(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】在庫管理装置、在庫管理方法および在庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20221117BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
B65G61/00 426
(21)【出願番号】P 2019055542
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 徹也
(72)【発明者】
【氏名】田中 樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132840(JP,A)
【文献】特開2017-220128(JP,A)
【文献】特開2005-100192(JP,A)
【文献】特開2003-296616(JP,A)
【文献】特開2018-060385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える在庫管理装置であって、
前記記憶部には、
商品を識別するための商品識別データと倉庫を識別するための倉庫識別データと前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分のいずれか一方の在庫区分とを含む在庫区分管理マスタと、
商品識別データと倉庫識別データと在庫区分と前記商品の在庫数量とを含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得手段と、
前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得手段と、
前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得手段で取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得手段で取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新手段と、
を備えること、
を特徴とする在庫管理装置。
【請求項2】
前記自社が、全国に複数の前記倉庫を有し、
前記複数の前記倉庫は、前記商品の需要が異なる地域にそれぞれ存在し、
前記受託品区分は、前記商品の需要が高い前記地域に存在する前記倉庫についての前記倉庫識別データに対して設定され、前記通常品区分は、前記商品の需要が低い前記地域に存在する前記倉庫についての前記倉庫識別データに対して設定されていること、
を特徴とする請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される在庫管理方法であって、
前記記憶部には、
商品を識別するための商品識別データと倉庫を識別するための倉庫識別データと前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分のいずれか一方の在庫区分とを含む在庫区分管理マスタと、
商品識別データと倉庫識別データと在庫区分と前記商品の在庫数量とを含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得ステップと、
前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得ステップと、
前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新ステップと、
を含むこと、
を特徴とする在庫管理方法。
【請求項4】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための在庫管理プログラムであって、
前記記憶部には、
商品を識別するための商品識別データと倉庫を識別するための倉庫識別データと前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分のいずれか一方の在庫区分とを含む在庫区分管理マスタと、
商品識別データと倉庫識別データと在庫区分と前記商品の在庫数量とを含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得ステップと、
前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得ステップと、
前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新ステップと、
を含むこと、
を特徴とする在庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理装置、在庫管理方法および在庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「販売子会社は顧客から商品を受注すると、サーバである期間内の需要予測と在庫の計画を立てて親会社に商品を発注する。親会社は販売子会社から商品を受注すると、サーバによりある期間内の需要予測と在庫の計画を立てて、商品を製造し、その製造した商品を受注分だけ販売子会社に納入して売上処理をする。」と開示されている(特許文献1の0003段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、自社(上記特許文献1では「販売子会社」)が仕入先(上記特許文献1では「親会社」)から商品を仕入れて在庫管理する際には、従来、以下のような課題があった。
【0005】
すなわち、従来においては、仕入先から仕入れた商品を受託品と通常品のどちらとして在庫管理するかを、商品が何であるかを考慮して決定することはできても、どの倉庫であるかということまで考慮して決定することはできなかった。
【0006】
例えば、同じ商品を仕入れるにしても、商品の需要が高い地域に存在する倉庫や大きい倉庫に仕入れる場合は、仕入れる商品を受託品として在庫管理することが好ましく、これに対して、商品の需要が低い地域に存在する倉庫や小さい倉庫に仕入れる場合は、仕入れる商品を通常品として在庫管理することが好ましい。しかしながら、従来においては、このような倉庫の事情まで考慮することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、商品が何であるかのみならず、どの倉庫であるかも考慮して、商品を受託品と通常品のどちらとして在庫管理するかを決定できる在庫管理装置、在庫管理方法および在庫管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る在庫管理装置は、制御部および記憶部を備える在庫管理装置であって、前記記憶部には、商品を識別するための商品識別データと倉庫を識別するための倉庫識別データと前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分のいずれか一方の在庫区分とを含む在庫区分管理マスタと、商品識別データと倉庫識別データと在庫区分と前記商品の在庫数量とを含む在庫データと、が格納されており、前記制御部は、前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得手段と、前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得手段と、前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得手段で取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得手段で取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新手段と、を備えること、を特徴とする。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る在庫管理装置は、前記自社が、全国に複数の前記倉庫を有し、前記複数の前記倉庫は、前記商品の需要が異なる地域にそれぞれ存在し、前記受託品区分は、前記商品の需要が高い前記地域に存在する前記倉庫についての前記倉庫識別データに対して設定され、前記通常品区分は、前記商品の需要が低い前記地域に存在する前記倉庫についての前記倉庫識別データに対して設定されていること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る在庫管理方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される在庫管理方法であって、前記記憶部には、商品を識別するための商品識別データと倉庫を識別するための倉庫識別データと前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分のいずれか一方の在庫区分とを含む在庫区分管理マスタと、商品識別データと倉庫識別データと在庫区分と前記商品の在庫数量とを含む在庫データと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得ステップと、前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得ステップと、前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る在庫管理プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための在庫管理プログラムであって、前記記憶部には、商品を識別するための商品識別データと倉庫を識別するための倉庫識別データと前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分のいずれか一方の在庫区分とを含む在庫区分管理マスタと、商品識別データと倉庫識別データと在庫区分と前記商品の在庫数量とを含む在庫データと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得ステップと、前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得ステップと、前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得ステップで取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得ステップで取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品が何であるかのみならず、どの倉庫であるかも考慮して、商品を受託品と通常品のどちらとして在庫管理するかを決定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、在庫管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、商品の需要が高い地域における商品流通の流れの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、商品の需要が低い地域における商品流通の流れの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、受託品マスタおよび在庫データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、発注時に、商品を受託品として在庫計上する場合の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、発注時に、商品を通常品として在庫計上する場合の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、受注時に、商品を受託品として在庫払出する場合の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、受注時に、商品を通常品として在庫払出する場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る在庫管理装置、在庫管理方法および在庫管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0015】
[1.構成]
本実施形態に係る在庫管理装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、在庫管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
在庫管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、在庫管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0017】
在庫管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。在庫管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0018】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、在庫管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、在庫管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0019】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0020】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0021】
記憶部106は、例えば、在庫区分管理マスタとしての受託品マスタ106aと、在庫データ106bと、を備えている。
【0022】
受託品マスタ106aは、商品を受託品として扱うかどうかを、物品および倉庫の組合せにより管理するためのマスタである。受託品マスタ106aは、
図4に示すように、例えば、商品を識別するための商品識別データ(物品)と、倉庫を識別するための倉庫識別データ(倉庫)と、前記商品が得意先から受注を受けた後に仕入先にその都度発注する通常品であることを示す区分である通常品区分(「通常品」の在庫区分)および前記商品が前記得意先から前記受注を受ける前に予め纏めて前記仕入先に発注して自社で管理する受託品であることを示す区分である受託品区分(「受託品」の在庫区分)のいずれか一方の在庫区分と、等を含む。
【0023】
ここで、前記自社が、全国に複数の前記倉庫を有し、かつ、前記複数の前記倉庫は、前記商品の需要が異なる地域にそれぞれ存在するまたは大きさがそれぞれ違うという前提があるとすると、前記受託品区分および前記通常品区分は、以下のように設定されることが好ましい。すなわち、前記受託品区分は、前記商品の需要が高い前記地域に存在する前記倉庫または規模が大きい前記倉庫についての前記倉庫識別データに対して設定されることが好ましく、これに対して、前記通常品区分は、前記商品の需要が低い前記地域に存在する前記倉庫または規模が小さい前記倉庫についての前記倉庫識別データに対して設定されることが好ましい。
【0024】
在庫データ106bは、在庫を管理するためのデータであり、受託品および通常品それぞれの在庫を確認可能である。在庫データ106bは、
図4に示すように、例えば、前記倉庫識別データ(倉庫)と、前記商品識別データ(物品)と、前記在庫区分と、前記商品の在庫数量(数量)と、等を含む。
【0025】
制御部102は、在庫管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0026】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記在庫区分管理マスタから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する在庫区分取得手段としての在庫区分取得部102aと、(2)前記在庫データから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分と紐付く在庫数量を取得する在庫数量取得手段としての在庫数量取得部102bと、(3)前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分が前記受託品区分である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得手段で取得した前記在庫数量を前記受託品として更新し、前記在庫区分取得手段で取得した前記在庫区分が前記通常品区分である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、前記在庫数量取得手段で取得した前記在庫数量を前記通常品として更新する在庫数量更新手段としての在庫数量更新部102cと、を備えている。
【0027】
在庫区分取得部102aは、商品識別データと倉庫識別データと在庫区分(「通常品」または「受託品」)とを含む受託品マスタ106aから、入力された商品識別データおよび倉庫識別データと紐付く在庫区分を取得する。
【0028】
在庫数量取得部102bは、商品識別データと倉庫識別データと在庫区分(「通常品」または「受託品」)と在庫数量とを含む在庫データ106bから、前記入力された商品識別データおよび倉庫識別データならびに在庫区分取得部102aで取得した在庫区分と紐付く在庫数量を取得する。
【0029】
在庫数量更新部102cは、在庫区分取得部102aで取得した在庫区分が「受託品」である場合、入力された前記商品の数量に基づいて、在庫数量取得部102bで取得した在庫数量を受託品として更新し、在庫区分取得部102aで取得した在庫区分が「通常品」である場合、前記入力された前記商品の数量に基づいて、在庫数量取得部102bで取得した在庫数量を通常品として更新する。
【0030】
[2.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。なお、本項目における説明の前提として、受託品マスタ106aの設定内容は、
図4に示すとおりであるとし、また、処理開始時点での在庫データ106bの内容は、
図4に示すとおりであるとする。
【0031】
[2-1.発注の場合]
商品を発注して入荷する際には、物品および倉庫の組合せを考慮して、商品が受託品と通常品のどちらで在庫計上されるか自動判断される。受託品として在庫計上される場合の例を以下の(1)で説明し、通常品として在庫計上される場合の例を以下の(2)で説明する。
【0032】
(1)受託品として在庫計上される場合
発注時に、
図5の発注入力画面に示すように、発注番号として「HA001」が入力され、入荷倉庫として「東京倉庫」が入力され、発注日として「2019/1/20」が入力され、物品として「商品A」が入力され、数量として「50」が入力され、仕入先として「株式会社○○」が入力されたとする。
【0033】
まず、在庫区分取得部102aは、
図4の受託品マスタ106aから、前記入力された物品「商品A」および入荷倉庫「東京倉庫」と紐付く在庫区分として、「受託品」を取得する。
【0034】
次に、在庫数量取得部102bは、
図4の在庫データ106bから、前記入力された物品「商品A」および入荷倉庫「東京倉庫」ならびに在庫区分取得部102aで取得した在庫区分「受託品」と紐付く在庫数量として、「1,000」を取得する。
【0035】
最後に、在庫数量更新部102cは、
図5に示すように、在庫数量取得部102bで取得した在庫数量「1,000」に、前記入力された数量「50」を加算することにより、在庫数量を受託品として「1,050」に更新する。これにより、東京倉庫かつ商品Aの更新後の在庫数量「1,050」について、受託品として在庫管理していくことが可能となる。
【0036】
(2)通常品として在庫計上される場合
発注時に、
図6の発注入力画面に示すように、発注番号として「HA002」が入力され、入荷倉庫として「大阪倉庫」が入力され、発注日として「2019/1/20」が入力され、物品として「商品A」が入力され、数量として「80」が入力され、仕入先として「株式会社××」が入力されたとする。
【0037】
まず、在庫区分取得部102aは、
図4の受託品マスタ106aから、前記入力された物品「商品A」および入荷倉庫「大阪倉庫」と紐付く在庫区分として、「通常品」を取得する。
【0038】
次に、在庫数量取得部102bは、
図5の更新後の在庫データ106bから、前記入力された物品「商品A」および入荷倉庫「大阪倉庫」ならびに在庫区分取得部102aで取得した在庫区分「通常品」と紐付く在庫数量として、「200」を取得する。
【0039】
最後に、在庫数量更新部102cは、
図6に示すように、在庫数量取得部102bで取得した在庫数量「200」に、前記入力された数量「80」を加算することにより、在庫数量を通常品として「280」に更新する。これにより、大阪倉庫かつ商品Aの更新後の在庫数量「280」について、通常品として在庫管理していくことが可能となる。
【0040】
[2-2.受注の場合]
商品を受注して出荷する際には、物品および倉庫の組合せを考慮して、商品が受託品と通常品のどちらで在庫払出されるか自動判断される。受託品として在庫払出される場合の例を以下の(1)で説明し、通常品として在庫払出される場合の例を以下の(2)で説明する。
【0041】
(1)受託品として在庫払出される場合
受注時に、
図7の受注入力画面に示すように、受注番号として「JU001」が入力され、出荷倉庫として「東京倉庫」が入力され、受注日として「2019/1/30」が入力され、物品として「商品A」が入力され、数量として「250」が入力され、得意先として「株式会社△△」が入力されたとする。
【0042】
まず、在庫区分取得部102aは、
図4の受託品マスタ106aから、前記入力された物品「商品A」および出荷倉庫「東京倉庫」と紐付く在庫区分として、「受託品」を取得する。
【0043】
次に、在庫数量取得部102bは、
図6の更新後の在庫データ106bから、前記入力された物品「商品A」および出荷倉庫「東京倉庫」ならびに在庫区分取得部102aで取得した在庫区分「受託品」と紐付く在庫数量として、「1,050」を取得する。
【0044】
最後に、在庫数量更新部102cは、
図7に示すように、在庫数量取得部102bで取得した在庫数量「1,050」から、前記入力された数量「250」を減算することにより、在庫数量を受託品として「800」に更新する。これにより、東京倉庫かつ商品Aの更新後の在庫数量「800」について、受託品として在庫管理していくことが可能となる。
【0045】
(2)通常品として在庫払出される場合
受注時に、
図8の受注入力画面に示すように、受注番号として「JU002」が入力され、出荷倉庫として「大阪倉庫」が入力され、受注日として「2019/1/30」が入力され、物品として「商品A」が入力され、数量として「130」が入力され、得意先として「株式会社□□」が入力されたとする。
【0046】
まず、在庫区分取得部102aは、
図4の受託品マスタ106aから、前記入力された物品「商品A」および出荷倉庫「大阪倉庫」と紐付く在庫区分として、「通常品」を取得する。
【0047】
次に、在庫数量取得部102bは、
図7の更新後の在庫データ106bから、前記入力された物品「商品A」および出荷倉庫「大阪倉庫」ならびに在庫区分取得部102aで取得した在庫区分「通常品」と紐付く在庫数量として、「280」を取得する。
【0048】
最後に、在庫数量更新部102cは、
図8に示すように、在庫数量取得部102bで取得した在庫数量「280」から、前記入力された数量「130」を減算することにより、在庫数量を通常品として「150」に更新する。これにより、大阪倉庫かつ商品Aの更新後の在庫数量「150」について、通常品として在庫管理していくことが可能となる。
【0049】
[2-3.その他の形態]
以上、[2-1]および[2-2]においては、受託品マスタ106aにおいて、商品が同じであるが倉庫が異なる場合に異なる在庫区分を設定している例について説明したが、商品が同じでありかつ倉庫が同じ場合であっても異なる在庫区分を設定することは可能である。すなわち、受託品マスタ106aにおいて、例えば、
商品A 東京倉庫 受託品
商品A 東京倉庫 通常品
という設定をすることも可能である。この場合、在庫区分取得部102aがどちらの在庫区分を優先して取得するかは、ユーザが任意に設定可能である。
【0050】
前記任意に設定可能とは、例えば、どちらか一方の在庫区分を固定で取得する設定としてもよいし、または、期間に応じてどちらの在庫区分を取得するかを変える設定としてもよい。後者の例としては、例えば、自社と仕入先との間で契約を結んで、契約を結んだ日から3年目までは受託品を優先して取得し、3年目より後は通常品を優先して取得する等の設定である。
【0051】
[3.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る在庫管理装置100によれば、商品が何であるかのみならず、どの倉庫であるかも考慮して、商品を受託品と通常品のどちらとして在庫管理するかを決定できる。
【0052】
ここで、商品を仕入れる際には、ある程度の取引が見込める物品(商品)について、予め纏まった在庫を受託することがあるが、倉庫(地域)によって、倉庫が小さいまたは商品の需要が小さいために受託不可能な場合がある。従来においては、物品(商品)のみを考慮して受託するかどうか決定していたが、本実施形態においては、倉庫(地域)毎の需要も見て、商品を受託するか否か(受託品として扱うか否か)を決定することを可能とした。
【0053】
これにより、本実施形態においては、例えば、全国に物流センターが存在し、それぞれの地域で需要に差がある場合に、物品だけでなく、倉庫(地域)と物品とを考慮して、商品を受託するか否か(受託品として扱うか否か)を判断可能となった。なお、前提として、受託での取引は、自社での状況だけでなく、ステークホルダーとの契約(仕入先との契約期間や不動在庫についての買取条件等)に準ずるものとする。そのため、取引形態の切り替え(受託品マスタ106aにおける在庫区分の切り替え)には、得意先および仕入先との折衝交渉および人の判断等が必要となる。
【0054】
以下、商品を受託品として管理する場合および商品を通常品として管理する場合それぞれの効果について、説明する。
【0055】
需要と供給が大きい地域の場合、
図2に示すように受託品として在庫を預る(纏めて発注を行う)ことで、例えば、以下のような効果が期待できる。まず、自社視点で考えた場合、得意先への販売機会の損失を防ぐことができる。また、仕入先視点で考えた場合、一度に纏めての配送となる為、配送コストを削減することができる。そして、得意先視点で考えた場合、納品までのリードタイムが減少する。
【0056】
これに対して、需要と供給が小さい地域の場合、
図3に示すように通常品として在庫を預る(都度発注を行う)ことで、例えば、以下のような効果が期待できる。すなわち、自社視点で考えた場合、自社での在庫管理コストを低減し、また、BS上の棚卸高を削減することができる。
【0057】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0058】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0059】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0060】
また、在庫管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0061】
例えば、在庫管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて在庫管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0062】
また、このコンピュータプログラムは、在庫管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0063】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0064】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0065】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0066】
また、在庫管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、在庫管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0067】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、全国に物流センターが存在し、かつ、それぞれの地域で商品の需要に差がある業種および業界において有用である。
【符号の説明】
【0069】
100 在庫管理装置
102 制御部
102a 在庫区分取得部
102b 在庫数量取得部
102c 在庫数量更新部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 受託品マスタ
106b 在庫データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク