記フック部材21のリッド側第1突部21a及びリッド側第2突部21eとリッド幅方向に対応する位置に位置し、かつシェード13の後端部近傍に位置している。段部51aと、段部51aよりも前側の周壁部51c及び長板部51bとで上方に開放する凹部51eが形成されている。前側の周壁部51cの上半部分が、上方に突出するシェード側突部51fを構成し、該シェード側突部51fの前側の面には、上方に向かって後方に傾斜するシェード側案内面51gが形成されている。また、シェード支持部51dの車幅方向内側の周壁部51c先端の前端部を除く部分には、板面を上下方向に向けた延出板部51hが車幅方向内側に向けて一体に延設されている。延出板部51hの先端の前後方向中央部には、前後方向に延びる矩形状の長孔51iが形成されている。この長孔51iの長手方向に対向する両端縁は、帯状の湾曲板部51jにより橋絡され、該湾曲板部51jは、長手方向中央部に向かって下方に湾曲している。シェード支持部材51は、延出板部51hの先端部を固定部材49の凹所49aに収容し、湾曲板部51jの長手方向中央部を固定部材49の凹所49a底面に圧接(当接)させた状態で、上記固定部材49に爪嵌合により取り付けられている。このように、シェード支持部材51が、固定部材49を介してシェード本体47に取り付けられている。
【0033】
フレーム15は、室内開口7aの車体前後方向前側で車幅方向に延びる前側フレーム53と室内開口7aの車幅方向両外側で前後方向に延びるように併設されたガイドレール54とを有している。前側フレーム53には上記駆動モータ39が取り付けられている。左右両側のガイドレール54は、左右対称な構成をしている。プッシュプルケーブル37は、前側フレーム53と両ガイドレール54に敷設されている。
【0034】
各ガイドレール54は、アルミ製のガイドレール本体55を備え、ガイドレール本体55は、
図11及び
図12にも示すように、上方に開放する断面浅皿状で車体前後方向に延びる主壁部55aを備え、該主壁部55aの車幅方向内側端縁には、板面を上下方向に向けた板状の内側下壁部55bが車幅方向内側に向けて延設されている。また、主壁部55aの車幅方向外側端縁には、板面を上下方向に向けた板状のガイド壁部としての第1外側下壁部55cが車幅方向外側に向けて延設されている。内側下壁部55bの車幅方向内側端縁には、内側縦壁部55dが上方に向けて全長に亘って突設され、該内側縦壁部55dの先端部には、内側上壁部55eが車幅方向外側に向けて全長に亘って突設されているとともに、内側縦壁部55dの突出方向中程には、支持壁部55fが車幅方向外側に向けて全長に亘って突設されている。したがって、支持壁部55fは内側下壁部55bに対向し、支持壁部55f全体が内側下壁部55bと上下方向に重なる位置に位置している。内側下壁部55bがガイド壁部としての第1内側下壁部を構成し、支持壁部55fが内側対向壁部及び第2内側下壁部を構成し、内側上壁部55eが内側規制壁部を構成している。そして、支持壁部55fと内側下壁部55bとの間には、第1溝部G1が形成され、支持壁部55fと内側上壁部55eとの間には第2溝部G2が形成されている。一方、第1外側下壁部55cの車幅方向外側端縁には、延出壁部55gが下方に凹む凹み部55hを構成するように延設されている。延出壁部55gの車幅方向内側端縁から若干外側に離れた箇所には、外側縦壁部55iが全長に亘って上方に向けて突設され、該外側縦壁部55iの先端には、上方に向けて車幅方向内側に傾斜する傾斜壁部55jが全長に亘って延設され、該傾斜壁部55jの先端には、外側上壁部55kが車幅方向内側に向けて全長に亘って突設されている。上記凹み部55hと外側縦壁部55iとで、ケーブルガイド溝55mが形成されている。第1外側下壁部55c、延出壁部55g、外側縦壁部55i、傾斜壁部55j、及び外側上壁部55kにより、第3溝部G3が形成されている。
【0035】
外側上壁部55kの下面における車幅方向略中央部には、前後方向に延びる凹溝部55pが形成されている。外側上壁部55kの下面は、凹溝部55pにより車幅方向外側の第1上壁部55qと車幅方向内側の外側規制壁部としての第2上壁部55rとに分割されている。第1上壁部55q及び第2上壁部55rが、第1外側下壁部55cに対向する外側対向壁部55k’を構成している。第2上壁部55rと第1外側下壁部55cの間隔は、第1上壁部55qと第1外側下壁部55cとの間隔よりも僅かに大きくなっている。また、第1外側下壁部55cにおける第2上壁部55rに対向する部分が第2外側下壁部55c”を構成している。
【0036】
また、第3溝部G3の前端には、
図12に示すように、ストッパ部材Stが配設されている。
【0037】
外側上壁部55kの先端縁における長手方向中央よりも前寄りの位置には、コ字状の第1切欠部55s及び第2切欠部55tが前側から順に互いに間隔を空けて凹溝部55pまで達するように形成されている。したがって、第1切欠部55s及び第2切欠部55tは、第2上壁部55rを前後に分断する一方、第1上壁部55qを前後方向に分断していない。
【0038】
第1切欠部55sには、第1ガイド部材57が取り付けられている。第1ガイド部材57には、車幅方向内側に開放し、略上下方向に延びる断面略コ字状の第1ガイド溝57aが凹溝部55pまで達するように形成されている。第1ガイド溝57aの下端は、第3溝部G3内に開口している。第2切欠部55tには、第2ガイド部材59が取り付けられている。第2ガイド部材59には、車幅方向内側に開放し、略上下方向に延びる断面略コ字状の第2ガイド溝59aが凹溝部55pまで達するように形成されている。第2ガイド溝59aの下端は、第3溝部G3内に開口している。
【0039】
また、外側上壁部55kの長手方向中央よりも前寄りで、かつ第2切欠部55tよりも後側の位置には、
図13にも示すように、略コ字状の第3切欠部55uが形成されているとともに、第3切欠部55uの前側に若干離れた箇所に、係止孔55vが形成されている。上記第3切欠部55uには、
図14にも示すように、樹脂製の係合解除部材61が取り付けられている。
図14は、左側のガイドレール54に取り付けられる係合解除部材61を示す。係合解除部材61は、前後方向に長く、かつ上方に向かって幅狭となる四角錐台状をなす本体部61aを備えている。本体部61aの位置は、フック部材21の被ガイド片部21fと車幅方向に対応している。本体部61aの前後両端部には、前後方向外側に向けて下方に傾斜する傾斜ガイド面61bが形成されている。本体部61aの後端部、すなわち、後側の傾斜ガイド面61bは、リッド全開状態における上記被ガイド片部21fの位置よりも前側でかつ、リッド全閉状態における上記被ガイド片部21fの位置よりも後側に位置している。該本体部61aの底面の前後方向中途部における車幅方向内側端部には、首部61cが一体に突設され、該首部61cの先端には、張出部61dが前後方向に張り出すように一体に形成されている。また、本体部61aの底面の前端部近傍における車幅方向中途部には、爪部61eが一体に突設されている。爪部61eの車幅方向外側部分には、車幅方向内側に向けて爪部61e突出方向に傾斜する傾斜面61fが形成されている。そして、係合解除部材61の本体部61a及び張出部61dが外側上壁部55kの第3切欠部55u周縁を狭持しているとともに、爪部61eが上記係止孔55vに挿入されている。上記係合解除部材61は、上記本体部61aを上側に向けた状態で上記首部61cを第3切欠部55uに挿入するとともに、上記爪部61eの傾斜面61fを上記ガイドレール本体55の外側上壁部55kの車幅方向内側の端縁に押し付けて爪部61eを反突出方向に撓ませて係止孔55vまで移動させることにより、外側上壁部55kに取り付けることができる。
【0040】
また、内側上壁部55eの先端縁における上記第2切欠部55tと対向する位置、すなわち長手方向中央よりも前寄りの位置には、コ字状の第4切欠部55e’が形成されている。
【0041】
また、内側縦壁部55dの先端よりも若干下がった位置には、車幅方向内側に向けて内側壁部55wが突設され、該内側壁部55wの上面における車幅方向中央よりも外側寄りの位置には、断面略L字状で前後方向に延びるカバー取付部55xが、内側壁部55wとで車幅方向内側に開放する第4溝部G4を構成するように突設されている。カバー取付部55xは、上記フック部材21のリッド側第1突部21a及びリッド側第2突部21eと上記シェード13のシェード側突部51fよりも車幅方向内側に位置している。
【0042】
上述のように構成されたガイドレール54の第1溝部G1には、スライダ35の内側スライダ部35bが係合し、内側下壁部55bが内側スライダ部35bに下方から当接している。第3溝部G3には、スライダ35の外側スライダ部35cが係合し、第1外側下壁部55cが外側スライダ部35cに下方から当接している。また、ケーブルガイド溝55mには、スライダ35のプッシュプルケーブル37が係合している。
【0043】
上記ガイドレール54のカバー取付部55xには、
図15に示すように、上下方向に伸縮可能な蛇腹状のカバー部材63の下端部が前後方向にスライド可能に取り付けられている。このカバー部材63の上端部は、サンルーフリッド9に固定されている。
【0044】
次に、
図16(a)~
図16(f)を参照して、上述のように構成されたサンルーフ装置1の動作を説明する。
【0045】
図16(a)は、サンルーフリッド9が全閉位置にあり、かつシェード13で室内開口7aを閉じた状態を示す。このとき、スライダ35の係合部35aが、内側カム溝19f及び外側カム溝19jの平坦領域R1に係合している。また、シュー19qがストッパ部材Stに当接し、これにより、リッド支持部材19がそれ以上前方へ移動することが防止されている。また、リッド支持部材19の前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kの前後方向の位置が、第1ガイド部材57及び第2ガイド部材59の前後方向の位置と一致している。そして、前方外側突出片部19nは、第1ガイド溝57a内に位置している。このことによっても、リッド支持部材19の前方への移動が防止されている。一方、後方外側突出片部19kは、第3溝部G3から上方へ完全に抜け出ている。また、内側突出片部19gは、第2溝部G2から上方へ完全に抜け出ている。全閉状態においては、サンルーフリッド9は、ルーフ3外面と概ね面一の状態となる。また、サンルーフリッド9のフック部材21のリッド側第1突部21aとシェード支持部材51のシェード側突部51fとが上下方向に離間して両者の係合は解除されている。したがって、シェード13をサンルーフリッド9から分離させた状態で前後方向に移動させることができる。また、フック部材21のリッド側第1突部21aとシェード支持部材51のシェード側突部51fとは前後方向にも離間している。
【0046】
次に、サンルーフリッド9が全閉位置にあり、かつシェード13で室内開口7aを閉じた状態で、駆動モータ39の駆動によりプッシュプルケーブル37を走行させてスライダ35を後方へ移動させると、スライダ35の係合部35aが、内側カム溝19f及び外側カム溝19jの平坦領域R1から傾斜領域R2に移動し、傾斜領域R2で内側下壁部19e及び外側下壁部19iを後方へ押圧する。このとき、前方外側突出片部19nと第1ガイド溝57aとの係合により、リッド支持部材19の後方への移動が規制されているので、リッド支持部材19が後方へ移動することはない。その一方で、後方外側突出片部19kは、第3溝部G3から上方へ抜け出ており、かつ内側突出片部19gも第2溝部G2から抜け出ているので、リッド支持部材19の上下方向への傾動は規制されていない。そのため、リッド支持部材19は、シュー19qを支点として後端部が下降するように傾動する。それに伴い、サンルーフリッド9も、後端部が下降するように傾動する。そして、前方外側突出片部19nは、第1ガイド部材57の第1ガイド溝57aから下方へ抜け出し第3溝部G3内に進入する。また、後方外側突出片部19kは、第2ガイド部材59の第2ガイド溝59aから下方に抜け出し、第3溝部G3内に進入する。さらに、内側突出片部19gは、第4切欠部55e’を通過して第2溝部G2に進入する。そして、前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kが第3溝部G3内において第1外側下壁部55cに当接するとともに、内側突出片部19gが第2溝部G2内において支持壁部55fに当接し、サンルーフリッド9が降下位置に到達する。この状態からスライダ35をさらに後方へ移動させると、前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kが第3溝部G3内に位置して第1ガイド部材57及び第2ガイド部材59に後方への移動を規制されていないので、サンルーフリッド9が後方へ移動する。そして、
図16(b)に示すように、フック部材21のリッド側第1突部21aのリッド側案内面21cがシェード支持部材51のシェード側突部51fのシェード側案内面51gに当接し、当該シェード側案内面51gを後方に押圧する。これにより、リッド側第1突部21aがシェード側案内面51gの傾斜(形状)に沿って移動することで、シェード側突部51fを乗り越える。この状態からスライダ35をさらに後方へ移動させると、
図16(c)に示すように、フック部材21のリッド側第2突部21eがシェード支持部材51の前側の周壁部51cの前側の面における下半部分(非傾斜領域)に当接し、シェード支持部材51を後方に押圧する。これにより、サンルーフリッド9の移動に連動してシェード13全体が後方へ移動する。この状態で、スライダ35をさらに後方へ移動させると、サンルーフリッド9が全開位置に到達するとともに、シェード13が室内開口7a全体を開放した状態となる。
【0047】
サンルーフリッド9が降下位置よりも後側(リッド開方向側)に位置する開状態で、ガイドレール54の第2外側下壁部55c”は、リッド支持部材19の前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kに下方から当接し、ガイドレール54の第2上壁部55rは、リッド支持部材19の前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kに上方から当接又は微小な間隔を空けて対向する。これにより、リッド支持部材19の前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kの上下方向への移動が規制される。一方、上記開状態で、ガイドレール54の支持壁部55fは、リッド支持部材19の内側突出片部19gに下方から当接し、ガイドレール54の内側上壁部55eは、リッド支持部材19の内側突出片部19gに上方から当接又は微小な間隔を空けて対向する。これにより、リッド支持部材19の内側突出片部19gの上下方向への移動が規制される。このように、上記開状態でリッド支持部材19の上下方向への移動がリッド支持部材19の車幅方向両側で規制されるので、上記開状態で車両の衝突等によりスライダ35に前方への大きな荷重が作用し、スライダ35が傾斜領域R2を前方に高速で移動し、サンルーフリッド9に突き上げ荷重が作用しても、リッド支持部材19がガイドレール54の上方に離脱しにくい。
【0048】
サンルーフリッド9が全開位置にあり、かつシェード13で室内開口7a全体を開放した状態で、駆動モータ39の駆動によりプッシュプルケーブル37を走行させてスライダ35を前方へ移動させると、このときスライダ35は傾斜領域R2にあるので、係合部35aは内側カム溝19f及び外側カム溝19jの内側上壁部19d及び外側上壁部19hを前方へ押圧する。このとき、前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kが第3溝部G3内において第2上壁部55rに当接し、リッド支持部材19はそれ以上上方には傾動できない。その一方で、前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kは、第3溝部G3内に位置し、第1ガイド部材57及び第2ガイド部材59とは係合していないので、前方への移動が規制されていない。したがって、リッド支持部材19は第3溝部G3に沿って前方に移動し、サンルーフリッド9全体が前方へ移動する。そして、
図16(d)に示すように、フック部材21のリッド側第1突部21aがシェード支持部材51のシェード側突部51fに後方から当接して係合する。これにより、サンルーフリッド9とシェード13とが連結され、この状態でスライダ35をさらに前方へ移動させると、サンルーフリッド9の移動に連動してシェード13全体が前方へ移動する。その後、
図16(e)に示すように、フック部材21の被ガイド片部21fのフック側案内面21f’が係合解除部材61の本体部61aの後側の傾斜ガイド面61bに摺接して傾斜ガイド面61bの形状に沿って移動することでフック部材21が上方に押し上げられてピン挿通孔21dを中心に上方へ回動し、
図16(f)に示すように、フック部材21のリッド側第1突部21aとシェード支持部材51のシェード側突部51fとの係合が解除され、サンルーフリッド9とシェード13とが互いに分離する。このとき、シェード13は、室内開口7a全体を覆う位置に位置している。
【0049】
その後、スライダ35をさらに前方に移動させると、サンルーフリッド9が降下位置に到達する。このとき、シュー19qがストッパ部材Stに当接することにより、リッド支持部材19の前方への移動が規制される。このとき、前方外側突出片部19nは、第1ガイド部材57の第1ガイド溝57aの下方に位置し、後方外側突出片部19kは、第2ガイド部材59の第2ガイド溝59aの下方に位置している。つまり、前方外側突出片部19n及び後方外側突出片部19kは、第2上壁部55rによって上方への移動が規制されていない状態となっている。また、内側突出片部19gは、内側上壁部55eによって上方への移動が規制されていない状態となっている。したがって、スライダ35をさらに前方に移動させると、スライダ35の係合部35aが、内側カム溝19f及び外側カム溝19jの傾斜領域R2に係合した状態で前方に移動し、リッド支持部材19は、シュー19qを支点として後端部が上昇するように傾動する。これにより、前方外側突出片部19nが第1ガイド部材57の第1ガイド溝57a内に進入し、後方外側突出片部19kは、第2ガイド部材59の第2ガイド溝59a内に進入し、かつ内側突出片部19gが第4切欠部55e’内を通過する。その後、係合部35aが内側カム溝19f及び外側カム溝19jの平坦領域R1に到達し、サンルーフリッド9が全閉位置に到達する。このとき、前方外側突出片部19nが第1ガイド溝57a内に位置するとともに、後方外側突出片部19kは第2ガイド溝59aから上方へ抜け出ている。また、内側突出片部19gは第2溝部G2から抜け出ている。また、
図16(a)に示すように、フック部材21のリッド側第1突部21aとシェード支持部材51のシェード側突部51fとは上下方向に離間して両者の係合は解除されている。
【0050】
したがって、本実施形態によると、第1外側下壁部55cの車幅方向外側端部には、リッド支持部材19の後方外側突出片部19k、及び前方外側突出片部19nが当接しないので、スライダ35の外側スライダ部35cと、リッド支持部材19の後方外側突出片部19k及び前方外側突出片部19nとの両方を第1外側下壁部55cの車幅方向外側端部に当接させる場合に比べ、第1外側下壁部55cの車幅方向外側端部が損傷しにくい。したがって、第1外側下壁部55cの車幅方向外側端部の損傷による不具合を防止できる。
【0051】
また、リッド支持部材19の内側突出片部19gに当接する支持壁部55fを、スライダ35の内側スライダ部35bに当接する内側下壁部55bとは別に設けているので、スライダ35の内側スライダ部35bとリッド支持部材19の内側突出片部19gとの両方を内側下壁部55bに当接させる場合に比べ、内側下壁部55bが損傷しにくい。したがって、内側下壁部55bの損傷による不具合を防止できる。
【0052】
また、支持壁部55f全体を内側下壁部55bと上下方向に重なる位置に配置したので、支持壁部55fと内側下壁部55bとを上下方向に重ならない位置に配置した場合に比べ、ガイドレール54の車幅方向の寸法を小さくできる。
【0053】
また、リッド支持部材19の金属プレート27の主面部27aの一部を切り欠いて折り曲げるだけで舌片部27eを形成でき、舌片部27e形成用の金属部品を別途用意して金属プレート27に溶着等により取り付ける必要がないので、製造コストを削減できる。
【0054】
また、内側突出片部19gの外表面が樹脂で構成されているので、金属で構成した場合に比べ、ガイドレール54が内側突出片部19gとの接触によって傷付くのを抑制できる。また、ガイドレール54と内側突出片部19gとの接触による異音の発生を抑制できる。
【0055】
また、内側突出片部19gに金属製の舌片部27eが埋設されることで内側突出片部19gの剛性が高められているので、内側突出片部19gがガイドレール54との接触によって破損しにくい。
【0056】
なお、上記実施形態では、支持壁部55f全体を内側下壁部55bと上下方向に重なる位置に配置したが、上下方向に重ならない位置に配置してもよい。また、支持壁部55fの車幅方向(リッド幅方向)一部だけを内側下壁部55bと上下方向に重なる位置に配置してもよい。
【0057】
また、後方外側突出片部19k及び前方外側突出片部19nに下方から当接する第2外側下壁部55c”を、外側スライダ部35cに下方から当接する第1外側下壁部55cとは別に設け、第2外側下壁部55c”の車幅方向(リッド幅方向)の一部又は全体を第1外側下壁部55cと上下方向に重なる位置に配置してもよい。その場合、支持壁部55fの車幅方向一部又は全体を内側下壁部55bと上下方向に重なる位置に配置してもよいし、支持壁部55f全体を内側下壁部55bと上下方向に重ならない位置に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、車両のルーフのアウターパネルに形成されたルーフ開口を密閉する全閉位置と、上記アウターパネルの下方に沈み込んで上記ルーフ開口を開放する全開位置とに移動可能なサンルーフリッドを備えたサンルーフ装置として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 サンルーフ装置
3 ルーフ
5 アウターパネル
5a ルーフ開口
9 サンルーフリッド
19 リッド支持部材
19f 内側カム溝(被係合部)
19g 内側突出片部
19j 外側カム溝(被係合部)
19k 後方外側突出片部
19n 前方外側突出片部
27 金属プレート
27a 主面部
27e 舌片部
29 樹脂部
29a 被覆部
35 スライダ
35a 係合部
35b 内側スライダ部
35c 外側スライダ部
54 ガイドレール
55b 内側下壁部(第1内側下壁部、ガイド壁部)
55c 第1外側下壁部(ガイド壁部)
55c” 第2外側下壁部
55e 内側上壁部(内側規制壁部)
55f 支持壁部(内側対向壁部、第2内側下壁部)
55k’ 外側対向壁部
55r 第2上壁部(外側規制壁部)