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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20221117BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20221117BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F01N13/08 G
F01N1/08 B
B60K13/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018186427
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020056345
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】河内 薫
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070579(JP,A)
【文献】特開2008-111356(JP,A)
【文献】特開2012-189020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 1/08
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の排出口が間隔をあけてそれぞれ形成されるマフラ本体と、
前記マフラ本体の端部に接続されるマフラエンドカバーと、
を備え、
前記マフラ本体は、外筒部と、前記外筒部の軸方向の端を塞ぐ外側蓋部とを有し、
マフラエンドカバーは、
前記マフラ本体の端部に隣接して、前記マフラ本体の端部の外周縁を一周する外周壁部と、
前記複数の排出口の間を通過して延び、両端が前記外周壁部に連なって、前記外周壁部内の空間を前記排出口が配置される複数の空間に仕切る仕切壁部と、
を備え、
前記仕切壁部は、その排出方向下流側の先端が前記外側蓋部よりも排気ガスの排出方向下流側に位置するように、排出方向に沿って延びている、マフラ。
【請求項2】
請求項1記載のマフラであって、
前記マフラ本体は、膨張室に対して排気ガスの排出方向に突出する複数の排気管を含み、
前記複数の排気管によって前記複数の排出口がそれぞれ形成され、
前記外周壁部は、前記複数の排気管をそれぞれの径方向外側から覆って、前記複数の排気管よりも前記排出方向下流側まで延び、
前記仕切壁部のうち少なくとも前記複数の排気管の隣の部分が、前記排出方向において前記複数の排気管に対して同位置から前記排出方向上流側に退避する位置との間に位置する部分を含む形状に形成されている、マフラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のマフラであって、
前記仕切壁部は、前記外周壁部と連なる連結部分が、前記複数の排出口の隣の部分に比べて、前記排出方向下流側に延びる形状に形成されている、マフラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のマフラであって、
前記仕切壁部は、複数の排出口が並ぶ並列方向において、前記外周壁部と連なる連結部分の外形寸法が、前記複数の排出口の隣の部分の外形寸法に比べて、大きい形状に形成されている、マフラ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のマフラであって、
前記マフラエンドカバーは、前記外周壁部の径方向内側に形成され、前記マフラ本体に固定されるための固定部をさらに含む、マフラ。
【請求項6】
請求項5記載のマフラであって、
前記固定部は、前記仕切壁部の一部として形成されている、マフラ。
【請求項7】
複数の排出口が間隔をあけてそれぞれ形成されるマフラ本体と、
前記マフラ本体の端部に接続されるマフラエンドカバーと、
を備え、
マフラエンドカバーは、
前記マフラ本体の端部に隣接して、前記マフラ本体の端部の外周縁を一周する外周壁部と、
前記複数の排出口の間を通過して延び、両端が前記外周壁部に連なって、前記外周壁部内の空間を前記排出口が配置される複数の空間に仕切る仕切壁部と、
を備え、
前記マフラエンドカバーは、前記外周壁部の径方向内側に形成され、前記マフラ本体に固定されるための固定部をさらに含み、
前記固定部は、前記仕切壁部の一部として形成されており、
前記固定部は、前記仕切壁部のうち前記外周壁部と連なる連結部分に形成され、
前記外周壁部と前記仕切壁部とで、前記マフラ本体に向けて凹んで、前記固定部を前記マフラ本体に固定する固定具の一部が収容される凹部が形成されている、マフラ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のマフラであって、
前記複数の排出口は、上下に並んで配置され、
前記複数の排出口のうち上方の排出口の開口面積は、下方の排出口の開口面積より小さい、マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鞍乗型車両のマフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排出口が上下に並ぶマフラが開示される。また、特許文献1では、排出口の径方向外側領域をマフラの後端部が覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-14173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、マフラの後端部は排気ガスにさらされるため、温度変化が大きくなる。したがって、マフラの後端部を大型化した場合に、マフラ後端部の熱歪みが大きくなり、マフラ後端部に大きな応力が生じる。
【0005】
そこで、本発明では、歪みを抑えて大型化が可能なマフラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、マフラは、複数の排出口が間隔をあけてそれぞれ形成されるマフラ本体と、前記マフラ本体の端部に接続されるマフラエンドカバーと、を備え、マフラエンドカバーは、前記マフラ本体の端部に隣接して、前記マフラ本体の端部の外周縁を一周する外周壁部と、前記複数の排出口の間を通過して延び、両端が前記外周壁部に連なって、前記外周壁部内の空間を前記排出口が配置される複数の空間に仕切る仕切壁部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
このマフラによると、外周壁部が、マフラ本体の端部の外周縁を一周することで、マフラ全体としてみた場合に、後端部を大型化させることができる。また、仕切壁部の両端が、外周壁部にそれぞれ連なることで、マフラエンドカバーが大型化したとしても、マフラエンドカバーの熱膨張を抑えることができ、マフラエンドカバー取付部分にかかる応力を低減することができる。さらに仕切壁部が、複数の排出口を避けて、複数の排出口の間を通過することで、仕切壁部が、排気ガス排出の抵抗になることを抑えることができ、マフラの性能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動二輪車を示す概略斜視図である。
図2】マフラを示す側面図である。
図3】マフラを示す背面図である。
図4】マフラを示す斜視図である。
図5図3のV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係るマフラについて説明する。ここでは、マフラが自動二輪車に適用された例で説明する。マフラは、自動二輪車の他、バギー車、自動三輪車、ATV(All Terrain Vehicle)等の鞍乗型乗物に適用可能である。なお、鞍乗型乗物 は、運転者がシートに跨った状態で運転する乗物を意味する。
【0010】
図1は自動二輪車100を示す概略斜視図である。
【0011】
自動二輪車100は、フレーム110と、前輪120と、後輪130と、ハンドル140と、エンジン150と、マフラ10とを備える。なお、以下の説明において、上下、前後及び左右について言及する場合、各方向は、次のように定義される。まず、自動二輪車100の2つの車輪120、130が路面に接地する側が下であり、その反対側が上である。また、自動二輪車100が走行する際の進行方向が前であり、その反対側が後ろである。さらに、運転者が運転者シートに跨った運転姿勢で、運転者を基準として左右が定義される。
【0012】
フレーム110に形成されるヘッドパイプにステアリングシャフトが回転可能に挿通されている。このステアリングシャフトにブラケットを介してフロントフォークが支持されている。フロントフォーク114の下端部に前輪120が回転可能に支持されている。
【0013】
ハンドル140がステアリングシャフトに固定される。運転者がハンドル140をステアリンシャフト軸回りに角変位操作させることで、フロントフォーク114と共に、前輪120が回転し、自動二輪車100が操舵される。
【0014】
フレーム110は、前後輪を支持するためのメインフレーム部分を備える。メインフレーム部分は、ヘッドパイプから後方に向かうにつれて下方に傾斜する。またメインフレーム部分は、燃料タンク151、エンジン150およびスイングアーム118を支持する。燃料タンク151は、ヘッドパイプの後方に配置される。またエンジン150は、燃料タンク151の下方に配置される。
【0015】
スイングアーム118は、前後方向に延びて、メインフレーム部分に支持される。具体的には、スイングアーム118の前部が、メインフレーム部分に設定されるピボット軸回りに角変位可能に支持される。スイングアーム118の後部は、後輪130を回転可能に支持する。上記エンジン150の駆動力が、変速機およびチェーンまたはベルトなどの駆動力伝達機構を介して後輪130に伝達されることで、後輪130が回転駆動される。具体的には、変速機によって変速された動力がスイングアームに隣接するチェーンによって後輪に伝達される。本実施形態では、車体の車幅方向一方、具体的にはサイドスタンドが配置される側となる左側にチェーンが配置される。
【0016】
メインフレーム部分には、シート163を支持するためのシートフレーム110bが接続される。シートフレーム110bは、メインフレーム部分の後部上方から後方かつ上方に延びる。シートフレーム110bは、運転者が着座する運転者シート163が固定される。またシートフレーム110bには、マフラ10を支持するための支持フレーム111が接続される。支持フレーム111は、シートフレーム110bに接続されて、シートフレーム110bとの接続位置から後方に延びる。
【0017】
マフラ10は、エンジン150から排気ガスが大気中に排出される際に生じる、排気音を低減する役割を果す。マフラ10は、後輪130に対して車幅方向に間隔をあけて対向して配置される。マフラ10は、自動二輪車100の一側部、ここでは、チェーンなどのスイングアームに隣接する動力伝達部分が設けられる側とは反対側の側部(右側部)に設けられる。本実施形態では、マフラ10の後端部は、後輪130の後端部よりも前方であって、後輪130の上端部よりも下方、後輪130車軸よりも上方の領域に配置される。
【0018】
マフラ10は、排気ガスに含まれるエネルギーを低減するための複数の内部空間が形成される。排気ガスは、マフラ10内の内部空間を順番に通過することで、段階的に膨張を繰り返して、その圧力エネルギーが下がる。また排気ガスは、マフラ10内の内部空間で、異なる通路を通過したそれぞれが衝突または干渉することで、その圧力エネルギーが下がる。これによって排気音が低減する。エンジン150から排出された排気ガスは、排気管152および排気チャンバ154を介してマフラ10に導かれる。排気ガスは、大気中に排出される前に、触媒装置153によって、排気ガス中に含まれる窒素酸化物などの有害物資が浄化される。本実施形態では、触媒装置153は、排気管152に介在される。排気チャンバ154は、マフラ10よりも上流側に配置されて、マフラ10同様に排気のエネルギーを低減する。本実施形態では、排気チャンバ154は、エンジン150と後輪130との前後方向間に配置される。
【0019】
本実施形態では、マフラ10は、前後方向に延びる長軸を有する長尺状に形成される。具体的には、マフラ10は、その長軸が、前端から後端に進むにつれて上方に進むように傾斜して車体に取り付けられる。以後、長軸が傾斜した取り付け状態に基づいてマフラ10を説明する。本実施形態では、マフラ10は、その上部のうちで前後方向中間位置に形成される被支持部によって、支持フレーム111に支持される。
【0020】
マフラ10は、エンジン150から排出される排気ガスを内部空間に導入するための導入口が前部に形成される。マフラ10は、排気ガスを大気中に開放させるための排出口が後部に形成される。排気ガスは、排出口から排出方向にそって放射状に拡散して排出される。すなわち排気ガスは、排出口から後方に進むにつれて径方向に広がる。なお、排気管30A、30Bの延在方向が排気ガスの排出方向Pである(図5参照)。
【0021】
本実施形態では、マフラ10は、導入口から排出口に向けて長軸に沿って進むにつれて、前端部から後方に進むにつれて徐々に内径が広がる拡径形状に形成される。本実施形態では、マフラ10は、車両の前後方向に垂直な断面形状が、後方に進むにつれて大径化する形状に形成される。具体的には、側面視において、後方に進むにつれて、マフラ10上縁がマフラ下縁に対して上方に離れる形状に形成される。
【0022】
図2はマフラ10を示す側面図であり、図3はマフラ10を示す背面図であり、図4はマフラ10を示す斜視図であり、図5図3のV-V線断面図である。図3は排気ガスの排出方向Pに沿って見た場合の背面図であり、図4はマフラ10を車幅方向外側の斜め後方から見た斜視図である。
【0023】
マフラ10は、車両の前後方向に垂直な断面における外形形状として、上下方向寸法が車幅方向寸法よりも大きい縦長形状に形成される。たとえば前記垂直断面における外形形状として、上下方向中間が上下方向両端よりも幅方向外側に膨らむ提灯形状、大略的に楕円形状、オーバル形状または上下に長い長方形状に形成される。具体的には、前記垂直断面における外形形状として、隅部分がなだらかな円弧形状となるように面取りされる。更に具体的には、断面形状として、車幅方向内側の面と、車幅方向外側の面と、上面と、下面とで囲まれた形状に形成される。上面および下面は、車幅方向内側の面と車幅方向外側の面との上下をそれぞれ連結する。断面形状として、下面は、ほぼ水平に延びる。また上面は、車幅方向内側から車幅方向外側に進むにつれて下方に傾斜する。車幅方向内側面および車幅方向外側面は、上下方向中間部が上下方向両端よりも幅方向外側に膨らむ湾曲形状に形成される。なお、車幅方向内側面および車幅方向外側面のうち幅方向に最も膨らむ位置は、上方向中央位置よりも上方に位置する。
【0024】
本実施形態では、マフラ10の車幅方向外側面が、下端から上方に進むにつれて車幅方向外側に膨らむ傾斜状に形成される。これによってマフラの容積減少を抑えつつ、車両を傾斜させた場合にマフラが路面に接触することを防ぐことができる。また後方に向かうにつれて、マフラ10のうちで、最も車幅方向外側に突出する部分が上方に向かう。言い換える最も車幅方向外側となる突出部分として、後方に進むにつれて上方に進む稜線形状が形成される。
【0025】
マフラ10は、マフラ本体20と、マフラエンドカバー40とを備える。マフラ本体20は、排気ガスの消音機能を実現する部分であって、上述した消音のための複数の内部空間が形成される。言い換えると、マフラエンドカバー40をマフラ本体20から取り外した状態でも、消音効果を実現することができる。マフラ本体20には、導入口31Cと排出口31A、31Bとが形成される。導入口31Cは、内部空間に排気ガスを導くために形成される。本実施形態では、導入口31Cは、排気チャンバ154から延びる導入管156が挿入接続される。排出口31A、31Bは、内部空間から排気ガスを排出するために形成される。マフラ本体20には、導入口31Cおよび排出口31A、31Bを除いて閉鎖した閉空間が形成される。排気ガスが導入口31Cから排出口31A、31Bに移動するまでに膨張を繰り返すことで、排気ガスのエネルギーが低減される。
【0026】
マフラ本体20には、複数の排出口31A、31Bが間隔をあけて配置される。具体的には、マフラ本体20は、2つの排出口31A、31Bが上下方向に間隔をあけて配置される。またマフラ本体20は、膨張室を形成する膨張室形成部22と、外壁を形成する外壁形成部21と、各排出口31A、31Bをそれぞれ形成する排気管30A、30Bとを備える。膨張室形成部22は、筒状に形成される内筒部24と、内筒部24の軸方向両端をふさぐ内側蓋部26とによって構成される。これによってマフラ本体20内の内部空間が膨張室として形成される。実際には、内部空間は、少なくとも1つの仕切りと、仕切りを連通する連通路とが形成されることで、排気ガスの流路を長くしたり、流路の向きが代えられたりする。
【0027】
本実施形態では、導入管156からの排気ガスは、後方膨張室24A内に導入されて、導入管156の出口から後方に向かう。その後、排気ガスは、向きを変えて、後方膨張室と前方膨張室を仕切る内部仕切部28に形成される孔28hを通過して、前方膨張室24Bに向かう。その後、前方膨張室24Bから各排気管30A、30Bを介して、大気中に放出される。
【0028】
外壁形成部21は、筒状に形成される外筒部23と、外筒部23の軸方向両端をふさぐ外側蓋部25とによって形成される。外筒部23は、内筒部24を周方向に一周して、内筒部24を径方向外側から覆う。外側蓋部25は、内側蓋部26を軸方向外側から覆う。このように本実施の形態のマフラ本体20は、2重構造に形成される。外筒部23と内筒部24との間に形成される径方向空間には、スチールウールなどの消音材が介在されてもよい。
【0029】
各排気管30A、30Bは、内筒部24に形成される膨張室24A、24Bに対して排気ガスの排出方向Pに突出する。本実施形態では、排気管30A、30Bの後端部が、内筒部24の後面から後方に突出し、内筒部24の後面よりも後方に位置する。これによってマフラ本体20の排出口31A、31Bは、内筒部24の後面よりも後方に離れた位置に設定される。各排気管30A、30Bは、互いに並行に延びる。また各排気管30A、30Bは、大略的にマフラ本体20の長軸に沿う方向に延びる。
【0030】
本実施形態では、内筒部24の後端面は、上下方向寸法が車幅方向寸法よりも大きい縦長形状に形成される。これによって排気管30A、30Bを間隔をあけて上下方向に並べて配置しやすい。また内筒部24は、下部に比べて上部が車幅方向寸法が大きく形成される。上方に位置する上方排気管30Aは、下方に位置する下方排気管30Bに比べて、車幅方向外側に中心軸がずれて配置される。これによって各排気管30A、30Bに導かれる排気の偏りを低減することができる。また本実施形態では、上方排気管30Aよりも下方排気管30Bの方が開口面積が大きく形成される。
【0031】
各排気管30A、30Bは、円管状の部材である。図5に示すように、各排気管30A、30Bの外側の端部開口は、その中心軸に対して斜めにカットされた形状である。具体的には、各排気管30A、30Bの開口縁は、下端から上方に向かうにつれて後方に向って延びる。また各排気管30A、30Bの開口縁は、車幅方向内側端から車幅方向外側に向かうにつれて前方に向って延びる。下方排気管30Bは、上方排気管30Aよりも開口が大きく形成される。各排気管30の車幅方向外側の端部開口は、同一平面状上に延在している。
【0032】
図2に示すように、マフラエンドカバー40は、マフラ本体20の後側の端部に接続される部材である。マフラエンドカバー40が装着されることで、膨張室24A、24Bから突出した排気管30A、30Bを保護することができる。たとえばマフラエンドカバー40が設けられることで、外部障害物と排気管30A、30Bとが接触することを防ぐことができる。
【0033】
またマフラエンドカバー40が設けられることで、排気管30A、30bの周囲の汚れを目立ちにくくすることができる。例えば、排気管30A、30Bの周囲は、排気ガスの排出にともなって汚れが生じやすい。たとえば排気管30A、30Bからの排出ガスに含まれる煤などによって排気管30A、30B周囲が汚れることがある。また排気管30A、30Bに付着したエンジンオイルなどの油分が排気熱によって炭化してしまうことでも汚れが生じることがある。マフラエンドカバー40によって、排気管30A、30Bの周囲が隠されることで、排気管30A、30Bの周囲の汚れを目立ちにくくすることができる。マフラエンドカバー40は、黒色に着色されることで、排気管30A、30B及び筒部の汚れをさらに目立たなくすることができ、美観低下を防ぎやすくすることができる。
【0034】
マフラエンドカバー40は、成形品、例えば、アルミダイキャスト等の金属製の部材であってもよい。マフラエンドカバー40がアルミニウム合金製であれば、放熱性に優れた構成とすることができる。マフラエンドカバー40は、金属に限らず、耐熱性を有する樹脂等で形成されてもよい。本実施形態では、マフラエンドカバー40は、薄肉形状に形成されることで、内部は中空形状に形成される。
【0035】
マフラエンドカバー40は、外周壁部42と、仕切壁部60とを備える。
【0036】
外周壁部42は、マフラ本体20の後端側の周囲を囲う部分である。外周壁部42は、マフラ本体20の後方の端部にその後方から隣接し、マフラ本体20の端部の外周縁を一周するリング状形状に形成されている。仕切壁部は、外周壁部によって形成される開口空間を上下に仕切る形状に形成され、仕切壁部の両端がそれぞれ外周壁部に連なる。外周壁部の開口、すなわち、マフラエンドカバー40のうち排出方向P下流側の開口は、図5に示すように、下縁から上方に向かうにつれて後方に向って延びる。また、外周壁部42の開口は、車幅方向内縁から車幅方向外側に向かうにつれて前方に向って延びる。このようにマフラエンドカバー40のうち排出方向P下流側の開口の縁部は、車幅方向外側を向く。従って、マフラ本体の長軸に平行な中心軸を有する開口に比べて、マフラ10の後方開口を大きく開口させることができる。このようにして、マフラエンドカバー40の開口形状を大きくすることができ、放熱し易くすることができる。また外周壁部42の後方開口が大きく形成されることで、排気管30A、30Bから排出された排気ガスをマフラ外に向けて排出し易くでき、出力低下を抑えることができる。
【0037】
外周壁部42は、各排気管30A、30Bをそれぞれの径方向外側から覆っている。ここで、各排気管30A、30Bをそれぞれの径方向外側から覆うとは、上方排気管30Aに着目しても、下方排気管30Bに着目しても、外周壁部42がそれらの径方向外側から覆っていることをいう。つまり、排出方向Pに沿って見た場合に、外周壁部42は、各排気管30A、30Bの周りを覆っている。外周壁部42は、排気管30A、30Bよりも排出方向Pの下流側まで延びている。したがって、車幅方向外側から見た場合、各排気管30A、30Bは外周壁部42によって隠れる。
【0038】
外周壁部42は、径方向外側となる外周面と、径方向内側となる内周面とが形成される。外周壁部42の外周面は、排出方向下流側に進むにつれて、周面の半径が小さくなる縮径形状に形成される。また外周壁部42の内周面は、排出方向下流側に進むにつれて、周面の半径が大きく拡径形状に形成される。これによって外周壁部42の外周面と内周面との間の上下方向寸法は、排出方向P下流側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。
【0039】
外周壁部42の外周面は、マフラ本体20の後方の開口の外周縁と同じ形状の部分から、マフラ本体20の後方の開口の外周縁と相似形でかつ当該外周縁よりも小さい形状となるように、排出方向P下流側に向けて徐々に変化する。ここでは、外周壁部42の外周面下側部分は、外周壁部42の外周面上側部分に比べて、縮径する角度が大きく形成される。これにより、マフラエンドカバー40の下方に配置される後輪130の車軸から上方にマフラエンドカバー40が退避する。これによって後輪130の車軸への調整の際に、マフラエンドカバー40と工具とが干渉することが防がれる。
【0040】
外周壁部42の外周面のうち車幅方向外側部分は、排出方向P下流側に向けて外筒部23の車幅方向外側部分の延長上に延びた後、途中で、外周壁部42の内側に向うように曲って延在している。これによって外周壁部42の開口が過大となることを防ぐことができ、マフラエンドカバー40による保護効果を高めることができる。また本実施形態では、外周壁部の内周面と外周面とが傾斜して後端部で合流する構造に形成されるので、前後方向の剛性を高めることができ、障害物との衝突した際の変形を抑えることができる。これによってマフラエンドカバーの変形に起因して、マフラエンドカバーが、排気ガスの排出の障害となることを防ぐことができる。
【0041】
上述したようにマフラエンドカバー40は、上半領域で最も幅寸法が大きくなる。マフラエンドカバー40は、直立状態の観察者に対して、下方に位置することから、マフラエンドカバー40の開口を目立ちやすくすることができ、マフラエンドカバー40が大きく開口している印象を与えることができる。
【0042】
マフラエンドカバー40の外周面において、上側部分、下側部分及び車幅方向外側部分は、車幅方向内側部分よりも急な傾斜度合で、外周壁部42の径方向内側に傾いている。このため、マフラエンドカバー40を排出方向Pに沿って見ると、外周壁部42の外周面のうち排出方向P下流側の縁部分は、外周壁部42の外周面のうち排出方向P上流側の縁内において当該上流側の縁よりも車幅方向内側に偏る。
【0043】
またマフラエンドカバー40の外周面において、上側部分、下側部分及び車幅方向外側部分は、排出方向P下流側に向かうにつれて外周壁部42の内側に向うように凹んでいる。特に、車幅方向外側部分は、車幅方向内側に凹む。このため、マフラ10全体として、マフラ10を小さく見せ易い。また、マフラ10の後方縁部の外方突出量を小さくすることができるため、障害物がマフラ10に接触し難い。
【0044】
マフラエンドカバー40には、マフラ本体20に固定されるための固定部が形成される。本実施形態では、固定部として、車幅方向外側部分に形成される外側固定部46、47が形成される。本実施形態では、外側固定部46は複数設けられ、第1外側固定部46は外周壁部42の車幅方向外側部分のうち上側部分に形成され、第2外側固定部47は外周壁部42の車幅方向外側部分のうち下側部分に形成されている。
【0045】
各外側固定部46、47は、車幅方向外側部分の一部に排出方向Pに沿った凹みを形成し、その凹みのうち排出方向Pに対して直交する底面部分に固定具としてのネジ挿通孔を形成することによって形成されている。そして、固定具の一例としてネジSが当該ネジ挿通孔に挿通された状態で、マフラ本体20側に設けられたネジ溝に螺合締付される。
【0046】
各外側固定部46、47は、凹み形状に形成されており、その内周部の下部は、開口に向うにつれて下方に傾斜する形状に形成されている。このため、雨水等が固定部46、47に溜ることを抑制できる。これにより、ネジSが鉄等で形成される場合において、ネジSに錆が生じることを抑制できる。
【0047】
外周壁部42の内周面のうち排出方向Pの下流側の内周縁は、外周壁部42の外周面のうち排出方向P下流側の外周縁より小さい(一回り小さい)形状に形成されている。この外周壁部42の内周面のうち排出方向Pの下流側の内周縁は、マフラ本体20の後方の開口の外周縁と相似形でかつ当該外周縁よりも小さい形状である。外周壁部42の内周面は、排出方向P上流側に向かうにつれて外周壁部42の内側(排気管30A、30B側)に向うように傾斜している。排出方向Pに対する外周壁部42の内周面の傾斜度合は、外周壁部42の内周面の周方向全体において同じ程度である。このため、仕切壁部60が無いと仮定すると、外周壁部42の奥には、外側蓋部25の外向き面が、マフラ本体20の後方の開口の外周縁と相似形でかつ当該外周縁よりも小さい形状で露出している。外周壁部42の内周面が、排出方向P下流側に進むにつれて径方向に広がる。これによって排気管30A、30Bから排出された排気ガスが外周壁部42の内周面に衝突することが防がれ、排気ガスの排出を円滑にすることができる。また内周面の内径が排出方向に進むにつれて徐々に拡大することで、排気管30A、30Bから排出される排気ガスの膨張の急変を防ぐことができ、マフラエンドカバー40によるさらなる消音効果を期待することができる。
【0048】
仕切壁部60は、上方排気管30Aの排出口である第1排出口31A、下方排気管30Bの排出口である第2排出口31Bの間を通過して延び、両端が外周壁部42に連なる。仕切壁部60は、外周壁部42内の空間を前記排出口31A、31Bが配置される複数の空間に仕切っている。ここで、仕切壁部が複数の排出口の間を通過して延びるとは、排出方向Pに沿って見た場合に、仕切壁部が複数の排出口の間にあることをいう。このため、仕切壁部の実在部分が排出口の間に存在することを要しない。例えば、後述する変形例のように、仕切壁部の後端縁部が複数の排出口の間から排出方向の下流側にはみ出す部分を通っていてもよい。
【0049】
より具体的には、仕切壁部60は、上方排気管30Aと下方排気管30Bとの間で、上方排気管30Aの中心軸Aと下方排気管30Bの中心軸Bとを結ぶ方向に対して交差する方向、ここでは、車幅方向に沿って延在している。
【0050】
仕切壁部60は、壁本体部分62と、内側連結部分64と、外側連結部分68とを含む。壁本体部分62は、各排気管の並ぶ方向に交差する方向、本実施形態では車幅方向に延びる部分である。また内側連結部分64とは、車幅方向内側で壁本体部分62と外周壁部42とを連結する部分である。また外側連結部分68とは、車幅方向外側で壁本体部分62と外周壁部42とを連結する部分である。
【0051】
壁本体部分62は、後方に凸となる略U字状断面形状(車幅方向に直交する断面における形状)に形成され、排出方向P下流側に向かうにつれて両主面(ここでは上下面)間の寸法が小さくなる方形板状に形成されている。壁本体部分62は、その延在方向に沿って同一断面形状が連続する形状に形成されている。壁本体部分62は、2つの排気管30A、30Bとを仕切る位置で、車幅方向に沿って配設される。
【0052】
壁本体部分62のうち車幅方向内側部分は、内側連結部分64を介して仕切壁部60の内周面の車幅方向内側部分に連なる。壁本体部分62のうち車幅方向外側部分は、外側連結部分68を介して仕切壁部60の内周面の車幅方向外側部分に連なる。仕切壁60のうちで、上方排気管30A及び下方排気管30Bの双方に最も近づく最近接部分が、壁本体部分62に形成される。例えば、壁本体部分62のうち排気管30A、30Bのそれぞれの中心軸A、Bを結ぶラインが通過する部分が、最近接部分となる。最近接部分は、仕切壁部60のうち少なくとも複数の排気管30A、30Bの隣の部分において、排出方向Pにおいて複数の排気管30A、30Bに対して同位置から排出方向P上流側に退避する位置との間に位置する部分の一例である。
【0053】
内側連結部分64は、壁本体部分62の車幅方向内側部分から仕切壁部60の内周面の車幅方向内側部分に向うにつれて、徐々に上下方向の幅が大きくなるように形成されている。ここでは、内側連結部分64の上面は、車幅方向内側に向かうにつれて上方に向い、内側連結部分64の下面は車幅方向内側に向かうにつれて下方に向う形状に形成されている。このため、第1排出口31A及び第2排出口31Bが並ぶ並列方向において、内側連結部分64の外形寸法は、壁本体部分62のうち第1排出口31A及び第2排出口31Bの隣の部分の外形寸法よりも大きい。
【0054】
仕切壁部60は、少なくとも上方排気管30Aと下方排気管30Bの最近接部分で、排気管30A、30Bに対して、出方向P上流側(つまり、前方となる外周壁部42の奥側)に退避する形状に形成されている(図5参照)。また、内側連結部分64は、最近接部分に比べて、排出方向P下流側に延びる形状に形成されている。このため、仕切壁部60が、内側連結部分64を介して上下方向において大きい領域で仕切壁部60に連結されることになる。
【0055】
ここでは、壁本体部分62のうち排出方向P下流側の縁62aは、車幅方向内側に向けて排出方向P下流側に傾斜するように延在している。各排出口31A、31Bも、車幅方向内側に向けて排出方向P下流側に傾斜しているが、排出方向Pに直交する面に対する傾斜角度は、縁62aの傾斜角度よりも大きい。壁本体部分62の縁62aのうち車幅方向外側部分は、各排出口31A、31Bを含む面よりも排出方向P下流側に位置する。しかしながら、上記傾斜角度の差に起因して、壁本体部分62の縁62aのうち最近接部分は、各排出口31A、31Bを含む面よりも排出方向P上流側に退避している。本実施形態では、壁本体部分62の縁62aのうち2つの排気管30A、30Bとの間に存在する部分全体が、第1排出口31A及び第1排出口31Aを含む面よりも排出方向P上流側に退避している。
【0056】
また、内側連結部分64のうち排出方向P下流側の縁64aは、車幅方向内側に向けて排出方向P下流側に傾斜するように延在している。排出方向Pに直交する面に対する縁64aの傾斜角度は、縁62aの傾斜角度よりも大きい。このため、内側連結部分64は、最近接部分に比べて、排出方向P下流側に延びている。ここでは、内側連結部分64の車幅方向内寄りの部分は、第1排出口31A及び第1排出口31Aを含む面よりも排出方向P下流側に位置している。このため、仕切壁部60が、内側連結部分64を介して排出方向Pにおいて大きい領域で仕切壁部60に連結される。
【0057】
本実施形態では、外側連結部分68は、内側連結部分64とは異なり、排出方向Pにおいて、壁本体部分62に対して排出方向P下流側に延びていない。また、外側連結部分68の上下方向寸法は、壁本体部分62と比べて大きくなっていない。
【0058】
図2図5に戻って、マフラエンドカバー40は、マフラエンドカバー40には、マフラ本体に固定される固定部として、内側固定部が形成される。内側固定部50は、車幅方向内側に形成されて、本実施形態では外周壁部42の径方向内側に形成される。ここで、外周壁部42の径方向とは、当該外周壁部42が円であるか否かを問わず、当該外周壁部42によって囲まれる内側とその外側とを結ぶ方向をいう。
【0059】
本実施形態では、内側固定部50は、仕切壁部60の一部として形成されている。内側固定部50が、外周壁部42の径方向内側に形成されている態様として、仕切壁部60の一部として形成されている必要は無く、固定部は外周壁部の内周部分に形成されていてもよい。また、ここでは、内側固定部50は、内側連結部分64に形成されている。
【0060】
内側連結部分64の上下方向中間部であって車幅方向内寄りの部分が、マフラ本体20側に向けて凹むことで、凹部64gが形成されている。凹部64gの上方、下方及び車幅方向外方は、内側連結部分64によって囲まれ、凹部64gの車幅方向内側は外周壁部42によって囲まれている、このため、凹部64gは、外周壁部42と仕切壁部60とによって形成されている。
【0061】
凹部64gの奥側部分に、固定具としてのネジSを挿通可能なネジ挿通孔が形成されている。ネジSが当該ネジ挿通孔に挿通された状態で、マフラ本体20に設けられたネジ溝に螺合締結する。ネジSは、内側固定部50をマフラ本体20に固定する固定具の一例であり、このネジSのネジ頭Saが凹部64gに収容される。
【0062】
凹部64gは、奥側に向けて徐々に狭くなる凹形状であり、その下部は、凹部64gの開口に向うにつれて下方に傾斜する傾斜面64gaを含む。このため、雨水等が凹部64gに溜ることを抑制できる。これにより、ネジSが鉄等で形成される場合において、ネジSに錆が生じることを抑制できる。
【0063】
本マフラエンドカバー40は、各固定部46、47、50によって、3箇所で、マフラ本体20に固定される。固定部46、47は、マフラエンドカバー40の右寄りの位置に設けられ、固定部50はマフラエンドカバー40の左寄りの位置に設けられている。また、固定部50は、上下方向において、固定部46、47の間に設けられる。このため、固定部46、47、50の3箇所によって、マフラエンドカバー40をマフラ本体20にバランスよく固定することができる。なお、固定具としては、ネジの他、リベット等を用いることもできる。
【0064】
ここでは、仕切壁部60の全体が外周壁部42に対して排出方向P上流側に退避している例を説明した。しかしながら、仕切壁部60の一部、例えば、外周壁部42に連なる部分が外周壁部42に対して排出方向Pにおいて同じ位置に存在していてもよい。また、本実施形態では、排気管30A、30Bを挟んで、両側に固定部46、47、50が配置される。言い換えると、仕切壁60の延びる方向において、仕切壁60の両側に固定部46、47、50がそれぞれ配置される。本実施形態では、仕切壁60によって車幅方向の膨張・収縮が防がれるので、熱膨張・収縮に起因して、両側の固定部46、47、50に生じる応力を小さくすることができる。
【0065】
さらにマフラ10は、上方排気管30Aと外周壁部42及び仕切壁部60との間に設けられる第1筒部材54A、下方排気管30Bと外周壁部42及び仕切壁部60との間に設けられる第2筒部材54Bとを備える。各筒部材54A,54Bは、外側蓋部25の外面に溶接等で固定されている。
【0066】
第1筒部材54Aは、上方排気管30Aの外周囲を、上方排気管30Aに対して間隔をあけて覆う。第1筒部材54Aは、外周壁部42の上側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面に対しても、間隔をあけて配置される。
【0067】
第1筒部材54Aは、外周壁部42の上側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面に応じた筒形状に形成されている。ここでは、外周壁部42の上側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面は、排出方向Pに沿って見て、台形の下底の一端側部分を斜めに切除し、各角を丸めた形状に形成されている。第1筒部材54Aは、当該内周面形状と相似形で、かつ、当該内周面形状よりも小さい形状に形成されている。このため、第1筒部材54Aの外周面と、外周壁部42の上側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面との間には、第1筒部材54Aの周方向において、均等幅の隙間が形成されている。
【0068】
第2筒部材54Bは、下方排気管30Bの外周囲を、下方排気管30Bに対して間隔をあけて覆う。第2筒部材54Bは、外周壁部42の下側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面に対しても、間隔をあけて配置される。
【0069】
第2筒部材54Bは、外周壁部42の下側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面に応じた筒形状に形成されている。ここでは、外周壁部42の下側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面は、排出方向Pに沿って見て、四角形の上側の一方の角を斜めに切除し、各角を丸めた形状に形成されている。第2筒部材54Bは、当該内周面形状と相似形で、かつ、当該内周面形状よりも小さい形状に形成されている。このため、第2筒部材54Bの外周面と、外周壁部42の下側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面との間には、第2筒部材54Bの周方向において、均等幅の隙間が形成されている。
【0070】
各筒部材54A、54Bの開口は、排出方向Pにおいて、各排出口31A、31Bと同じ位置にある。つまり、各排出口31A、31Bを含む平面上に、各筒部材54A、54Bの開口が位置する。
【0071】
第1筒部材54Aは、外周壁部42の上側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面に応じた筒形状に形成されることから、マフラ本体20の上側部分の外形に沿う形状を小さくした形状に形成される。第2筒部材54Bは、外周壁部42の下側部分と仕切壁部60とで形成される環状の内周面に応じた筒形状に形成されることから、マフラ本体20の下側部分の外形に沿う形状を小さくした形状に形成される。マフラ本体20は、上記のように、車体の車幅方向に垂直な仮想面に対して非対称な形状であるから、第1筒部材54A、第2筒部材54Bも、車体の車幅方向に垂直な仮想面に対して非対称な形状である。
【0072】
具体的には、第1筒部材54A、第2筒部材54Bは、上下に並列状態で並んでいる。
【0073】
第1筒部材54Aは、上方に向けて徐々に幅寸法が小さくなる形状に形成されている。マフラ本体20の外形状に合せて、上下方向に対する第1筒部材54Aの右部分の傾斜は、左部分の傾斜よりも大きい。第2筒部材54Bは、下方に向けて徐々に幅寸法が小さくなる形状に形成されている。マフラ本体20の外形状に合せて、上下方向に対する第2筒部材54Bの右部分の傾斜は、左部分の傾斜よりも大きい。また、上下方向に対する第1筒部材54Aの右部分の傾斜は、第2筒部材54Bの傾斜よりも大きい。筒部材54A、54Bによって、排気管30A、30Bが大きく開口している印象を与えることができる。
【0074】
また、筒部材54A、54Bによって、マフラ本体20の後面にある外側蓋部25の外面を見え難くすることができる。これにより、マフラ本体20の後面の美観を向上させるための研磨処理を省略又は簡易化することができ、製造コストを低減することができる。
【0075】
また、筒部材54A、54Bによって、マフラ本体20の後面が隠されるため、マフラエンドカバー40、特に、外周壁部42が実際に大きく開口している印象を与えることができる。また、排気管30A、30Bの焼けなどの経年変化による変色を隠すこともできる。
【0076】
本マフラ10によると、仕切壁部60の両端が外周壁部42にそれぞれ連なることで、マフラエンドカバー40の開口が大型化したとしても、マフラエンドカバー40の熱膨張を抑えることができ、マフラエンドカバー40の取付部分にかかる応力を低減することができる。さらに、仕切壁部60が、複数の排出口31A、31Bを避けて、それらの間を通過することで、仕切壁部60が排気ガスの排出の抵抗になることを抑えることができ、マフラ10の性能の低下を抑えることができる。
【0077】
また外周壁部42がマフラ本体20の端部の外周縁を一周することで、マフラ10全体として見た場合に、マフラ10後端の開口を大型化することができる。例えば、マフラ10の後部には、複数の排出口31A、31Bが存在している。個々の排出口31A、31Bが目立って観察されると、小さい排出口が形成されているという印象を与える。しかしながら、外周壁部42がマフラ本体20の端部の外周縁を一周しているので、マフラエンドカバー40の後端の開口が1つ大きく開いていると目立って観察される。このため、排出される開口が大きい印象を与えることができ、外観性を向上させることができる。
【0078】
また、外周壁部42内において、仕切壁部60が設けられると共に、仕切壁部60で仕切られた各空間に、各排気管30A,30Bが存在するため、マフラエンドカバー40内が空虚ではなく、充実した構造物が存在する印象を与えることができる。
【0079】
また、外周壁部42が複数の排気管30A、30Bよりも排出方向P下流側まで延びているため、外周壁部42によって排気管30A、30Bを保護することができる。これにより、排気管30A、30Bを保護することができ、障害物に対して排気管30A、30Bが接触することを抑制し、排気管30A、30Bの変形を抑制することができ、もって、マフラ10の性能低下を抑制できる。また、仕切壁部60のうち少なくとも複数の排気管30A、30Bの隣の部分が、排出方向Pにおいて複数の排気管30A、30Bに対して同位置から排出方向P上流側に退避する位置との間に位置する部分を含む形状に形成される。これにより、仕切壁部60が排気ガス排出の抵抗になることを抑制でき、マフラ10の性能低下を抑えることができる。また、仕切壁部60のうち排気管30A、30Bの最近接部分は、マフラエンドカバー40の後方開口よりも排出方向P上流側に退避することになる。このため、仕切壁部60がマフラエンドカバー40で隠れて目立ち難くなり、排出される開口が大きい印象を与えることができ、外観性を向上させることができる。
【0080】
また、仕切壁部60のうち内側連結部分64が、仕切壁部60のうち最近接部分に比べて、排出方向P下流側に延びる形状に形成されている。このため、仕切壁部60が外周壁部42に連なる連結領域を、排出方向Pで増やすことができ、外周壁部42の変形をさらに抑えることができる。
【0081】
また、仕切壁部60は、複数の排出口31A、31Bが並ぶ並列方向において、外周壁部42と連なる内側連結部分64の外形寸法が、複数の排出口31A、31Bの隣の部分の外形寸法に比べて、大きい形状に形成されている。このため、仕切壁部60が外周壁部42に連なる連結領域を、複数の排出口31A、31Bの並列方向に増やすことができ、外周壁部42の変形をさらに抑えることができる。また、仕切壁部60のうち排出口31A、31Bの最近接部分の並列方向における寸法を小さくすることで、仕切壁部60を複数の排出口31A、31Bの間に配置しやすい。これにより、マフラエンドカバー40の熱膨張を抑える機能を持つ仕切壁部60を容易に形成することができる。
【0082】
また、マフラエンドカバー40のうち外周壁部42の径方向内側に内側固定部50が形成されているため、内側固定部50を外周壁部42によって保護でき、内側固定部50の破損を抑制することができる。また、内側固定部50を外周壁部42によって隠すことができ、美観を向上させることができる。
【0083】
また、内側固定部50は、仕切壁部60に形成されているため、内側固定部50を別途形成する場合と比べて、構造を単純化し易い。特に、仕切壁部60の径方向内側に内側固定部50を設ける構成を簡易に実現できる。
【0084】
また、内側固定部50は、仕切壁部60の内側連結部分64に形成されており、内側固定部50は、凹部64gで凹む形状に形成されている。凹部64gを形作る周壁構造等によって、固定部50の剛性を高めることができ、強度を高めるための肉厚増加等を抑制することができる。また、ネジS等の固定具の一部が凹部64gに収容されるため、固定具を隠し易くなり、美観を向上させることができる。
【0085】
また、複数の排出口31A、31Bは、上下に並んで配置され、上方の第1排出口31Aの開口面積は、下方の第2排出口31Bの開口面積よりも小さい。地面に近い第2排出口31Bで発生する騒音よりも、地面から遠い第1排出口31Aで発生する騒音を小さくすることができ、出力低下を抑えつつ、周囲環境への騒音を低減することができる。また本実施形態では、2本の排気管の長さが異なる。たとえば排気ガスの排出において、各排気管から排出される排気ガスの疎密波の位相がずれる場合がある。仕切り壁が排気ガスの排出に関する仕切りとなることが防がれるので、互いの排気ガスの疎密位相がずれることで、排気を促進したり、消音効果を高めたりすることができる。本実施形態では、2本の排気管の長さを異ならせたが、そのほかの形状によって排気管から排出される排気ガスの位相をずらしてもよい。たとえば排気管導入口の相対位置、各排気管を通過する排気ガスの排気経路の距離、排気管内部の通路面積などを異ならせてもよい。
【0086】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0087】
本明細書は、次の構成をも開示している。
【0088】
仕切壁部60は、その両端部が外周壁部42の内部に繋がっており、少なくとも一部が開口縁部よりも内側に凹んだ状態で、外周壁部42の内側で複数の排気管30A、30Bを少なくとも2つに仕切る。
【0089】
これにより、仕切壁部60の少なくとも一部は開口縁部よりも内側に凹んでいるため目立ち難い。このため、複数の排気管30A、30Bの存在にも拘らず、マフラ10の後端部には、外周壁部42による1つの開口が目立って観察され、マフラ10の後端部になるべく大きな開口を観察できるようにすることができる。また、内側固定部50に固定されるネジS等の固定具が外周壁部内に配置されるため、固定具が目立ち難い。
【0090】
また仕切壁部60には、その後部からマフラ本体20側に凹む固定用凹部64gが形成される。固定具(実施形態ではネジS)の頭部が固定用凹部64g内に配設された状態で、固定具がマフラエンドカバー40をマフラ本体20に固定する。これにより、固定具の頭部が仕切壁部の固定用凹部64g内に配置されるため、固定具が目立ち難い。
【0091】
仕切壁部60の少なくとも一部は、複数の排気管30A、30Bよりも後方に延出している。これにより、仕切壁部60が、複数の排気管30A、30Bと他の部分との接触を抑制できる。
【0092】
複数の排気管30A、30Bは、上方排気管30Aと、上方排気管30Aよりも下側の下方排気管30Bとを含み、上方排気管30Aの開口が下方排気管30Bの開口よりも小さい。人の耳から遠い位置に配設され易い下方排気管30Bよりも人の耳の近くに配設され易い上方排気管30Aの開口を小さくことで、人が感じる排気音を小さくできる。
【0093】
マフラエンドカバー40の開口縁部が、後方から鞍乗型車両の車幅方向の斜め外側を向くように開口している。これにより、鞍乗型車両の側方から観察して、開口縁部が大きく開口しているように観察される。
【0094】
外周壁部42の外周部のうち車幅方向の外側部分が車幅方向内側に凹んでいる。これにより、排気管30A、30Bが外側に突出し難くなり、障害物との接触を防ぐことができる。
【0095】
さらに、本明細書は、下記の各態様を含んでいる。
【0096】
第1の態様に係るマフラは、複数の排出口が間隔をあけてそれぞれ形成されるマフラ本体と、前記マフラ本体の端部に接続されるマフラエンドカバーと、を備え、マフラエンドカバーは、前記マフラ本体の端部に隣接して、前記マフラ本体の端部の外周縁を一周する外周壁部と、前記複数の排出口の間を通過して延び、両端が前記外周壁部に連なって、前記外周壁部内の空間を前記排出口が配置される複数の空間に仕切る仕切壁部と、を備える。
【0097】
このマフラによると、外周壁部が、マフラ本体の端部の外周縁を一周することで、マフラ全体としてみた場合に、後端部を大型化させることができる。また、仕切壁部の両端が、外周壁部にそれぞれ連なることで、マフラエンドカバーが大型化したとしても、マフラエンドカバーの熱膨張を抑えることができ、マフラエンドカバー取付部分にかかる応力を低減することができる。さらに仕切壁部が、複数の排出口を避けて、複数の排出口の間を通過することで、仕切壁部が、排気ガス排出の抵抗になることを抑えることができ、マフラの性能の低下を抑えることができる。
【0098】
第2の態様は、第1の態様に係るマフラであって、前記マフラ本体は、膨張室に対して排気ガスの排出方向に突出する複数の排気管を含み、前記複数の排気管によって前記複数の排出口がそれぞれ形成され、前記外周壁部は、前記複数の排気管をそれぞれの径方向外側から覆って、前記複数の排気管よりも前記排出方向下流側まで延び、前記仕切壁部のうち少なくとも前記複数の排気管の隣の部分が、前記排出方向において前記複数の排気管に対して同位置から前記排出方向上流側に退避する位置との間に位置する部分を含む形状に形成されているものである。
【0099】
このように外周壁部が複数の排気管よりも排出方向下流側まで延びることで、排気管を保護でき、車体の転倒、衝突、障害物に起因する他の部分との接触などから排気管の変形を防ぐことができ、マフラの性能低下を抑制することができる。また、仕切壁部が少なくとも複数の排気管の隣の部分で、複数の排気管に対して同位置に位置し又は排出方向上流側に退避する形状に形成されることで、仕切壁部が、排気ガス排出の抵抗になることを抑制することができ、マフラの性能の低下を抑えることができる。
【0100】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るマフラであって、前記仕切壁部は、前記外周壁部と連なる連結部分が、前記複数の排出口の隣の部分に比べて、前記排出方向下流側に延びる形状に形成されているものである。
【0101】
これにより、仕切壁部が外周壁部に連なる連結領域を、排出方向に増やすことができ、外周壁部の変形をさらに抑えることができる。
【0102】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るマフラであって、前記仕切壁部は、複数の排出口が並ぶ並列方向において、前記外周壁部と連なる連結部分の外形寸法が、前記複数の排出口の隣の部分の外形寸法に比べて、大きい形状に形成されているものである。
【0103】
これにより、仕切壁部が外周壁部に連なる連結領域を、複数の排出口の並列方向に増やすことができ、外周壁部の変形をさらに抑えることができる。また、仕切壁部のうち排出口の隣の部分の並列方向における寸法を小さくすることで、仕切壁部を複数の排出口の間に容易に配置でき、マフラエンドカバーの熱膨張を抑える機能を持つ仕切壁部を容易に形成することができる。
【0104】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るマフラであって、前記マフラエンドカバーは、前記外周壁部の径方向内側に形成され、前記マフラ本体に固定されるための固定部をさらに含むものである。
【0105】
これにより、固定部を外周壁部によって保護でき、固定部の破損を抑制することができる。また、固定部が外周壁部の内側に配置されることで、固定部を隠しやすく、美観を向上することができる。
【0106】
第6の態様は、第5の態様に係るマフラであって、前記固定部は、前記仕切壁部の一部として形成されているものである。
【0107】
これにより、固定部を別途形成する場合と比べて、構造を単純化し易い。
【0108】
第7の態様は、第6の態様に係るマフラであって、前記固定部は、前記仕切壁部のうち前記外周壁部と連なる連結部分に形成され、前記外周壁部と前記仕切壁部とで、前記マフラ本体に向けて凹んで、前記固定部を前記マフラ本体に固定する固定具の一部が収容される凹部が形成されているものである。
【0109】
これにより、固定部は、凹部で凹む形状に形成されるので、固定部の剛性を高めることができ、強度を高めるための肉厚増加等を抑制することができる。また、固定具の一部が凹部に収容されることで、固定部を隠し易く、美観を向上させることができる。
【0110】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係るマフラであって、前記複数の排出口は、上下に並んで配置され、前記複数の排出口のうち上方の排出口の開口面積は、下方の排出口の開口面積より小さいものである。
【0111】
これにより、出力低下を抑えつつ、周囲環境への騒音を低減することができる。
【0112】
第9の態様は、第1、第3から第8(第2の態様を引用するものを除く)の態様に係るマフラであって、マフラ本体は、膨張室に対して排出方向に突出する複数の排気管によって排出口がそれぞれ形成され、前記外周壁部および仕切壁部は、各排気管を径方向外側から覆って、各排気管よりも排出ガスの排出方向下流側まで延び、記仕切壁部は、少なくとも排気管周囲で、前記排出方向に関して排気管に対して同位置に位置しまたは排出方向上流側に配置されるものである。
【0113】
このように外周壁部及び仕切壁部が形成されることで排気管を保護でき、車体の転倒、衝突、障害物との接触などから排気管の変形を防ぐことができ、性能低下を抑制することができる。
【0114】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0115】
例えば、本実施形態として、マフラは、後輪の車幅方向一方に配置されるとしたが、後輪に対して車幅方向両側にそれぞれ配置されてもよい。またマフラの内部構造については一例示であって、共鳴構造を併用するなど、既知の消音構造を含む消音構造を適用することができる。またマフラエンドカバーの外周壁部、仕切壁部が構成される構造であればよく、マフラの外形形状は、本実施形態の形状に限らない。たとえば側面視で前端から後方に進むにつれて上下幅が大きくなる略三角形状に形成されてもよい。また前後方向に垂直な断面形状についても、2つの排気管が並ぶ方向に縦長形状に形成されればよく、楕円形状であったり、オーバル形状に形成されてもよい。また排気管として、3つ以上設けられる場合も本発明に含まれる。この場合であっても、少なくとも2つの排気管の間に位置する仕切壁部が設けられる構造であればよい。
【0116】
またマフラ以外の自動二輪車の構造についても、本実施形態は一例であって、本発明として、既知の構造を含む各種の構造を適用することができる。たとえば、既存のエンジンを用いることができる。たとえば気筒数が、1気筒、2気筒以上であってもよい。また直列エンジンのほか、V型、水平対向エンジンであってもよい。また気筒数が複数である場合、排気ポートからマフラまでの排気管の集合のさせ方についても、各種の構造を適用することができる。また本実施形態では、排気チャンバを備えるとしたが、排気チャンバが設けられない場合も本発明に含まれる。同様にフレームの構造についても、適宜既知の構造を含む各種構造を適用することができる。
【0117】
なお、仕切壁部の後端縁が、各排気管の隣の部分で、排出方向において各排気管に対して同位置に位置する部分を含む形状に形成されていてもよい。また、仕切壁部60の後端縁が、各排気管の隣の部分で、排出方向において各排気管に対して排出方向下流側に位置していてもよい。外周壁部及び仕切壁部が、各排気管を囲む部分で、各排気管の開口と同位置にあるか排出方向下流側に延びていれば、各排気管を保護でき、障害物との接触等などから排気管の変形を抑えることができ、マフラとしての性能低下を抑制することができる。
【0118】
実施形態で説明した外周壁部の下部領域には、外周壁部内に入った雨水を逃すことができるように、ドレン孔が形成されていてもよい。実施形態で説明した筒部材の下部には、筒部材に内に入った雨水を外部に逃すためのドレン孔が形成されていてもよい。また、筒部材は省略されてもよい。
【0119】
仕切壁部のうち外側連結部分は、内側連結部分と同様に、排出方向において、壁本体部分と比べて排出方向下流側に延びていてもよい。また、外側連結部分の上下方向寸法も、壁本体部分と比べて大きくなってもよい。仕切壁部のうち内側連結部分は、外側連結部分と同様に、排出方向において、壁本体部分に対して排出方向下流側に延びていなくてもよい。また、内側連結部分の上下方向寸法は、壁本体部分と比べて大きくなっていなくてもよい。
【0120】
内側固定部が外周壁部の径方向内側に形成される態様として、内側固定部が仕切壁部の一部に形成されている必要はなく、外周壁部の内周部分に形成されていてもよい。内側固定部が仕切壁部の一部として形成されている態様として、固定部が仕切壁部の延在方向中間部に形成されていてもよい。また、実施形態では、内側固定部は、一方の連結部分にのみ形成されているが、両側の連結部分に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 マフラ
20 マフラ本体
24A 第1膨張室
24B 第2膨張室
30A 上方排気管
30B 下方排気管
31A 第1排出口
31B 第2排出口
40 マフラエンドカバー
42 外周壁部
50 固定部
60 仕切壁部
64 内側連結部分
64g 凹部
S ネジ
図1
図2
図3
図4
図5