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特許7178317寸法可変の蓋製造方法および寸法可変の蓋製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】寸法可変の蓋製造方法および寸法可変の蓋製造装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/20 20170101AFI20221117BHJP
   B65D 5/68 20060101ALI20221117BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B31B50/20
B65D5/68 Z
B65D5/42 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019072935
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020168839
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】田中 善経
(72)【発明者】
【氏名】野口 弘行
(72)【発明者】
【氏名】川戸 浩
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 千晃
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 慶一
(72)【発明者】
【氏名】衣川 綾
(72)【発明者】
【氏名】相馬 三希菜
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-132049(JP,A)
【文献】特開2011-230806(JP,A)
【文献】特開2015-093698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/20
B65D 5/68
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法が互いに異なる複数の箱(2)にかぶせるそれぞれの蓋(4)を、個々の箱(2)の上端開口の寸法に応じた寸法で製造する寸法可変の蓋製造方法であって、
前記蓋(4)の材料として、第1基準辺(31)と、前記第1基準辺(31)と直角に交わる第2基準辺(32)と、前記第1基準辺(31)と平行な第1調整辺(33)と、前記第2基準辺(32)と平行な第2調整辺(34)とで囲まれる矩形の蓋シート(3)を使用し、
前記蓋シート(3)には、前記蓋(4)を前記箱(2)の上端開口の第1辺(35)に沿って下方に折り曲げるための第1罫線(36)と、前記蓋(4)の破断用のミシン目線(37)とが、あらかじめ前記第1基準辺(31)に沿って前記第1基準辺(31)と平行に延びて形成され、
前記蓋シート(3)の前記第1調整辺(33)に沿った領域を第1カッター(51)で帯状に切り落とす第1寸法調整工程と、前記蓋シート(3)の前記第2調整辺(34)に沿った領域を第2カッター(52)で帯状に切り落とす第2寸法調整工程とを行ない、
前記第1寸法調整工程を行なうときに、前記第1カッター(51)から所定間隔をおいて配置した罫線ローラ(53)で、前記蓋シート(3)に、前記箱(2)の上端開口の前記第1辺(35)に対向する第2辺(55)に沿って前記蓋(4)を下方に折り曲げるための第2罫線(54)を前記第1罫線(36)と平行に加工し、
前記第1カッター(51)による前記蓋シート(3)の切り落とし幅と前記第2カッター(52)による前記蓋シート(3)の切り落とし幅とを、前記箱(2)の上端開口の寸法に応じて変化させる、
寸法可変の蓋製造方法。
【請求項2】
前記蓋シート(3)は、前記第1調整辺(33)と前記第2調整辺(34)に沿ったL字状の寸法調整領域(43)と、前記L字状の寸法調整領域(43)と前記第1基準辺(31)と前記第2基準辺(32)とで囲まれる矩形の基準領域(44)とを有し、前記基準領域(44)には、独立したオブジェクトがあらかじめ印刷されている、
請求項1に記載の寸法可変の蓋製造方法。
【請求項3】
複数種類の大きさの前記蓋シート(3)をそれぞれストックする複数の蓋シートマガジン(25)から、前記箱(2)の上端開口の寸法に対応する大きさの蓋シート(3)を選択的に取り出して使用する請求項1または2に記載の寸法可変の蓋製造方法。
【請求項4】
寸法が互いに異なる複数の箱(2)にかぶせるそれぞれの蓋(4)を、個々の箱(2)の上端開口の寸法に応じた寸法で製造する寸法可変の蓋製造装置であって、
前記蓋(4)の材料として、第1基準辺(31)と、前記第1基準辺(31)と直角に交わる第2基準辺(32)と、前記第1基準辺(31)と平行な第1調整辺(33)と、前記第2基準辺(32)と平行な第2調整辺(34)とで囲まれる矩形の蓋シート(3)を使用し、
前記蓋シート(3)には、前記蓋(4)を前記箱(2)の上端開口の第1辺(35)に沿って下方に折り曲げるための第1罫線(36)と、前記蓋(4)の破断用のミシン目線(37)とが、あらかじめ前記第1基準辺(31)に沿って前記第1基準辺(31)と平行に延びて形成され、
前記蓋シート(3)の前記第1調整辺(33)に沿った領域を帯状に切り落とす第1カッター(51)と、
前記蓋シート(3)の前記第2調整辺(34)に沿った領域を帯状に切り落とす第2カッター(52)と、
前記第1カッター(51)で前記蓋シート(3)の前記第1調整辺(33)に沿った領域を帯状に切り落とすときに、前記蓋シート(3)に、前記箱(2)の上端開口の前記第1辺(35)に対向する第2辺(55)に沿って前記蓋(4)を下方に折り曲げるための第2罫線(54)を前記第1罫線(36)と平行に加工するように、前記第1カッター(51)から所定間隔をおいて配置した罫線ローラ(53)と、
前記第1カッター(51)による前記蓋シート(3)の切り落とし幅と前記第2カッター(52)による前記蓋シート(3)の切り落とし幅とを、前記箱(2)の上端開口の寸法に応じて変化させる切り落とし幅調整機構(57)と、
を有する寸法可変の蓋製造装置。
【請求項5】
前記蓋シート(3)を前記第1基準辺(31)と平行な方向に搬送する蓋シート搬送装置(50)を有し、
前記第1カッター(51)は、前記蓋シート搬送装置(50)で搬送中の前記蓋シート(3)を搬送方向に切断するように、前記蓋シート(3)の通過位置に配置され、
前記罫線ローラ(53)は、前記蓋シート搬送装置(50)で搬送中の前記蓋シート(3)を押圧することで前記第2罫線(54)を加工するように、前記蓋シート(3)の通過位置に配置され、
前記第2カッター(52)は、前記蓋シート(3)の搬送を停止した状態で、前記蓋シート(3)を前記第1基準辺(31)と直交する方向に切断するように、前記蓋シート搬送装置(50)による前記蓋シート(3)の搬送方向と直交する方向に前記第2カッター(52)を走行させる第2カッター走行装置(56)に支持されている、
請求項4に記載の寸法可変の蓋製造装置。
【請求項6】
前記蓋シート搬送装置(50)は、前記蓋シート(3)を上下から把持する蓋シートクランプ部(72)と、前記蓋シートクランプ部(72)を前記第1基準辺(31)と平行な方向に水平に移動させる蓋シートクランプ移動装置(73)とを有する、
請求項5に記載の寸法可変の蓋製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寸法可変の蓋製造方法および寸法可変の蓋製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信販売の急速な拡大や人手不足により、商品の配送コストが上昇している。
【0003】
この商品の配送コストを抑える方法として、商品を収容する箱のサイズを可変にする方法がある(例えば、特許文献1)。すなわち、商品を配送する際、商品は箱に収容した状態で配送されることが多い。ここで、個々の商品のサイズにあわせて、商品を収容する箱のサイズを可変にし、そのような箱を個々の商品ごとに製造することができれば、配送仕分けの作業スペースや、配送待ちの商品を保管するためのスペースを抑えることができるとともに、一度に配送車に積むことができる商品を増やすことができるので、商品の配送コストを効果的に抑えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-530291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者らは、大きさが互いに異なる個々の商品ごとにその商品の大きさに応じた寸法をもつ箱を製造し、これと並行して、所定寸法の矩形の蓋シートから、箱の矩形の上端開口の寸法に応じた寸法で蓋を製造し、その蓋を、商品を収容した箱にかぶせる自動包装ラインを検討した。ここで、箱の上端開口にかぶせる蓋を製造するとき、その蓋の寸法は、箱の上端開口の寸法に応じて変化させる必要がある。
【0006】
所定寸法の矩形の蓋シートから、寸法可変で蓋を製造する方法として、例えば、所定寸法の蓋シートを、個々の箱の上端開口の寸法に応じた寸法に切断するとともに、個々の箱の上端開口の寸法に応じた位置に、罫線やミシン目線等を加工する方法が考えられる。ここで、蓋に加工する罫線は、箱の上端開口にかぶせた蓋を、箱の上端開口の辺に沿って下方に折り曲げるための折り目線であり、蓋に加工するミシン目線は、箱を開封するときに蓋の破断を誘導するための複数の切れ目である。
【0007】
しかしながら、同一寸法の多数のシートの同じ位置に罫線とミシン目線を加工するのであれば、その加工は比較的容易であるが、個々の箱の寸法に応じて切断されたシートの、個々の箱の上端開口の寸法に応じた位置に、個々に罫線やミシン目線等を加工しようとすると、安定した加工を行なうことが難しい。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、寸法が互いに異なる複数の箱にかぶせるそれぞれの蓋を、寸法可変で安定して製造することが可能な寸法可変の蓋製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明では、以下の構成の寸法可変の蓋製造方法を提供する。
すなわち、寸法が互いに異なる複数の箱にかぶせるそれぞれの蓋を、個々の箱の上端開口の寸法に応じた寸法で製造する寸法可変の蓋製造方法であって、
前記蓋の材料として、第1基準辺と、前記第1基準辺と直角に交わる第2基準辺と、前記第1基準辺と平行な第1調整辺と、前記第2基準辺と平行な第2調整辺とで囲まれる矩形の蓋シートを使用し、
前記蓋シートには、前記蓋を前記箱の上端開口の第1辺に沿って下方に折り曲げるための第1罫線と、前記蓋の破断用のミシン目線とが、あらかじめ前記第1基準辺に沿って前記第1基準辺と平行に延びて形成され、
前記蓋シートの前記第1調整辺に沿った領域を第1カッターで帯状に切り落とす第1寸法調整工程と、前記蓋シートの前記第2調整辺に沿った領域を第2カッターで帯状に切り落とす第2寸法調整工程とを行ない、
前記第1寸法調整工程を行なうときに、前記第1カッターから所定間隔をおいて配置した罫線ローラで、前記蓋シートに、前記箱の上端開口の前記第1辺に対向する第2辺に沿って前記蓋を下方に折り曲げるための第2罫線を前記第1罫線と平行に加工し、
前記第1カッターによる前記蓋シートの切り落とし幅と前記第2カッターによる前記蓋シートの切り落とし幅とを、前記箱の上端開口の寸法に応じて変化させる、
寸法可変の蓋製造方法を提供する。
【0010】
このようにすると、第1基準辺に沿った領域に第1罫線とミシン目線とをあらかじめ形成した矩形の蓋シートを用い、その蓋シートの第1調整辺に沿った領域を第1カッターで帯状に切り落とすとともに、蓋シートの第2調整辺に沿った領域を第2カッターで帯状に切り落とすことで、蓋を製造することができる。そして、第1カッターによる蓋シートの切り落とし幅と第2カッターによる蓋シートの切り落とし幅とを、箱の上端開口の寸法に応じて変化させることで、蓋の寸法を可変とすることが可能である。すなわち、蓋の寸法によらず、蓋シートの第1基準辺に沿った領域を切り落とさずに使用するので、あらかじめ蓋シートに第1罫線とミシン目線とを加工しておくことが可能である。このように、第1罫線とミシン目線をあらかじめ同じ位置に加工した同一寸法の蓋シートを用いることができるので、寸法可変で安定して蓋の製造を行なうことが可能である。
【0011】
前記蓋シートとしては、前記第1調整辺と前記第2調整辺に沿ったL字状の寸法調整領域と、前記L字状の寸法調整領域と前記第1基準辺と前記第2基準辺とで囲まれる矩形の基準領域とを有し、前記基準領域に、独立したオブジェクトがあらかじめ印刷されたものを使用することができる。
【0012】
このようにすると、蓋の寸法によらず、常に、L字状の寸法調整領域と第1基準辺と第2基準辺とで囲まれる矩形の基準領域が切り落とされずに残る。そのため、蓋シートの基準領域に、独立したオブジェクト(例えば、荷扱い指示マークや、ブランドのロゴマーク等)の印刷をあらかじめ施しておくことで、蓋の寸法を変化させたときにも、そのオブジェクトが途切れずに印刷された蓋を得ることが可能となる。
【0013】
複数種類の大きさの前記蓋シートをそれぞれストックする複数の蓋シートマガジンから、前記箱の前記上端開口の寸法に対応する大きさの蓋シートを選択的に取り出して使用すると好ましい。
【0014】
このようにすると、第1カッターによる蓋シートの切り落とし幅と第2カッターによる蓋シートの切り落とし幅とを小さく抑えることができるので、蓋シートの材料費を低減することが可能となる。さらに、蓋シートが、第1調整辺と第2調整辺に沿ったL字状の寸法調整領域と、L字状の寸法調整領域と第1基準辺と第2基準辺とで囲まれる矩形の基準領域とを有し、基準領域に、独立したオブジェクトをあらかじめ印刷しておく場合には、蓋シートの基準領域の大きさを、蓋シートの大きさの種類ごとに異ならせることで、基準領域に印刷するオブジェクトの大きさも、蓋の大きさに応じたものとすることが可能となる。
【0015】
また、この発明では、寸法が互いに異なる複数の箱にかぶせるそれぞれの蓋を、寸法可変で安定して製造することが可能な寸法可変の蓋製造装置として、以下の製造装置をあわせて提供する。
【0016】
すなわち、寸法が互いに異なる複数の箱にかぶせるそれぞれの蓋を、個々の箱の上端開口の寸法に応じた寸法で製造する寸法可変の蓋製造装置であって、
前記蓋の材料として、第1基準辺と、前記第1基準辺と直角に交わる第2基準辺と、前記第1基準辺と平行な第1調整辺と、前記第2基準辺と平行な第2調整辺とで囲まれる矩形の蓋シートを使用し、
前記蓋シートには、前記蓋を前記箱の上端開口の第1辺に沿って下方に折り曲げるための第1罫線と、前記蓋の破断用のミシン目線とが、あらかじめ前記第1基準辺に沿って前記第1基準辺と平行に延びて形成され、
前記蓋シートの前記第1調整辺に沿った領域を帯状に切り落とす第1カッターと、
前記蓋シートの前記第2調整辺に沿った領域を帯状に切り落とす第2カッターと、
前記第1カッターで前記蓋シートの前記第1調整辺に沿った領域を帯状に切り落とすときに、前記蓋シートに、前記箱の上端開口の前記第1辺に対向する第2辺に沿って前記蓋を下方に折り曲げるための第2罫線を前記第1罫線と平行に加工するように、前記第1カッターから所定間隔をおいて配置した罫線ローラと、
前記第1カッターによる前記蓋シートの切り落とし幅と前記第2カッターによる前記蓋シートの切り落とし幅とを、前記箱の上端開口の寸法に応じて変化させる切り落とし幅調整機構と、
を有する寸法可変の蓋製造装置を提供する。
【0017】
このようにすると、第1罫線とミシン目線をあらかじめ同じ位置に加工した同一寸法の蓋シートを用いることができるので、寸法可変で安定して蓋の製造を行なうことが可能である。
【0018】
上記の蓋製造装置として、以下の構成を更に有するものを採用すると好ましい。
前記蓋シートを前記第1基準辺と平行な方向に搬送する蓋シート搬送装置を有し、
前記第1カッターは、前記蓋シート搬送装置で搬送中の前記蓋シートを搬送方向に切断するように、前記蓋シートの通過位置に配置され、
前記罫線ローラは、前記蓋シート搬送装置で搬送中の前記蓋シートを押圧することで前記第2罫線を加工するように、前記蓋シートの通過位置に配置され、
前記第2カッターは、前記蓋シートの搬送を停止した状態で、前記蓋シートを前記第1基準辺と直交する方向に切断するように、前記蓋シート搬送装置による前記蓋シートの搬送方向と直交する方向に前記第2カッターを走行させる第2カッター走行装置に支持されている。
【0019】
このようにすると、第1カッターによる切り落とし加工と、罫線ローラによる第2罫線の加工とを、蓋シート搬送装置で蓋シートを搬送しながら行なうことができるので効率的である。また、第2カッターによる切り落とし加工は、蓋シートの搬送を停止した状態で行なうので、蓋シート搬送装置による蓋シートの搬送方向を直交方向に変化させる必要がなく、蓋シート搬送装置の構成を単純にすることが可能である。
【0020】
前記蓋シート搬送装置は、前記蓋シートを上下から把持する蓋シートクランプ部と、前記蓋シートクランプ部を前記第1基準辺と平行な方向に水平に移動させる蓋シートクランプ移動装置とを有する構成とすると好ましい。
【0021】
このようにすると、蓋シート搬送装置で搬送中の蓋シートの姿勢が安定するので、第1カッターによる切り落とし加工と、罫線ローラによる第2罫線の加工とを、精度よく行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の寸法可変の蓋製造方法は、第1基準辺に沿った領域に第1罫線とミシン目線とをあらかじめ形成した矩形の蓋シートを用い、その蓋シートの第1調整辺に沿った領域を第1カッターで帯状に切り落とすとともに、蓋シートの第2調整辺に沿った領域を第2カッターで帯状に切り落とすことで、蓋を製造することができる。そして、第1カッターによる蓋シートの切り落とし幅と第2カッターによる蓋シートの切り落とし幅とを、箱の上端開口の寸法に応じて変化させることで、蓋の寸法を可変とすることが可能である。すなわち、蓋の寸法によらず、蓋シートの第1基準辺に沿った領域を切り落とさずに使用するので、あらかじめ蓋シートに第1罫線とミシン目線とを加工しておくことが可能である。このように、第1罫線とミシン目線をあらかじめ同じ位置に加工した同一寸法の蓋シートを用いることができるので、寸法可変で安定して蓋の製造を行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施形態の寸法可変の蓋製造方法で蓋を製造する工程を含む自動包装ラインを模式的に示す斜視図
図2図1に示す自動包装ラインの蓋製造装置で蓋を製造する工程を模式的に示す斜視図
図3図2に示す蓋の平面図
図4図3に示す蓋の第1基準辺と第2基準辺とが交わる部分を拡大して示す図
図5図1に示す自動包装ラインの蓋製造装置の平面図
図6図5に示す蓋製造装置の蓋シートクランプ部の近傍の拡大図
図7図6のVII-VII線に沿った断面図
図8図6のVIII-VIII線に沿った断面図
図9図5に示す蓋製造装置の第1カッターの近傍の拡大図
図10図9のX-X線に沿った断面図
図11図9のXI-XI線に沿った断面図
図12図5に示す蓋製造装置の第2カッターおよび第2カッター走行装置の近傍の拡大図
図13図12のXIII-XIII線に沿った断面図
図14図13のXIV-XIV線に沿った断面図
図15図13に示す第2カッターで蓋シートを切断している状態を示す第2カッターの近傍の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示す自動包装ラインに基づいて、この発明の実施形態の寸法可変の蓋製造方法を説明する。この自動包装ラインは、大きさが互いに異なる個々の商品1ごとにその商品1の大きさに応じた寸法をもつ段ボール箱2を製造し、これと並行して、所定寸法の矩形の蓋シート3から、段ボール箱2の矩形の上端開口の寸法に応じた寸法で蓋4を製造し、その蓋4を、商品1を収容した段ボール箱2にかぶせる自動包装ラインである。この自動包装ラインは、商品供給部5、箱ブランク製造装置6、箱組み立て部7、蓋シート供給部8、蓋製造装置9、蓋かぶせ部10を有する。
【0025】
商品供給部5は、商品1を搬送するコンベヤ装置11と、商品1のサイズを測定する商品サイズ測定装置12と、商品1に付された商品識別コードを読み取る商品コードリーダー13とを有する。商品サイズ測定装置12は、コンベヤ装置11の途中に設けられ、コンベヤ装置11で搬送中の商品1の縦寸法、横寸法、高さ寸法をそれぞれ測定するゲートセンサーである。商品サイズ測定装置12で測定した商品サイズ情報と、商品コードリーダー13で読み取った商品識別コードの情報は、図示しない管理制御装置に送信される。商品1に付された商品識別コードは、一次元コード(バーコード)または二次元コード(QRコード、DataMatrixコードなど)である。商品コードリーダー13は、商品識別コードを撮影するイメージセンサ(CMOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ)と、そのイメージセンサで取得した画像データから商品識別コードの情報を読み取る内蔵の演算部とからなる。商品供給部5は、商品識別コードが付された商品1をコンベヤ装置11でその下流側の箱組み立て部7に供給する。
【0026】
箱ブランク製造装置6は、商品サイズ測定装置12で読み取った商品サイズ情報に基づいて、その商品1の大きさに応じた寸法をもつ段ボール箱2の箱ブランク14を製造する。箱ブランク14は、矩形の底板15と、底板15の4辺に罫線を介してそれぞれ連接された4枚の側板16とを有する。
【0027】
4枚の側板16のうち、底板15を挟んで対向する一対の側板16の両側には継ぎ代17が連設されている。継ぎ代17は、他の一対の側板16に糊付けされる部分である。また、4枚の側板16のうち、底板15を挟んで対向する他の一対の側板16の上端にはフラップ18が連設されている。
【0028】
箱ブランク14は、段ボールで形成されている。段ボールは、波形に成形した中しんの両側に表ライナと裏ライナとを貼り合わせた両面段ボール、または両面段ボールの裏ライナに更に第2の中しんと第2の裏ライナとを貼り合わせた複両面段ボールである。箱ブランク14の底板15の下面には、商品コードリーダー13で読み取った商品識別コードに対応する情報をもつ商品識別コード(図示せず)が印刷されている。
【0029】
ここで、箱ブランク14の底板15に印刷される商品識別コードの種類(バーコード、QRコード、DataMatrixコードなど)は、商品1に付された商品識別コードの種類(バーコード、QRコード、DataMatrixコードなど)と必ずしも一致している必要はなく、例えば、商品1に付された商品識別コードがQRコードである場合に、QRコードとは異なる種類の二次元コードであるDataMatrixコードを、箱ブランク14の底板15に印刷するようにしてもよい。この場合、商品1に付されたQRコードと対応する情報をもつDataMatrixコードを箱ブランク14の底板15に印刷する。
【0030】
箱組み立て部7は、箱ブランク製造装置6で製造された箱ブランク14に糊を塗布する糊塗布装置20と、箱ブランク14の底板15の部分に商品1を移載する商品移載部21と、商品1を載せた状態の箱ブランク14の側板16の部分を底板15の部分に対して直角に折り曲げることで段ボール箱2を成形するケース成形装置22とを有する。
【0031】
ケース成形装置22は、箱ブランク14の底板15の上に商品1を載置した状態で、箱ブランク14を組み立てることで、商品1を収容しかつその商品1に付された商品識別コードが上方に露出するように上端が開口した状態の段ボール箱2を得る。ここで、ケース成形装置22で箱ブランク14を組み立てたとき、4枚の側板16は四角筒状の胴部19を構成する。段ボール箱2は、胴部19の下端が底板15で閉じ、胴部19の上端が矩形に開口した身箱である。段ボール箱2の上端開口は、4枚の側板16の上縁を4辺とする矩形である。段ボール箱2の上端開口の寸法は、底板15の寸法と同じであり、段ボール箱2の高さ寸法は、各側板16の高さ寸法と同じである。
【0032】
また、ケース成形装置22には、商品側コードリーダー23と箱側コードリーダー24とが設けられている。商品側コードリーダー23は、蓋かぶせ部10で蓋4をかぶせる前に、段ボール箱2内の商品1に付された商品識別コードを読み取るように段ボール箱2の上側に対向して配置されている。箱側コードリーダー24は、蓋かぶせ部10で蓋4をかぶせる前に、段ボール箱2の底板15に付された商品識別コードを読み取るように段ボール箱2の底板15の下側に対向して配置されている。商品側コードリーダー23と箱側コードリーダー24は、図示しないマッチング検査装置に電気的に接続されている。マッチング検査装置は、商品側コードリーダー23で読み取った商品識別コードと箱側コードリーダー24で読み取った商品識別コードとを照合することで、段ボール箱2内の商品1が、その商品1を収容する段ボール箱2と正しく対応しているか否かを検査する装置である。
【0033】
蓋シート供給部8は、複数種類の大きさの蓋シート3をそれぞれ積み重ねた状態でストックする複数の蓋シートマガジン25から、商品サイズ測定装置12で読み取った商品サイズ情報に基づいてその商品1を収容する段ボール箱2の上端開口の寸法に対応する大きさの蓋シート3を選択的に取り出し、その取り出した蓋シート3を蓋製造装置9に供給する。蓋製造装置9は、蓋シート3に加工を施すことで、寸法が互いに異なる複数の段ボール箱2にかぶせるそれぞれの蓋4を、個々の段ボール箱2の上端開口の寸法に応じた寸法で製造する。
【0034】
図2図3に示すように、蓋4の材料としての蓋シート3は、第1基準辺31と、第1基準辺31と直角に交わる第2基準辺32と、第1基準辺31と平行な第1調整辺33と、第2基準辺32と平行な第2調整辺34とで囲まれる矩形のシートである。蓋シート3は、この実施形態では段ボールで形成されている。段ボールは、波形に成形した中しんの両側に表ライナと裏ライナとを貼り合わせた両面段ボール、または両面段ボールの裏ライナに更に第2の中しんと第2の裏ライナとを貼り合わせた複両面段ボールである。第1基準辺31と第1調整辺33は、段ボールの段目に直角な辺であり、第2基準辺32と第2調整辺34は、段ボールの段目と平行な辺である。
【0035】
蓋シート3には、蓋4を段ボール箱2の上端開口の第1辺35(図1参照)に沿って下方に折り曲げるための第1罫線36と、蓋4の破断用のミシン目線37とが、あらかじめ第1基準辺31に沿って第1基準辺31と平行に延びて形成されている。第1罫線36は、蓋シート3の下面を直線状に凹ませて形成した折り目線である。ミシン目線37は、段ボール箱2を開封するときに蓋4の破断を誘導するための複数の切れ目である。ミシン目線37は、第1罫線36と第1基準辺31の間に配置されている。
【0036】
図4に示すように、ミシン目線37は、第1基準辺31と平行な方向に並ぶ複数の切れ目38で構成されている。各切れ目38は、第1基準辺31と平行に延びる直線部39と、各直線部39を共通して通る直線の位置から第1基準辺31に向けて斜めに延びる傾斜部40とからなる。各傾斜部40は、ミシン目線37の破断開始側(図では右側)から破断終了側(図では左側)に向かうに従って、各直線部39を共通して通る直線に次第に近づく向きに傾斜している。傾斜部40と直線部39は、いずれも蓋シート3を厚さ方向に貫通して形成されている。図では、傾斜部40を、直線部39から離して形成した例を示したが、傾斜部40と直線部39を繋げて形成してもよい。蓋シート3の第2基準辺32のミシン目線37が交わる位置に、第2基準辺32からミシン目線37に向かって凹んだ形状をもつ凹縁41が形成され、この凹縁41と第1基準辺31との間に、ミシン目線37の破断開始用のつまみ部42が形成されている。
【0037】
図2図3に示すように、蓋シート3は、第1調整辺33と第2調整辺34に沿ったL字状の寸法調整領域43と、L字状の寸法調整領域43と第1基準辺31と第2基準辺32とで囲まれる矩形の基準領域44とを有する。基準領域44には、独立したオブジェクト(図示せず)があらかじめ印刷されている。独立したオブジェクトとは、途中で途切れても問題が生じない連続図柄等ではなく、途中で途切れると意味を失う表示であり、例えば、荷扱い指示マーク(JIS規格Z0150またはISO規格780に規定されたマーク。例えば、上方向マーク(いわゆる天地無用マーク)や水ぬれ防止マークなど)や、ブランドのロゴマークや、商品配送に関する注意事項や段ボール箱2の開封方法の説明などを文字で記載したものなどが挙げられる。
【0038】
図2に示すように、蓋製造装置9は、蓋シート3を第1基準辺31と平行な方向に搬送する蓋シート搬送装置50と、蓋シート搬送装置50で搬送中の蓋シート3を搬送方向に切断することで蓋シート3の第1調整辺33に沿った領域を帯状に切り落とす第1カッター51と、蓋シート搬送装置50で搬送中の蓋シート3を押圧することで搬送方向に延びる第2罫線54を加工する罫線ローラ53と、蓋シート3の搬送をいったん停止した状態で第1基準辺31と直交する方向に蓋シート3を切断することで蓋シート3の第2調整辺34に沿った領域を帯状に切り落とす第2カッター52とを有する。
【0039】
蓋シート搬送装置50は、蓋シート3の第1基準辺31を基準にして蓋シート3を搬送するようになっている。すなわち、複数の蓋シートマガジン25から選択的に供給される複数種類の大きさの蓋シート3を、蓋シート搬送装置50で搬送するときに、蓋シート搬送装置50は、いずれの大きさの蓋シート3についても、その蓋シート3の第1基準辺31の位置が同じ位置にくるように搬送する。
【0040】
第1カッター51および罫線ローラ53は、蓋シート搬送装置50で搬送中の蓋シート3の通過位置に配置されている。罫線ローラ53は、第1カッター51で蓋シート3の第1調整辺33に沿った領域を帯状に切り落とすときに、第2罫線54を加工する。第2罫線54は、第1罫線36と平行に延びている。第2罫線54は、図1に示すように、段ボール箱2の上端開口の第2辺55(第1辺35に対向する辺)に沿って蓋4を下方に折り曲げるために、蓋シート3の下面を直線状に凹ませて形成した折り目線である。
【0041】
図2に示すように、第1カッター51と罫線ローラ53は、蓋シート3の搬送方向と直交する方向に所定間隔をおいて配置されている。ここで、第1カッター51と罫線ローラ53の間隔は、蓋シート3の第1基準辺31と第1罫線36の間隔に対応する大きさに設定されている。第2カッター52は、第2カッター走行装置56(図5参照)で蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する方向に走行するように支持されている。
【0042】
第1カッター51による蓋シート3の切り落とし幅と第2カッター52による蓋シート3の切り落とし幅は、後述の切り落とし幅調整機構57(図5参照)によって、段ボール箱2の上端開口の寸法に応じて変化させることができるようになっている。
【0043】
図1に示すように、蓋かぶせ部10は、蓋製造装置9で加工して送り出された蓋4に糊を塗布する糊塗布装置60と、糊塗布装置60で糊が塗布された蓋4を、商品1を収容した段ボール箱2の上端開口にかぶせて圧着する蓋圧着装置61とを有する。蓋かぶせ部10では、箱組み立て部7で得た段ボール箱2の上端開口に蓋4がかぶせられ、その蓋4で段ボール箱2の上端開口が閉じた状態となる。
【0044】
蓋かぶせ部10の下流側には、ラベラー62とラベラー用コードリーダー63とが設けられている。ラベラー62は、段ボール箱2内の商品1に対応する配送伝票64を段ボール箱2にかぶせられた蓋4に貼付するように、段ボール箱2の蓋4の上側に対向して配置されている。配送伝票64は、蓋4の基準領域44(図2図3参照)のうちの独立したオブジェクト(荷扱い指示マークなど)が印刷されていない部分に貼付される。
【0045】
ラベラー用コードリーダー63は、ラベラー62で配送伝票64を貼付する前に、段ボール箱2の底板15に付された商品識別コードを読み取るように、段ボール箱2の底板15の下側に対向して配置されている。ラベラー用コードリーダー63は、第2のマッチング検査装置(図示せず)に電気的に接続されている。第2のマッチング検査装置は、ラベラー用コードリーダー63で読み取った商品識別コードと、ラベラー62で貼付しようとする配送伝票64の情報とを照合することで、段ボール箱2が配送伝票64と正しく対応しているか否かを検査する装置である。
【0046】
図5に、蓋製造装置9を示す。蓋製造装置9は、蓋シート3を水平方向に真っ直ぐ搬送する蓋シート搬送装置50と、蓋シート搬送装置50の下流側に配置された蓋搬送装置70とを有する。蓋搬送装置70は、蓋シート搬送装置50から蓋シート3を受け取り、その蓋シート3を蓋シート搬送装置50と同じ方向に搬送するように、蓋シート搬送装置50の下流側に隣接して配置されている。
【0047】
第1カッター51による蓋シート3の切り落とし幅と、第2カッター52による蓋シート3の切り落とし幅とを変化させる切り落とし幅調整機構57は、蓋シート3を切断するときの第1カッター51の位置を蓋シート3の搬送方向と直交する方向に任意に変化させることができるように構成した第1カッター位置調整装置71と、蓋シート3の搬送停止位置(第2カッター52が蓋シート3を切断するときの蓋シート3の位置)を任意に変化させることができるように構成した蓋シート搬送装置50とで構成されている。
【0048】
図6図8に示すように、蓋シート搬送装置50は、蓋シート3を上下から把持する蓋シートクランプ部72と、蓋シートクランプ部72を蓋シート3の第1基準辺31と平行な方向に移動させる蓋シートクランプ移動装置73とを有する。蓋シートクランプ部72は、蓋シート3の搬送方向の後端部(すなわち、蓋シート3の第2調整辺34に沿った領域)を把持する。
【0049】
図7に示すように、蓋シートクランプ部72は、蓋シート3の後端部を下側から支持する下側クランプ部材74と、下側クランプ部材74の上側に対向して配置された上側クランプ部材75と、上側クランプ部材75を上下に移動させるクランプアクチュエータ76とを有する。クランプアクチュエータ76は、例えば、空気圧で作動するエアシリンダである。下側クランプ部材74には、蓋シート3の後端とシート搬送方向に対向する起立壁77が固定して設けられ、この起立壁77で搬送方向の後側から蓋シート3を支持し、蓋シート3の加工時の抵抗で蓋シート3に搬送方向のずれが生じるのを防止している。
【0050】
図8に示すように、蓋シートクランプ移動装置73は、蓋シートクランプ部72(下側クランプ部材74と上側クランプ部材75とクランプアクチュエータ76とがユニット化されたもの)を支持する蓋シートクランプブラケット78と、蓋シートクランプブラケット78を蓋シート搬送装置50の搬送方向に移動可能に支持する蓋シート搬送リニヤガイド79と、蓋シートクランプブラケット78を蓋シート搬送装置50の搬送方向に移動させる蓋シート搬送アクチュエータ80とを有する。蓋シート搬送アクチュエータ80は、蓋シートクランプブラケット78に接続された環状のベルト81と、ベルト81を駆動する電動モータ82とからなる。蓋シート搬送装置50は、この電動モータ82の回転量を制御することで、蓋シート3の搬送停止位置を任意に変化させることが可能となっている。
【0051】
図9図10に示すように、第1カッター51には、第1カッター51を回転駆動する電動モータ83が取り付けられている。電動モータ83は、減速機を内蔵したギヤードモータである。第1カッター51は、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する水平方向の中心軸まわりに回転する丸形の回転刃(図11参照)である。第1カッター51および電動モータ83は、第1カッター位置調整装置71に支持されている。
【0052】
第1カッター位置調整装置71は、第1カッター51を蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する方向に移動させることで、第1カッター51による蓋シート3の切り落とし幅を変化させる装置である。第1カッター位置調整装置71は、第1カッター51および電動モータ83を支持する第1カッターブラケット84を、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する水平方向に移動可能に支持する第1カッターリニヤガイド85と、第1カッターブラケット84を第1カッターリニヤガイド85に沿って移動させる第1カッター位置調整アクチュエータ86とを有する。第1カッター位置調整アクチュエータ86は、電動モータ87で駆動する送りねじ機構である。
【0053】
図10に示すように、第1カッターブラケット84には、罫線ローラ53と受けローラ88が取り付けられている。罫線ローラ53は、蓋シート3の下側を押圧するように蓋シート3の下側に配置され、受けローラ88は、受けローラ88と罫線ローラ53とで蓋シート3を上下で挟み込むように罫線ローラ53の上側に対向して配置されている。第1カッターブラケット84は、罫線ローラ53を回転可能に支持する罫線ローラ支持部89と、受けローラ88を回転可能に支持する受けローラ支持部90と、罫線ローラ支持部89と受けローラ支持部90を連結する連結部91とを有する。連結部91は、蓋シート3の第1調整辺33と水平に対向するように配置されている。第1カッター51の下側には、第1カッター受け92が設けられている。第1カッター受け92は、第1カッターブラケット84の罫線ローラ支持部89に固定されている。
【0054】
図11に示すように、第1カッターブラケット84には、第1カッター51で切り落される蓋シート3の帯状の部分を、第1カッター51の下流側で下方に誘導する第1耳落としガイド93が設けられている。
【0055】
図12に示すように、第2カッター52には、第2カッター52を回転駆動する電動モータ94が取り付けられている。電動モータ94は、減速機を内蔵したギヤードモータである。第2カッター52は、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と平行な水平方向の中心軸まわりに回転する丸形の回転刃(図13参照)である。第2カッター52および電動モータ94は、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する水平方向に第2カッター52を走行させる第2カッター走行装置56に支持されている。第2カッター52の走行領域の下流側には、蓋シート3を上下から挟んで保持することが可能な保持クランプ装置103が設けられている。
【0056】
図12図13に示すように、第2カッター走行装置56は、第2カッター52および電動モータ94(図12参照)を支持する第2カッターブラケット95を、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する水平方向に移動可能に支持する第2カッターリニヤガイド96と、第2カッターブラケット95を第2カッターリニヤガイド96に沿って移動させる第2カッター走行アクチュエータ97とを有する。第2カッター走行アクチュエータ97は、電動モータ102で駆動する送りねじ機構である。
【0057】
図13に示すように、第2カッター52の下側には、第2カッター受け98が設けられている。第2カッターブラケット95は、第2カッター52および電動モータ94(図12参照)を支持するカッター支持部99と、カッター支持部99と第2カッター受け98を連結する連結部100とを有する。
【0058】
図14に示すように、連結部100は、第2カッター52が蓋シート3の第2調整辺34に沿った領域を帯状に切り落とすときに、蓋シート3の第2調整辺34と水平に対向する位置を走行するように配置されている。保持クランプ装置103は、ここでは蓋シート3の上側に対向して配置されたエアシリンダであり、エアシリンダのロッドを昇降させる動作により、蓋シート3の保持と保持解除とを切り替えることができるようになっている。
【0059】
図13図15に示すように、第2カッターブラケット95には、第2カッター52が第1基準辺31から第1調整辺33に向かう方向(図の左側から右側に向かう方向)に走行するときに、第2カッター52で切り落される蓋シート3の帯状の部分を、第2カッター52の下流側で下方に誘導する第2耳落としガイド101が設けられている。
【0060】
この蓋製造装置9を使用すると、例えば、蓋シート供給部8(図1参照)から供給された蓋シート3に、以下のようにして切断加工および罫入れ加工を施し、個々の段ボール箱2の上端開口の寸法に応じた寸法で蓋4を製造することができる。
【0061】
図2に示すように、第1基準辺31に沿った領域に第1罫線36とミシン目線37とをあらかじめ形成した矩形の蓋シート3を、蓋シート搬送装置50で真っ直ぐ搬送し、このとき、搬送中の蓋シート3の第1調整辺33に沿った領域を第1カッター51で帯状に切り落とす第1寸法調整工程を行なう。またこの第1寸法調整工程を行なうときに、第1カッター51に対して第1基準辺31の側に所定間隔をおいて配置した罫線ローラ53で、搬送中の蓋シート3の下面に第2罫線54を加工する。
【0062】
次に、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送を停止する。そして、その蓋シート3の搬送を停止した状態で、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向と直交する方向に第2カッター52を走行させることにより、蓋シート3の第2調整辺34に沿った領域を第2カッター52で帯状に切り落とす第2寸法調整工程を行なう。このとき、保持クランプ装置103を作動させ、蓋シート3を上下から挟んで保持することで、第2カッター52で蓋シート3を切断するときの抵抗で蓋シート3に位置ずれが生じるのを防止する。
【0063】
ここで、第1寸法調整工程の第1カッター51による蓋シート3の切り落とし幅と、第2寸法調整工程の第2カッター52による蓋シート3の切り落とし幅とを、段ボール箱2の上端開口の寸法に応じて変化させることで、蓋4の寸法が可変となる。具体的には、第1カッター51で蓋シート3を切断するときに、あらかじめ第1カッター位置調整装置71(図5参照)で第1カッター51の位置を蓋シート3の搬送方向と直交する方向に変化させることで、第1寸法調整工程の第1カッター51による蓋シート3の切り落とし幅を変化させることが可能となっている。また、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送停止位置(第2カッター52が蓋シート3を切断するときの蓋シート3の位置)を変化させることで、第2寸法調整工程の第2カッター52による蓋シート3の切り落とし幅を変化させることが可能となっている。
【0064】
以上のように、この実施形態の蓋製造方法では、図3に示すように、蓋4の寸法によらず、蓋シート3の第1基準辺31に沿った領域を切り落とさずに使用するので、あらかじめ蓋シート3に第1罫線36とミシン目線37とを加工しておくことが可能であり、第1罫線36とミシン目線37をあらかじめ同じ位置に加工した同一寸法の蓋シート3を用いることができる。そのため、寸法可変で安定して蓋4の製造を行なうことが可能である。
【0065】
また、この実施形態の蓋製造方法では、蓋4の寸法によらず、常に、L字状の寸法調整領域43と第1基準辺31と第2基準辺32とで囲まれる矩形の基準領域44が切り落とされずに残る。そのため、蓋シート3の基準領域44に、独立したオブジェクト(例えば、荷扱い指示マークや、ブランドのロゴマーク等)の印刷をあらかじめ施しておくことで、蓋4の寸法を変化させたときにも、そのオブジェクトが途切れずに印刷された蓋4を得ることが可能である。
【0066】
また、この実施形態の蓋製造方法では、複数種類の大きさの蓋シート3をそれぞれストックする複数の蓋シートマガジン25から、段ボール箱2の上端開口の寸法に対応する大きさの蓋シート3を選択的に取り出して使用するので、第1カッター51による蓋シート3の切り落とし幅と第2カッター52による蓋シート3の切り落とし幅とを小さく抑えることができる。そのため、蓋シート3の材料費を低減することが可能である。さらに、蓋シート3の基準領域44の大きさを、蓋シート3の大きさの種類ごとに異ならせることで、基準領域44に印刷するオブジェクトの大きさを、蓋4の大きさに応じたものとすることが可能である。
【0067】
また、この実施形態の蓋製造装置9は、第1カッター51による切り落とし加工と、罫線ローラ53による罫線の加工とを、蓋シート搬送装置50で蓋シート3を搬送しながら行なうことができるので効率的である。また、第2カッター52による切り落とし加工は、蓋シート3の搬送を停止した状態で行なうので、蓋シート搬送装置50による蓋シート3の搬送方向を直交方向に変化させる必要がなく、蓋シート搬送装置50の構成を単純にすることが可能となっている。
【0068】
また、この実施形態の蓋製造装置9は、蓋シート3を上下から把持する蓋シートクランプ部72と、蓋シートクランプ部72を第1基準辺31と平行な方向に水平に移動させる蓋シートクランプ移動装置73とで構成された蓋シート搬送装置50を採用しているので、蓋シート搬送装置50で搬送中の蓋シート3の姿勢が安定している。そのため、第1カッター51による切り落とし加工と、罫線ローラ53による罫線の加工とを、精度よく行なうことが可能となっている。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
2 段ボール箱
3 蓋シート
4 蓋
25 蓋シートマガジン
31 第1基準辺
32 第2基準辺
33 第1調整辺
34 第2調整辺
35 第1辺
36 第1罫線
37 ミシン目線
43 寸法調整領域
44 基準領域
50 蓋シート搬送装置
51 第1カッター
52 第2カッター
53 罫線ローラ
54 第2罫線
55 第2辺
56 第2カッター走行装置
57 切り落とし幅調整機構
72 蓋シートクランプ部
73 蓋シートクランプ移動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15