(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20221117BHJP
F24F 1/0358 20190101ALI20221117BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F1/0358
B01D53/26 220
(21)【出願番号】P 2019023794
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
(72)【発明者】
【氏名】山下 光義
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-229645(JP,A)
【文献】特開2007-014874(JP,A)
【文献】特開2018-146172(JP,A)
【文献】特開2007-260524(JP,A)
【文献】特開2016-087585(JP,A)
【文献】特開2009-226288(JP,A)
【文献】実開昭59-180124(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26- 53/28
F24F 1/0083
F24F 1/0358
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、
空気を除湿する吸湿部と、
前記加熱部から熱を供給されることで、前記吸湿部から放出される空気よりも湿度が高い空気を放出する放湿部と、
冷媒の熱を放熱する第1放熱部及び第2放熱部と、
前記第1放熱部及び前記第2放熱部から送られてくる前記冷媒により、空気を冷却する第1冷却部及び第2冷却部と
を備え、
前記吸湿部、前記第1冷却部、及び前記第1放熱部が、前記吸湿部、前記第1冷却部、及び前記第1放熱部の順番に配置され、
前記加熱部、前記放湿部、前記第2冷却部、及び前記第2放熱部が、前記加熱部、前記
放湿部、前記第2冷却部、及び前記第2放熱部の順番に配置される、除湿機。
【請求項2】
前記第1冷却部と前記第2冷却部とが、1つの部材で構成される、請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記第1放熱部と前記第2放熱部とが、1つの部材で構成される、請求項1又は請求項2に記載の除湿機。
【請求項4】
空気を送風する送風部をさらに備え、
前記送風部は、
前記吸湿部、前記第1冷却部、及び前記第1放熱部の順番に空気が流れる第1風路と、
前記加熱部、前記吸湿部、前記第2冷却部、及び前記第2放熱部の順番に空気が流れる第2風路と
を生成する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の除湿機。
【請求項5】
前記第1放熱部と前記第2放熱部とが、前記送風部の下流に配置される、請求項4に記載の除湿機。
【請求項6】
前記放湿部から放出される空気を前記第1冷却部と前記第2冷却部とに案内する案内部をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿機能を備えた除湿装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の除湿装置は、送風手段と、吸込口と、吸湿部と、吹出口と、放湿部と、吸熱器と、放熱器と、第1送風路と、第2送風路とを備える。第1送風路は、送風手段によって、吸込口、吸湿部、及び吹出口の順番に空気を送る。第2送風路は、送風手段によって、吸込口、放湿部、吸熱器、放熱器、及び吹出口の順番に空気を送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の除湿装置は、第1送風路を流れる風を吸熱器(冷却部)と、放熱器(放熱部)とに通さない。従って、第1送風路を流れる風によっては放熱器が冷却されない。その結果、第2送風路を流れる風のみによっては放熱器の冷却が不十分な場合、冷凍サイクルによる吸熱器の冷却効率が低下するおそれがある。
【0005】
冷凍サイクルによる吸熱器の冷却効率が低下すると、吸熱器による空気の冷却能力が低下する。その結果、吸熱器が空気中の水蒸気を十分に結露できず、除湿装置の除湿能力が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、除湿能力が低下することを抑制できる除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1局面によれば、除湿機は、加熱部と、吸湿部と、放湿部と、第1冷却部と、第2冷却部と、第1放熱部と、第2放熱部とを備える。吸湿部は、空気を除湿する。放湿部は、前記加熱部から熱を供給されることで、前記吸湿部から放出される空気よりも湿度が高い空気を放出する。第1冷却部及び第2冷却部は、空気を冷やす。第1放熱部は、前記第1冷却部を冷やす。第2放熱部は、前記第2冷却部を冷やす。前記吸湿部、前記第1冷却部、及び前記第1放熱部が、前記吸湿部、前記第1冷却部、及び前記第1放熱部の順番に配置される。前記加熱部、前記放湿部、前記第2冷却部、及び前記第2放熱部が、前記加熱部、前記吸湿部、前記第2冷却部、及び前記第2放熱部の順番に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の除湿機によれば、除湿機の除湿能力が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る除湿機を前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る除湿機を後方から見た斜視図である。
【
図4】第1風路を通じた空気の流れを示す図である。
【
図5】第2風路を通じた空気の流れを示す図である。
【
図8】第1実施形態の除湿機の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
[第1実施形態]
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る除湿機100について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る除湿機100を前方から見た斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る除湿機100を後方から見た斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、除湿機100は、ケーシング1と、カバー部材2aと、排水タンク4と、操作部5とを備える。
【0013】
ケーシング1は、中空の部材である。ケーシング1には、吹出口2と、吸込口3とが形成される。
【0014】
吹出口2は、ケーシング1の前面に形成される。吹出口2は、ケーシング1の内部と外部とを連通する。吹出口2は、ケーシング1の内部の空気をケーシング1の外部に放出する。吹出口2は、ケーシング1に形成されていればよく、ケーシング1の前面以外の場所に位置していてもよい。
【0015】
カバー部材2aは、略板状の部材である。
図1において、カバー部材2aは、吹出口2を覆っている。カバー部材2aは、ケーシング1に回転可能に取り付けられる。カバー部材2aは、回転角度を変更することで、吹出口2から放出される空気の流れる方向を、カバー部材2aの回転角度に応じた方向に規定する風向板として機能する。
【0016】
吸込口3は、ケーシング1の後面に形成される(
図2参照)。吸込口3は、ケーシング1の内部と外部とを連通する。吸込口3は、ケーシング1の外部の空気をケーシング1の内部に流入させる。吸込口3は、ケーシング1に形成されていればよく、ケーシング1の後面以外の場所に位置していてもよい。
【0017】
排水タンク4は、ケーシング1に着脱自在に格納される。排水タンク4は、除湿機100によって生成された水を貯留する。
【0018】
操作部5は、ケーシング1の上部に設けられる。操作部5は、外部からの指示を受け付ける。
【0019】
次に、
図3を参照して、除湿機100についてさらに説明する。
図3は、ケーシング1の内部を示す模式図である。
【0020】
図3において、上下方向は鉛直方向に対して平行な方向である。前後方向は、水平方向に対して平行な方向である。除湿機100は、
図3に示すような姿勢に設置された状態で使用される。
【0021】
図3に示すように、除湿機100は、ヒータ6と、除湿ロータ7と、冷却部8と、放熱部9と、集水部10と、送風部11と、圧縮部12と、膨張部(不図示)とをさらに備える。
【0022】
ヒータ6、除湿ロータ7、冷却部8、放熱部9、送風部11、及び圧縮部12は、ケーシング1の内部に配置される。
【0023】
ヒータ6は、発熱することで空気を加熱する。ヒータ6は、本発明の加熱部の一例である。ヒータ6は、吸込口3と対向する。ヒータ6は、吸込口3の前方に配置される。
【0024】
除湿ロータ7は、ゼオライト71と、ロータ72と、回転軸73とを含む。ロータ72は、略円盤状の部材である。ロータ72には、ロータ72の周方向に沿って複数のゼオライト71が設けられる。ロータ72は、回転軸73を中心に回転する。
【0025】
除湿ロータ7は、吸湿部7aと、放湿部7bとを有する。
【0026】
吸湿部7aは、ロータ72のうちの上側部分である。吸湿部7aは、吸込口3と対向する。吸湿部7aは、吸込口3の前方に配置される。吸湿部7aは、ヒータ6と対向しない。吸湿部7aには、ヒータ6から熱が供給されない。熱が供給されることは、ヒータ6により加熱された空気が流れてくることを示す。
【0027】
放湿部7bは、ロータ72のうちの下側部分である。放湿部7bは、吸湿部7aの下方に位置する。放湿部7bは、ヒータ6と対向する。放湿部7bは、ヒータ6の前方に配置される。放湿部7bには、ヒータ6から熱が供給される。
【0028】
ゼオライト71は、ロータ72と共に回転することで、吸湿部7aに位置する状態と、放湿部7bに位置する状態とを交互に繰り返す。
【0029】
吸湿部7aは、空気を除湿する。詳細には、吸湿部7aに位置するゼオライト71が空気を除湿する。その結果、吸湿部7aから除湿された空気が放出される。
【0030】
放湿部7bは、吸湿部7aで除湿された水分を含む空気(高湿度の空気)を放出する。詳細には、放湿部7bに位置するゼオライト71に対してヒータ6から熱が供給されることで、ゼオライト71が吸湿部7aに位置する際に除湿した水分が放湿部7bで気化される。その結果、放湿部7bから高湿度の空気が放出される。
【0031】
圧縮部12は、冷媒を圧送する。圧縮部12は、コンプレッサを含む。膨張部は、冷媒を減圧する。膨張部は、例えば、キャピラリーチューブを含む。ケーシング1の内部には、冷凍サイクルが形成される。冷凍サイクルは、圧縮部12と、放熱部9と、膨張部と、冷却部8とを環状に連結した循環路を形成し、圧縮部12により循環路を通じて冷媒を循環させるサイクルである。冷凍サイクルにおいて、圧縮部12が動作することにより冷媒が高温高圧化される。高温高圧化された冷媒は、放熱部9へ送られる。放熱部9は、放熱部9を通過する空気中に冷媒の熱を放熱することで、冷媒を冷やす。放熱部9を通過した冷媒は、膨張部へ送られる。膨張部は、放熱部9により冷やされた冷媒を減圧することで、低温低圧化された冷媒を生成する。膨張部を通過した冷媒は、冷却部8へ送られる。冷却部8は、膨張部から低温低圧化された冷媒を供給されることで冷却される。冷却部8を通過した冷媒は、圧縮部12へ送られる。冷凍サイクルにおいて、冷媒が、圧縮部12、放熱部9、膨張、及び冷却部8の順番に循環することで、冷却部8の温度上昇が抑制される。なお、冷凍サイクルにおいて、放熱部9には、圧縮部12により高温高圧化された冷媒が送られるので、放熱部9の温度が上昇する。
【0032】
冷却部8は、空気を冷やす。冷却部8は、エバポレータを含む。冷却部8は、第1冷却部8aと、第2冷却部8bとを含む。第1冷却部8aは、吸湿部7aの前方に配置される。第2冷却部8bは、放湿部7bの前方に配置される。第2冷却部8bは、第1冷却部8aの下方に位置する。
【0033】
冷却部8は、空気を冷やすことで、空気中の水蒸気を結露させる。その結果、空気が除湿されると共に、水が生成される。
【0034】
第1実施形態では、放湿部7bから高湿度の空気が放出される。放湿部7bから放出された空気は、第2冷却部8bに供給される。従って、第1冷却部8aと第2冷却部8bとのうち、主に第2冷却部8bが結露を生成して除湿を行う。
【0035】
放熱部9は、冷凍サイクルにおいて、冷媒を冷やすことによって、冷却部8を冷やす。放熱部9は、コンデンサを含む。放熱部9は、第1放熱部9aと、第2放熱部9bとを含む。第1放熱部9aは、第1冷却部8aの前方に配置される。第2放熱部9bは、第2冷却部8bの前方に配置される。第2放熱部9bは、第1放熱部9aの下方に位置する。
【0036】
集水部10は、冷却部8で生成された水を回収する。集水部10は、冷却部8の下方に配置される。集水部10には冷却部8で生成された水が滴下する。
【0037】
集水部10は、例えば、漏斗状に形成され、供給された水を排水タンク4へ案内する。その結果、排水タンク4に水が貯留される。
【0038】
送風部11は、空気を送風する。送風部11は、ファンを含む。送風部11は、放熱部9の前方に配置される。
【0039】
送風部11は、第1風路F1と、第2風路F2とを生成する。第1風路F1と、第2風路F2とは、ケーシング1の内部に形成される。吸込口3を介してケーシング1の内部に流入した空気は、第1風路F1又は第2風路F2を流れた後、吹出口2からケーシング1の外部に排出される。
【0040】
第1風路F1は、吸湿部7a、第1冷却部8a、及び第1放熱部9aに亘って形成される。第1風路F1では、吸湿部7a、第1冷却部8a、及び第1放熱部9aの順番に空気が流れる。
【0041】
第2風路F2は、ヒータ6、放湿部7b、第2冷却部8b、及び第2放熱部9bに亘って形成される。第2風路F2では、ヒータ6、放湿部7b、第2冷却部8b、及び第2放熱部9bの順番に空気が流れる。
【0042】
除湿機100は、記憶部13と、制御部14とをさらに備える。
【0043】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。主記憶装置及び/又は補助記憶装置は、制御部14によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0044】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部14は、除湿機100の各要素を制御する。
【0045】
次に、
図3~
図5を参照して、除湿機100の動作について説明する。
図4は、第1風路F1を通じた空気の流れを示す図である。
【0046】
図3及び
図4に示すように、ケーシング1の外部の空気は、吸込口3を介してケーシング1の内部に流入した後、吸湿部7a、第1冷却部8a、及び第1放熱部9aの順番に空気が流れて、吹出口2からケーシング1の外部に排出される。
【0047】
図4は、第1空気A1と、第2空気A2と、第3空気A3とを示す。第1空気A1は、第1風路F1を流れる空気のうち、吸湿部7aに流入する直前の空気である。第2空気A2は、第1風路F1を流れる空気のうち、吸湿部7aと第1冷却部8aとの間に位置する空気である。第3空気A3は、第1風路F1を流れる空気のうち、第1冷却部8aと第1放熱部9aとの間に位置する空気である。
【0048】
第2空気A2の湿度は、第1空気A1の湿度よりも低い(第2空気A2の湿度<第1空気A1の湿度)。理由は、第1空気A1は、吸湿部7aに流入すると、吸湿部7aにより除湿されるからである。
【0049】
第3空気A3の温度は、第2空気A2の温度よりも低い(第3空気A3の温度<第2空気A2の温度)。理由は、第2空気A2は、第1冷却部8aに流入すると、第1冷却部8aにより冷却されるからである。
【0050】
第2空気A2は、第1冷却部8aにより冷却されて第3空気A3となった後、第1放熱部9aに供給される。従って、第3空気A3により放熱部9を冷却することができるので、放熱部9の温度上昇を抑制できる。その結果、冷凍サイクルにおいて、放熱部9により冷媒を効果的に冷やすことができるので、冷凍サイクルによる冷却部8の冷却効率を向上させることができる。
【0051】
また、冷凍サイクルによる冷却部8の冷却効率が向上することで、冷却部8の冷えた状態を効果的に確保できる。冷却部8の冷えた状態が確保されると、冷却部8による空気の冷却能力を向上させることができる。従って、冷却部8は、空気中の水蒸気を効果的に結露させてより多くの水を生成することができる。その結果、除湿機100の除湿能力が低下することを抑制できる。
【0052】
図5は、第2風路F2を通じた空気の流れを示す図である。
【0053】
図5は、第4空気A4と、第5空気A5とを示す。第4空気A4は、第2風路F2を流れる空気のうち、放湿部7bと第2冷却部8bとの間に位置する空気である。第5空気A5は、第2風路F2を流れる空気のうち、第2冷却部8bと第2放熱部9bとの間に位置する空気である。
【0054】
図3~
図5に示すように、第4空気A4の温度は、第2空気A2の温度よりも高い(第4空気A4の温度>第2空気A2の温度)。理由は、第4空気A4は、ヒータ6により加熱されているのに対し、第2空気A2はヒータ6により加熱されていないからである。
【0055】
第4空気A4の湿度は、第2空気A2の湿度よりも高い(第4空気A4の湿度>第2空気A2の湿度)。理由は、第4空気A4は、放湿部7bにおいてヒータ6の熱により生成された蒸気を含むからである。
【0056】
第5空気A5の温度は、第4空気A4の温度よりも低い(第5空気A5の温度<第4空気A4の温度)。理由は、第5空気A5は、第2冷却部8bに流入すると、第2冷却部8bにより冷却されるからである。
【0057】
第5空気A5が第2放熱部9bに供給されると、第5空気A5により放熱部9が冷却される。
【0058】
以上、
図3~
図5を参照して説明したように、吸湿部7a、第1冷却部8a、及び第1放熱部9aが、吸湿部7a、第1冷却部8a、及び第1放熱部9aの順番に配置される。また、ヒータ6、放湿部7b、第2冷却部8b、及び第2放熱部9bが、ヒータ6、放湿部7b、第2冷却部8b、及び第2放熱部9bの順番に配置される。従って、第2冷却部8bから第2放熱部9bに流れ込む第5空気A5によってのみならず、第1冷却部8aから第1放熱部9aに流れ込む第3空気A3によっても、放熱部9(第1放熱部9aと第2放熱部9b)を冷却できる。その結果、冷凍サイクルにおいて放熱部9により冷媒を効果的に冷やすことができるので、冷凍サイクルによる冷却部8の冷却効率を向上させることができる。
【0059】
なお、除湿機100の雰囲気の温度が十分に高い場合は、ヒータ6がOFFの状態でも、冷却部8により結露が生じる程度に空気を冷却できる。この場合、省電力化の観点から、ヒータ6がOFFの状態で除湿機100が稼働されることがある。この場合でも、第5空気A5のみならず、第3空気A3によっても、放熱部9を冷却することができるので、冷凍サイクルによる冷却部8の冷却効率を向上できる。その結果、除湿機100の除湿能力が低下することを抑制できる。
【0060】
[第2実施形態]
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る除湿機100について説明する。
図6は、第2風路F2を吸込口3側から見た図である。
図7は、
図6のVII-VII断面図である。
【0061】
第2実施形態では、放湿部7bから放出された空気Bが、第2冷却部8bのみならず、第1冷却部8aにも供給される点が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。
【0062】
図6及び
図7に示すように、除湿機100は、案内部15をさらに備える。
【0063】
案内部15は、放湿部7bから放出された空気Bを、第1冷却部8aと第2冷却部8bとに案内する。
【0064】
放湿部7bから放出された空気Bは、吸湿部7aから放出される空気よりも高湿度の空気であり、除湿されるべき空気である。
【0065】
案内部15は、除湿ロータ7と、冷却部8との間に配置される。案内部15は、第1部材151と、複数の第2部材152と、第3部材153とを備える。
【0066】
第1部材151は、両端が開口する略筒状の部材である。第1部材151の一方の端部には、第1開口部151aが形成される(
図7参照)。第1部材151の他方の端部には、第2開口部151bが形成される(
図7参照)。第1開口部151aと、第2開口部151bとの各々は、第1部材151の内部と外部とを連通する。
【0067】
第1開口部151aは、放湿部7bに対向する。
【0068】
第2部材152は、略管状の部材である。第2部材152は、上下方向に沿って延びる。第2部材152には、第3開口部152aと、複数の第4開口部152bと、複数の第5開口部152cとが形成される(
図7参照)。第3開口部152aと、複数の第4開口部152bと、複数の第5開口部152cとの各々は、第2部材152の内部と外部とを連通する。
【0069】
第3部材153は、複数の第2部材152の上部に連結される。
【0070】
第3開口部152aは、第1部材151の第2開口部151bに連通する。
【0071】
複数の第4開口部152bの各々は、第1冷却部8aに対向する。複数の第5開口部152cの各々は、第2冷却部8bに対向する。
【0072】
放湿部7bから放出された空気Bは、第1開口部151aを介して第1部材151の内部に流入する。第1部材151の内部に流入した空気Bは、第2開口部151bと第3開口部152aとを介して第2部材152の内部に流入する。第2部材152に流入した空気Bのうちの一部は、複数の第4開口部152bから第1冷却部8aに供給される。第2部材152に流入した空気Bのうちの他の一部は、複数の第5開口部152cから第2冷却部8bに供給される。従って、放湿部7bから放出された空気Bが案内部15により第2冷却部8bのみならず、第1冷却部8aにも供給される。その結果、第2冷却部8bのみならず、第1冷却部8aも用いて空気Bを除湿できるので、空気Bの除湿を効果的に行うことができる。
【0073】
以上、図面(
図1~
図7)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)~(5))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
(1)
図8を参照して、第1実施形態の除湿機100の変形例について説明する。
図8は、第1実施形態の除湿機100の変形例を示す模式図である。
【0075】
第1実施形態では、放熱部9が送風部11の上流に配置される。しかし、本発明はこれに限定されない。
図8に示すように、放熱部9が送風部11の下流に配置されてもよい。その結果、第1実施形態の除湿機100と同様の効果を奏する。また、第2実施形態の除湿機100において、放熱部9が送風部11の下流に配置されてもよい。
【0076】
(2)第1実施形態及び第2実施形態では、第1冷却部8aと第2冷却部8bとが1つの部材で構成される。しかし、本発明はこれに限定されない。第1冷却部8aと第2冷却部8bとが、分離されており、異なる部材で構成されてもよい。
【0077】
(3)第1実施形態及び第2実施形態では、第1放熱部9aと第2放熱部9bとが1つの部材で構成される。しかし、本発明はこれに限定されない。第1放熱部9aと第2放熱部9bとが、分離されており、異なる部材で構成されてもよい。
【0078】
(4)
図3を参照して、制御部14による除湿機100の制御の第1例について説明する。
【0079】
除湿機100は、室温を計測する温度計測部(不図示)と、室内の湿度を計測する湿度計測部(不図示)とをさらに備える。制御部14は、温度計測部の計測値と、湿度計測部の計測値とに基づいて、ヒータ6のON、及びOFFを制御する。例えば、温度計測部の計測値が所定温度以上になり、かつ、湿度計測部の計測値が所定湿度以上になる場合、制御部14は、ヒータ6をOFFにした状態で、除湿機100を稼働させる。これに対し、温度計測部の計測値が所定温度よりも小さくなり、又は、湿度計測部の計測値が所定湿度よりも小さくなる場合、制御部14は、ヒータ6をONにした状態で、除湿機100を稼働させる。その結果、必要以上にヒータ6をONの状態にすることが抑制されるので、除湿機100のランニングコストを低減でき、除湿機100を効率的に稼働させることができる。所定温度は、例えば、15℃である。所定湿度は、例えば、60%である。除湿機100を稼働させることは、送風部11により第1風路F1と第2風路F2とを生成することを示す。
【0080】
(5)
図3を参照して、制御部14による除湿機100の制御の第2例について説明する。
【0081】
制御部14は、タイマとして機能する。制御部14は、ヒータ6をONにした状態で除湿機100を稼働させてから第1所定時間が経過すると、ヒータ6をOFFにした状態で除湿機100を稼働させる。この場合、吹出口2から排出される風を用いて洗濯物を乾燥させる場合、まず、ヒータ6の熱により加熱された風を洗濯物に当てることで洗濯物に含まれる水分を飛ばし、次に、ヒータ6がOFFの状態で吹出口2から排出される未加熱の風を用いて洗濯物の乾燥処理の仕上げを行う。その結果、必要以上にヒータ6をONの状態にすることが抑制されるので、除湿機100を効率的に稼働させることができる。
【0082】
また、ヒータ6をOFFにした状態で除湿機100を稼働させてから第2所定時間が経過すると、ヒータ6をONにした状態で除湿機100を稼働させてもよい。その結果、乾燥処理後の洗濯物が温かくなるように乾燥処理を行うことができる。第1所定時間、及び第2所定時間の各々は、例えば、30分である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、除湿機の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
6 ヒータ(加熱部)
7a 吸湿部
7b 放湿部
8a 第1冷却部
8b 第2冷却部
9a 第1放熱部
9b 第2放熱部
100 除湿機