(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】表示装置、及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20221117BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20221117BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221117BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221117BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221117BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221117BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H01L27/32
G09F9/30 365
G09F9/30 309
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2018164352
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 圭輔
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0124933(US,A1)
【文献】特開2018-113104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151838(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0345881(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131683(US,A1)
【文献】特開2012-253036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50-51/56
H05B 33/00-33/28
H01L 27/32
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自発光素子が形成された表示領域を備えた素子基板と、
前記表示領域の外側に形成され、断面が凸形状の外側バンクと、
前記表示領域において前記複数の自発光素子を覆う無機封止層と、を含み、
前記外側バンクは、前記素子基板の端部に形成されており、
前記無機封止層は、前記外側バンクの前記表示領域側の側面に形成され、前記外側バンクの頂部の少なくとも一部分
、及び前記素子基板の端部には形成されて
おらず、
前記素子基板の上面と前記外側バンクの上面との距離は、前記素子基板の上面と前記無機封止層の上面との距離よりも大きい、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の表示装置において、
前記外側バンクは、前記素子基板の端部に沿って連続的に形成されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の表示装置において、
前記表示領域から離れている接触領域において回路基板と接触する配線を更に含み、
前記外側バンクは、前記表示領域と、前記接触領域との間の位置に形成されており、
前記無機封止層は、前記外側バンクの前記接触領域側の側面には形成されていない
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1つに記載の表示装置において、
前記外側バンクの前記側面に形成される前記無機封止層の厚さは、前記頂部に向かって徐々に薄くなっている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の表示装置において、
前記表示領域と前記外側バンクとの間に形成され、断面が凸形状の中間バンクを更に含み、
前記外側バンクの頂部は、前記中間バンクの頂部よりも上方に位置し、
前記無機封止層は、前記複数の自発光素子と前記中間バンクとを連続的に覆うように形成されており、前記外側バンクの頂部の少なくとも一部分には形成されていない
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
表示領域に複数の自発光素子が形成された素子基板を用意する工程と、
前記表示領域の外側に断面が凸状の外側バンクを形成する外側バンク形成工程と、
前記外側バンクの上に、開口が形成されたマスクを配置するマスク工程と、
前記マスク工程よりも後に、前記複数の自発光素子を覆う無機封止層を、前記表示領域と、前記外側バンクの頂部の少なくとも一部分を除く前記表示領域側の側面に形成する無機封止層形成工程と、
を含み、
前記外側バンクは、前記素子基板の上面と前記外側バンクの上面との距離が前記素子基板の上面と前記無機封止層の上面との距離よりも大きくなるように形成される、
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置では、表示領域に形成された複数の自発光素子に水分や埃が浸透するのを防止するために、表示領域を封止層で覆うことがある。下記特許文献1乃至4では、封止層は、無機材料で形成される2つの無機封止層を含み、その間に有機材料で形成される有機封止層が配置された3層構造を有している。
【0003】
有機封止層は、表示領域に配置され、表示領域の平坦性を向上させるために粘度の低い材料で形成される。下記特許文献1乃至4では、有機封止層が表示領域の外側にあふれ出ることを抑えるため、基板から上方に盛り上がり表示領域の外側を囲う第1外側バンクと、その第1外側バンクの更に外側を囲う第2、第3の外側バンクが形成されている。最上層の無機封止層とその直下の無機封止層は、有機封止層を含む表示領域、並びに第1乃至第3の外側バンクを含む表示領域の外側を覆い、表示領域の外側で互いに接触している。これらの無機封止層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/228927号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/315284号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/307971号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/053973号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置において、CVDにより無機封止層を形成されることが好ましくない領域がある。例えば、表示領域の外側で複数の発光素子よりも下層に設けられる配線に制御用の回路基板(フレキシブルプリント回路基板:FPC)を取り付ける領域では、その上層の絶縁層である無機封止層をスパッタリングなどにより除去する必要がある。また、例えば、複数の製品領域を含む一枚の積層構造体をレーザーやカッターなどでカットすることで複数の表示装置を切り出す製造方法では、カットの際にその切断線に無機封止層が残っていると、レーザーの熱やカッターの応力などにより無機封止層に生じた罅が、その無機封止層を伝って広がる恐れがある。このため、個々の表示装置を切り出す工程の前に、予め切断線に沿って無機封止層を除去しておく必要がある。
【0006】
発明者らは、CVDにより無機封止層を形成する際に、無機封止層が不要な領域を予めマスクで覆う製造方法(マスクCVD)を検討している。しかし、無機封止層を堆積させる層とマスクとの間に隙間が生じている場合、この隙間から無機材料が入り込み、マスクで覆った領域にも無機封止層が形成される可能性がある。即ち、表示装置において無機封止層が不要な領域にも、無機封止層が形成される恐れがある。
【0007】
本発明の目的の一つは、表示装置において無機封止層が不要な領域に、無機封止層が形成されることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、複数の自発光素子が形成された表示領域を備えた素子基板と、前記表示領域の外側に形成され、断面が凸形状の外側バンクと、前記表示領域において前記複数の自発光素子を覆う無機封止層と、を含み、前記無機封止層は、前記外側バンクの前記表示領域側の側面に形成され、前記外側バンクの頂部の少なくとも一部分には形成されていないことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表示装置の製造方法は、表示領域に複数の自発光素子が形成された素子基板を用意する工程と、前記表示領域の外側に形成され、断面が凸状の外側バンクを形成する外側バンク形成工程と、前記外側バンクの上に、開口が形成されたマスクを配置するマスク工程と、前記マスク工程よりも後に、前記複数の自発光素子を覆う無機封止層を、前記表示領域と、前記外側バンクの頂部の少なくとも一部分を除く前記表示領域側の側面に形成する無機封止層形成工程と、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る表示装置の画素の回路図である。
【
図3】
図1のIII-III線における表示装置の模式的な断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
【
図5】
図1のV-V線における表示装置の模式的な断面図である。
【
図6】
図1のVI-VI線における表示装置の模式的な断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る表示装置の製造工程における模式的な平面図である。
【
図8A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造工程における模式的な断面図である。
【
図8B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造工程における模式的な断面図である。
【
図8C】本発明の実施形態に係る表示装置の製造工程における模式的な断面図である。
【
図8D】本発明の実施形態に係る表示装置の製造工程における模式的な断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る表示装置の製造工程における模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
[1.本発明の実施形態に係る表示装置の構造]
図1は、本実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、複数の自発光素子を構成する素子基板2の上に、後述するタッチセンサ50や偏光板60、対向基板3を重ねることで形成される。表示装置1には、画像を表示するための領域であり複数の画素100がマトリクス状に設けられている表示領域5と、表示領域5の外側の領域である額縁領域6と、額縁領域6の外側で表示装置1を湾曲可能に形成される湾曲領域7と、湾曲領域7の外側で図示しない制御用の回路基板(例えば、フレキシブルプリント回路基板:FPC)が取り付けられる領域である取付領域8とを有している。湾曲領域7及び取付領域8は、表示領域5から離れている領域である。取付領域8に取り付けられる回路基板にはICドライバチップが搭載される。ICドライバチップは、回路基板に搭載されず、取り付け領域8に回路基板と共に取り付けられてもよい。
【0013】
図2は、表示装置1の画素100の回路図である。表示装置1は、素子基板2の表示領域5にマトリクス状に設けられた各画素をICドライバチップで制御することによって画像を表示する。ICドライバチップは、それぞれ走査信号線101と映像信号線102とを介して、映像信号と走査信号とを各画素100に発信する。ここで、走査信号線101は、1つの行に並ぶ画素100のトランジスタについて共通する配線であり、映像信号線102及び電源線103は、1つの列に並ぶ画素100について共通する配線である。電源線103には、電源の電圧が印加される。走査信号線101は、画素トランジスタSSTのゲート(電極202:
図4)に電気的に接続され、映像信号線102は、画素トランジスタSSTのソース又はドレイン(電極203:
図4)に電気的に接続される。また、電源線103は、駆動トランジスタDRTのソース又はドレイン(電極303:
図4)に接続される。画素トランジスタSST及び駆動トランジスタDRTは、例えば、p型チャネル又はn型チャネルの電界効果トランジスタである。各画素100の光を出射する自発光素子OLEDの陽極(下部電極31:
図3)は、駆動トランジスタDRTのドレイン又はソース(電極304:
図4)に電気的に接続される。また、自発光素子OLEDの陰極(上部電極33:
図3)には、接地電位又は負電位が入力される。
【0014】
自発光素子OLEDが発光するまでのプロセスを説明する。まず、走査信号線101に走査信号が印加されると、画素トランジスタSSTがオン状態となる。この状態で映像信号線102に映像信号が印加されると、保持容量Csに映像信号に応じた電圧が書き込まれ、駆動トランジスタDRTがオン状態となる。ここで、駆動トランジスタDRTのソース又はドレインには、電源線103を介して、自発光素子OLEDを発光させるための電源の電圧が印加さているため、駆動トランジスタDRTがオン状態となると、映像信号電圧の大きさに応じた電流が自発光素子OLEDに流れて、自発光素子OLEDが発光する。
【0015】
図3乃至
図6は、表示装置1の模式的な断面図である。
図3、
図5は表示領域5及び額縁領域6での断面を示しており、
図4は表示領域5での断面を示している。また、
図6は額縁領域6、湾曲領域7、及び取付領域8での断面を示している。
図3は
図1で横方向に伸びるIII-III線における断面を示している。
図5は
図1で縦方向に伸びるV-V線における断面を示しており、湾曲領域7及び取付領域8と接する側での断面を示している。
図6は
図1で縦方向に伸びるVI-VI線における断面を示している。
【0016】
図3乃至
図5に示すように、表示装置1は、表示領域5における画像の表示を実現するための複数の層を挟み、素子基板2と対向基板3とを貼り合わせた構造になっている。素子基板2はポリイミドなどの可撓性を有する絶縁材料からなり、表示領域5、額縁領域6、湾曲領域7、及び取付領域8の全域に亘って形成されている。また、対向基板3は透明な材料からなり、表示領域5、及び額縁領域6に亘って形成されている。対向基板3は、例えば、樹脂やガラスなどの硬質な材料により形成されてよいし、素子基板2と同様に可撓性を有する絶縁材料により形成されてもよい。
【0017】
素子基板2の上には、回路層10と、パッシベーション層11と、平坦化層21と、バンク23と、下部電極31と、発光層34と、上部電極35とが積層されている。また、素子基板2には、上部電極35の上側に連続的に載るように設けられたバリア構造40が形成されている。また、バリア構造40の上には、タッチセンサ50と、タッチセンサ50を覆う保護層51が形成されており、さらにその上では、粘着層61によって偏光板60が貼り付けられている。対向基板3は、偏光板60の上側を覆っている。
【0018】
図4に示すように、回路層10には、複数の画素トランジスタSSTと、複数の駆動トランジスタDRTが配置されている。各画素トランジスタSSTと各駆動トランジスタDRTは、表示領域5において画像を構成する複数の画素100とそれぞれ対応する位置に配置されている。画素トランジスタSSTは、半導体201と、画素トランジスタSSTのゲートとして寄与する電極202と、画素トランジスタSSTのソース又はドレインとして寄与する電極203と、容量電極204とを含んでいる。また、駆動トランジスタDRTは、半導体301と、駆動トランジスタDRTのゲートとして寄与する電極302と、駆動トランジスタDRTのソース又はドレインとして寄与する電極303,304とを含んでいる。駆動トランジスタDRTの電極304には、後述する下部電極31が接続している。容量電極204は、上下方向において重畳する駆動トランジスタDRTの半導体301との間で、保持容量Csを構成している。
【0019】
また、回路層10には、素子基板2の上に積層する複数の絶縁層が形成されている。回路層10は、アンダーコート層400と、第1乃至第4の層間絶縁膜401乃至404とを含んでいる。アンダーコート層400、及び第1乃至第4の層間絶縁膜401乃至404は、シリコン酸化物(SiOx)やシリコン窒化物(SiNy)などの無機の絶縁材料で形成される。アンダーコート層400は、画素トランジスタSSTの半導体201と素子基板2との間に配置され、素子基板2を覆っている。第1の層間絶縁膜401は、画素トランジスタSSTの半導体201と、電極202及び容量電極204との間を覆っている。第2、第3の層間絶縁膜402,403は、画素トランジスタSSTの電極202及び容量電極204と、駆動トランジスタDRTの半導体301との間を覆っている。第4の層間絶縁膜404は、駆動トランジスタDRTの半導体301と、電極302との間を覆っている。
【0020】
パッシベーション層11は、シリコン酸化物(SiOx)やシリコン窒化物(SiNy)などの無機の絶縁材料で形成されており、回路層10の上側(より具体的には、駆動トランジスタDRT電極302の上側)を覆っている。また、後述する第1中間バンク22aと平坦化層21との間では、回路層10に形成された配線12a(
図3を参照)、配線12b(
図5を参照)がパッシベーション層11から露出している。
【0021】
図5、
図6に示すように、回路層10は、表示領域5と、額縁領域6と、取付領域8とに形成されており、湾曲領域7には形成されていない。湾曲領域7には、回路層10と同層に樹脂などの有機の絶縁材料からなる絶縁膜28が形成されている。絶縁膜28は、可撓性を有する材料により形成されてよい。このように湾曲領域7に回路層10を配置しないことで、表示装置1が湾曲領域7において曲げられた際に回路層10が曲げられることを防止している。また、湾曲領域7の絶縁膜28の上には、配線70が形成されている。配線70は、パッシベーション層11を貫通し、額縁領域6に形成される回路層10と、取付領域8に形成されている回路層10とを電気的に接続している。配線70は、湾曲できるように形成されている。
【0022】
また、取付領域8には、パッシベーション層11から露出する配線80が形成されている。配線80は、回路層10と接触しており、取付領域8に取り付けられる回路基板(例えば、FPC)やICドライバチップなどと電気的に接続する。
【0023】
図3乃至
図5に示すように、パッシベーション層11の上には、樹脂などの有機の絶縁材料からなる平坦化層21が積層されている。また、額縁領域6において、平坦化層21の外側を囲うように、ダム構造22が形成されている。これは、後述する有機封止層42や保護層51が表示装置1の端部にあふれ出ることを防止するためのものである。
【0024】
ダム構造22は、平坦化層21の外側を囲う第1中間バンク22aと、その外側を囲う第2中間バンク22bとを有している。第1中間バンク22aの断面と第2中間バンク22bの断面は、何れも凸形状に形成されている。このように額縁領域6に二重のダムを形成することで、一重のダムが形成される場合に比べて、有機封止層42があふれ出ることをより確実に防止することができる。なお、第1中間バンク22aと第2中間バンク22bは、平坦化層21と同層に形成されている。第1中間バンク22aと第2中間バンク22bは、平坦化層21と同じ有機の絶縁材料(例えば、樹脂)により形成されてよい。また、第1中間バンク22aと第2中間バンク22bは、表示領域5と後述する外側バンク90との間に形成されている。
【0025】
また、
図6に示すように、ダム構造22の外側において、平坦化層21と同層に、樹脂などの有機の絶縁材料からなる絶縁膜26,27が形成されている。絶縁膜26は、額縁領域6に形成されており、絶縁膜27は、湾曲領域7において配線70を覆っている。絶縁膜27には、樹脂などの有機の絶縁材料からなる調整用の絶縁膜29が載っている。絶縁膜27,29は、可撓性を有する材料により形成されてよい。調整用の絶縁膜29は、絶縁膜全体における配線70の位置を調整するためのものである。曲げ応力の中立面に配線70を近づけることで、表示装置1の曲げにより配線70に発生する引張り応力(または、圧縮応力)をゼロに近づけることができる。
【0026】
図3乃至
図5に示すように、平坦化層21の上には、所与の導電材料からなる複数の下部電極31が積層されている。
図4に示すように、平坦化層21には、コンタクトホールCHが形成されており、この穴を通して後述する下部電極31が駆動トランジスタDRTのドレイン又はソースを構成する電極304に接続している。複数の下部電極31は、平面的に見て、複数の画素100とそれぞれ対応する位置に配置されている。複数の下部電極31は、平坦化層21の上側に一枚の導電材料を形成し、エッチング処理などにより各画素100の間で互いに切り離されることで形成されてよい。
【0027】
本実施形態では、下部電極31は陽極(アノード)として構成される。回路層10に含まれる駆動トランジスタDRTにより、下部電極31には正電位が入力される。なお、後述する上部電極35は陰極(カソード)として構成され、接地電位又は負電位が入力される。
【0028】
また、額縁領域6における平坦化層21の上には、所与の導電材料からなる導電部32a(
図3を参照)、導電部32b(
図5を参照)が積層されている。導電部32a,32bは、下部電極31と同層に形成されている。導電部32a,32bは、下部電極31と同じ導電材料により形成されてよい。導電部32a,32bは、パッシベーション層11上の電極304(
図4を参照)と同層の配線12a,12bにそれぞれ接触される。また、導電部32a,32bは、後述する上部電極35に接触している。
【0029】
複数の下部電極31の間には、樹脂などの有機の絶縁材料からなるバンク23が形成されている。バンク23は、各画素100の外周を囲うように配置されている。より具体的には、バンク23は、各画素100と対応する位置に配置される各下部電極31の周囲を覆い、各下部電極31の端部に載るように設けられている。このようにバンク23が配置されることで、下部電極31の縁で後述する発光層34が途切れることを防ぎ、下部電極31と、後述する上部電極35とが短絡することを防止している。
【0030】
また、額縁領域6における第1中間バンク22aの上には、樹脂などの有機の絶縁材料からなる補充層24が積層されている。補充層24は、バンク23と同層に形成されてよい。補充層24を第1中間バンク22aに積層することで、第1中間バンク22aの高さを上げている。このようにすることで、後述する有機封止層42があふれ出ることを、補充層24が形成されていない場合に比べてより確実に防止することができる。
【0031】
下部電極31及びバンク23の上には、発光層34が積層されている。発光層34は、表示領域5の全域に形成され、下部電極31及びバンク23に連続的に載るように設けられている。発光層34は、複数の画素100の光を出射するものであり、ホール注入層、ホール輸送層、ホールブロック層、電子輸送層などを含んでもよい。
【0032】
表示領域5に含まれる複数の画素100のそれぞれに対応する光は、回路層10に含まれる駆動トランジスタDRTを介して、下部電極31、発光層34、及び上部電極35のそれぞれに電流が流れることで、発光層34の当該画素100に対応する部分から出射される。即ち、素子基板2に形成され、それぞれが画素100の光を出射する複数の自発光素子OLEDは、複数の下部電極31、及び、これらを覆う発光層34と上部電極35により構成されている。
【0033】
なお、表示装置1が対向基板3側に画素100の光を出射する場合(いわゆるトップエミッション方式を採用する場合)、発光層34の上方に配置される各層は、透明または半透明に形成される。この場合、下部電極31は、金属(例えば、銀(Ag))などの光を反射する材料を含んでもよい。また、複数の領域のそれぞれから出射される光は、発光層34を部分的に塗り分けることで着色されて良い。この場合、発光層34は、複数の画素100毎に予め定められた色(例えば、赤色、緑色、青色の3色や、これに白色を加えた4色)で着色される。この他にも、発光層34の上方に、複数の画素100毎に予め定められた色で光を透過するカラーフィルタが設けられてもよい。
【0034】
発光層34の上には、上部電極35が積層されている。上部電極35は、全ての画素100で共通する電極として構成されており、表示領域5及び額縁領域6の一部分に亘って配置され、発光層34の全域を覆うように設けられている。上部電極35は、薄膜の銀を含む材料であるマグネシウム銀(MgAg)、又はインジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明な導電材料により形成されてよい。
【0035】
本実施形態では、下部電極31は陽極(アノード)として構成され、上部電極35は陰極(カソード)として構成される。上部電極35は、導電部32a,32b及び配線12a,12bと電気的に接続しており、上部電極35には、導電部32a,32b及び配線12a,12bを介して接地電位又は負電位が入力される。
【0036】
上部電極35の上には、発光層34や各種電極に対する水分の侵入を防止するためのバリア構造40が積層されている。バリア構造40は、表示領域5において複数の下部電極31、発光層34、及び、上部電極35により構成される複数の自発光素子OLEDを覆っている。バリア構造40の詳細については後述する。
【0037】
バリア構造40(より具体的には、後述する第2無機封止層43)の上には、タッチセンサ50が積層されており、さらにその上に保護層51が形成されている。タッチセンサ50は、例えば、投影型静電容量方式のタッチセンサであり、表示領域5に対するユーザの指などの接近・接触の有無、及びその位置を検知する。タッチセンサ50は、表示領域5の全域に形成されており、額縁領域6においてパッシベーション層11から露出する配線13と電気的に接続している。保護層51は、タッチセンサ50を保護するためのものであり、表示領域5においてタッチセンサ50の全域を覆っている。保護層51は、樹脂などの有機の絶縁材料により形成されてよい。保護層51の端部は、バリア構造22を構成する断面が凸形状の第1中間バンク22aと第2中間バンク22bとの間に形成されているが、バリア構造22よりも外側には形成されていない。
【0038】
タッチセンサ50及び保護層51の上には粘着層61(糊)が敷かれ、この上に偏光板60が貼り付けられている。偏光板60は、表示領域5における外光反射を抑制するためのものであり、例えば、1/4λ板60aとその上に配置される直線偏光板60bの積層構造を有する円偏光板として形成されてもよい。偏光板60の上には、対向基板3が貼り付けられている。
【0039】
表示領域5の外側である額縁領域6には、断面が凸形状の外側バンク90が形成されている。外側バンク90は、素子基板2の端部に形成されている。より具体的には、外側バンク90は、素子基板2の端部に沿って連続的に形成されている。外側バンク90は、
図1に示した領域9a及び9cに形成されている。本実施形態では、素子基板2は、矩形、または略矩形の形状を有しており、領域9aは、素子基板2の縦方向に伸びる端部(縦辺)に沿って伸びている領域であり、領域9bは、素子基板2の横方向に伸びる端部(横辺)に沿って伸びている領域である。
【0040】
また、外側バンク90は、表示領域5と取付領域8との間の位置にも形成されている。より具体的には、外側バンク90は、表示領域5と湾曲領域7との間の位置に形成されている。外側バンク90は、
図1に示した領域9cに形成されている。領域9cは、表示領域5と湾曲領域7との間の位置で横方向に直線状に伸びている領域である。なお、領域9cは、
図1に示したように領域9aと接していてもよいし、領域9aから離れていてもよい。
【0041】
図3、
図5に示すように、外側バンク90は、上方向に向かうにつれて左右方向の幅が小さくなっていくテーパー形状を有してよい。断面が凸形状に形成される外側バンク90の先端部分である頂部91は、第1中間バンク22a(補充層24)の頂部、及び第2中間バンク22bの頂部よりも、上方に位置してもよい。
図3に示すように、素子基板2の端部に形成されている外側バンク90は、素子基板2の上に直に載っている。素子基板2の端部に形成されている外側バンク90の頂部91には、凸形状(例えば、なだらかな山の形状)に対して、切り欠かれた(又は、潰された)形状の端面91aが形成されてもよい。また、外側バンク90の頂部91及び端面91aも、素子基板2の端部に接している。
【0042】
図5に示すように、表示領域5と湾曲領域7との間に形成される外側バンク90は、平坦化層21と同層に形成される絶縁膜26の上に載っている。なお、表示領域5と湾曲領域7との間に形成される外側バンク90の頂部91は、なだらかな山の形状になっており、切り欠かれた(又は、潰された)形状の端面91a(
図3を参照)は形成されていない。
【0043】
なお、
図5に示す例では、表示領域5と湾曲領域7との間には、第2中間バンク22bは形成されていない。
図5に示す例の他にも、第2中間バンク22bは、表示領域5と湾曲領域7との間に形成されてもよい。この場合、第2中間バンク22bは、左右方向において第1中間バンク22aと外側バンク90の間であって、且つ、上下方向において絶縁膜26とバリア構造40(第1無機封止層41)との間に形成されてもよい。また、この場合、保護層51の端部は、バリア構造22を構成する断面が凸形状の第1中間バンク22aと第2中間バンク22bとの間に形成され、第2中間バンク22bと外側バンク90との間(すなわち、第2中間バンク22bよりも外側)には形成されていない。
【0044】
バリア構造40の詳細について説明する。バリア構造40は、第1無機封止層41と、第2無機封止層43と、第1無機封止層41と第2無機封止層43との間に配置されている有機封止層42とを有している。第1及び第2の無機封止層41,43は、表示領域5に形成されている複数の下部電極31、発光層34、及び、上部電極35により構成される複数の自発光素子OLEDを覆っている。第1及び第2の無機封止層41,43は、表示領域5に形成される複数の自発光素子OLEDと、額縁領域6に形成される第1中間バンク22a、及び第2中間バンク22bとを連続的に覆っている。また、第2無機封止層43は、第1無機封止層41の全域を覆っている。
【0045】
第1及び第2の無機封止層41,43は、シリコン酸化物(SiOx)やシリコン窒化物(SiNy)などの無機の絶縁材料により形成されている。また、有機封止層42は、樹脂などの有機の絶縁材料により形成されている。第1及び第2の無機封止層41,43は、有機封止層42よりも固い材料で形成されている。別の言い方をすると、有機封止層42は、第1及び第2の無機封止層41,43よりも柔らかい材料で形成されている。
【0046】
本実施形態では額縁領域6に二重のダムであるダム構造22が形成され、有機封止層42が表示領域5からあふれ出ることを防止している。
図3、
図5に示すように、有機封止層42は、ダム構造22によって囲われた表示領域5に形成されており、表示領域5に対してダム構造22の外側には形成されていない。有機封止層42は、少なくとも、断面が凸形状である第2中間バンク22bの頂部には形成されていない。
【0047】
第1及び第2の無機封止層41,43は、有機封止層42の全域を覆うとともに、表示領域5の外側において互いに接することで、有機封止層42や発光層34などに水分が侵入することを防止している。
図3、
図5に示すように、第1及び第2の無機封止層41,43は、第1中間バンク22a(補充層24)の頂部、及び、第2中間バンク22bの頂部にも形成されている。
【0048】
第1及び第2の無機封止層41,43は、断面が凸形状である外側バンク90の表示領域5側の側面92に形成され、頂部91の少なくとも一部分には形成されていない。本実施形態では、外側バンク90の頂部91には、第1及び第2の無機封止層41,43は形成されていない。また、外側バンク90の側面92に形成される第1及び第2の無機封止層41,43の厚さは、頂部91に向かって徐々に薄くなっていてもよい。
【0049】
図3に示すように、第1及び第2の無機封止層41,43は、素子基板2の端部に位置する外側バンク90の頂部91(端面91a)には形成されていない。即ち、第1及び第2の無機封止層41,43は、素子基板2の端部には形成されていない。なお、第1及び第2の無機封止層41,43は、外側バンク90の頂部91の全てに形成されていなければよく、例えば、頂部91のうちの一部分にだけ載るようにしてもよい。
【0050】
また、
図5及び
図6に示すように、第1及び第2の無機封止層41,43は、湾曲領域7、及び取付領域8にも形成されていない。これは、外側バンク90が、第1及び第2の無機封止層41,43の形成時に、無機の材料が湾曲領域7、及び取付領域8に移動することを妨げるためである。このため、外側バンク90の表示領域5側とは反対側である湾曲領域7側の側面93にも、第1及び第2の無機封止層41,43は形成されていない。
【0051】
仮に、湾曲領域7に、第1及び第2の無機封止層41,43のような硬い材料が形成されていると、湾曲領域7において表示装置1を曲げ難くなる。また、取付領域8に、第1及び第2の無機封止層41,43のような絶縁材料が形成されていると、FPCなどの回路基板に対する電気的な接続(接触)を阻害する。そこで、表示領域5と湾曲領域7との間の位置(領域9c)に外側バンク90を形成することで、湾曲領域7、及び取付領域8に第1及び第2の無機封止層41,43が形成されることを防止している。
【0052】
また、表示装置1全体の縦横のサイズを規定する領域(以下、製品領域とも称する)の境界に第1及び第2の無機封止層41,43が形成されていると、製品領域の境界に沿って素子基板2をカットする際に、レーザーの熱やカッターの応力などにより第1及び第2の無機封止層41,43に罅が生じ、第1及び第2の無機封止層41,43で罅が広がる恐れがある。そこで、製品領域の境界(領域9a及び9b)にも外側バンク90を形成することで、製品領域の境界に第1及び第2の無機封止層41,43が形成されることを防止している。以下、表示装置1の製造方法について詳しく説明する。
【0053】
[2.本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法]
図7、
図8A乃至D、及び
図9は、表示装置1の製造方法を説明するための図である。
図7は、表示装置1の製造工程における素子基板2の模式的な平面図であり、
図8A乃至D、及び
図7は、表示装置1の製造工程における素子基板2の模式的な断面図である。
図8A乃至Dは、
図7の製品領域と交差して横方向に伸びるVIII-VIII線における断面を示している。また、
図9は、
図7の表示領域5と湾曲領域7との間の額縁領域6で縦方向に伸びるIX-IX線における断面を示している。
【0054】
まず、
図7、及び
図8Aに示すように、複数の製品領域を含む一枚の積層構造体としての素子基板2を用意する。
図8Aに示す素子基板2には、複数の表示領域5が形成されており、各表示領域5には、複数の自発光素子OLED(
図2を参照)が形成されている。より具体的には、
図8Aに示す素子基板2には、回路層10と、パッシベーション層11と、平坦化層21と、バンク23と、下部電極31と、発光層34と、上部電極35と、ダム構造22(第1中間バンク22a、第2中間バンク22b、及び補充層24)が形成されている。ただし、バリア構造40(第1無機封止層43、有機封止層42、及び第2無機封止層43)と、外側バンク90と、タッチセンサ50及び保護層51と、粘着層61及び偏光板60と、対向基板3とは、この時点では形成されていない。
【0055】
次に、
図8Bに示すように、表示領域5の外側に、断面が凸形状の外側バンク90を形成する。外側バンク90は、
図7に示した領域9a乃至9cに形成される。即ち、外側バンク90は、複数の表示装置1のサイズを規定する製品領域の境界に位置する領域(領域9a,9b)に連続的に形成されると共に、表示領域5と湾曲領域7との間の位置で横方向に沿った領域(領域9c)に連続的に形成される。外側バンク90は、インクジェット法や凹版印刷法などにより形成されてよい。
【0056】
次に、
図8Cに示すように、外側バンク90の上に、複数の開口OPが形成されたマスクMを配置する。マスクMは、複数の製品領域を含む積層構造体としての素子基板2の全域を覆い、複数の開口OPは、複数の表示領域5とそれぞれ対応する位置に形成されている。それぞれの開口OPは、表示領域5の全域を露出するように形成されている。また、開口OPは、ダム構造22を露出するように形成されている。
【0057】
次に、第1無機封止層41と、有機封止層42と、第2無機封止層43とを含むバリア構造40を形成する。より具体的には、表示領域5に、第1無機封止層41、有機封止層42、第2無機封止層43の順番でこれらを積層させることで、複数の自発光素子OLED(複数の下部電極31、発光層34、及び上部電極35により構成される複数の自発光素子OLED)を覆う第1の無機封止層41及び第2の無機封止層43と、第1の無機封止層41と第2の無機封止層43との間に位置する有機封止層42とを形成する。
【0058】
ここで、第1及び第2の無機封止層41,43は、CVDにより形成される。より具体的には、マスクMに形成された複数の開口OPに無機材料が入り込むことで、第1及び第2の無機封止層41,43が形成される。ここで、第1及び第2の無機封止層41,43は、表示領域5と、外側バンク90の頂部91の少なくとも一部分を除く表示領域5側の側面92に形成される。第1及び第2の無機封止層41,43は、同じマスクMを用いて形成されてよい。
【0059】
マスクMは、外側バンク90の頂部91と密着する。このようにマスクMが密着する部分には、無機材料の層は形成されない。このため、第1及び第2の無機封止層41,43は、マスクMが密着する部分には形成されない。即ち、第1及び第2の無機封止層41,43は、外側バンク90の頂部91には形成されない。
図7に示すように、外側バンク90は、製品領域の境界に位置する領域(領域9a,9b)に形成されるため、第1及び第2の無機封止層41,43は、少なくとも製品領域の境界には形成されない。
【0060】
なお、マスクMは、外側バンク90の頂部91のうちの一部分と密着してもよい。この場合、第1及び第2の無機封止層41,43は、外側バンク90の頂部91の一部分で形成されなくなる。また、外側バンク90の側面92では、素子基板2に近い側に無機材料が付着する確率が、頂部91に近い側に付着する確率よりも高い。このため、第1及び第2の無機封止層41,43は、素子基板2から頂部91に向かって徐々に薄くなるように形成される。
【0061】
また、
図9に示すように、表示領域5と湾曲領域7との間の額縁領域6では、マスクMに形成された開口OPから入った無機材料は、外側バンク90によって堰き止められる。このため、外側バンク90の表示領域5側とは反対側である湾曲領域7側の側面93には、第1及び第2の無機封止層41,43は形成されない。即ち、外側バンク90に対して表示領域5とは反対側に位置する湾曲領域7、及び取付領域8には、第1及び第2の無機封止層41,43は形成されない。なお、
図9に示すように、外側バンク90の頂部とマスクMとの間を密着させることで、湾曲領域7、及び取付領域8に無機材料が及ぶことを確実に防止し、湾曲領域7、及び取付領域8に、第1及び第2の無機封止層41,43が形成されないようにすることをより確実に防止できる。
【0062】
なお、第1無機封止層41の形成後、第2無機封止層43の形成前には、有機封止層42が形成される。有機封止層42は、液状の有機材料をダム構造22(特に第1中間バンク22a)によって囲われ、表示領域5の全域を含む枠の内側を満たすように注入することで形成される。また、有機封止層42の形成後、有機封止層42を硬化させる。硬化の方法は、有機封止層42の材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、時間経過、溶媒の揮発、UVなどの光、熱による反応やこれらの組み合わせによるものであってもよい。
【0063】
次に、レーザーやカッターなどを用いて個々の製品領域で素子基板2をカットする。
図8Dに示すように、素子基板2の製品領域の境界に沿って外側バンク90が形成されるため、素子基板2のカットに伴い、外側バンク90もカットされる。即ち、レーザーやカッターなどが外側バンク90を通過するようにして、素子基板2がカットされる。この際、外側バンク90の頂部91には、レーザーの熱やカッターの応力などにより、なだらかな山の形状から切り欠かれた(又は、潰された)形状の端面91aが形成されてもよい。
【0064】
先述したように、外側バンク90は、製品領域の境界に位置する領域(領域9a,9b:
図7を参照)に形成されるため、第1及び第2の無機封止層41,43は、製品領域の境界には形成されていない。このため、素子基板2をカットする際に、第1及び第2の無機封止層41,43にレーザーやカッターなどが当たることを防ぎ、レーザーの熱やカッターの応力などにより第1及び第2の無機封止層41,43に罅が生じることを防止することができる。
【0065】
なお、タッチセンサ50、偏光板60、及び対向基板3の形成は、バリア構造40の形成後(より具体的には、第2無機封止層43の形成後)に行われる。また、タッチセンサ50、偏光板60、及び対向基板3の形成は、素子基板2が個々の製品領域でカットされる前に行われてもよいし、カット後に行われてもよい。
【0066】
以上のように、本発明に係る表示装置1では、表示領域5の外側において、断面が凸形状の外側バンク90が形成される。このようにすることで、第1及び第2の無機封止層41,43が不要な領域(外側バンク90の頂部91が位置する領域、及び、外側バンク90に対して表示領域5とは反対側の領域)に、第1及び第2の無機封止層41,43が形成されることを防止することができる。また、このようにすることで、エッチングなどにより第1及び第2の無機封止層41,43を除去する工程を省くことができるため、従来に比べて表示装置1の製造をより簡便に行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0067】
1 表示装置、2 素子基板、3 対向基板、5 表示領域、6 額縁領域、7 湾曲領域、8 取付領域、9a,9b,9c,9d 領域、10 回路層、11 パッシベーション層、12a,12b,13,70,80 配線、21 平坦化層、22 ダム構造、22a 第1中間バンク、22b 第2中間バンク、23 バンク、24 補充層、26,27,28,29 絶縁膜、31 下部電極、32a,32b 導電部、34 発光層、35 上部電極、40 バリア構造、41 第1無機封止層、42 有機封止層、43 第2無機封止層、50 タッチセンサ、51 保護層、60 偏光板、60a 1/4λ板、60b 直線偏光板、61 粘着層、90 外側バンク、91 頂部、91a 端面、92,93 側面、100 画素、101 走査信号線、102 映像信号線、103 電源線、201,301 半導体、202,203,302,303,304 電極、204 容量電極、400 アンダーコート層、401,402,403,404 層間絶縁膜、SST 画素トランジスタ、DRT 駆動トランジスタ、Cs 保持容量、OLED 自発光素子、CH コンタクトホール、M マスク、OP 開口。