IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三協立山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建具 図1
  • 特許-建具 図2
  • 特許-建具 図3
  • 特許-建具 図4
  • 特許-建具 図5
  • 特許-建具 図6
  • 特許-建具 図7
  • 特許-建具 図8
  • 特許-建具 図9
  • 特許-建具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20221117BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/26
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019017322
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020125593
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晃尚
(72)【発明者】
【氏名】丸池 勇
(72)【発明者】
【氏名】米道 貴広
(72)【発明者】
【氏名】荒井 直樹
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B5/00-5/20
E06B3/04-3/46
E06B3/50-3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下框の戸車間に補強部材が配置されており、
補強部材は、上方の見込壁と、下方の見込壁と、上方の見込壁と下方の見込壁を連絡する室外側見付壁を有する断面略U字状をなし、上方の見込壁と下方の見込壁と室外側見付壁によって形成される領域内に熱膨張耐火材を有しており、
下方の見込壁は、上方の見込壁よりも見込幅寸法が小さく下レールに対して対向している建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建築物等の開口部に配置されるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の開口部に配置されるサッシとして、高い断熱性を有する樹脂枠及び樹脂框を備えるサッシが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-108909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す樹脂サッシにおいては、樹脂材料の特徴を生かして高い断熱性を有することができるが、火炎や熱には弱いという一面があった。
しかし、近年、樹脂材料からなる部位を備える断熱サッシにおいても、高い防火性能が求められるようになっている。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みたものであり、断熱性能とともに高い防火性能を備えるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、下框の戸車間に補強部材が配置されており、補強部材は、上方の見込壁と、下方の見込壁と、上方の見込壁と下方の見込壁を連絡する室外側見付壁を有する断面略U字状をなし、上方の見込壁と下方の見込壁と室外側見付壁によって形成される領域内に熱膨張耐火材を有しており、下方の見込壁は、上方の見込壁よりも見込幅寸法が小さく下レールに対して対向している建具である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、樹脂材料からなる部材を有するサッシに対して、断熱性能を維持しながら、防火性能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るサッシの外観図である。
図2】一実施形態に係るサッシの取付状態における竪断面図である。
図3】一実施形態に係るサッシの取付状態における横断面図である。
図4】一実施形態に係るサッシの竪断面図である。
図5】一実施形態に係るサッシの横断面図である。
図6】一実施形態に係るサッシの下框の拡大図である。
図7】一実施形態に係るサッシの下框の火災時の拡大図である。
図8】他の実施形態に係るサッシの下框の拡大図である。
図9】他の実施形態に係るサッシの下框の火災時の拡大図である。
図10】(a)は、他の実施形態に係るサッシの下框の拡大正面図であり、(b)は、他の実施形態に係るサッシの下框の火災時の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るサッシについて、図面を参考にして説明する。
本実施形態のサッシは、建物開口部に配置されている窓装置の室内側に配置される内窓Aとして構成されており、図1に示すように、枠体10と、枠体10に対して摺動自在に配置される内障子20及び外障子30を備えている。
【0010】
枠体10は、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14を有しており、各枠材は枠組されることなく、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14がそれぞれ建物開口部の内周面にビス等の固定手段によって固定されることで建物開口部の四周に亘る枠体10が形成されている。
【0011】
内障子20は、上框21、下框22、左竪框(召合框)23及び右竪框(戸先框)24を四周に組んで、その内周にパネル体25を取り付けて形成されており、外障子30は、上框31、下框32、左竪框(戸先框)33及び右竪框(召合框)34を四周に組んで、その内周にパネル体35を取り付けて形成されている。
【0012】
そして、本実施形態の内窓Aは、図2,3に示すように、予め建物開口部に配置されている建具Bの室内側に配置されること、例えば額部Cの内周に固定されることによって、二重サッシを構成し、建物開口部における断熱性能を高めることができる。なお、建物開口部に配置されている建具Bは、どのような建具であっても良く、ここではその説明を省略する。
【0013】
(枠体の構成)
枠体10の上枠11は、図4に示すように、樹脂材料からなる略平板状の上枠本体111と、アルミ合金等の金属材料からなる上レール部材112を有している。そして、上レール部材112が上枠本体111の内周面(下面)に配置された状態で、上枠本体111と上レール部材112はビス等の固定手段bにより、建物開口部の額部Cの内周面(下面)に固定されている。
【0014】
上枠本体111は、額部Cに固定される上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側端から垂下する室内側壁部111bを有している。
【0015】
上レール部材112は、上枠本体111と共に額部Cに固定される上レール固定部112aと、上レール固定部112aの室内側より下方に垂設される上内レール112bと、上レール固定部112aの室外側より下方に垂設される上外レール112cを有している。
上枠11の上内レール112bと上外レール112cとの間であって、内障子20及び外障子30の召合框23,34の上方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材71が配置されている。
【0016】
枠体10の下枠12は、図4に示すように、樹脂材料からなる略平板状の下枠本体121と、アルミ合金等の金属材料からなる下レール部材122を有している。そして、下レール部材122が下枠本体121の内周面(上面)に配置された状態で、下枠本体121と下レール部材122はビス等の固定手段bにより、建物開口部の額部Cの内周面(上面)に固定されている。
【0017】
下枠本体121は、建物開口部に固定される下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側端から上方に立設する室内側壁部121bを有している。
【0018】
下レール部材122は、下枠本体121と共に額部Cに固定される下レール固定部122aと、下レール固定部122aの室内側より上方に立設する下内レール122bと、下レール固定部122aの室外側より上方に立設する下外レール122cを有している。
下枠12の下内レール122bと下外レール122cとの間であって、内障子20及び外障子30の召合框23,34の下方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材72が配置されている。
【0019】
枠体10の左、右竪枠13,14は、樹脂材料からなり、図5に示すように、略平板状に形成されており、ビス等の固定手段b,bにより、建物開口部の額部Cの内周面に固定されている。
本実施形態の左、右竪枠13,14は、上、下枠11,12と同様に樹脂材料によって形成してもよいが、アルミ合金等の押出形材の表面を合成樹脂等の断熱材料によってコーティングして形成してもよい。
【0020】
左、右竪枠13,14は、建物開口部に固定される左、右竪枠本体部131a,141aと、左、右竪枠本体部131a,141aの見込み方向略中央位置から内周方向に突設される中央壁部131b,141bと、左、右竪枠本体部131a,141aの室内側端から内周方向に突設される室内側壁部131c,141cと、左、右竪枠本体部131a,141aの室外側端から内周方向に突設される室外側壁部131d,141dとを有している。
【0021】
中央壁部131b,141bは、内周端に、室内外両側に延びるヒレ状の気密片を有している。ヒレ状の気密片は、内障子20もしくは外障子30の閉鎖時において、内、外障子20,30の戸先框24,33に当接して、内、外障子20,30の閉鎖時における内障子20と右竪枠14との気密、外障子30と左竪枠13との気密を行っている。
【0022】
左竪枠13は、左竪枠本体部131aの内周側であって中央壁部131bの室外側に金属材料からなる補強部材132を有しており、右竪枠14は、右竪枠本体部141aの内周面であって中央壁部141bの室内側に金属材料からなる補強部材142を有している。
【0023】
左竪枠13の補強部材132は、アルミ合金やスチール等の金属材料からなり、中央壁部131bの室外側面に沿う見付壁と左竪枠本体部131aの内周面に沿う見込壁を有する断面略L字状の長尺部材であり、左竪枠13の全長に亘って配置されている。
右竪枠14の補強部材142は、アルミ合金やスチール等の金属材料からなり、中央壁部141bの室内側面に沿う見付壁と右竪枠本体部141aの内周面に沿う見込壁を有する断面略L字状の長尺部材であり、右竪枠14の全長に亘って配置されている。
【0024】
そして、左竪枠13の補強部材132の見付壁の室外側面に、外障子30の戸先框33の戸先端部の室内側面に対向するように熱膨張耐火材fが配置されており、右竪枠14の補強部材142の見付壁の室内側面に、内障子20の戸先框24の戸先端部の室外側面に対向するように熱膨張耐火材fが配置されている。
【0025】
左、右竪枠13,14に配置された補強部材132,142は、それぞれ左、右竪枠13,14を固定する固定手段b,bによって、左、右竪枠本体部131a,141aとともに建物開口部に固定されている。
【0026】
本実施形態のサッシの枠体10を建物開口部に固定するに際しては、例えば、左竪枠13→下枠12→右竪枠14→上枠11の順番で建物開口部の四周に配置、固定することで、枠体10を建物開口部の四周に対して配置することができる。
このとき、建物開口部の四隅において、横枠(上枠11,下枠12)の少なくとも上内レール112b、上外レール112c及び下内レール122b、下外レール122cの一部、もしくは、竪枠(左竪枠13,右竪枠14)の中央壁部131b,141bの一部を切欠くこと等によって、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14同士が取付けに際して干渉することを防止することができる。
【0027】
(内障子の構成)
内障子20の上框21は、図4に示すように、樹脂材料からなる上框本体211と、アルミ合金等の金属材料からなる補強芯材212を有している。
【0028】
上框本体211は、パネル体25を保持するためのガラス間口211aと、ガラス間口211aの外周側に形成され上内レール112bに案内される開口部211bを有し、開口部211bを構成する室内、外側壁の上端には上内レール112bに当接もしくは近接する気密片が設けられている。
【0029】
内障子20の上框21は、ガラス間口211a内にスチール等の金属材料からなる補強部材213が配置されており、パネル体25が、補強部材213及び難燃性のグレイジングチャンネル219を介してガラス間口211aに保持されている。また、開口部211b内に補強芯材212が配置されている。
開口部211bに配置された補強芯材212とガラス間口211aに配置された補強部材213とは、開口部211bの底壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
【0030】
ガラス間口211a内に配置される補強部材213は、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状をしており、室内外壁の内側面には、熱膨張耐火材が取り付けられている。
【0031】
開口部211b内に配置される補強芯材212は、開口部211bの底部に沿って配置される底壁部212aと、底壁部212aの室内側端部に連続して開口部211bの室内壁に沿って延びる室内壁部212bと、底壁部212aの室外側端部に連続して開口部211bの室外壁に沿って延びる室外壁部212cを有している。
【0032】
補強芯材212の底壁部212aの上面及び下面にそれぞれ熱膨張耐火材が配置されており、室内壁部212b及び室外壁部212cの上端近傍の内側面に熱膨張耐火材f,fが配置されている。
【0033】
内障子20の下框22は、図4に示すように、樹脂材料からなる下框本体221と、アルミ合金等の金属材料からなり下框本体221に内装される第1補強芯材222及び第2補強芯材223を有している。
【0034】
下框本体221は、内周側のガラス間口221aと、ガラス間口221aの外周に配置される中空部221bと、外周側の開口部221cとを有している。
【0035】
第1補強芯材222は、断面略矩形の中空形状をなしており、下框本体221の中空部221b内に配置されている。第2補強芯材223は、矩形中空部と下方に開口する開口部を備える断面形状をなしており、下框本体221の開口部221cの開口内に配置されている。
【0036】
第1補強芯材222の中空部内には、スチール等からなる断面略U字状の第1補強部材224が外周方向に開口するように配置され、第2補強芯材223の中空部内及び開口部内には、断面略U字状の第2補強部材225及び第3補強部材226がそれぞれ室内方向に開口するように配置されている。
【0037】
ガラス間口221a内には、スチール等の金属材料からなり、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の第4補強部材227が配置されており、パネル体25が、第4補強部材227及び難燃性のグレイジングチャンネル229を介してガラス間口221aに保持されている。
第4補強部材227と第1補強芯材222及び第1補強部材224は、ガラス間口221aの底壁を挟んで連結手段を介して連結されている。
【0038】
また、第1補強芯材222と第2補強芯材223及び第2補強部材225は、下框本体221の中空部221bの底壁を挟んで連結手段により連結されており、第2補強部材225と第3補強部材226は、第2補強芯材223の中間壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
下框本体221の開口部221cの所定位置、具体的には見付方向の両端近傍位置には、下内レール122b上を走行する戸車92が配置され、内障子20は、下内レール122b上を走行自在に配置されている。
【0039】
内障子20の右竪框(戸先框)24は、図5に示すように、樹脂材料からなり、断面略矩形の中空部を有する右竪框本体部241bと、右竪框本体部241bの内周側に形成されパネル体25を保持するためのガラス間口241aを有している。
なお、本実施形態の右竪框24は、アルミ合金等の押出形材の表面を合成樹脂等の断熱材料によってコーティングして形成してもよい。
【0040】
右竪框本体部241bの中空部内には、スチール等の金属材料からなり、見込壁と室内側見付壁と室外側見付壁を有する断面略U字状の第1補強部材242が外周側に向けて開口するように配置されている。
第1補強部材242の見込壁の外周側面(内側面)と室内側見付壁の室外側面(内側面)と室外側見付壁の室内側面(内側面)には、それぞれ熱膨張耐火材fが配置されている。
また、第1補強部材242の見込壁の内周面(外側面)と右縦框本体241との間に、熱膨張耐火材fが配置されている。
【0041】
ガラス間口241a内には、スチール等の金属材料からなりパネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の第2補強部材243が配置されており、パネル体25が、第2補強部材243及び難燃性のグレイジングチャンネル249を介してガラス間口241aに保持されている。
【0042】
第1補強部材242と第2補強部材243とは、右竪框本体部241bの内周側の壁部を挟んで連結手段により連結されている。
なお、右竪框本体部241bの中空部内に配置される第1補強部材242は、略U字状の断面形状に限らず、例えば、断面略矩形のホロー構造等でもよい。
【0043】
内障子20の左竪框(召合框)23は、樹脂材料からなり、図5に示すように、中空部を有する左竪框本体部231bと左竪框本体部231bの室外側内周に形成されるガラス間口231aを有しており、外周側面が室外側に延びて外障子30の召合框34に当接もしくは近接する気密片231cが形成されている。
また、左竪框23の外周面には防火クレセント錠61が取り付けられている。
【0044】
左竪框本体部231bの中空部内には、スチール等の金属材料からなりガラス間口231aの底壁に沿う内周側の見込面部と左竪框本体部231bの室外側面に沿う見付面部と外周側の見込面部と内周側の見込み面の室内側が外周側に屈曲して形成される固定壁を有する第1補強部材232と、第1補強部材232の固定壁に固定される第2補強部材233及び断面略L字形の第4補強部材235が配置されている。
【0045】
一方、ガラス間口231a内には、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の第3補強部材234が内周側に向けて開口するように配置されており、第3補強部材234の室内外壁には熱膨張耐火材fが配置されている。そして、パネル体25が、第3補強部材234及び難燃性のグレイジングチャンネル239を介してガラス間口231aに保持されている。
【0046】
第1補強部材232と第3補強部材234は、左竪框本体部231bの内周側の壁及び熱膨張耐火材fを間に挟んで連結手段により連結されている。また、第1補強部材232と第2補強部材233及び第4補強部材235の適宜部位に熱膨張耐火材fが配置されている。
なお、内障子20に使用されるパネル体25は、耐火性、耐熱性を有するガラス、例えば、結晶化ガラスにより形成されている。
【0047】
(外障子の構成)
以下に、外障子30について説明するが、外障子30と内障子20とは、上下枠および戸先框について基本的にその構成を同じくするものであるから、ここでは、特に外障子30の召合框34について説明し、内障子20の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0048】
外障子30の右竪框(召合框)34は、樹脂材料からなり、図5に示すように、中空部を有する右竪框本体部341bと右竪框本体部341bの内周側に形成されるガラス間口341aを有しており、外周側面が室内側に延びて内障子20の召合框23に当接もしくは近接する気密片341cが形成されている。
また、右竪框(召合框)34の室内側面に防火クレセント受け62が設けられている。
【0049】
右竪框(召合框)34の右竪框本体部341bの中空部内には、スチール等の金属材料からなりガラス間口341aの底壁に沿う見込面部と右竪框本体部341bの室内側面に沿う見付面部と外周側の見込面部を有する第1補強部材342が配置されている。
【0050】
ガラス間口341a内には、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の第2補強部材343が内周側に向けて開口するように配置されており、第2補強部材343の室内外壁には熱膨張耐火材が配置されている。そして、パネル体35が、第2補強部材343及び難燃性のグレイジングチャンネル349を介してガラス間口341aに保持されている。
【0051】
第1補強部材342と第2補強部材343は、右竪框本体部341bの内周側の壁及び熱膨張耐火材を間に挟んで連結手段により連結されている。また、第1補強部材342の見付面部の室外側面(内側面)には、火災時の加熱により膨張する熱膨張耐火材fが配置されている。
【0052】
本実施形態の建具の下枠と下框の間の防火構造について、さらに詳細に説明する。
図6に示すように、枠体10を構成する下枠12は、樹脂材料からなる下枠本体121の内周に金属材料からなる下レール部材122が配置されて形成されており、内障子20は、下レール部材122の下内レール122b上を移動自在に載置されている。
【0053】
一方、内障子20の下框22は、樹脂材料によりなる下框本体221に金属材料からなる複数の補強材が内装されて形成されている。
下框本体221は、室内側内周に中空壁からなる内ガラス間口壁221dを有し、室外側内周に中空壁からなる外ガラス間口壁221eを有しており、両ガラス間口壁221d,221eによって、ガラス間口221aが形成されている。
【0054】
ガラス間口221aには底壁と室内外側壁を有する断面略U字状の第4補強部材227が長手方向にわたって配置されており、第4補強部材227の内周には、難燃性のグレイジングチャンネル229が配置されている。第4補強部材227の底壁の上面には熱膨張耐火材fが設けられている。
【0055】
下框本体221は、ガラス間口221aの外周側に中空部221bを有しており、中空部221b内には、中空形状を有する第1補強芯材222が長手方向にわたって配置され、第1補強芯材222の中空部内には第1補強部材224が配置されている。
【0056】
また、下框本体221は、中空部221bのさらに外周側に、室内側から下方に延びる室内側壁部221fを有し、室外側から下方に延びる室外側壁部221gを有しており、室内側壁部221fと室外側壁部221gとによって、開口部221cが形成されている。
【0057】
下框本体221は、開口部221c内であって、両端近傍に配置された戸車92間に第2補強芯材223が長手方向にわたって配置されている。第2補強芯材223は、中空部223aと、中空部223aの室内側から下方に延びる室内側壁部223bと、中空部223aの室外側から下方に延びる室外側壁部223cを有し、室内側壁部223bと室外側壁部223cとによって下方開口部223dが形成されている。
【0058】
なお、第2補強芯材223は、両端部近傍の中空部223aの底壁が切り欠かれており、切り欠き部分に戸車92が配置されている。
【0059】
第2補強芯材223の中空部223aには第2補強部材225が配置され、下方開口部223dには第3補強部材226が配置されており、第2補強部材225と第3補強部材226は連結手段によって連結されている。
【0060】
第2補強芯材223の下方開口部223dに配置された第3補強部材226は、上方の見込壁226aと、下方の見込壁226bと、上下の見込壁226a,226bを連絡する室外側見付壁226cを有する断面略U字状をなしており、下框22の両端近傍に設けられた戸車92間に配置されている。
そして、第3補強部材226は、下方の見込壁226bの上面と室外側見付壁226cの室内側面に熱膨張耐火材f1,f1が配置されている。
【0061】
第3補強部材226は、下方の見込壁226bが上方の見込壁226aよりも見込幅寸法が小さく形成されており、下方の見込壁226bの室内側端と第2補強芯材223の内側面との間に隙間sが形成されている。
【0062】
そして、第3補強部材226は、第3補強部材226の下面が第2補強芯材223の室内側壁部223bと室外側壁部223cの下端よりも上方位置となるように配置され、下方の見込壁226bの下面が下内レール122bと対向するように第2補強芯材223の下方開口部223dに配置されている。
そのため、下框22の下端には、第2補強芯材223の室内側壁部223b及び室外側壁部223cと、第3補強部材226の下方の見込壁226bによって下内レール122bを囲む凹部が形成されている。
【0063】
そして、火災時には、図7に示すように、第3補強部材226の下方の見込壁226bの上面と室外側見付壁226cの室内側面に配置された熱膨張耐火材f1,f1が、例えば領域S1のように膨張して、下方の見込壁226bの室内側端と第2補強芯材223の内側面との間に形成された隙間sから下框22の下端の凹部に浸入して、下框22と下内レール122bとの隙間を閉塞する。
【0064】
以上のように、第1の実施形態の建具は、下框の戸車間に、上方の見込壁と下方の見込壁と上下の見込壁を連絡する見付壁を有する断面略U字状の補強部材を、下方の見込壁が下レールに対向するように配置しているので、火災時に合成樹脂製の戸車が溶融した場合であっても、補強部材の下方の見込壁が下レールに載置されて障子が脱落することを防止することができる。
【0065】
また、補強部材の下方の見込壁を上方の見込壁よりも寸法を短く形成するとともに、補強部の断面略U字状の内側に熱膨張耐火材f1を配置することによって、火災時に熱によって膨張した熱膨張耐火材を下方の見込壁と下框の内周面との間の隙間sからあふれさせて、下框と下レールとの間隙を熱膨張耐火材で塞ぐことができ、室内外の連通を抑制することができる。
【0066】
そして、通常時には、下框に設けられた熱膨張耐火材は、下框に配置される断面略U字状の補強部材の内周側に納められ、下框の下面に露出しないので、外気や紫外線等による熱膨張耐火材の劣化を抑制することができ、外れを防ぐことができる。
【0067】
-他の実施形態-
他の実施形態の建具の下枠と下框の間の防火構造について、説明する。
なお、上記第1の実施形態の建具と同様の構成については、その説明を一部省略する。
【0068】
他の実施形態の建具は、図8に示すように、熱膨張耐火材がf2,f3が、下框22の第2補強芯材223(323)の下端内側面に設けられている。
なお、説明のため、図8における内障子20の下框22は、第3の補強部材226が存在しない領域(図10におけるx-x断面)を示し、図8における外障子30の下框32は、第3の補強部材326が存在する領域(図10におけるy-y断面)示しており、戸車92は省略している。
【0069】
そして、火災時には、図9に示すように、第2補強芯材223(323)の下端内側面に配置された熱膨張耐火材f2,f3が、例えば領域S2,S3のように膨張して、下框22,32と下内レール122b、下外レール122cとの隙間を閉塞することができる。
【0070】
このとき、第3の補強部材226(326)が存在しない領域に配置された熱膨張耐火材f2,f2は、図10(b)に示すように、膨張領域S2が戸車92の下方を包み込むように広がって熱により溶融した戸車92を受け止める。
【0071】
また、第3の補強部材226(326)が存在する領域に配置された熱膨張耐火材f3、f3は、図10(b)に示すように、膨張が第3の補強部材226(326)によって規制され、膨張領域S3において密に充満する。
【0072】
以上のように、他の実施形態の建具は、下框の戸車間に、下方の見込壁が下レールに対向するように補強部材が配置され、補強部材の下方位置に下框の長手方向全長にわたって熱膨張耐火材が配置されているので、補強部材が配置された領域では、火災時に熱膨張耐火材の膨張が補強部材の下方の見込壁によって規制され、熱膨張耐火材は、下框と下枠との間で密に充満して、下框22,32と下枠12との間を確実に閉鎖することができる。
【0073】
また、補強部材が配置されていない領域では、熱膨張耐火材が熱により溶融した戸車を下方から包み込むように膨張し、溶融した樹脂材料が下框の下方から漏れ出して引火するのを抑制することができる。
すなわち、下框の長手方向にわたって設けた一つの熱膨張耐火材によって、戸車が存在する領域と存在しない領域とで、各領域に適した異なる密度の膨張領域を形成することができ、防火性能を高めることができる。
【0074】
なお、本実施形態は、室外側に既設のサッシが配置された建物開口部の室内側に配置される内窓として説明されているが、単独で建物開口部に配置されるサッシに対して採用することもできる。
【0075】
さらに、本発明において、内障子及び外障子の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、如何なる障子も用いることができる。
また、障子の框材を補強する補強部材や補強芯材の断面形状は、実施形態に示す断面形状に限定されるものではなく、補強部材や補強芯材に配置される熱膨張耐火材の位置も限定されるものではない。
【0076】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
10 :枠体
11 :上枠
12 :下枠
122 :下レール部材
122b :下内レール
122c :下外レール
13 :左竪枠
14 :右竪枠
20 :内障子
21 :上框
22 :下框
92 :戸車
221 :下框本体
221a :ガラス間口
221b :中空部
221c :開口部
221d :内ガラス間口壁
221e :外ガラス間口壁
221f :室内側壁部
221g :室外側壁部
222 :第1補強芯材
223 :第2補強芯材
224 :第1補強部材
225 :第2補強部材
226 :第3補強部材
226a :上方の見込壁
226b :下方の見込壁
226c :室外側見付壁
S1―S3:膨張領域
f1-f3:熱膨張耐火材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10