(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】拘束装置、核燃料貯蔵用ラック、並びに核燃料貯蔵用ラックの拘束方法
(51)【国際特許分類】
G21C 19/07 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G21C19/07 600
G21C19/07 500
(21)【出願番号】P 2019014620
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 正明
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-161535(JP,A)
【文献】特開2011-149903(JP,A)
【文献】特開2005-345397(JP,A)
【文献】特開昭60-021491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/00-19/50
23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料を収納可能なセルを複数有する核燃料貯蔵用ラックの拘束装置であって、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、一方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第一部材と、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、他方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを接続する連結部と、を備え、
前記第一部材は第一要素を含み、前記第二部材は第二要素を含み、
前記第一要素と前記第二要素との間に、一方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルおよび他方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルが配置され
て当該セルに核燃料を挿入させるように構成された、
拘束ユニットを含む、拘束装置。
【請求項2】
核燃料を収納可能なセルを複数有する核燃料貯蔵用ラックの拘束装置であって、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、一方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第一部材と、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、他方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを接続する連結部と、を備え、
前記第一部材は第一要素を含み、前記第二部材は第二要素を含み、
前記第一要素と前記第二要素との間に、一方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルおよび他方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルが配置されるように構成された、
拘束ユニットを含
み、
前記第一部材は、前記セルの周りを囲む筒部材をなし、当該筒部材の一部が前記第一要素を含み形成され、前記第二部材は、前記セルの周りを囲む筒部材をなし、当該筒部材の一部が前記第二要素を含み形成されている、
拘束装置。
【請求項3】
前記第一部材および前記第二部材は、前記筒部材の一方の端部において前記筒部材の外側に広がる案内部材が設けられている、請求項2に記載の拘束装置。
【請求項4】
前記第一部材、前記第二部材および前記連結部は、隣り合う前記セルの間に挿入可能な板部材をなして形成されている、請求項1に記載の拘束装置。
【請求項5】
前記第一部材および前記第二部材を複数設けて前記連結部で接続する、請求項1~4のいずれか1つに記載の拘束装置。
【請求項6】
互いに隣り合う一方の前記核燃料貯蔵用ラックと他方の前記核燃料貯蔵用ラックとの間に挿入される挿入部材をさらに有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の拘束装置。
【請求項7】
前記拘束ユニットを複数有する、請求項1~6のいずれか1つに記載の拘束装置。
【請求項8】
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない一方の前記核燃料貯蔵用ラックの外側面に設けられた第一受部と、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない他方の前記核燃料貯蔵用ラックの外側面に設けられた第二受部と、
前記第一受部に嵌め合わされる第一嵌合部と、
前記第二受部に嵌め合わされる第二嵌合部と、
前記第一嵌合部と前記第二嵌合部とを接続する連結部と、
を有する別の拘束ユニットをさらに含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の拘束装置。
【請求項9】
核燃料を収納可能なセルを複数有する核燃料貯蔵用ラックであって、
隣り合う二つが請求項1~
8のいずれか1つに記載の拘束装置により拘束されている、核燃料貯蔵用ラック。
【請求項10】
核燃料を収納可能なセルを複数有する複数の核燃料貯蔵用ラックを拘束する核燃料貯蔵用ラックの拘束方法であって、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの前記セルに対して拘束ユニットを設置し各前記セルを拘束する工程を含
み、
前記拘束ユニットは、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、一方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第一部材と、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、他方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを接続する連結部と、を備え、
前記第一部材は第一要素を含み、前記第二部材は第二要素を含み、
前記第一要素と前記第二要素との間に、一方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルおよび他方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルが配置されて当該セルに核燃料を挿入させるように構成される、
核燃料貯蔵用ラックの拘束方法。
【請求項11】
核燃料を収納可能なセルを複数有する複数の核燃料貯蔵用ラックを拘束する核燃料貯蔵用ラックの拘束方法であって、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの前記セルに対して拘束ユニットを設置し各前記セルを拘束する工程を含
み、
前記拘束ユニットは、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、一方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第一部材と、
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、他方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを接続する連結部と、を備え、
前記第一部材は第一要素を含み、前記第二部材は第二要素を含み、
前記第一要素と前記第二要素との間に、一方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルおよび他方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルが配置されるように構成され、
前記第一部材は、前記セルの周りを囲む筒部材をなし、当該筒部材の一部が前記第一要素を含み形成され、前記第二部材は、前記セルの周りを囲む筒部材をなし、当該筒部材の一部が前記第二要素を含み形成されている、
核燃料貯蔵用ラックの拘束方法。
【請求項12】
互いに隣り合う一方の前記核燃料貯蔵用ラックと他方の前記核燃料貯蔵用ラックとの隙間に挿入部材を挿入する工程をさらに含む、請求項
10または11に記載の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法。
【請求項13】
隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない各前記核燃料貯蔵用ラックの各外側面に対してさらに別の拘束ユニットを設置し各前記核燃料貯蔵用ラックを拘束する工程をさらに含む、請求項
10~12のいずれか1つに記載の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核燃料を貯蔵ピット内の水中に立てた状態で貯蔵するために当該核燃料を支持する核燃料貯蔵用ラックに関し、隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士を拘束する拘束装置、当該拘束装置が適用された核燃料貯蔵用ラック、並びに核燃料貯蔵用ラックの拘束方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、核燃料貯蔵用ラック(以下、ラックと言う)が貯蔵ピットの床面(底面)に対して摺動可能に載置され、地震発生時に作用する水平力を水の流体付加減衰効果と共にラックの摺動抵抗によって吸収する、いわゆるフリースタンディング式のラックが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フリースタンディング式のラックとして構成した場合、大地震などによりラックの片端浮き上がるロッキング事象が発生するおそれがある。ロッキング事象が発生すると、ラック同士が衝突したり、ラックが貯蔵ピットの床面や壁面に衝突したりするおそれがある。
【0005】
上述した特許文献1では、フリースタンディング式のラックにおいて、隣り合うラック同士を連結するように、ラックのコーナー部に設けられた係合受部に係合部材を上下方向から挿入して係合させる連結構造が示されている。
【0006】
しかし、特許文献1の連結構造は、ラックのコーナー部に係合受部を設けるために、コーナー部において核燃料の貯蔵領域を占領している。このため、核燃料の貯蔵スペースが狭くなりラック内での核燃料の貯蔵体数が少なくなる問題がある。また、特許文献1の連結構造は、隣り合うラックの間の対向する部分に設けられた形態が示されているが、この場合、連結構造により隣り合う各ラックに隙間が生じるため、核燃料の貯蔵スペースが狭くなり貯蔵ピット内での核燃料の貯蔵体数が少なくなる問題がある。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、核燃料の貯蔵体数を確保しつつ、フリースタンディング式の複数の核燃料貯蔵用ラックのロッキングを阻止することのできる拘束装置、当該拘束装置に拘束された核燃料貯蔵用ラック並びに核燃料貯蔵用ラックの拘束方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る拘束装置は、核燃料を収納可能なセルを複数有する核燃料貯蔵用ラックの拘束装置であって、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、一方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第一部材と、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの内、他方の前記核燃料貯蔵用ラックに配置される第二部材と、前記第一部材と前記第二部材とを接続する連結部と、を備え、前記第一部材は第一要素を含み、前記第二部材は第二要素を含み、前記第一要素と前記第二要素との間に、一方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルおよび他方の前記核燃料貯蔵用ラック内の前記セルが配置されるように構成された、拘束ユニットを含む。
【0009】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、前記第一部材は、前記セルの周りを囲む筒部材をなし、当該筒部材の一部が前記第一要素を含み形成され、前記第二部材は、前記セルの周りを囲む筒部材をなし、当該筒部材の一部が前記第二要素を含み形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、前記第一部材および前記第二部材は、前記筒部材の一方の端部において前記筒部材の外側に広がる案内部材が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、前記第一部材、前記第二部材および前記連結部は、隣り合う前記セルの間に挿入可能な板部材をなして形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、前記第一部材および前記第二部材を複数設けて前記連結部で接続することが好ましい。
【0013】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、互いに隣り合う一方の前記核燃料貯蔵用ラックと他方の前記核燃料貯蔵用ラックとの間に挿入される挿入部材をさらに有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、前記拘束ユニットを複数有することが好ましい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る拘束装置では、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない一方の前記核燃料貯蔵用ラックの外側面に設けられた第一受部と、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない他方の前記核燃料貯蔵用ラックの外側面に設けられた第二受部と、前記第一受部に嵌め合わされる第一嵌合部と、前記第二受部に嵌め合わされる第二嵌合部と、前記第一嵌合部と前記第二嵌合部とを接続する連結部と、を有する別の拘束ユニットをさらに含むことが好ましい。
【0016】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る拘束装置は、核燃料を収納可能なセルを複数有する核燃料貯蔵用ラックの拘束装置であって、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない一方の前記核燃料貯蔵用ラックの外側面に設けられた第一受部と、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない他方の前記核燃料貯蔵用ラックの外側面に設けられた第二受部と、前記第一受部に嵌め合わされる第一嵌合部と、前記第二受部に嵌め合わされる第二嵌合部と、前記第一嵌合部と前記第二嵌合部とを接続する連結部と、を有する拘束ユニットを含む。
【0017】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る核燃料貯蔵用ラックは、核燃料を収納可能なセルを複数有する核燃料貯蔵用ラックであって、隣り合う二つが上述したいずれか1つの拘束装置により拘束されている。
【0018】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る核燃料貯蔵用ラックの拘束方法は、核燃料を収納可能なセルを複数有する複数の核燃料貯蔵用ラックを拘束する核燃料貯蔵用ラックの拘束方法であって、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックの前記セルに対して拘束ユニットを設置し各前記セルを拘束する工程を含む。
【0019】
また、本発明の一態様に係る核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方の前記核燃料貯蔵用ラックと他方の前記核燃料貯蔵用ラックとの隙間に挿入部材を挿入する工程をさらに含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明の一態様に係る核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない各前記核燃料貯蔵用ラックの各外側面に対してさらに別の拘束ユニットを設置し各前記核燃料貯蔵用ラックを拘束する工程をさらに含むことが好ましい。
【0021】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る核燃料貯蔵用ラックの拘束方法は、核燃料を収納可能なセルを複数有する複数の核燃料貯蔵用ラックを拘束する核燃料貯蔵用ラックの拘束方法であって、隣り合う二つの前記核燃料貯蔵用ラックで、互いに対面しない各前記核燃料貯蔵用ラックの各外側面に対して拘束ユニットを設置し各前記核燃料貯蔵用ラックを拘束する工程を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、セルを介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士が繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、第一部材の第一要素が互いに隣り合う一方のラック本体に設けられたセルの隣り合う方向の奥側に当接し、第二部材の第二要素が互いに隣り合う他方のラック本体に設けられたセルの隣り合う方向の奥側に当接しつつ、連結部が第一部材と第二部材とを連結していることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラックが貯蔵ピットの床面や縦壁面に衝突したり、核燃料貯蔵用ラックが縦壁面に接近したりすることを抑制できる。しかも、セルを介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士を拘束するため、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0023】
また、本発明によれば、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラックは、各ラック本体の互いに対面しない外側面が、拘束ユニットを介して繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラックが貯蔵ピットの床面や縦壁面に衝突したり、核燃料貯蔵用ラックが縦壁面に接近したりすることを抑制できる。しかも、各ラック本体の互いに対面しない外側面を繋ぎ合わせているため、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラックの対面する外側面の間で連結するような構成と比較して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラックを密接させることができ、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係る拘束装置の拘束ユニットの側断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係る核燃料貯蔵用ラックの側断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係る拘束ユニットの使用状態の側断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1に係る拘束ユニットの使用状態の平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態1に係る拘束装置の使用状態の側断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の側断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の使用状態の平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの側面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの側面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態2に係る拘束ユニットの使用状態の側面図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態3に係る貯蔵ピットの側面図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態3に係る貯蔵ピットの平面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態3に係る拘束装置の拘束ユニットの側断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態3に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの使用状態の平面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの使用状態の平面図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの使用状態の側断面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施形態3に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの他の例の使用状態の平面図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態4に係る貯蔵ピットの側断面図である。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態4に係る貯蔵ピットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0026】
図1は、貯蔵ピットの側断面図である。
図2は、貯蔵ピットの平面図である。
【0027】
貯蔵ピット101は、原子力発電プラントにおいて原子炉にて使用された使用済みの燃料集合体や、未使用の燃料集合体が貯蔵される。燃料集合体は、複数の燃料棒である核燃料が束ねられた集合体である。従って、燃料集合体は、いわゆる核燃料である。貯蔵ピット101は、矩形状で上部が開放されたコンクリート躯体のプールとして構成されている。貯蔵ピット101は、床面101a、および
図2中のN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向を囲む側壁の縦壁面101bを有している。この貯蔵ピット101において、床面101aに核燃料貯蔵用ラック1が配置される。核燃料貯蔵用ラック1は、上部が開放されて格子状に区画された複数の燃料収納部としてのセル12が設けられている。そして、貯蔵ピット101は、内部に水103が貯留された状態で、核燃料貯蔵用ラック1の各セル12に燃料集合体が立てられた状態で収納されて貯蔵される。
【0028】
貯蔵ピット101は、その床面101aおよび縦壁面101bの内面であるコンクリート面にライニング102が張り付けられている。ライニング102は、例えば、厚さ3.7mmから4.5mmのオーステナイト系ステンレス鋼板からなり、貯蔵ピット101の床面101aおよび縦壁面101bの内面を保護するものである。
【0029】
核燃料貯蔵用ラック1は、ラック本体11と、ラック本体11に設けられた燃料収納部としてのセル12を有する。
【0030】
ラック本体11は、ステンレス鋼で形成され、台盤11Aと、外板11Bと、支持格子11Cと、支持脚11Dと、を含み構成されている。台盤11Aは平面視で矩形状に形成されラック本体11の基部をなす。外板11Bは、矩形の板材として形成され、台盤11Aの各辺から上方に立ち上がって設けられて平面視で矩形状の筒を形成し、ラック本体11の外周部をなす。支持格子11Cは、セル12を個々に支持する格子が形成されている。支持格子11Cは、ラック本体11の外板11Bがなす筒内において、例えば、上部、中央部、下部の3箇所に設けられている。支持脚11Dは、台盤11Aの底面に複数設けられている。支持脚11Dは、床面101aに対して摺動することが可能に設けられている。ラック本体11は、支持脚11Dにより床面101aに自立して支持され、床面101aに対して相対移動が可能とされている。従って、核燃料貯蔵用ラック1は、いわゆるフリースタンディング方式のラックである。ラック本体11は、直方体形状の外形をなし、貯蔵ピット101の周りを矩形状に囲む4面の縦壁面101bから距離Lを隔てた状態で複数(
図2では12個)がN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向に矩形状に整列して床面101aに配置されている。
【0031】
セル12は、角型の筒状(角パイプ状)に形成され、ラック本体11の支持格子11Cの各格子に挿入され、台盤11Aに下端が置かれて支持される。セル12は、複数が水平方向に並んで設けられる。セル12は、中性子吸収材からなる板材で形成されている。中性子吸収材は、ボロン、ガドリニウムの少なくとも一方を添加したステンレス鋼や、ボロン化合物(好ましくは炭化ホウ素)、ガドリニウムの少なくとも一方を含有するアルミニウム複合材からなる。各セル12は、筒内に核燃料である燃料集合体が上方の開口から挿入されて収納される。
【0032】
ところで、フリースタンディング方式の核燃料貯蔵用ラック1は、地震発生時に作用する水平力を水103の流体付加減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。その反面、地震レベルが大きくなると、移動方向の片側がロックされて移動方向の反対側の片側が浮き上がるロッキング事象が発生し、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることが課題となっている。核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突すると、ラック本体11およびセル12に荷重が伝わり応力が過大となるおそれがある。核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突すると、床面101aや縦壁面101bのライニング102が損傷した場合に当該床面101aや縦壁面101bの保護ができなくなるおそれがある。核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の縦壁面101bに接近すると、貯蔵ピット101の壁の向こう側に存在する通路などに核燃料が近くなり放射線の影響が生じるおそれがある。そこで、例えば、核燃料貯蔵用ラック1の滑り量分を考慮して核燃料貯蔵用ラック1同士の距離や、縦壁面101bからラック本体11の距離Lを大きくすると、貯蔵ピット101内において核燃料の貯蔵スペースが狭くなるため核燃料の貯蔵体数が少なくなる課題が生じる。以下の各実施形態では、この課題を解決するための拘束装置、核燃料貯蔵用ラック1、並びに核燃料貯蔵用ラック1の拘束方法を提供する。
【0033】
[実施形態1]
図3は、実施形態1に係る拘束装置の拘束ユニットの側断面図である。
図4は、実施形態1に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
図5は、実施形態1に係る核燃料貯蔵用ラックの側断面図である。
図6は、実施形態1に係る拘束ユニットの使用状態の側断面図である。
図7は、実施形態1に係る拘束ユニットの使用状態の平面図である。
図8は、実施形態1に係る拘束ユニットの使用状態の側断面図である。
【0034】
実施形態1の拘束装置は、
図3および
図4に示すように、拘束ユニット2を含む。拘束ユニット2は、互いに隣り合って配置された核燃料貯蔵用ラック1において、互いに隣り合うラック本体11に設けられたそれぞれのセル12同士を拘束するものである。拘束ユニット2は、例えば、ステンレス鋼で形成されている。拘束ユニット2は、第一部材2Aと、第二部材2Bと、連結部2Cと、を有している。
【0035】
第一部材2Aは、互いに隣り合う一方のラック本体11に配置される。第一部材2Aは、1つのセル12の周りを囲む角形の筒部材2Aaをなして形成されている。第一部材2Aをなす筒部材2Aaは、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられたセル12に対し、上方から装着されて当該セル12の上端に配置される。第一部材2Aが装着されるセルは、
図5に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11において、他方のラック本体11に近い最外周に配列されたセル12’である。ここで、セル12は、核燃料(
図5に一点鎖線で示す)の上方からの挿入を案内するように上端に上方外側に延びる漏斗状の案内部材12Aが設けられている。これに対し、第一部材2Aが装着されるセル12’は、第一部材2Aの装着を妨げないように案内部材12Aが設けられておらず、セル12よりも高さが低く形成されている。その代わりに、第一部材2Aは、筒部材2Aaの一方の端部(セル12’への装着時の上端)に筒部材2Aaの上方外側に延びる漏斗状の案内部材2Abが設けられており、核燃料(
図6に一点鎖線で示す)の上方からの挿入を案内するように構成されている。第一部材2Aが装着されるセル12’は、案内部材12Aの高さを差し引いた高さと同等とするか、それよりも低くする。また、第一部材2Aが装着されるセル12’は、その上端に核燃料が干渉することを抑制するために上端内側にテーパ面12Bが形成されている。また、第一部材2Aは、セル12’の周りを囲むようにセル12’に装着されるため、筒部材2Aaは内径aがセル12’の外径bよりも大きく形成され、かつ筒部材2Aaおよび案内部材2Abは
図6および
図7に示すように装着されるセル12’と隣り合うセル12および案内部材12Aに対して干渉しない大きさに形成されている。なお、図には明示しないが、セル12および第一部材2Aは、案内部材12A,2Abを必須とするものではない。案内部材12A,2Abを設けない場合は、セル12’と同様にセル12および第一部材2Aの筒部材2Aaの上端内側にテーパ面を形成する。
【0036】
第二部材2Bは、互いに隣り合う他方のラック本体11に配置される。第二部材2Bは、1つのセル12の周りを囲む角形の筒部材2Baをなして形成されている。第二部材2Bをなす筒部材2Baは、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられたセル12に対し、上方から装着されて当該セル12の上端に配置される。第二部材2Bが装着されるセル12は、
図5に示すように、互いに隣り合う他方のラック本体11において、一方のラック本体11に近い最外周に配列されたセル12’である。ここで、セル12は、核燃料(
図5に一点鎖線で示す)の上方からの挿入を案内するように上端に上方外側に延びる漏斗状の案内部材12Aが設けられている。これに対し、第二部材2Bが装着されるセル12’は、第二部材2Bの装着を妨げないように案内部材12Aが設けられていない。その代わりに、第二部材2Bは、筒部材2Baの一方の端部(セル12’への装着時の上端)に筒部材2Baの上方外側に延びる漏斗状の案内部材2Bbが設けられており、核燃料(
図6に一点鎖線で示す)の上方からの挿入を案内するように構成されている。第二部材2Bが装着されるセル12’は、案内部材12Aの高さを差し引いた高さと同等とするか、それよりも低くする。なお、第二部材2Bが装着されるセル12’は、その上端に核燃料が干渉することを抑制するために上端内側にテーパ面12Bが形成されている。また、第二部材2Bは、セル12’の周りを囲むようにセル12’に装着されるため、筒部材2Baは内径aがセル12’の外径bよりも大きく形成され、かつ筒部材2Baおよび案内部材2Bbは
図6および
図7に示すように装着されるセル12’と隣り合うセル12および案内部材12Aに対して干渉しない大きさに形成されている。なお、図には明示しないが、セル12および第二部材2Bは、案内部材12A,2Bbを必須とするものではない。案内部材12A,2Bbを設けない場合は、セル12’と同様にセル12および第二部材2Bの筒部材2Baの上端内側にテーパ面を形成する。
【0037】
連結部2Cは、第一部材2Aと第二部材2Bとを連結する。連結部2Cは、第一部材2Aの筒部材2Aaと第二部材2Bの筒部材2Baの対向する外壁面を連結するように、筒部材2Aaおよび筒部材2Baに対して溶接またはボルトにより取り付けられる。
【0038】
このように構成された拘束ユニット2は、
図6および
図7に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11のセル12’に第一部材2Aが装着されると共に、互いに隣り合う他方のラック本体11のセル12’に第二部材2Bが装着される。第一部材2Aは、矩形状の筒部材2Aaのセル12’を囲む一部(角形の筒部材2Aaの一辺)が、当該セル12’と、当該セル12’に対して一方のラック本体11にて他方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第一要素2Aaaとして構成される。第二部材2Bは、矩形状の筒部材2Baのセル12’を囲む一部(角形の筒部材2Baの一辺)が、当該セル12’と、当該セル12’に対して他方のラック本体11にて一方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第二要素2Baaとして構成される。即ち、拘束ユニット2は、第一要素2Aaaと第二要素2Baaとの間に、一方のラック本体11のセル12’および他方のラック本体11のセル12’が配置される。そして、第一部材2Aと第二部材2Bとが連結部2Cで連結されていることで、一方のラック本体11のセル12’と他方のラック本体11のセル12’とが繋げられる。このとき、第一部材2Aおよび第二部材2Bは、
図6に示すように、支持格子11Cの上面で支持され、案内部材2Abおよび案内部材2Bbが、セル12の案内部材12Aと同じ高さで配置されるように設置される。
【0039】
そして、例えば、核燃料貯蔵用ラック1は、
図2に示すように、貯蔵ピット101内でN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向に4個×3個の12個整列して配置されている。そして、互いに隣り合うラックIとラックII、ラックIIとラックIII、ラックIIIとラックIV、ラックIVとラックVIII、ラックVIIIとラックXII、ラックXIIとラックXI、ラックXIとX、ラックXとラックIX、ラックIXとラックV、ラックVとラックI、およびラックIIとラックVI、ラックIIIとラックVII、ラックVIIIとラックVII、ラックXIとラックVII、ラックXとラックVI、ラックVとラックVI、ラックVIとラックVIIを、それぞれ最外周に配列された各セル12’に拘束ユニット2を装着して繋ぎ合わせる。
【0040】
また、拘束ユニット2は、
図7に示すように複数用意され、互いに隣り合う一方のラック本体11において最外周に沿って横並びに配列された各セル12’と、互いに隣り合う他方のラック本体11において最外周に沿って横並びに配列された各セル12’とに、複数装着される。
【0041】
このとき、ラックIは、E方向最外周1列とS方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックIIは、E方向最外周1列とS方向最外周1列とW方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックIIIは、E方向最外周1列とS方向最外周1列とW方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックIVは、S方向最外周1列とW方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックVIIIは、S方向最外周1列とW方向最外周1列とN方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックXIIは、N方向最外周1列とW方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックXIは、E方向最外周1列とN方向最外周1列とW方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックXは、E方向最外周1列とN方向最外周1列とW方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックIXは、E方向最外周1列とN方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックVは、S方向最外周1列とE方向最外周1列とN方向最外周1列にセル12’を設置する。ラックVI,VIIは、全方向最外周1列にセル12’を設置する。
【0042】
このように構成された拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられたセル12’に装着される第一部材2Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられたセル12’に装着される第二部材2Bと、これら第一部材2Aと第二部材2Bとを連結する連結部2Cと、を有する拘束ユニット2を含む。
【0043】
また、実施形態1の核燃料貯蔵用ラック1の拘束方法は、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の各セル12’に対して拘束装置を設置し各セル12’を拘束する工程を含む。
【0044】
従って、セル12’を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士が繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、第一部材2Aの第一要素2Aaaが互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられたセル12’の隣り合う方向の奥側に当接し、第二部材2Bの第二要素2Baaが互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられたセル12’の隣り合う方向の奥側に当接しつつ、連結部2Cが第一部材2Aと第二部材2Bとを連結していることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。1個の核燃料貯蔵用ラック1の床面101aに対する摩擦力は、核燃料貯蔵用ラック1の重量Wに摩擦係数μを乗じて求められ(W×μ)、例えば、12個の核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束した場合、12倍の摩擦力を有することになる。従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束すれば、大きな摩擦力が得られる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、セル12’を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束するため、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0045】
即ち、実施形態1の拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられたセル12’の隣り合う方向における奥側に対向して配置される第一部材2Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられたセル12’の隣り合う方向における奥側に対向して配置される第二部材2Bと、第一部材2Aと第二部材2Bとを連結する連結部2Cと、を有する拘束ユニット2を含む。
【0046】
言い換えると、この拘束装置は、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1の内、一方の核燃料貯蔵用ラック1に配置される第一部材2Aと、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1の内、他方の核燃料貯蔵用ラック1に配置される第二部材2Bと、第一部材2Aと第二部材2Bとを接続する連結部2Cと、を備え、第一部材2Aは第一要素2Aaaを含み、第二部材2Bは第二要素2Baaを含み、第一要素2Aaaと第二要素2Baaとの間に、一方の核燃料貯蔵用ラック1内のセル12’および他方の核燃料貯蔵用ラック1内のセル12’が配置されるように構成されている。また、第一部材2Aは、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1におけるラック本体11の外側面同士が対面して近接する各近接面と平行に配置される筒部材2Aaの第一要素2Aaaを有し、第二部材2Bは、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1におけるラック本体11の外側面同士が対面して近接する各近接面と平行に配置される筒部材2Baの第二要素2Baaを有する。従って、第一部材2Aおよび第二部材2Bは連結部2Cを介してそれぞれセル12を拘束するように配置される。
【0047】
また、実施形態1の拘束装置では、拘束ユニット2を複数有する。
【0048】
従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を複数の拘束ユニット2により拘束することで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の拘束を十分に行ってロッキングの発生を阻止し、かつセル12’に係る付加を分散させることができる。
【0049】
なお、上述した構成において、核燃料貯蔵用ラック1は、
図2に示すように、貯蔵ピット101内でN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向に4個×3個の12個整列して配置されている。そして、ラックVIおよびラックVIIは、その周囲が他のラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vで囲まれている。このため、ラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vを繋ぐことで、ラックVIおよびラックVIIを他のラックII,III,VIII,XI,X,Vと繋がなくても、ラックVIおよびラックVIIがあたかも固縛された状態に維持されるため、ラックVIおよびラックVIIを拘束できる。また、上述した構成において、核燃料貯蔵用ラック1は、最外周の全てに12’を設置しなくてもよく、最外周の一部に12’を設置して拘束ユニット2を装着できるようにしてもよい。
【0050】
また、実施形態1の拘束装置では、第一部材2Aおよび第二部材2Bは、セル12’の周りを囲む筒部材2Aa,2Baをなして形成されている。
【0051】
従って、筒部材2Aa,2Baにより第一部材2Aおよび第二部材2Bのセル12’への装着を容易に行うことができる。
【0052】
また、実施形態1の拘束装置では、第一部材2Aおよび第二部材2Bは、筒部材2Aa,2Baの一方の端部において筒部材2Aa,2Baの外側に広がる案内部材2Ab,2Bbが設けられている。
【0053】
従って、案内部材2Ab,2Bbによりセル12’への核燃料の挿入を案内するため、核燃料を収納し易くできる。
【0054】
図8は、実施形態1に係る拘束装置の使用状態の側断面図である。
【0055】
図8に示す拘束装置は、挿入部材2Dをさらに有する。挿入部材2Dは、互いに隣り合う各ラック本体11の隙間13に挿入されるものである。挿入部材2Dは、
図8に示すように楔状に形成され、隙間13の寸法に係わらず隙間13を詰めることができる。また、挿入部材2Dは、ボルトや溶接などでラック本体11に固定してもよい。
【0056】
そして、実施形態1の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11と他方のラック本体11との隙間13に挿入部材2Dを挿入する工程をさらに含む。
【0057】
互いに隣り合う各ラック本体11の間に隙間13が生じている場合、繋ぎ合わせた核燃料貯蔵用ラック1は、隙間13により相対的な移動を許容される。このため、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の拘束ユニット2による拘束に加え、隙間13を挿入部材2Dにより詰めることで、繋ぎ合わせた核燃料貯蔵用ラック1の相対的な移動を阻止する。この結果、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の拘束をより確実に行うことができ、核燃料貯蔵用ラック1のロッキングをより阻止できる。なお、挿入部材2Dは、第一部材2Aと第二部材2Bの間に配置することで、拘束ユニット2と共に拘束力を十分に発揮できる。
【0058】
なお、挿入部材2Dは、楔状の形態に代えてシムの形態としてもよい。また、支持格子11Cとセル12との隙間や、拘束ユニット2とセル12’との隙間も挿入部材2Dで詰めてもよい。
【0059】
図9は、実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の側断面図である。
図10は、実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
【0060】
図9~
図10に示す拘束装置は、
図1~
図8に示す拘束装置に対して、連結部2Eの構成が異なり、他の構成は同様である。従って、
図1~
図8に示す拘束装置と同等な構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
連結部2Eは、第一部材2Aおよび第二部材2Bの筒部材2Aa,2Baの外面を両側から挟み込むように2個取り付けられている。
【0062】
従って、2個の連結部2Eにより第一部材2Aと第二部材2Bとを、筒部材2Aa,2Baの外面を両側から挟み込むように連結することで、連結部2Eに係る付加を分散させることができる。
【0063】
図11は、実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
図12は、実施形態1に係る拘束ユニットの他の例の使用状態の平面図である。
【0064】
図11および
図12に示す拘束ユニット2’は、
図1~
図10に示す拘束ユニット2に対して、第一部材2Aおよび第二部材2Bを複数設けた点が異なる。従って、
図1~
図10に示す拘束装置と同等な構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図11および
図12では、拘束ユニット2’は、連結部2Eを適用した例を示しているが、連結部2Cを適用してもよい。
【0065】
拘束ユニット2’は、
図11に示すように、第一部材2Aおよび第二部材2Bが複数(本実施形態では2つ)設けられている。1つ目の第一部材2Aは、1つ目の第二部材2Bと連結部2Eで連結されている。2つ目の第一部材2Aは、1つ目の第二部材2Bの反対側で1つ目の第一部材2Aと連結部2Eで連結されている。また、1つ目の第二部材2Bは、上述したように1つ目の第一部材2Aと連結部2Eで連結されている。2つ目の第二部材2Bは、1つ目の第一部材2Aの反対側で1つ目の第二部材2Bと連結部2Eで連結されている。即ち、それぞれ複数の第一部材2Aおよび第二部材2Bは、連結部2Eを介して並列して連結されている。
【0066】
そして、拘束ユニット2’は、
図12に示すように、1つ目の第一部材2Aは、互いに隣り合う一方のラック本体11の隣り合う方向の最外周に設けられたセル12’に装着される。また、2つ目の第一部材2Aは、1つ目の第一部材2Aが装着されたセル12’の隣り合う方向の奥側に並ぶセル12’に装着される。また、1つ目の第二部材2Bは、互いに隣り合う他方のラック本体11の隣り合う方向の最外周に設けられたセル12’に装着される。また、2つ目の第二部材2Bは、1つ目の第二部材2Bが装着されたセル12’の隣り合う方向の奥側に並ぶセル12’に装着される。
【0067】
このため、核燃料貯蔵用ラック1は、互いに隣り合う一方のラック本体11の隣り合う方向の最外周と、その奥側とに拘束ユニット2’の装着用のセル12’が配置され、互いに隣り合う他方のラック本体11の隣り合う方向の最外周と、その奥側とに拘束ユニット2’の装着用のセル12’が配置されている。
【0068】
このように構成された拘束ユニット2’は、
図12に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11の各セル12’に各第一部材2Aが装着されると共に、互いに隣り合う他方のラック本体11の各セル12’に各第二部材2Bが装着される。1つ目の第一部材2Aは、矩形状の筒部材2Aaのセル12’を囲む一部(角形の筒部材2Aaの一辺)が、当該セル12’と、当該セル12’に対して一方のラック本体11にて他方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12’との間に配置される第一要素2Aaaとして構成される。また、2つ目の第一部材2Aは、矩形状の筒部材2Aaのセル12’を囲む一部(角形の筒部材2Aaの一辺)が、当該セル12’と、当該セル12’に対して一方のラック本体11にて他方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第一要素2Aaaとして構成される。1つ目の第二部材2Bは、矩形状の筒部材2Baのセル12’を囲む一部(角形の筒部材2Baの一辺)が、当該セル12’と、当該セル12’に対して他方のラック本体11にて一方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12’との間に配置される第二要素2Baaとして構成される。また、2つ目の第二部材2Bは、矩形状の筒部材2Baのセル12’を囲む一部(角形の筒部材2Baの一辺)が、当該セル12’と、当該セル12’に対して他方のラック本体11にて一方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第二要素2Baaとして構成される。即ち、拘束ユニット2’は、第一要素2Aaaと第二要素2Baaとの間に、一方のラック本体11のセル12’および他方のラック本体11のセル12’が配置される。そして、第一部材2Aと第二部材2Bとが連結部2Cで連結されていることで、一方のラック本体11のセル12’と他方のラック本体11のセル12’とが繋げられる。
【0069】
従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1は、隣り合う方向に並ぶ複数のセル12’セル12’を介して繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、複数の第一部材2Aの第一要素2Aaaが互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられた複数のセル12’の隣り合う方向の奥側に当接し、複数の第二部材2Bの第二要素2Baaが互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられた複数のセル12’の隣り合う方向の奥側に当接しつつ、連結部2E(2C)が複数の第一部材2Aと複数の第二部材2Bとを連結していることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、セル12’を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束するため、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0070】
即ち、実施形態1の拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられた隣り合う方向に並ぶ複数のセル12’の隣り合う方向における奥側にそれぞれ対向して配置される複数の第一部材2Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられた隣り合う方向に並ぶ複数のセル12’の隣り合う方向における奥側にそれぞれ対向して配置される複数の第二部材2Bと、各第一部材2Aおよび各第二部材2Bを連結する連結部2E(2C)と、を有する拘束ユニット2’を含む。
【0071】
なお、図には明示しないが、実施形態1の拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられた最外周で横並びの複数のセル12’に対し隣り合う方向における奥側にそれぞれ対向して配置される複数の第一部材2Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられた最外周で横並びの複数のセル12’に対し隣り合う方向における奥側にそれぞれ対向して配置される複数の第二部材2Bと、各第一部材2Aおよび各第二部材2Bを連結する連結部2E(2C)と、を有するように、拘束ユニット2を横並びに連結した拘束ユニットを含むようにしてもよい。
【0072】
また、図には明示しないが、実施形態1の拘束装置は、互いに隣り合う複数のラック本体11の最外周の角部に設けられたセル12’に装着される筒部材2Aaを有する第一部材2Aと、互いに隣り合う複数のラック本体11の最外周の角部に設けられたセル12’に装着される筒部材2Baを有する第二部材2Bと、各第一部材2Aおよび各第二部材2Bを連結する連結部2E(2C)と、を有する拘束ユニットを含むようにしてもよい。
【0073】
[実施形態2]
図13は、実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの側面図である。
図14は、実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
図15は、実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの側面図である。
図16は、実施形態2に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
図17は、本発明の実施形態2に係る拘束ユニットの使用状態の側面図である。
【0074】
実施形態2の拘束装置は、
図17に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11の他方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面と、互いに隣り合う他方のラック本体11の一方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面とを繋ぎ合わせる拘束ユニット(別の拘束ユニット)3を含む。
【0075】
拘束ユニット3は、
図13~
図16に示すように、受部31と、嵌合連結部32と、を有する。
【0076】
受部31は、例えば、ステンレス鋼により形成され、
図13および
図14に示すように、第一受部31Aと、第二受部31Bと、を有している。第一受部31Aは、互いに隣り合う一方のラック本体11の他方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面にボルト止めまたは溶接などにより固定されている。第一受部31Aは、外板11Bの下端部に設けられている。また、第一受部31Aは、台盤11Aの外側面に固定されていてもよい。第一受部31Aは、平面視でコ字形状に形成され、開口部分が外板11Bの外側面に固定されることで外板11Bの外側面を含み上下方向に貫通する嵌合穴31Aaが形成されている。嵌合穴31Aaは、少なくとも上方に開口していればよい。または、第一受部31Aは、平面視でロ字形状に形成されて少なくとも上方に開口する嵌合穴31Aaを有し、外板11Bの外側面に固定される構成であってもよい。
【0077】
第二受部31Bは、互いに隣り合う他方のラック本体11の一方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面にボルト止めまたは溶接などにより固定されている。第二受部31Bは、外板11Bの下端部に設けられている。また、第二受部31Bは、台盤11Aの外側面に固定されていてもよい。第二受部31Bは、平面視でコ字形状に形成され、開口部分が外板11Bの外側面に固定されることで外板11Bの外側面を含み上下方向に貫通する嵌合穴31Baが形成されている。嵌合穴31Baは、少なくとも上方に開口していればよい。または、第二受部31Bは、平面視でロ字形状に形成されて少なくとも上方に開口する嵌合穴31Baを有し、外板11Bの外側面に固定される構成であってもよい。
【0078】
嵌合連結部32は、例えば、ステンレス鋼により形成され、
図15および
図16に示すように、第一嵌合部32Aと、第二嵌合部32Bと、連結部32Cと、を有している。第一嵌合部32Aは、第一受部31Aの嵌合穴31Aaに挿入して嵌合するように上下方向に延びる棒状に形成されている。第一嵌合部32Aは、その下端が下方に細くなる先端部32Aaが形成されている。第一嵌合部32Aは、先端部32Aaにより第一受部31Aの嵌合穴31Aaに挿入し易くなる。
【0079】
第二嵌合部32Bは、第二受部31Bの嵌合穴31Baに挿入して嵌合するように上下方向に延びる棒状に形成されている。第二嵌合部32Bは、その下端が下方に細くなる先端部32Baが形成されている。第二嵌合部32Bは、先端部32Baにより第二受部31Bの嵌合穴31Baに挿入し易くなる。
【0080】
連結部32Cは、第一嵌合部32Aの上端と、第二嵌合部32Bの上端とを連結するものである。即ち、嵌合連結部32は、両側に下向きに延びる第一嵌合部32Aと第二嵌合部32Bが設けられて下向きに開口するコ字形状に形成されている。
【0081】
この拘束ユニット3は、
図17に示すように、互いに隣り合う2つの核燃料貯蔵用ラック1に対し、互いに隣り合う一方のラック本体11の第一受部31Aに第一嵌合部32Aを挿入すると共に、互いに隣り合う他方のラック本体11の第二受部31Bに第二嵌合部32Bを挿入する。
【0082】
例えば、核燃料貯蔵用ラック1は、
図2に示すように、貯蔵ピット101内でN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向に4個×3個の12個整列して配置されている。そして、互いに隣り合うラックIとラックII、ラックIIとラックIII、ラックIIIとラックIV、ラックIVとラックVIII、ラックVIIIとラックXII、ラックXIIとラックXI、ラックXIとラックX、ラックXとラックIX、ラックIXとラックV、ラックVとラックIを、それぞれ拘束ユニット3により繋ぎ合わせる。なお、ラックVIおよびラックVIIは、その周囲が他のラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vで囲まれている。このため、ラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vを繋ぐことで、ラックVIおよびラックVIIを他のラックII,III,VIII,XI,X,Vと繋がなくても、ラックVIおよびラックVIIがあたかも固縛された状態に維持されるため、ラックVIおよびラックVIIを拘束できる。
【0083】
このように、実施形態2の拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11の他方のラック本体11と対面しない外側面に設けられた第一受部31Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11の一方のラック本体11と対面しない外側面に設けられた第二受部31Bと、第一受部31Aに嵌め合わされる第一嵌合部32Aと、第二受部31Bに嵌め合わされる第二嵌合部32Bと、第一嵌合部32Aと第二嵌合部32Bとを連結する連結部32Cと、を有する拘束ユニット3を含む。
【0084】
言い換えると、この拘束装置は、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1の各ラック本体11で、互いに対面しない一方のラック本体11の外側面に設けられた第一受部31Aと、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1の各ラック本体11で、互いに対面しない他方のラック本体11の外側面に設けられた第二受部31Bと、第一受部31Aに嵌め合わされる第一嵌合部32Aと、第二受部31Bに嵌め合わされる第二嵌合部32Bと、第一嵌合部32Aと第二嵌合部32Bとを接続する連結部32Cと、を有する拘束ユニット3を含む。
【0085】
また、実施形態2の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の対面しない各外側面に対して拘束装置を設置し各ラック本体11を拘束する工程を含む。
【0086】
従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1は、各ラック本体11の互いに対面しない外側面が、拘束ユニット3を介して繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、第一受部31Aに第一嵌合部32Aが挿入して嵌合され、第二受部31Bに第二嵌合部32Bが挿入して嵌合され、第一嵌合部32Aおよび第二嵌合部32Bを連結部32Cで連結していることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、各ラック本体11の互いに対面しない外側面を繋ぎ合わせているため、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の対面する外側面の間で連結するような構成と比較して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1を密接させることができ、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0087】
なお、実施形態2の拘束ユニット3は、実施形態1の拘束ユニット2と共に用いることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士の拘束力を向上し、ロッキングの発生をより確実に阻止できる。
【0088】
従って、実施形態1の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の対面しない各外側面に対して別の拘束ユニット3を設置し各ラック本体11を拘束する工程をさらに含む。
【0089】
また、実施形態2の拘束ユニット3は、ラック本体11の下端部(外板11Bの下端部の外側面や台盤11Aの外側面)以外に、ラック本体11の上端部(外板11Bの上端部の外側面)にも設けることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士の拘束力を向上し、ロッキングの発生をより確実に阻止できる。さらに、実施形態2の拘束ユニット3は、ラック本体11の下端部(外板11Bの下端部の外側面や台盤11Aの外側面)とラック本体11の上端部(外板11Bの上端部の外側面)との間にも適宜な数の拘束ユニット3を設けることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士の拘束力を向上し、ロッキングの発生をより確実に阻止できる。
【0090】
[実施形態3]
図18は、貯蔵ピットの側面図である。
図19は、貯蔵ピットの平面図である。
図20は、本発明の実施形態3に係る拘束装置の拘束ユニットの側断面図である。
図21は、本発明の実施形態3に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
図22は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの使用状態の平面図である。
図23は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの使用状態の平面図である。
図24は、本発明の実施形態3に係る拘束ユニットの使用状態の側断面図である。
図25は、本発明の実施形態3に係る拘束装置の拘束ユニットの平面図である。
【0091】
図18および
図19において、貯蔵ピット101の構成および核燃料貯蔵用ラック1の構成は、上述した実施形態1で説明した貯蔵ピット101および核燃料貯蔵用ラック1と同様であるため、同等な構成に同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
実施形態3の拘束装置は、
図20および
図21に示すように、拘束ユニット4を含む。拘束ユニット4は、互いに隣り合って配置された核燃料貯蔵用ラック1において、互いに隣り合うラック本体11に設けられたそれぞれのセル12同士を拘束するものである。拘束ユニット4は、例えば、ステンレス鋼で形成されている。拘束ユニット4は、第一部材4Aと、第二部材4Bと、連結部4Cと、を有している。
【0093】
拘束ユニット4は、
図21に示すように、平面視で一繋がりのH型に形成され、中央が連結部4Cとして形成され、連結部4Cの各端に第一部材4Aと第二部材4Bが形成されている。第一部材4Aは、連結部4Cの幅よりも両側に大きく突出する突出部材4Aaとして形成されている。第二部材4Bは、連結部4Cの幅よりも両側に大きく突出する突出部材4Baとして形成されている。
【0094】
また、拘束ユニット4は、
図22に示すように、側面視で一繋がりの板部材として形成されている。
【0095】
この拘束ユニット4は、
図20~
図21に示すように、互いに隣り合って配置された核燃料貯蔵用ラック1に対して下記のように寸法が規定されている。
【0096】
拘束ユニット4は、厚さiが、互いに隣り合う一方および他方のラック本体11の各セル12の横並び方向で案内部材12Aが最も広がって最も狭い間隔cに対し、それよりも小さく形成されている。従って、拘束ユニット4は、
図22に示すように、各セル12の横並び方向の間に挿入できる厚さiに形成されている。
【0097】
また、拘束ユニット4は、全長eが、互いに隣り合う一方のラック本体11の最外周のセル12の隣り合う方向の奥側に配置されたセル12における手前側の外面と、互いに隣り合う他方のラック本体11の最外周のセル12の隣り合う方向の奥側に配置されたセル12における手前側の外面との間の隣り合う方向の寸法jに対し、同等またはそれ以下に形成されている。従って、拘束ユニット4は、
図23に示すように、互いに隣り合う一方および他方のラック本体11の最外周の各セル12の隣り合う方向の奥側にまで至る全長eに形成されている。また、拘束ユニット4において、第一部材4Aおよび第二部材4Bの間隔mは、ラック本体11の最外周のセル12の隣り合う方向のセル12の外面間寸法nと同等またはそれ以上に形成されている。
【0098】
また、拘束ユニット4は、連結部4Cの幅gが、互いに隣り合う一方および他方のラック本体11の各セル12の横並び方向の外面の間隔dに対し、同等またはそれ以下に形成されている。従って、拘束ユニット4は、
図23に示すように、連結部4Cが横並びの各セル12の間に配置できる幅gに形成されている。
【0099】
また、拘束ユニット4は、第一部材4Aおよび第二部材4Bの幅fが、互いに隣り合う一方および他方のラック本体11の各セル12の隣り合う方向の外面の間隔kに対し、同等またはそれ以下に形成されている。従って、
図23に示すように、拘束ユニット4は、第一部材4Aおよび第二部材4Bが隣り合う方向に並ぶ各セル12の間隔kに配置できる幅fに形成されている。
【0100】
また、拘束ユニット4は、第一部材4Aおよび第二部材4Bの突出寸法hが、互いに隣り合う一方および他方のラック本体11の各セル12の横並び方向に外面の径rに対し、1/2以下に形成されている。従って、拘束ユニット4は、
図23に示すように、第一部材4Aおよび第二部材4Bが横並び方向の各セル12の間に横並び方向に複数配置した場合、他の拘束ユニット4の第一部材4Aおよび第二部材4Bに干渉しない突出寸法hに形成されている。
【0101】
このように形成された拘束ユニット4は、
図22に示すように、その厚さiにおいて、各セル12の横並び方向の間に案内部材12Aを避けて挿入する。これにより、実施形態1のように拘束ユニット2,2’を装着する案内部材12Aのないセル12’を設ける必要がない。
【0102】
その後、
図23に示すように、拘束ユニット4を平面視の方向に90°旋回させることで、
図24に示すように支持格子11Cの上に載置されて、連結部4Cが横並び方向の各セル12の間に配置され、第一部材4Aおよび第二部材4Bが隣り合う方向の各セル12の間に配置される。また、拘束ユニット4は、第一部材4Aおよび第二部材4Bが、他の拘束ユニット4の第一部材4Aおよび第二部材4Bに干渉せず配置される。
【0103】
また、拘束ユニット4の厚さiは、横並び方向で案内部材12Aの最も狭い間隔cに挿入できるように形成しているため、装着時の厚さを増す場合は、
図24に示すように複数の拘束ユニット4を重ねて配置する。
【0104】
また、拘束ユニット4は、
図21に示すように、第一部材4Aおよび第二部材4Bの突出寸法hに連結部4Cの幅gを加えた寸法pが、セル12において、
図24に示すように支持格子11Cの上面からセル12の案内部材12Aを差し引いた高さsよりも低く形成されている。なお、拘束ユニット4を複数配置する場合は、最後に重ねて配置する拘束ユニット4を除いた最上段の拘束ユニット4の上面からセル12の案内部材12Aを指し引いた高さs’よりも低く形成する。もしくは、
図25に示すように、拘束ユニット4の第一部材4Aおよび第二部材4Bの先端が、セル12の案内部材12Aに干渉しないよう、拘束ユニット4の第一部材4Aおよび第二部材4Bの先端をセル12の案内部材12Aの形状にあわせて、面取4Dを形成してもよい。
【0105】
このように構成された拘束ユニット4は、
図23に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11のセル12に第一部材4Aが装着されると共に、互いに隣り合う他方のラック本体11のセル12に第二部材4Bが装着される。第一部材4Aは、突出部材4Aaが、一方のラック本体11にて、他方のラック本体11寄りのセル12と、当該セル12に対して他方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第一要素4Aaaとして構成される。第二部材4Bは、突出部材4Baが、他方のラック本体11にて、一方のラック本体11寄りの12と、当該セル12に対して一方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第二要素4Baaとして構成される。即ち、拘束ユニット4は、第一要素4Aaaと第二要素4Baaとの間に、一方のラック本体11のセル12および他方のラック本体11のセル12が配置される。そして、第一部材4Aと第二部材4Bとが連結部4Cで連結されていることで、一方のラック本体11のセル12と他方のラック本体11のセル12とが繋げられる。
【0106】
そして、例えば、核燃料貯蔵用ラック1は、
図19に示すように、貯蔵ピット101内でN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向に4個×3個の12個整列して配置されている。そして、互いに隣り合うラックIとラックII、ラックIIとラックIII、ラックIIIとラックIV、ラックIVとラックVIII、ラックVIIIとラックXII、ラックXIIとラックXI、ラックXIとX、ラックXとラックIX、ラックIXとラックV、ラックVとラックI、およびラックIIとラックVI、ラックIIIとラックVII、ラックVIIIとラックVII、ラックXIとラックVII、ラックXとラックVI、ラックVとラックVI、ラックVIとラックVIIを、それぞれ最外周に配列された各セル12に拘束ユニット4を装着して繋ぎ合わせる。
【0107】
また、拘束ユニット4は、
図23に示すように複数用意され、互いに隣り合う一方のラック本体11において最外周に沿って横並びに配列された各セル12と、互いに隣り合う他方のラック本体11において最外周に沿って横並びに配列された各セル12とに、複数装着される。
【0108】
このように構成された拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられたセル12の隣り合う方向における奥側に対向して配置される第一部材4Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられたセル12の隣り合う方向における奥側に対向して配置される第二部材4Bと、第一部材4Aと第二部材4Bとを連結する連結部4Cと、を有する拘束ユニット4を含む。
【0109】
言い換えると、この拘束装置は、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1の内、一方の核燃料貯蔵用ラック1に配置される第一部材4Aと、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1の内、他方の核燃料貯蔵用ラック1に配置される第二部材4Bと、第一部材4Aと第二部材4Bとを接続する連結部4Cと、を備え、第一部材4Aは第一要素4Aaaを含み、第二部材4Bは第二要素4Baaを含み、第一要素4Aaaと第二要素4Baaとの間に、一方の核燃料貯蔵用ラック1内のセル12および他方の核燃料貯蔵用ラック1内のセル12が配置されるように構成されている。また、第一部材4Aは、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1におけるラック本体11の外側面同士が対面して近接する各近接面と平行に配置される突出部材4Aaの縁部である第一要素4Aaaを有し、第二部材4Bは、隣り合う二つの核燃料貯蔵用ラック1におけるラック本体11の外側面同士が対面して近接する各近接面と平行に配置される突出部材4Aaの縁部である第二要素4Baaを有する。従って、第一部材4Aおよび第二部材4Bは連結部4Cを介してそれぞれセル12を拘束するように配置される。
【0110】
また、実施形態3の核燃料貯蔵用ラック1の拘束方法は、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の各セル12に対して拘束装置を設置し各セル12を拘束する工程を含む。
【0111】
従って、セル12を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士が繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、第一部材4Aの第一要素4Aaaが互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられたセル12の隣り合う方向の奥側に当接し、第二部材4Bの第二要素4Baaが互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられたセル12の隣り合う方向の奥側に当接しつつ、連結部4Cが第一部材4Aと第二部材4Bとを連結していることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、セル12を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束するため、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0112】
また、実施形態3の拘束装置では、拘束ユニット4を複数有する。
【0113】
従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を複数の拘束ユニット4により拘束することで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の拘束を十分に行ってロッキングの発生を阻止し、かつセル12に係る付加を分散させることができる。
【0114】
なお、上述した構成において、核燃料貯蔵用ラック1は、
図19に示すように、貯蔵ピット101内でN方向、S方向と、W方向、E方向の4方向に4個×3個の12個整列して配置されている。そして、ラックVIおよびラックVIIは、その周囲が他のラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vで囲まれている。このため、ラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vを繋ぐことで、ラックVIおよびラックVIIを他のラックII,III,VIII,XI,X,Vと繋がなくても、ラックVIおよびラックVIIがあたかも固縛された状態に維持されるため、ラックVIおよびラックVIIを拘束できる。また、上述した構成において、核燃料貯蔵用ラック1は、最外周の全てに拘束ユニット4を設置しなくてもよく、最外周の一部にセル12を介して拘束ユニット4を装着するようにしてもよい。
【0115】
なお、図示は省略するが、必要ならば、拘束ユニット4が地震荷重により浮き上がることが想定される場合は、例えば、互いに隣り合うラック本体11同士にわたって両端を下方に深く折り曲げた帯鋼を拘束ユニット4の上に載置し、拘束ユニット4の浮き上がりを防止することが好ましい。
【0116】
また、実施形態3において、実施形態1で説明した
図8に示す拘束装置の挿入部材2Dをさらに有していてもよい。
【0117】
そして、実施形態3の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11と他方のラック本体11との隙間13に挿入部材2Dを挿入する工程をさらに含む。
【0118】
互いに隣り合う各ラック本体11の間に隙間13が生じている場合、繋ぎ合わせた核燃料貯蔵用ラック1は、隙間13により相対的な移動を許容される。このため、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の拘束ユニット4による拘束に加え、隙間13を挿入部材2Dにより詰めることで、繋ぎ合わせた核燃料貯蔵用ラック1の相対的な移動を阻止する。この結果、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の拘束をより確実に行うことができ、核燃料貯蔵用ラック1のロッキングをより阻止できる。なお、挿入部材2Dは、第一部材4Aと第二部材4Bの間に配置することで、拘束ユニット4と共に拘束力を十分に発揮できる。
【0119】
図26は、実施形態3に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
図27は、実施形態3に係る拘束ユニットの他の例の使用状態の平面図である。
図28は、実施形態3に係る拘束ユニットの他の例の平面図である。
【0120】
図26および
図27に示す拘束ユニット4’は、
図18~
図24に示す拘束ユニット4に対して、第一部材4Aおよび第二部材4Bを複数設けた点が異なる。従って、
図18~
図24に示す拘束装置と同等な構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
拘束ユニット4’は、
図26に示すように、第一部材4Aおよび第二部材4Bが複数(本実施形態では2つ)設けられている。1つ目の第一部材4Aは、1つ目の第二部材4Bと連結部4Cで連結されている。2つ目の第一部材4Aは、1つ目の第二部材4Bの反対側で1つ目の第一部材4Aと連結部4Cで連結されている。また、1つ目の第二部材4Bは、上述したように1つ目の第一部材4Aと連結部4Cで連結されている。2つ目の第二部材4Bは、1つ目の第一部材4Aの反対側で1つ目の第二部材4Bと連結部4Cで連結されている。即ち、それぞれ複数の第一部材4Aおよび第二部材4Bは、連結部4Cを介して並列して連結されている。
【0122】
そして、拘束ユニット4’は、
図27に示すように、1つ目の第一部材4Aは、互いに隣り合う一方のラック本体11の隣り合う方向の最外周に設けられたセル12の隣り合う方向の奥側に対向して配置される。また、2つ目の第一部材4Aは、さらに隣り合う方向の奥側に並ぶセル12の隣り合う方向の奥側に対向して配置される。また、1つ目の第二部材4Bは、互いに隣り合う他方のラック本体11の隣り合う方向の最外周に設けられたセル12の隣り合う方向の奥側に対向して配置される。また、2つ目の第二部材4Bは、さらに隣り合う方向の奥側に並ぶセル12の隣り合う方向の奥側に対向して配置される。
【0123】
また、拘束ユニット4’は、
図26に示すように、第一部材4Aおよび第二部材4Bの突出寸法hに連結部4Cの幅gを加えた寸法pが、セル12において、
図24に示すように支持格子11Cの上面からセル12の案内部材12Aを差し引いた高さsよりも低く形成されている。なお、拘束ユニット4’を複数配置する場合は、最後に重ねて配置する拘束ユニット4’を除いた最上段の拘束ユニット4’の上面からセル12の案内部材12Aを差し引いた高さs’よりも低く形成する。もしくは、
図28に示すように、拘束ユニット4’の第一部材4Aおよび第二部材4Bの先端が、セル12の案内部材12Aに干渉しないよう、拘束ユニット4’の第一部材4Aおよび第二部材4Bの先端をセル12の案内部材12Aの形状にあわせて、面取4Dを形成してもよい。
【0124】
このように構成された拘束ユニット4’は、
図27に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11の各セル12に各第一部材4Aが装着されると共に、互いに隣り合う他方のラック本体11の各セル12に各第二部材4Bが装着される。各第一部材4Aは、一方のラック本体11にて、他方のラック本体11寄りのセル12と、当該セル12に対して他方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第一要素4Aaaとして構成される。第二部材4Bは、突出部材4Baが、他方のラック本体11にて、一方のラック本体11寄りの12と、当該セル12に対して一方のラック本体11から遠ざかる位置にあるセル12との間に配置される第二要素4Baaとして構成される。即ち、拘束ユニット4’は、各第一要素4Aaaと各第二要素4Baaとの間に、一方のラック本体11のセル12および他方のラック本体11のセル12が配置される。そして、第一部材4Aと第二部材4Bとが連結部2Cで連結されていることで、一方のラック本体11のセル12と他方のラック本体11のセル12とが繋げられる。
【0125】
従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1は、隣り合う方向に並ぶ複数のセル12を介して繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、複数の第一部材4Aの第一要素4Aaaが互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられた複数のセル12の隣り合う方向の奥側に当接し、複数の第二部材4Bの第二要素4Baaが互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられた複数のセル12の隣り合う方向の奥側に当接しつつ、連結部4Cが複数の第一部材4Aと複数の第二部材4Bとを連結していることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、セル12を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束するため、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0126】
即ち、実施形態3の拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11に設けられた隣り合う方向に並ぶ複数のセル12の隣り合う方向における奥側にそれぞれ対向して配置される複数の第一部材4Aと、互いに隣り合う他方のラック本体11に設けられた隣り合う方向に並ぶ複数のセル12の隣り合う方向における奥側にそれぞれ対向して配置される複数の第二部材4Bと、各第一部材4Aおよび各第二部材4Bを連結する連結部4Cと、を有する拘束ユニット4’を含む。
【0127】
なお、図には明示しないが、実施形態3の拘束装置は、核燃料貯蔵用ラック1において実施形態1で説明した案内部材12Aのないセル12’とした場合、拘束ユニット4,4’を旋回させて配置する必要がないため、厚さiを複数分に厚くして形成できる。従って、拘束ユニット4,4’の配置工数を低減できる。
【0128】
なお、実施形態3の拘束ユニット4は、実施形態2の拘束ユニット3と共に用いることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士の拘束力を向上し、ロッキングの発生をより確実に阻止できる。
【0129】
従って、実施形態3の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の対面しない各外側面に対して別の拘束ユニット3を設置し各ラック本体11を拘束する工程をさらに含む。
【0130】
また、実施形態1の拘束装置と、実施形態3の拘束装置とを、共に混在して用いてもよい。この場合、実施形態1の拘束装置を、実施形態3の拘束装置の上に設置するか、もしくは、実施形態1の拘束装置を支持格子11Cの上に設置したうえで、実施形態3の拘束装置の第一部材4Aおよび第二部材4Bの幅fを、実施形態1の拘束装置の筒部材2Aaの外表面から隣り合うセル12の外表面までの隙間と同等またはそれ以下にする。かつ、拘束ユニット2,2’の案内部材2Ab,2Bbの上端は、セル12の案内部材12Aと同じ高さとする。
【0131】
また、実施形態1の拘束装置と、実施形態3の拘束装置と、実施形態2の拘束装置とを、共に混在して用いてもよい。
【0132】
[実施形態4]
図29は、実施形態4に係る貯蔵ピットの側断面図である。
図30は、実施形態4に係る貯蔵ピットの平面図である。
【0133】
図29および
図30において、貯蔵ピット101の構成および核燃料貯蔵用ラック1の構成は、上述した実施形態1で説明した貯蔵ピット101および核燃料貯蔵用ラック1と同様であるため、同等な構成に同一の符号を付して説明を省略する。
【0134】
実施形態4の拘束装置は、
図29および
図30に示すように、互いに隣り合う一方のラック本体11の他方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面と、互いに隣り合う他方のラック本体11の一方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面とを繋ぎ合わせる拘束ユニット5を含む。
【0135】
拘束ユニット5は、例えば、ステンレス鋼により形成された板部材である。拘束ユニット5は、互いに隣り合う一方のラック本体11の他方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面と、互いに隣り合う他方のラック本体11の一方のラック本体11と対面しない外板11Bの外側面とを繋ぎ合わせるように、ボルト止めまたは溶接などにより固定されている。
【0136】
また、実施形態4の拘束ユニット5は、ラック本体11の下端部(外板11Bの下端部の外側面や台盤11Aの外側面)と、ラック本体11の上端部(外板11Bの上端部の外側面)とに設けられている。なお、実施形態4の拘束ユニット5は、ラック本体11の下端部(外板11Bの下端部の外側面や台盤11Aの外側面)と、ラック本体11の上端部に加え、これらの間にも適宜な数の拘束ユニット5を設けてもよい。
【0137】
例えば、核燃料貯蔵用ラック1は、
図30に示すように、貯蔵ピット101内でN方向、S方向と、W方向第一、E方向の4方向に4個×3個の12個整列して配置されている。そして、互いに隣り合うラックIとラックII、ラックIIとラックIII、ラックIIIとラックIV、ラックIVとラックVIII、ラックVIIIとラックXII、ラックXIIとラックXI、ラックXIとX、ラックXとラックIX、ラックIXとラックV、ラックVとラックIを、それぞれ拘束ユニット5により繋ぎ合わせる。なお、ラックVIおよびラックVIIは、その周囲が他のラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vで囲まれている。このため、ラックI,II,III,IV,VIII,XII,XI,X,IX,Vを繋ぐことで、ラックVIおよびラックVIIを他のラックII,III,VIII,XI,X,Vと繋がなくても、ラックVIおよびラックVIIがあたかも固縛された状態に維持されるため、ラックVIおよびラックVIIを拘束できる。
【0138】
このように、実施形態4の拘束装置は、互いに隣り合う一方のラック本体11の他方のラック本体11と対面しない外側面と、互いに隣り合う他方のラック本体11の一方のラック本体11と対面しない外側面とを繋ぐ拘束ユニット5を含む。
【0139】
また、実施形態4の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の対面しない各外側面に対して拘束装置を設置し各ラック本体11を拘束する工程を含む。
【0140】
従って、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1は、各ラック本体11の互いに対面しない外側面が、拘束ユニット5を介して繋ぎ合わされる。このため、ロッキング事象が発生するような場合、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士を拘束し、ロッキングの発生を阻止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、各ラック本体11の互いに対面しない外側面を繋ぎ合わせているため、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の対面する外側面の間で連結するような構成と比較して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1を密接させることができ、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【0141】
なお、実施形態4の拘束ユニット5は、実施形態1,3の拘束ユニット2,4と共に用いることで、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士の拘束力を向上し、ロッキングの発生をより確実に阻止できる。この場合、実施形態4の拘束ユニット5は、ラック本体11の下端部(外板11Bの下端部の外側面や台盤11Aの外側面)にのみ設けてもよい。
【0142】
従って、実施形態1,3の核燃料貯蔵用ラックの拘束方法では、互いに隣り合う一方のラック本体11および他方のラック本体11の対面しない各外側面に対して拘束装置を設置し各ラック本体11を拘束する工程をさらに含む。
【0143】
また、実施形態1~4の拘束装置により拘束された核燃料貯蔵用ラックによれば、互いに隣り合う各ラック本体11が、拘束ユニット2~5の少なくとも1つにより繋ぎ合わされている。このため、ロッキング事象が発生するような場合、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士が拘束されてロッキングの発生を阻止できる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、縦壁面101bに接近したりすることを抑制できる。しかも、実施形態1,3の拘束装置が適用された場合は、セル12’を介して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1同士が拘束されるため、核燃料の貯蔵体数を確保できる。また、実施形態2,4の拘束装置が適用された場合は、各ラック本体11の互いに対面しない外側面を繋ぎ合わせているため、互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1の対面する外側面の間で連結するような構成と比較して互いに隣り合う核燃料貯蔵用ラック1を密接させることができ、核燃料の貯蔵体数を確保できる。
【符号の説明】
【0144】
1 核燃料貯蔵用ラック
11 ラック本体
11A 台盤
11B 外板
11C 支持格子
11D 支持脚
12,12’ セル
12A 案内部材
12B テーパ面
13 隙間
2,2’ 拘束ユニット
2A 第一部材
2Aa 筒部材
2Ab 案内部材
2B 第二部材
2Ba 筒部材
2Bb 案内部材
2C 連結部
2D 挿入部材
2E 連結部
3 拘束ユニット
31 受部
31A 第一受部
31Aa 嵌合穴
31B 第二受部
31Ba 嵌合穴
32 嵌合連結部
32A 第一嵌合部
32Aa 先端部
32B 第二嵌合部
32Ba 先端部
32C 連結部
4,4’ 拘束ユニット
4A 第一部材
4B 第二部材
4C 連結部
4D 面取
5 拘束ユニット
101 貯蔵ピット
101a 床面
101b 縦壁面
102 ライニング
103 水