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特許7178343安全検査システムおよび安全検査装置を設定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】安全検査システムおよび安全検査装置を設定する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20221117BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221117BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221117BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221117BHJP
   G01N 21/17 20060101ALN20221117BHJP
   G01N 21/3581 20140101ALN20221117BHJP
   G01N 23/04 20180101ALN20221117BHJP
   G01N 23/10 20180101ALN20221117BHJP
【FI】
G06Q50/26
G08B25/00 510M
H04N5/232 190
H04N5/232 290
H04N7/18 B
G01N21/17 A
G01N21/3581
G01N23/04
G01N23/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019507210
(86)(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2017095118
(87)【国際公開番号】W WO2018072520
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2019-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】201610901778.9
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】陳 志強
(72)【発明者】
【氏名】趙 自然
(72)【発明者】
【氏名】呉 万龍
(72)【発明者】
【氏名】金 頴康
(72)【発明者】
【氏名】丁 先利
(72)【発明者】
【氏名】隆 ▲ジャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】沈 宗俊
(72)【発明者】
【氏名】李 崢
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】高瀬 勤
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0024199(US,A1)
【文献】特開2001-306659(JP,A)
【文献】特表2013-520722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
G08B25/00
H04N5/00
H04N7/00
G01N21/00
G01N23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の身分識別子を入力するための身分情報入力装置と、
被検者の身分識別子に基づいて該被検者に関するユーザデータを第三者のプラットフォームからリアルタイムに取得し、被検者のユーザデータを、ユーザデータと安全係数との間の関係モデルに代入して、被検者の安全係数を決定する安全係数決定装置と、
被検者の身分識別子に対応するユーザデータによって決定された被検者の安全係数に基づいて、被検者に対して安全検査を行うパラメータを決定するためのパラメータ決定装置と、
決定されたパラメータに基づいて、被検者に対して安全検査を行うための安全検査装置と、を備え、
安全検査が終わる度に、安全検査結果に基づいて、現在の被検者のユーザデータを更新し、
被検者のユーザデータを更新することは、安全検査結果に基づいて、第三者のプラットフォームにおけるユーザデータをリアルタイムに更新することを含み、
前記関係モデルは、更新後のユーザデータを利用してオフラインモデル訓練で構築する、
安全検査システム。
【請求項2】
前記関係モデルにおいて、ユーザデータは複数のクラスタに分類し、クラスタ毎に異なる安全係数が割り当てられている、
請求項に記載の安全検査システム。
【請求項3】
身分情報入力装置は、被検者の登録写真をさらに取得する、
請求項1または2に記載の安全検査システム。
【請求項4】
被検者の画像をリアルタイムに撮影するためのビデオ装置をさらに備える、
請求項1~のいずれか一項に記載の安全検査システム。
【請求項5】
ビデオ装置によって撮影された被検者画像に基づいて、被検者に異常行為が存在するか否かを決定するための異常行為決定装置をさらに備える、
請求項に記載の安全検査システム。
【請求項6】
ビデオ装置によって撮影された画像から被検者の顔画像を抽出し、抽出された顔画像を登録写真及び/又は非信頼グループのデータベースにおける顔画像と比較して、被検者の身分を検査するための身分検査装置をさらに備える、
請求項に従属される請求項に記載の安全検査システム。
【請求項7】
ユーザデータは、被検者の個人データ、信用、社交関係および行為履歴のうちの一つ又は複数を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の安全検査システム。
【請求項8】
パラメータ決定装置は、被検者の安全係数に基づいて、安全検査装置に採用された隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータを決定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の安全検査システム。
【請求項9】
安全検査で被検者に対応する安全レベルを表示するための表示装置をさらに備える、
請求項1~のいずれか一項に記載の安全検査システム。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の安全検査システムにおける安全検査装置を設定する方法であって、
身分情報入力装置によって、被検者の身分識別子を取得することと、
被検者の身分識別子に基づいて該被検者に関するユーザデータを第三者のプラットフォームからリアルタイムに取得し、被検者のユーザデータを、ユーザデータと安全係数との間の関係モデルに代入して、被検者の安全係数を決定することと、
被検者の身分識別子に基づいて、該被検者に関するユーザデータを取得し、取得されたユーザデータによって被検者の安全係数を決定することと、
パラメータ決定装置によって、被検者の安全係数に基づいて、被検者に対して安全検査を行うパラメータを決定することと、
決定されたパラメータに基づいて、安全検査装置を設定することと、
安全検査が終わる度に、安全検査結果に基づいて、現在の被検者のユーザデータを更新することと、を含み、
被検者のユーザデータを更新することは、安全検査結果に基づいて、第三者のプラットフォームにおけるユーザデータをリアルタイムに更新することを含み、
前記関係モデルは、更新後のユーザデータを利用してオフラインモデル訓練で構築する
方法。
【請求項11】
前記パラメータは、安全検査装置に採用されている隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータは、分類器のタイプ、分類器のパラメータおよび警報閾値のうちの一つ又は複数を含む、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、2016年10月17日に出願された、発明の名称が「安全検査システムおよび安全検査装置を配置する方法」である中国特許出願201610901778.9に基づく優先権を主張し、その内容をすべて本願に取り込んで参照するものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、安全検査分野に関し、特に、ビックデータに基づいてカスタマイズされた安全検査対策を図ることができる安全検査システム、および安全検査装置を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、テロ攻撃は、全世界で拡散されていき、人身安全ひいては国家安全に対して深刻な脅威になっている。従来の人体安全検査には、金属検知または人工による身の捜査などの方式が採用されているが、時間がかかるだけでなく、プライバシー侵害になる。科学技術の発展や進みに伴って、安全検査に対する要求が益々増えてきたので、従来の效率の低い人工による安全検査手段は、新時代の人間の安全検査に対する要求を満たすことができない。人体の安全検査装置は、非接触で人体を走査し、服に隠れた物体を検知することができ、金属物だけでなく、例えばセラミックやプラスチック、粉末、液体、コロイド等のような、人間に携帯される非金属物も検知することができる。このような装置は、非接触式で検出を行い、検出結果に人体の特徴が含まれていないため、被検者のプライバシーを十分に保護することができる。なお、このような検出の手段は、効率がより高く、連続的に働くことができるため、従来の人工による安全検査より效率が遥かに高い。このような装置は、自動的に判断を行い、容疑物の位置を精確に位置決めするため、人的要素による影響を効果的に低下させ、安全検査者の働き強度を低減させることができる。
【0004】
人体の安全検査装置は、その特有のメリットで安全検査分野に幅広く用いられている。ただし、従来の装置は、ユーザの潜在的な危険に対する判断が比較的に単一であり、隠れ物認識アルゴリズムのみを用いて走査画像を解析することによって被検者の脅威可能性を決定してきた。そして、現在、人体の安全検査装置において、隠れ物認識アルゴリズムには、汎用のアルゴリズムプロファイルが採用され、ユーザの身分や異なる人の差異が考慮されておらず、全ての被検者に対して同じアルゴリズムプロファイルによって解析処理が行われている。これらのアルゴリズムは、危険品を携帯する確率が、全てのユーザで同一であるという条件に基づくものである。そのため、認識アルゴリズムによって、失報や誤報などの状況がよく発生し、ユーザの体験效果が影響されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した問題に鑑みて、本開示の目的の少なくともの一部は、ユーザデータに基づいて、異なるユーザに対して安全検査対策をカスタマイズすることができる安全検査システム及び安全検査装置を設定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの方面によれば、被検者の身分識別子を入力するための身分情報入力装置と、被検者の身分識別子に対応するユーザデータによって決定された被検者の安全係数に基づいて、被検者に対して安全検査を行うパラメータを決定するためのパラメータ決定装置と、決定されたパラメータに基づいて、被検者に対して安全検査を行うための安全検査装置と、を備える安全検査システムを提供する。
【0007】
本開示の実施例によれば、該安全検査システムは、被検者の身分識別子に基づいて該被検者に関するユーザデータを取得し、取得されたユーザデータによって被検者の安全係数を決定する安全係数決定装置をさらに備えてもよい。例えば、安全係数決定装置は、被検者のユーザデータを、ユーザデータと安全係数との間の関係モデルに代入して、被検者の安全係数を決定し、前記関係モデルにおいて、ユーザデータは複数のクラスタに分類し、クラスタ毎に異なる安全係数が割り当てられている。
【0008】
本開示の実施例によれば、身分情報入力装置は、被検者の登録写真をさらに取得してもよい。
【0009】
本開示の実施例によれば、該安全検査システムは、被検者の画像をリアルタイムに撮影するためのビデオ装置をさらに備えてもよい。
【0010】
本開示の実施例によれば、該安全検査システムは、ビデオ装置によって撮影された画像から被検者の顔画像を抽出し、抽出された顔画像を登録写真及び/又は非信頼グループのデータベースにおける顔画像と比較して、被検者の身分を検査するための身分検査装置をさらに備えてもよい。
【0011】
本開示の実施例によれば、該安全検査システムは、ビデオ装置によって撮影された被検者画像に基づいて、被検者に異常行為が存在するか否かを決定するための異常行為決定装置をさらに備えてもよい。
【0012】
本開示の実施例によれば、ユーザデータは、被検者の個人データ、信用、社交関係および行為履歴のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0013】
本開示の実施例によれば、パラメータ決定装置は、被検者の安全係数に基づいて、安全検査装置に採用されている隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータを決定してもよい。
【0014】
本開示の実施例によれば、該安全検査システムは、安全検査で被検者に対応する安全レベルを表示するための表示装置をさらに備えてもよい。
【0015】
本開示のもう一つの方面によれば、身分情報入力装置によって、被検者の身分識別子を取得することと、被検者の身分識別子に基づいて、該被検者に関するユーザデータを取得し、取得されたユーザデータによって被検者の安全係数を決定することと、パラメータ決定装置によって、被検者の安全係数に基づいて、被検者に対して安全検査を行うパラメータを決定することと、決定されたパラメータに基づいて、安全検査装置を設定することと、を含む、上記安全検査システムにおける安全検査装置を設定する方法を提供する。
【0016】
本開示の実施例によれば、前記パラメータは、安全検査装置に採用されている隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータを含んでもよい。例えば、前記パラメータは、分類器のタイプ、分類器のパラメータおよび警報閾値のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0017】
本開示の実施例によれば、データマイニングなどの解析手段によって、価値密度(Value Density)の低い特性を有する大量のデータから、ユーザの行為特徴などを示すことができる価値の高い情報を抽出し、これらのデータに対してユーザ個人の安全係数のモデルを作成して、安全検査装置の安全検査パラメータの設置と組み合わせて使用することで、異なるユーザに対して特有の安全検査対策をカスタマイズすることができ、安全検査手段がよりヒューマニティーされ、且つより特性化され、安全検査の目標に精確に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を説明することによって、本開示の上記および他の目的、特徴並びに利点はより明確になろう。
図1図1は、本開示の実施例にかかる安全検査システムを示す模式図である。
図2図2は、各種のユーザデータを示す模式図である。
図3図3は、本開示の実施例にかかる安全検査システムの操作フローを示す模式図である。
図4図4は、ユーザデータに対するクラスタ化の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。ただし、これらの説明は、例示的なものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。なお、以下の説明で、本開示の概念を混同させることを避けるために、周知の構成や技術に対する説明を省略する。
【0020】
本開示で用いられる用語は、単に具体的な実施例を説明するためのもので、本開示を限定するためのものではない。本明細書で用いられる「一」、「一つ(種)」および「該」などの用語は、特に解釈しない限り、「複数」、「複数種」の意味も含む。なお、本明細書で用いられる「備える」、「含む」などの用語は、上記した特徴、ステップ、操作及び/又は部材の存在を意味するが、一つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作や部材が存在または添加されてもよい。
【0021】
ここで用いられる全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、別途定義されない限り,当業者に一般的に理解される意味を有するものである。また、ここで用いられる用語は、本明細書で同一の意味を有し、理想的または融通が利かない方式で解釈してはいけない。
【0022】
図面には、幾つかのブロック図及び/又はフローチャートが示されている。ブロック図及び/又はフローチャートにおける一部のブロックまたはその組み合わせは、コンピュータプログラム指令によって実現されてもよい。これらのコンピュータプログラム指令は、汎用コンピュータ、専門コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。そこで、これらの指令が該プロセッサによって実行される場合、これらのブロック図及び/又はフローチャートに説明されている機能や操作を実現するための装置を構成することができる。
【0023】
したがって、本開示は、ハードウェア及び/又はソフトウェア(ファームウェア、マイクロコード等を含む)で実現されることができる。また、本開示の技術は、指令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体におけるコンピュータプログラム製品を採用してもよい。該コンピュータプログラム製品は、指令を実行するシステムに供給されたり、指令を実行するシステムと組み合わせて使用したりする。本開示において、コンピュータ読み取り可能な媒体は、指令の具備、記憶、送信、伝播または伝搬が可能な任意の媒体であってもよい。例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体は、電気、磁気、光、電磁気、赤外線または半導体のシステム、装置、デバイスまたは伝播媒体であってもよいが、これらに限定されるものではない。コンピュータ読み取り可能な媒体の具体例として、磁気テープまたはハードディスク(HDD)のような磁気記憶装置、光ディスク(CD-ROM)のような光記憶装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはフラッシュメモリのようなメモリ、及び/又は有線・無線通信リンクなどを含む。
【0024】
図1は、本開示の実施例にかかる安全検査システムを示す模式図である。
図1に示すように、該実施例にかかる安全検査システム100は、安全検査通路101に設けられた安全検査装置103、105を備える。
【0025】
安全検査通路101は、例えば空港や駅、体育館、博物館などの入口のように、安全に訪問する必要がある任意の場所に設けられる。安全検査通路101は、フェンス等の止め物で囲まれた実際の通路、またはビデオ装置によって限定された仮想通路である。例えば、被検者は、ビデオ装置の監視範囲内で進行可能であるが、この監視範囲を「通路」と見なし得る。
【0026】
被検者は、例えば、図面における矢印に示す方向に沿って安全検査通路101を通過し、安全検査装置の安全検査を受ける。被検者は、安全検査装置の検査をパスした場合、訪問したい地点への進入が許される。
【0027】
安全検査装置は、走査装置103と、制御装置105と、を備える。人体安全検査で、走査装置103は、非接触式である。例えば、走査装置103は、制御装置105の制御の下で、放射線(例えば、ミリ波)を被検者に照射し、被検者からの(例えば散乱による)放射線を収集する。走査装置103によって受信されたデータは、有線リンク(例えば、ケーブル)または無線リンク(例えば、Wi-Fi、登録商標)を介して制御装置105に送信される。制御装置105では、再構成アルゴリズムによって、被検者(体表)の画像を再構成することができる。なお、制御装置105は、隠れ物認識アルゴリズムによって、被検者の服装内に隠れる可能性のある物品を認識することもできる。結像結果および認識結果は、ディスプレイのような出力装置によって出力されることができる。以下、これについて更に説明する。制御装置105は、各種の算出装置、例えばコンピュータ、サーバなどを備える。
【0028】
本開示の実施例によれば、人体の走査画像における隠れ物に対する認識アルゴリズムは、分類器訓練と、オンライン認識との2つの部分を含む。この2つの部分は、いずれも区分画像を基礎とする。先ず、人体走査画像を、体のキーポイントの位置に応じて、例えば腕、体幹、脚などのように若干の領域に分けることができる。一つの例で、分類器訓練は、以下のように行なわれる。(1)各区分画像のポジティブとネガティブのサンプルのデータベースを作成する。(2)特徴を抽出する。SIFT(Scale-invariant feature transform)特徴によって、各区分画像の特徴を記述する。(3)スパース符号化原理に基づく訓練によって、稠密SIFT特徴の超完璧辞書を取得する。(4)辞書に(2)の特徴記述子を投影し、符号化ベクトルを取得する。(5)SVM(Support Vector Machine)の訓練によって分類器を取得する。なお、オンライン認識は、以下のように行なわれる。(1)先ず、認識すべき区分画像の稠密SIFT特徴を抽出する。(2)前記特徴の辞書での投影ベクトルを算出する。(3)訓練済みのSVM分類器に投影ベクトルを入力してクラスタ化する。
【0029】
もちろん、SVM分類器の以外に、他の分類器、例えばLSPM(Linea Spatial Pyramid Matching)やLLC(Locality-constrained Linear coding)またはそれらの組み合わせを使用してもよい。本分野で、隠れ物認識アルゴリズムは複数あり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0030】
この実施例で、走査装置103はゲートを通過する構成であったが、本開示はこれに限定されない。走査装置103は、いろんな構成を有するが、例えば、回転走査を行ってもよい。本分野で、安全検査装置は複数あり、現在よく用いられる人体の安全検査装置として、例えばミリ波ホログラフィー結像に基づくものがある。
【0031】
また、この実施例で、人体に対する走査装置103のみが示されている。本開示の実施例によれば、被検者に携帯される荷物のような物品に対する走査装置(不図示)、例えばX線走査装置(制御装置は、人体に対する走査装置103と共用してもよく、別途に有してもよい)を更に含んでもよい。例えば、被検者が安全検査通路101に入ると、携帯された荷物をベルトに置いてX線走査装置を透過させ、それ自身は走査装置103を通過する。
【0032】
以上に述べたように、従来に、安全検査装置は、異なる被検者に対して同じ安全検査対策を採用してきた。具体的には、同じパラメータ(走査装置103に採用されるパラメータと制御装置105に採用されるパラメータ)を採用してきた。しかしながら、実際の安全検査において、危険品を携帯する可能性は、異なる人間のグループの間で大きな相違がある。被検者に対する安全検査で、依然として「平等」の原則に従うと、安全検査結果の正確性に影響を及ぼすことになる。
【0033】
本開示の実施例によれば、異なる被検者に対して、異なる安全検査対策を採用することができる。具体的には、各個体の身分や行為などの相違について、該個体の特有の安全検査モデルを作成することができる。これによって、安全検査の效率を大幅に向上させ、安全検査対象に対する安全検査装置の誤報を低減させることができるとともに、容疑者に対する安全検査の強度を強めて、それらの人間に取られる不正行為を安全検査で即座に検知して判別し、適当な対策を取るように法執行者に提示することができる。
【0034】
このため、システム100は、被検者の身分識別子を入力するための身分情報入力装置107を備えてもよい。身分情報入力装置107には、いろんな情報入力装置がある。例えば、身分情報入力装置107は、キーボード及び/又はタッチパネルであってもよい。安全検査者は、例えば、身分証明書やパスポートのような被検者の身分証明書類を検査し、身分情報入力装置107を介して被検者の身分識別子を手動で入力することができる。この身分識別子は、被検者の身分をユニークに識別できるものであり、例えば、身分証明書の番号やパスポートの番号などの被検者の身分証明書類の番号である(名前は重複の可能性が大きいため、一般的には使用しない。)。身分情報入力装置107は、候補として光学または電気学の読取装置であってもよい。例えば、身分情報入力装置107は、身分証明書類にある一次元コード(例えば、バーコード)や二次元コードを読取可能であり、或いは、身分証明書類上の情報を無線で読取可能である。例えば、RFIDやNFCの技術によって読み取ることができる。
【0035】
もちろん、身分証明書類を使用しなくて、ユーザの身分に関連する他の証明書類を使用してもよい。例えば、空港の場合、搭乗券を使用することができる。搭乗券にあるバーコードを走査して航空会社のデータベースを調査することで、ユーザの身分および該当する身分識別子、例えば身分証明書の番号やパスポートの番号を取得することができる。また、例えば、駅の場合、実名でチケットを購入する場合、チケットにある二次元コードを走査して駅のチケットデータベースを調査することで、ユーザの身分および該当する身分識別子を取得することができる。
【0036】
もちろん、身分情報入力装置107は、被検者の身分識別子のみならず、他の身分情報を入力してもよい。例えば、以下の実施例のように、身分情報入力装置107は、被検者の登録写真を取得してもよい。ここで、「登録写真」とは、被検者が信頼機関で身分を登録するときに使用した、顔が鮮明に映された写真である。例えば、このような登録写真は、被検者が警察署で身分証明書やパスポートを申請するときに使用された写真であってもよい。
【0037】
身分情報入力装置107は、写真付けの身分証明書類から上記登録写真をそのまま取得してもよく(例えば、画像認識による処理)、または、入力された身分識別子に基づいて信頼されるデータベース(例えば、警察署のデータベース)から前記登録写真を取得してもよい。
【0038】
身分情報入力装置107は、安全検査通路101の入口に設けられる。被検者が安全検査通路101に入ると、その身分識別子が身分情報入力装置107によって入力され、有線または無線のリンクを介して制御装置105に送信される。制御装置105は、ネットワーク109を介して、データベース111-1、111-2、…、111-nから、該身分識別子によって識別された被検者に関するユーザデータを取得することができる。ここで、ユーザデータは、ユーザの特徴を示す各種のデータを含んでもよい。例えば、被検者の身分や行為に関するデータであって、被検者の個人データ、信用、社交関係および行為履歴などのうちの一つ又は複数を含むが、これらに限られない。ここで、ユーザデータは、ユーザの生体特徴(例えば、身長、体重、血液型、指紋、虹彩など)でなくてもよく、社会的特徴を示すものであってもよい。
【0039】
近年、インターネットやIOT(Internet of things)、モバイルインターネットの急速な発展に伴い、各種のデータが大幅に増加されており、今後数年間でデータ量が指数的に増加することが調査によって示されている。ビッグデータの時代で、ユーザデータは、様々な分野で幅広く分布される。図2は、各種のユーザデータを示す模式図である。例えば、中国の公安部の個人情報照会システムを介して、名前、性別、年齢、以前の名前、出身地、連絡先、勤務先、居住地、結婚歴、親族関係などのいろいろな情報を含むユーザの基本的な個人情報を取得することができる。通信事業者を介して、ユーザの通話履歴、通信履歴およびオンライン履歴を取得することができる。これらのデータを解析することによって、ユーザの連絡先情報、通話の継続時間、通話の頻度、ネットワークへアクセス毎の時間と場所とアクセスしたウェブサイトのIPアドレス等を取得することができる。銀行を介して、ユーザの銀行カード情報、衣食住などに関する取引情報、信用状態およびローン情報などを取得することができる。電子商取引およびB2C企業を介して、ユーザの個人消費の詳細、製品の閲覧カテゴリ、支払いの習慣、ウェブサイトでの取引の詳細、およびユーザの連絡先情報などを取得することができる。インターネットを介して、ユーザが頻繁にアクセスするウェブサイトとそのテーマ、コンテンツ、アクセスのログ情報、ウェブサイトの閲覧履歴、およびビーチャットやマイクロブログ等を含む社交ウェブサイトでのチャット情報、共有情報、コメント情報などのインターネット上に残された全ての「細かい形跡」を追跡することができる。
【0040】
ユーザデータは非常に大きな価値があり、データとデータ間に多少でもある程度の関連性が存在する。上記した各種のデータを解析することで、ユーザの趣味、性格の特性、思想の変動、感情の変化、家族の関係、人間関係、職業の履歴、経済状況、信用状態、ローン状況、生活習慣、アクションの習慣、消費の習慣や出掛けの軌跡などの総合的な情報を推定することができる。ユーザの家族の関係、仕事の状態、人間関係、家族または周囲に最近大きな変化があったか否か等のデータによって、該当するユーザの潜在的な危険を推定することができる。ユーザの消費データから、ユーザの最近の消費記録を取得し、消費記録を解析することで、ユーザが、禁制品や危険品、危険品の製造用材料などを購入したか否かの情報を取得することができる。そして、ユーザの最近の消費記録と以前の消費習慣の一致性を解析することで、該ユーザが社会を危険にさらす異常な行動などを取る可能性を推定することができる。ユーザが頻繁に閲覧するウェブページの情報、転送したメッセージ、および、発表したコメントを介して、ユーザが反社会的な言葉や行為を取る可能性を知ることができる。社交ネットワークでのユーザの活動データを介して、該ユーザを中心としてその個人的関係マップを描画し、該ユーザと頻繁に対話を行なった他のユーザの社会的活動などのデータを統合的に解析することで、ユーザの常用連絡先の安全性に応じて、該ユーザの安全程度を間接的に推定することができる。
【0041】
本開示の実施例によれば、システム100は、被検者の身分識別子に基づいて該被検者に関するユーザデータを取得し、取得されたユーザデータによって被検者の安全係数を決定する安全係数決定装置を備えてもよい。この例では、安全係数決定装置は、例えば、制御装置105がプログラム指令を実行することによって実現することができる。しかし、本開示はこれに限定されない。個別な実体、例えば算出装置によって、安全係数決定装置を実現してもよい。例えば、制御装置105は、データマイニングを介して大量のデータから個人の身分および行動に関するデータを抽出し、それらに応じてグループを分類して、異なるクラスタに属するグループに対して異なるレベルの安全検査対策を適用することができる。
【0042】
例えば、対応するスコア制度を構築して、安全係数に基づいて被検者の安全性を示すことができる。安全係数が高いほど、被検者の各指標がより正常であることを示す。被検者の該当する安全係数を、安全検査装置で該被検者に安全検査を実行する際に採用するパラメータ(例えば、隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータ)のガイドとして、異なる被検者に対する安全検査の差別化および特性化を図ることができる。実際には、ある被検者のデータは、一部が欠けていたり、完全なデータが得られなかったりした場合がある。これらの被検者に対して、安全検査において危険品の失報による影響を防止するために、比較的に低い値の安全係数が割り当てられ、このようなグループに対して安全検査の厳しさを強めることができる。以下、安全係数の決定をさらに詳しく記述する。
【0043】
また、ユーザデータは、過去の出発地や目的地の場所、過去の安全検査(被検者および同行者の人体安全検査、携帯荷物検査など)の状況などを含む安全検査履歴データを含んでもよい。ユーザの安全係数モデルを構築するときに、特定の場所や不良記録などの情報を含むデータに対する重み係数を大きくして、これらのデータの安全係数に対する影響を大きくする。
【0044】
本開示の実施例によれば、システム100は、決定された被検者の安全係数に基づいて、被検者に安全検査を行うパラメータを決定するためのパラメータ決定装置を備えてもよい。この例で、パラメータ決定装置は、例えば、制御装置105がプログラム指令を実行することによって実現し得る。しかし、本開示はこれに限定されない。算出装置のような個別な実体例によって、パラメータ決定装置を実現してもよい。パラメータを決定する基本的な原則は、以下の通りである。即ち、安全係数の値が相対的に高い被検者に対して、相対的に緩いパラメータを設置して、このようなグループに対する安全検査の強度を降下させることで、相対的に安全なグループの安全検査装置に対する使用体験を向上させ、その通過率を速める。また、安全係数の値が相対的に低い被検者に対して、相対的に厳しいパラメータを設置して、このようなグループに対する安全検査の強度を強める。
【0045】
これらのパラメータは、例えばハードウェアにかかるパラメータ(例えば、走査装置103における走査パラメータ)及び/又はソフトウェアにかかるパラメータ(例えば、システムで使用される様々なアルゴリズム)のように、安全検査強度に関するシステム内での任意のパラメータであることができる。もちろん、被検者に対して、ハードウェアのパラメータを変更し続けることが不便である。そのため、ソフトウェアのパラメータを変更することが好ましい。例えば、これらのパラメータは、分類器のタイプ、分類器のパラメータ、および、警報閾値のうちの1つまたは複数を含む、安全検査装置で採用される隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータであり得る。例えば、SVM分類器を使用することができる。この場合、カーネル関数(kernel function)を調整することによって、分類器のタイプを制御することができる。分類器のパラメータは、ペナルティ係数などを含むことができる。警報閾値とは、分類器に対応する分類面と最適に分割された超平面との間の距離を指す。分類面と容疑物のタイプとの距離が近いほど、その警報閾値は小さくなる。安全係数が比較的に高い被検者いついては、汎化能力が強い線形分類器と、比較的に小さいペナルティ係数に対応するSVM分類器とを使用するとともに、警報閾値を増加することができる。一方、安全係数が比較的に低い被検者いついては、非線形分類器と、比較的に大きいペナルティ係数に対応するSVM分類器とを使用するするとともに、ペナルティ係数の値を大きくすることで、危険品の検出率を向上し、同時に危険品の失報による安全損失を避けるように警報閾値を下げることができる。
【0046】
本開示の実施例によれば、システム100は、被検者の画像をリアルタイムに撮影するためのカメラのようなビデオ装置113をさらに含んでもよい。本例で、ビデオ装置113は走査装置103に配置されたが、本開示はこれに限定されない。ビデオ装置113は、安全検査通路の任意の場所に配置されることができ、その数も1つに限定されず、それ以上でもよい。ビデオ装置113は、被検者が安全検査通路101を通過するときに、死角なしに被検者をリアルタイムに監視できるように、安全検査通路101を覆う撮影範囲又は監視範囲が設置される。以上のように、ビデオ装置113の監視範囲によって安全検査通路を限定してもよい。
【0047】
システム100は、ビデオ装置113が設置されている場合、ビデオ装置113によって撮影された被検者の画像に基づいて、被検者に異常行為が存在するか否かを決定するための異常行為決定装置をさらに備えてもよい。この例で、異常行為決定装置は、例えば、制御装置105がプログラム指令を実行することによって実現することができる。この場合、ビデオ装置113は、制御装置105に有線または無線で接続されることができる。しかし、本開示はこれに限定されない。算出装置のような個別な実体例によって、異常行為決定装置を実現してもよい。制御装置105は、コンピュータビジョン技術を用いて、ビデオ装置113によって収集されたビデオ画像から被検者の輪郭画像を抽出して動的追跡を実行することができ、かつ、機械学習法によって予め訓練されたグループモデルを使用して異常行為を監視することができる。被検者に異常行為があると判断した場合、法執行者に通知するように構成される。
【0048】
また、システム100は、ビデオ装置113によって撮影された画像から被検者の顔画像を抽出し、抽出された顔画像を被検者の登録写真と比較することで、被検者の身分を検査するための身分検査装置をさらに備えてもよい。この例で、身分検査装置は、例えば、制御装置105がプログラム指令を実行することによって実現することができる。しかし、本開示は、これに限定されない。算出装置のような個別な実体例によって、身分検査装置を実現してもよい。ここで、被検者の登録写真は、例えば、身分情報入力装置107によって入力された登録写真であり、または、上記したように関連の信頼データベースから取得された登録写真である。本人と証明書類とが一致しない場合、システムは、被検者に対して人工で照合作業を実行するように、または、携帯された荷物を開けて検査するように、安全検査者に提示する警報を発してもよい。
【0049】
一方、身分検査装置は、抽出された顔画像と、非信頼グループのデータベースにおける顔画像とを比較してもよい。例えば、非信頼グループのデータベースは、中国の公安部によって提供された逃亡者の顔画像データベース、裁判所によって公表された出入国が制限されている人や所定場所を離れてはいけない人の顔画像データベース等を含むことができる。マッピング程度が高い場合、該当する法執行者に通知して安全審査を行わせることができる。
【0050】
制御装置105は、パラメータ決定装置で決定されたパラメータによって安全検査装置を設定することができる。例えば、安全検査装置に採用されている隠れ物認識アルゴリズムのパラメータ(分類器のタイプ、分類器のパラメータ及び/又は警報閾値)を設定することができる。このように設定されたアルゴリズムにより、走査装置103で得られた被検者画像を処理することで、被検者が物品を隠したか否かを識別することができる。そして、検査結果を、安全検査者に出力することができる。
【0051】
本開示の実施例によれば、遠隔端末と装置端末との相補の表示方法を採用することができる。具体的には、安全検査装置(例えば制御装置105)では、人体の輪郭を映した人物の姿と、それに対応する警報情報および被検者の身分情報のみを表示するように構成されてもよい。一方、安全検査装置から一定の距離を離れた監視室に、遠隔監視端末を設けることができる。そして、実際の走査画像は、遠隔制御端末のみに表示され、表示された走査画像において、顔に対してぼかし処理を行うことができる。遠隔制御端末の安全検査者は、現在の被検者の走査画像を監視するとともに処理を行うが、その身分などにかかる個人情報を一切知っていない。そして、遠隔制御端末で、一回の走査および検査作業を完了した後、被検者の走査画像を直ちに削除することができる。なお、安全検査装置に表示される人の姿は、被走査者の体表情報を含まないため、被検者のプライバシーを十分に保護することができる。
【0052】
即ち、遠隔端末と装置端末で、互いに補完するとともに互いに重ならないように、安全検査結果を表示することができる。すると、被検者のプライバシーを保護できるとともに、被検者の検査結果を明確に監視することができる。
【0053】
以上の実施例では、集中式の制御装置105を例示したが、本開示はこれに限定されるものではなく、分散式の制御装置を採用してもよい。例えば、システム100のうち、1つまたは複数の構成要素それぞれがそれに対応する制御装置を有し、他の構成要素が他の制御装置を有してもよい。
【0054】
上記の例で、安全係数決定装置は、安全検査システム100に組み込まれているが、本開示はこれに限定されない。例えば、複数の安全検査システムは、同一の安全係数決定装置を共有してもよい。例えば、空港で、異なる安全検査通路に配置された安全検査システムは、安全係数決定装置として機能するサーバを共有することができる。候補として、安全係数決定装置は、専門のデータ解析会社から提供されてもよい。安全検査システム100は、入力された被検者の身分識別子をデータ解析会社のサーバに送信し、データ解析会社のサーバによってユーザ情報を調べてデータ解析を行うことで、被検者の安全係数を取得することができる。そして、安全係数を安全システム100に送信し、パラメータ決定装置によって受信された安全係数に基づいて被検者の安全検査パラメータを決定することができる。
【0055】
以下、図3を参照しながら、上記した安全検査システムの操作フローを説明する。
先ず、310に示すように、ユーザデータと安全係数との間の関係モデルを作成するために、モデル訓練を行なうことができる。これは、上記の安全検査システム100(例えば、制御装置105)の内部で行なわれてもよいし、外部で行なわれてもよい。例えば、上記した専門のデータ解析会社によって行なわれることができる。
具体的には、311に示すように、複数のデータベース(例えば、図1に示す111-1、111-2、…、111-n)を用いて、提携関係を有する第三者からそれぞれに大量の共有データを受けることができる。これらのデータは、名前のデータ、年齢のデータ、出身地のデータ、居住地のデータ、証明書類番号のデータ、人間関係のデータ、通信のデータ、取引詳細のデータ、信用のデータ、社会活動のデータ、社交ネットワークのデータなどのユーザに関する各種データを含む。これらの大量のデータは、整理および前処理などの操作が行われた後、大規模な分散式のデータベースに導入される。データを便利に読み取るように、ユーザの年齢、地域、職業などの重要な情報に基づいてユーザデータを階層的に格納することができる。例えば、中国の公安部、通信事業者、銀行、電子商取引企業、B2C企業、インターネット企業などの豊富で信頼性の高いデータを持つ部門から、ユーザに関連するテキストや画像、オーディオ、ビデオ等のデータを取得することができる。これらの大量のデータは、フォーマットが整理されてから大規模な分散式のデータベースに記憶される。
【0056】
次に、313に示すように、データマイニング、機械学習および統計解析などの方法によって、ユーザの情報を格納した大量のデータを解析処理して、ユーザデータと安全係数との間の関係モデルを構築することができる。本開示の実施例によれば、ユーザデータを若干のクラスタに分類し、クラスタ毎に異なる安全係数の値を割り当てる。例えば、このモデルは次のように構築することができる。
【0057】
データベースから抽出された大量のユーザデータは、S={X,n=1,…,N}であると仮定する。ここで、X={x (n),j=1,…,|X|}であり、Nは、ユーザデータの総合を示し、Xは、n番目のユーザのデータを示し、|X|は、n番目のユーザのデータの次元を示し、x (n)は、n番目のユーザのj番目の次元のデータ情報を示し、数値などの構造化データであってもよく、テキストや画像、オーディオ、ビデオ、ウェブページなどの非構造化データであってもよい。図4を参照すると、これらのユーザデータは、データ空間における点として示すことができる。
【0058】
ユーザデータを若干のクラスタに分類することができる。例えば、K-meansクラスタ化アルゴリズムによって、入力されたユーザデータをそれらの特性に応じてK個のクラスタに分類することができ、クラスタの中心は、C={C、i=0,…,K-1}で表される。図4に分類結果を点線の丸で模式的に示している。本開示の実施例によれば、各クラスタに対応するユーザに現れた安全性によって、各クラスタに対して異なる安全係数の値を割り当てる。図4に示すように、0番目のクラスタの安全性が最も高く、1番目のクラスタの安全性がその次に高く、…、(K-1)番目のクラスタの安全性が最も低い。ここで、クラスタの中心Cで、i番目の安全レベルを示す。つまり、同じクラスタのユーザは、同じ安全レベル(C)を有する。Cについては、iが大きいほど、対応するクラスタのユーザの安全性が低くなる。
【0059】
次に、ユーザデータと安全係数との間の関係モデルを構築する。例えば、ユーザデータxとその安全係数との関係は、D=f(x)で示すことができる。ここで、f(x)は下記「数1」の通りであり、βは下記「数2」の通りであり、xは、k番目のクラスタに属する(xと各クラスタ中心のCとの間のユークリッド距離によって決定され、例えば、xは、それに最も近いクラスタ中心のCで示すクラスタに属する)。||・||は、ユークリッド距離を示す。
【0060】
【数1】
【0061】
【数2】
【0062】
異なるユーザは、データの違いによって安全係数が異なり、安全係数の値の範囲は(0、1]である。安全係数の値が大きいほど、ユーザの安全性が高くなることを示す。ユーザデータと安全係数との間の関係式D=f(x)から分かるように、同じクラスタに属するデータの場合、ユーザデータがクラスタ中心から遠いほど、対応する安全係数Dが大きくなる。但し、これは一例に過ぎない。他のモデルを構築してもよく、例えば、同じクラスタのデータに対して、実質的に同じ安全係数を割り当てることもできる。
【0063】
構築されたモデルは、安全係数決定装置(上述のように、安全システム100の内部にあってもよく、外部にあってもよい)に格納されてもよく、または、安全係数決定装置の外部に格納されてもよい(この場合、安全係数決定装置は、モデルが格納されている装置から該モデルを呼び出すことができる)。
【0064】
実際の安全検査320において、先ず、身分情報入力装置107によってユーザの身分識別子を入力する(例えば、上記の登録写真などの他の身分情報も入力することができる)。登録写真が入力された場合、321で身分の検査を実行することができる。例えば、以上に述べたように、登録写真とビデオ装置113によって取得された画像内の顔画像とを比較することで、身分の検査を実行することができる。
【0065】
安全係数決定モジュール(例えば、制御装置105)は、323に示すように、入力されたユーザの身分識別子に基づいてユーザデータを取得し、上記のように構築されたモデルを利用して、該ユーザの安全係数を決定することができる。もちろん、制御装置105は、入力されたユーザの身分識別子をシステムの外部の安全係数決定モジュールに送信して、外部の安全係数決定モジュールから決定された安全係数を受信することもできる。ユーザの安全係数が決定された後、対応的に安全検査装置を設定することができる。例えば、325に示すように、安全係数に基づいて、例えば、自己学習アルゴリズムを利用して、安全検査装置のパラメータを生成することができる。例えば、利用される隠れ物認識アルゴリズムに用いられるパラメータは、分類器のタイプ、分類器のパラメータ、警報閾値などを含む。これらのパラメータは、パラメータベクトルで示すことができる。
【0066】
具体的には、現在のユーザデータxとK個のクラスタ中心との間の関係を算出して、ユーザのクラスタ中心Cを求めた後、ユーザデータxを上記モデルD=f(x)に代入して、現在の被検者の安全係数を算出することができる。また、ユーザに対応する安全レベルCを、該ユーザの安全レベルを安全検査者に提示し、安全検査者が適切な準備を行うように、装置端末および遠隔端末に出力して提示することができる。これによって、装置の通過率を向上させ、危険事件の発生率を低減させることができる。
【0067】
ユーザの安全係数を解析することで、安全手段および安全強度を対応的に調整することができる。上述のように、安全係数の値が相対的に高い(例えば、D>0.8)ユーザについては、このようなグループに対する安全検査の強度を適当に降下させて、このような相対的に安全なグループの安全検査装置に対する使用体験を向上させるとともに、その通過率を高めることができる。また、安全係数の値が相対的に低い(例えば、D<0.4)ユーザについては、このようなグループに対する安全検査の強度を強めるとともに、注意喚起のために、システムを介して、ユーザの安全程度などに関する情報を操作者に提供し、操作者に適切な保護措置を取らせることができる。
【0068】
安全検査装置は、例えば、パラメータベクトルの形で送信された安全検査のパラメータを受信し、受信されたパラメータに従って配置して、ユーザに安全検査を実行することができる。例えば、ミリ波を放射してユーザを照射し、ユーザからのミリ波に基づいて結像し、327に示すように、隠れ物認識アルゴリズムを使用して画像を処理することができる。検査結果は、329に示すように表示されることができる。上述のように、このような表示は、遠隔端末と装置端末とが補完的に表示する方法で実現することができる。
【0069】
本開示の実施例によれば、データは、330に示すように更新されることもできる。
安全検査が終わる度に、現在の被検者のデータを更新することができる。例えば、331に示すように、安全検査にかかる各種の情報をリアルタイムに収集し、対応するデータベースに格納することができる。データの更新には、今回の安全検査情報と被検者の個人情報との2つの部分が含まれる。例えば、安全検査情報には、現在の安全検査装置の番号および設置された場所、当番の安全検査者の情報などが含まれる。被検者の個人情報には、証明書類の情報、目的地、顔画像、安全検査通路で記録されたビデオデータ、結像データおよび今回の安全検査結果などが含まれる。
【0070】
また、ビッグデータの時代で、ユーザデータは絶えず更新され、ユーザの安全係数はデータの変化につれて絶えず変更されていく。したがって、333に示すように、第三者のプラットフォームによって提供される大規模のデータをリアルタイムに取得して更新することで、安全検査作業のリアルタイム性および信頼性を保証することができる。
【0071】
本開示の実施例によれば、ユーザの全面的なデータを解析およびマイニングすることによって、ユーザの行動を正確に推定し、ユーザの危険性または潜在的な危険性を評価することができ、より正確な安全検査方法を提供することができる。
【0072】
以上、本開示の実施例について説明した。しかしながら、これらの実施例は、説明のためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。以上は各実施例を別々に説明したが、各実施例における手段が組み合わせて使用されないことを意味しない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義される。本開示から逸脱しない範囲で、当業者によっていろんな置換や修正が行われてもよく、これらの置換や修正は、いずれも本開示の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4