(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
C08F290/00
(21)【出願番号】P 2018181175
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長崎 貴行
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/111500(WO,A1)
【文献】特開2017-105877(JP,A)
【文献】特開2016-196627(JP,A)
【文献】特開2013-189545(JP,A)
【文献】特開2007-332213(JP,A)
【文献】特開2012-036290(JP,A)
【文献】国際公開第2015/119096(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)多官能(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(a2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、
ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(B)と、シリコン系表面調整剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、
シリコン系表面調整剤(C)が不飽和結合をもつ官能基を有
し、ポリエステル変性されており、
(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、(A)成分を30~98重量部、(B)成分を0.01~30重量部、(C)成分を0.01~20重量部配合することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、(B)成分を0.01~6.6重量部配合することを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
床材に用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光硬化性樹脂組成物は、短時間で硬化可能で、非常に扱いやすい材料であることから、電子・電気部品や、印刷、塗装など幅広く用いられている。
【0003】
過去に、出願人は、硬さと伸張性を備え、更に耐溶剤性を有する光硬化樹脂組成物を発明した。具体的には、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと芳香環を有する単官能アクリレートが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレート或いは単官能アクリルアミドのいずれかが含まれることを特徴とする光硬化樹脂組成物を得た(特許文献1)。当該組成物は、硬さと伸張性とを備えた上で、耐溶剤性に優れていることから、機構部品として、変形が必要な部位等のシール、接着、充填に向くという性質をもつものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、床材の表面材として、塩化ビニル樹脂などのポリマーが広く用いられている。このような床材は、容易に汚染されてしまう上、衝撃や接触による擦れに弱い傾向があることから、さらにワックスを塗工することにより耐久性を確保していた。しかし、耐久性を維持するために、定期的に古いワックスを除去し、新しいワックスを塗り直すという作業が頻繁に発生しており、その煩雑さを解消するために抜本的な対策が求められていた。
【0006】
そこで、ワックスの代替として、光硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。光硬化性樹脂組成物は、扱いやすい材料であることから作業性に優れており、また溶剤を含んでいないことから乾燥工程を必要とせず短時間で施工できるという特徴がある。
【0007】
そのため、塩化ビニル樹脂などのポリマーに、光硬化性樹脂組成物を塗工した床材は、様々な現場で施工されるようになり、靴底によって容易に変形し剥ぎ取られてしまうことがないよう、汚染や擦れに対する耐久性(耐ヒールマーク性)の更なる向上が強く求められていた。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、表面材に対する密着性が良好で、汚染や擦れに対する耐久性に優れており、仮に汚染されたとしても容易に拭き取ることができる光硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a1)多官能(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(a2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、カプロラクトン骨格をもつ単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、シリコン系表面調整剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、シリコン系表面調整剤(C)が不飽和結合をもつ官能基を有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる光硬化性樹脂組成物は、表面材に対する密着性が良好で、汚染や擦れに対する耐久性に優れており、仮に汚染されたとしても容易に拭き取ることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<多官能(メタ)アクリレートモノマー/オリゴマー>
本発明では、(a1)多官能(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(a2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を用いる。当該(a1)成分と(a2)成分は、どちらか一方であっても構わないし、併用することも可能である。本発明においては、(a1)成分と(a2)成分とを併せて(A)成分と記載することがある。当該(A)成分は、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物の主成分であり、反応性を高めるために2官能以上のものを用いる必要がある。
【0012】
当該(a1)成分の具体例は、2官能アクリレートとして、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、4.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1.10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチル-1.5ペンタンジオールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレートなどが挙げられる。
【0013】
また、3官能(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0014】
さらに、4官能(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが、5官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが、6官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ
)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0015】
次に、当該(a2)成分の具体例として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーの他、ポリエーテル骨格をもつ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格をもつ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル骨格をもつ(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
【0016】
当該(a2)成分の重量平均分子量としては、GPC法により測定したポリスチレン換算の値において、300~30,000であることが好ましく、400~10,000であることが更に好ましく、500~5,000であることが特に好ましい。
【0017】
なお、当該(a2)成分の市販品としては、SUA-008(商品名、亜細亜工業社製、ポリエーテル骨格、2官能)、SUA-023(商品名、亜細亜工業社製、ポリエーテル骨格、2官能)、RUA-074(商品名、亜細亜工業社製、ポリエステル骨格、2官能)などが挙げられる。
【0018】
ここで、当該(A)成分の配合割合としては、(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、30~98重量部配合することが好ましく、45~97重量部配合することが更に好ましく、60~96重量部配合することが特に好ましい。
【0019】
<カプロラクトン骨格をもつ単官能(メタ)アクリレートモノマー>
本発明では、カプロラクトン骨格をもつ単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を用いる。当該(B)成分は、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物の密着性を向上させることができるものである。特にカプロラクトン骨格を有することにより、塩化ビニル樹脂などのポリマーに密着しやすくなることから、剥がれを抑制できる傾向がある。
【0020】
なお、当該(B)成分の市販品としては、アロニックス M-5300(商品名、東亞合成社製、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)、プラクセル FA1(商品名、ダイセル社製、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン)などが挙げられる。
【0021】
ここで、当該(B)成分の配合割合としては、(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、0.01~30重量部配合することが好ましく、0.05~20重量部配合することが更に好ましく、0.1~15重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物を効率的に密着させることができる傾向がある。
【0022】
<シリコン系表面調整剤>
本発明では、シリコン系表面調整剤(C)を用いる。当該(C)成分は、不飽和結合をもつ官能基を有するものを用いる必要がある。当該官能基としては、アクリル基、カルボニル基、カルボキシル基などが挙げられ、これらの中でも、アクリル基を有することが好ましい。特に、上記(B)成分と併せて、当該官能基を有する(C)成分を配合することにより、表面材に塗工した後でも、汚染されにくく、また汚染されても簡単に拭き取ることができる傾向がみられる。
【0023】
また、当該(C)成分は、ポリエーテル変性又はポリエステル変性されていることが好ましい。特に、上記(B)成分と併せて、当該(C)成分として、このような変性物を配合することにより、上記の効果をさらに向上させることができる傾向がある。
【0024】
なお、当該(C)成分の市販品としては、BYK-UV3500(商品名、ビックケミー社、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、BYK-UV3505(商品名、ビックケミー社、アクリル基を有する変性ポリジメチルシロキサン)、BYK-UV3570(商品名、ビックケミー社製、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)などが挙げられる。
【0025】
ここで、当該(C)成分の配合割合としては、(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、0.01~20重量部配合することが好ましく、0.03~15重量部配合することが更に好ましく、0.05~10重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物の耐ヒールマーク性を効率的に向上させることができる傾向がある。
【0026】
<光重合開始剤>
本発明では、光重合開始剤(D)を用いる。当該(D)成分の具体例としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
ここで、当該(D)成分の配合割合としては、(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、0.01~20重量部配合することが好ましく、0.1~15重量部配合することが更に好ましく、1~10重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物を効率的に重合させることができる傾向がある。
【0028】
なお、当該(D)成分の市販品としては、Omnirad 127、Omnirad 184、Omnirad 369、Omnirad 500、Omnirad 754、Omnirad 819、Omnirad 907、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad TPO、Omnirad MBF(商品名、いずれもiGM RESINS社製)、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE04(商品名、いずれもBASFジャパン社製)、DAIDO UV-CURE PMB、DAIDO UV-CURE OMB、DAIDO UV-CURE BMS、DAIDO UV-CURE 171、DAIDO UV-CURE D-177F、DAIDO UV-CURE ♯174、PHOTOCURE 550(商品名、いずれも大同化成工業社製)などが挙げられる。
【0029】
<その他の成分>
本発明では、上記(A)~(D)成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。
【0030】
本発明では、例えば、アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを配合することができる。当該成分は、希釈剤としてはたらくため、塗布する際の作業性が向上する傾向がある。当該成分の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、当該成分の配合割合としては、例えば、上記(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、1~1000重量部程度配合することができる。
【0031】
本発明では、例えば、無機粒子を配合することができる。当該成分としては、主に金属酸化物の粒子があり、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子などが挙げられる。当該成分を配合することにより、光が乱反射するため、床表面の光沢を抑制できる傾向がある。また、当該成分については、密着性を向上させるため、有機処理をすることが好ましい。なお、当該成分の配合割合としては、例えば、上記(A)~(D)成分の合計100重量部に対して、1~100重量部程度配合することができる。
【0032】
さらに、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、各種の添加剤を配合することもできる。
【0033】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0034】
<実施例1>
(A)成分のうち、
(a1)成分として、Miramer M340(商品名、MIWON社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート)を20重量部と、
(a2)成分として、SUA-023(商品名、亜細亜工業社製、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート、2官能、重量平均分子量:2,700)を45重量部と、
(B)成分として、アロニックス M-5300(商品名、東亜合成社製、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)を1重量部と、
(C)成分として、BYK-UV3570(商品名、ビックケミー社製、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)を0.5重量部と、
(D)成分として、DAIDO UV-CURE ♯174(商品名、大同化成工業社製)を5重量部と、
その他の成分として、2-EHA(三菱ケミカル社製、2-エチルヘキシルアクリレート)を35重量部と、ACEMATT 3600(商品名、エボニック社製、有機処理シリカ、二次粒子径(d50):5μm)を13重量部と、を混合攪拌して、実施例1の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0035】
<実施例、比較例、及び参考例>
表1及び表2に示す配合において、実施例1と同様に光硬化性樹脂組成物を得た。その際には、以下の原材料を用いた。
BYK-UV3500(商品名、ビックケミー社製、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、
BYK-UV3505(商品名、ビックケミー社製、アクリル基を有する変性ポリジメチルシロキサン)
BYK-UV3535(商品名、ビックケミー社製、シリコンフリー)
【0036】
【0037】
【0038】
上記の実施例等にて得られた光硬化性樹脂組成物について、以下の要領で試験体を作製し、物性評価を行った。この結果を表3及び表4に示す。
【0039】
<試験体の作製>
塩化ビニル樹脂シート(商品名:スタイルフロア Y110-S、富双合成社製、厚み:1.8mm)を基材として、光硬化性樹脂組成物を膜厚15μmとなるように塗工し、有電極高圧水銀ランプ(商品名:アイグランデージ ECS4011GX/N、アイグラフィックス社製)を用いて、照射強度100mW/cm2、積算光量800mJ/cm2にて紫外線照射させ、当該組成物を硬化させることで試験体を作製した。
【0040】
<密着性>
旧JIS K 5400の碁盤目テープ法に準じて、試験体に対して、1mm幅にて碁盤目状に切り込みを入れ、100個の碁盤目を作製した後、セロハンテープ(ニチバン社製、商品名:CT24)を貼り付け剥がした際の、塗膜の剥離状態(試験後の碁盤目の数/試験前の碁盤目の数)を観察した。
【0041】
<光沢度>
JIS Z 8741に準じて、マイクロトリグロス(ビックガードナー社製)を用いて、60°光沢度を測定した。
【0042】
<耐ヒールマーク性(初期汚染)>
JIS K 3920に準じたヒールマーク試験機により、試験体について、15,000回試験を行い、試験後の表面を目視にて観察して、以下の基準により評価した。
◎:目視ではほとんど汚染が観察できず、表面の美観が損なわれていない。
○:目視により一部に汚染が観察できたが、表面の美観がほとんど損なわれていない。
×:目視により全体に汚染が観察でき、表面の美観が損なわれている。
【0043】
<耐ヒールマーク性(水拭性)>
耐ヒールマーク性(初期汚染)を評価した後の試験体について、水をしみこませたウエスにより水拭きをし、水拭き後の表面を目視にて観察して、試験体の汚染の拭き取りやすさを対比し、以下の基準により評価した。
◎:汚染をほぼ拭き取ることができた。
○:汚染をほとんど拭き取ることができた。
×:汚染を拭き取ることができなかった。
【0044】
【0045】
【0046】
実施例においては、表面材に対する密着性が良好で、汚染や擦れに対する耐久性に優れており、仮に汚染されたとしても容易に拭き取ることができるという結果が得られた。その一方で、比較例においては、いずれかの物性項目について著しく劣っているという結果が得られた。