(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ガイド光照射装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/00 103D
(21)【出願番号】P 2019067256
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 彰信
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-098529(JP,A)
【文献】特開2004-138382(JP,A)
【文献】特開2015-040831(JP,A)
【文献】特開平06-074770(JP,A)
【文献】特開平11-304465(JP,A)
【文献】実開平05-028925(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量作業員に方向を示すためのガイド光を照射するガイド光照射装置であって、
照射方向を中心として左右で異なる態様のガイド光を照射する照射機を複数備え、
前記複数の照射機は上下方向に並設され、
それぞれの前記照射機から照射された
前記ガイド光の合成光が合成ガイド光として照射され
、
前記複数の照射機は、その照射方向が、水平方向には一致し、かつ鉛直方向には所定角度を成すよう配置される、
ことを特徴とするガイド光照射装置。
【請求項2】
前記複数の照射機の照射方向が成す所定角度は、前記照射機単一における鉛直方向の光の拡散角度よりも小さくなるように構成される、
ことを特徴とする
請求項1に記載のガイド光照射装置。
【請求項3】
前記照射方向が所定角度を成す
前記複数の照射機の光出射部同士の鉛直方向の距離は、前記ガイド光照射装置の想定使用
距離だけ離れた点から各前記光出射部までの線分の成す角度が1分以下となるように構成される、
ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のガイド光照射装置。
【請求項4】
前記複数の照射機のそれぞれの集光レンズは、共通する単一のものとして構成される、
ことを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれかに記載のガイド光照射装置。
【請求項5】
前記複数の照射機のそれぞれの光学部材は、共通する単一のものとして構成される、
ことを特徴とする
請求項1~請求項4のいずれかに記載のガイド光照射装置。
【請求項6】
前記照射機はそれぞれ、前記ガイド光の左右それぞれの態様の光を出射する一対の光源と、前記一対の光源の出射光を左右で態様が異なる光として形成する光学部材と、
前記ガイド光を出射する集光レンズを有する、
ことを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれかに記載のガイド光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量作業員を誘導するためのガイド光を照射するガイド光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測量の現場において、ガイド光を照射して測量用ポールを持っている測量作業者へ杭打ち点を示すガイド光照射装置が知られている。例えば、特許文献1では、水平面内で視準軸を境界として左右で異なる色の発光ダイオードを点灯させ、左右の異なる色のガイド光が均等に見える位置に測量作業員を誘導し、目標地点としての測設点近隣に迅速に移動させることができるようにしている。上下方向に長く伸びる扇状のレーザー光をガイド光に使用しており、高低差のある測量現場でもガイド光を見つけやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ガイド光照射光学系にシリンドリカルレンズを用いてガイド光照射範囲を上下方向に広げることによって上下方向に伸びる扇状のガイド光を作り出しており、ガイド光が拡散する分ガイド光到達距離(測量作業者がガイド光を視認できる距離)が短くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、ガイド光到達距離を伸ばすと共に、ガイド光の照射範囲を上下方向に拡大したガイド光照射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明のある態様においては、測量作業員に方向を示すためのガイド光を照射するガイド光照射装置であって、照射方向を中心として左右で異なる態様のガイド光を照射する照射機を複数備え、前記複数の照射機は上下方向に並設され、それぞれの照射機から照射されたガイド光の合成光が合成ガイド光として照射されるよう構成した。
【0007】
このように構成することで、上下方向に配置されたそれぞれの照射機からガイド光が照射され、遠くにあってはそれぞれの光源の明るさを足し合わせた合成ガイド光として認識されるため、ガイド光到達距離を長くでき、かつ上下に配置されているため、上下方向にガイド光の照射範囲を伸ばすことができる。
【0008】
またある態様では、前記照射機はそれぞれ、前記ガイド光の左右それぞれの態様の光を出射する一対の光源と、前記一対の光源の出射光を左右で態様が異なる光として形成する光学部材と、ガイド光を出射する集光レンズを有するように構成した。この態様においては、照射機はガイド光を左右で異なる光として照射できる。
【0009】
またある態様では、前記複数の照射機は、その照射方向が、水平方向には一致し、かつ鉛直方向には所定角度を成すよう配置されるよう構成した。この態様においては、上下方向の光の照射範囲を伸ばすことができる。
【0010】
またある態様においては、前記複数の照射機の照射方向が成す所定角度は、前記照射機単一における鉛直方向の光の拡散角度よりも小さくなるように構成した。このように構成することで、二つのガイド光の照射範囲がカバーしない隙間の発生を防ぐことができる。
【0011】
またある態様においては、前記照射方向が所定角度を成す複数の照射機の光出射部同士の鉛直方向の距離は、前記ガイド光照射装置の想定使用距離からの点から各前記光出射部までの線分の成す角度が1分以下となるように構成した。この態様においては、照射範囲が重なる範囲では、各光源から照射された光が加算されて見えるため、ガイド光の到達距離が伸長される。これにより、起伏に富んだ場所でも使用でき、かつガイド光を見つけやすいという効果が得られる。
【0012】
またある態様では、前記複数の照射機のそれぞれの集光レンズは、共通する単一のものとして構成した。この態様においては、部品の共通化により部品点数を削減でき、また装置全体を小型化できる。
【0013】
またある態様では、前記複数の照射機のそれぞれの光学部材は、共通する単一のものとして構成した。この態様においては、各ガイド光の色の境界方向を一致させる必要がなく、調整が不要となる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ガイド光到達距離が延伸され、かつ上下方向に伸びたガイド光が照射される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るガイド光照射装置の概要を示すための概略斜視図である。
【
図2】ガイド光照射装置の照射機能である照射機の基本構成を説明するための説明図であり、(A)が照射機の水平断面図で、(B)が側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るガイド光照射装置を示し、照射機の配置を説明するための説明図である。(A)が斜視図、(B)が正面図、(C)が左側面図である。
【
図4】同ガイド光照射機の概略左側面図であり照射光の状態や構成部材の配置を説明するための説明図である。
【
図5】第2の実施形態に係るガイド光照射装置を示し、照射機の配置を説明するための説明図である。(A)が斜視図、(B)が正面図、(C)が左側面図である。
【
図7】第3の実施形態に係るガイド光照射装置の概略側面図である。
【
図8】第4の実施形態に係るガイド光照射装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
(発明概要)
図1は、本発明に係るガイド光照射装置1の概要を示すための概略斜視図である。ガイド光照射装置1は、中央を境に左右で態様の異なる光で構成される合成ガイド光SGを照射可能な装置であり、測距・測角機能を備えたトータルステーション2に搭載されている。
【0018】
ガイド光照射装置1は、上下方向に並設された照射機105,205を備える。照射機105,205それぞれから照射される光の合成光が合成ガイド光SGとしてガイド光照射装置1から照射される。合成ガイド光SGの照射方向とトータルステーション2の視準方向とは水平方向で一致するよう構成されているため、水平面上でトータルステーション2の視準軸を境界として左右で態様の異なり、かつ上下方向に伸びる扇状の合成ガイド光SGが照射される。
【0019】
使用の方法としては、まずトータルステーション2を既知点に据えつけ、杭打ち点Pの方向に視準させ、ガイド光照射装置1により合成ガイド光SGを照射する。トータルステーション2のターゲットであるプリズム3が装備されたポール4を持った作業者は、ガイド光照射装置1から見える合成ガイド光SGの態様により、左右どちらへ移動すべきかを自身で判断することができる。例えば本実施形態では合成ガイド光SGは作業者側からみて右側が赤色の光、左側が緑色の光となるよう構成されているため、作業者が赤色の光を確認した場合には、杭打ち点Pよりも右側にいることになるので、トータルステーション2と向き合って現在地より左側へ移動すればよい。このようにして合成ガイド光SGの左右の色が均等に見える方向であるトータルステーション2の視準方向へと作業者は誘導される。杭打ち点Pへの方向誘導がなされたのち、トータルステーション2でプリズム3を測距して距離が確認することにより、杭打ち点Pを設定することが出来る。
【0020】
合成ガイド光SGは鉛直方向に長く伸びる光であるため、
図1のようにトータルステーション2設置位置と杭打ち点Pとに高低差があっても、作業者は合成ガイド光SGを確認することができる。また合成ガイド光SGは光度が高く、ガイド光照射装置1の使用範囲(作業者が合成ガイド光SGを視認できる距離および範囲)は比較的広いものとなっている。合成ガイド光SGは明るく、視認される範囲が広いため、作業者が見つけやすいものとなっている。
【0021】
合成ガイド光SGには、左右異なる色の光を用いる他、一方が点滅光で他方が連続光、あるいは左右で点滅周期が異なる光など、様々な態様の光を用いることができる。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るガイド光照射装置1の構成を説明する前に、まず光照射機構の基本構成を備えた照射機5を、図を用いて説明する。
図2は照射機5であり、(A)は照射機5の水平断面図、(B)は照射機5の照射光(ガイド光)を示すための側面図である。
図2ではガイド光の状態を説明するために照射光を着色している。
図2(B)では発光ダイオード7a,7bを省略して光源7aS,7bSのみで示し、筐体も省略している(後述の
図4、
図6、
図7、
図8、
図9についても同様)。光源7aS,7bSは側面視して配置が一致するため、後方配置された一方をカッコ内に示す。
図2においては、各角度は実際の比率を反映したものでなく、構成を模式的に表している(後述の
図3~
図9についても同様)。
【0023】
図2(A)に示すように、照射機5は光学系として、一対の発光ダイオード7a,7b、直角ミラー6、集光レンズとしてコリメートレンズであるレンズ8を有する。これら光学系は筐体9に保持されている。
【0024】
直角ミラー6は反射面6a,6bを有し、両者の成す角は直角となっている。レンズ8が箱状の筐体9の先端開口部に固設され、その光軸L上のレンズ8の後方焦点を通る鉛直線に反射面6a,6bの稜線が一致するように直角ミラー6が配置されている。反射面6a,6bは、レンズ8の方を向いており、かつ光軸Lとは逆方向へ等角度傾斜している。一方の反射面6aの反射光軸La上には赤色の発光ダイオード7aが、また他方の反射面6bの反射光軸Lb上には緑色の発光ダイオード7bが、それぞれ配置されている。赤色の発光ダイオード7aの光源7aSから照射された赤色光が反射面6aで、緑色の発光ダイオード7bの光源7bSから出射された緑色光が反射面6bで、それぞれ反射し、光軸Lの鉛直線に発光色が二分された状態で、ガイド光Gとしてレンズ8から照射される。
【0025】
図2(B)に示すように、レンズ8から出射したガイド光Gは、光軸Lを照射方向として、鉛直方向には拡散角度(広がり角度)αで広がりながら前方に照射される。遠くからレンズ8を覗き込んだときの結像位置(後方焦点)に直角ミラー6の頂点が配置されているため、赤色と緑色の光の境界を鮮明に際立たせて投影することができる。
【0026】
ガイド光照射装置1は、上記構成を有する二つの照射機105,205を備えている。
図3は各照射機の配置を説明するための配置図であり、(A)が斜視図、(B)が正面図、(C)が左側面図である。
図4はガイド光照射装置1の照射光の状態や構成部材の配置を説明するための概略左側面図である。
【0027】
図3に示すように、照射機105,205はその照射方向である光軸L1,L2が、水平方向には一致し、かつ鉛直方向には所定角度βを成すように、照射機105を上方、照射機205を下方として、レンズ108,208のある端部側を寄せ合うように傾けて上下に並設される。
【0028】
図4に示すように、照射機105は
図2と同様の構成で、直角ミラー106がレンズ108の光軸L1上に配置されており、光源107aS,107bSから出射した光が直角ミラー106により鉛直軸で左右態様の異なるガイド光G1として形成され、照射方向を光軸L1としてレンズ108から前方へ照射される。
【0029】
照射機205も同様であり、直角ミラー206がレンズ208の光軸L2上に配置されており、光源207aS,207bSから出射した光が直角ミラー206により鉛直軸で左右態様の異なるガイド光G2として形成され、照射方向を光軸L2としてレンズ208から前方へ照射される。
【0030】
照射機105,205の鉛直方向に成す角度βが単一の照射機105,205の鉛直方向の光の拡散角度αよりも小さくなるように、各配置は調整されている。このように配置することで照射機105,205の照射範囲でカバーされない隙間の発生を防止することができる。
【0031】
ここで、照射機105,205の配置距離d(レンズ108,208の中心間距離)は、ガイド光照射装置1の想定される使用距離を想定使用距離Aとして、想定使用距離Aだけ離れた点とレンズ108,208の中心までの線分が成す角度γ(γ=tan-1(d/A)*180/π)が1分(1/60度)以下となるように設定する。これは、視力1.0の人の目の角度分解能(視角)は1分であるため、視角1分以下の範囲に複数の光源がある場合、個々に分かれた光源ではなく、各光源を単一で見たときの明るさを足し合わせた1つの光源として見えるためである。即ち、角度γを1分以下とすることで、照射機105,205から照射された光が作業者には加算されて見え、合成ガイド光SGの到達距離を単一の照射機105のガイド光G1よりも伸長する効果を得ることが出来る。さらに上下方向配置され、かつ二つの照射機が上下に向けて照射しており、合成ガイド光SGはガイド光G1よりも上下に伸長し、起伏のあるところでも使用でき、かつ見つけやすいものとなっている。
【0032】
想定使用距離Aは、使用する発光ダイオードの輝度やレンズから決定される合成ガイド光SGの到達限界距離等の仕様や、要求される許容高低差等の使用条件により決定される。
【0033】
(第2実施形態)
図5は第2の実施形態に係るガイド光照射装置101に備えられる照射機の配置を説明するための配置図であり、(A)が斜視図、(B)が正面図、(C)が左側面図である。
図6はガイド光照射装置101の照射光の状態や構成部材の配置を説明するための概略左側面図である。
【0034】
図5に示すように、ガイド光照射装置101は、上下方向に並列に配置された3つの照射機305,405,505を備える。
【0035】
照射機が3以上となった場合でも第1の実施形態同様であり、照射機305,405,505はその照射方向である光軸L3,L4,L5が、水平方向には一致し、かつ隣接する照射機同士の光軸(L3とL4及びL4とL5)は鉛直方向には所定角度βを成すように、レンズ308,408,508のある端部側を寄せあるように傾けて、上から照射機305,405,505の順で上下方向に並設されている。
【0036】
図6に示すように、照射機305は、一対の光源307aS,307bS、直角ミラー306、レンズ308を、照射機405は、一対の光源407aS,407bS、直角ミラー406、レンズ408を、照射機505は、一対の光源507aS,507bS、直角ミラー506、レンズ508を、それぞれ
図2と同構成で有している。
【0037】
各照射機305,405,505から照射されたガイド光G3,G4,G5の合成光がガイド光照射装置101の合成ガイド光SG1となる。各ガイド光の照射方向は各光軸の方向であり、鉛直方向の所定角度βは鉛直方向の拡散角度α以下となるように構成されているため、合成ガイド光SG1のカバーしない隙間が生じることがない。
【0038】
隣接する照射機同士の配置距離dについても第1の実施形態同様、想定使用距離Aからのレンズ中心との線分が成す角度γは1分以下となるよう構成されている。
【0039】
ガイド光照射装置101から照射される合成ガイド光SG1は、想定使用距離Aから見ると各光源の明るさを足し合わせた1つの光として視認される。
【0040】
三つの照射機305,405,505が用いられているため、合成ガイド光SG1の光度は単一の照射機5を使用する場合のガイド光Gや、第1の実施形態での二つの照射機による合成ガイド光SGの光度よりも高く見え、こられに比べてガイド光照射装置101は使用距離を伸ばすことができる。前記の形態よりも合成ガイド光SG1をより上下方向に伸ばすことができるため、起伏のある場所等でも幅広く使用することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図7は第3の実施形態に係るガイド光照射装置201の構成を示す概略側面図である。ガイド光照射装置201は、第1の実施形態と同様に二つの上下方向に配置された照射機605,705を備える。照射機605,705においては、二つの一対の光源607aS,607bSと707aS,707bS、二つの直角ミラー606,706を備えるが、レンズは共通化され、共通のレンズ608が一つだけ用いられている点が第1の実施形態と異なる。
【0042】
光源と直角ミラーの配置は第1の実施形態と同様であり、照射機605においては一対の光源607aS,607bSからの出射光が直角ミラー606で反射されて鉛直方向を境として左右で光の態様が異なるガイド光G6が形成され、照射機705においては、一対の光源707aS,707bSからの出射光が同様に直角ミラー706で反射してガイド光G6と同形態のガイド光G7が形成される。直角ミラー606,706は、レンズ608の光軸L6を含む鉛直面にその稜線が一致するよう配置されている。直角ミラー606,706及びこれに対応する各光源は、レンズ608の中心軸を境として上下に対称配置されている。
【0043】
ガイド光G6,G7の両方が単一のレンズ608に入射して両者が表面から前方へ合成ガイド光SG2として出射する。
【0044】
レンズ608中央より上方に配置された直角ミラー606で形成されたガイド光G6は、全体として正面よりもやや上方からレンズ608に入射し、レンズ608表面から下方へ緩角度傾いて照射される。同様に、レンズ608中央よりも下方に配置された直角ミラー706で形成されたガイド光G7は、正面よりもやや下方からレンズ608に入射し、レンズ608表面から上方へ緩角度傾いて照射される。
【0045】
照射機605,705のガイド光G6,G7のレンズ608からの出射方向である照射方向DR6,DR7、さらに光軸L6は、レンズ608中心で互いが交差する。即ち、照射機605,705は、そのガイド光G6,G7がレンズ608中心を通るように配置を調整されている。他の実施形態同様、照射方向DR6,DR7の成す角度βは、各ガイド光G6,G7の鉛直方向の光の拡散角度αよりも小さくなるように構成されている。
【0046】
第1実施形態では各照射機はそれぞれレンズを備えたが、本実施形態ではレンズは共通化して、ガイド光照射装置201は単一のレンズ608のみ備える構成となっている。このように構成することで、レンズ間距離である配置距離d(
図4および
図6参照)を0とでき、装置の小型化、および部品点数削減による簡素化を図ることができる。
【0047】
(第4の実施形態)
図8は第4の実施形態に係るガイド光照射装置301の構成を示す概要側面図である。ガイド光照射装置301は、二つの上下方向に配置された照射機805,905を備える。照射機805,905においては、それぞれ一対の光源807aS,807bS、907aS,907bSを備えるが、レンズは共通の単一のレンズ808、直角ミラーは共通の単一の直角ミラー806を有する。二つの照射機のレンズを共通化した第3の実施形態から、さらに直角ミラーを共通化した形態となっている。
【0048】
直角ミラー806はレンズ808の光軸L8上でレンズ808の後方焦点の鉛直線に稜線が一致するように配置されている。
【0049】
上下に配置された照射機805,905の一対の光源807aS,807bS、907aS,907bSは、レンズ808の中央水平面を軸として上下対称に配置されている。これらは、直角ミラー806での反射光が光軸L8に対してやや下方/上方を向くように、ダイオードのレンズ形状を調整、あるいは互いは正対しつつ水平方向よりも傾いて配置されるよう調整することが好ましい。
【0050】
上方に配置された照射機805の一対の光源807aS,807bSの出射光が直角ミラー806の上方部で反射されてガイド光G8が形成される。ガイド光G8は、全体としてレンズ808に下方へ角度をつけて入射する。同様に、下方に配置された照射機905の一対の光源907aS,907bSの出射光が直角ミラーの下方部で反射されてガイド光G9が形成される。ガイド光G9は、全体としてレンズ808に上方へ角度をつけて入射する。
【0051】
照射機805,905のガイド光G8,G9のレンズ808からの出射方向である照射方向DR8,DR9、さらに光軸L8は、レンズ808中心で互いが交差する。即ち、照射機805,905は、そのガイド光G8,G9がレンズ808中心を通るように配置を調整されている。ガイド光G8,G9の合成光が合成ガイド光SG3として照射される。
【0052】
他の実施形態同様、照射機805,905のガイド光G8,G9の照射方向DR8,DR9の成す角度βは、各ガイド光G8,G9の鉛直方向の光の拡散角度αよりも小さくなるように構成されている。
【0053】
複数の照射機を水平方向に並設する場合、各ガイド光の境界方向(鉛直方向)を一致させる調整が必要であるが、本実施形態では各照射機の直角ミラーを共通化し、単一の直角ミラー806を用いたため、その調整が不要となった。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例である。例えば、直角ミラーのみ共通化し、レンズは複数用いるよう構成してもよい。また照射機を4以上用いることも可能である。
【0055】
図9に変形例としてガイド光照射装置301Aを示す。ガイド光照射装置301Aは、ガイド光照射装置301に、さらにレンチキュラーレンズ810を追加した構成となっている。レンチキュラーレンズは一方向に光を拡散させる性質を有しており、レンチキュラーレンズ810はレンズ808の出射面前方の光軸L8上に、上下方向に光を拡散させるよう方向を合わせて配置されている。レンチキュラーレンズ810を介して出射される合成ガイド光SG3Aは、合成ガイド光SG3よりもさらに鉛直方向に長く伸びたものとなるため、より起伏の激しい場所に利用できる。
【0056】
このような変形や組み合わせは当業者の知識に基づいて行うことができ、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1,101,201,301 ガイド光照射装置
5、105、205 照射機
6 106、206 直角ミラー
7a,7b 発光ダイオード
8、108、208 レンズ
9 筐体
7aS,7bS,107aS,107bS、207aS,207bS 光源
A 想定使用距離
d 距離
DR6~DR9 照射方向
SG,SG1~SG3 合成ガイド光
G,G1~G9 ガイド光
L,L1~L8 光軸
α 鉛直方向の光の拡散角度
β (二つの照射方向の鉛直方向に成す)角度