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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】光サブアセンブリ及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G02B6/42
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018161279
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020034730
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】小松 和弘
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-137475(JP,A)
【文献】特開2018-091888(JP,A)
【文献】特開平11-237531(JP,A)
【文献】特開2011-164143(JP,A)
【文献】特開2014-081411(JP,A)
【文献】特開2018-097288(JP,A)
【文献】特開2011-209683(JP,A)
【文献】特開2012-042719(JP,A)
【文献】特開平07-281061(JP,A)
【文献】特表2015-510148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0270811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入出力部が上を向き、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、
ミラーを一体的に有して樹脂からなり、前記光電素子の上方に前記ミラーを有する光学部品と、
相互に隣り合う第1領域及び第2領域を含む底板部と、前記第1領域で前記底板部から立ち上がる第1壁部と、を有し、前記第2領域に前記光電素子及び前記光学部品が固定され、金属からなるケースと、
前記ケースを覆う上板部と、前記第1壁部の隣で前記上板部から垂れ下がって前記第2領域に対向する第2壁部と、を有し、金属又は樹脂からなる蓋と、
前記ケースと前記蓋を接着する樹脂からなる接着剤と、
前記ケースの前記第1領域に対して相対的な位置が固定された光学的インターフェースと、
を有し、
前記接着剤は、前記第1壁部及び前記第2壁部の相互に対向する側端面の間にある第1接着剤と、前記第2壁部の下端面と前記底板部の前記第2領域との間にある第2接着剤と、を含み、
前記第1接着剤は、前記第1壁部及び前記第2壁部を、上下にずらす力に対抗するように固定し、
前記第2接着剤の熱膨張による力は、前記第2壁部から前記底板部に加えられ、前記第1接着剤から離れるほど、前記第2壁部の前記下端面と前記第2領域の間隔を大きく拡げるように作用し、
前記第1領域は、前記光学的インターフェース及び前記ミラーの間を通る光の光軸に対する相対的な位置が固定され、
前記光学部品は、熱膨張によって、前記ミラーの位置が上がり、
前記第2領域は、前記第2接着剤の前記熱膨張によって、前記第1領域から離れる側で下がるように変位し、前記ミラーの傾斜が起き上がることを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項2】
請求項に記載された光サブアセンブリであって、
前記蓋は、前記ケースよりも、熱膨張係数が大きいことを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光サブアセンブリであって、
前記接着剤は、前記上板部と前記第1壁部の上端面を接着することを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、
前記第1壁部は、前記第1領域を、前記第2領域との接続部を除いて囲む形状を有し、
前記第2壁部は、前記第2領域を、前記第1領域との接続部を除いて囲む形状を有することを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項5】
請求項からのいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、
前記光学部品の前記ケースとの固定部は、前記光学的インターフェースと前記ミラーの間の方向に直交する方向で、前記第1壁部に隣り合わず、前記第2壁部に隣り合うことを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、
前記光学部品と光結合するように前記第1領域に搭載された光合分波器をさらに有することを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、
前記第2領域で前記ケースの前記底板部に接着されたベース基板をさらに有し、
前記光電素子及び前記光学部品は、前記ベース基板への固定によって前記第2領域に固定され、
前記ベース基板は、熱膨張係数が前記底板部と同等又はそれ以上であり、
前記底板部は、熱膨張によって、前記ベース基板とともに外方向に曲がることを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、
前記ケースの前記第2領域に対して相対的な位置が固定された電気的インターフェースをさらに有することを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、入力された前記光信号から変換された前記電気信号を出力する光受信サブアセンブリ及び入力された前記電気信号から変換された前記光信号を出力する光送信サブアセンブリの少なくともいずれか一つの光サブアセンブリと、
前記光サブアセンブリと電気的に接続された回路基板と、
を有することを特徴とする光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光サブアセンブリ及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
外部より入射される光をミラーで光路変換して受光素子に受信させる光受信サブアセンブリ(ROSA)が知られている(特許文献1)。また、発光素子からの出力光をミラーで光路変換して外部に出射する光送信サブアセンブリ(TOSA)も知られている。さらに、送信及び受信機能を含む同様の構成(BOSA)も知られている(特許文献2)。これらは総称して光サブアセンブリ(OSA)とよばれる。ミラー及びレンズが一体化した光学部品を使用することで、装置の小型化を図ることができる(特許文献1)。光学素子及び光学部品は筐体に収納される(特許文献3~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-137410号公報
【文献】特開2015-197651号公報
【文献】特開2013-125045号公報
【文献】特開2013-171161号公報
【文献】特開2013-140292号公報
【文献】米国特許出願公開第2015/0253520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂から形成された光学部品は、熱膨張係数が大きい。そのため、温度上昇によってミラーの位置が変動して光軸ずれが発生することがある。光軸ずれは光結合効率を下げ、性能劣化につながる。
【0005】
本発明は、光軸ずれの発生を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る光サブアセンブリは、光入出力部が上を向き、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、ミラーを一体的に有して樹脂からなり、前記光電素子の上方に前記ミラーを有する光学部品と、相互に隣り合う第1領域及び第2領域を含む底板部と、前記第1領域で前記底板部から立ち上がる第1壁部と、を有し、前記第2領域に前記光電素子及び前記光学部品が固定され、金属からなるケースと、前記ケースを覆う上板部と、前記第1壁部の隣で前記上板部から垂れ下がって前記第2領域に対向する第2壁部と、を有し、金属又は樹脂からなる蓋と、前記ケースと前記蓋を接着する樹脂からなる接着剤と、を有し、前記接着剤は、前記第1壁部及び前記第2壁部の相互に対向する側端面の間にある第1接着剤と、前記第2壁部の下端面と前記底板部の前記第2領域との間にある第2接着剤と、を含み、前記第1接着剤は、前記第1壁部及び前記第2壁部を、上下にずらす力に対抗するように固定することを特徴としてもよい。
【0007】
本発明によれば、光学部品の熱膨張によってミラーの高さが変動しても、第2接着剤の熱膨張によって、底板部が傾いてミラーの傾斜角度が変わるので、光軸ずれの発生を抑えることができる。
【0008】
(2)(1)に記載された光サブアセンブリであって、前記第2接着剤の熱膨張による力は、前記第2壁部から前記底板部に加えられ、前記第1接着剤から離れるほど、前記第2壁部の前記下端面と前記第2領域の間隔を大きく拡げるように作用することを特徴とする。
【0009】
(3)(2)に記載された光サブアセンブリであって、前記ケースの前記第1領域に対して相対的な位置が固定された光学的インターフェースをさらに有し、前記第1領域は、前記光学的インターフェース及び前記ミラーの間を通る光の光軸に対する相対的な位置が固定され、前記光学部品は、熱膨張によって、前記ミラーの位置が上がり、前記第2領域は、前記第2接着剤の前記熱膨張によって、前記第1領域から離れる側で下がるように変位し、前記ミラーの傾斜が起き上がることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記蓋は、前記ケースよりも、熱膨張係数が大きいことを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記接着剤は、前記上板部と前記第1壁部の上端面を接着することを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記第1壁部は、前記第1領域を、前記第2領域との接続部を除いて囲む形状を有し、前記第2壁部は、前記第2領域を、前記第1領域との接続部を除いて囲む形状を有することを特徴としてもよい。
【0013】
(7)(2)から(6)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記光学部品の前記ケースとの固定部は、前記光学的インターフェースと前記ミラーの間の方向に直交する方向で、前記第1壁部に隣り合わず、前記第2壁部に隣り合うことを特徴としてもよい。
【0014】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記光学部品と光結合するように前記第1領域に搭載された光合分波器をさらに有することを特徴としてもよい。
【0015】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記第2領域で前記ケースの前記底板部に堅固に接着されたベース基板をさらに有し、前記光電素子及び前記光学部品は、前記ベース基板への固定によって前記第2領域に固定され、前記ベース基板は、熱膨張係数が前記底板部と同等又はそれ以上であり、前記底板部は、熱膨張によって、前記ベース基板とともに外方向に曲がることを特徴としてもよい。
【0016】
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、前記ケースの前記第2領域に対して相対的な位置が固定された電気的インターフェースをさらに有することを特徴としてもよい。
【0017】
(11)本発明に係る光モジュールは、(1)から(10)のいずれか1項に記載された光サブアセンブリであって、入力された前記光信号から変換された前記電気信号を出力する光受信サブアセンブリ及び入力された前記電気信号から変換された前記光信号を出力する光送信サブアセンブリの少なくともいずれか一つの光サブアセンブリと、前記光サブアセンブリと電気的に接続された回路基板と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る光モジュールが装着された光伝送装置の構成を示す模式図である。
図3】第1の実施形態に係る光サブアセンブリの側面図である。
図4】第1の実施形態に係る光サブアセンブリの分解斜視図である。
図5】第1の実施形態に係る光サブアセンブリの模式図である。
図6】参考例に係る膨張した光学部品を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る膨張した光学部品を示す図である。
図8】第1の実施形態の変形例1に係る光サブアセンブリの模式図である。
図9】第1の実施形態の変形例2に係る光サブアセンブリの模式図である。
図10】第2の実施形態に係る光サブアセンブリの光学部品を示す斜視図である。
図11】第2の実施形態に係る光サブアセンブリの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。光モジュール100は、ビットレートが100 Gbit/s級の、送信機能及び受信機能を有する光受信機(光トランシーバ)であり、QSFP28(Quad Small Form-factor Pluggable 28)のMSA(Multi-Source Agreement)規格に基づいている。光モジュール100は、ハウジング102を含み、プルタブ104及びスライダ106を備えている。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る光モジュール100が装着された光伝送装置の構成を示す模式図である。光伝送装置に、複数の光モジュール100が、電気コネクタ108によりそれぞれ装着されている。光伝送装置は、例えば、大容量のルータやスイッチである。光伝送装置は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。
【0022】
光伝送装置は、光モジュール100より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、ドライバIC(集積回路)110などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、該当する光モジュール100へそのデータを伝達する。
【0023】
光モジュール100は、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための複数の光サブアセンブリ10を備えている。複数の光サブアセンブリ10は、光送信機能を有する光送信サブアセンブリ(TOSA:Transmitter Optical Subassembly)、光受信機能を有する光受信サブアセンブリ(ROSA:Receiver Optical Subassembly)及び光送受信機能を有する双方向サブアセンブリ(BOSA:Bi-directional Optical Subassembly)のいずれかを含む。光信号の入出力のために、光サブアセンブリ10には光ファイバ112が接続されている。
【0024】
光受信サブアセンブリ10Aから電気信号が回路基板114へ伝送される。回路基板114から電気信号が光送信サブアセンブリ10Bへ伝送される。回路基板114は、柔軟性の無いリジッド基板である。
【0025】
図3は、第1の実施形態に係る光サブアセンブリの側面図である。図4は、第1の実施形態に係る光サブアセンブリの分解斜視図である。
【0026】
光サブアセンブリ10は、例えば熱膨張係数が5×10-6/K~17×10-6/K程度の金属(コバール、ステンレス鋼(SUS)、CuWなど)からなるケース12を有する。ケース12は、相互に隣り合う第1領域A1及び第2領域A2を含む底板部14を有する。ケース12は、第1領域A1で底板部14から立ち上がる第1壁部16を有する。第1壁部16は、第1領域A1を、第2領域A2との接続部を除いて囲む形状を有する。
【0027】
光サブアセンブリ10は、金属又は樹脂からなる蓋18を有する。蓋18は、熱膨張係数がケース12と同等又はそれ以上である。蓋18は、ケース12を覆う上板部20を有する。蓋18は、第1壁部16の隣で上板部20から垂れ下がって第2領域A2に対向する第2壁部22を有する。第2壁部22は、第2領域A2を、第1領域A1との接続部を除いて囲む形状を有する。ケース12及び蓋18によって筐体が構成される。
【0028】
光サブアセンブリ10は、樹脂からなる接着剤24を有する。接着剤24は、ケース12と蓋18を接着する。接着剤24は、上板部20と第1壁部16の上端面を接着する。接着剤24は、第1接着剤26を含む。第1接着剤26は、第1壁部16及び第2壁部22の相互に対向する側端面の間にある。接着剤24は、第2接着剤28を含む。第2接着剤28は、第2壁部22の下端面と底板部14の第2領域A2との間にある。第1接着剤26は、第1壁部16及び第2壁部22を、上下にずらす力に対抗するように固定する。
【0029】
光学的インターフェース30は、ケース12の第1領域A1に対して相対的な位置が固定されている。光学的インターフェース30は、レセプタクル32、レセプタクルホルダ34及びレンズホルダ36を有し、レンズホルダ36内にはコリメートレンズ38(図5)が保持されている。
【0030】
電気的インターフェース40は、ケース12の第2領域A2に対して相対的な位置が固定されている。電気的インターフェース40は、プリント基板(例えばフレキシブル基板)である。ケース12には、例えばROSAの場合はプリアンプなどの増幅器42及びチップキャパシタ44が接着剤等によって固着搭載されている。なお、電気的な接続のためのワイヤは説明を省略する。
【0031】
図5は、第1の実施形態に係る光サブアセンブリの模式図である。光サブアセンブリ10は、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子46を有する。光サブアセンブリ10は、光電素子46が受光素子であれば、入力された光信号から変換された電気信号を出力する光受信サブアセンブリである。あるいは、光電素子46が発光素子であれば、光サブアセンブリ10は、入力された電気信号から変換された光信号を出力する光送信サブアセンブリである。光電素子46には、複数の光入出力部48がモノリシック集積され、複数チャネルに対応するようになっている。光電素子46は、光入出力部48が上を向いている。光電素子46は、ケース12の第2領域A2に固定されている。
【0032】
光サブアセンブリ10は、光学部品50を有する。光学部品50は、光信号を所望のビーム径まで絞るため(集光のため)のレンズ52を有する。光学部品50は、反射点で光路変換を行うためのミラー54を有する。ミラー54は、レンズ52及びミラー54間の光路を例えば90°曲げる。光学部品50は、レンズ52及びミラー54を一体的に有する。光学部品50は、一対の脚部56を有する。一対の脚部56は、光電素子46の両側にある。なお、レンズ52は光電素子46側の面だけに設けられていても構わないし、光の入出力の両面に設けられていても構わない。
【0033】
光学部品50は、ミラー54よりもレンズ52が第1領域A1に近くなるように、第2領域A2に固定されている。ここでは、光学部品50の下部全体が固定部66となり固定されている。光学部品50は、光電素子46の上方にミラー54が位置するように配置されている。光学部品50の固定部66は、レンズ52及びミラー54の間の方向に直交する方向で、第1壁部16に隣り合わず、第2壁部22に隣り合う。光学部品50は、例えば熱膨張係数が5×10-5/K程度の樹脂(ポリエーテルイミド、アクリル等)からなる。
【0034】
光合分波器58は、レンズ52で光学部品50と光結合するように、第1領域A1に搭載されている。ここでは、光合分波器58は台座59などにより光軸高さを合わせた位置に置かれている。そして台座59は固定部67にて第1領域A1に固定されている。なお光合分波器58は台座59を介さずに直接固定されていても構わない。光受信サブアセンブリにおいては、光合分波器58は、波長多重された光信号をそれぞれのチャンネルに対応した光信号に分波する光分波器である。第1領域A1は、光学的インターフェース30及びレンズ52の間を通る光の光軸に対する相対的な位置が固定されている。
【0035】
図6は、参考例に係る膨張した光学部品50を示す図である。光学部品50は熱によって膨張する。膨張した光学部品50のミラー54は、元の位置Pから上昇し、これによって光結合劣化が起きる。このときの膨張の中心は、固定部66の中心位置となる。
【0036】
図7は、第1の実施形態に係る膨張した光学部品50を示す図である。上述したように、第1接着剤26(図3)は、第1壁部16及び第2壁部22を、上下にずらす力に対抗するように固定する。また、第2接着剤28(図3)は、第2壁部22の下端面と底板部14の第2領域A2との間にある。
【0037】
第2接着剤28の熱膨張による力は、第2壁部22から底板部14に加えられる。その力は、第1接着剤26(又は第1領域A1)から離れるほど、第2壁部22の下端面と第2領域A2の間隔を大きく拡げるように作用する。第2領域A2は、第2接着剤28の熱膨張によって、図7に示すように、第1領域A1から離れる側で下がるように変位する。あるいは、底板部14が屈曲する。これにより、ミラー54の傾斜が起き上がる。
【0038】
本実施形態によれば、光学部品50の熱膨張によってミラー54の高さが変動しても、第2接着剤28の熱膨張によって、底板部14が傾いてミラー54における反射角度が変わるため、光軸ずれの発生を抑えることができる。より具体的には、図6の参考例で示したように、熱膨張によりミラー54での反射光と光入出力部48とは図6で左方向にずれる。本実施形態によれば、図7で示したように底板部14が下がる方向に変位するために、ミラー54での反射角度が変化し、図6の左方向のずれを打ち消す向きに反射光が光入出力部48に向かわせることができる。これは、ケース12と蓋18の構造及び光部品58の配置位置に起因するものである。なお、ケース12より熱膨張係数の大きい材料で蓋18を構成することで、より底板部14の変位を大きくすることができ、熱膨張による光結合劣化の抑制効果を向上させることができる。また本実施形態では光学部品50の固定部66は第2壁部22に囲まれる位置に配置したことで、底板部14の変形によるミラー54における反射角度の変化を大きくすることができている。
【0039】
[第1の実施形態の変形例1]
図8は、第1の実施形態の変形例1に係る光サブアセンブリの模式図である。本変形例では、光学部品150の固定部166の領域が光学部品150全体に渡っていない点、および第1領域A1内に光学部品150の一部が含まれる点で、第1の実施形態と異なる。光学部品150の固定部166はすべて第2領域A2に含まれている。本変形例においても、固定部166が第2領域A2に含まれているために、図7等で説明した熱膨張によるケース12の底板部14の変形のよるミラー54の反射角度の変化を大きくすることができ、光結合劣化の抑制が可能となる。
【0040】
[第1の実施形態の変形例2]
図9は、第1の実施形態の変形例2に係る光サブアセンブリの模式図である。本変形例では、光合分波器58の一部が第2領域A2に含まれる点において、第1の実施形態と異なる。本変形例においても、固定部66が第2領域A2に含まれているために、図7等で説明した熱膨張によるケース12の底板部14の変形のよるミラー54の反射角度の変化を大きくすることができ、光結合劣化の抑制が可能となる。
【0041】
以上のように光学部品50,150の固定部66,166が第2領域A2内のみに配置されれば本願発明の効果が得られる。
【0042】
[第2の実施形態]
図10は、第2の実施形態に係る光サブアセンブリの光学部品を示す斜視図である。図11は、第2の実施形態に係る光サブアセンブリの分解斜視図である。本実施形態では、ベース基板260が、第2領域A2でケース212の底板部214に堅固に接着されている。光電素子及び光学部品250は、ベース基板260への固定によって第2領域A2に固定されている。
【0043】
ベース基板260は、底板部214よりも、熱膨張係数が大きい。したがって、ベース基板260がよく伸びるので、底板部214は、熱膨張によって、ベース基板260とともに外方向に曲がる。したがって、第1の実施形態で説明した作用効果を促進することができる。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。ただし、ベース基板260とケース12の熱膨張係数が同等であっても、第1の実施形態で説明した効果は得られる。
【0044】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 光サブアセンブリ、10A 光受信サブアセンブリ、10B 光送信サブアセンブリ、12 ケース、14 底板部、16 第1壁部、18 蓋、20 上板部、22 第2壁部、24 接着剤、26 第1接着剤、28 第2接着剤、30 光学的インターフェース、32 レセプタクル、34 レセプタクルホルダ、36 レンズホルダ、38 コリメートレンズ、40 電気的インターフェース、42 増幅器、44 チップキャパシタ、46 光電素子、48 光入出力部、50 光学部品、52 レンズ、54 ミラー、56 脚部、58 光合分波器、59 台座、66 固定部、67 固定部、100 光モジュール、102 ハウジング、104 プルタブ、106 スライダ、108 電気コネクタ、110 ドライバIC、112 光ファイバ、114 回路基板、150 光学部品、166 固定部、212 ケース、214 底板部、250 光学部品、260 ベース基板、A1 第1領域、A2 第2領域、P 位置。

図1
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図5
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図8
図9
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図11