(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20221117BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/12 E
(21)【出願番号】P 2019091839
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴大
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-171757(JP,A)
【文献】特開平11-326557(JP,A)
【文献】特開平06-338383(JP,A)
【文献】特開2012-252852(JP,A)
【文献】特開2017-116116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する複数の加熱手段と、
加熱手段の制御条件を設定する設定手段と、
複数の加熱手段のうち、少なくとも2以上の加熱手段の制御情報を同時に表示する制御情報表示、及び設定手段で設定する特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示する設定情報表示を表示可能な表示手段と、
制御手段と、を備え、
複数の加熱手段のうち、第1の加熱手段の制御条件の設定中に、第2の加熱手段の制御条件を設定する割り込み操作が可能な加熱調理器であって、
制御手段は、第1の加熱手段の制御条件の設定中に、第2の加熱手段の制御条件を設定する割り込み操作が行われると、第1の加熱手段の第1の設定情報表示から割り込み操作が行われた第2の加熱手段の第2の設定情報表示に切り替え、
第2の加熱手段の制御条件の設定が完了すると、第2の加熱手段の第2の設定情報表示から制御情報表示に切り替え、
所定の切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの第1の加熱手段の第1の設定情報表示に切り替える加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
表示手段は、設定手段で設定する特定の加熱手段のみの制御条件が表示されるように、特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示する設定情報表示を表示可能な加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
表示手段は、設定手段で設定する特定の加熱手段の制御条件を複数の設定階層で表示する設定情報表示を表示可能であり、
制御手段は、所定の切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの設定階層における第1の加熱手段の第1の設定情報表示に切り替える加熱調理器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
制御手段は、第2の加熱手段の制御条件の設定が完了すると、第2の加熱手段の第2の設定情報表示から所定の切り替え操作をガイドするガイド表示を含む制御情報表示に切り替える加熱調理器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
制御手段は、割り込み操作がなされた後または所定の切り替え操作がなされた後、所定の待機時間が経過しても、割り込み操作がなされた第1の加熱手段の制御条件の設定が完了しない場合、第1の加熱手段の制御条件の設定を取り消す加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の加熱手段を有する加熱調理器に関する。特に、本発明は、複数の加熱手段の制御情報を表示する制御情報表示と、各加熱手段の制御条件を設定するときの設定情報表示とが表示される表示手段を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の加熱手段と、各加熱手段の自動調理における調理モードや、調理温度、調理時間等の制御条件を設定する設定手段と、設定手段で設定する制御条件を表示する設定情報表示及び各加熱手段に設定されている調理モードや、調理容器の温度、調理の残時間等の制御情報を表示する制御情報表示を表示可能な液晶表示部等の表示手段とを備えた加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような複数の加熱手段を有する加熱調理器では、同時に複数の加熱手段が運転される可能性があるため、表示画面に複数の加熱手段の制御情報を同時に表示させる制御情報表示が好ましい。それゆえ、特許文献1でも、表示画面を各加熱手段に応じた領域に分割して複数の加熱手段の制御情報を表示させている。一方、自動調理では制御条件が多岐に渡る場合があるため、表示画面を複数の領域に分割したまま制御条件を表示させると、一度に表示可能な情報が少なくなり、使用者の使い勝手に劣る。そのため、制御情報表示では、表示画面を複数の領域に分割して複数の加熱手段の制御情報を同時に表示させ、設定情報表示では、表示画面に特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示させることが考えられる。
【0005】
ところで、複数の加熱手段を有する加熱調理器では、1つの加熱手段の制御条件の設定が完了する前に、他の加熱手段の制御条件の設定を開始する割り込み操作を行いたい場合がある。例えば、調理の準備が完了する前に自動調理の設定を行うと、実際に調理が開始されるまで待機状態となるから、1つの加熱手段の調理を開始するまでの間に他の加熱手段の制御条件を設定できれば、円滑に複数の調理を進行させることができる。このような割り込み操作が可能な加熱調理器では、後に操作された他の加熱手段の制御条件の設定が完了したときに、設定が未完了の先に操作された1つの加熱手段の設定情報表示に戻る方が使用者の使い勝手がよい。
【0006】
しかしながら、上記のような特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示する加熱調理器で割り込み操作が行わると、他の加熱手段の制御条件の設定が完了したとき、先に操作された1つの加熱手段の設定情報表示に戻ってしまう。そのため、使用者は後で操作された他の加熱手段の制御条件の設定が継続しているのか、先に操作された1つの加熱手段の制御条件の設定に切り替わったのか、判断に戸惑ってしまうという問題がある。特に、複数の加熱手段で同一の制御条件が設定されている場合、表示画面に同一の設定情報表示が表示されてしまう場合があるため、いずれの加熱手段の設定情報表示であるのか判断が難しい。割り込み操作が行われると、先に操作された1つの加熱手段の制御条件の設定を取り消して、初期の設定情報表示に戻ることも考えられるが、制御条件が多岐に渡る場合、一から制御条件の設定を再開させなければならず、使用者の使い勝手に劣る。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の加熱手段の制御情報を表示する制御情報表示及び設定手段で設定する特定の加熱手段の制御条件を表示する設定情報表示を表示可能な表示手段を備えた加熱調理器において、使用者の使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
被調理物を加熱する複数の加熱手段と、
加熱手段の制御条件を設定する設定手段と、
複数の加熱手段のうち、少なくとも2以上の加熱手段の制御情報を同時に表示する制御情報表示、及び設定手段で設定する特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示する設定情報表示を表示可能な表示手段と、
制御手段と、を備え、
複数の加熱手段のうち、第1の加熱手段の制御条件の設定中に、第2の加熱手段の制御条件を設定する割り込み操作が可能な加熱調理器であって、
制御手段は、第1の加熱手段の制御条件の設定中に、第2の加熱手段の制御条件を設定する割り込み操作が行われると、第1の加熱手段の第1の設定情報表示から割り込み操作が行われた第2の加熱手段の第2の設定情報表示に切り替え、
第2の加熱手段の制御条件の設定が完了すると、第2の加熱手段の第2の設定情報表示から制御情報表示に切り替え、
所定の切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの第1の加熱手段の第1の設定情報表示に切り替える加熱調理器が提供される。
【0009】
上記加熱調理器によれば、第1の加熱手段の制御条件の設定中に、第2の加熱手段の制御条件を設定する割り込み操作が行われると、第1の加熱手段の第1の設定情報表示から割り込み操作が行われた第2の加熱手段の第2の設定情報表示に切り替えられるから、先に操作された第1の加熱手段の制御条件の設定の完了を待つことなく、使用者は表示手段を確認しながら、後から操作した第2の加熱手段の制御条件を設定することができる。
【0010】
また、上記加熱調理器によれば、第2の加熱手段の制御条件の設定が完了すると、第2の加熱手段の第2の設定情報表示から少なくとも2以上の加熱手段の制御情報を同時に表示する制御情報表示に切り替えられるから、使用者は意図した第2の加熱手段の制御条件の設定が完了したことを確実に認識することができる。従って、第2の加熱手段の制御条件の設定が継続しているのかどうかの判断の迷いは生じない。
【0011】
そして、上記加熱調理器によれば、所定の切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの第1の加熱手段の第1の設定情報表示に切り替えられるから、使用者が第1の加熱手段の制御条件の設定の継続を希望する場合、円滑に第1の加熱手段の制御条件の設定を再開させることができる。
【0012】
好ましくは、上記加熱調理器は、
設定手段で設定する特定の加熱手段のみの制御条件が表示されるように、特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示する設定情報表示を表示可能な表示手段を有する。
【0013】
上記加熱調理器によれば、設定情報表示では、設定手段で設定する特定の加熱手段のみの制御条件が表示されるように、特定の加熱手段の制御条件を表示する領域を拡大して表示させるから、表示手段の表示画面が小さい場合でも、一度に多くの情報を表示させることができる。
【0014】
好ましくは、上記加熱調理器において、
表示手段は、設定手段で設定する特定の加熱手段の制御条件を複数の設定階層で表示する設定情報表示を表示可能であり、
制御手段は、所定の切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの設定階層における第1の加熱手段の第1の設定情報表示に切り替える。
【0015】
上記加熱調理器によれば、所定の切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの設定階層における第1の加熱手段の第1の設定情報表示に切り替えられるから、制御条件が複数の設定階層で構成されている場合でも、割り込み操作が行われて中断された設定階層から第1の加熱手段の制御条件の設定を再開させることができる。
【0016】
好ましくは、上記加熱調理器において、
制御手段は、第2の加熱手段の制御条件の設定が完了すると、第2の加熱手段の第2の設定情報表示から所定の切り替え操作をガイドするガイド表示を含む制御情報表示に切り替える。
【0017】
上記加熱調理器によれば、第2の加熱手段の制御条件の設定が完了すると、第2の加熱手段の第2の設定情報表示から所定の切り替え操作をガイドするガイド表示を含む制御情報表示に切り替えられるから、使用者が先に操作された第1の加熱手段の制御条件の設定の再開を希望する場合、ガイド表示に従って切り替え操作を行うことにより円滑に第1の加熱手段の制御条件の設定を再開させることができる。
【0018】
好ましくは、上記加熱調理器において、
制御手段は、割り込み操作がなされた後または所定の切り替え操作がなされた後、所定の待機時間が経過しても、割り込み操作がなされた第1の加熱手段の制御条件の設定が完了しない場合、第1の加熱手段の制御条件の設定を取り消す。
【0019】
上記加熱調理器によれば、割り込み操作がなされた後または所定の切り替え操作がなされた後、所定の待機時間が経過しても、割り込み操作がなされた第1の加熱手段の制御条件の設定が完了しない場合、第1の加熱手段の制御条件の設定が取り消されるから、次回の第1の加熱手段の制御条件の設定において、取り消し操作の手間を省くことができる。また、誤って第1の加熱手段の制御条件の設定が開始された場合でも、設定の取り消し操作を行う必要がない。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、複数の加熱手段の制御情報を表示する制御情報表示及び設定手段で設定する特定の加熱手段の制御条件を表示する設定情報表示を表示可能な表示手段を備えた加熱調理器において、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の制御部と操作表示ユニットとを示す説明図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の表示制御動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る加熱調理器について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、ビルトイン式のガスコンロに適用した本実施の形態の加熱調理器を示す概略構成図である。
図1に示すように、コンロ本体1の天板9上には加熱手段である環状の3つのコンロバーナ、すなわち、左コンロバーナ2、右コンロバーナ4、及び後コンロバーナ6が配設されている(以下、これらを総称する場合、単に、「コンロバーナ」といい、各コンロバーナを意味する場合、「左コンロバーナ」等という)。また、コンロ本体1の正面中央にはグリル庫8の開閉扉80が配設されている。なお、本明細書では、グリル庫8の開閉扉80が設けられている面を前面とし、コンロ本体1の奥行き方向を前後方向、コンロ本体1の幅方向を左右方向、コンロ本体1の高さ方向を上下方向という。
【0023】
グリル庫8の開閉扉80の右側に位置するコンロ操作部70には、電源スイッチ71と、コンロバーナ2,4,6の点・消火と火力調整機能を兼備した操作摘み20,40,60とが配設されている。グリル庫8の開閉扉80の左側に位置するグリル操作部81には、グリルバーナ(図示せず)の点・消火と火力調整機能を兼備した操作摘み82が配設されている。操作摘み20,40,60,82はそれぞれ、押し込み操作の繰り返しによってコンロ操作部70及びグリル操作部81から突出した使用状態と、コンロ操作部70及びグリル操作部81と面一になった不使用状態との2状態に変化するように構成されている。
【0024】
コンロ操作部70の下方には、コンロバーナ2,4,6で各種の調理を行うためのコンロ用の操作表示ユニット72が格納されている。操作表示ユニット72は、使用者がコンロ操作部70の下方の前面パネルを押し操作することにより、手前に傾斜して使用者が操作可能に構成されている。また、使用者が前面パネルを閉じると、操作表示ユニット72がコンロ本体1内に格納される。なお、図示しないが、グリル操作部81の下方には、コンロ用の操作表示ユニット72と同様に、グリル用の操作表示ユニットが格納されている。
【0025】
図2に示すように、コンロ用の操作表示ユニット72は、コンロバーナ2,4,6の制御情報や制御条件を表示する表示部(表示手段)90と、左コンロバーナ2に対する自動調理の制御条件の設定操作を行う後述する各種スイッチ22,23,24が配設された左コンロ用操作領域21と、右コンロバーナ4に対する自動調理の制御条件の設定操作を行う後述する各種スイッチ42,43,44が配設された右コンロ用操作領域41と、後コンロバーナ6に対する自動調理の制御条件の設定操作を行う後述する各種スイッチ62,63が配設された後コンロ用操作領域61とを備えている。また、表示部90の一側方には、「アップダウン」スイッチ64と、「OK」スイッチ65と、「戻る」スイッチ66とが配設されている。「アップダウン」スイッチ64は、調理時間や調理温度、後述する自動調理の制御条件を選択するために操作される。「OK」スイッチ65は、選択した制御条件を決定するために操作される。「戻る」スイッチ66は、自動調理の設定中、設定中の制御条件の1つ前の制御条件に戻るために操作される。従って、本実施の形態では、上記した操作表示ユニット72に設けられている各種スイッチ22~24,42~44,62~66がコンロバーナ2,4,6の制御条件を設定する設定手段として機能する。
【0026】
左右コンロ用操作領域21,41にはそれぞれ、左右コンロバーナ2,4による自動調理の制御条件を設定するための「オート」スイッチ22,42、「温度」スイッチ23,43、「タイマ」スイッチ24,44が設けられている。また、後コンロ用操作領域61には、後コンロバーナ6による自動調理の制御条件を設定するための「炊飯」スイッチ62、及び「タイマ」スイッチ63が設けられている。
【0027】
「オート」スイッチ22,42を使用者が押し操作することにより、左右コンロバーナ2,4に設定する自動調理の調理モードとして、「湯わかしモード」、「煮物モード」、「麺茹でモード」、「無水調理モード」、「焼き餃子モード」、「ハンバーグモード」、「茶碗蒸しモード」、及び「アプリレシピモード」が選択可能となる(
図3(b)(g))。また、調理モードが表示されている状態で、「アップダウン」スイッチ64を押し操作することにより、調理モードの選択が変更される。そして、所定の調理モードが選択されている状態で、「OK」スイッチ65を押し操作することにより、自動調理の1つの制御条件が設定される。
【0028】
また、本実施の形態の自動調理のうち、所定の調理モードは複数の設定階層を有し、調理モードで「焼き餃子モード」や「ハンバーグモード」が選択された場合、さらに「焼き加減」の制御条件が選択可能となり(
図3(c))、自動調理で「湯わかしモード」が選択された場合、さらに、「沸とう後の保温時間」が選択可能となる(
図3(h))。これらを設定する場合、所定の調理モードが設定されている状態で、上記と同様に、「アップダウン」スイッチ64を押し操作し、「OK」スイッチ65を押し操作することにより、自動調理の他の1つの制御条件が設定される。
【0029】
また、「炊飯」スイッチ62を使用者が押し操作することにより、後コンロバーナ6に設定する自動調理の調理モードとして、「炊飯モード」が選択可能になる。
【0030】
なお、「温度」スイッチ23,43を押し操作することにより、左右コンロバーナ2,4によって加熱する被調理物の温度が設定可能となる。温度設定は、「アップダウン」スイッチ64の操作によって変更される。このとき、使用者が設定した温度に基づいて左右コンロバーナ2,4の運転が行われるため、本実施の形態においては、自動調理として扱う。
【0031】
また、「タイマ」スイッチ24,44,63を押し操作することにより、コンロバーナ2,4,6に対するタイマ時間(加熱調理の実行時間)が設定可能となる。時間設定は、「アップダウン」スイッチ64の操作によって変更される。このとき、使用者が設定した時間に基づいてコンロバーナ2,4,6の運転が行われるため、本実施の形態においては、自動調理として扱う。
【0032】
表示部90には、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイ(LCD)による表示画面が設けられている。なお、本実施の形態では液晶の表示部90を採用しているが、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)等からなる表示部を用いてもよい。
【0033】
表示部90は、表示画面にコンロバーナ2,4,6の制御情報を各コンロバーナ2,4,6に対応した領域92,94,96で同時に表示する制御情報表示(例えば、
図3(a)(e)等)と、各コンロバーナ2,4,6で自動調理を設定するとき、表示画面に特定のコンロバーナのみの制御条件が表示されるよう表示する設定情報表示(例えば、
図3(b)(g)等)とが切り替えられて表示可能に構成されている。具体的には、制御情報表示では、表示画面が三分割され、各コンロバーナ2,4,6に対応した領域92,94,96に、運転状態、自動調理で設定された調理モードや、運転中の調理容器の温度、調理の残時間等が表示される。各領域92,94,96には「左コンロ」、「右コンロ」、「後コンロ」といった各コンロバーナ2,4,6の名称を示すタグが表示されている。これにより、使用者は、各領域92,94,96がいずれのコンロバーナの情報であるかを把握することができる。また、後述するように、設定情報表示では、特定のコンロバーナを表示する領域を拡大して、自動調理の制御条件が表示される。また、自動調理の制御条件が複数の設定階層で設定される場合、いずれの設定階層でも領域を拡大して制御条件が表示される。
【0034】
上記構成の操作表示ユニット72は、ガスコンロが備えるコントローラ(制御手段)100により制御される。コントローラは、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等からなる電子回路であり、その機能構成として、ガスコンロの各コンロバーナ2,4,6の自動調理を制御する自動調理制御部101と、操作表示ユニット72での設定操作に応じて各コンロバーナ2,4,6の自動調理の制御条件の設定を行う設定制御部102と、表示部90を制御する表示制御部103とを備える。
【0035】
次に、本実施の形態にガスコンロにおける表示部90の表示制御動作を
図3を参照して説明する。以下では、左コンロバーナ2を第1の加熱手段、右コンロバーナ4を第2の加熱手段とし、左コンロバーナ2の自動調理の制御条件の設定中に、右コンロバーナ4の自動調理の制御条件の設定が割り込み操作されたときの動作を説明するが、第1及び第2の加熱手段として他のコンロバーナが使用されるときでも表示制御動作は略同様である。
【0036】
使用者が電源スイッチ71をオン操作してガスコンロの電源をオンさせると、表示部90には、各コンロバーナ2,4,6が非運転状態であることを示す暗転した3つのコンロバーナ2,4,6を表示する領域92,94,96が表示される(
図3(a))。
【0037】
使用者が、左コンロ用操作領域21における「オート」スイッチ22を押し操作すると、左コンロバーナ2の制御条件を表示する領域が拡大して表示され、表示部90は、自動調理の調理モードとして、「湯わかしモード」、「煮物モード」、「麺茹でモード」、「無水調理モード」、「焼き餃子モード」、「ハンバーグモード」、「茶碗蒸しモード」、及び「アプリレシピモード」の制御条件を示す設定情報表示(第1設定階層における第1の設定情報表示)に切り替わる(
図3(b))。これにより、小さな表示部90でも一度に多数の情報を表示させることができるから、視認性を向上させることができる。
【0038】
次いで、使用者が「アップダウン」スイッチ64を押し操作すると、調理モードの選択が変更されて、選択されている自動調理(例えば、「焼き餃子モード」)がハイライト表示(例えば、黒背景と白抜き文字の文字情報)され、使用者が「OK」スイッチ65を押し操作すると、1つの制御条件として選択されている調理モードが設定され、さらに他の制御条件(例えば、「焼き加減」)を設定する設定情報表示(第2設定階層における第1の設定情報表示)に切り替わる(
図3(c))。
【0039】
このとき、左コンロバーナ2の自動調理の全ての制御条件の設定が完了する前に、使用者が右コンロ用操作領域41における「オート」スイッチ42を押し操作する割り込み操作が行われると、右コンロバーナ4の制御条件を表示する領域が拡大して表示され、表示部90は、上記と同様の右コンロバーナ4で自動調理の調理モードを設定するため設定情報表示(第1設定階層における第2の設定情報表示)に切り替わる(
図3(g))。次いで、上記と同様に使用者が「アップダウン」スイッチ64を押し操作すると、調理モードの選択が変更されて、選択されている調理モード(例えば、「湯わかしモード」)がハイライト表示され、使用者が「OK」スイッチ65を押し操作すると、1つの制御条件として選択されている調理モードが設定され、さらに他の制御条件(例えば、「沸とう後の保温時間」)を設定する設定情報表示(第2設定階層における第2の設定情報表示)に切り替わる(
図3(h))。そして、使用者が「アップダウン」スイッチ64を押し操作して、他の制御条件を選択し、さらに、「OK」スイッチ65を押し操作すると、他の制御条件(例えば、「5分間」)が設定されて、待機状態における設定情報表示に切り替わる(
図3(i))。
【0040】
使用者が、右コンロバーナ4の操作摘み40を押し操作して、点火処理が行われると、右コンロバーナ4の自動調理の制御条件の設定が完了し、調理が開始され、表示部90は右コンロバーナ4の設定情報表示から各コンロバーナ2,4,6の制御情報を同時に示す制御情報表示に切り替わる(
図3(j))。このとき、右コンロバーナ4を表示する領域94には、運転中の右コンロバーナ4の制御情報(例えば、「湯わかし中」の文字情報、並びに設定された「湯わかしモード」及び「5分」の文字情報)が表示される。また、左コンロバーナ2を表示する領域92には、割り込み操作によって左コンロバーナ2の自動調理の制御条件の設定が未完了であることを示すガイド表示(例えば、「設定中」であること示す文字情報と「オート」スイッチ22で設定に戻ることを示す画像情報)97を含む制御情報が表示される。
【0041】
使用者が、ガイド表示97に従って「オート」スイッチ22を押し操作すると、割り込み操作が行われたときの既述した他の制御条件を設定する設定情報表示(第2設定階層における第1の設定情報表示)に切り替わる(
図3(c))。そして、使用者が「アップダウン」スイッチ64を押し操作して、他の制御条件(例えば、「標準」)を選択し、さらに、「OK」スイッチ65を押し操作すると、他の制御条件(例えば、「標準」)が設定されて、待機状態における設定情報表示に切り替わる(
図3(d))。
【0042】
使用者が、左コンロバーナ2の操作摘み20を押し操作して、点火処理が行われると、左コンロバーナ2の自動調理の制御条件の設定が完了し、調理が開始され、表示部90は左コンロバーナ2の設定情報表示から各コンロバーナ2,4,6の制御情報を同時に示す制御情報表示に切り替わる(
図3(e))。このとき、右コンロバーナ4の自動調理が終了していなければ、右コンロバーナ4を表示する領域94には、既述した運転中の右コンロバーナ4の制御情報が表示される。また、左コンロバーナ2を表示する領域92には、運転中の左コンロバーナ2の制御情報(例えば、「調理中」の文字情報、並びに設定された「焼き餃子モード」及び「焼き加減」-「標準」に対応する調理の残時間である「12分」の文字情報)が表示される。
【0043】
左コンロバーナ2の自動調理が終了する前に、右コンロバーナ4の自動調理が終了すると、右コンロバーナ4が非運転状態であることを示す暗転した領域94が表示される(
図3(f))。なお、図示しないが、右コンロバーナ4の割り込み操作なされた後、所定の待機時間(例えば、10分間)が経過しても左コンロバーナ2の自動調理の制御条件の設定が完了しない場合、割り込み操作がなされるまでの制御条件の設定が取り消される。また、左コンロバーナ2の運転中に、「オート」スイッチ42を押し操作して右コンロバーナ4の自動調理の制御条件の設定が開始された後、所定の設定時間(例えば、30秒間)が経過しても、右コンロバーナ4の自動調理の制御条件も設定されなければ、制御情報表示に戻る。
【0044】
以上詳細に説明したように、上記実施の形態のガスコンロによれば、第1のコンロバーナの制御条件の設定中に、第2のコンロバーナの制御条件を設定する割り込み操作が行われると、第1のコンロバーナの第1の設定情報表示から割り込み操作が行われた第2のコンロバーナの第2の設定情報表示に切り替えられるから、先に操作された第1のコンロバーナの制御条件の設定の完了を待つことなく、使用者は表示部90を確認しながら、後から操作した第2のコンロバーナの制御条件を設定することができる。そして、各コンロバーナ2,4,6の設定情報表示では、表示部90に設定する特定のコンロバーナのみの制御条件が表示されるように、特定のコンロバーナの制御条件を表示する領域を拡大して表示させるから、表示部90の表示画面が小さい場合でも、一度に多くの情報を表示させることができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、左右コンロバーナ2,4の自動調理で同一の制御条件が設定されているから、割り込み操作が行われたときの設定階層が同一である場合、タグ表示を除いて同一の設定情報表示が表示されるため、使用者の判断に迷いが生じやすい(
図3(b)(g))。しかしながら、上記実施の形態のガスコンロによれば、第2のコンロバーナの制御条件の設定が完了すると、第2のコンロバーナの第2の設定情報表示から全てのコンロバーナの制御情報を同時に表示する制御情報表示に切り替えられるから、使用者は意図した第2のコンロバーナの制御条件の設定が完了したことを確実に認識することができる。従って、第2のコンロバーナの制御条件の設定が継続しているのかどうかの判断の迷いは生じない。
【0046】
また、上記実施の形態のガスコンロによれば、第2のコンロバーナの制御条件の設定が完了すると、第1のコンロバーナの設定情報表示への切り替え操作をガイドするガイド表示97を含む制御情報表示に切り替えられるから、使用者が先に操作された第1のコンロバーナの制御条件の設定の再開を希望する場合、ガイド表示97に従って切り替え操作を迷うことなく行うことができ、円滑に第1のコンロバーナの制御条件の設定を再開させることができる。
【0047】
また、上記実施の形態のガスコンロによれば、切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの第1のコンロバーナの制御条件の再設定が可能な第1の設定情報表示に切り替えられるから、使用者が第1のコンロバーナの制御条件の設定の継続を希望する場合、円滑に第1のコンロバーナの制御条件の設定を再開させることができる。しかも、上記実施の形態によれば、各コンロバーナの制御条件は複数の設定階層から構成されているが、切り替え操作が行われると、制御情報表示から割り込み操作がなされたときの設定階層における第1のコンロバーナの第1の設定情報表示に切り替えられるから、複数の設定階層で制御条件を設定する必要がある場合でも、割り込み操作が行われて中断された設定階層から第1のコンロバーナの制御条件の設定を再開させることができる。これにより、制御条件の設定が多岐に渡る場合でも、初期の設定階層から制御条件を設定する必要がない。
【0048】
また、上記実施の形態によれば、割り込み操作がなされた後、所定の待機時間が経過しても、割り込み操作がなされた第1のコンロバーナの制御条件の設定が完了しない場合、第1のコンロバーナの制御条件の設定が取り消されるから、次回の第1のコンロバーナの制御条件の設定において、取り消し操作の手間を省くことができる。また、誤って第1のコンロバーナの制御条件の設定が開始された場合でも、設定の取り消し操作を行う必要がない。なお、所定の待機時間は、切り替え操作がなされたときからカウントしてもよい。
【0049】
従って、本実施の形態によれば、使用者の使い勝手に優れる加熱調理器を提供することができる。
【0050】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、第2の加熱手段の設定情報表示から制御情報表示に切り替わったときのガイド表示として、「オート」スイッチで第1の加熱手段の制御条件の設定に戻ることを示す画像情報が表示されているが、さらに「未点火」等の他の情報を表示させてもよい。
(2)上記実施の形態では、表示部全体に特定の加熱手段のみの制御条件を表示する設定情報表示が表示されているが、特定の加熱手段の制御条件を表示する領域が拡大して表示されれば、表示部に他の加熱手段を表示する領域を縮小して表示させてもよい。
(3)上記実施の形態では、表示部にコンロバーナのみの制御情報等が表示されているが、グリルバーナの制御情報等も表示させてもよい。
【符号の説明】
【0051】
2,4,6 コンロバーナ
22,42 「オート」スイッチ
23,43 「温度」スイッチ
24,44,63 「タイマ」スイッチ
64 「アップダウン」スイッチ
65 「OK」スイッチ
90 表示部
100 コントローラ