(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】除雪装置の運用システム、及び除雪装置の運用方法
(51)【国際特許分類】
E01H 5/04 20060101AFI20221117BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20221117BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
E01H5/04 D
G07B15/00 Z
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2019041475
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 治臣
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-044987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0148324(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0203463(US,A1)
【文献】特開2012-177673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/04
G07B 15/00
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車区画が設けられた駐車場
に設置されて前記駐車場全体を撮影範囲とする駐車場カメラによる前記駐車場の撮影画像から、前記駐車区画の積雪の有無を判断する雪状況認識部と、
前記駐車区画毎に、
前記駐車区画に設けられて前記駐車区画に駐車している車両を検出する入庫センサによる検出情報に基づいて、前記駐車区画が空いているか否かを認識する駐車区画管理部と、
前記駐車場に入場する車両を検知する入場車両検知部と、
前記入場車両検知部による検知結果に基づいて、前記駐車場への駐車要求を認識する駐車要求認識部と、
前記駐車要求認識部により前記駐車要求が認識されたときに、前記雪状況認識部により積雪が無いと認識され、且つ前記駐車区画管理部により
空いていると認識されている前記駐車区画がないときには、前記雪状況認識部により積雪が有ると認識され、且つ前記駐車区画管理部により
空いていると認識されている前記駐車区画の中から、
除雪の対象とする特定駐車区画を決定する特定駐車区画決定部と、
前記駐車場の除雪を行うために配備された除雪装置に対して、前記特定駐車区画
に積もっている雪の除去を指示する第1除雪指示情報を送信する除雪指示部と
を備える除雪装置の運用システム。
【請求項2】
前記雪状況認識部は、
天候情報サーバーから提供される前記駐車場がある地域の天候情報から、前記駐車場の降雪状況を認識し、
前記特定駐車区画決定部は、前記雪状況認識部により前記駐車場への降雪が認識されているときに、前記駐車区画管理部により認識された前回の車両の出庫時刻からの経過時間が、所定時間以内である前記駐車区画を、前記特定駐車区画として決定する
請求項1に記載の除雪装置の運用システム。
【請求項3】
前記雪状況認識部は、
天候情報サーバーから提供される前記駐車場がある地域の天候情報から、前記駐車場の降雪状況を認識し、
前記特定駐車区画決定部は、前記雪状況認識部により前記駐車場への降雪が認識されているときに、前記駐車区画管理部により認識された前回の車両の出庫時刻からの経過時間が短い前記駐車区画を優先して、前記特定駐車区画として決定する
請求項
1又は請求項2に記載の除雪装置の運用システム。
【請求項4】
前記駐車区画管理部は、
前記駐車場が設けられた店舗に来店した第2利用者が前記駐車区画に駐車した第2車両の出庫予測時刻を
、前記店舗の出入口に設置された店舗カメラによる撮影画像から、前記第2利用者が前記店舗から出ていく状況が認識された時点に基づいて、又は前記第2利用者により使用される第2利用者端末から送信される、前記第2利用者が前記店舗での用事が終了したこと或いは用事の終了時刻を示す情報を受信したときに当該情報に基づいて、認識し、
前記除雪指示部は、前記出庫予測時刻が認識された前記駐車区画である出庫予測駐車区画について、前記雪状況認識部により積雪が認識されたときには、前記除雪装置に対して、前記出庫予測時刻
よりも前に設定された出庫対応除雪時刻から前記出庫予測駐車区画を除雪することを指示する第2除雪指示情報を送信する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の除雪装置の運用システム。
【請求項5】
除雪装置を運用するためにコンピュータにより実行される除雪装置の運用方法であって、
前記コンピュータが、複数の駐車区画が設けられた駐車場
に設置されて前記駐車場全体を撮影範囲とする駐車場カメラによる前記駐車場の撮影画像から、前記駐車区画の積雪の有無を判断する雪状況認識ステップと、
前記コンピュータが、前記駐車区画毎に、
前記駐車区画に設けられて前記駐車区画に駐車している車両を検出する入庫センサによる検出情報に基づいて、前記駐車区画が空いているか否かを認識する駐車区画管理ステップと、
前記コンピュータが、前記駐車場に入場する車両を検知する入場車両検知ステップと、
前記コンピュータが、
前記入場車両検知ステップによる検知結果に基づいて、前記駐車場への駐車要求を認識する駐車要求認識ステップと、
前記コンピュータが、前記駐車要求認識ステップにより前記駐車要求が認識されたときに、前記雪状況認識ステップにより積雪が無いと認識され、且つ前記駐車区画管理ステップにより
空いていると認識されている前記駐車区画がないときには、前記雪状況認識ステップにより積雪が有ると認識され、且つ前記駐車区画管理ステップにより
空いていると認識されている前記駐車区画の中から、
除雪の対象とする特定駐車区画を決定する特定駐車区画決定ステップと、
前記コンピュータが、前記駐車場の除雪を行うために配備された除雪装置に対して、前記特定駐車区画に
積もっている雪の除去を指示する第1除雪指示情報を送信する除雪指示ステップと
を備える除雪装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪装置の運用システム、及び除雪装置の運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車道路の積雪状態を路側に設置された積雪検知センサにより検出し、積雪状態に応じて、駐車場に待機している除雪ロボット車両を出動させるようにした除雪ロボット車両の移動システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたシステムでは、公共インフラの自動車道路における車両の走行を確保するために、大型の除雪ロボットによって広範囲の除雪を行う。店舗の駐車場等においても、積雪時には、来店する車両の駐車場への出入を確保するために除雪を行う必要があるが、自動車道路を除雪する場合のように大型の除雪ロボットを導入することは、効率が悪くコスト的にも不利である。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、駐車場における除雪をコストを抑えて効率良く行うことができる除雪装置の運用システム、及び除雪装置の運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、複数の駐車区画が設けられた駐車場に設置されて前記駐車場全体を撮影範囲とする駐車場カメラによる前記駐車場の撮影画像から、前記駐車区画の積雪の有無を判断する雪状況認識部と、前記駐車区画毎に、前記駐車区画に設けられて前記駐車区画に駐車している車両を検出する入庫センサによる検出情報に基づいて、前記駐車区画が空いているか否かを認識する駐車区画管理部と、前記駐車場に入場する車両を検知する入場車両検知部と、前記入場車両検知部による検知結果に基づいて、前記駐車場への駐車要求を認識する駐車要求認識部と、前記駐車要求認識部により前記駐車要求が認識されたときに、前記雪状況認識部により積雪が無いと認識され、且つ前記駐車区画管理部により空いていると認識されている前記駐車区画がないときには、前記雪状況認識部により積雪が有ると認識され、且つ前記駐車区画管理部により空いていると認識されている前記駐車区画の中から、除雪の対象とする特定駐車区画を決定する特定駐車区画決定部と、前記駐車場の除雪を行うために配備された除雪装置に対して、前記特定駐車区画に積もっている雪の除去を指示する第1除雪指示情報を送信する除雪指示部とを備える除雪装置の運用システムが挙げられる。
【0007】
上記除雪装置の運用システムにおいて、前記雪状況認識部は、天候情報サーバーから提供される前記駐車場がある地域の天候情報から、前記駐車場の降雪状況を認識し、
前記特定駐車区画決定部は、前記雪状況認識部により前記駐車場への降雪が認識されているときに、前記駐車区画管理部により認識された前回の車両の出庫時刻からの経過時間が、所定時間以内である前記駐車区画を、前記特定駐車区画として決定する構成としてもよい。
【0008】
上記除雪装置の運用システムにおいて、前記雪状況認識部は、天候情報サーバーから提供される前記駐車場がある地域の天候情報から、前記駐車場の降雪状況を認識し、
前記特定駐車区画決定部は、前記雪状況認識部により前記駐車場への降雪が認識されているときに、前記駐車区画管理部により認識された前回の車両の出庫時刻からの経過時間が短い前記駐車区画を優先して、前記特定駐車区画として決定する構成としてもよい。
【0009】
上記除雪装置の運用システムにおいて、前記駐車区画管理部は、前記駐車場が設けられた店舗に来店した第2利用者が前記駐車区画に駐車した第2車両の出庫予測時刻を、前記店舗の出入口に設置された店舗カメラによる撮影画像から、前記第2利用者が前記店舗から出ていく状況が認識された時点に基づいて、又は前記第2利用者により使用される第2利用者端末から送信される、前記第2利用者が前記店舗での用事が終了したこと或いは用事の終了時刻を示す情報を受信したときに当該情報に基づいて、認識し、前記除雪指示部は、前記出庫予測時刻が認識された前記駐車区画である出庫予測駐車区画について、前記雪状況認識部により積雪が認識されたときには、前記除雪装置に対して、前記出庫予測時刻よりも前に設定された出庫対応除雪時刻から前記出庫予測駐車区画を除雪することを指示する第2除雪指示情報を送信する構成としてもよい。
【0010】
上記目的を達成するための別の構成として、除雪装置を運用するためにコンピュータにより実行される除雪装置の運用方法であって、前記コンピュータが、複数の駐車区画が設けられた駐車場に設置されて前記駐車場全体を撮影範囲とする駐車場カメラによる前記駐車場の撮影画像から、前記駐車区画の積雪の有無を判断する雪状況認識ステップと、前記コンピュータが、前記駐車区画毎に、前記駐車区画に設けられて前記駐車区画に駐車している車両を検出する入庫センサによる検出情報に基づいて、前記駐車区画が空いているか否かを認識する駐車区画管理ステップと、前記コンピュータが、前記駐車場に入場する車両を検知する入場車両検知ステップと、前記コンピュータが、前記入場車両検知ステップによる検知結果に基づいて、前記駐車場への駐車要求を認識する駐車要求認識ステップと、前記コンピュータが、前記駐車要求認識ステップにより前記駐車要求が認識されたときに、前記雪状況認識ステップにより積雪が無いと認識され、且つ前記駐車区画管理ステップにより空いていると認識されている前記駐車区画がないときには、前記雪状況認識ステップにより積雪が有ると認識され、且つ前記駐車区画管理ステップにより空いていると認識されている前記駐車区画の中から、除雪の対象とする特定駐車区画を決定する特定駐車区画決定ステップと、前記コンピュータが、前記駐車場の除雪を行うために配備された除雪装置に対して、前記特定駐車区画に積もっている雪の除去を指示する第1除雪指示情報を送信する除雪指示ステップとを備える除雪装置の運用方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
上記除雪装置の運用システムによれば、駐車要求認識部により駐車場への駐車要求が認識されたときに、空き駐車スペースがあって積雪が無い駐車区画がなかったときには、空き駐車スペースを確保する特定駐車区画が、特定駐車区画決定部により決定される。そして、除雪指示部により、特定駐車区画の除雪を指示する第1除雪指示情報が除雪装置に送信される。これにより、駐車場における除雪を、駐車要求に応じて決定された特定駐車区画に限定して行うことができる。そのため、駐車場全体を大型の除雪装置により除雪する場合に比べて、低コストで効率良く行く駐車場を除雪することができる。上記除雪装置の運用方法による場合にも、同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】除雪装置の運用システムによる駐車場の除雪態様の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.除雪装置の配車システムによる駐車場の除雪態様]
図1を参照して、本実施形態の除雪装置の運用システム1(以下では、運用システム1と省略して記載する)による駐車場120の除雪の態様について説明する。駐車場120は、店舗110の敷地100内にあり、運用システム1は、駐車場120に配備された除雪装置60の運用を管理する。
【0014】
駐車場120には、L1~L4の4列に分けられた複数の駐車区画130が設けられている。各駐車区画130には、駐車区画130に駐車している車両を検出する入庫センサ131が設けられている。入庫センサ131は、駐車区画130に駐車している車両を、カメラの撮影画像、超音波センサ、光電センサ、レーザーセンサ等によって検出する。
【0015】
店舗110には、店舗110の内部及び出入口111の付近を撮影する複数の店舗カメラ112が設置されている。駐車場の120の出入口121には、駐車場120に入場する車両及び駐車場120から退出する車両を撮影する出入口カメラ122が設置されている。また、駐車場120には、駐車場120全体を撮影範囲とする駐車場カメラ123が設置されている。
図1は、駐車場120に積雪S1,S2,S3がある状況を示している。
【0016】
除雪装置60は、自律移動型のロボット車両であり、図示しないバッテリを備えた電動車両である。除雪装置60は、充電器65の設置場所に待機して適宜バッテリを充電し、運用システム1からの除雪指示に応じて、駐車場120内を自律走行して除雪を行う。
【0017】
運用システム1は、入庫センサ131、店舗カメラ112、出入口カメラ122、及び駐車場カメラ123との間で、通信ネットワーク500を介した通信を行うことにより、入庫センサ131による車両の検出情報、及び各カメラ112,122,123の撮影画像を取得する。なお、入庫センサ131による車両の検出情報、及び各カメラ112,122,123の撮影画像を、店舗110に備えられた管理システム115に保存し、管理システム115に保存された車両の検出情報及び撮影画像を、通信ネットワーク500を介して運用システム1に送信するようにしてもよい。
【0018】
運用システム1は、除雪装置60に備えられた除雪装置コントローラ61、駐車場を利用する各車両に備えられた車両コントローラ、及び車両の利用者により使用される利用者端末との間で、通信ネットワーク500を介して通信を行う。
図1では、第1車両70の車両コントローラ71、第1車両70に乗車して店舗110に来店した第1利用者U1により使用される第1利用者端末51、及び第2車両80に乗車して店舗110に来店した第2利用者U2により使用される第2利用者端末52を例示している。また、運用システム1は、天候情報を提供する天候情報サーバー600と、通信ネットワーク500を介して通信を行うことにより、駐車場120がある地域の天候情報(降雪情報等)を取得する。
【0019】
運用システム1は、店舗110を利用する利用者の情報が記録された利用者DB(database)32、及び各駐車区画130の状況(使用状況、積雪状況等)が記録された駐車区画DB33を備えている。運用システム1は、出入口カメラ122の撮像画像から、駐車場120に入場する車両を検知したときに、必要に応じて、除雪装置60に対して、入場した車両の駐車スペースを確保するために、積雪がある空き駐車区画の除雪を指示する。
【0020】
図1では、運用システム1が、駐車場120に入場した第1車両70を検知したときに、第1車両70の駐車スペースを確保するために、積雪のある駐車区画130aの除雪を除雪装置60に指示する状況を示している。第1車両70に乗車して店舗110を訪れた第1利用者U1は、店舗110の出入口111で第1車両70から降車し、第1車両70は、自律走行により駐車区画130aまで走行して駐車する。除雪装置60は、第1車両70が駐車区画130aに到着する前に、駐車区画130aを除雪する。
【0021】
また、
図1では、運用システム1が、店舗カメラ112の撮影画像から、店舗110での用事を済ませて駐車場120に向かう第2利用者U2を検知したときに、第2利用者U2が乗車してきた第2車両80が駐車している駐車区画130bの付近の除雪を、除雪装置60に指示する状況を示している。除雪装置60は、駐車区画130bの前方の積雪S3を除雪して、第2車両80が駐車区画130bから出られるようにする。
【0022】
このように、運用システム1は、除雪の必要が生じた駐車区画130a、及び駐車区画130bの周辺に限定して、除雪装置60による除雪を行う。これにより、駐車場120全体を常時除雪する場合に比べて、比較的小型の除雪装置60を用いて効率良く除雪を行って、店舗110に来店する利用者の駐車スペースを確保することができる。
【0023】
[2.除雪装置の運用システムの構成]
図2及び
図3を参照して、運用システム1の構成について説明する。
図2には、
図1に示した第1車両70、第1利用者U1、第2車両80、及び第2利用者U2を示している。第1車両70には、第1車両70の作動を制御する第1車両コントローラ71が備えられており、第2車両80には、第2車両80の作動を制御する第2車両コントローラ81が備えられている。
【0024】
第1利用者U1は第1利用者端末51を所持し、第2利用者U2は第2利用者端末52を所持している。以下では、
図1に示した第1利用者U1が第1車両70に乗車して駐車場120に入場し、第2利用者U2が第2車両80に乗車して駐車場から退出する状況について適宜参照して、説明する。
【0025】
図2に示したように、運用システム1は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ30、及び通信部40等により構成されたコンピュータシステムである。運用システム1は、通信部40により、通信ネットワーク500を介して、除雪装置コントローラ61、第1車両コントローラ71、第2車両コントローラ81、第1利用者端末51、第2利用者端末52、店舗カメラ112、出入口カメラ122、駐車場カメラ123、及び天候情報サーバー600との間で通信を行う。
【0026】
メモリ30には、上述した利用者DB32、駐車区画DB33の他に、運用システム1の制御用プログラム31が保存されている。CPU10は、メモリ30に保存された制御用プログラム31を読み込んで実行することにより、利用者登録部11、雪状況認識部12、入場車両検知部13、駐車区画管理部14、駐車要求認識部15、特定駐車区画決定部16、除雪指示部17、除雪完了認識部18、及び駐車案内部19として機能する。
【0027】
ここで、雪状況認識部12により実行される処理は、本発明の除雪装置の運用方法における除雪状況認識ステップに相当し、駐車区画管理部14により実行される処理は、本発明の除雪装置の運用方法における駐車区画管理ステップに相当する。また、駐車要求認識部15により実行される処理は、本発明の除雪装置の運用方法における駐車要求認識ステップに相当し、特定駐車区画決定部16により実行される処理は、本発明の除雪装置の運用方法における特定駐車区画決定ステップに相当する。また、除雪指示部17により実行される処理は、本発明の除雪装置の運用方法における除雪指示ステップに相当する。
【0028】
利用者登録部11は、店舗110の各利用者の識別情報を利用者DB32に記録する。識別情報としては、利用者に対して発行された利用者ID(identification)、利用者の顔画像、利用者により使用される利用者端末の通信用アドレス、利用者が使用する車両の情報(車種、登録番号、搭載される車両コントローラの通信用アドレス等)等が記録される。雪状況認識部12は、天候情報サーバー500から提供される駐車場120がある地域の天候情報、及び駐車場カメラ123の撮影画像から認識される駐車場120の積雪及び降雪状況から、駐車場120の各駐車区画130の積雪状況と駐車場120の降雪状況を認識する。
【0029】
雪状況認識部12は、駐車場カメラ123の撮影画像から、積雪が全く無い、或いは積雪がある割合が所定%以下であって、車両の入庫に支障が無いと認識される空き駐車区画130について「積雪無」と判断し、積雪がある割合が所定%を超えていると認識される空き駐車区画130について、「積雪有」と判断する。なお、駐車場カメラ123の撮影画像から、積雪高さが認識できるときには、積雪高さが所定高さ以下である場合に積雪無と判断してもよい。
【0030】
また、利用者DB32に記録された車両の車種に応じて、「積雪無」と判断する積雪のレベルを変更するようにしてもよい。例えば、SUV(Sport Utility Vehicle)のように、雪道に対する走破性が高い車種については、「積雪無」と判断する積雪のレベルを高く設定(「積雪無」と判断する積雪部分の割合の閾値を高く設定、「積雪無」と判断する積雪高さの閾値を高く設定)してもよい。
【0031】
入場車両検知部13は、出入口カメラ122の撮影画像から、駐車場120に入場する車両を検知する。
図1の例では、第1車両70が検知される。駐車区画管理部14は、各駐車区画130の使用状況を認識して駐車区画DB33に記録する。
図3に示したように、駐車区画DB33には、駐車区画130毎に、駐車区画130のNo.33a、利用者情報33b、使用状況33c、入庫時刻33d、出庫時刻33e、出庫予測時刻33f、積雪33g、及び特定駐車区画33hが記録されている。
【0032】
No.33aは、駐車区画130の場所を列L1~L4と店舗110側からの番目により表す番号となっている。例えば、L3-3は、列L3の店舗110側から3番目の駐車区画130を示す。利用者情報33bには、駐車区画130を使用する利用者の識別情報が記録される。利用者識別情報としては、利用者DB32に記録された利用者ID、利用者端末の通信用アドレス、出入口カメラ122による撮影画像から抽出された利用者の顔画像等が記録される。
【0033】
使用状況33cには、各駐車区画130に設けられた入庫センサ131による検出情報に基づいて、駐車区画130が使用中であるか空きであるかが記録される。入庫時刻33dには、入庫センサ131により、駐車区画130への車両の入庫が検出された時刻が記録される。出庫時刻33eは、入庫センサ131により、駐車区画130からの車両の出庫が検出された時刻が記録される。
【0034】
出庫予測時刻33fには、駐車中の車両が出庫すると予測される時刻が記録される。
図1の例では、駐車区画管理部14は、店舗カメラ112の撮影画像から第2利用者U2の画像部分を抽出して、第2利用者U2の移動状況を認識する。第2利用者U2の画像部分の抽出は、利用者情報33bに記録された第2利用者U2の顔画像をテンプレートとしたパターンマッチング処理等により行われる。そして、駐車区画管理部14は、第2利用者U2が店舗110から出て行く状況が認識されたときに、例えば、認識時点から第1所定時間後に出庫予測時刻を設定して駐車区画DB33に記録する。また、駐車区画管理部14は、第2利用者端末52から店舗110での用事が終了したこと或いは用事の終了時刻を示す情報を受信したときも、出庫予測時刻を設定して駐車区画DB33に記録する。
【0035】
積雪33gには、雪状況認識部12により認識された空き駐車区画130の積雪の有無が記録される。特定駐車区画33hには、後述する特定駐車区画の決定指示が記録される。
図3の特定駐車区画33hでは、特定駐車区画として決定された駐車区画を「〇」のマーキングにより指示している。
【0036】
駐車要求認識部15は、入場車両検知部13による検知結果に基づいて駐車場120への駐車要求を認識する。駐車要求認識部15は、駐車場120に入場する車両が入場車両検知部13により検知されたときに、駐車場への駐車要求を認識する。また、店舗110における過去の来店者数の実績に基づいて、来店者が増加すると予測される日時になったときに、駐車場への駐車要求を認識するようにしてもよい。この場合、複数の空き駐車区画130の確保を要求する駐車要求を認識するようにしてもよい。
【0037】
特定駐車区画決定部16は、駐車要求認識部15により、駐車場120への駐車要求が認識されたときに、駐車区画DB33を参照して、積雪が無い空き駐車区画130があるか否かを判断する。そして、積雪が無い空き駐車区画130が無いときには、特定駐車区画決定部16は、積雪が有る駐車区画130の中から、以下の決定条件1,2の条件に従って、除雪の対象とする特定駐車区画を決定する。
図1の例では、駐車区画130aが特定駐車区画として決定されている。そして、特定駐車区画決定部16は、特定駐車区画として決定した駐車区画130について、駐車区画Db33の対応する特定駐車区画33hに決定指示を記録する。
【0038】
決定条件1…雪状況認識部12により駐車場120の降雪が認識されているときは、積雪がある空き駐車区画130のうち、出車時刻からの経過時間が第2所定時間(本発明の所定時間に相当する)以内である駐車区画130を、特定駐車区画として決定する。
決定条件2…雪状況認識部12により駐車場120の降雪が認識されているときは、積雪がある空き駐車区画130のうち、出庫時刻からの経過時間が短い駐車区画130を優先的に選択して、特定駐車区画として決定する。
【0039】
除雪指示部17は、駐車区画DB33を参照して、特定駐車区画33hに決定指示が記録された駐車区画130(
図3の例では、No.L3-3の駐車区画130)を認識したときに、特定駐車区画の除雪を指示する第1除雪指示情報を、除雪装置コントローラ61に送信する。第1除雪指示情報を受信した除雪装置コントローラ61は、除雪装置60を自律走行させて特定駐車区画の除雪を実行する。
【0040】
また、除雪指示部17は、駐車区画DB33を参照して、出庫予測時刻33fに出庫予測時刻が記録された駐車区画130である出庫予測駐車区画がある場合は、出庫予測時刻よりも前に設定した出庫対応除雪時刻から、出庫予測駐車区画の除雪を開始することを指示する第2除雪開始信号を、除雪装置コントローラ61に送信する。
図1の例では、駐車区画130bが出庫予測駐車区画となっている。第2除雪指示信号を受信した除雪装置コントローラ61は、除雪装置60を自律走行させて、出庫予測駐車区画130bの周辺、及び出庫予測駐車区画130bから駐車場120の出入口121までの経路を除雪する。
【0041】
除雪完了認識部18は、第1除雪指示情報或いは第2除雪指示情報の受信に応じて、除雪を行った除雪装置60の除雪装置コントローラ61から、除雪が完了したことを通知する除雪完了情報を受信することにより、除雪が完了したことを認識する。駐車区画管理部14は、第1除雪指示情報に応じた除雪が完了したことを認識したときには、駐車区画DB33における除雪が完了した特定駐車区画の決定指示の記録を削除する。また、駐車区画管理部14は、第2除雪指示情報に応じた除雪が完了したことを認識したときには、駐車区画DB33における周辺の除雪が完了した出庫予測駐車区画の出庫予測時刻の記録を削除する。
【0042】
駐車案内部19は、除雪完了認識部18により、特定駐車区画130aの除雪が完了したことを認識したときに、第1車両70の第1車両コントローラ71、及び第1利用者端末51に、除雪された特定駐車区画130aの場所を案内する駐車案内情報を送信する。
【0043】
また、駐車案内部19は、除雪完了認識部18により、第2車両80が駐車している出庫予測駐車区画130bの周囲及び出入口121までの除雪が完了したことが認識されたときは、第2利用者端末52に、第2車両80が駐車中の駐車区画の除雪が完了したことを通知する第2駐車案内情報を送信する。
【0044】
[3.除雪装置の運用処理]
図4に示したフローチャートに従って、
図1に示した状況において、運用システム1により実行される除雪装置60の一連の運用処理について説明する。
図1のステップS1で、駐車要求認識部15は、入場車両検知部13により、駐車場120に入場する第1車両70が検知されたか否かを判断する。そして、駐車場120に入場する第1車両70が検知されたときはステップS2に処理を進め、駐車場120に入場する第1車両70が検知されなかったときにはステップS10に処理を進める。
【0045】
ステップS10で、駐車区画管理部14は、店舗カメラ112の撮影画像から、店舗110からの退出が認識された第2利用者U2の有無を判断する。そして、駐車区画管理部14は、第2利用者U2を認識したときは、ステップS11に処理を進める。ステップS11で、駐車区画管理部14は、駐車区画DB33を参照して、第2利用者U2が第2車両80を駐車している駐車区画のNo.(
図1ではL2-9)を認識し、出庫予測時刻を駐車区画DBに書き込む。一方、ステップS10で、店舗110から退出する第2利用者U2が認識されなかったときには、駐車区画管理部14は、ステップS1に処理を進める。
【0046】
ステップS2で、特定駐車区画決定部16は、駐車区画DB33を参照して、空き駐車区画130があるか否かを判断する。そして、空き駐車区画130が無いときは、特定駐車区画決定部16は、ステップS20に処理を進めて、駐車場120が満車であることを通知する満車情報を、第1車両コントローラ71、又は第1利用者U1により使用される第1利用者端末51に送信する。満車情報を確認した第1利用者U1は、駐車場120が空くのを待つ、他の店舗に行く、等の対応をすることができる。
【0047】
一方、空き駐車区画130があったときには、特定駐車区画決定部16は、ステップS2からステップS3に処理を進め、駐車区画DB33を参照して、積雪の無い空き駐車区画130の有無を判断する。そして、特定駐車区画決定部16は、積雪の無い空き駐車区画130があるときは、ステップS7に処理を進め、この場合は、駐車案内部19により、積雪の無い空き駐車区画130を案内する第1案内情報が、第1車両コントローラ71、及び第1利用者端末51に送信される。
【0048】
また、積雪の無い空き駐車区画が無いときには、特定駐車区画決定部16は、ステップS3からステップS4に処理を進め、上記決定条件1,2に従って、特定駐車区画を決定する。
図1~
図3の例では、特定駐車区画決定部16は、積雪が有る空き駐車区画の中から、出庫時刻からの経過時間が最も短いNo.L3-3の駐車区画130aを、特定駐車区画として決定する。
【0049】
続くステップS5で、除雪指示部17は、除雪装置60に対して、特定駐車区画130aの除雪を指示する第1除雪指示情報を送信する。これにより、第1除雪指示情報を受信した除雪装置60によって、特定駐車区画130aが除雪される。続くステップS6で、除雪完了認識部18は、除雪装置60から、特定駐車区画130aの除雪が完了したことを通知する除雪完了情報を受信したときに、ステップS7に処理を進める。
【0050】
ステップS7で、駐車案内部19は、除雪が完了した特定駐車区画130aの位置、特定駐車区画130aまでの経路等を示す第1案内情報を、第1車両コントローラ71、及び第1利用者端末51に送信する。第1案内情報を確認した第1利用者U1は、第1車両70を特定駐車区画130aまで運転して第1車両70を駐車する。或いは、第1案内情報により、特定駐車区画130aの位置を認識した第1車両コントローラ71が、第1車両70を特定駐車区画まで自律走行させて、第1車両70を特定駐車区画130aに駐車させる。
【0051】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、本発明の駐車区画として、車両1台分の駐車スペースを有する駐車区画130を示したが、複数台の車両の駐車が可能なスペースを駐車区画としてもよい。例えば、
図1の例では、近接する複数の駐車区画130を含むエリアを駐車区画として扱い、エリアごとに除雪を行うようにしてもよい。
【0052】
上記実施形態では、特定駐車区画決定部16は、上記決定条件1,2に従って特定駐車区画を決定したが、他の決定条件に従って特定駐車区画を決定するようにしてもよい。例えば、積雪が有る空き駐車区画のうち、前回の除雪実施時刻からの経過時間が短い駐車区画を優先的に選択して、特定駐車区画として決定してもよい。或いは、積雪が有る空き駐車区画のうち、店舗110から最も近い駐車区画を、特定駐車区画として決定してもよい。
【0053】
上記実施形態では、除雪指示部17は、駐車区画から出庫する車両に対して、出庫の妨げとなる積雪を除雪する処理を行ったが、この処理を行わない構成としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、特定駐車区画の除雪が完了したときに、除雪完了情報を、第1車両70の第1車両コントローラ71、及び第1利用者U1が使用する第1利用者端末51に送信した。他の構成として、除雪完了信号を、第1車両70と第1利用者端末51のいずれか一方にのみ送信するようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、自律走行型の除雪装置60を示したが、運転者により運転操作される除雪装置であってもよい。この場合は、運転者により使用される運転者端末に対して、第1除雪指示信号及び第2除雪信号が送信される。運転者端末は、運転者により所持される携帯端末であってもよく、除雪装置に登載された端末であってもよい。
【0056】
上記実施形態では、店舗110とは別の場所に配置された除雪装置の運用システム1を示したが、店舗110に備えらえた管理システム115により、除雪装置の運用システム1を構成してもよい。
【0057】
なお、
図2は、本願発明の理解を容易にするために、除雪装置の運用システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、除雪装置の運用システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、
図2に示した各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…除雪装置の運用システム、10…CPU、11…利用者登録部、12…雪状況認識部、13…入場車両検知部、14…駐車区画管理部、15…駐車要求認識部、16…特定駐車区画管理部、17…除雪指示部、18…除雪完了認識部、19…駐車案内部、30…メモリ、31…制御用プログラム、32…利用者DB、33…駐車区画DB、40…通信部、51…第1利用者端末、52…第2利用者端末、60…除雪装置、61…除雪車両コントローラ、70…第1車両、71…第1車両コントローラ、80…第2車両、81…第2車両コントローラ、110…店舗、112…店舗カメラ、120…駐車場、121…(駐車場の)出入口、122…出入口カメラ、123…駐車場カメラ、130…駐車区画、500…通信ネットワーク、600…天候情報サーバー、U1…第1利用者、U2…第2利用者、S1,S2,S3…積雪。