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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/60 20060101AFI20221117BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20221117BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
E05C17/60 B
E05B65/08 X
E06B3/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019017348
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020125596
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 夏依
(72)【発明者】
【氏名】金森 英晃
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-104746(JP,A)
【文献】特開平09-137655(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012656(JP,U)
【文献】特開2002-129819(JP,A)
【文献】特開2002-13321(JP,A)
【文献】特開2018-104918(JP,A)
【文献】実公昭58-15568(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/08
E05C 7/04
E05C 17/60
E05C 21/00-21/02
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド開閉自在に配置された障子の框と、開口制限ストッパーと、スペーサーを備え、開口制限ストッパーは、框の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられたケースと、ケースに支持され障子の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択自在であるストッパー部材を有し、スペーサーは、框の内部に配置されており、框の室外側内壁とケースの室外側部分との間を埋めるものであることを特徴とする建具。
【請求項2】
スライド開閉自在に配置された障子の框と、開口制限ストッパーとを備え、開口制限ストッパーは、框の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられたケースと、ケースに支持され障子の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択可能であるストッパー部材を有し、ケースの室外側には底壁が取替自在に設けられており、底壁は室内外方向の厚さを変更することで框の室外側内壁に当接することを特徴とする建具。
【請求項3】
スライド開閉自在に配置された障子の框と、開口制限ストッパーとを備え、開口制限ストッパーは、框の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられたケースと、ケースに支持され障子の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択可能であるストッパー部材と、ケースに取替自在に設けられた底壁を有し、底壁は、框の室外側内壁とケースの室外側部分との間を埋めるものであり、框の室外側内壁に当接することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図8に示される、ストッパーの引戸開閉方向における他方側端部をケース内に没することにより一方側端部がケースから室内側に突出したときに、一方側端部が障子当接部になるサブロック装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4829512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のサブロック装置では、下框の室外側内壁とサブロック装置のケースの室外側部分との間に空間があるため、例えば病院や老人ホーム等において室内側からストッパーを没入させようとする無理な力が加わった場合に、ストッパーに押されたケースが室外側に撓み、ストッパーの一方側端部(障子当接部)がケース内に没入してしまい障子が全開状態となる恐れがあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、ストッパーに無理な力が加わってもケースが変形しない建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の建具は、スライド開閉自在に配置された障子の框と、開口制限ストッパーと、スペーサーを備え、開口制限ストッパーは、框の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられたケースと、ケースに支持され障子の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択自在であるストッパー部材を有し、スペーサーは、框の内部に配置されており、框の室外側内壁とケースの室外側部分との間を埋めるものであることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の建具は、スライド開閉自在に配置された障子の框と、開口制限ストッパーとを備え、開口制限ストッパーは、框の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられたケースと、ケースに支持され障子の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択可能であるストッパー部材を有し、ケースの室外側には底壁が取替自在に設けられており、底壁は室内外方向の厚さを変更することで框の室外側内壁に当接することを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の建具は、スライド開閉自在に配置された障子の框と、開口制限ストッパーとを備え、開口制限ストッパーは、框の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられたケースと、ケースに支持され障子の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択可能であるストッパー部材と、ケースに取替自在に設けられた底壁を有し、底壁は、框の室外側内壁とケースの室外側部分との間を埋めるものであり、框の室外側内壁に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1の建具によれば、框の室外側内壁とケースの室外側部分との間が、框の内部に配置されたスペーサーによって埋められているので、ストッパー部材が室内側から押された際にもケースが変形することがなく、安全性に優れる。
【0010】
本発明のうち請求項2の建具によれば、ケースの室外側には底壁が取替自在に設けられており、底壁は室内外方向の厚さを変更することで框の室外側壁内壁に当接するので、ストッパー部材が室内側から押された際にもケースが変形することがなく、安全性に優れる。
【0011】
本発明のうち請求項3の建具によれば、底壁は、框の室外側内壁とケースの室外側部分との間を埋めるものであって、框の室外側内壁に当接するので、ストッパー部材が室内側から押された際にもケースが変形することがなく、安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は図2のA-A断面図であり、(b)は第一実施形態例の開口制限ストッパーとスペーサーの斜視図である。
図2】室内側から見た第一実施形態例の建具の、(a)は障子の閉状態、(b)はストッパー部材時の概略図である。
図3】第一実施形態例の、ストッパー部材の突出状態の開口制限ストッパーの部品図である。
図4】第一実施形態例の開口制限ストッパーの、(a)ストッパー部材の収納状態、(b)ストッパー部材の突出状態の断面図である。
図5】第一実施形態例の建具を戸先側から見た縦断面図である。
図6】第二実施形態例の、(a)は建具を戸先側から見た縦断面図であり、(b)は開口制限ストッパーの斜視図である。
図7】第二実施形態例の開口制限ストッパーの、(a)ストッパー部材の収納状態、(b)ストッパー部材の突出状態の断面図である。
図8】従来のサブロック装置を装着した引戸サッシの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の建具の使用場所は特に限定されるものではないが、ここでは引違い窓として用いられる場合を示す。図1は(a)は図2のA-A断面図であり、(b)は第一実施形態例の開口制限ストッパーとスペーサーの斜視図である。図2は第一実施形態例の建具の、(a)障子の閉状態、(b)ストッパー部材の突出時の障子の最大開口状態を示す概略図である。図3は第一実施形態例の、ストッパー部材の突出状態の開口制限ストッパーの部品図である。図4は第一実施形態例の開口制限ストッパーの、(a)ストッパー部材の収納状態、(b)ストッパー部材の突出状態の断面図である。図5は第一実施形態例における、下框の見込方向幅の異なる建具をそれぞれ戸先側から見た縦断面図である。図6は第二実施形態例の、(a)は建具を戸先側から見た縦断面図であり、(b)は開口制限ストッパーの斜視図である。図7は第二実施形態例の開口制限ストッパーの、(a)ストッパー部材の収納状態、(b)ストッパー部材の突出状態の断面図である。なお、以下の説明において室内側及び室外側、戸先側及び召合せ側とは、図1図3乃至図7に示した通りとする。
【0014】
まず、本発明の第一実施形態に係る建具の構成について、図1乃至図5に基づき説明する。第一実施形態の建具は、図2に示すように、上枠11、下枠12、及び左右の縦枠13,13を四周組みにしてなる枠体に対して、上框、下框及び左右の縦框21,22を四周組みにし、内周にガラス等のパネル体を装着してなる内障子2と、上框31,下框(框)32及び左右の縦框33,33を四周組みにし、内周にガラス等のパネル体34を装着してなる外障子(障子)3とが引違い自在に配置されてなる引違い戸として構成されている。下框32の室内側壁32aには略長方形の貫通孔32bが設けられており、外障子3の開口を制限するための開口制限ストッパー4が、貫通孔32bから下框32の内部へと挿入された状態で取り付けられている。開口制限ストッパー4の室外側部分には、下框32の室外側内壁32cとケース41の底壁41b室外側部分との間を埋めるためのスペーサー5が取り付けられている。
【0015】
開口制限ストッパー4は、図1乃至図3に示すように、下框32の内部に室外側部分が呑み込まれて取り付けられているケース41と、ケース41に支持され、外障子3の開口を制限する突出状態と障子の開口に干渉しない収納状態とを選択自在であるストッパー部材42から構成されている。ケース41は、略直方体状の中空形状であり、室外側には略平板状の底壁41bを有し、室内側の壁の周縁部にはフランジ部41aを有する。底壁41bの戸先側には、戸先側へ突出した係合部41cが設けられている。また、底壁41bはケース41に対して着脱可能に取り付けられており、その取り付け方法は、ケース41の戸先側壁及び召合せ側壁にそれぞれ設けられた突起状の係合部41k,41k及び41iに、底壁41bの戸先側及び召合せ側に設けられた孔状の被係合部41j,41j及び被係合部41hが係合することによる。フランジ部41aは、寸法が貫通孔32bよりも大きく、室内側壁32aに室内側から当接している。ケース41の室内側壁の中央部には、ストッパー部材42が室内側へと突没自在に設けられている。ストッパー部材42は召し合せ側に、突出状態において内障子2の縦框21の見込面に戸先側から当接する当接面42aを有する。これにより、ストッパー部材42の突出状態では、図2(b)に示すように当接面42aが縦框21に当接した状態が障子の最大開口状態となる。なお、ストッパー部材42の突没操作は、図4に示すように、フランジ部41aに設けられたキーシリンダー43に室内側からキー44を挿入し回動させることによってなされる。ケース41の上面及び下面には、隙間41fを開けて設けられた突起状の係合部41d,41eと、突起状の当接部41gを有する。
【0016】
底壁41bの室外側部分には、断面視略楔状のスペーサー5が取り付けられている。スペーサー5は、下框32の内部に配置されており、当接部53において室外側内壁32cに当接することで、下框32の室外側内壁32cとケース41の底壁41bの室外側部分との間を埋めるものである。スペーサー5は室内側の戸先側に、ケース41の係合部41cにスナップフィット係合する被係合部51を有している。また、スペーサー5の室内側上部及び下部には、ケース41の当接部41gに室外側から当接する被当接部54が設けられている。さらに、スペーサー5の室内側上部及び下部には、ケース41の係合部41d,41e間に召合せ側から挿入された状態で係合する被係合部52が設けられていて、被係合部52の室内外方向の寸法は、係合部41d,41e間の隙間41fよりも小さい。これにより、被係合部52は係合部41d,41eに室内外方向に遊びを持って係合している。上記の被係合部51と,被当接部54と,被係合部52の計三箇所によって、スペーサー5はケース41に対して室内外方向に遊びを設けて取り付けられている。
【0017】
次に、本発明の第一実施形態の建具の構成による作用及び効果について説明する。第一実施形態の建具によれば、下框32の室外側内壁32cとケース41の室外側部分との間が下框32の内部に配置されたスペーサー5によって埋められているので、ストッパー部材42が室内側から押された際にもケース41が変形することがなく、安全性に優れる。
【0018】
さらに、ストッパー部材42の突没操作は、キーシリンダー43に室内側からキー44を挿入し回動させることによってなされるので、キー44を持たない不特定多数の者によってストッパー部材42が突出状態から収納状態にされることがないため、安全性に優れる。
【0019】
また、スペーサー5はケース41の底壁41bに取替自在に取り付けられているので、図5に示すように下框32の室内外方向の寸法に応じて、室内外方向の寸法の異なるスペーサー5に容易に付け替えることができ、施工性及び製造時の省コスト性に優れる。
【0020】
さらに、スペーサー5はケース41に対して室内外方向に遊びを設けて取り付けられているので、下框32の室内外方向の寸法にわずかな違いがある場合にも取り付け可能であり、スペーサー5の被係合部51,被当接部54及び被係合部52やケース41の係合部41c,係合部41d,41e及び当接部41gが破損することを防げる。
【0021】
次いで、本発明の第二実施形態に係る建具の構成について、図6及び図7に基づき説明する。なお、第二実施形態は、第一実施形態と基本的な構成は同一であるが、以下の点で相違する。第二実施形態の建具はスペーサーを有せず、底壁6は、断面視略楔状の当接部61を有していて、当接部61において室外側内壁32cに当接することで、下框32の室外側内壁32cとケース41の底壁41b室外側部分との間を埋めるものである。また、底壁6はケース41に対して着脱可能に取り付けられており、その取付方法は、ケース41の戸先側壁及び召合せ側壁にそれぞれ設けられた突起状の係合部41k,41k及び41iに、底壁6の戸先側及び召合せ側に設けられた孔状の被係合部63,63及び被係合部62がそれぞれ係合することによる。
【0022】
次に、本発明の第二実施形態の建具の構成による作用及び効果について説明する。第二実施形態の建具によれば、ケース41の室外側に底壁6が取替自在に設けられており、底壁6は室内外方向の厚さを変更することで下框32の室外側内壁32cに当接していることで、ストッパー部材42が室内側から押された際にもケース41が変形することがなく、安全性に優れる。
【0023】
さらに、ストッパー部材42の突没操作は、キーシリンダー43に室内側からキー44を挿入し回動させることによってなされるので、キー44を持たない不特定多数の者によってストッパー部材42が突出状態から収納状態にされることがないため、安全性に優れる。
【0024】
また、底壁6はケース41の底壁41bに取替自在に取り付けられているので、下框32の室内外方向の寸法に応じて、当接部61の室内外方向の厚みの異なる底壁6に容易に付け替えることができ、施工性及び製造時の省コスト性に優れる。
【0025】
本発明は、上記の実施形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形可能であり、建具の各部の形状、寸法等は適宜変更できる。また、建具は引き違い窓に限らず、上げ下げ窓であってもよい。また、開口制限ストッパーとしての用途に限らず、サブロックや換気ストッパーとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0026】
3 外障子(障子)
32 下框(框)
32c 室外側内壁
4 開口制限ストッパー
41 ケース
41b,6 底壁
42 ストッパー部材
5 スペーサー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8