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特許7178370適合可能な標的グルコースレベルを用いる基礎タイトレーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】適合可能な標的グルコースレベルを用いる基礎タイトレーション
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20221117BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G16H20/10
A61M5/315 550J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019568352
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018065126
(87)【国際公開番号】W WO2018228932
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】62/520,139
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/522,811
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17178877.1
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17190146.5
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アラドッティル, ティナ ビョーク
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン, モーテン リンド
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマイヤー, ピート
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517601(JP,A)
【文献】特開2005-326943(JP,A)
【文献】特表2002-531885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を調節するためのデバイスであって、前記デバイスが、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、前記メモリが、
持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む前記規定のインスリンレジメンと、命令と、を含む、第1のデータ構造
を含み、前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、前記第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された前記対象の複数のグルコース測定値、および前記複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、前記時間経過中で前記それぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータの状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、
(i)前記タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される前記第1のデータセットにおける前記グルコース測定値の測定を含む期間を定義する、前記時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)前記一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、前記タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、前記尺度の中心傾向が、前記一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、前記タイトレーショングルコースレベルを入手すること、および
(iv)前記タイトレーショングルコースレベルを前記尺度の中心傾向と関連付けること、
によってタイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)前記入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、前記持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持すること、の方法を実施し、
前記第1のデータ構造がさらに、前記インスリン状態インジケータを含み、前記インスリン状態インジケータは、前記一次時間枠内の前記グルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および前記一次時間枠内の前記グルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、速効型インスリン薬剤によっては影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、デバイス。
【請求項2】
ステップBで前記タイトレーショングルコースレベルを前記入手することが、
前記インスリン状態インジケータの状態に基づいて、次の評価モード:
(B1)第1の評価モードで前記一次時間枠について、
(i)前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数を入手し、
(ii)最も小さいグルコース測定値のサブセットとして、前記一次時間枠内の前記最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択し、前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット内の前記測定回数が、前記入手した整数と等しいことを確認し、
(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向として、かつ前記小さいグルコース測定値の前記サブセット内の前記グルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された前記尺度の中心傾向を入手し、
前記タイトレーショングルコースレベルを前記第1のグルコース尺度の中心傾向と関連付ける、評価モード、
(B2)第2の評価モードで前記一次時間枠について、前記一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、前記一次時間枠での前記グルコース測定値のサブセットである重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
前記複数の二次時間枠内の各二次時間枠について、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、前記対応する二次時間枠内の前記グルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、
前記複数の第2のグルコース尺度の中心傾向について、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向を前記複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の前記最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、前記最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向に対応する前記二次時間枠内の前記グルコース測定値を含む前記サブセットとして識別され、
前記タイトレーショングルコースレベルを前記最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向と関連付ける、評価モード、または
(B3)第3の評価モードで前記一次時間枠について、前記一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、前記一次時間枠での前記グルコース測定値のサブセットである重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
前記複数の二次時間枠内の各二次時間枠について、対応するグルコース尺度の変動を算出し、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、各それぞれのグルコース尺度の変動が、前記対応する二次時間枠内の前記グルコース測定値の尺度の変動として算出され、
前記複数のグルコース尺度の変動について、最も小さいグルコース尺度の変動を前記複数のグルコース尺度の変動内の前記最も小さいグルコース尺度の変動として識別し、それにより、前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、前記最も小さいグルコース尺度の変動に対応する前記二次時間枠内の前記グルコース測定値を含む前記サブセットとして識別され、
最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向を、前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出し、
前記タイトレーショングルコースレベルを前記最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向と関連付ける、評価モード、
のうちの1つを選択することをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記方法が、
前記インスリン状態インジケータの前記状態を識別することに応じて、前記インスリン状態インジケータの前記状態が前記持続型インスリンのみの影響状態として識別されると、前記第1または前記第2の評価モードを選択し、それにより、速効型インスリン薬剤が前記グルコース測定値に影響していないことが確認されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましい前記タイトレーショングルコースレベルを入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記方法が、
前記インスリン状態インジケータの前記状態を識別することに応じて、
前記インスリン状態インジケータの前記状態が前記速効型インスリンの影響状態として識別されると、前記第3の評価モードを選択し、それにより、速効型インスリン薬剤が前記グルコース測定値に影響し得ることが識別されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましい前記タイトレーショングルコースレベルを入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記方法が、
前記対象によって使用された1つ以上のインスリンペンからの第2のデータセットを入手して、前記規定のインスリンレジメンを適用することであって、前記第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録が、
(i)1つ以上のインスリンペンのそれぞれのインスリンペンを使用して前記対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント、
(ii)前記それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時に前記それぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ、および
(iii)前記注入されたインスリン薬剤が速効型インスリン薬剤の種類か、または持続型インスリン薬剤の種類かを示す、インスリン薬剤の種類、
を含む、前記規定のインスリンレジメンを適用することをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記規定のインスリンレジメンが、ボーラスインスリン薬剤投与量レジメンをさらに含み、前記ボーラスインスリン薬剤投与量レジメンが、前記速効型インスリン投与量を特定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記規定のインスリンレジメンが、前記速効型インスリン薬剤の作用持続時間をさらに含み、薬剤の前記作用持続時間が測定可能な薬剤効果が維持される前記持続時間を特定し、それにより前記グルコースレベルに影響を与える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記規定のインスリンレジメンが、前記持続型インスリン薬剤の作用持続時間を含み、薬剤の前記作用持続時間が測定可能な薬剤効果が維持される前記持続時間を特定し、それにより前記グルコースレベルに影響を与える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記インスリン状態インジケータが、前記第2のデータセットおよび前記速効型インスリン薬剤の前記作用持続時間に基づいて、前記速効型インスリンの影響状態を示す、請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記インスリン状態インジケータが、前記第2のデータセットおよび前記速効型インスリン薬剤の前記作用持続時間に基づいて、前記持続型インスリンのみの影響状態を示す、請求項5に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1のデータ構造が、低血糖リスク状態インジケータをさらに含み、前記低血糖リスク状態インジケータが、前記対象が高い低血糖リスクを有し得るか、あるいは前記複数のグルコース測定値にわたる高い変動が観察され得る高い低血糖リスク状態、および前記対象が高くない低血糖リスクを有し得るか、あるいは前記複数のグルコース測定値にわたる低い変動が観察され得る高くない低血糖リスク状態を示すことができ、前記方法が、
低血糖リスク状態インジケータの状態を識別することに応じて、
前記低血糖リスク状態インジケータの前記状態が、前記高い低血糖リスク状態として識別されると、前記第1の評価モードを選択し、それにより、低グルコース値およびノイズにより感受性の高い前記タイトレーショングルコースレベルを入手するための方法を使用することを、さらに含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記二次時間枠が、50分~70分、60分~120分、120分~180分、または180分~300分である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
前記複数のグルコース測定値の連続する測定値が、4分~6分の間隔で前記対象から自律的に取得され、前記二次時間枠が、180分~300分である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
1つ以上のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータで、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための方法であって、
前記メモリが、
持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む前記規定のインスリンレジメンを含む、第1のデータ構造
を記憶し、前記メモリがさらに命令を記憶し、前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、前記第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された前記対象の複数のグルコース測定値、および前記複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、前記時間経過中で前記それぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータの状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、
(i)前記タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される前記第1のデータセットにおける前記グルコース測定値の測定を含む期間を定義する、前記時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)前記一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)前記小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、前記タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、前記尺度の中心傾向が、前記一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、前記タイトレーショングルコースレベルを入手すること、および
(iv)前記タイトレーショングルコースレベルを前記尺度の中心傾向と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)前記入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、前記持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持することとを、実施し、
前記インスリン状態インジケータは、前記一次時間枠内の前記グルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および前記一次時間枠内の前記グルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、速効型インスリン薬剤によっては影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、方法。
【請求項15】
1つ以上のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行されるとき、請求項14に記載の方法を実施する命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、時間経過にわたり取得される、対象の複数のグルコース測定値内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットに基づいて、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持するための、システム、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読データ担体、ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は、正常な生理的インスリン分泌の進行性の妨害を特徴とする。健康な個体では、膵β細胞による基礎インスリン分泌が連続的に起こり、食間で長期間にわたって定常グルコースレベルを維持する。健康な個体では、食事に応じて初期の第1相スパイクでインスリンが急速に放出され、2~3時間後に基礎レベルに戻る長時間のインスリン分泌が続く、食事による分泌もある。
【0003】
インスリンは、インスリン受容体に結合して、グルコース、アミノ酸、および脂肪酸の骨格筋および脂肪への細胞取り込みを促進し、肝臓からのグルコースの排出を阻害することによって、血糖を下げるホルモンである。健常な個体では、生理的な基礎インスリン分泌および食事によるインスリン分泌によって、空腹時血漿グルコース濃度および食後血漿グルコース濃度に影響を与える正常血糖が維持される。2型糖尿病では、基礎インスリン分泌および食事によるインスリン分泌が損なわれ、食後の早期の反応がない。これらの有害な事態に対処するために、2型糖尿病患者にはインスリン薬剤治療レジメンが提供される。これらの有害な事態に対処するために、1型糖尿病患者にはインスリン薬剤治療レジメンが提供される。これらのインスリン薬剤治療レジメンの最終目標は、低血糖症および高血糖症の推定リスクを最小限に抑えるであろう、望ましい空腹時血糖標的レベルを維持することである。
【0004】
インスリン薬剤治療レジメンを施すために、調節可能なステップサイズ、ならびに生理学的パラメータ推定および所定の空腹時血糖標的値を用いるスマートタイトレータが開発されている。
【0005】
連続グルコースモニタ(CGM)は、日中および夜間グルコースレベルを監視し、グルコースレベルが高すぎるまたは低すぎるときを通知することができ、患者が対応することを可能にする、小型のウェアラブルデバイスである。
【0006】
現在の標準的ケアは、患者がフィンガースティックおよびSMBGを繰り返すことによって血糖を自己測定することである。しかしながら、この実践には統一性がないという実態に起因して、高血糖または低血糖イベントが見逃される場合があり、実際の測定時点は、推奨される時点とは異なる(すなわち、非空腹時状態で空腹時血糖が測定される)場合があり、推奨される測定回数に準拠するには障壁となり得る(“The Rationale for Continous Glucose Monitoring-based Diabetes Treatment Decisions and Non-adjungtive Continous Glucose Monitoring Use”,European Endocrinology,2016;12(1):24-30参照)。一般に、血糖計の推定値正確度は、CGMからの推定値と比較して良好であることが多い。
【0007】
通常の状況下では、糖尿病患者は、SMBGを使用して、朝食前のまだ空腹時に空腹時グルコースレベルを測定する。しかしながら、時折測定を忘れるおよび行わないか、または朝食を開始した後に行うかのいずれかであると、基礎インスリンタイトレーションに使用される空腹時グルコースレベルの精度が低減される。CGMデータがタイムスタンプされると、基礎インスリンタイトレーションに基づくCGMデータからグルコースレベルを自動検出することによって、この使用エラーのリスクを低減すると期待されている。加えて、朝の空腹時グルコースレベルに基づく基礎インスリンタイトレーションは、暁現象に起因する朝のグルコースレベルの上昇に起因する、過剰なインスリン投与につながる場合がある(S.Wolfe,“Contribution of the dawn phenomenon to the fasting and postbreakfast hyperglycaemia in type 1 diabetes treated with once-nightly insulin glargine”,Endocr.Pract.,year,18,pp.558-562,2012参照)。
【0008】
Hygieia,Inc.による“System for Optimizing A Patient’s Inulin Dosage Regimen”と題された、米国特許第8,370,077B2号は、入力値が患者の現在のインスリン投与量レジメンにおける1つ以上の構成要素に少なくとも対応し、かつデータ入力値が複数回で決定される患者の血糖レベル測定値に少なくとも対応する、患者のインスリン投与量レジメンを経時的に最適化するためのシステムについて開示している。複数回で決定された、患者の血糖レベル測定値に対応するデータ入力値から、患者の現在のインスリン投与量レジメンにおける1つ以上の構成要素のうちの少なくとも1つが変動しているか、かつどの程度変動しているかを決定して、所定の範囲内に患者の将来的な血糖レベル測定値を維持する。血糖レベル測定値は、読み取り値が入力された時間、具体的には、朝の測定値であるか、昼食前の測定値であるか、夕食前の測定値であるか、就寝時の測定値であるか、または夜間の測定値であるかどうか、を反映する識別子とタグ付けされている。
【0009】
Roche Diagnostics Operations,Inc.の“Insulin Optimization Systems and Testing Methods with Adjusted Exit Criterion Accounting for System Noise Associated with Biomarkers”と題された、米国特許公開第2011/313674A号は、バイオマーカーデータのうちの少なくとも1つのサンプリングセットを収集することを含む糖尿病患者の治療を最適化するための方法について開示している。糖尿病患者は、各サンプリングセットが、収集期間にわたって記録された1つ以上のサンプリング例を含む、バイオマーカーデータのうちの1つ以上のサンプリングセットの収集を開始することができる。各サンプリング例は、1つ以上のバイオマーカー読み取り値を含む。サンプリングセットの収集期間は、1日のうちの複数のサンプリング例、1週間のうちの複数のサンプリング例、連続する数週間のうちの複数のサンプリング例、または1週間のうちの連続する数日の複数のサンプリング例として定義することができる。バイオマーカーは、グルコース、トリグリセリド、低密度脂質、および高密度脂質のレベルに関係し得る。例示的な一実施形態では、バイオマーカー読み取り値は、血糖読み取り値、具体的には空腹時血糖読み取り値である。バイオマーカー読み取り値に加えて、各サンプリング例は、バイオマーカー読み取り値、およびバイオマーカー読み取りに関連する他のコンテキストデータを含んでもよく、コンテキストデータは、収集時間、収集日、直前の食事を摂取した時間、インスリンの推奨用量、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0010】
Hygieiaの“Systems,Methods and Devices for Achieving Glycemic Balance”と題された、米国特許公開第2011/0319322号は、患者の現在のインスリン投与量レジメンにおける1つ以上の構成要素に少なくとも対応するデータ入力値、および複数回で決定される患者の血糖レベル測定値に少なくとも対応するデータ入力値を記憶するための、少なくとも第1のメモリと、少なくとも第1のメモリに操作可能に接続しているプロセッサと、を備える、患者のインスリン投与量レジメンを経時的に最適化するためのシステムについて開示している。プロセッサは、所定の範囲内に患者の将来的な血糖レベル測定値を維持するために、複数回で決定された、患者の血糖レベル測定値に対応するデータ入力値から、患者の現在のインスリン投与量レジメンにおける1つ以上の構成要素のうちの少なくとも1つが変動しているか、かつどの程度変動しているかを少なくとも決定するようプログラムされている。
【0011】
Abbott Diabetes Care,Incの“Multi-Function Analyte Monitor Device and Methods of use”と題された、米国特許公開第2012/0232520号は、分析物サンプルを検出し、検出された分析物サンプルに関連する分析物濃度を決定し、決定された分析物濃度および決定された分析物濃度と関連する時間を記憶し、2つ以上の記憶されている分析物濃度を取得し、現在の投与レベルおよび2つ以上の取得された分析物濃度に関連するデータに少なくとも部分的に基づいて調節される用量レベルを決定するための方法、システム、およびデバイスについて開示している、が提供されている。例えば、持続型インスリンの投与量レベルの調節が、糖尿病および関係する状態の管理を補助するために提供され得る。
【0012】
基礎インスリン療法では、頑強かつ信頼性の高いインスリンタイトレーションアルゴリズムが重要であり、新しい用量を計算するために使用されるグルコースレベルが重要であり、上の背景を考慮すると、当技術分野で必要とされるのは、改善されたインスリン薬剤タイトレーションを提供するシステムおよび方法である。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、改善されたインスリン薬剤タイトレーションを提供するためのシステムおよび方法のための、当技術分野における必要性に対処する。薬剤の量を調節するために使用されるグルコースレベルの入力値は、最適な日々の基礎用量または薬剤の量を決定するために重要な危機的なグルコースレベルを反映するべきである。低グルコース値は危機的であるので、グルコースレベルの入力値は、最適な日々の基礎用量を見出すことにおいても重要である。本明細書では、使用されるグルコースレベルとは、タイトレーショングルコースレベル(TGL)としてのタイトレーションアルゴリズムへの入力値を指す。したがって、本開示によって解決される問題は、連続グルコースモニタ(CGM)からのデータに基づいて、TGLを安全かつ自動的に検出することである。CGMデータまたは自律的に生成されタイムスタンプされるグルコースデータの、連続的またはほぼ連続的特徴は、基礎インスリンタイトレーションに基づいて、グルコースレベルをより精密にかつ動的に検出する機会を与える。さらなる態様では、TGLはまた、外因性速効型インスリン薬剤が注入され、短期間で血糖レベルに影響を与えるかどうかの指標にも基づく。本発明のさらなる態様は、連続またはほぼ連続グルコースデータに基づく、タイトレーショングルコースレベルの安全かつ自動的検出のためのシステムおよび方法を提供する。
【0014】
連続グルコースモニタが安価かつより正確になると、T1およびT2糖尿病患者に技術がより広く使用されるようになるであろうことが推測される。本発明は、CGMデータに基づいてTGLを決定することを可能にし、これは例えばT2D患者の基礎インスリンタイトレーションに有用である。一態様では、例えば24時間の期間にわたるCGMデータの最も低い平均グルコースを使用することで、多数の利益を安全に提供し、SMPG測定値がある時点のみを反映し、したがって最も低い空腹時グルコースの捕捉が確実でない空腹時SMPG測定値を使用することとは反対に、最も低いグルコース読み取り値は、持続型インスリンを用いるインスリン治療の重要な値である。一例としては、起床前に空腹時グルコースが上昇し、したがって朝の空腹時SMPG測定値が、夜間のよりも高い空腹時グルコース値を生じる暁効果である。所定の空腹期間とは対照的に、実生活での空腹期間は変動し、したがって空腹時としての所定の期間は、確実ではない。本発明の一態様では、CGMデータは、1組の規則を使用して分析され、空腹時グルコース当量がデータストリームから自動的に決定されることを可能にする。不十分な品質で、食事による人為結果によって影響され、残留インスリンによって影響されているデータを除外することによって、値である新造された「タイトレーショングルコースレベル」が決定される。
【0015】
したがって、本開示の一態様は、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するためのデバイスを提供し、デバイスが、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む規定のインスリンレジメンであって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する、規定のインスリンレジメンと、インスリン状態インジケータであって、インスリン状態インジケータが、一次時間枠内のグルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および一次時間枠内のグルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、インスリン状態インジケータと、命令と、を含む、第1のデータ構造を含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつとられたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータの状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、
(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベルを入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルを尺度の中心傾向と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持すること、の方法を実施する。
【0016】
本明細書では、入手されたグルコースタイトレーションレベルに基づいて持続型インスリン用量を調節するためのアルゴリズムに入力値として使用され得るグルコースタイトレーションレベルを自動的に入手するデバイスが提供され、グルコースタイトレーションレベルの評価が、血糖プロファイルの特徴、すなわち、血糖プロファイルが外因性速効型インスリンの影響を示しているかどうかに対して最適化される。言い換えれば、タイトレーショングルコースレベルの評価は、自動的であり、対象が従うまたは従うべき医療レジメンに適合する。提供されるデバイスは、一組の規則を使用してCGMデータを分析し、それによりデータストリームからのタイトレーショングルコースレベルの自動決定を可能にする。不十分な品質で、食事による人為結果によって影響され、残留インスリンによって影響されているデータを除外することによって、タイトレーショングルコースレベル値が決定される。このようにして、主に持続型インスリン薬剤の影響に起因して小さいグルコース測定値が小さい、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットは、インスリン状態インジケータに基づいて識別されることができる。インスリン状態インジケータが速効型インスリンによる影響を識別する場合、小さいグルコース測定値は、炭水化物およびボーラスインスリンの摂取から間隔を置いた期間のものである、すなわち空腹期間のものであることが見出されるであろう。
【0017】
さらなる態様では、ステップBでのタイトレーショングルコースレベルを入手することは、
インスリン状態インジケータの状態に基づいて、次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数を入手し、(ii)最も小さいグルコース測定値のサブセットとして、一次時間枠内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット内の測定回数が、入手した整数と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベルを第1のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠では、一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、一次時間枠でのグルコース測定値のサブセットである、重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
複数の二次時間枠内の各二次時間枠では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間または稼働期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向に対応する二次時間枠内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベルを最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、
(B3)第3の評価モードの一次時間枠では、一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、一次時間枠でのグルコース測定値のサブセットである、重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
複数の二次時間枠内の各二次時間枠では、対応するグルコース尺度の変動を算出し、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、各それぞれのグルコース尺度の変動が、対応する二次時間枠内のグルコース測定値の尺度の変動として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の変動の移動期間を入手し、
複数のグルコース尺度の変動では、最も小さいグルコース尺度の変動を複数のグルコース尺度の変動内の最も小さいグルコース尺度の変動として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、最も小さいグルコース尺度の変動に対応する二次時間枠内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向を、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出し、
タイトレーショングルコースレベルを最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む。
【0018】
さらなる態様では、方法は、
インスリン状態インジケータの状態を識別することに応じて、第1または第2の評価モードを選択し、インスリン状態インジケータの状態が持続型インスリンのみの影響状態として識別されると、それにより速効型インスリン薬剤がグルコース測定値に影響していないことが確認されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましいタイトレーショングルコースレベルを入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む。
【0019】
さらなる態様では、方法は、
インスリン状態インジケータの状態を識別することに応じて、
インスリン状態インジケータの状態が速効型インスリンの影響状態として識別されると、第3の評価モードを選択し、それにより速効型インスリン薬剤がグルコース測定値に影響し得ることが識別されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましいタイトレーショングルコースレベルを入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む。
【0020】
さらなる態様では、尺度の変動は分散であり、さらなる態様では、尺度の中心傾向は平均値である。さらなる態様では、方法は、繰り返し基準で繰り返される。
【0021】
さらなる態様では、方法は、
対象によって使用された1つ以上のインスリンペンからの第2のデータセットを入手して、規定のインスリンレジメンを適用することであって、第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録が、(i)1つ以上のインスリンペンのそれぞれのインスリンペンを使用して対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント、および(ii)それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ、を含む、規定のインスリンレジメンを適用することと、
第1の評価モードでの第1のグルコース尺度の中心傾向では、第1のグルコース尺度の中心傾向を評価期間を表す三次時間枠と関連付けることであって、三次時間枠の最近の終点が、一次時間枠の最近の終点と同期され、一次枠および三次枠が同じ長さである、三次時間枠と関連付けること、
第2の評価モードでの複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向を、それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向の評価の時間を表す時間インジケータと関連付け、それにより評価期間を表す三次時間枠を定義する複数の時間インジケータを入手することであって、三次時間枠の最近の終点が、一次時間枠の最近の終点と同期され、三次時間枠の長さが、一次時間枠の長さよりも短い、複数の時間インジケータを入手すること、または
第3の評価モードでの複数のグルコース尺度の変動では、各それぞれのグルコース尺度の変動を、それぞれのグルコース尺度の変動の評価の時間を表す時間インジケータと関連付け、それにより評価期間を表す三次時間枠を定義する複数の時間インジケータを入手することであって、三次時間枠の最近の終点が、一次時間枠の最近の終点と同期され、三次時間枠の長さが、一次時間枠の長さよりも短い、複数の時間インジケータを入手すること、ならびに
タイトレーショングルコースレベルを三次時間枠と関連付けることと、
三次時間枠に第1の特徴解析を適用することであって、
第1の特徴解析が、基礎レジメン適合および基礎レジメン不適合のうちの1つであり、
第2のデータセットが、一時的かつ定量的基準に基づいて、それぞれの三次時間枠の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメンとの適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含むと、三次時間枠が基礎レジメン適合と見なされ、
第2のデータセットが、一時的かつ定量的基準に基づいて、三次時間枠の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメンとの適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含み損なうと、三次時間枠が基礎レジメン不適合と見なされ、
対象の基礎インスリン薬剤投与量レジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を調節することが、基礎レジメン適合と見なされる三次時間枠によって表されるタイトレーショングルコースレベルに基づき、かつ基礎レジメン不適合と見なされる三次時間枠によって表されるタイトレーショングルコースレベルを除外することによる、第1の特徴解析を適用することと、をさらに含む。
【0022】
さらなる態様では、第1のデータ構造は、複数の連続するエポックを含み、各それぞれのエポックが、それぞれのエポック内で基礎インスリン薬剤が注入されるとき、および基礎インスリン薬剤が注入される量を示す基礎インスリン薬剤投与量と関連付けられ、それにより第1の特徴解析の一時的かつ定量的基準を提供する。
【0023】
さらなる態様では、三次枠の長さは、エポックの各々の長さよりも長いか、または同じである。
【0024】
さらなる態様では、三次時間枠の終点は、現在のエポックの終点と同期され、現在のエポックが複数のエポック内の最近完了したエポックである。
【0025】
さらなる態様では、複数のエポックの各それぞれのエポックは三次時間枠と関連付けられ、それにより各三次時間枠が評価期間を表し、各三次枠が一時的基準に基づくそれぞれのエポックにアラインされ、各三次時間枠がタイトレーショングルコースレベルと関連付けられている、複数の三次時間枠を入手する。
【0026】
さらなる態様では、第1のデータ構造は、複数のエポック内のエポックの各々の、持続型インスリン薬剤の投与の一時的かつ定量的基準の特定を含む。
【0027】
さらなる態様では、持続型インスリン薬剤の定量的基準は、タイトレーショングルコースレベルに相関する。
【0028】
さらなる態様では、一時的基準は、複数のエポック内の各エポックの1回の注入として特定される。
【0029】
さらなる態様では、複数のエポックの各エポックは、暦日または暦週である。
【0030】
さらなる態様では、複数のグルコース測定値の連続する測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で自律的に対象から取得される。
【0031】
さらなる態様では、デバイスは、さらにワイヤレス受信機を備え、第1のデータセットが、対象に取り付けられたグルコースセンサからワイヤレスで入手され、かつ/あるいは第2のデータセットが、1つ以上のインスリンペンからワイヤレスで入手される。
【0032】
さらなる態様では、第1のデータ構造は、低血糖リスク状態インジケータであって、低血糖リスク状態インジケータが、対象が高い低血糖リスクを有し得るか、あるいは複数のグルコース測定値にわたる高い変動が観察され得る高い低血糖リスク状態、および対象が高くない低血糖リスクを有し得るか、あるいは複数のグルコース測定値にわたる低い変動が観察され得る高くない低血糖リスク状態を示すことができる、低血糖リスク状態インジケータをさらに含み、方法が、
低血糖リスク状態インジケータの状態を識別することに応じて、
低血糖リスク状態インジケータの状態が、高い低血糖リスク状態として識別されると、第1の評価モードを選択し、それにより低グルコース値およびノイズにより感受性の高いタイトレーショングルコースレベル(246)を入手するための方法を使用することを、さらに含む。
【0033】
さらなる態様では、二次時間枠は、50分~70分、60分~120分、120分~180分、または180分~300分である。
【0034】
さらなる態様では、複数のグルコース測定値の連続する測定値は、4分~6分の間隔で自律的に対象から取得され、二次時間枠は、50分~70分である。
【0035】
さらなる態様では、複数のグルコース測定値の連続する測定値は、40分~80分の間隔で自律的に対象から取得され、二次時間枠は、180分~310分である。
【0036】
別の態様では、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータで、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための方法であって、
メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む規定のインスリンレジメンであって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する、規定のインスリンレジメンと、インスリン状態インジケータであって、インスリン状態インジケータが、一次時間枠内のグルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および一次時間枠内のグルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、インスリン状態インジケータと、メモリとを含む、第1のデータ構造を記憶し、メモリがさらに命令を記憶し、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつとられたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータの状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、
(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベルを入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルを尺度の中心傾向と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持すること、の方法を実施する。
【0037】
別の態様では、命令を含むコンピュータプログラムが提供され、1つ以上のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行されるとき、上述の方法を実施する。
【0038】
別の態様では、上述のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読データ担体が提供される。
【0039】
別の態様では、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するためのデバイスが提供され、デバイスが、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む規定のインスリンレジメンであって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが、持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する、規定のインスリンレジメンと、命令と、を含む、第1のデータ構造を含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつとられたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、
(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベルを入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルを尺度の中心傾向と関連付けることによって、タイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持すること、の方法を実施する。
【0040】
デバイスのさらなる態様では、ステップBでのタイトレーショングルコースレベルを入手することは、
次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)グルコース測定値のサブセット用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数を入手し、(ii)最も小さいグルコース測定値のサブセットとして、一次時間枠内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット内の測定回数が、入手した整数と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベルを第1のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠では、一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、一次時間枠でのグルコース測定値のサブセットである、重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
複数の二次時間枠内の各二次時間枠では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向に対応する二次時間枠内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベルを最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、
(B3)第3の評価モードの一次時間枠では、一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、一次時間枠でのグルコース測定値のサブセットである、重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
複数の二次時間枠内の各二次時間枠では、対応するグルコース尺度の変動を算出し、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、各それぞれのグルコース尺度の変動が、対応する二次時間枠内のグルコース測定値の尺度の変動として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の変動の移動期間を入手し、
複数のグルコース尺度の変動では、最も小さいグルコース尺度の変動を複数のグルコース尺度の変動内の最も小さいグルコース尺度の変動として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、最も小さいグルコース尺度の変動に対応する二次時間枠内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向を、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出し、
タイトレーショングルコースレベルを最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む。
【0041】
本明細書では、入手されたグルコースタイトレーションレベルに基づいて持続型インスリン用量を調節するためのアルゴリズムに入力値として使用され得るグルコースタイトレーションレベルを自動的に入手するデバイスが提供され、グルコースタイトレーションレベルの評価が、血糖プロファイルの特徴に関して最適化され得る、すなわち、血糖プロファイルが外因性速効型インスリンの影響を示しているかどうかで評価が最適化され得る。言い換えれば、タイトレーショングルコースレベルの評価は、自動的であり、対象が従うまたは従うべき医療レジメンに応じて評価され得る。
【0042】
さらなる態様では、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットに含まれるグルコース測定値は、グルコース測定値の下位パーセンタイルよりも小さい値を有し、下位パーセンタイルが、0.1パーセンタイル~50パーセンタイルの範囲であり、Pパーセンタイルが、一次時間枠内のタイトレーションサブセットを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値のP%よりも大きい、最も低いグルコース測定値として定義される。
【0043】
さらなる別の態様では、対象の規定の基礎インスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスが提供され、デバイスが、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む規定のインスリンレジメンであって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが、持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する、規定のインスリンレジメンと、命令とを含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつとられたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)持続型インスリン薬剤投与量を維持または調節するためのアルゴリズムへの入力値として使用されるグルコースレベルであるタイトレーショングルコースレベルを入手することであって、タイトレーショングルコースレベルが、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットに基づき、
(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別するため、かつ一次時間枠のタイトレーショングルコースレベルを入手するために使用される、第1のデータセットのグルコース測定値を含む期間を定義する時間経過内の一次時間枠を入手することであって、グルコース測定値の各々が、一次時間枠内のタイムスタンプ232を有する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルに尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持すること、の方法を実施する。
【0044】
本明細書では、規定の基礎インスリンレジメン用に入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持するために適合された、すなわち対象が持続型インスリンのみで治療され、それにより最も低いグルコースレベルが持続型インスリン薬剤の影響から生じるものであることがわかる、デバイスが提供される。
【0045】
さらなる態様では、ステップBでのタイトレーショングルコースレベルを入手することは、
次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)グルコース測定値のサブセット用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数を入手し、(ii)最も小さいグルコース測定値のサブセットとして、一次時間枠内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット内の測定回数が、入手した整数と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベルを第1のグルコース尺度の中心傾向と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む。
【0046】
さらなる態様では、ステップBでのタイトレーショングルコースレベルを入手することは、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠では、一次時間枠内の複数の同時に重複する二次時間枠を入手し、各二次時間枠が、一次時間枠でのグルコース測定値のサブセットである、重複するグルコース測定値のサブセットを含み、
複数の二次時間枠内の各二次時間枠では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向に対応する二次時間枠内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベルを最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向と関連付けること、をさらに含む。
さらなる態様では、ステップBでのタイトレーショングルコースレベルを入手することは、
小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット用に選択されるグルコース測定回数を定義するタイトレーションパーセンタイルを定義するパーセンテージを入手すること、(ii)グルコース測定値のタイトレーションパーセンタイルによって定義されるグルコース測定値を識別および選択することによって、最も小さいグルコース測定値のサブセットとして小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択することであって、タイトレーションパーセンタイルが、0.1パーセンタイル~50パーセンタイルの範囲であり、下位パーセンタイル以下であり、Pパーセンタイルが、一次時間枠内のタイトレーションサブセットを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値のP%よりも大きい、最も低いグルコース測定値として定義される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択すること、(iii)第4のグルコース尺度の中心傾向として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された、尺度の中心傾向を入手すること、ならびに
タイトレーショングルコースレベルに第4の尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベルを第4のグルコース尺度の中心傾向と関連付けること、をさらに含む。
【0047】
さらなる態様では、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスが提供され、デバイスが、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む規定のインスリンレジメンであって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが、持続型インスリン薬剤投与量の量を特定する、規定のインスリンレジメンと、命令とを含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセットを入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつとられたかを表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを入手することと、
(B)持続型インスリン薬剤投与量を維持または調節するためのアルゴリズムへの入力値として使用されるグルコースレベルであるタイトレーショングルコースレベルを入手することであって、タイトレーショングルコースレベルが、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットに基づき、
(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別するため、かつ一次時間枠のタイトレーショングルコースレベルを入手するために使用される、第1のデータセットのグルコース測定値を含む期間を定義する時間経過内の一次時間枠を入手することであって、グルコース測定値の各々が、一次時間枠内のタイムスタンプを有する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットの尺度の中心傾向として算出された、タイトレーショングルコースレベルを入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベルを入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルに尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベルを尺度の中心傾向と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベルを入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベルに基づいて、持続型インスリン薬剤投与量を調節または維持すること、の方法を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本開示の一実施形態による、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自動的に調節、維持、または最適化するための基礎タイトレーション調節デバイス、患者データを収集するためのデータ収集デバイス、対象からのグルコースデータを測定する1つ以上のグルコースセンサ、および規定のインスリン薬剤レジメンに従ってインスリン薬剤を注入するために対象によって使用される1つ以上のインスリンペン、を含む、例示的なシステムトポロジーを図示し、上に特定される構成要素は、任意選択的に通信ネットワークを通じて相互接続している。
図2A】本開示の一実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図2B】本開示の一実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図2C】本開示の一実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図2D】本開示の一実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図3A】本開示の別の実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図3B】本開示の別の実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図3C】本開示の別の実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図3D】本開示の別の実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスをまとめて図示する。
図4A】本開示の様々な実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスのプロセスおよび特色のフローチャートをまとめて提供する。
図4B】本開示の様々な実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスのプロセスおよび特色のフローチャートをまとめて提供する。
図4C】本開示の様々な実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスのプロセスおよび特色のフローチャートをまとめて提供する。
図4D】本開示の様々な実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイスのプロセスおよび特色のフローチャートをまとめて提供する。
図5】本開示の一実施形態による、規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための、接続されたインスリンペン(複数可)、連続グルコースモニタ(複数可)、メモリ、およびプロセッサの統合システムの例を図示する。
図6A】複数のグルコース測定値が本開示の実施形態に従って入手された、一次時間枠、二次時間枠、三次時間枠、エポック、および時間経過の間の一時的な関係を図示する。
図6B】本開示の一実施形態による、一次時間枠内の最も小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別するステップ、および対応するグルコースタイトレーションレベルをどのように入手するかを図示する。図示された方法は、グルコースレベルが速効型インスリンによる影響を受けていないとき、特に好適である。
図6C】本開示の別の実施形態による、一次時間枠内の小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別するステップ、および対応するグルコースタイトレーションレベルを入手するステップを図示する。図示された方法は、グルコースレベルが速効型インスリンによる影響を受けていないとき、特に好適である。
図6D】本開示の別の実施形態による、一次時間枠内の小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別するステップ、および対応するグルコースタイトレーションレベルを入手するステップを図示する。図示された方法は、グルコースレベルが速効型インスリンによる影響を受けている可能性があるとき、特に好適である。
図6E】ユーザがタイトレーショングルコースレベルの評価を要求する場合の、三次枠と現在の時間610との間の関係をまとめて図示する。図はまた、三次枠、エポック、および暦単位(例えば、暦日)の一時的なアラインメントも図示する。
図6F】ユーザがタイトレーショングルコースレベルの評価を要求する場合の、三次枠と現在の時間610との間の関係をまとめて図示する。図はまた、三次枠、エポック、および暦単位(例えば、暦日)の一時的なアラインメントも図示する。
図7A】本発明の実施形態による、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別する例をまとめて図示する。図7Aおよび7Bは、最も低いグルコース測定値が一次枠内で識別される際にタイトレーションサブセットが識別される実施形態を図示する。図7Cおよび7Dは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の移動平均が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い移動平均に対応するサブセットとして識別され得る。識別された最も低い移動平均は、タイトレーショングルコースレベルに対応する。図7Eおよび7Fは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の分散の移動評価(running evaluation of the variance)が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い値の分散の移動評価に対応するサブセットとして識別され得る。タイトレーショングルコースレベルは、タイトレーションサブセットの平均グルコースの値として入手される。図7A、7Cおよび7Eは、一次枠の血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けている例を図示する。図7B、7Dおよび7Fは、一次時間枠の血糖が速効型インスリンによる影響を受けている例を図示する。図7A~7Dに図示されている方法は、血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けているときが最も好適である一方で、図7E~7Fに図示されている方法は、血糖が速効型インスリンによる影響を受けているとき、または血糖の分散が増加するように影響されているのと同様の状況で好適である。
図7B】本発明の実施形態による、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別する例をまとめて図示する。図7Aおよび7Bは、最も低いグルコース測定値が一次枠内で識別される際にタイトレーションサブセットが識別される実施形態を図示する。図7Cおよび7Dは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の移動平均が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い移動平均に対応するサブセットとして識別され得る。識別された最も低い移動平均は、タイトレーショングルコースレベルに対応する。図7Eおよび7Fは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の分散の移動評価(running evaluation of the variance)が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い値の分散の移動評価に対応するサブセットとして識別され得る。タイトレーショングルコースレベルは、タイトレーションサブセットの平均グルコースの値として入手される。図7A、7Cおよび7Eは、一次枠の血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けている例を図示する。図7B、7Dおよび7Fは、一次時間枠の血糖が速効型インスリンによる影響を受けている例を図示する。図7A~7Dに図示されている方法は、血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けているときが最も好適である一方で、図7E~7Fに図示されている方法は、血糖が速効型インスリンによる影響を受けているとき、または血糖の分散が増加するように影響されているのと同様の状況で好適である。
図7C】本発明の実施形態による、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別する例をまとめて図示する。図7Aおよび7Bは、最も低いグルコース測定値が一次枠内で識別される際にタイトレーションサブセットが識別される実施形態を図示する。図7Cおよび7Dは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の移動平均が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い移動平均に対応するサブセットとして識別され得る。識別された最も低い移動平均は、タイトレーショングルコースレベルに対応する。図7Eおよび7Fは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の分散の移動評価(running evaluation of the variance)が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い値の分散の移動評価に対応するサブセットとして識別され得る。タイトレーショングルコースレベルは、タイトレーションサブセットの平均グルコースの値として入手される。図7A、7Cおよび7Eは、一次枠の血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けている例を図示する。図7B、7Dおよび7Fは、一次時間枠の血糖が速効型インスリンによる影響を受けている例を図示する。図7A~7Dに図示されている方法は、血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けているときが最も好適である一方で、図7E~7Fに図示されている方法は、血糖が速効型インスリンによる影響を受けているとき、または血糖の分散が増加するように影響されているのと同様の状況で好適である。
図7D】本発明の実施形態による、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別する例をまとめて図示する。図7Aおよび7Bは、最も低いグルコース測定値が一次枠内で識別される際にタイトレーションサブセットが識別される実施形態を図示する。図7Cおよび7Dは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の移動平均が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い移動平均に対応するサブセットとして識別され得る。識別された最も低い移動平均は、タイトレーショングルコースレベルに対応する。図7Eおよび7Fは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の分散の移動評価(running evaluation of the variance)が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い値の分散の移動評価に対応するサブセットとして識別され得る。タイトレーショングルコースレベルは、タイトレーションサブセットの平均グルコースの値として入手される。図7A、7Cおよび7Eは、一次枠の血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けている例を図示する。図7B、7Dおよび7Fは、一次時間枠の血糖が速効型インスリンによる影響を受けている例を図示する。図7A~7Dに図示されている方法は、血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けているときが最も好適である一方で、図7E~7Fに図示されている方法は、血糖が速効型インスリンによる影響を受けているとき、または血糖の分散が増加するように影響されているのと同様の状況で好適である。
図7E】本発明の実施形態による、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別する例をまとめて図示する。図7Aおよび7Bは、最も低いグルコース測定値が一次枠内で識別される際にタイトレーションサブセットが識別される実施形態を図示する。図7Cおよび7Dは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の移動平均が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い移動平均に対応するサブセットとして識別され得る。識別された最も低い移動平均は、タイトレーショングルコースレベルに対応する。図7Eおよび7Fは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の分散の移動評価(running evaluation of the variance)が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い値の分散の移動評価に対応するサブセットとして識別され得る。タイトレーショングルコースレベルは、タイトレーションサブセットの平均グルコースの値として入手される。図7A、7Cおよび7Eは、一次枠の血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けている例を図示する。図7B、7Dおよび7Fは、一次時間枠の血糖が速効型インスリンによる影響を受けている例を図示する。図7A~7Dに図示されている方法は、血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けているときが最も好適である一方で、図7E~7Fに図示されている方法は、血糖が速効型インスリンによる影響を受けているとき、または血糖の分散が増加するように影響されているのと同様の状況で好適である。
図7F】本発明の実施形態による、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別する例をまとめて図示する。図7Aおよび7Bは、最も低いグルコース測定値が一次枠内で識別される際にタイトレーションサブセットが識別される実施形態を図示する。図7Cおよび7Dは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の移動平均が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い移動平均に対応するサブセットとして識別され得る。識別された最も低い移動平均は、タイトレーショングルコースレベルに対応する。図7Eおよび7Fは、3つの異なる時間枠(二次時間枠の長さ)での、グルコース測定値の分散の移動評価(running evaluation of the variance)が一次時間枠内で計算される実施形態を図示する。タイトレーションサブセットは、所与の時間枠での最も低い値の分散の移動評価に対応するサブセットとして識別され得る。タイトレーショングルコースレベルは、タイトレーションサブセットの平均グルコースの値として入手される。図7A、7Cおよび7Eは、一次枠の血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けている例を図示する。図7B、7Dおよび7Fは、一次時間枠の血糖が速効型インスリンによる影響を受けている例を図示する。図7A~7Dに図示されている方法は、血糖が持続型インスリンのみによる影響を受けているときが最も好適である一方で、図7E~7Fに図示されている方法は、血糖が速効型インスリンによる影響を受けているとき、または血糖の分散が増加するように影響されているのと同様の状況で好適である。
【0049】
同様の参照符号は、図面のいくつかの図全体を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示は、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための頑強なシステムおよび方法を提供する。本開示は、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプを含む、データセットに関連するデータの取得に依拠する。図1はかかるデータ取得のための統合システム502の例を図示しており、図5はかかるシステム502のさらなる詳細を提供している。統合システム502は、対象のグルコースデータの自律的なアルゴリズム分類を実施するための、1つ以上の接続されたインスリンペン104、1つ以上のグルコースモニタまたはグルコースセンサ102、メモリ506、およびプロセッサ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、グルコースモニタ102は、連続グルコースモニタである。
【0051】
統合システム502では、対象の自律的なタイムスタンプされたグルコース測定値を入手する520。また、いくつかの実施形態では、規定のインスリンレジメンを対象に適用するために使用される1つ以上のインスリンペン104からのデータは、複数の記録として入手される540。各記録は、対象が規定のインスリン薬剤投与量レジメンの一部として受けた、注入されたインスリン薬剤の量を特定するタイムスタンプされたイベントを含む。グルコース測定値はフィルタリングされ504、非一時的メモリに記憶される506。経時的に取得された対象の複数のグルコース測定値を使用して、対象のタイトレーショングルコースレベルを決定する508。このようにして、本開示の方法に従って、グルコースデータは、タイトレーショングルコースレベルに基づいて分析されて、持続型インスリン薬剤投与量を調節する510。
【0052】
ここで、添付図面に図示されている例として、実施形態を詳細に参照する。次の詳細な説明では、本開示の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示はこれらの具体的な詳細を用いずに実施され得ることが、当業者には明らかであろう。他の例では、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークについては詳細に記述されていない。
【0053】
また、第1、第2などの用語は、本明細書では様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の対象は第2の対象と称され得、同様に第2の対象は、第1の対象と称され得る。第1の対象および第2の対象は両方とも対象であるが、同じ対象ではない。さらに、用語「対象」および「ユーザ」とは、本明細書では互換的に使用される。インスリンペンという用語は、インスリンの統一性のない用量を適用するのに好適な注入デバイスを意味し、注入デバイスが、用量に関係するデータのログおよび通信用に適合される。
【0054】
本開示で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明を限定することを意図していない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「および/または」とは、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の可能性のある任意およびすべての組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」とは、記載の特色、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特色、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または付加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「場合(if)」とは、文脈に応じて、「ときに(when)」または「際に(upon)」または「決定に応じて(in response to determining)」または「検出に応じて(in response to detecting)」を意味すると解釈され得る。同様に、語句「決定される場合」または「〔記載の状態またはイベント〕が検出される場合」とは、文脈に応じて、「決定する際に(upon determining)」、または「決定に応じて(in response to determining)」、または「〔記載の状態またはイベント〕を検出する際に(in response to detecting [the stated condition or event])」、または「〔記載の状態またはイベント〕の検出に応じて(in response to detecting [the stated condition or event])」を意味すると解釈され得る。
【0056】
本開示による、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量216を調節するためのシステム48の詳細な説明を、図1~3と併せて説明する。そのため、図1~3は、本開示によるシステムトポロジーをまとめて図示している。トポロジーでは、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス(「基礎タイトレーション調節デバイス250」)(図1図2、および3)、データ収集のためのデバイス(「データ収集デバイス200」)、対象と関連付けられた1つ以上のグルコースセンサ102(図1および5)、およびインスリン薬剤を対象に注入するための1つ以上のインスリンペン104(図1および5)がある。本開示全体を通して、データ収集デバイス200および基礎タイトレーション調節デバイス250は、単に明確性の目的のために別個のデバイスとして参照されるであろう。すなわち、開示のデータ収集デバイス200の機能および開示の基礎タイトレーション調節デバイス250の機能は、図1に図示されているように別個のデバイスに収容される。しかしながら、実際には、いくつかの実施形態では、開示のデータ収集デバイス200の機能および本開示の基礎タイトレーション調節デバイス250の機能は、単一デバイスに収容されることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、開示のデータ収集デバイス200の機能および/または開示の基礎タイトレーション調節デバイス250の機能は、単一デバイスに収容され、この単一デバイスはグルコースモニタ102またはインスリンペン104である。
【0057】
図1を参照すると、基礎タイトレーション調節デバイス250は、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節する。これを行うために、基礎タイトレーション調節デバイス250と電気的に連通しているデータ収集デバイス200は、常時対象に装着される1つ以上のグルコースセンサ102から発せられる自律的グルコース測定値を受信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はまた、インスリン薬剤を注入するために対象によって使用される、1つ以上のインスリンペン104からインスリン薬剤注入データを受信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、かかるデータをグルコースセンサ(複数可)102および対象によって使用されるインスリンペン104から直接受信する。例えば、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、無線周波数信号を通じてワイヤレスでこのデータを受信する。いくつかの実施形態では、かかる信号は、802.11(WiFi)、Bluetooth、またはZigbee基準に従っている。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、かかるデータを直接受信し、データを分析し、分析されたデータを基礎タイトレーション調節デバイス250に渡す。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ102および/またはインスリンペン104は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用してデータ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250と通信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はまた、(例えば、ウェアラブルな生理学的測定デバイスから、磁気計またはサーモスタットなどのデータ収集デバイス200内の測定デバイスから)対象の生理学的測定値247を入手または受信する。
【0058】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250は、対象に近接していない、ならびに/またはワイヤレス機能を有さないか、またはかかるワイヤレス機能は、グルコースデータ、インスリン薬剤注入データ、および/もしくは生理学的測定値データを取得する目的のために使用されない。かかる実施形態では、通信ネットワーク106は、グルコースセンサ102からのグルコース測定値をデータ収集デバイス200および/もしくは基礎タイトレーション調節デバイス250へ、1つ以上のインスリンペン104からのインスリン薬剤注入データをデータ収集デバイス200および/もしくは基礎タイトレーション調節デバイス250へ、ならびに/または1つ以上の生理学的測定デバイス(図示せず)からの生理学的測定値データをデータ収集デバイス200および/もしくは基礎タイトレーション調節デバイス250に通信するために使用され得る。
【0059】
ネットワーク106の例としては、限定されないが、World Wide Web(WWW)、イントラネットおよび/または携帯電話ネットワーク、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)および/もしくはメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)などのワイヤレスネットワーク、ならびにワイヤレス通信による他のデバイスなどが挙げられる。ワイヤレス通信は、任意選択的に、限定されないが、汎欧州デジタル移動電話方式(Global System for Mobile Communications)(GSM)、高速データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、エボリューションデータオンリー(EV-DO)、HSPA、HSPA+、デュアルセルHSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、Wireless Fidelity(Wi-Fi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11ac、IEEE802.11ax、IEEE802.11b、IEEE 802.11g、および/またはIEEE802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)、および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、エクステンシブルメッセージングアンドプレゼンスプロトコル(XMPP)、インスタントメッセージングアンドプレゼンスレバレッジングエクステンション用セッション初期化プロトコル(SIMPLE)、インスタントメッセージングアンドプレゼンスサービス(IMPS))、および/またはショートメッセージサービス(SMS)、または本開示の出願日には未開発である通信プロトコルを含む任意の他の好適な通信プロトコルを含む、複数の通信基準、プロトコル、および技術のうちのいずれかを使用する。
【0060】
いくつかの実施形態では、対象に装着される単一グルコースセンサ102があり、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250は、グルコースセンサ102の一部である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250、ならびにグルコースセンサ102は、単一デバイスである。
【0061】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250は、インスリンペンの一部である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250、ならびにインスリンペン104は、単一デバイスである。
【0062】
もちろん、システム48の他のトポロジーが可能である。例えば、通信ネットワーク106に依存するのではなく、1つ以上のグルコースセンサ102および1つ以上のインスリンペン104は、情報をデータ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250に直接ワイヤレスで送信してもよい。さらに、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250は、ポータブル電子デバイス、サーバコンピュータ構成する、または実際にはネットワークで連結されているいくつかのコンピュータを構成してもよいか、またはクラウドコンピューティングコンテキストの仮想マシンを構成してもよい。したがって、図1に示されている例示的なトポロジーは、単に、当業者に容易に理解される様式で本開示の実施形態の特色を説明するのに役立つ。
【0063】
図2A、2B、2C、および2Dを参照すると、典型的な実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250は、1つ以上のコンピュータを備える。図2Aに図示する目的のために、基礎タイトレーション調節デバイス250は、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための機能のうちのすべてを含む単一コンピュータとして表されている。しかしながら、本開示はそのように限定されない。いくつかの実施形態では、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための機能は、任意の数のネットワークコンピュータにわたって広がる、かつ/あるいはいくつかのネットワークされているコンピュータの各々に常駐する、かつ/あるいは通信ネットワーク106にわたってアクセス可能な遠隔位置で1つ以上の仮想マシン上にホストされる。広範な異なるコンピュータトポロジーのうちのいずれかがアプリケーション用に使用され、すべてのかかるトポロジーが本開示の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0064】
前述の図2を考慮すると、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための例示的な基礎タイトレーション調節デバイス250は、1つ以上の処理ユニット(CPU)274、ネットワークまたは他の通信ネットワークインターフェース284、メモリ192(例えば、ランダムアクセスメモリ)、1つ以上のコントローラ288によって任意選択的にアクセスされる1つ以上の磁気ディスク記憶媒体および/または持続的デバイス290、前述の構成要素を相互接続するための1つ以上の通信バス213、ならびに前述の構成要素に電力供給するための電源276を備える。いくつかの実施形態では、メモリ192内のデータは、キャッシュなどの既知の演算技法を使用する、不揮発性メモリ290とシームレスに共有される。いくつかの実施形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、中央処理ユニット(複数可)274に対して遠隔に位置する大量記憶媒体を含む。言い換えれば、メモリ192および/またはメモリ290に記憶される一部のデータは、実際に、基礎タイトレーション調節デバイス250の外部であるが、ネットワークインターフェース284を使用してインターネット、イントラネット、または他の形態のネットワークもしくは電子ケーブル(図2に要素106として図示されている)を介して、基礎タイトレーション調節デバイス250によって電子的にアクセスされることができるコンピュータにホストされ得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250のメモリ192は、
・様々な基本システムサービスを取り扱うための手順を含むオペレーティングシステム202、
・基礎タイトレーション調節モジュール204、
・第1のデータ構造210であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む、対象の規定のインスリンレジメン212を含む、第1のデータ構造、を記憶する。任意選択的に、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214は、持続型インスリン薬剤投与量インジケータ2116、および関連するエポック218を含む。インジケータ216は、基礎インスリン薬剤が関連するエポック218内で注入されるときを示す。また任意選択的に、規定のインスリンレジメンは、インスリン状態インジケータ211であって、インスリン状態インジケータ211が、グルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響を受け得る速効型インスリンの影響状態、およびグルコース測定値が持続型インスリン薬剤のみによって影響を受け得、かつグルコース測定値が速効型インスリン薬剤による影響を受け得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、インスリン状態インジケータ、
・第1のデータセット220であって、時間経過を表し、時間経過にわたる対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値230に対する、それぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表すタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット、
・時間経過内に定義され、それにより第1のデータセット220からのグルコース測定値236を含む一次時間枠233であって、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット(240、269、273)を識別し、一次時間枠233と関連付けられているグルコースタイトレーションレベル246を入手するために使用されるデータ構造をさらに定義する、サブモジュールSM1 247、SM2 248、またはSM3 275をさらに含む、一次時間枠を含み、
・サブモジュールSM1 247は、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240に対して選択されるグルコース測定回数を定義する整数234を含み、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240は、一次時間枠233内の最も小さいグルコース測定値のサブセットである。サブモジュールは、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240の尺度の中心傾向である、第1のグルコース尺度の中心傾向244をさらに含む。タイトレーショングルコースレベル246は、第1のグルコース尺度の中心傾向と関連付けられ、
・サブモジュールSM2 248は、複数の同時に重複する二次時間枠260を定義し、各二次時間枠262が、一次時間枠内の重複するグルコース測定値のサブセット264を定義するグルコース測定値266、および対応する重複するグルコース測定値のサブセットの尺度の中心傾向である第2のグルコース尺度の中心傾向を含み、それによりサブモジュールが、複数の第2のグルコース尺度の中心傾向を定義する。サブモジュールは、複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向である、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268をさらに定義する。タイトレーショングルコースレベル246は、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268と関連付けられ、
・サブモジュールSM3 275は、一次時間枠233内の複数の同時に重複する二次時間枠260を含み、各二次時間枠262が、一次時間枠233内のグルコース測定値のサブセット236を定義する重複するグルコース測定値のサブセット264、および対応する重複するグルコース測定値のサブセット264の尺度の変動であるグルコース尺度の変動271を含み、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、それにより、サブモジュールが複数のグルコース尺度の変動を定義する。サブモジュール275は、複数のグルコース尺度の変動内の最も小さいグルコース尺度の変動である最も小さいグルコース尺度の変動272、および最も小さいグルコース尺度の変動272に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットである小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273をさらに含む。サブモジュールは、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273の尺度の中心傾向である、最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274をさらに含む。タイトレーショングルコースレベル246は、最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274と関連付けられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節モジュール204は、任意のブラウザ(電話、タブレット、ラップトップ/デスクトップ)内にアクセス可能である。いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節モジュール204は、ネイティブデバイスフレームワーク上で実行され、AndroidまたはiOSなどのオペレーティングシステム202を実行する基礎タイトレーション調節デバイス250上にダウンロードすることが可能である。
【0067】
いくつかの実装では、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための、基礎タイトレーション調節デバイス250の、上述の識別データ要素またはモジュールのうちの1つ以上が、先述の記憶デバイスのうちの1つ以上に記憶され、上述の機能を実施するための一組の命令に対応する。上述の識別されたデータ、モジュール、またはプログラム(例えば、一組の命令)は、別個のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装される必要はなく、これらのモジュールのさまざまなサブセットを、さまざまな実装で組み合わせるかまたはそうでなければ再配置してもよい。いくつかの実装では、メモリ192および/または290は、上述の識別されたモジュールのサブセットおよびデータ構造を任意選択的に記憶する。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ192および/または290は、上述のものではない追加のモジュールおよびデータ構造を記憶する。
【0068】
いくつかの実施形態では、対象の規定のインスリンレジメン212における持続型インスリン薬剤投与量216を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250は、スマートフォン(例えば、iPHONE)、ノート型パソコン、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または他の形態の電子デバイス(例えば、ゲームコンソール)である。いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250は携帯型ではない。いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250は携帯型である。
【0069】
図3A、3B、3C、および3Dは、本開示で使用することができる基礎タイトレーション調節デバイス250の特定の実施形態のさらなる説明を提供する。図3A~3Dに図示されている基礎タイトレーション調節デバイス250は、1つ以上の処理ユニット(CPU)274、周辺インターフェース370、メモリコントローラ368、ネットワークまたは他の通信インターフェース284、メモリ192(例えば、ランダムアクセスメモリ)、ユーザインターフェース278、ディスプレイ282および入力280(例えば、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むユーザインターフェース278、任意選択的な加速度計317、任意選択的なGPS319、任意選択的なオーディオ回路372、任意選択的なスピーカ360、任意選択的なマイク362、基礎タイトレーション調節デバイス250との接続強度を検出するための1つ以上の任意選択的な強度センサ364(例えば基礎タイトレーション調節デバイス250のタッチセンシティブディスプレイシステム282などのタッチセンシティブ表面)、任意選択的な入力/出力(I/O)サブシステム366、1つ以上の任意選択的な光センサ373、前述の構成要素を相互接続するための1つ以上の通信バス213、前述の構成要素に電力供給するための電源276を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、入力280は、タッチセンシティブ表面などのタッチセンシティブディスプレイである。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース278は、1つ以上のソフトキーボードの実施形態を含む。ソフトキーボードの実施形態は、表示されたアイコン上の標準的(QWERTY)および/または非標準的な記号構成を含み得る。
【0071】
図3に図示されている基礎タイトレーション調節デバイス250は、加速度計(複数可)317に加えて、任意選択的に、基礎タイトレーション調節デバイス250の位置および方向に関連する情報(例えば、ポートレイトまたは風景)を入手するための、ならびに/または対象の身体運動の量を決定するための、磁気計(図示せず)およびGPS319(またはGLONASS、もしくは他のグローバルナビゲーションシステム)受信機を含む。
【0072】
図3に図示されている基礎タイトレーション調節デバイス250は、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量(216)を自律的に調節するために使用され得る、多機能デバイスの一例であり、基礎タイトレーション調節デバイス250は、図示されているよりも任意選択的に多いかもしくは少ない構成要素を有するか、任意選択的に2つ以上の構成要素を組み合わせるか、または任意選択的に構成要素の異なる構成もしくは配置を有することが理解されるべきである。図3に示されている様々な構成要素は、1つ以上の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせに実装されている。
【0073】
図3に図示されている基礎タイトレーション調節デバイス250のメモリ192は、任意選択的に高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択的に1つ以上の磁気ディスク記憶媒体デバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステートメモリデバイスなどの不揮発性メモリも含む。CPU(複数可)274などの基礎タイトレーション調節デバイス250の他の構成要素によるメモリ192へのアクセスは、任意選択的に、メモリコントローラ368によって制御される。
【0074】
いくつかの実施形態では、図3に図示されている基礎タイトレーション調節デバイス250のメモリ192は、任意選択的に、複数の生理学的測定値を含む第3のデータセット246を含み、各かかる生理学的測定値247は、測定値248を含む。いくつかの実施形態では、生理学的測定値247は、対象の体温である。いくつかの実施形態では、生理学的測定値247は、対象の活動性の測定値である。いくつかの実施形態では、これらの生理学的測定値は、追加的なグリセミックリスクの尺度として機能する。いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250の任意選択的な加速度計317、任意選択的なGPS319、および/または磁気計(図示せず)、または任意選択的に1つ以上のグルコースモニタ102および/または1つ以上のペン104内のかかる構成要素は、かかる生理学的測定値247を取得するために使用される。
【0075】
周辺インターフェース370は、デバイスの入力および出力周辺部をCPU(複数可)274およびメモリ192に連結するために使用することができる。1つ以上のプロセッサ274は、インスリンレジメンモニタリングモジュール204などのメモリ192に記憶されている様々なソフトウェアプログラムおよび/または一連の命令を実行(run)または実行(execute)して、基礎タイトレーション調節デバイス250の様々な機能を実施し、データを処理する。
【0076】
いくつかの実施形態では、周辺インターフェース370、CPU(複数可)274、およびメモリコントローラ368は、任意選択的に、単一のチップ上に実装される。いくつかの他の実施形態では、それらは、任意選択的に別個のチップ上に実装される。
【0077】
ネットワークインターフェース284のRF(無線周波数)回路は、電磁信号とも呼ばれるRF信号を受信および送信する。いくつかの実施形態では、第1のデータ構造210、第1のデータセット228、任意選択的な第2のデータセット320は、対象と関連付けられているグルコースセンサ102、対象と関連付けられているインスリンペン104、および/またはデータ収集デバイス200などの1つ以上のデバイスからのこのRF回路を使用して受信される。いくつかの実施形態では、RF回路108は、電気信号と電磁信号とを変換し、通信ネットワーク、および他の通信デバイス、グルコースセンサ102、およびインスリンペン104、および/またはデータ収集デバイス200と電磁信号を介して通信する。RF回路284は、限定されないが、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つ以上の増幅器、チューナ、1つ以上の振動器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどを含む、これらの機能を実施するための周知の回路を任意選択的に含む。RF回路284は、任意選択的に、通信ネットワーク106と通信する。いくつかの実施形態では、回路284はRF回路を含まず、実際には、1つ以上のハードワイヤ(例えば、光ケーブル、同軸ケーブルなど)を通じてネットワーク106に接続される。
【0078】
いくつかの実施形態では、オーディオ回路372、任意選択的なスピーカ360、および任意選択的なマイク362は、対象と基礎タイトレーション調節デバイス250との間のオーディオインターフェースを提供する。オーディオ回路372は、周辺インターフェース370からオーディオデータを受信し、オーディオデータを電気信号に変換し、電気信号をスピーカ360に送信する。スピーカ360は、電気信号を人に聞こえる音波に変換する。オーディオ回路372はまた、マイク362によって音波から変換された電気信号を受信する。オーディオ回路372は、電気信号をオーディオデータに変換し、処理のために周辺インターフェース370にオーディオデータを送信する。オーディオデータは、任意選択的に、周辺インターフェース370によって、メモリ192および/またはRF回路284から取得および/またはメモリ192および/またはRF回路284へ送信される。
【0079】
いくつかの実施形態では、電源276は、任意選択的に、電力管理システム、1つ以上の電源(例えば、電池、交流電流(AC))、再充電システム、電力障害検知回路、電力変換器またはインバータ、電力状態インジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))、およびポータブルデバイスの電力の発電、管理、および分配に関連する任意の他の構成要素を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250はまた、任意選択的に1つ以上の光センサ373を含む。光センサ(複数可)373としては、任意選択的に、電荷結合デバイス(CCD)、または相補的金属酸化物半導体(CMOS)光トランジスタが挙げられる。光センサ(複数可)373は、1つ以上のレンズを通じて投影された光を環境から受け、画像を表すデータに光を変換する。光センサ(複数可)373は、任意選択的に、さらに静止画像および/またはビデオを捕捉する。いくつかの実施形態では、光センサは、基礎タイトレーション調節デバイス250の前面にあるディスプレイ282に対向して、基礎タイトレーション調節デバイス250の背面に位置するので、入力280は静止画像および/またはビデオ画像取得のためのファインダとしての使用を可能にする。いくつかの実施形態では、別の光センサ373は、基礎タイトレーション調節デバイス250の前面に位置するので、(例えば、対象の健康もしくは状態を検証するため、対象の身体活動レベルを決定するため、または対象の状態の遠隔での診断を助けるため、または対象の視覚的な生理学的測定値247を取得するためなど)対象の画像が入手される。
【0081】
図3に図示されているように、基礎タイトレーション調節デバイス250は、様々な基本システムサービスを取り扱うための手順を含むオペレーティングシステム202を備えることが好ましい。オペレーティングシステム202(例えば、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、WINDOWS、またはVxWorksなどの埋め込み式オペレーティングシステム)は、一般的なシステムタスク(例えば、メモリ管理、記憶媒体デバイス制御、電力管理など)を制御および管理するための様々なソフトウェア構成要素および/またはドライバを含み、さまざまなハードウェアとソフトウェア構成要素との間の通信を容易にする。
【0082】
いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250はスマートフォンである。他の実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250は、スマートフォンではないが、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、緊急車両コンピュータ、または他の形態もしくは有線もしくはワイヤレスネットワークのデバイスである。いくつかの実施形態では、基礎タイトレーション調節デバイス250は、図2または図3に示されている基礎タイトレーション調節デバイス250に見られる回路、ハードウェア構成要素、およびソフトウェア構成要素のうちのいずれかまたはすべてを有する。簡潔性および明瞭性の観点では、基礎タイトレーション調節デバイス250に設置される追加のソフトウェアモジュールをよりよく強調するために、基礎タイトレーション調節デバイス250の可能性のある構成要素のうちのいくつかのみが示されている。
【0083】
いくつかの実施形態では、図3A~3Dに図示されているように、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250のメモリ192はさらに、
・対象によって使用された1つ以上のインスリンペン104から入手して規定のインスリンレジメンを適用するための第2のデータセット320であって、第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録321が、(i)1つ以上のインスリンペン104のそれぞれのインスリンペンを使用して対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント322、および(ii)それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ323、を含む、第2のデータセット、ならびに
・それぞれの第1のグルコース尺度の中心傾向244では、評価期間を表す三次時間枠330と関連付けられ、
・複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向267は、それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向の評価時間を表す時間インジケータ331と関連付けられ、それにより評価期間を表す三次時間枠330を定義する複数の時間インジケータを入手するか、あるいは
・第3の評価モードの複数のグルコース尺度の変動では、各それぞれのグルコース尺度の変動267は、それぞれのグルコース尺度の変動の評価時間を表す時間インジケータ331と関連付けられ、それにより評価期間を表す三次時間枠330を定義する複数の時間インジケータを入手し、かつ
・タイトレーショングルコースレベル246が、三次時間枠330と関連付けられ、
・三次時間枠330に適用される第1の特徴解析335であって、第1の特徴解析335が、基礎レジメン適合および基礎レジメン不適合のうちの1つであり、 第2のデータセット320が一時的かつ定量的基準に基づいて、それぞれの三次時間枠330の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメン212との適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含むと、三次時間枠330が基礎レジメン適合と見なされ、第2のデータセット320が一時的かつ定量的基準に基づいて、三次時間枠330の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメン212との適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含み損なうと、三次時間枠が基礎レジメン不適合と見なされる、三次時間枠330に適用される第1の特徴解析335、を記憶する。
【0084】
図1に開示のシステム48はスタンドアローンで動作することができるが、いくつかの実施形態では、電子医療記録と連結して任意の方式で情報を交換することもできる。
【0085】
ここで、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するためのシステム48の詳細が開示され、本開示の一実施形態によるシステムのプロセスおよび特色のフローチャートに従い、図4A~4Eを参照して詳細が開示される。いくつかの実施形態では、システムのかかるプロセスおよび特色は、図2および3に図示されている基礎タイトレーション調節モジュール204によって実行される。
【0086】
ブロック402.ブロック402は、プロセスの開始を図示している。
【0087】
ブロック410.図4Aのブロック410を参照すると、1型糖尿病または2型糖尿病のいずれかを有する対象におけるインスリン療法の最終目標は、正常な生理的インスリン分泌に可能な限り近く一致させて、空腹時および食後血漿グルコースを制御することである。図2に図示されているように、基礎タイトレーション調節デバイス250は、1つ以上のプロセッサ274およびメモリ192/290を備える。メモリは、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、方法を実施する命令を記憶する。この方法では、第1のデータセット228が入手される。第1のデータセット228は、1つ以上のグルコースセンサ102からの対象のグルコース測定値230を含む。図2を図示する。各かかるグルコース測定値230は、それぞれの測定値が取られたときに、グルコース測定値タイムスタンプ232を用いてタイムスタンプされる。
【0088】
いくつかの実施形態では、グルコース測定値230は、自律的に測定される。ABBOTT(「LIBRE」)によるFREESTYLE LIBRE CGMは、対象の自律的なグルコース測定を行うためにグルコースセンサ102として使用され得る、グルコースセンサの例である。LIBREは、近づけると、近距離無線通信を介して最高8時間分のデータをリーダーデバイス(例えば、データ収集デバイス200および/または基礎タイトレーション調節デバイス250)に送ることができる、皮膚上に装着するコインサイズのセンサを用いる較正不要のグルコース測定を可能にする。LIBREは、全日常生活活動において14日間着用することができる。ブロック410を参照すると、いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で対象から取得される。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、1日以上、2日以上、1週間以上、または2週以上の期間にわたり対象から取得される。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、(例えば、人の手間を取らせず、人の介入なしでなど)自律的に取得される。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、(例えば、人が手間をかけ、人が介入してなど)手動で取得される。
【0089】
基礎タイトレーション調節デバイス250は、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む規定のインスリンレジメン212であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが持続型インスリン薬剤投与量216の量を特定する、規定のインスリンレジメン212と、インスリン状態インジケータ211であって、インスリン状態インジケータ211が、一次時間枠内のグルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および一次時間枠内のグルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、グルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、インスリン状態インジケータ211と、を含む、第1のデータ構造210にアクセスするおよび/または第1のデータ構造を記憶する。
【0090】
いくつかの実施形態では、持続型インスリン薬剤は、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって特定され、12~24時間である作用持続時間を有する単一インスリン薬剤、またはまとめて12~24時間である作用持続時間を有するインスリン薬剤混合物からなる。かかる持続型インスリン薬剤の例としては、限定されないが、Insulin Degludec(商品名Tresiba、NOVO NORDISK開発)、NPH(Schmid,2007,“New options in insulin therapy. J Pediatria(Rio J).83(Suppl5):S146-S155)、Glargine(LANTUS, March 2,2007,インスリングラルギン[rDNA由来]注入物、[処方情報]、Bridgewater, New Jersey:Sanofi-Aventis)、およびDetermir(Plank et al.,2005,“A double-blind,randomized,dose-response study investigating the pharmacodynamic and pharmacokinetic properties of the long-acting insulin analog detemir,”Diabetes Care 28:1107-1112)が挙げられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、規定のレジメンはまた、速効型インスリン薬剤投与量の量を特定するボーラスインスリン薬剤投与量レジメンも含み得る。速効型インスリン薬剤は、ボーラスインスリン薬剤投与量レジメンによって特定され、3~8時間である作用持続時間を有する単一インスリン薬剤、またはまとめて3~8時間である作用持続時間を有するインスリン薬剤混合物を含む。かかる速効型インスリン薬剤の例としては、限定されないが、Lispro (HUMALOG,May 18,2001,インスリンリスプロ[rDNA由来]注入物、[処方情報]、Indianapolis,Indiana:Eli Lilly and Company)、Aspart(NOVOLOG,July 2011,インスリンアスパルト[rDNA由来]注入物、[処方情報]、Princeton,New Jersey,NOVO NORDISK Inc.,July,2011)、Glulisine(Helms Kelley,2009,“Insulin glulisine:an evaluation of its pharmacodynamic properties and clinical application,”Ann Pharmacother 43:658-668)、およびRegular(Gerich,2002,“Novel insulins:expanding options in diabetes management,”Am J Med.113:308-316)が挙げられる。
【0092】
ブロック420.図4Aのブロック410を参照すると、方法は、小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータ211の状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベル246を入手するプロセスステップ(b)へと続く。
【0093】
ブロック422.図4Aのブロック422を参照すると、方法は、(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値236を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠233を入手することへと続く。
【0094】
ブロック424.図4Aのブロック424を参照すると、方法は、(ii)一次時間枠233内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別された小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別することへと続く。
【0095】
ブロック426.図4Aのブロック426を参照すると、方法は、(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することへと続き、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す。
【0096】
ブロック428.図4Aのブロック428を参照すると、方法は、(iv)タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付け、それによりタイトレーショングルコースレベルを入手するプロセスステップ(b)を完了することへと続く。
【0097】
ブロック440.図4Aのブロック440を参照すると、方法は、入手されたタイトレーショングルコースレベル246に基づいて、持続型インスリン薬剤投与量216を調節または維持するプロセスステップ(C)へと続く。
【0098】
ブロック404.ブロック404は、プロセスの終了を図示している。
【0099】
図4Aから明らかなように、方法は、グルコース測定値が入手されるステップA、タイトレーショングルコースレベルが入手されるステップB、および持続型インスリンがグルコースタイトレーションレベルに基づいて調節されるステップC、の全体的なステップに分割することができる。
【0100】
図4Bを参照すると、本開示によるいくつかの実施形態では、ステップBでは、タイトレーショングルコースレベル246を入手することは、インスリン状態インジケータの状態に基づいて、次の評価モード:サブプロセスB1によって示されている第1の評価モード、サブプロセスB2によって図示されている第2の評価モード、およびサブプロセスB3によって図示されている第3の評価モードのうちの1つを選択することをさらに含む。
【0101】
ブロック450.図4Cのブロック450を参照すると、方法は、サブプロセスB1を用いて第1の評価モードへと続くことができ、方法が、一次時間枠では、(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240に対して選択されるグルコース測定回数を定義する整数234を入手することをさらに含む。
【0102】
ブロック452.図4Cのブロック452を参照すると、方法は、(ii)一次時間枠233内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択すること、ならびに小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240内の測定回数が入手した整数234と等しいことを確認することによって、最も小さいグルコース測定値のサブセットとして小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240を識別および選択することへと続く。
【0103】
ブロック454.図4Cのブロック454を参照すると、方法は、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向244を入手し、かつ小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出することへと続く。
【0104】
ブロック456.図4Cのブロック456を参照すると、方法は、タイトレーショングルコースレベル246を第1のグルコース尺度の中心傾向244と関連付けることへと続き、それにより、図4Bに図示されているようにタイトレーショングルコースレベル246を方法ステップCに供給することができる。
【0105】
第1の評価モードによるタイトレーショングルコースレベルを入手するプロセスも、図6Bに概略的に図示されている。整数234が入手され、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240が入手され、第1のグルコース尺度の中心傾向が評価され得、タイトレーショングルコースレベル246が入手される。
【0106】
ブロック460.図4Cのブロック460を参照すると、方法は、サブプロセスB2を用いる第2の評価モードへと続き得、方法が、一次時間枠233では、一次時間枠233内の同時に重複する複数の二次時間枠260を入手することをさらに含み、各二次時間枠262が、一次時間枠233のグルコース測定値のサブセット236である重複するグルコース測定値のサブセット264を含む。
【0107】
ブロック462.図4Cのブロック462を参照すると、方法は、複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262の、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向267を算出することへと続き、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向267が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出される。ここでは、一次時間枠におけるグルコース測定値にわたる、尺度の中心傾向の移動期間を入手する。
【0108】
ブロック464.図4Cのブロック464を参照すると、方法は、複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別することへと続き、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269が、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別される。
【0109】
ブロック466.図4Cのブロック466を参照すると、方法は、タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268と関連付けることへと続き、それにより、図4Bに図示されているようにタイトレーショングルコースレベル246を方法ステップCに供給することができる。
【0110】
第2の評価モードによるタイトレーショングルコースレベルを入手するプロセスも、図6Cに概略的に図示されている。複数の二次時間枠が入手され、第2のグルコース尺度の中心傾向267が二次時間枠の各々と関連付けられ、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向が作成される。次に、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向は、第2のグルコース尺度の中心傾向267-2の図示されている例では、複数の第2のグルコース尺度の中心傾向の中で最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268として識別され、対応する二次時間枠262-2は、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269として識別され、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268は、タイトレーショングルコースレベル246と関連付けられることができ、それによりタイトレーショングルコースレベルが入手され、持続型インスリン薬剤の用量の調節に使用することができる。
【0111】
ブロック470.図4Dのブロック470を参照すると、方法は、サブプロセスB3を用いる第3の評価モードへと続き得、方法が、一次時間枠233では、一次時間枠233内の同時に重複する複数の二次時間枠260を入手することをさらに含み、各二次時間枠262が、一次時間枠233のグルコース測定値のサブセット236である重複するグルコース測定値のサブセット264を含む。
【0112】
ブロック472.図4Dのブロック472を参照すると、方法は、複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応するグルコース尺度の変動271を算出することへと続き、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、各それぞれのグルコース尺度の変動271が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の変動として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の変動の移動期間を入手する。
【0113】
ブロック474.図4Dのブロック474を参照すると、方法は、複数のグルコース尺度の変動では、最も小さいグルコース尺度の変動272を複数のグルコース尺度の変動内の最も小さいグルコース尺度の変動として識別することへと続き、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273が、最も小さいグルコース尺度の変動272に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別される。
【0114】
ブロック476.図4Dのブロック476を参照すると、方法は、最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274を小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273の尺度の中心傾向として算出することへと続く。
【0115】
ブロック478.図4Dのブロック478を参照すると、方法は、タイトレーショングルコースレベル246を、最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274と関連付けることへと続く。
【0116】
第3の評価モードによるタイトレーショングルコースレベルを入手するプロセスも、図6Dに概略的に図示されている。複数の二次時間枠が入手され、グルコース尺度の変動271が二次時間枠の各々と関連付けられ、それにより複数のグルコース尺度の変動が作成される。次に、最も小さいグルコース尺度の変動は、二次時間枠262-2である、図示されている例では、複数のグルコース尺度の変動の中で最も小さいグルコース尺度の変動272として識別され、対応する二次時間枠262-2は、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273として識別され、第3のグルコース尺度の中心傾向274は、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273に基づいて評価され、タイトレーショングルコースレベル246と関連付けられ、それによりタイトレーショングルコースレベルが入手され、持続型インスリン薬剤の用量の調節に使用することができる。
【0117】
ブロック430.図4Cのブロック430を参照すると、本開示によるいくつかの実施形態では、方法は、インスリン状態インジケータ211の状態を識別することに応じて、インスリン状態インジケータの状態が持続型インスリンのみの影響状態として識別されると、第1または第2の評価モードを選択し、それにより速効型インスリン薬剤がグルコース測定値236に影響していないことが確認されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましいタイトレーショングルコースレベル246を入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む。
【0118】
ブロック430.図4Cのブロック430を参照すると、本開示によるいくつかの実施形態では、方法は、インスリン状態インジケータ310の状態を識別することに応じて、インスリン状態インジケータの状態が速効型インスリンの影響状態として識別されると、第3の評価モードを選択し、それにより速効型インスリン薬剤がグルコース測定値236に影響していることが識別されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましいタイトレーショングルコースレベル246を入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む。
【0119】
ブロック432.図4Cのブロック432を参照すると、本開示によるいくつかの実施形態では、第1のデータ構造は、低血糖リスク状態インジケータをさらに含み、低血糖リスク状態インジケータが、対象が高い低血糖リスクを有し得るか、または複数のグルコース測定値にわたる高い変動が観察され得る高い低血糖リスク状態、および対象の高くない低血糖リスクを有し得るか、または複数のグルコース測定値にわたる低い変動が観察され得る高くない低血糖リスク状態を示すことができ、ならびに方法は、低血糖リスク状態インジケータの状態を識別することに応じて、低血糖リスク状態インジケータの状態が、高い低血糖リスク状態として識別されることに応じて、第1の評価モードを選択し、それにより低グルコース値およびノイズとの状況で有益であり得るタイトレーショングルコースレベル246を入手するための方法を使用することを、さらに含む。
【0120】
ブロック432.図4Cのブロック432を参照すると、本開示によるいくつかの実施形態では、第1のデータ構造は、低血糖リスク状態インジケータをさらに含み、低血糖リスク状態インジケータが、対象が高い低血糖リスクを有し得るか、または複数のグルコース測定値にわたる高い変動が観察され得る高い低血糖リスク状態、および対象が高くない低血糖リスクを有し得るか、または複数のグルコース測定値にわたる低い変動が観察され得る高くない低血糖リスク状態を示すことができ、ならびに方法は、低血糖リスク状態インジケータの状態を識別することに応じて、低血糖リスク状態インジケータの状態が、高くない血糖リスク状態として識別されると、第2の評価モードを選択し、それによりこれらの状況下で有益であり得るタイトレーショングルコースレベル246を入手するための方法を使用することを、さらに含む。
【0121】
本開示のいくつかの実施形態では、尺度の変動271は、分散である。例えば、いくつかの実施形態では、移動する尺度の変動は、グルコース測定値にわたる分散の移動期間
であり、
式中、Gが複数のグルコース測定値の部分kにおけるi番目のグルコース測定値であると見なされ、Mが複数のグルコース測定値におけるグルコース測定回数であり、連続する所定時間スパン、すなわち二次時間枠を表し、
が、第1のデータセット228の複数のグルコース測定値から選択されるMグルコース測定値の平均であり、kが、第1の時間枠内である。
【0122】
本開示のいくつかの実施形態では、尺度の中心傾向244、268、274は、平均値である。例えば、いくつかの実施形態では、移動する中心傾向の尺度は、グルコース測定値にわたる移動平均(moving mean)、すなわち移動平均(moving average)μであり、
式中、Gが複数のグルコース測定値の部分kにおけるi番目のグルコース測定値であると見なされ、Mが複数のグルコース測定値におけるグルコース測定回数であり、連続する所定時間スパン、すなわち二次時間枠を表し、kが、第1の時間期間内である。
【0123】
本開示のいくつかの実施形態では、方法は、繰り返すことに基づいて繰り返される。例えば、持続型インスリン薬剤の用量を調節するかどうか、およびどの程度調整するかは、毎日要求され得、これは毎日タイトレーショングルコースレベルが評価されることを意味する。
【0124】
本開示のいくつかの実施形態では、方法は、図3A~3Dに図示されているように、対象によって使用された1つ以上のインスリンペン104からの第2のデータセット320を入手して、規定のインスリンレジメンを適用することをさらに含み、第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録321は、(i)1つ以上のインスリンペン104のそれぞれのインスリンペンを使用して対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント322、および(ii)それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ323を含む。第1の評価モードでの第1のグルコース尺度の中心傾向244では、第1のグルコース尺度の中心傾向を評価期間を表す三次時間枠330と関連付け、三次時間枠の最近の終点614が、一次時間枠233の最近の終点612と同期され、図6Aのマークを付けた領域604に図示されているように、一次枠および三次枠が同じ長さである。あるいは、第2の評価モードでの複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向267を、それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向の評価の時間を表す時間インジケータ331と関連付け、それにより評価期間を表す三次時間枠330を定義する複数の時間インジケータを入手し、三次時間枠の最近の終点614が、一次時間枠の最近の終点612と同期され、図6Aのマークを付けた領域602に図示されているように、三次時間枠330の長さ615が、一次時間枠233の長さ613よりも短い。あるいは、第3の評価モードでの複数のグルコース尺度の変動では、各それぞれのグルコース尺度の変動267を、それぞれのグルコース尺度の変動の評価の時間を表す時間インジケータ331と関連付け、それにより評価期間を表す三次時間枠330を定義する複数の時間インジケータを入手し、三次時間枠の最近の終点614が、一次時間枠の最近の終点(612)と同期され、三次時間枠330の長さ615が、一次時間枠233の長さ613よりも短い。これはまた、図6Aのマークを付けた領域604に図示されている。方法は、図6Eおよび6Fに図示されているように、タイトレーショングルコースレベル246を三次時間枠330と関連付けること、および第1の特徴解析335を三次時間枠330に適用すること(図示せず)によって続き、第1の特徴解析335が、基礎レジメン適合および基礎レジメン不適合のうちの1つであり、第2のデータセット320が一時的かつ定量的基準に基づいて、それぞれの三次時間枠330の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメン212と適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含むと、三次時間枠330が基礎レジメン適合と見なされ、第2のデータセット320が一時的かつ定量的基準に基づいて、三次時間枠330の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメン212との適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含み損なうと、三次時間枠は基礎レジメン不適合と見なされる。以下、方法は、対象の基礎インスリン薬剤投与量レジメン214における持続型インスリン薬剤投与量216を、基礎レジメン適合と見なされる三次時間枠330によって表されるタイトレーショングルコースレベル244に基づいて、かつ基礎レジメン不適合と見なされる三次時間枠330によって表されるタイトレーショングルコースレベル244を除外することによって、調節することへと続き得る。
【0125】
図2Aおよび図6Aに図示されているように、いくつかの実施形態では、第1のデータ構造210は、複数の連続するエポックを含み、各それぞれのエポック218が、それぞれのエポック218内で基礎インスリン薬剤が注入されるとき、および基礎インスリン薬剤の注入される量を示す基礎インスリン薬剤投与量216と関連付けられている。それにより、第1のデータ構造210は、第1の特徴解析に対する一時的かつ定量的基準を提供する。いくつかの実施形態では、三次枠330の長さ615は、エポック218の各々の長さ619よりも長いか、または同じである。いくつかの実施形態では、三次時間枠の終点614は、現在のエポックの終点618と同期され、現在のエポックが複数のエポック内の最近完了したエポックである。
【0126】
図6Eおよび6Fに図示されているように、いくつかの実施形態では、複数のエポックの各それぞれのエポック218は三次時間枠330と関連付けられ、それにより各三次時間枠が評価期間を表し、各三次枠が一時的基準に基づくそれぞれのエポックにアラインされ、各三次時間枠330がタイトレーショングルコースレベル246と関連付けられている、複数の三次時間枠を入手する。
【0127】
いくつかの実施形態では、第1のデータ構造は、複数のエポック内のエポック218の各々の、持続型インスリン薬剤の投与の一時的かつ定量的基準の特定を含む。いくつかの実施形態では、持続型インスリン薬剤の定量的基準は、タイトレーショングルコースレベルに相関する。いくつかの実施形態では、一時的基準は、複数のエポック内の各エポック218の1回の注入として特定される。いくつかの実施形態では、図6Eおよび6Fに図示されているように、複数のエポックの各エポック218は、暦日または暦週である。
【0128】
いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定値の連続する測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で自律的に対象から取得される。いくつかの実施形態では、デバイスは、さらにワイヤレス受信機284を備え、第1のデータセットが、対象に取り付けられたグルコースセンサ102からワイヤレスで入手され、かつ/あるいは第2のデータセットが、1つ以上のインスリンペン104からワイヤレスで入手される。
【0129】
いくつかの実施形態では、第1のデータ構造は、低血糖リスク状態インジケータ311をさらに含み、低血糖リスク状態インジケータ311は、対象が高い低血糖リスクを有し得るか、あるいは複数のグルコース測定値にわたる高い変動が観察され得る高い低血糖リスク状態、および対象が高くない低血糖リスクを有し得るか、あるいは複数のグルコース測定値にわたる低い変動が観察され得る高くない低血糖リスク状態を示すことができる。図4Bのブロック432を参照すると、低血糖リスク状態インジケータの状態を識別することに応じて、方法は、低血糖リスク状態インジケータの状態が、高い低血糖リスク状態として識別されると、第1の評価モードを選択することをさらに含み、それにより低グルコース値およびノイズの場合により有益なタイトレーショングルコースレベル246を入手するための方法を使用することを、さらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、二次時間枠は、50分~70分、60分~120分、120分~180分、または180分~300分である。いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定値の連続する測定値は、4分~6分の間隔で自律的に対象から取得され、二次時間枠は、50分~70分である。いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定値の連続する測定値は、40分~80分の間隔で自律的に対象から取得され、二次時間枠は、180分~310分である。
【0131】
第1、第2および第3の評価モードを適用するサブプロセスB1、B2、およびB2のフローチャートは、図4B~4Dにそれぞれ図示されており、図7A図7Fは、タイトレーショングルコースレベルを入手するために小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットがどのように入手されるかの例をさらに図示している。
【0132】
図7A、7C、および7Eは、患者が基礎インスリンのみを受けており、したがって低グルコース値が基礎インスリン注入または内因性インスリン、または他の自然な原因によってのみ生じ得る、第1のケースを図示している。図7B、7D、および7Fに図示されている第2のケースでは、患者は、速効型インスリンを用いる注入に関連する頻回注入(MDI)治療を受けており、したがって、小さなグルコース値は基礎インスリン注入または内因性インスリン産生に関係している必要はないが、食事中に摂取された炭水化物で構成されているか、または食後の高グルコースレベルを修正するために使用される(補正ボーラス)速効型インスリンによっても生じ得る。図7A~7Fの例は、24時間の時間経過中に入手されたグルコースデータを図示しており、暦時間は、長方形710によって図示されている。ユーザがタイトレーショングルコースレベルの計算を要求する、一次時間枠233、三次時間枠330、エポック218、および要求時間610も、図に示されている。模様付き長方形702は、血糖レベルの望ましい範囲を定義する上限および下限を示している。
【0133】
図7Aおよび7Bを参照すると、上部パネル704は、時間経過内の複数のグルコース測定値から入手された、時間と相関するグルコースレベルを図示している。上部からの2番目のパネル706、上部から3番目のパネル708、および上部から4番目のパネル712はそれぞれ、5時間、3時間、および1時間のサンプリングに対応する最も低いグルコース値を示し、サンプリング速度は、5分ごとに1回のサンプルまたは測定値である、すなわち1時間当たり12回の測定値である。したがって、5時間のサンプリングは60回の測定値に対応し、上部から2番目のパネルは60回の最も小さいまたは最も低い測定値を示し、3時間のサンプリングは36回の測定値に対応し、上部から3番目のパネルは36回の最も小さい測定値を示し、1時間は12回の測定値に対応し、上部から4番目(下部パネル)は12回の最も小さい測定値を示している。多数の最も小さいグルコース測定値を含有するセットの各々は、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269として使用することができ、タイトレーショングルコースレベル246を評価するために使用することができる。小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットでの測定回数を定義するために使用される整数234は、本明細書ではサンプリング速度と時間枠との成果物として入手され、例えば1時間の間の、1時間当たり12回の測定値は、12回の測定値である。整数は、一次時間枠内の合計測定回数の一部の最も近い整数としても特定され得る。図7Aに図示されているグルコースデータでは、患者は、基礎インスリンのみを受けており、そのため低グルコース値は、内因性インスリンおよび持続型インスリンにのみ関係する。ここでは、1月20日9:00頃に最も低い平均値が見られる。図7Bに図示されているグルコースデータでは、患者は、夕食後に補正ボーラスを摂取し、これにより20:00頃グルコースの減少が生じている。ここでは、1月19日20:00頃に最も低い平均値が見られる。
【0134】
図7Cおよび7Dを参照すると、上部パネル714は、時間経過内の複数のグルコース測定値から入手された、時間と相関するグルコースレベルを図示している。第2のパネル716は、それぞれ5時間、3時間、および1時間の異なる枠サイズの移動平均グルコースを示している。最も低い評価平均は、タイトレーショングルコースレベルとして使用することができる。図示されている三次枠330は、5時間枠(二次時間枠は5時間である)を使用する移動平均に対応する。図7Cに図示されているグルコースデータでは、患者は、基礎インスリンのみを受けており、そのため低グルコース値は、内因性インスリンおよび持続型インスリンにのみ関係する。ここでは、1月20日9:00頃に、1時間枠の最も小さい平均値730が見られる。9:30頃に、3時間枠の最も小さい平均値731が見られる。10:00頃に、5時間枠の最も小さい平均値732が見られる。図7Dに図示されているグルコースデータでは、患者は、夕食後に補正ボーラスを摂取し、これにより20:30頃グルコースの減少が生じている。ここでは、1月19日20:30頃に、1時間枠の最も小さい平均値733が見られる。17:00頃に、3時間枠の最も小さい平均値734が見られる(3時間枠での三次期間の開始)。19:00頃に、5時間枠の最も小さい平均値735が見られる(5時間枠での三次期間330の開始)。
【0135】
図7Eおよび7Fを参照すると、上部パネル718は、時間経過内の複数のグルコース測定値から入手された、時間と相関するグルコースレベルを図示している。第2のパネル720は、それぞれ5時間、3時間、および1時間の異なる枠サイズのグルコース測定値の移動分散を示している。最も小さい評価された分散を使用して、小さいグルコース値のタイトレーションサブセットを識別することができ、これはタイトレーショングルコースレベルを評価するために使用することができる。図示されている三次枠330は、5時間枠(二次時間枠は5時間である)を使用する移動平均に対応する。図7Eに図示されているグルコースデータでは、患者は、基礎インスリンのみを受けており、そのため低グルコース値は、内因性インスリンおよび持続型インスリンにのみ関係する。この場合、基礎インスリンまたは内因性インスリンによって最も低い値が生じることがわかっているため、低い分散ではなく最も低いグルコース値に注目する。3:30頃に、1時間枠の最も低い移動分散736が見られる。3時間枠では、4:45頃に3時間枠の最も小さい移動分散737が見られる。5時間枠では、5:15頃に5時間枠の最も低い移動分散738が見られる。図7Fに図示されているグルコースデータでは、患者は、基礎およびボーラスインスリンを受けている。患者は、夕食後に補正ボーラスを摂取し、これにより20:00頃グルコースの減少が生じている。この場合、最も低いグルコース値は、基礎インスリンではなくボーラスによって生じているため、注目しない。13:00頃に、1時間枠の最も低い移動分散739が見られる。3時間枠では、3:20頃に3時間枠の最も小さい移動分散740が見られる。3時間枠はまた、01:00頃に03:20頃の一時的な低下とほぼ同じ低さの一時的な低下を有する。5時間枠では、03:40頃に、5時間枠の最も低い移動分散741が見られる。
【0136】
【0137】
移動平均が使用されている図7Cを移動分散が使用されている図7Eと比較すると、最も小さい分散が時間枠に応じて4:00頃見られる一方で、最も小さい平均値はまた、時間枠にも応じて9~10時の間で見られる。この場合、基礎インスリンまたは内因性インスリンによって最も低い値が生じることがわかっているため、低い分散ではなく最も低い値に注目する。
【0138】
移動平均が使用されている図7Dを移動分散が使用されている図7Fと比較すると、最も小さい分散が夜間3:30頃見られる(3~5時間のフレームサイズ、タイミングはフレームサイズに実際に応じる)一方で、最も小さい移動平均は、枠またはフレームサイズにも応じて17:00頃および19~20:30頃見られる。この場合、最も低いグルコース値は、基礎インスリンではなくボーラスによって生じているため、注目しない。
【0139】
用量ガイダンスの前の持続型インスリンのアルゴリズムは、例えば、空腹時グルコース測定値としてグルコース測定値がタグ付けされている、空腹時グルコースレベルに基づいて計算される。図7Eおよび7Fに開示の実施形態では、第3の評価モードを使用して、グルコースの低い分散期間に基づいて、空腹期間の期間を決定する。このようにしてタイトレーショングルコースレベルを識別するための論点は、空腹中よりも、外部グルコースが体内に入る期間の間にグルコース分散が典型的にはより高いことである。グルコースレベルが、例えば外部速効型インスリンによって影響を受けているという情報をアルゴリズムが利用または識別することができるこのアプローチが、MDI治療を念頭において作成されている。したがって、持続型インスリンの用量ガイダンスアルゴリズムのためのタイトレーショングルコースレベルが低グルコース値を使用して決定される第2の評価モードを使用する、図7Aおよび7Bに開示の実施形態による異なるアプローチが提示される。タイトレーショングルコースレベルの定義は、空腹時グルコース値である必要はなく、用量計算が低いグルコース値に基づくグルコースタイトレーションレベルであることを強調するために使用される。グルコースの低い分散の期間を使用する代わりに、グルコースが速効型インスリンによる影響を受けていないという情報を使用し、特定の時間枠内の低い平均グルコースの期間を使用する。例えば、3時間の移動平均枠を使用し、タイトレーショングルコースレベルとして最も低い値を有する枠を選択する。最も低い値を生じる速効型インスリンがないこと、すなわち、すべての低下したグルコース値が持続型インスリンまたは生理学的変化に起因することが確実であるため、これは持続型インスリン治療において有用である。
【0140】
所定の時間間隔の間のグルコースレベルの最も低い平均を選択する(すなわち、所定の時間間隔が60分、測定頻度が5分である場合、12回の連続する測定値の最も小さい値288を選択する)ことによって、タイトレーショングルコースレベルを検出する。
【0141】
このアプローチは、N回の連続する測定値の移動平均(MA)を計算し、
式中、Gがグルコース測定値であり、下付き文字iが特定の時点でのサンプルであり、Nが各平均のサンプル数であり、期間のタイトレーショングルコースレベルが下式によって決定される。
【0142】
所定の時間に空腹になると仮定する方法とは反対に、このアプローチは、不規則な日課を有する人々(シフト作業員など)および日課が通常の慣習から逸脱する人々(例えば、朝食をとらない)の負担を軽減する(図7Aを参照)。連続するグルコース測定値の頻度は変動し得、例えば、ほぼ連続~最大1時間の信号の範囲であり得る。
【実施例1】
【0143】
第1の評価モード-最も低い測定値のサブセット
この方法は、低いグルコースレベルを標的とする移動平均と同様である。したがって、基礎インスリン治療に関連する。この方法は、移動平均よりも低い値およびノイズにより感度が高く、例えば高い低血糖および高いグルコース変動を有する患者を対象にする場合、有益であり得る。先述のように、実施形態の例は、図7Aおよび7Bに見ることができる。
【実施例2】
【0144】
第2の評価モード-移動平均(running average)または移動平均(moving average)
基礎インスリンタイトレーションでは、典型的には、過去3日間からの空腹時グルコースレベルを使用して、次の用量サイズを決定する。この実施形態では、DexCom G5を例として使用する。CGMは、過去5分の平均グルコースレベルを表す、5分ごとのグルコースレベルを出力する。過去0~24、24~48、および48~72時間にわたる最も低い平均グルコースレベルを選択することによってTGLを検出して、過去3日間のTGLを入手する。各24時間の長い時間間隔では、60分の枠または12回の連続するCGM測定は、グルコースデータを通して実行され、各枠の平均が計算される。
【0145】
このアプローチは、次の等式を使用して5分間隔の12回の連続する測定値の移動平均(MA)を計算し、
式中、Gがグルコース測定値であり、下付き文字iが現在のサンプルを指し、時間間隔0~24時間の空腹時グルコースが下式によって決定される。
【0146】
先述のように、1、3、5時間の時間フレームの結果のうちの2つの例が、図7Cおよび7Dに示されている。
【0147】
第1のケースでは、患者が基礎インスリンのみを受けており、したがって低グルコース値が基礎インスリン注入または内因性インスリン(または他の自然な原因)によってのみ生じ得る。第2のケースでは、患者は、MDI治療を受けており、したがって低グルコース値は必ずしも基礎注入または内因性産生に関係しないが、食事または補正ボーラスによっても生じ得る。
【実施例3】
【0148】
第3の評価モード-移動分散
持続型および速効型インスリンを含むMDI治療用の用量ガイダンスアルゴリズムは、空腹時グルコースならびに食前グルコースレベルに基づいて計算される。タイトレーショングルコースレベルとして使用される空腹期間を決定する目的で、グルコースの低い分散期間を検出する。これは、グルコース分散が、典型的には、空腹時よりも、外部グルコースが体内に入る期間中に高いためである。この方法は、移動平均と同様で、時間フレーム内の平均値を計算する代わりに、時間フレーム内の分散を計算する。先述のように、実施形態の例は、図7Eおよび7Fに見ることができる。
【0149】
実施形態リスト
実施形態の第1のリストでは、持続型インスリンレジメンを調節するために適合された基礎タイトレーション調節デバイスが提供され、デバイスは、小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータの状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手するために適合されている。
【0150】
1.対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250であって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ274およびメモリ192/290を備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む規定のインスリンレジメン212であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが持続型インスリン薬剤投与量216を特定する、規定のインスリンレジメン212と、インスリン状態インジケータ211であって、インスリン状態インジケータ211が、一次時間枠内のグルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および一次時間枠内のグルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、インスリン状態インジケータ211と、命令と、を含む、第1のデータ構造210を含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセット228を入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値230に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット228を入手することと、
(B)小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータ211の状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、
(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値236を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠233を入手すること、
(ii)一次時間枠233内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベル246を入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベル246を入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベル246に基づいて、持続型インスリン薬剤投与量216を調節または維持すること、の方法を実施する、デバイス。
【0151】
2.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル246を入手することが、
インスリン状態インジケータの状態に基づいて、次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数234を入手し、(ii)最も小さいグルコース測定値のサブセットとして、一次時間枠233内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240を識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240内の測定回数が、入手した整数234と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向244として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット240内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベル246を第1のグルコース尺度の中心傾向244と関連付けるモード、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠233では、一次時間枠233内の複数の同時に重複する二次時間枠260を入手し、各二次時間枠262が、一次時間枠233でのグルコース測定値のサブセット236である、重複するグルコース測定値のサブセット264を含み、
複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向267を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向267を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269が、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268と関連付けるモード、または
(B3)第3の評価モードの一次時間枠233では、一次時間枠233内の複数の同時に重複する二次時間枠260を入手し、各二次時間枠262が、一次時間枠233でのグルコース測定値のサブセット236である、重複するグルコース測定値のサブセット264を含み、
複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応するグルコース尺度の変動271を算出し、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、各それぞれのグルコース尺度の変動271が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の変動として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の変動の移動期間を入手し、
複数のグルコース尺度の変動では、最も小さいグルコース尺度の変動272を複数のグルコース尺度の変動内の最も小さいグルコース尺度の変動として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273が、最も小さいグルコース尺度の変動272に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274を、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273の尺度の中心傾向として算出し、
タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0152】
3.方法が、
インスリン状態インジケータ211の状態を識別することに応じて、インスリン状態インジケータの状態が持続型インスリンのみの影響状態として識別されると、第1または第2の評価モードを選択し、それにより速効型インスリン薬剤がグルコース測定値236に影響していないことが確認されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましいタイトレーショングルコースレベル246を入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む、実施形態1または2のいずれかに記載のデバイス。
【0153】
4.方法が、
インスリン状態インジケータ310の状態を識別することに応じて、
インスリン状態インジケータの状態が速効型インスリンの影響状態として識別されると、第3の評価モードを選択し、それにより速効型インスリン薬剤がグルコース測定値236に影響し得ることが識別されると、持続型インスリン薬剤を用いるタイトレーションに好ましいタイトレーショングルコースレベル246を入手するための好ましい方法を使用することをさらに含む、実施形態1または2のいずれかに記載のデバイス。
【0154】
5.尺度の変動271が、分散である、実施形態2~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【0155】
6.尺度の中心傾向244、268、274が平均値である、実施形態1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0156】
7.方法が、繰り返し基準で繰り返される、実施形態1~6のいずれか1つに記載のデバイス。
【0157】
8.方法が、
対象によって使用された1つ以上のインスリンペン104から規定のインスリンレジメンを適用するための第2のデータセット320を入手することであって、第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録321が、(i)1つ以上のインスリンペン104のそれぞれのインスリンペンを使用して対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント322、および(ii)それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ323、を含む、第2のデータセットを入手すること、
第1の評価モードでの第1のグルコース尺度の中心傾向244では、第1のグルコース尺度の中心傾向を評価期間を表す三次時間枠330と関連付けることであって、三次時間枠の最近の終点614が、一次時間枠233の最近の終点612と同期され、一次枠および三次枠が同じ長さである、第1のグルコース尺度の中心傾向を評価期間を表す三次時間枠と関連付けること、
第2の評価モードでの複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向267を、それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向の評価の時間を表す時間インジケータ331と関連付けることであって、それにより評価期間を表す三次時間枠330を定義する複数の時間インジケータを入手し、三次時間枠の最近の終点614が、一次時間枠の最近の終点612と同期され、三次時間枠330の長さ615が、一次時間枠233の長さ613よりも短い、それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向の評価の時間を表す時間インジケータ331と関連付けること、または
第3の評価モードでの複数のグルコース尺度の変動では、各それぞれのグルコース尺度の変動267を、それぞれのグルコース尺度の変動の評価の時間を表す時間インジケータ331と関連付けることであって、それにより評価期間を表す三次時間枠330を定義する複数の時間インジケータを入手し、三次時間枠の最近の終点614が、一次時間枠の最近の終点612と同期され、三次時間枠330の長さ615が、一次時間枠233の長さ613よりも短い、それぞれのグルコース尺度の変動の評価の時間を表す時間インジケータ331と関連付けること、ならびに
タイトレーショングルコースレベル246を、三次時間枠330と関連付けること、
三次時間枠330に第1の特徴解析335を適用することであって、
第1の特徴解析335が、基礎レジメン適合および基礎レジメン不適合のうちの1つであり、
第2のデータセット320が、一時的かつ定量的基準に基づいて、それぞれの三次時間枠330の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメン212との適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含むと、三次時間枠330が基礎レジメン適合と見なされ、
第2のデータセット320が、一時的かつ定量的基準に基づいて、三次時間枠330の間の規定の基礎インスリン薬剤投与量レジメン212との適合を確証する1つ以上の薬剤記録を含み損なうと、三次時間枠が基礎レジメン不適合と見なされ、
対象の基礎インスリン薬剤投与量レジメン214における持続型インスリン薬剤投与量216を調節することが、基礎レジメン適合と見なされる三次時間枠330によって表されるタイトレーショングルコースレベル244に基づき、かつ基礎レジメン不適合と見なされる三次時間枠330によって表されるタイトレーショングルコースレベル244を除外することによる、第1の特徴解析を適用することと、をさらに含む、実施形態2~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【0158】
9.第1のデータ構造が、複数の連続するエポックを含み、各それぞれのエポック218が、それぞれのエポック218内で基礎インスリン薬剤が注入されるとき、および基礎インスリン薬剤が注入される量を示す基礎インスリン薬剤投与量216と関連付けられ、それにより第1の特徴解析の一時的かつ定量的基準を提供する、実施形態1~8のいずれかに記載のデバイス。
【0159】
10.三次枠330の長さ615が、エポック218の各々の長さ619よりも長いか、または同じである、実施形態8および9に記載のデバイス。
【0160】
11.三次時間枠の終点614が、現在のエポックの終点618と同期され、現在のエポックが複数のエポック内の最近完了したエポックである、実施形態8~10のいずれかに記載のデバイス。
【0161】
12.複数のエポックの各それぞれのエポック218が、三次時間枠330と関連付けられ、それにより各三次時間枠が評価期間を表し、各三次枠が一時的基準に基づくそれぞれのエポックにアラインされ、各三次時間枠330がタイトレーショングルコースレベル246と関連付けられている、複数の三次時間枠を入手する、実施形態9に記載のデバイス。
【0162】
13.第1のデータ構造が、複数のエポック内のエポック218の各々の、持続型インスリン薬剤の投与の一時的かつ定量的基準の特定を含む、実施形態1~12のいずれかに記載のデバイス。
【0163】
14.持続型インスリン薬剤の定量的基準が、タイトレーショングルコースレベルに相関する、実施形態8~13のいずれかに記載のデバイス。
【0164】
15.一時的基準が、複数のエポック内の各エポック218の1回の注入として特定される、実施形態9~14のいずれかに記載のデバイス。
【0165】
16.複数のエポックの各エポック218が、暦日または暦週である、実施形態9~15のいずれかに記載のデバイス。
【0166】
17.複数のグルコース測定値の連続する測定値が、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で自律的に対象から取得される、実施形態1~16のいずれかに記載のデバイス。
【0167】
18.デバイスが、さらにワイヤレス受信機284を備え、第1のデータセットが、対象に取り付けられたグルコースセンサ102からワイヤレスで入手され、かつ/あるいは第2のデータセットが、1つ以上のインスリンペン104からワイヤレスで入手される、実施形態1~17のいずれかに記載のデバイス。
【0168】
19.第1のデータ構造が、低血糖リスク状態インジケータであって、低血糖リスク状態インジケータが、対象が高い低血糖リスクを有し得るか、あるいは複数のグルコース測定値にわたる高い変動が観察され得る高い低血糖リスク状態、および対象が高くない低血糖リスクを有し得るか、あるいは複数のグルコース測定値にわたる低い変動が観察され得る高くない低血糖リスク状態を示すことができる、低血糖リスク状態インジケータをさらに含み、方法が、
低血糖リスク状態インジケータの状態を識別することに応じて、
低血糖リスク状態インジケータの状態が、高い低血糖リスク状態として識別されると、第1の評価モードを選択し、それにより低グルコース値およびノイズにより感受性の高いタイトレーショングルコースレベル246を入手するための方法を使用することを、さらに含む、実施形態1~18のいずれかに記載のデバイス。
【0169】
20.二次時間枠が、50分~70分、60分~120分、120分~180分、180分~300分、または300~500分である、実施形態2~19のいずれかに記載のデバイス。
【0170】
21.複数のグルコース測定値の連続する測定値が、4分~6分の間隔で自律的に対象から取得される、実施形態2~20のいずれかに記載のデバイス。
【0171】
22.複数のグルコース測定値の連続する測定値が、4分~6分の間隔で対象から自律的に取得され、二次時間枠が、50分~70分である、実施形態2~19のいずれかに記載のデバイス。
【0172】
23.複数のグルコース測定値の連続する測定値が、4分~6分の間隔で対象から自律的に取得され、二次時間枠が、180分~300分である、実施形態2~19のいずれかに記載のデバイス。
【0173】
24.複数のグルコース測定値の連続する測定値が、40分~80分の間隔で対象から自律的に取得され、二次時間枠が、180分~310分である、実施形態2~19のいずれかに記載のデバイス。
【0174】
25.方法が、
対象によって使用された1つ以上のインスリンペン(104)からの第2のデータセット(320)を入手して、規定のインスリンレジメンを適用することであって、第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録(321)が、(i)1つ以上のインスリンペン(104)のそれぞれのインスリンペンを使用して対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント(322)、および(ii)それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ(323)、(iii)注入されたインスリン薬剤が速効型インスリン薬剤の種類か、または持続型インスリン薬剤の種類かを示す、インスリン薬剤の種類、を含む、規定のインスリンレジメンを適用することをさらに含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載のデバイス。
【0175】
26.規定のインスリンレジメンが、ボーラスインスリン薬剤投与量レジメンをさらに含み、ボーラスインスリン薬剤投与量レジメンが、速効型インスリン投与量〔の量〕を特定する、実施形態1~25のいずれかに記載のデバイス。
【0176】
27.規定のインスリンレジメン212が、速効型インスリン薬剤の作用持続時間をさらに含み、薬剤の作用持続時間が測定可能な薬剤効果が維持される持続時間を特定し、それによりグルコースレベルに影響を与える、実施形態25または26のいずれかに記載のデバイス。
【0177】
28.規定のインスリンレジメン212が、持続型インスリン薬剤の作用持続時間を含み、薬剤の作用持続時間が測定可能な薬剤効果が維持される持続時間を特定し、それによりグルコースレベルに影響を与える、実施形態25~27のいずれかに記載のデバイス。
【0178】
29.インスリン状態インジケータ211が、第2のデータセットおよび速効型インスリン薬剤の作用持続時間に基づいて、速効型インスリンの影響状態を示す、実施形態25~27のいずれかに記載のデバイス。
【0179】
30.インスリン状態インジケータ211が、第2のデータセットおよび速効型インスリン薬剤の作用持続時間に基づいて、持続型インスリンのみの影響状態を示す、実施形態25~29のいずれかに記載のデバイス。
【0180】
31.インスリン状態インジケータ211が、第2のデータセットおよび持続型インスリン薬剤の作用持続時間に基づいて、持続型インスリンのみの影響状態を示す、実施形態25~30のいずれかに記載のデバイス。
【0181】
32.タイトレーショングルコースレベルに第1の尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベル246を第1のグルコース尺度の中心傾向244と関連付ける、実施形態1~31のいずれかに記載のデバイス。
【0182】
33.複数のグルコース測定値中の測定値が、連続グルコースモニタによって自律的に入手される、実施形態1~32のいずれかに記載のデバイス。
【0183】
34. タイトレーショングルコースレベル246が、持続型インスリン薬剤投与量216を維持または調節するためのアルゴリズムへの入力として使用されるグルコースレベルである、実施形態1~33のいずれかに記載のデバイス。
【0184】
35.タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットのグルコース測定値236が、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を含む、実施形態1~34のいずれかに記載のデバイス。
【0185】
36.小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273に含まれるグルコース測定値が、グルコース測定値236の下位パーセンタイルよりも小さい値を有し、下位パーセンタイルが、0.1パーセンタイル~イ50パーセンタイルの範囲であり、Pパーセンタイルが、一次時間枠233内のタイトレーションサブセット240、269、273を識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値236のP%よりも大きい、最も低いグルコース測定値として定義される、実施形態1~35のいずれかに記載のデバイス。
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベル246を入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付けること、
【0186】
37.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル246を入手することが、
小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273に含まれるグルコース測定値の値が、グルコース測定236の下位パーセンタイルよりも小さいことを検証することをさらに含む、実施形態1~36のいずれかに記載のデバイス。
【0187】
38.下位パーセンタイルが、5パーセンタイルであり、5パーセンタイルが、タイトレーションサブセット240、269、273を識別するために使用される第1のデータセットのグルコース測定値236の5%よりも大きい、最も低いグルコース測定値として定義される、実施形態36または37のいずれかに記載のデバイス。
【0188】
39.1つ以上のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータで、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための方法であって、
メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む規定のインスリンレジメン212であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが持続型インスリン薬剤投与量216の量を特定する、規定のインスリンレジメン212と、インスリン状態インジケータ211であって、インスリン状態インジケータ211が、一次時間枠内のグルコース測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得る速効型インスリンの影響状態、および一次時間枠内のグルコース測定値が持続型インスリン薬剤によって影響され得るが、測定値が速効型インスリン薬剤によって影響され得ない持続型インスリンのみの影響状態を示すことができる、インスリン状態インジケータ211と、メモリを含む、第1のデータ構造210を記憶し、メモリがさらに命令を記憶し、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセット228を入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値230に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット228を入手することと、
(B)小さいグルコース測定値およびインスリン状態インジケータ211の状態に基づいて、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、
(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値236を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠233を入手すること、
(ii)一次時間枠(233)内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベル246を入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付けることによって、タイトレーショングルコースレベル246を入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベル246に基づいて、持続型インスリン薬剤投与量216を調節または維持すること、の方法を実施する、対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための方法。
【0189】
40.1つ以上のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行されるとき、実施形態39の方法を実施する命令を含む、コンピュータプログラム。
【0190】
41.実施形態39に記載のコンピュータプログラム上に記憶されている、コンピュータ可読データ担体。
【0191】
実施形態の第2のリストでは、持続型インスリンレジメンを調節するために適合された基礎タイトレーション調節デバイスが提供され、デバイスは、小さいグルコース測定値に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手するために適合されている。
【0192】
1.対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250であって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ274およびメモリ192/290を備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む規定のインスリンレジメン212であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが、持続型インスリン薬剤投与量216の量を特定する、規定のインスリンレジメン212と、命令と、を含む、第1のデータ構造210を含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセット228を入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値230に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット228を入手することと、
(B)タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、
(i)タイトレーショングルコースレベルを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値236を含む期間を定義する、時間経過内の一次時間枠233を入手すること、
(ii)一次時間枠233内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベル246を入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベル246を入手することによって、タイトレーショングルコースレベル246を入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベル246に基づいて、持続型インスリン薬剤投与量216を調節または維持すること、の方法を実施する、デバイス。
【0193】
2.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル(246)を入手することが、
次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)グルコース測定値のサブセット240用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数234を入手し、(ii)一次時間枠233内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、最も小さいグルコース測定値のサブセットとして小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240を識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240内の測定回数が、入手した整数234と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向244として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット240内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベル246を第1のグルコース尺度の中心傾向244と関連付けるモード、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠233では、一次時間枠(233)内の複数の同時に重複する二次時間枠260を入手し、各二次時間枠262が、一次時間枠233でのグルコース測定値のサブセット236である、重複するグルコース測定値のサブセット264を含み、
複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向267を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向267を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269が、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268と関連付けるモード、または
(B3)第3の評価モードの一次時間枠233では、一次時間枠233内の複数の同時に重複する二次時間枠260を入手し、各二次時間枠262が、一次時間枠233でのグルコース測定値のサブセット(236)である、重複するグルコース測定値のサブセット264を含み、
複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応するグルコース尺度の変動271を算出し、それにより複数のグルコース尺度の変動を入手し、各それぞれのグルコース尺度の変動272が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の変動として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の変動の移動期間を入手し、
複数のグルコース尺度の変動では、最も小さいグルコース尺度の変動272を複数のグルコース尺度の変動内の最も小さいグルコース尺度の変動として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273が、最も小さいグルコース尺度の変動272に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274を、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット273の尺度の中心傾向として算出し、
タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第3のグルコース尺度の中心傾向274と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0194】
実施形態の第3のリストでは、持続型インスリンレジメンを調節するために適合された基礎タイトレーション調節デバイスが提供され、デバイスは、小さいグルコース測定値に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手するために適合されている。
【0195】
1.対象の規定の基礎インスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250であって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ274およびメモリ192/290を備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む規定のインスリンレジメン212であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが、持続型インスリン薬剤投与量216の量を特定する、規定のインスリンレジメン212と、命令と、を含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセット228を入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値230に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット228を入手することと、
(B)持続型インスリン薬剤投与量を維持または調節するためのアルゴリズムへの入力値として使用されるグルコースレベルであるタイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、タイトレーショングルコースレベルが、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットに基づき、
(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別するため、かつ一次時間枠233のタイトレーショングルコースレベルを入手するために使用される、第1のデータセットのグルコース測定値236を含む期間を定義する時間経過内の一次時間枠233を入手することであって、グルコース測定値236の各々が、一次時間枠233内のタイムスタンプ232を有する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠233内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベル246を入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルに尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベル246を入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベル246に基づいて、持続型インスリン薬剤投与量216を調節または維持すること、の方法を実施する、デバイス。
【0196】
2.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル(246)を入手することが、
次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)グルコース測定値のサブセット240用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数234を入手し、(ii)一次時間枠233内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、最も小さいグルコース測定値のサブセットとして小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240を識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240内の測定回数が、入手した整数234と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向244として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット240内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベル246を第1のグルコース尺度の中心傾向244と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0197】
3.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル(246)を入手することが、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠233では、一次時間枠(233)内の複数の同時に重複する二次時間枠260を入手し、各二次時間枠262が、一次時間枠233でのグルコース測定値のサブセット236である、重複するグルコース測定値のサブセット264を含み、
複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向267を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向267を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269が、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268と関連付けること、をさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0198】
4.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル(246)を入手することが、
小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット用に選択されるグルコース測定回数を定義するタイトレーションパーセンタイルを定義するパーセンテージを入手すること、(ii)グルコース測定値(236)のタイトレーションパーセンタイルによって定義されるグルコース測定値を識別および選択することによって、最も小さいグルコース測定値のサブセットとして小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択することであって、タイトレーションパーセンタイルが、0.1パーセンタイル~50パーセンタイルの範囲であり、下位パーセンタイル以下であり、Pパーセンタイルが、一次時間枠(233)内のタイトレーションサブセットを識別するために使用される第1のデータセットにおけるグルコース測定値(236)のP%よりも大きい、最も低いグルコース測定値として定義される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットを識別および選択すること、(iii)第4のグルコース尺度の中心傾向として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット(240)内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された、尺度の中心傾向を入手すること、ならびに
タイトレーショングルコースレベルに第4の尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベル(246)を第4のグルコース尺度の中心傾向(244)と関連付けること、をさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0199】
5.複数のグルコース測定値中の測定値が、連続グルコースモニタによって対象から自律的に入手される、実施形態1~4のいずれかに記載のデバイス。
【0200】
実施形態の第4のリストでは、持続型インスリンレジメンを調節するために適合された基礎タイトレーション調節デバイスが提供され、デバイスは、小さいグルコース測定値に基づいて、タイトレーショングルコースレベルを入手するために適合されている。
【0201】
1.対象の規定のインスリンレジメンにおける持続型インスリン薬剤投与量を自律的に調節するための基礎タイトレーション調節デバイス250であって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ274およびメモリ192/290を備え、メモリが、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む規定のインスリンレジメン212であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンが、持続型インスリン薬剤投与量216の量を特定する、規定のインスリンレジメン212と、命令と、を含み、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、
(A)第1のデータセット228を入手することであって、第1のデータセットが、時間経過にわたって取得された対象の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値の各それぞれのグルコース測定値230に対する、時間経過中でそれぞれのグルコース測定値がいつ取られたかを表す対応するタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット228を入手することと、
(B)持続型インスリン薬剤投与量を維持または調節するためのアルゴリズムへの入力値として使用されるグルコースレベルであるタイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、タイトレーショングルコースレベルが、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットに基づき、
(i)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別するため、かつ一次時間枠233のタイトレーショングルコースレベルを入手するために使用される、第1のデータセットのグルコース測定値236を含む期間を定義する時間経過内の一次時間枠233を入手することであって、グルコース測定値236の各々が、一次時間枠233内のタイムスタンプ232を有する、時間経過内の一次時間枠を入手すること、
(ii)一次時間枠233内の小さいグルコース測定値のサブセットとして識別される、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273を識別すること、
(iii)小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240、269、273の尺度の中心傾向244、268、274として算出された、タイトレーショングルコースレベル246を入手することであって、尺度の中心傾向が、一次時間枠の小さいグルコース測定値の尺度を表す、タイトレーショングルコースレベル246を入手すること、および
(iv)タイトレーショングルコースレベルに尺度の中心傾向の値を割り当てることによって、タイトレーショングルコースレベル246を尺度の中心傾向244、268、274と関連付けること、によってタイトレーショングルコースレベル246を入手することと、
(C)入手されたタイトレーショングルコースレベル246に基づいて、持続型インスリン薬剤投与量216を調節または維持すること、の方法を実施する、デバイス。
【0202】
2.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル(246)を入手することが、
次の評価モード:
(B1)第1の評価モードでの一次時間枠では、(i)グルコース測定値のサブセット240用に選択されるグルコース測定回数を定義する整数234を入手し、(ii)一次時間枠233内の最も小さいグルコース測定値を識別および選択することによって、最も小さいグルコース測定値のサブセットとして小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240を識別および選択し、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット240内の測定回数が、入手した整数234と等しいことを確認し、(iii)第1のグルコース尺度の中心傾向244として、かつ小さいグルコース測定値のサブセット240内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出された尺度の中心傾向を入手し、
タイトレーショングルコースレベル246を第1のグルコース尺度の中心傾向244と関連付けるモード、のうちの1つを選択することをさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0203】
3.ステップBでのタイトレーショングルコースレベル(246)を入手することが、
(B2)第2の評価モードの一次時間枠233では、一次時間枠(233)内の複数の同時に重複する二次時間枠260を入手し、各二次時間枠262が、一次時間枠233でのグルコース測定値のサブセット236である、重複するグルコース測定値のサブセット264を含み、
複数の二次時間枠260内の各二次時間枠262では、対応する第2のグルコース尺度の中心傾向267を算出し、それにより複数の第2のグルコース尺度の中心傾向267を入手し、各それぞれの第2のグルコース尺度の中心傾向が、対応する二次時間枠262内のグルコース測定値の尺度の中心傾向として算出され、それにより一次時間枠でのグルコース測定値にわたる尺度の中心傾向の移動期間を入手し、
複数の第2のグルコース尺度の中心傾向では、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268を複数の第2のグルコース尺度の中心傾向内の最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向として識別し、それにより、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセット269が、最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268に対応する二次時間枠262内のグルコース測定値を含むサブセットとして識別され、
タイトレーショングルコースレベル246を最も小さい第2のグルコース尺度の中心傾向268と関連付けること、をさらに含む、実施形態1に記載のデバイス。
【0204】
4.規定のインスリンレジメン212が、速効型インスリン薬剤の作用持続時間をさらに含み、薬剤の作用持続時間が測定可能な薬剤効果が維持される持続時間を特定し、それによりグルコースレベルに影響を与える、実施形態1~3のいずれかに記載のデバイス。
【0205】
5.規定のインスリンレジメン212が、持続型インスリン薬剤の作用持続時間を含み、薬剤の作用持続時間が測定可能な薬剤効果が維持される持続時間を特定し、それによりグルコースレベルに影響を与える、実施形態1~4のいずれかに記載のデバイス。
【0206】
6.方法が、
対象によって使用された1つ以上のインスリンペン104からの第2のデータセット320を入手して、規定のインスリンレジメンを適用することであって、第2のデータセットが時間経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録の各インスリン薬剤記録321が、(i)1つ以上のインスリンペン104のそれぞれのインスリンペンを使用して対象へのインスリン薬剤注入を表す、それぞれのインスリン薬剤注入イベント322、および(ii)それぞれのインスリン薬剤注入イベントの発生時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に生成される、対応する電子タイムスタンプ323、(iii)注入されたインスリン薬剤が速効型インスリン薬剤の種類か、または持続型インスリン薬剤の種類かを示す、インスリン薬剤の種類、を含む、規定のインスリンレジメンを適用することをさらに含み、方法が、(i)第2のデータセットおよび作用持続時間を使用して、速効型インスリンによって影響されていない一次時間枠233内のグルコース測定値を入手することをさらに含み、小さいグルコース測定値のタイトレーションサブセットが、速効型インスリンによって影響されていない一次時間枠233内のグルコース測定値内で識別される、実施形態1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0207】
7.複数のグルコース測定値中の測定値が、連続グルコースモニタによって対象から自律的に入手される、実施形態1~6のいずれかに記載のデバイス。
【0208】
引用された参考文献および代替的な実施形態
本明細書に引用されたすべての参考文献は、各個々の出版物、または特許、または特許出願が、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度の範囲で、それらの全体が参照により、すべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0209】
本発明は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に埋め込まれたコンピュータプログラム機構を備える、コンピュータプログラム製品として実装され得る。例えば、コンピュータプログラム製品は、図1、2、または3の任意の組み合わせに示されている、および/または図4に記載のプログラムモジュールを収容し得る。これらのプログラムモジュールは、CD-ROM、DVD、磁気ディスク記憶媒体製品、または任意の他の非一時的コンピュータ可読データまたはプログラム記憶媒体製品に記憶することができる。
【0210】
本発明の多くの修正および変形は、当業者に明らかであるように、その趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態は、例としてのみ提供される。本発明およびその実用的用途の原理を最もよく説明するために実施形態を選択および説明しており、それにより、企図される特定の使用に適する様々な修正を用いて、当業者が本発明および様々な実施形態を最良に利用できることを可能にする。本発明は、かかる特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲を含む、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F