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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20221117BHJP
   F24C 15/00 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
H04M11/00 301
F24C15/00 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019025025
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020136789
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】山内 一輝
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-230186(JP,A)
【文献】国際公開第2015/071952(WO,A1)
【文献】特開2006-146566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0282112(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106966245(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
F24C7/00-7/06
9/00-15/14
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H03J9/00-9/06
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器と外部端末とが通信可能に接続される通信システムであって、
機器は、接続を許可する外部端末の端末情報を登録する外部端末登録部と、外部端末登録部への外部端末の端末情報の登録を制御する登録制御部とを有し、
外部端末登録部は、機器の使用者が用いる使用者用外部端末の使用者用端末情報を登録する使用者用記憶部と、機器のメンテナンスを行う作業者が用いる作業者用外部端末の作業者用端末情報を登録する作業者用記憶部とを有しており、
登録制御部は、所定の削除条件が満たされると、外部端末登録部に登録された端末情報のうち作業者用端末情報を作業者用記憶部から削除する構成を有する通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
機器または作業者用外部端末の少なくともいずれか一方は、作業者用端末情報を作業者用記憶部から削除するための削除指示手段を有し、
登録制御部は、削除指示手段によって作業者用端末情報の削除指示がなされると、作業者用記憶部から作業者用端末情報を削除する通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
機器は、エラー履歴や運転履歴等の動作情報を記憶する動作情報記憶部を有し、
登録制御部は、作業者用外部端末と通信状態にある機器から作業者用外部端末への動作情報の送信が完了すると、作業者用記憶部から作業者用端末情報を削除する通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
登録制御部は、作業者用外部端末と非通信状態にある機器の電源が所定回数オフあるいはオンされるか、または作業者用外部端末と機器の非通信時間が所定の削除時間に達すると、作業者用記憶部から作業者用端末情報を削除する通信システム。
【請求項5】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
登録制御部は、作業者用記憶部に登録されていない未登録の作業者用外部端末の作業者用端末情報が新たに作業者用記憶部に登録されるか、使用者用記憶部に登録されていない未登録の使用者用外部端末の使用者用端末情報が新たに使用者用記憶部へ登録されるか、または機器と使用者用記憶部に登録されていた使用者用端末情報の使用者用外部端末とが通信接続されると、作業者用記憶部から登録されていた作業者用端末情報を削除する通信システム。
【請求項6】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
登録制御部は、機器のメンテナンスを開始するとき、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致するかどうかを判定し、
今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致する場合、作業者用記憶部から登録されていた前回の作業者用端末情報を削除せず、
今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致しない場合、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されると、作業者用記憶部から登録されていた前回の作業者用端末情報を削除する通信システム。
【請求項7】
機器と外部端末とが通信可能に接続される通信システムであって、
機器は、接続を許可する外部端末の端末情報を登録する外部端末登録部と、外部端末登録部への外部端末の端末情報の登録を制御する登録制御部とを有し、
外部端末登録部は、機器の使用者が用いる使用者用外部端末の使用者用端末情報と、機器のメンテナンスを行う作業者が用いる作業者用外部端末の作業者用端末情報とを異なる登録形式で登録し、
登録制御部は、所定の削除条件が満たされると、外部端末登録部に登録された端末情報のうち作業者用端末情報を外部端末登録部から削除する構成を有する通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器と外部端末とが通信可能に接続される通信システムに関する。特に、本発明は、複数の外部端末の端末情報が機器に登録される通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の場所に設置される機器と持ち運び可能な外部端末との間で種々の情報を相互に通信する通信システムが知られている。例えば、一の加熱調理器に対して複数の外部端末の端末情報が登録され、加熱調理器に登録された端末情報と外部端末から送信された端末情報とを照合して、加熱調理器と外部端末とを通信接続する通信システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-207224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような通信システムを利用して、サービスマンなどの作業者が動作点検や故障診断等の機器のメンテナンスを行う場合がある。このような場合、機器の使用者と同様に、作業者が使用する外部端末の端末情報が機器に登録される(以下、これらの外部端末及び端末情報を総称する場合、それぞれ単に「外部端末」及び「端末情報」という。また、各外部端末を意味する場合、「使用者用外部端末」及び「作業者用外部端末」といい、各端末情報を意味する場合、「使用者用端末情報」及び「作業者用端末情報」という)。
【0005】
しかしながら、機器に搭載された情報記憶部の記憶容量や機器の通信処理能力には制限があるため、機器に登録可能な端末情報の登録枠数にも上限がある。また、メンテナンスは異なる作業者用外部端末を使用して行われる場合もあるため、全ての作業者用外部端末の作業者用端末情報を機器に登録するのは現実的に困難である。そのため、メンテナンスの終了ごとに作業者が登録した作業者用端末情報を削除することが望まれるが、複数の外部端末を登録可能な機器では、作業者が誤って使用者用端末情報を削除しやすい。その結果、登録が削除された使用者は、使用者用端末情報を再登録しなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の外部端末の端末情報が機器に登録される通信システムにおいて、意図しない使用者用端末情報の誤削除を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
機器と外部端末とが通信可能に接続される通信システムであって、
機器は、接続を許可する外部端末の端末情報を登録する外部端末登録部と、外部端末登録部への外部端末の端末情報の登録を制御する登録制御部とを有し、
外部端末登録部は、機器の使用者が用いる使用者用外部端末の使用者用端末情報を登録する使用者用記憶部と、機器のメンテナンスを行う作業者が用いる作業者用外部端末の作業者用端末情報を登録する作業者用記憶部とを有しており、
登録制御部は、所定の削除条件が満たされると、外部端末登録部に登録された端末情報のうち作業者用端末情報を作業者用記憶部から削除する構成を有する通信システムが提供される。
【0008】
上記通信システムによれば、使用者用外部端末の使用者用端末情報及び作業者用外部端末の作業者用端末情報はそれぞれ、機器の外部端末登録部における使用者用記憶部及び作業者用記憶部の異なる領域に登録されるから、少なくとも一定数の作業者用外部端末の作業者用端末情報を機器に登録することができる。そして、上記通信システムによれば、作業者用端末情報は、使用者用端末情報が登録される使用者用記憶部と異なる作業者用記憶部に登録されるから、所定の削除条件が満たされたときに外部端末登録部から作業者用端末情報を削除するにあたって、使用者用端末情報の誤削除を防止することができる。
【0009】
好ましくは、上記通信システムにおいて、
機器または作業者用外部端末の少なくともいずれか一方は、作業者用端末情報を作業者用記憶部から削除するための削除指示手段を有し、
登録制御部は、削除指示手段によって作業者用端末情報の削除指示がなされると、作業者用記憶部から作業者用端末情報を削除する。
【0010】
上記通信システムによれば、機器または作業者用外部端末の少なくともいずれか一方が、作業者用端末情報を作業者用記憶部から削除するための削除指示手段を有しており、削除指示手段によって作業者用端末情報の削除指示がなされることを作業者用記憶部から作業者用端末情報が削除される削除条件とするから、作業者が意図するタイミングで作業者用端末情報を削除することができる。
【0011】
好ましくは、上記通信システムにおいて、
機器は、エラー履歴や運転履歴等の動作情報を記憶する動作情報記憶部を有し、
登録制御部は、作業者用外部端末と通信状態にある機器から作業者用外部端末への動作情報の送信が完了すると、作業者用記憶部から作業者用端末情報を削除する。
【0012】
上記通信システムによれば、機器が動作情報を記憶する動作情報記憶部を有しているから、機器と通信状態にある作業者用外部端末に動作情報を送信させることができる。そして、上記通信システムによれば、作業者用外部端末と通信状態にある機器から作業者用外部端末への動作情報の送信が完了することを作業者用記憶部から作業者用端末情報が削除される削除条件とするから、メンテナンス終了時に作業者が作業者用端末情報を削除する必要がない。これにより、作業効率を向上させることができるだけでなく、使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。
【0013】
好ましくは、上記通信システムにおいて、
登録制御部は、作業者用外部端末と非通信状態にある機器の電源が所定回数オフあるいはオンされるか、または作業者用外部端末と機器の非通信時間が所定の削除時間に達すると、作業者用記憶部から作業者用端末情報を削除する。
【0014】
上記通信システムによれば、作業者用外部端末と非通信状態にある機器の電源が所定回数オフあるいはオンされるか、作業者用外部端末と機器とが所定の削除時間以上、非通信状態であることを作業者用記憶部から作業者用端末情報が削除される削除条件とするから、メンテナンス終了時やメンテナンス中断時に作業者が登録していた作業者用端末情報を削除する必要がない。これにより、作業効率を向上させることができるとともに、使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。
【0015】
好ましくは、上記通信システムにおいて、
登録制御部は、作業者用記憶部に登録されていない未登録の作業者用外部端末の作業者用端末情報が新たに作業者用記憶部に登録されるか、使用者用記憶部に登録されていない未登録の使用者用外部端末の使用者用端末情報が新たに使用者用記憶部へ登録されるか、または機器と使用者用記憶部に登録されていた使用者用端末情報の使用者用外部端末とが通信接続されると、作業者用記憶部から登録されていた作業者用端末情報を削除する。
【0016】
上記通信システムによれば、作業者用記憶部に登録されていない未登録の作業者用外部端末の作業者用端末情報が新たに作業者用記憶部に登録されるか、使用者用記憶部に登録されていない未登録の使用者用外部端末の使用者用端末情報が新たに使用者用記憶部へ登録されるか、または機器と使用者用記憶部に登録されていた使用者用端末情報の使用者用外部端末とが通信接続されることを作業者用記憶部から登録されていた作業者用端末情報が削除される削除条件とするから、先のメンテナンス終了時やメンテナンス中断時に作業者が登録した作業者用端末情報を削除する必要がない。これにより、作業効率を向上させることができるとともに、使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。
【0017】
好ましくは、上記通信システムにおいて、
登録制御部は、機器のメンテナンスを開始するとき、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致するかどうかを判定し、
今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致する場合、作業者用記憶部から登録されていた前回の作業者用端末情報を削除せず、
今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致しない場合、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されると、作業者用記憶部から登録されていた前回の作業者用端末情報を削除する。
【0018】
上記通信システムによれば、機器のメンテナンスを開始するとき、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致するかどうかを判定し、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されている前回の作業者用端末情報と一致せず、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されることを作業者用記憶部から登録されていた前回の作業者用端末情報が削除される削除条件とするから、前回のメンテナンス終了時やメンテナンス中断時に作業者が登録した作業者用端末情報を削除する必要がない。また、上記通信システムによれば、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報が作業者用記憶部に登録されていた前回の作業者用端末情報と一致する場合、作業者用記憶部から登録されていた前回の作業者用端末情報が削除されず、登録済の前回の作業者用端末情報を用いてメンテナンスが行われるから、今回の作業者用外部端末の作業者用端末情報を新たに登録しなおす必要がない。これにより、作業効率を向上させることができるとともに、使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。
【0019】
本発明の他の局面によれば、
機器と外部端末とが通信可能に接続される通信システムであって、
機器は、接続を許可する外部端末の端末情報を登録する外部端末登録部と、外部端末登録部への外部端末の端末情報の登録を制御する登録制御部とを有し、
外部端末登録部は、機器の使用者が用いる使用者用外部端末の使用者用端末情報と、機器のメンテナンスを行う作業者が用いる作業者用外部端末の作業者用端末情報とを異なる登録形式で登録し、
登録制御部は、所定の削除条件が満たされると、外部端末登録部に登録された端末情報のうち作業者用端末情報を外部端末登録部から削除する構成を有する通信システムが提供される。
【0020】
上記通信システムによれば、所定の削除条件が満たされたときに外部端末登録部から作業者用端末情報を削除するにあたって、使用者用端末情報とは異なる登録形式の作業者用端末情報のみを選択して削除することができるから、使用者用端末情報の誤削除を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、複数の外部端末の端末情報が機器に登録される通信システムにおいて、意図しない使用者用端末情報の誤削除を防止することができる。これにより、使い勝手に優れる通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る通信システムの一例を示す概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る通信システムを構成する機器の設定操作パネルの一例を示す構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る通信システムの一例を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る通信システムを構成する機器の端末登録部の一例を示す概略構成図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る通信システムの通信制御動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る通信システムの通信制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る通信システムについて、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る通信システムは、機器としての加熱調理器1と、所謂スマートフォンやタブレットPCなどの汎用または専用の外部端末3,5との間に構築される。
【0024】
使用者は、使用者用外部端末3を用いて、調理レシピのデータを送信したり、加熱調理器1から動作状態や設定情報を受信し表示させたりする。また、作業者は、作業者用外部端末5を用いて、加熱調理器1からメンテナンスに必要な動作情報を読み出したりする。
【0025】
加熱調理器1は、調理器本体10の上部に載置された被加熱物を加熱調理する単数または複数のコンロ11と、調理器本体10の加熱庫120内に収容された被加熱物を加熱調理するグリル12とを備えたガスコンロである。
【0026】
調理器本体10の前部には、加熱調理器1の電源をオンオフさせるための電源スイッチ13と、コンロ11の点火や消火、火力調整を行うためのコンロ11用の点消火操作子14Aと、グリル12の点火や消火、火力調整を行うためのグリル12用の点消火操作子14Bと、コンロ11による自動調理メニューや加熱温度、加熱時間等の調理条件を設定入力するためのコンロ11用の設定操作パネル15Aと、グリル12による自動調理メニューや加熱温度、加熱時間等の調理条件を設定入力するためのグリル12用の設定操作パネル15Bとが設けられている。
【0027】
調理器本体10の内部には、アンテナ(図示せず)を介して外部端末3,5との間で種々の情報を無線により送受信するための無線通信部16と、コンロ11及びグリル12による被加熱物の加熱調理や外部端末3,5との通信など加熱調理器1の全体の動作を制御する機器制御回路19と、機器記憶部60(図3参照)とが設けられている。
【0028】
図2に示すように、コンロ11用の設定操作パネル15Aには、コンロ11の動作状態や設定情報を表示する表示部151と、コンロ11による加熱時間や加熱温度を設定したり、湯沸しや炊飯等の自動調理モードを設定したりするための複数の調理モードスイッチ21と、加熱時間や加熱温度、自動調理モードのさらに詳細なコースメニュー等を選択変更するためのアップダウンスイッチ22と、アップダウンスイッチ22によって選択された加熱時間や加熱温度、コースメニュー等を決定するための決定スイッチ23と、動作モードを加熱調理器1の基本設定の変更や加熱調理器1への使用者用外部端末3の使用者用端末情報の登録が可能なカスタマイズモードに切り替えるための設定スイッチ24とが設けられている。
【0029】
グリル12用の設定操作パネル15Bには、グリル12の動作状態や設定情報を表示する表示部152と、グリル12による加熱時間や加熱温度、自動調理モード、調理レシピ等を表示部152に表示させるためのメニュースイッチ25と、加熱時間や加熱温度、自動調理モード、調理レシピ等を選択変更するためのアップダウンスイッチ26と、アップダウンスイッチ26によって選択された調理メニュー等を決定するための決定スイッチ27とが設けられている。なお、後述するように、コンロ11用の設定操作パネル15Aのアップダウンスイッチ22と、グリル12用の設定操作パネル15Bのアップダウンスイッチ26とは、これらを同時押しすることにより動作モードをメンテナンスモードに切り替える設定スイッチとしても機能する。
【0030】
図3に示すように、電源スイッチ13、点消火操作子14A,14B、設定操作パネル15A,15Bの各表示部151,152、操作スイッチ21~27、無線通信部16、機器記憶部60、コンロ11及びグリル12の図示しない各バルブユニットや鍋底温度センサなどの各種センサ17は、電気配線を通じて機器制御回路19に接続されている。
【0031】
機器制御回路19は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等からなる電子回路であり、その機能構成として、点消火操作子14A,14Bの操作に応じてコンロ11及びグリル12の点火や消火、火力調整を行うバーナ制御部191、表示部151,152の表示を制御する表示制御部192、種々の経過時間を計測する計時部193、設定操作パネル15A,15Bで設定された加熱時間や加熱温度、自動調理モードなどの動作条件に基づいてコンロ11及びグリル12の火力を自動制御する自動調理制御部194、無線通信部16による外部端末3,5との通信を制御する通信制御部195、加熱調理器1のエラー履歴や運転履歴等の動作情報を記憶する動作情報記憶部196、外部端末登録部61への端末情報の登録を制御する登録制御部197等の回路構成を有している。なお、上記運転履歴には、コンロ11やグリル12における調理条件の設定情報、鍋底温度センサや熱電対などの各種センサ17の検出情報、コンロ11やグリル12の点火回数等が含まれる。
【0032】
登録制御部197は、外部端末3,5の端末情報の外部端末登録部61への登録及び削除を行う端末情報登録部198、無線通信部16で検出された通信エリア内の外部端末3,5の端末情報と外部端末登録部61に登録された端末情報とを照合し認証する端末認証部199、加熱調理器1から作業者用外部端末5への動作情報の送信が正常に完了したか否かを判定する送信判定部200、動作情報の送信中における作業者用外部端末5との非通信時間が所定の削除時間に達したか否かを判定する非通信時間判定部201、削除指示操作部としての特定の一または二以上の操作スイッチ21~27、または作業者用外部端末5のタッチパネル51に表示される擬似操作キーによって、作業者用端末情報の削除指示操作がなされたか否かを判定する削除操作判定部202等の回路構成を有している。
【0033】
機器記憶部60は、外部端末3,5の端末情報を登録する外部端末登録部61を備えており、図4に示すように、外部端末登録部61は、単数または複数(ここでは、6台)の使用者用外部端末3の使用者用端末情報を登録する使用者用記憶部P1と、単数または複数(ここでは、1台)の作業者用外部端末5の作業者用端末情報を登録する作業者用記憶部P2とからなる領域に区分されている。なお、外部端末登録部61は、独立した使用者用記憶部P1と作業者用記憶部P2とから構成されてもよい。
【0034】
図1及び図3に示すように、使用者用外部端末3及び作業者用外部端末5はそれぞれ、操作機能及び表示機能を兼備するタッチパネル31,51と、アンテナ(図示せず)を介して加熱調理器1などの機器との間で種々の情報を無線により送受信するための無線通信部36,56と、タッチパネル31,51の操作や表示、加熱調理器1との動作を制御する端末制御回路39,59と、端末記憶部70,80とを備えている。
【0035】
また、図示しないが、本通信システムで用いられる使用者用外部端末3及び作業者用外部端末5はいずれも、インターネット通信網を介して外部サーバとの間で種々の情報を無線により送受信するためのネットワーク通信機能を備えており、加熱調理器1で用いる調理レシピの追加データや更新データを外部サーバから取得したり、加熱調理器1から読み出した動作情報を外部サーバに送信したりすることができる。
【0036】
本通信システムにおける加熱調理器1と外部端末3,5との間の通信は、Bluetooth(登録商標)のように比較的電力消費量の少ない近距離無線通信規格により行なわれるが、他の無線通信規格によって行われてもよいし、家庭内通信ネットワークを介して行われてもよい。
【0037】
タッチパネル31,51、無線通信部36,56、端末記憶部70,80は、電気配線を通じて端末制御回路39,59に接続されている。端末制御回路39,59は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等からなる電子回路であり、その機能構成として、タッチパネル31,51の操作を制御する操作制御部391,591、タッチパネル31,51の表示を制御する表示制御部392,592、タッチパネル31,51で選択された種々のアプリケーションプログラムの動作を制御するAP制御部393,593、無線通信部36,56による加熱調理器1との通信を制御する通信制御部394,594、機器登録部71,81への加熱調理器1の機器情報の登録を制御する機器登録制御部395,595等の回路構成を有している。
【0038】
端末記憶部70,80は、加熱調理器1の機器情報を登録する機器登録部71,81を有している。機器登録制御部395,595は、加熱調理器1の機器情報の機器登録部71,81への登録及び削除を行う機器情報登録部396,596、無線通信部36,56で検出された機器情報と機器登録部71,81に登録された機器情報とを照合し認証する機器認証部397,597、加熱調理器1との通信接続が確立した後、非通信時間が所定の削除時間に達したか否かを判定する非通信時間判定部398,598等の回路構成を有している。
【0039】
使用者用外部端末3のAP制御部393は、加熱調理器1に調理レシピを送信したり、加熱調理器1の動作状態や設定情報をタッチパネル31に表示させたりすることが可能な遠隔操作用のアプリケーションプログラム(以下、「遠隔操作用AP」という)を実行する。また、作業者用外部端末5のAP制御部593は、動作点検や故障診断など加熱調理器1のメンテナンスを行う際に、加熱調理器1から動作情報を読み出すことが可能なメンテナンス用のアプリケーションプログラム(以下、「メンテ用AP」という)を実行する。
【0040】
次に、本実施の形態の通信システムにおける加熱調理器1と作業者用外部端末5との制御動作を、図5のフローチャートに従って説明する。なお、以下の制御動作を実行させるにあたって、作業者は、予め電源スイッチ13をオン操作して加熱調理器1の電源をオンさせる。
【0041】
作業者が加熱調理器1の操作スイッチ21~27で所定のメンテナンスモード選択操作(例えば、コンロ11用の設定操作パネル15Aのアップダウンスイッチ22と、グリル12用の設定操作パネル15Bのアップダウンスイッチ26とを3秒間同時長押し)を行うと、加熱調理器1は、動作モードを加熱調理可能な通常モードから、作業者用外部端末5に対して動作情報を送信可能なメンテナンスモードに移行させる(ステップST101)。
【0042】
次いで、上記メンテナンスモードにおいて、作業者が操作スイッチ21~27で所定の通信接続開始操作(例えば、コンロ11用の設定操作パネル15Aの決定スイッチ23を3秒間長押し)を行うと、加熱調理器1は、無線通信部16によって自己の機器識別信号を出力させるとともに、作業者用外部端末5から出力される端末識別信号の検出(外部端末検索)を開始する(ステップST102)。
【0043】
一方、図示しないが、作業者が作業者用外部端末5のタッチパネル51に表示されるメンテ用APのアイコンをタッチ操作すると、メンテ用APが起動され、タッチパネル51に表示される接続開始キーをタッチ操作すると、上記と同様に、無線通信部56によって自己の端末識別信号を出力させるとともに、加熱調理器1から出力される機器識別信号の検出(機器検索)を開始する。
【0044】
作業者用外部端末5が加熱調理器1と通信可能なエリア内にあり、加熱調理器1及び作業者用外部端末5において互いに両機の識別信号が検出されると、加熱調理器1と作業者用外部端末5との間で通信が確立される(ステップST103)。
【0045】
通信が確立すると、加熱調理器1は機器情報を送信し、作業者用外部端末5は作業者用端末情報を送信してペアリング動作を実行する(ステップST104)。作業者用端末情報を取得した加熱調理器1は、外部端末登録部61の作業者用記憶部P2に作業者用端末情報を登録し、機器情報を取得した作業者用外部端末5は機器登録部81に機器情報を登録する(ステップST105)。これにより、両機は相互認証を行い、無線通信を実行するためのペアリングが設定される。
【0046】
なお、加熱調理器1及び作業者用外部端末5で識別信号の検索が開始されてから一定時間が経過しても、加熱調理器1または作業者用外部端末5のいずれか一方で識別信号が正常に検出されなかった場合は、タイムエラーとして識別信号の検索を中止し、通信制御動作を終了する。
【0047】
上記ペアリングによって加熱調理器1及び作業者用外部端末5相互が通信接続された状態になれば、加熱調理器1は、作業者用外部端末5に対してメンテナンスに必要な動作情報の送信を自動で開始する(ステップST106)。
【0048】
上記動作情報の送信中に、作業者用外部端末5が加熱調理器1と通信可能なエリアから外れたり、作業者用外部端末5の電源がオフになったりすることで、両機の通信が切断され、非通信時間が所定の削除時間(例えば、10秒間)に達した場合(ステップST107で、Yes)、加熱調理器1は、動作情報の送信を中止するとともに、作業者用外部端末5に対応する登録済みの作業者用端末情報を作業者用記憶部P2から削除し(ステップST110)、両機の通信が切断された状態で(ステップST111)通信制御動作を終了する。
【0049】
また、上記動作情報の送信中に、作業者用端末情報の削除指示操作として、特定の操作スイッチ21~27により所定の接続中断操作(例えば、コンロ11用の設定操作パネル15Aの決定スイッチ23を3秒間長押し)がなされるか、または作業者用外部端末5のタッチパネル51に表示された読み出し中断キーがタッチ操作されたりすると(ステップST108で、Yes)、作業者用外部端末5または加熱調理器1に中断信号が送信され、上記と同様に、加熱調理器1は、動作情報の送信を中止するとともに、作業者用外部端末5に対応する登録済みの作業者用端末情報を作業者用記憶部P2から削除する(ステップST110)。そして、両機の通信を切断し(ステップST111)、通信制御動作を及び終了する。従って、本実施の形態では、加熱調理器1の決定スイッチ23及び作業者用外部端末5の読み出し中断キーが削除指示手段として機能する。
【0050】
一方、動作情報の送信が上記のように中止されることなく正常に完了すれば(ステップST109で、Yes)、加熱調理器1は作業者用外部端末5に完了信号を送信し、作業者用外部端末5に対応する登録済みの作業者用端末情報を作業者用記憶部P2から削除するとともに(ステップST110)、両機の通信を切断し(ステップST111)、通信制御動作を終了する。上記加熱調理器1で作業者用端末情報が作業者用記憶部P2から削除されるとき、作業者用外部端末5で機器登録部81に登録された機器情報が削除されてもよい。
【0051】
なお、図示しないが、使用者用外部端末3の使用者用端末情報を加熱調理器1に登録させる場合、上記と同様に、使用者は、加熱調理器1の電源をオンにさせるとともに、コンロ11用の設定操作パネル15Aに設けられた設定スイッチ24を押して、動作モードをカスタマイズモードに移行させる。また、使用者は、使用者用外部端末3のタッチパネル31に表示される遠隔操作用APのアイコンをタッチ操作し、遠隔操作用APを起動させる。
【0052】
上記カスタマイズモードに移行すると、加熱調理器1は、無線通信部16によって自己の機器識別信号を出力させるとともに、使用者用外部端末3から出力される端末識別信号の検出(外部端末検索)を開始する。一方、使用者用外部端末3は、タッチパネル31に表示される接続開始キーがタッチ操作されると、上記と同様に、無線通信部36によって自己の端末識別信号を出力させるとともに、加熱調理器1から出力される機器識別信号の検出(機器検索)を開始する。
【0053】
使用者用外部端末3が加熱調理器1と通信可能なエリア内にあり、加熱調理器1及び使用者用外部端末3において互いに両機の識別信号が検出され、加熱調理器1と使用者用外部端末3との間で通信が確立されると、加熱調理器1は、コンロ11用の設定操作パネル15Aの表示部151に、使用者用外部端末3の登録を許可するためのパスコードを表示させる。そして、上記パスコードが使用者用外部端末3のタッチパネル31に表示されるコード入力画面で入力されると、ペアリング動作が実行されて、使用者用端末情報を取得した加熱調理器1は、外部端末登録部61の使用者用記憶部P1に使用者用端末情報を登録し、機器情報を取得した使用者用外部端末3は機器登録部71に機器情報を登録する。
【0054】
このとき、既に全ての使用者用記憶部P1に使用者用端末情報が登録されている場合は、任意に選択する使用者用端末情報を、新たな使用者用外部端末3の使用者用端末情報に書き換えて登録させるようにしてもよいし、予め設定された一の使用者用記憶部P1の使用者用端末情報を、新たな使用者用外部端末3の使用者用端末情報に書き換えて登録させるようにしてもよい。また、登録時期が最も古い使用者用端末情報や接続回数が最も少ない使用者用外部端末3の使用者用端末情報を、新たな使用者用外部端末3の使用者用端末情報に書き換えて登録させるようにしてもよい。
【0055】
上記通信システムによれば、使用者用端末情報と作業者用端末情報とがそれぞれ使用者用記憶部P1と作業者用記憶部P2とに分けて登録されているから、少なくとも一定数の作業者用外部端末5の作業者用端末情報を加熱調理器1に登録することができる。そして、上記通信システムによれば、使用者用端末情報と作業者用端末情報とがそれぞれ使用者用記憶部P1と作業者用記憶部P2とに分けて登録されているから、作業者が加熱調理器1の特定の操作スイッチ21~27または作業者用外部端末5の読み出し中断キーを操作することにより、加熱調理器1から作業者用端末情報を手動で削除する場合でも、使用者用端末情報が誤削除される虞がない。また、作業者が意図するタイミングで作業者用端末情報を削除することができるから、メンテナンス時の利便性及び作業性も向上させることができる。
【0056】
また、上記通信システムでは、加熱調理器1から作業者用外部端末5へ動作情報の送信が完了するか、または送信が完了する前に、加熱調理器1と作業者用外部端末5の非通信時間が所定の削除時間に達すれば、加熱調理器1から作業者用端末情報のみが自動で削除されるから、使用者用端末情報が誤削除される虞がない。また、メンテナンス終了後に作業者用端末情報を加熱調理器1から手動で削除する手間を省略できるだけでなく、メンテナンスの途中で作業者が作業を中断させて、加熱調理器1と作業者用外部端末5との通信が切断された場合でも、作業者が登録していた作業者用端末情報を削除する必要がないから、削除忘れを防止することができるとともに、メンテナンス時の利便性及び作業性を向上させることができる。
【0057】
なお、上記実施の形態では、動作情報の送信が完了等すると、作業者用記憶部P2に登録された作業者用端末情報が自動で削除されているが、メンテナンスの終了後に作業者が手動で削除を行ってもよい。すなわち、本実施の形態では、加熱調理器1には、使用者用端末情報と作業者用端末情報とがそれぞれ使用者用記憶部P1と作業者用記憶部P2とに分けて登録されるから、メンテナンス終了後に手動による削除を行う場合でも、削除対象として作業者用記憶部P2を選択すれば作業者用端末情報のみが削除される。これにより、使用者用端末情報の誤削除を防止することができる。
【0058】
以上のように、本実施の形態によれば、意図しない使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。これにより、誤削除された使用者用端末情報を改めて加熱調理器1に登録する必要がないから、使い勝手を向上することができる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態は、メンテナンス終了時や中断時に作業者用記憶部P2から作業者用端末情報を削除せず、外部端末登録部61に登録されていない未登録の作業者用外部端末5を登録するときに、先に作業者用記憶部P2に登録されていた作業者用端末情報を新たな作業者用外部端末5の作業者用端末情報に書き換えることにより登録されていた先の作業者用端末情報が削除される以外は、上記実施の形態1と同様である。このため、加熱調理器1や外部端末3,5の構成についての説明を省略し、通信制御動作のみを説明する。なお、以下では、先にメンテナンスが実行されて、作業者用記憶部P2に前回の作業者用外部端末5の作業者用端末情報が登録されている場合について説明する。
【0060】
図6は、本実施の形態の通信システムにおける加熱調理器1と作業者用外部端末5との制御動作を示すフローチャートである。図6に示すように、実施の形態1と同様に、加熱調理器1の動作モードがメンテナンスモードに移行され(ステップST301)、作業者用外部端末5でメンテ用APが起動された後、操作スイッチ21~27及び接続開始キーにより所定の通信接続開始操作がなされると、加熱調理器1で外部端末検索が開始されるとともに、作業者用外部端末5で機器検索が開始される(ステップST302)。次いで、加熱調理器1及び作業者用外部端末5において互いに両機の識別信号が検出されると、加熱調理器1と作業者用外部端末5との間で通信が確立され、ペアリング動作が実行される(ステップST303~304)。
【0061】
図示しないが、上記ペアリングにおいて、今回、作業者が使用する作業者用外部端末5の作業者用端末情報が、既に外部端末登録部61の作業者用記憶部P2に登録されている前回の作業者用端末情報と一致している場合、再度、作業者用端末情報を登録することなく、無線通信を実行するためのペアリングが設定される。一方、今回、使用する作業者用外部端末5の作業者用端末情報が作業者用記憶部P2に登録されている前回の作業者用端末情報と一致していなければ、作業者用記憶部P2に登録されていた前回の作業者用端末情報が新たな作業者用外部端末5の作業者用端末情報に書き換えられ、登録されていた作業者用端末情報が削除される(ステップST305)。なお、図示しないが、作業者用外部端末5でも、同様に機器情報が登録される。
【0062】
上記ペアリングによって加熱調理器1及び作業者用外部端末5相互が通信接続された状態になれば、加熱調理器1は、作業者用外部端末5に対してメンテナンスに必要な動作情報の送信を自動で開始する(ステップST306)。
【0063】
上記動作情報の送信中に、加熱調理器1と作業者用外部端末5との非通信時間が所定の削除時間に達したり、特定の操作スイッチ21~27等により所定の接続中断操作がなされたりした場合(ステップS307及びST308で、Yes)、加熱調理器1から作業者用外部端末5への動作情報の送信を中止するとともに、両機の通信を切断し(ステップST310)、通信制御動作を終了する。このとき、登録済みの作業者用端末情報は作業者用記憶部P2から削除されない。
【0064】
また、動作情報の送信が上記のように中止されることなく正常に完了すれば(ステップST309で、Yes)、両機の通信を切断し(ステップST310)、通信制御動作を終了する。このとき、上記と同様に、登録済みの作業者用端末情報は作業者用記憶部P2から削除されない。
【0065】
上記通信システムによれば、実施の形態1と同様に、使用者用端末情報と作業者用端末情報とがそれぞれ使用者用記憶部P1と作業者用記憶部P2とに分けて登録されているから、少なくとも一定数の作業者用外部端末5の作業者用端末情報を加熱調理器1に登録することができる。そして、上記通信システムによれば、先にメンテナンスが実行されたときに作業者用記憶部P2に登録された作業者用外部端末5の作業者用端末情報は削除されないため、次にメンテナンスを実行するときに使用する作業者用外部端末5の作業者用端末情報と、先に外部端末登録部61に登録されていた作業者用端末情報とを照合し、それらの作業者用端末情報が一致していれば、登録済みの作業者用端末情報を用いてペアリングが設定される。従って、上記作業者用外部端末5の作業者用端末情報を改めて加熱調理器1に登録しなおす必要がない。
【0066】
また、上記通信システムによれば、作業者用記憶部P2に登録されていた作業者用外部端末5の作業者用端末情報と、使用する作業者用外部端末5の作業者用端末情報とが一致しない場合、作業者用記憶部P2に登録されていた作業者用端末情報が新たな作業者用外部端末5の作業者用端末情報に書き換えられることにより、登録されていた作業者用端末情報が自動で削除されるから、使用者用端末情報が誤削除される虞がない。また、メンテナンス終了後やメンテナンスの中断時に作業者用端末情報を加熱調理器1から手動で削除する手間を省略できるだけでなく、削除忘れも防止することができるから、メンテナンス時の利便性及び作業性も向上させることができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態によれば、意図しない使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。これにより、誤削除された使用者用端末情報を改めて加熱調理器1に登録する必要がないから、使い勝手を向上することができる。
【0068】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態1では、外部端末登録部に使用者用記憶部と作業者用記憶部とが設けられ、使用者用端末情報と作業者用端末情報とが外部端末登録部の異なる領域に登録される。しかしながら、外部端末登録部を複数の領域に区分することなく、単一の外部端末登録部に使用者用端末情報と作業者用端末情報とを異なる登録形式で登録し、上記と同様に、動作情報の送信完了等による所定の削除条件が満たされたときに、外部端末登録部から所定の登録形式を有する作業者用端末情報のみを削除してもよい。この通信システムによれば、使用者用端末情報と作業者用端末情報とは異なる登録形式で外部端末登録部に登録されているから、作業者が作業者用端末情報を手動で削除するときでも、登録形式に従って作業者用端末情報のみを選択することができる。また、上記通信システムによれば、使用者用外部端末の使用者用端末情報及び作業者用外部端末の作業者用端末情報はそれぞれ、機器の外部端末登録部に異なる登録形式で登録されるから、外部端末登録部に外部端末ごとに登録する領域を設ける必要がない。なお、登録形式は、例えば、使用者用端末情報と作業者用端末情報とに所定の識別子を付与することによって異ならせることができる。
【0069】
(2)上記実施の形態1では、動作情報の送信完了等の所定の削除条件が満たされたときに作業者用記憶部から作業者用端末情報が削除される。しかしながら、機器と作業者用外部端末とが非通信状態で、機器の電源が所定回数(1回または複数回)オフまたはオンされたときに、作業者用記憶部から作業者用端末情報が自動で削除されてもよい。機器と作業者用外部端末とが非通信状態で、機器の電源が所定回数オフまたはオンされる場合、使用者が加熱調理器を使用している可能性が高いから、作業者によるメンテナンスが終了していると考えられる。従って、この通信システムによれば、機器と作業者用外部端末とが所定の削除時間以上、非通信状態である場合と同様に、メンテナンス終了時やメンテナンスの中断時に作業者が登録していた作業者用端末情報を削除する必要がない。これにより、作業効率を向上させることができるとともに、使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。
【0070】
(3)上記実施の形態2では、外部端末登録部に登録されていない未登録の作業者用外部端末を登録するときに、作業者用記憶部から登録済みの作業者用端末情報が自動で削除される。しかしながら、外部端末登録部に登録されていない未登録の使用者用外部端末を新たに使用者用記憶部に登録するとき、または外部端末登録部に登録された使用者用外部端末が機器と通信可能に接続されたときに、作業者用記憶部から登録済みの作業者用端末情報が自動で削除されてもよい。この通信システムによれば、未登録の作業者用外部端末が新たに作業者用記憶部に登録される場合と同様に、メンテナンス終了時やメンテナンスの中断時に作業者が登録していた作業者用端末情報を削除する必要がない。これにより、作業効率を向上させることができるとともに、使用者用端末情報の誤削除を確実に防止することができる。
【0071】
(4)上記実施の形態では、機器の特定の操作により手動で動作モードがメンテナンスモードに移行される。しかしながら、機器と作業者用外部端末とが通信接続されると、自動で動作モードがメンテナンスモードに移行されてもよい。
【0072】
(5)上記実施の形態では、機器として加熱調理器が用いられているが、オーブンレンジや炊飯器、給湯器、浴室暖房乾燥機、衣類乾燥機、食器洗い乾燥機などの機器と外部端末とを通信可能に接続する通信システムにも本発明を適用することができる。
【0073】
(6)上記実施の形態では、機器と使用者用外部端末とをペアリングするときのみパスコードを使用したが、機器と作業者用外部端末とをペアリングするときでもパスコードを使用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 加熱調理器(機器)
3 使用者用外部端末
5 作業者用外部端末
P1 使用者用記憶部
P2 作業者用記憶部
61 外部端末登録部
197 登録制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6