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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電気自動車を利用した電力授受システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20221117BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20221117BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221117BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20221117BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221117BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20221117BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02J3/32
G06Q50/06
H02J3/38 130
H02J13/00 311R
H02J7/00 P
H02J7/35 K
H02J3/00 180
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020033197
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021136821
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕道
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 竜大
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 隆文
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-077152(JP,A)
【文献】特開2018-147029(JP,A)
【文献】特開2011-186875(JP,A)
【文献】特開2014-192981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G06Q10/00-10/10
G06Q30/00-30/08
G06Q50/00-50/20
G06Q50/26-99/00
G16Z99/00
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の蓄電池を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、
給電側情報取得装置、及びポイント付与装置を備え、
前記給電側情報取得装置は、
顧客識別子を記憶する記憶部と、
充電装置により前記電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部と、
前記蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部と、
前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報を前記ポイント付与装置へ送信し、前記ポイント付与装置から前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受信する入出力インターフェースと、を備え、
前記ポイント付与装置は、
前記給電側情報取得装置との間で、前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報の受信と、前記ポイント予約番号の送信を行う入出力インターフェースと、
前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報に紐づけて前記ポイント予約番号を発行するポイント予約番号発行部と、
ポイント予約番号の入力を受け付ける入力部と、
前記電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、前記電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部と、
得られた前記ポイントを、前記入力部により入力された前記ポイント予約番号と紐づいている前記顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部と、を備える
電力授受システム。
【請求項2】
前記ポイント付与装置は、
前記ポイント予約番号発行部で発行された前記ポイント予約番号を、前記顧客識別子と紐づけられた携帯端末に通知する
請求項1に記載の電力授受システム。
【請求項3】
前記ポイント付与装置は、
電力由来情報と、当該電力由来情報に対応づけて定められたポイントとを格納するポイント換算テーブル、を備え、
前記ポイント計算部は、前記電力由来情報を用いて前記ポイント換算テーブルを参照して前記ポイントを計算する
請求項1に記載の電力授受システム。
【請求項4】
前記電力由来情報として、少なくとも太陽光発電装置と商用電力を含み、
前記ポイント換算テーブルにおいて、太陽光発電装置は商用電力よりも多いポイントが対応づけられている
請求項3に記載の電力授受システム。
【請求項5】
前記ポイント換算テーブルにおいて、前記電力由来情報が、予め定められた商業施設が販売した太陽光発電装置、又は指定された太陽光発電装置である場合は、前記商業施設が販売した太陽光発電装置、又は指定された太陽光発電装置ではない場合よりも、多くのポイントが定められている
請求項4に記載の電力授受システム。
【請求項6】
前記ポイント付与装置は、
前記電力由来情報に売電禁止を示す電力由来が含まれ、前記売電禁止の前記電力由来情報に紐づけられた前記ポイント予約番号を受け取った場合、前記電気自動車の蓄電池からの電力受け取り不可を示す情報を出力する
請求項4に記載の電力授受システム。
【請求項7】
前記ポイント予約番号発行部は、
前記電気自動車の蓄電池から放電される放電量が、前記ポイント予約番号に紐づいている充電量よりも少ないとき、残充電量に対して新たにポイント予約番号を発行する
請求項4に記載の電力授受システム。
【請求項8】
前記給電側情報取得装置は、
前記太陽光発電装置を個別に認識するための認識番号と前記太陽光発電装置の劣化度を表す情報を取得して前記ポイント付与装置へ送信し、
前記ポイント付与装置は、
前記給電側情報取得装置から前記太陽光発電装置の劣化度を表す情報を受信し、前記劣化度が設定値以上である場合には、前記太陽光発電装置の前記認識番号と紐づけられた携帯端末へ前記太陽光発電装置が劣化していることを示す情報を送信する
請求項4に記載の電力授受システム。
【請求項9】
電気自動車の蓄電池を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、
給電側情報取得装置、ポイント付与装置、及び運用サーバーを備え、
前記給電側情報取得装置は、
顧客識別子を記憶する記憶部と、
充電装置により前記電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部と、
前記蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部と、
前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報を前記運用サーバーへ送信し、前記運用サーバーから前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受信する入出力インターフェースと、を備え、
前記ポイント付与装置は、
ポイント予約番号の入力を受け付ける入力部と、
入力された前記ポイント予約番号を前記運用サーバーへ送信する入出力インターフェースと、を備え、
前記運用サーバーは、
前記給電側情報取得装置から前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報を受信し、前記給電側情報取得装置及び前記ポイント付与装置との間で前記ポイント予約番号を送受信する入出力インターフェースと、
前記給電側情報取得装置から受信した、前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報に紐づけて前記ポイント予約番号を発行するポイント予約番号発行部と、
前記電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、前記電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部と、
得られた前記ポイントを、前記ポイント付与装置から受信した前記ポイント予約番号と紐づいている前記顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部と、を備える
電力授受システム。
【請求項10】
電気自動車の蓄電池を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、
給電側情報取得装置、及びポイント付与装置を備え、
前記給電側情報取得装置は、
顧客識別子を記憶する記憶部と、
充電装置により前記電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部と、
前記蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部と、
前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報を前記ポイント付与装置へ送信する出力インターフェースと、を備え、
前記ポイント付与装置は、
前記給電側情報取得装置から、前記顧客識別子、前記充電量の情報、及び前記電力由来情報を受信する入力インターフェースと、
顧客識別子の入力を受け付ける入力部と、
前記電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、前記電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部と、
得られた前記ポイントを、前記入力部により入力された前記顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部と、を備える
電力授受システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を利用した電力授受システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池を利用して、複数の発電方式により発電された電力を授受することが検討されている。特許文献1には、電力授受システムにおいて、電気自動車に、当該電気自動車の蓄電池に蓄電されている電力の取引価値の情報として、如何なる発電方式により発電されたのかを示す情報と、各発電方式により発電された電力の平均単価の情報とを少なくとも含む属性情報を管理する蓄電情報管理装置を備えることが開示されている。これにより、電力授受システムにおいて、蓄電池に蓄電されている電力の取引価値の情報を保存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-077152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電気自動車は各々の電気自動車メーカーが作成した蓄電池を管理する仕組みを使用している。このため、全ての電気自動車メーカーに特許文献1に開示された蓄電情報管理装置を電気自動車に装備することを求めることは困難である。さらに、既に稼働中の電気自動車に対して蓄電情報管理装置を追加することも現実的ではない。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、電気自動車の蓄電池に蓄電された電力の発電元に関する情報を電気自動車に記憶する機能を備えることなく、電気自動車を用いて売電を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電力授受システムは、電気自動車の蓄電池を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、給電側情報取得装置、及びポイント付与装置を備える。
上記給電側情報取得装置は、
顧客識別子を記憶する記憶部と、
充電装置により電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部と、
蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部と、
顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報をポイント付与装置へ送信し、ポイント付与装置から顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受信する入出力インターフェースと、を備える。
また、上記ポイント付与装置は、
給電側情報取得装置との間で、顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報の受信と、ポイント予約番号の送信を行う入出力インターフェースと、
顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけてポイント予約番号を発行するポイント予約番号発行部と、
ポイント予約番号の入力を受け付ける入力部と、
電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部と、
得られたポイントを、入力部により入力されたポイント予約番号と紐づいている顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電気自動車の蓄電池に蓄電された電力の発電元に関する情報を記憶する機能を電気自動車に備えることなく、電気自動車を用いて売電が可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態における電気自動車(EV)を利用した電力授受システムの全体構成例を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態における充電装置を含む家庭側のシステム構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態における売電装置を含む商業施設側のシステム構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態におけるポイント予約番号発行装置の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるポイント付与装置の構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施形態における運用サーバーの構成例を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態におけるローカル端末の構成例を示すブロック図である。
図8】本発明の第1の実施形態における電力授受システムの運用概要を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施形態におけるポイント予約番号作成処理の手順例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施形態におけるポイント付与処理の手順例を示すフローチャート(1)である。
図11】本発明の第1の実施形態におけるポイント付与処理の手順例を示すフローチャート(2)である。
図12】本発明の第1の実施形態における運用サーバーの施設別ポイント付与表管理部で管理される施設別ポイント付与表の例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態における運用サーバーの施設別/顧客別/ポイント管理部で管理されるポイント管理表の例を示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態における施設別ポイント付与表の切り替え処理を示すフローチャートである。
図15】本発明の第3の実施形態における期間別の付与ポイントの設定例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0010】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車(EV : Electric Vehicle)を利用した電力授受システムについて図1を参照して説明する。本実施形態において、電気自動車には、プラグインハイブリッド自動車など、比較的大きな容量のバッテリー(蓄電池)を搭載して外部に電力を供給できる自動車も含まれる。
【0011】
[電力授受システムの全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態における電気自動車を利用した電力授受システムの全体構成例を示す。
【0012】
図1に示す電力授受システム1は、家庭10等に設置された太陽光パネル11(太陽光発電装置)、太陽光パネル11の発電電力又は一般商用電力2を電気自動車30(以下「EV」と表記する)のバッテリー31に充電するための充電装置20を備える。バッテリー31は電力の授受に利用される蓄電池である。充電装置20は、充電器、該充電器による充電を制御するコントローラ(プロセッサ、メモリ)、及び図2に示す表示部21(例えば液晶表示パネル)から構成される。コントローラは、充電器及び表示部21とデータを送受信可能に構成されている。表示部21は必須でない。家庭10には分電盤12が設置され、分電盤12と家庭設備等が接続されている。本明細書では、EV30のバッテリー31に蓄電された電力を「EV電力」と表記する。
【0013】
また、電力授受システム1は、商業施設50等に設置されたEV電力を売電するための売電装置60と、売電装置60に接続されたポイント付与装置70、及びポイント付与装置70との間でデータを送受信するローカル端末80を備える。売電装置60は、受電器、該受電器による受電を制御するコントローラ(プロセッサ、メモリ)、及び図2に示す表示部62(例えば液晶表示パネル)から構成される。コントローラは、受電器及び表示部62とデータを送受信可能に構成されている。表示部62は必須でない。売電装置60には、ポイント予約番号入力装置61が接続されている。ポイント付与装置70には、ポイントカード75が挿入されるカードリーダー/ライター71が設けられている。
【0014】
さらに、電力授受システム1は、インターネット等のネットワークNを介して充電装置20とローカル端末80からのデータを受信して処理する運用サーバー100を備える。運用サーバー100は、EV30を利用した電力授受システム1全体の運用を管理する。運用サーバー100は、データの処理結果を管理するとともに、充電装置20とローカル端末80へ送信する。商業施設50には、売電装置60に接続して売電を行うEV30のナンバープレートを撮影するカメラ90が設けられている。
【0015】
電力授受システム1では、EV30のバッテリー31を介して家庭10と商業施設50との間で電力の授受が行われる。
【0016】
[家庭側のシステム構成]
次に、充電装置20を含む家庭10側のシステム構成について説明する。
図2は、充電装置20を含む家庭10側のシステム構成例を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、太陽光パネル11が設置された家庭10は、太陽光パネル11で発生する直流電力を交流電力に変換したり、蓄電池14へ充電したりするPCS(Power Conditioning Subsystem)13を備える。すなわち、PCS13は、電力変換機能、充電機能、それらの機能を制御するコントローラ(プロセッサ、メモリ)を備える。コントローラは、電力変換機能及び充電機能の動作を制御する。PCS13は、太陽光パネル11の発電電力、蓄電池14に蓄電された電力、又は分電盤12を介した一般商用電力2を、充電装置20によりEV30のバッテリー31に充電する。ポイント予約番号発行装置40の詳細については後述する図4により説明する。また、運用サーバー100の詳細については後述する図6により説明する。
【0018】
ここで、PCS13は、電力の発生元(太陽光パネル11、蓄電池14、一般商用電力2)を判別し、電力の発生元(電力由来)を示す情報と、バッテリー31に充電された充電量の情報とを、充電装置20に接続されたポイント予約番号発行装置40へ送信する。一般に太陽光パネル11とPCS13はセットで販売され、PCS13に対して固有の認識番号が割り当てられている。PCS13の認識番号を商業施設50が持つデータベースと照合することで、そのPCS13すなわち太陽光パネル11がどこの商業施設50で販売されたかを判別できる。
【0019】
ポイント予約番号発行装置40は、電力の発生元(電力由来)と充電量の情報を運用サーバー100へ送信する。そして、ポイント予約番号発行装置40は、電力由来と充電量とに基づいて発行されるポイント予約番号を運用サーバー100から受信し、EV30のバッテリー31の所有者(顧客)に通知する。
【0020】
なお、蓄電池14は、EV30の不在時に太陽光パネル11の発電電力を蓄電するため、バッテリー31に充電された蓄電池14の電力は太陽光パネル11から直接充電されたものと同様の扱いとする。
【0021】
[商業施設側のシステム構成]
次に、売電装置60を含む商業施設50側のシステム構成について説明する。
図3は、売電装置60を含む商業施設50側のシステム構成例を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、売電装置60が設置された商業施設50は、売電装置60に接続されたポイント予約番号入力装置61と、ポイント付与装置70と、EV30のナンバープレートに記載された番号を認識するカメラ90を備える。
【0023】
ポイント予約番号入力装置61は、EV30のバッテリー31に蓄電された電力を売電装置60に売電する際に、ポイント予約番号発行装置40から通知されたポイント予約番号を顧客が入力するための装置である。ポイント予約番号入力装置61は入力部の一例であり、ポイント予約番号入力装置61として例えばタッチパネル装置が用いられる。
【0024】
ポイント付与装置70は、売電装置60に売電された電力量(売電量)と、ポイント予約番号とを、ローカル端末80を介して運用サーバー100に送信する。そして、ポイント付与装置70は、ローカル端末80を介して運用サーバー100から、売電量と、ポイント予約番号に紐づいた電力の発生元(電力由来)とに応じて決定されるポイントを受信する。そして、ポイント付与装置70は、カードリーダー/ライター71により、付与ポイントを顧客のポイントカード75に書き込む。ポイント付与装置70の詳細については後述する図5により説明する。また、ローカル端末80の詳細については後述する図7により説明する。
【0025】
売電装置60が売電を認めた場合のみ、EV30のバッテリー31から電力(売電電力)が放電され、その電力が商業施設50の定置バッテリー51、冷暖房装置52、昇降機53、及び照明54などの付帯設備に供給される。本実施形態では、実質的には運用サーバー100が売電の可否を決定する。
【0026】
[ポイント予約番号発行装置]
次に、ポイント予約番号発行装置40の構成について説明する。
図4は、ポイント予約番号発行装置40の構成例を示すブロック図である。
【0027】
ポイント予約番号発行装置40は、給電側情報取得装置の一例である。ポイント予約番号発行装置40は、充電装置20からEV30への給電に対して運用サーバー100でポイント予約番号を発行する処理を支援する装置である。ポイント予約番号発行装置40は、CPU(Central Processing Unit)410、主記憶装置420、表示部430、及び入出力インターフェース440を備える。ポイント予約番号発行装置40として、パーソナルコンピューターなどの汎用のコンピューターを用いることができる。
【0028】
CPU410は、ポイント予約番号発行装置40の各部の制御を行う。主記憶装置420には、様々なソフトウェアモジュール(プログラム)やデータ等が記憶されている。CPU410は、主記憶装置420に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、本発明に係る各種の機能を実現する。
【0029】
主記憶装置420は、電力種別受付け部421(電力由来受付け部の例)、充電量受付け部422、顧客ID登録部423、暗号化処理部424、及び出力処理部425を備える。
を備える。
電力種別受付け部421は、EV30のバッテリー31に充電された電力の発生元を示す電力種別(図13参照)の情報を受け付ける。電力種別は、バッテリー31に充電された電力を発生した装置(例えば太陽光パネル11)を示す情報であり、電力由来情報の一例である。
【0030】
充電量受付け部422は、充電装置20によりEV30のバッテリー31に充電された充電量の情報を受け付ける。
顧客ID登録部423は、顧客を識別するための情報(顧客ID)を登録する。本実施形態において、顧客はEV30の所有者を想定している。顧客ID登録部423は、顧客ID(顧客識別子の一例)、所有するEV30のナンバープレートの番号、電子メールアドレス、及びPCS13の認識番号等を対応づけて、不図示の不揮発性のメモリに記録する。
【0031】
暗号化処理部424は、顧客ID、バッテリー31の充電量の情報、及び電力由来情報を暗号化する。暗号化には、周知の暗号化技術を用いる。例えば、暗号化処理部424は、充電量の情報と電力由来情報を用いて、顧客IDを種とした暗号化を実行してもよい。
【0032】
出力処理部425は、充電装置20によりバッテリー31に充電された充電量などの情報を、表示部430に出力する処理を行う。
表示部430は、液晶表示パネル等の表示装置であり、出力処理部425で処理された内容を表示する。
【0033】
入出力インターフェース440は、充電装置20、及びネットワークNを介して運用サーバー100とデータ通信を行う。例えば、入出力インターフェース440は、暗号化処理部424で暗号化された顧客ID、充電量の情報、及び電力由来情報を含むデータを、運用サーバー100へ送信する。また、入出力インターフェース440は、運用サーバー100から顧客ID、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受信する。入出力インターフェースには、例えばNIC(Network Interface Card)やモデム等が用いられる。入出力インターフェースは、端子が接続されたLAN等のネットワーク又は専用線等を介して、外部装置との間で各種のデータを送受信することが可能に構成されている。
【0034】
[ポイント付与装置]
次に、ポイント付与装置70の構成について説明する。
図5は、ポイント付与装置70の構成例を示すブロック図である。
【0035】
ポイント付与装置70は、EV30から売電装置60への売電に対して運用サーバー100でポイントを付与する処理を支援する装置である。ポイント付与装置70は、CPU510、様々なソフトウェアモジュール(プログラム)やデータ等を記憶する主記憶装置520、カードリーダー/ライター71、表示部540、及び入出力インターフェース550を備える。ポイント付与装置70として、専用又は汎用のコンピューターを用いることができる。
【0036】
CPU510は、主記憶装置520に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種の機能を実現する。すなわち、CPU510は、主記憶装置520に記憶されているプログラムを読み出すことにより、ポイント予約番号受付け部521、発行ポイント受付け部522、復号処理部523、及び出力処理部524として示される各機能を実現する。
【0037】
ポイント予約番号受付け部521は、売電を希望する顧客がポイント予約番号入力装置61により入力したポイント予約番号を受け付ける。
発行ポイント受付け部522は、売電量と発電由来に基づいて運用サーバー100で発行されるポイントを受け付ける。
【0038】
復号処理部523は、運用サーバー100から受信するポイントや、新たに発行されるポイント予約番号の暗号化データを複合(暗号化解除)する。
【0039】
出力処理部524は、ポイント予約番号入力装置61に入力された番号を表示部540に出力する処理を行う。また、出力処理部524は、復号処理部523で複合されたポイント予約番号等のデータを、表示部540に出力する処理を行う。
【0040】
カードリーダー/ライター71は、ポイントカード75のデータの読み込み、ポイントカード75へのデータ(例えばポイント)の書き込みを行う装置である。
【0041】
表示部540は、液晶表示パネル等の表示装置であり、運用サーバー100から受信したポイント予約番号や、新たに発行されたポイント予約番号等を表示する。
【0042】
入出力インターフェース550は、売電装置60及びローカル端末80とデータ通信を行う。例えば、入出力インターフェース550は、ポイント予約番号入力装置61により入力されたポイント予約番号を運用サーバー100へ送信する。また、入出力インターフェース550は、売電量に応じて付与されるポイントを運用サーバー100から受信する。
【0043】
[運用サーバー]
次に、運用サーバー100の構成について説明する。
図6は、運用サーバー100の構成例を示すブロック図である。
【0044】
運用サーバー100は、CPU610、様々なソフトウェアモジュール(プログラム)やデータ等を記憶する主記憶装置、及び入出力インターフェース640を備える。運用サーバー100は、主記憶装置として、充電処理主記憶装置620と売電処理主記憶装置630を備える。CPU610は、充電処理主記憶装置620及び売電処理主記憶装置630に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種の機能を実現する。運用サーバー100として、パーソナルコンピューターなどの汎用のコンピューターを用いることができる。
【0045】
(充電処理主記憶装置)
充電処理主記憶装置620は、顧客別/電力由来別/充電量受付け部621、ポイント予約番号発行部622、顧客ID/ナンバープレート管理部623、復号処理部624、及び出力処理部625を備える。
【0046】
顧客別/電力由来別/充電量受付け部621は、ポイント予約番号発行装置40から顧客情報と、電力由来情報と、EV30のバッテリー31に充電された充電量とを受け付ける。例えば、顧客別/電力由来別/充電量受付け部621は、ポイント予約番号発行装置40からEV30のバッテリー31の充電量を、顧客(顧客ID)別、電力由来別に受け付ける。顧客IDは、顧客が商業施設50で太陽光パネル11を購入したとき、又は、顧客が商業施設50で他の商品を購入したときに、商業施設50の不図示の登録装置により登録してもよい。
【0047】
ポイント予約番号発行部622は、顧客別/電力由来別/充電量受付け部621で受け付けた内容と紐づけてポイント予約番号を発行する。すなわち、ポイント予約番号発行部622は、ポイント予約番号発行装置40から受信した、顧客ID、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけてポイント予約番号を発行する。
顧客ID/ナンバープレート管理部623は、顧客ID、顧客が所有するEV30のナンバープレートの番号を管理する。また、顧客ID及びナンバープレートの番号と合わせて、顧客の携帯端末35の電子メールアドレスを紐づけて管理してもよい。これらの情報は、顧客がポイント予約番号発行装置40又は携帯端末35を利用して登録する。
【0048】
復号処理部624は、暗号化された顧客ID、充電量の情報、及び電力由来情報の暗号化データを復号(暗号化解除)する。
出力処理部625は、例えば、ポイント予約番号発行部622で発行されたポイント予約番号を、顧客IDと紐づけられた携帯端末35に通知する。通知は、例えば電子メールや顧客専用のウェブページを用いて行われる。携帯端末35にインストールされた不図示の充電管理用アプリケーションを通じて、通知されてもよい。顧客IDと電子メールアドレスは、予め運用サーバー100に登録されている。
【0049】
(売電処理主記憶装置)
売電処理主記憶装置630は、施設ID/ポイント予約番号/ナンバープレート受付け部631、売電受付け可否判断部632、施設別ポイント付与表管理部633、ポイント計算部634、施設別/顧客別/ポイント管理部635、施設ID管理部636、復号処理部637、及び出力処理部638を備える。
【0050】
施設ID/ポイント予約番号/ナンバープレート受付け部631は、商業施設50のポイント付与装置70からローカル端末80を介して送信された施設ID、顧客が入力したポイント予約番号、カメラ90で認識したEV30のナンバープレートの情報を受け付ける。
売電受付け可否判断部632は、施設ID/ポイント予約番号/ナンバープレート受付け部631で受け付けた内容に基づいて、入力されたポイント予約番号に対し、売電を受付けるか否かを判断する。
【0051】
施設別ポイント付与表管理部633は、バッテリー31の充電量の電力由来と、当該電力由来に対応づけて定められたポイントとを施設別に定義したポイント付与表(ポイント換算テーブル)を管理する。
ポイント計算部634は、売電装置60によりEV30のバッテリー31から放電された電力量(売電量)に対し、電力由来情報に基づいて施設別ポイント付与表1200(図12参照)を参照して、付与するポイントを計算する。
施設別/顧客別/ポイント管理部635は、計算されたポイントを、ポイント付与装置70から受信したポイント予約番号と紐づいている顧客IDと紐づけて管理する。
施設ID管理部636は、商業施設50等の施設を識別するための情報(施設ID)を管理する。
【0052】
復号処理部637は、ポイント予約番号発行装置40及びポイント付与装置70から受信した暗号化データを複合する。
出力処理部638は、例えば、ポイント計算部634で計算されたポイントを、顧客IDと紐づけられた携帯端末35に通知する。通知は、例えば電子メールや顧客専用のウェブページを用いて行われる。携帯端末35にインストールされた不図示の売電管理用アプリケーションを通じて、通知されてもよい。顧客IDと電子メールアドレスは、予め運用サーバー100に登録されている。
【0053】
入出力インターフェース640は、ネットワークNを介して、ポイント予約番号発行装置40、及びローカル端末80(ポイント付与装置70)とデータ通信を行い、処理に必要なデータを受信し、その処理結果を送信する。例えば、入出力インターフェース640は、ポイント予約番号発行装置40から顧客ID、バッテリー31の充電量の情報、及び電力由来情報を受信する。また、入出力インターフェース640は、ポイント予約番号発行装置40及びポイント付与装置70との間で、ポイント予約番号を送受信する。
【0054】
[ローカル端末]
次に、ローカル端末80の構成について説明する。
図7は、ローカル端末80の構成例を示すブロック図である。
【0055】
ローカル端末80は、商業施設50側の情報を管理したり、運用サーバー100の売電処理主記憶装置630により施設毎に許可された内容を閲覧したりする。ローカル端末80は、CPU710、表示部720、様々なソフトウェアモジュール(プログラム)やデータ等を記憶する主記憶装置730、及び入出力インターフェース740を備える。CPU710は、主記憶装置730に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種の機能を実現する。ローカル端末80として、パーソナルコンピューターなどの汎用のコンピューターを用いることができる。
【0056】
表示部720は、液晶表示パネル等の表示装置であり、運用サーバー100の売電処理主記憶装置630で施設毎に許可された内容を表示する。例えば、表示部720は、顧客情報/ナンバープレート管理内容721、顧客別/売電量/ポイント発行量722、及び売電受付け可否判断結果723を表示する。
顧客情報/ナンバープレート管理内容721は、顧客IDやナンバープレートの番号である。
顧客別/売電量/ポイント発行量722は、顧客別の売電量やポイントの発行量である。
売電受付け可否判断結果723は、顧客が売電を希望してポイント予約番号を入力したときに、そのポイント予約番号に対して売電を受け付けるか否かの判断結果である。
【0057】
主記憶装置730は、顧客情報/ナンバープレート登録部731、施設別ポイント付与表登録部732、及び暗号化処理部733を備える。
顧客情報/ナンバープレート登録部731は、顧客情報、及び顧客が所有するEV30のナンバープレートの番号等を登録する。顧客情報は、例えば顧客の氏名や顧客ID等である。顧客情報として、EV30の所有形態、すなわち法人所有か個人所有を含んでもよい。
施設別ポイント付与表登録部732は、各施設においてポイント付与表を設定及び登録する。例えば、施設の管理人等が付与するポイントを設定しポイント付与表に登録する。
暗号化処理部733は、登録した情報を暗号化する。
【0058】
入出力インターフェース740は、ポイント付与装置70、カメラ90、及び運用サーバー100とデータ通信を行い、処理に必要なデータを受信し、その処理結果を送信する。例えば、入出力インターフェース740は、登録した情報や入力されたポイント予約番号を運用サーバー100へ送信する。また、入出力インターフェース740は、運用サーバー100から売電受付け可否結果や付与ポイントを受信したり、運用サーバー100から受信した情報をポイント付与装置70(売電装置60)へ送信したりする。
【0059】
[電力授受システムの運用概要]
次に、電力授受システム1の運用概要について説明する。
図8は、電力授受システム1の運用概要を示すフローチャートである。
【0060】
図8に示すように、顧客がEV30のバッテリー31を充電装置20に接続し、充電装置20でEV30のバッテリー31に給電を開始する(S1)。
【0061】
次いで、バッテリー31への給電が完了したら、充電装置20に接続されたポイント予約番号発行装置40を通じてポイント予約番号が発行される(S2)。
【0062】
発行されたポイント予約番号は、充電装置20の表示部21に表示されるとともに、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35等に電子メールで送信される(S3)。
【0063】
次いで、給電時と同じEV30が商業施設50で売電する際には、商業施設50の売電装置60に接続されたポイント予約番号入力装置61で、EV30の所有者(顧客)によるポイント予約番号の入力を受け付ける(S4)。
【0064】
そして、売電装置60付近に設置されたカメラ90でEV30のナンバープレートを確認し、運用サーバー100は、入力されたポイント予約番号とEV30のナンバープレートの内容とが照合された場合には、売電を受け付ける(S5)。
【0065】
その後、売電装置60は、例えばポイント予約番号により指定された充電量(売電量)の電力を受け取り、運用サーバー100は、売電量とポイント予約番号に紐づいた情報(電力由来)に基づくポイントを、EV30の所有者(顧客)に付与する(S6)。
【0066】
次いで、付与したポイントは、売電装置60の表示部62に表示されるとともに、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35等に電子メールで送信され(S7)、売電が完了する。ステップS7の処理後、本フローチャートの処理が終了する。
【0067】
[ポイント予約番号発行処理]
次に、図8のステップS2におけるポイント予約番号発行処理について説明する。
図9は、ステップS2におけるポイント予約番号発行処理の手順例を示すフローチャートである。
【0068】
図9に示すように、家庭10の充電装置20がEV30のバッテリー31に給電を開始した後(S11)、充電装置20が、バッテリー31への給電が完了したこと、バッテリー31が満充電状態、又は充電器が取り外されたことを検知する(S12)。
【0069】
次いで、PCS13で判別された電力の発生元の種別(以下「電力種別」とも称する)と、給電によりバッテリー31に充電された充電量の情報を、ポイント予約番号発行装置40が充電装置20から受信する(S13)。本実施形態では、電力種別(電力由来)として、太陽光パネル11と一般商用電力2を想定しているが、この例に限らない。
【0070】
次いで、ポイント予約番号発行装置40において、暗号化処理部424は、予め登録されているEV30の所有者(顧客)の顧客ID、PCS13から受信した電力種別(電力由来)、及び充電量の情報を暗号化する(S14)。次いで、ポイント予約番号発行装置40は、入出力インターフェース440により、ネットワークNを介して、その暗号化データを運用サーバー100に送信する(S15)。
【0071】
次いで、運用サーバー100では、入出力インターフェース640によりポイント予約番号発行装置40から暗号化データを受信すると、充電処理主記憶装置620の復号処理部624でその暗号化データを復号する。そして、ポイント予約番号発行部622は、復号したデータの内容に応じたポイント予約番号を発行する(S16)。
【0072】
次いで、運用サーバー100では、出力処理部625が、発行したポイント予約番号を送信元のポイント予約番号発行装置40を通じて充電装置20に返送するとともに、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35等にそのポイント予約番号を電子メールで送信する(S17)。充電装置20は、返送されたポイント予約番号を受信し、そのポイント予約番号を表示部21に表示する。
【0073】
なお、充電装置20にポイント予約番号を表示することは必須ではない。例えば、旧型の充電装置において、表示部がない場合又はポイント予約番号を表示するように設計されていない場合には、この限りではない。ポイント予約番号を顧客に知らせる方法を、携帯端末35へメール送信する構成に限定することで、本発明に係る電力授受システム1の導入費用が抑えられる。
【0074】
図9では、ステップS17におけるポイント予約番号の表示、及びメール送信の説明は、図8のステップS7の説明と重複している。つまり、ステップS17の処理は、図8のステップS2の処理に相当する。
【0075】
[ポイント付与処理]
次に、図8のステップS6におけるポイント付与処理について説明する。
図10は、ステップS6におけるポイント付与処理の手順例を示すフローチャート(1)である。
図11は、ステップS6におけるポイント付与処理の手順例を示すフローチャート(2)である。
【0076】
図10に示すように、ステップS5の処理後、商業施設50で売電するEV30のナンバープレートの番号を、売電装置60付近に設置されたカメラ90で撮影し(S21)、ローカル端末80で認識する。ローカル端末80は、カメラ90により認識したナンバープレートの番号を、ポイント付与装置70に送信する。
【0077】
次いで、EV30の所有者(顧客)が、売電装置60に接続されたポイント予約番号入力装置61で、携帯端末35に表示された家庭10での給電時に発行されたポイント予約番号を見ながら、ポイント予約番号を入力する。そして、ポイント付与装置70が、ポイント予約番号入力装置61で入力されたポイント予約番号を受け付ける(S22)
【0078】
次いで、ローカル端末80では、暗号化処理部733により、入力されたポイント予約番号を、ローカル端末80を介してカメラ90を用いて認識したナンバープレートの番号とともに暗号化する。そして、ローカル端末80は、入出力インターフェース740により、その暗号化データを運用サーバー100に送信する(S23)。
【0079】
次いで、運用サーバー100では、入出力インターフェース640によりローカル端末80から暗号化データを受信すると、売電処理主記憶装置630の復号処理部637で、その暗号化データを復号する。次いで、売電受付け可否判断部632は、復号したデータ(ナンバープレートの番号、ポイント予約番号)を、充電処理主記憶装置620及び売電処理主記憶装置630で管理する内容(ナンバープレートの番号、ポイント予約番号)と照合し、売電受付けの可否を判断する(S24)。売電受付け可否判断部632は、受信したポイント予約番号、及びナンバープレートの番号が、充電処理主記憶装置620及び売電処理主記憶装置630で管理する内容と一致した場合のみ、売電を許可する。
【0080】
次いで、判断結果が売電受付け可であるかどうかを判定する(S25)。判断結果が売電受付け不可の場合には(S25のNO)、売電受付け可否判断部632は、入出力インターフェース640によりローカル端末80へ売電受付け不可を通知し、売電取引を停止する(S26)。売電装置60の表示部62には、売電受付け不可を示すメッセージが表示される。ステップS26の処理後、本フローチャートの処理を終了する。
【0081】
このように、電力由来情報に売電禁止を示す電力由来が含まれ、売電禁止の電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受け取った場合、運用サーバー100は、EV30のバッテリー31からの電力受け取り不可を示す情報を出力する。運用サーバー100の出力処理部638は、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35に、EV30のバッテリー31からの電力受け取り不可を示す情報を電子メール等で通知する。ローカル端末80の表示部720に、電力受け取り不可を示す情報を表示するようにしてもよい。また、EV30が商用車であるなど、EV30の運転者と所有者が異なる場合があるため、売電装置60の表示部62に電力受け取り不可を示す情報を表示してもよい。そして、売電装置60は、EV30のバッテリー31から受電しない。
【0082】
次いで、判断結果が売電受付け可の場合には(S25のYES)、売電受付け可否判断部632は、入出力インターフェース640によりローカル端末80へ売電受付け可を通知する。そして、売電装置60の表示部62に、売電受付け可を示すメッセージが表示されるとともに、売電装置60は、売電を開始する(S27)。
【0083】
売電装置60による売電が完了したら、ポイント計算部634は、その売電量が給電時に発行されたポイント予約番号に紐づけられた充電量と一致するか否かを判断する(図11のS28)。売電量がポイント予約番号に紐づけられた充電量と一致する場合(S28のYES)には、ポイント計算部634は、ポイント予約番号に紐づけられた充電量と、施設別ポイント付与表1200に応じたポイントを付与する(S29)。
【0084】
ステップS28においてNO判定の場合、ポイント計算部634は、その売電量が給電時に発行されたポイント予約番号に紐づけられた充電量よりも多いか否かを判断する(S30)。売電量がポイント予約番号に紐づけられた充電量よりも多い場合(S30のYES)には、ポイント計算部634は、ポイント予約番号に紐づけられた充電量と、施設別ポイント付与表1200に応じたポイントを付与する。加えて、ポイント計算部634は、紐づけられた充電量よりも多い分に対して、一般商用電力相当のポイントを付与する(S31)。予約された充電量よりも多い分に対するポイントは、ステップS29で付与するポイントよりも少なければよい。これにより、ポイント予約番号が同じであっても、特定の商業施設から購入又は指定された太陽光発電装置で発電された充電量の売電を優遇できる。
【0085】
次いで、そのポイント付与内容を施設別/顧客別/ポイント管理部635で管理する。そして、出力処理部638は、そのポイント付与内容をローカル端末80及びポイント付与装置70を通じて売電装置60に送信するとともに、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35等にそのポイント付与内容を電子メールで送信する(S32)。また、売電装置60は、運用サーバー100から受信したポイント付与内容を表示部62に表示してもよい。ステップS32の処理後、売電作業が終了する。
【0086】
なお、ポイント付与装置70では、ポイント付与後にカードリーダー/ライター71に顧客のポイントカード75が挿入された場合、そのポイントカード75にポイント付与内容のデータを書き込む。
【0087】
一方、ステップS30においてNO判定の場合、ポイント計算部634は、そのときの実際の売電量と、施設別ポイント付与表1200に応じたポイントを付与する(S33)。
【0088】
次いで、ポイント予約番号発行部622は、実際の売電量と、入力されたポイント予約番号に紐づけられた充電量との差とに対応づけて、新たなポイント予約番号を発行する(S34)。そして、ポイント付与内容と、新たに発行されたポイント予約番号を施設別/顧客別/ポイント管理部635で管理する(S35)。
【0089】
そして、出力処理部638は、そのポイント付与内容をローカル端末80及びポイント付与装置70を通じて売電装置60に送信するとともに、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35等にそのポイント付与内容を電子メールで送信する。また、出力処理部638は、新たな管理内容(新規発行のポイント予約番号、残充電量、電力種別等)をローカル端末80及びポイント付与装置70を通じて売電装置60に送信するとともに、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35等にその管理内容を電子メールで送信する(S36)。ステップS36の処理後、売電作業が終了する。
【0090】
[施設別ポイント付与表]
ここで、運用サーバー100の施設別ポイント付与表管理部633で管理される施設別ポイント付与表について説明する。
図12は、施設別ポイント付与表管理部633で管理される施設別ポイント付与表1200の例を示す。
【0091】
施設別ポイント付与表1200では、電力の発生元(電力由来)と付与ポイントとの関係が定義されている。ここでは、付与ポイントを、別途用意した基準値に対する倍率(相対値)で設定しているが、絶対値(ポイント値)で設定してもよい。
【0092】
図12に示すように、ポイント予約番号に紐づけられた充電量の電力の発生元(電力由来)に応じて、付与ポイントが変動する。
例えば、ポイント予約番号に紐づけられた充電量の電力由来が太陽光発電装置であって、その太陽光発電装置(太陽光パネル11、PCS13)が、売電装置60を設置している商業施設50が販売した、又は指定した太陽光発電装置である場合、付与ポイントは基準ポイントの5倍とする。太陽光発電装置の購入先は、充電装置20から出力された、ポイント予約番号に紐づけられているPCS13の認識番号から判別できる。
【0093】
また、ポイント予約番号に紐づけられた充電量の電力由来が太陽光発電装置であって、その太陽光発電装置(太陽光パネル11、PCS13)が、売電装置60を設置している商業施設50が販売した、又は指定した太陽光発電装置以外の太陽光発電装置である場合、付与ポイントは基準ポイントの3倍とする。
【0094】
また、ポイント予約番号に紐づけられた充電量の電力由来が一般商用電力2である場合には、付与ポイントは基準ポイントの1倍とする。さらに、ポイント番号が未登録である場合、又は、売電しようとしているEV30のナンバープレートの番号がポイント予約番号に紐づけられた番号と異なる場合には、売電受付けを拒否する。
【0095】
なお、図12に示す付与ポイントの条件は次のように言い替えることもできる。電力由来が、EV30のバッテリー31から放電される電力の買主が販売した太陽光発電装置、又は指定された太陽光発電装置である場合は、電力の買主が販売した太陽光発電装置、又は指定された太陽光発電装置ではない場合よりも、多くのポイントが付与される。
【0096】
[ポイント管理表]
次に、運用サーバー100の施設別/顧客別/ポイント管理部635で管理されるポイント管理表について説明する。
図13は、施設別/顧客別/ポイント管理部635で管理されるポイント管理表1300の例を示す。
【0097】
図13に示すように、例えばポイント管理表1300は、管理項目として、施設ID、顧客ID、給電された日付、給電したときの電力種別、充電量、発行したポイント予約番号、売電時の入力番号、売電量、付与ポイント、残電量、新たに付与されたポイント予約番号が時系列的に一覧表として管理されている。
【0098】
電力種別の“PV1”が予め定められた商業施設から購入した太陽光発電装置を示す場合、顧客“B1234”のポイント予約番号“AABB”に紐づけられた充電量“30kWh”は、付与ポイントが基準値の5倍である。ポイント予約番号“AABB”に関し、2019/7/1付けの給電で発生した充電量“30kWh”は、2019/7/5付けで入力番号“AABB”が入力されたため売電が受け付けられ、“20kWh”が売電された様子を示している。この“20kWh”の売電の時点で、一般商用電力の場合の5倍のポイント“100”が付与されている。そして、残電量“10kWh”に対し、新たにポイント予約番号“AADD”が発行されている。
【0099】
上述したとおり、本発明の第1の実施形態に係る電力授受システム1は、電気自動車(EV30)の蓄電池(バッテリー31)を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、給電側情報取得装置(ポイント予約番号発行装置40)、ポイント付与装置70、及び運用サーバー100を備える。
上記給電側情報取得装置(ポイント予約番号発行装置40)は、
電気自動車の所有者(顧客)を識別する顧客識別子を記憶する記憶部(主記憶装置420、顧客ID登録部423)と、
充電装置20により電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部422と、
蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部(電力種別受付け部421)と、
顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報を運用サーバーへ送信し、運用サーバーから顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受信する入出力インターフェース440と、を備える。
上記ポイント付与装置70は、
ポイント予約番号の入力を受け付ける入力部(ポイント予約番号入力装置61)と、
入力されたポイント予約番号を運用サーバーへ送信する入出力インターフェース550と、を備える。
上記運用サーバー100は、
給電側情報取得装置から顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報を受信し、給電側情報取得装置及びポイント付与装置との間でポイント予約番号を送受信する入出力インターフェース640と、
給電側情報取得装置から受信した、顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけてポイント予約番号を発行するポイント予約番号発行部622と、
売電装置60により電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部634と、
得られたポイントを、ポイント付与装置から受信したポイント予約番号と紐づいている顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部(施設別/顧客別/ポイント管理部635)と、を備える。
【0100】
本実施形態によれば、EV30のバッテリー31に蓄電された電力の発電元に関する情報を記憶する機能をEV30に備えることなく、EV30を用いて売電が可能となる。
【0101】
従来、太陽光発電などのグリーン発電(再生可能エネルギーや低環境負荷発電)で得た電力を証明できる仕組みがあったとしても、証明された電力を買い取る際にどのように証明結果を利用するかという具体的な技術は開示されていなかった。本実施形態は、商業施設50に来店のインセンティブ向上や、不正な売電を防止するという効果がある。
【0102】
運用サーバー100を備える場合、運用サーバー100を備えない場合と比較して、電力授受システム1の汎用性が高くなる。すなわち、既存の電力授受システムに本発明の電力授受システムを適用する場合、運用サーバー100を備えない場合よりも、ソフトウェア改修で対応できる比率が多くなり、導入コストが抑えられる。
【0103】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、太陽光発電設備(例えば太陽光パネル、PCS)の劣化状態に応じて顧客に太陽光発電設備の更新や保守を促す案内を通知する例である。
【0104】
例えば、太陽光発電装置の劣化状態は、充電装置20から出力された、ポイント予約番号に紐づけられているPCS13の認識番号から判別できる。PCS13の認識番号を商業施設50が持つデータベースと照合することで、顧客のPCS13の製造日や販売日(設置施工日)などがわかる。一例として、製造日又は販売日から現在までの期間が長いほど、劣化度を大きな値に設定する。
【0105】
また、劣化度の計算方法として、次のような方法も考えられる。劣化度の情報として、発電環境の照度と気温を用いる。PCS13のコントローラは、予め定められた照度と気温の下で単位時間に発電できた電力量が製品仕様に定められた電力量を下回った場合に劣化していると判定する。PCS13のコントローラは、製品仕様に定められた電力量に対する実際に発電できた電力量の割合を示してもよい。照度、気温については、PCS13のコントローラが、ネットワークN等を通じて当該地域における気象庁の発表した値を取得してもよい。
【0106】
次に、顧客の太陽光発電設備の更新又は保守を促す情報を通知する処理について説明する。
図14は、顧客の太陽光発電設備の更新又は保守を促す情報を通知する処理の手順例を示すフローチャートである。図6に示した運用サーバー100の売電処理主記憶装置630に、劣化度判定部(図示略)としてのプログラムを設け、この劣化度判定部が顧客の太陽光発電設備の劣化、又は劣化状態を判定する。
【0107】
まず、運用サーバー100の劣化度判定部は、充電装置20によるバッテリー31への給電に使用された太陽光パネル11の劣化度を示す情報(図中「劣化情報」と表記)を取得したか判定する(S41)。上述したように、例えば、給電に際して充電装置20から取得したPCS13の認識番号を、商業施設50が持つ、太陽光発電装置と製造日(販売日)とを登録したデータベースと照合することで、太陽光パネル11やPCS13の製造日、すなわち劣化度を示す情報がわかる。あるいは、劣化度判定部は、劣化度を示す情報として、PCS13から上述した劣化についての判定結果(劣化している、劣化していない)、又は製品仕様に定められた電力量に対する実際に発電できた電力量の割合を示す情報を取得してもよい。
【0108】
ここで、劣化度判定部は、太陽光発電装置の劣化度を示す情報を取得できない場合には(S41のNO)、本フローチャートの処理を終了する。
【0109】
一方、劣化度判定部は、太陽光発電装置の劣化度を示す情報を取得した場合(S41のYES)、劣化度を示す情報から太陽光発電装置が劣化しているかどうかを判定する(S42)。例えば、劣化度判定部は、劣化度を示す値(製品仕様に定められた電力量に対する実際に発電できた電力量の割合、販売日から経過した年月など)が所定の設定値以上であれば、劣化していると判定する。ここで、太陽光発電装置が劣化していない場合には(S42のNO)、本フローチャートの処理を終了する。
【0110】
次いで、太陽光発電装置が劣化している場合には(S42のYES)、出力処理部638は、顧客の太陽光発電設備の更新又は保守を促す情報を、EV30の所有者(顧客)の携帯端末35に電子メールで送信する(S43)。すなわち、運用サーバー100を通じて商業施設50は、劣化した太陽光発電設備に対して顧客に対応を促す。情報の通知は、電子メールや顧客専用のウェブページ、携帯端末35にインストールされた売電管理用アプリケーションの画面などを用いて行ってもよい。充電管理用アプリケーションを通じて通知してもよい。また、売電装置60の表示部62に更新又は保守を促す情報を表示するようにしてもよい。
【0111】
以上のとおり、本実施形態に係る電力授受システム1では(運用サーバー100を設置しない場合にはポイント付与装置70)、ポイント予約番号発行装置40は、太陽光発電装置を個別に認識するための認識番号と太陽光発電装置の劣化度を表す情報を取得して運用サーバー100へ送信する。運用サーバー100は、ポイント予約番号発行装置40から受信した太陽光発電装置の劣化度を表す情報に基づいて、太陽光発電装置が劣化していると判定した場合には、太陽光発電装置の認識番号と紐づけられた携帯端末へ太陽光発電装置が劣化していることを示す情報(更新や保守を促す案内)を送信する。
【0112】
上記構成の第2の実施形態では、売電のために来店したEV30の所有者(顧客)が持つ太陽光発電設備の劣化状態が進んでいる場合、太陽光発電装置が劣化していることを示す情報(更新や保守を促す案内)を顧客に提示する。それにより、顧客に新しい太陽光発電設備の購入や現在稼働している太陽光発電設備のメンテナンスを喚起することができる。
【0113】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、発電単価と付与ポイントを比較して顧客に利益が出るときに顧客が売電できる仕組みを提供する。
【0114】
図15は、本発明の第3の実施形態における期間別の付与ポイントの設定例を示す表を示す表である。例えば、ローカル端末80から顧客の携帯端末35に、図15の期間別ポイント付与表1600をメール送信したり、紙広告を各家庭10に配布したりする。
【0115】
期間別ポイント付与表1600は、期間中ポイント、現金換算値(円/kWh)、発電単価(1)(円/kWh)、発電単価(2)(円/kWh)の項目を有する。発電単価(1)と発電単価(2)は、異なる太陽光パネルの発電単価であり、顧客が自分の太陽光パネルに近い発電単価を選択できるようにする。期間別ポイント付与表1600において、12/31~1/3の期間は、商業施設50へ売電にくる顧客が減少するため、1/4~3/31の期間よりも高いポイントA1(A1>A2)を設定して顧客に売電を促す。
【0116】
顧客は、所有する太陽光パネルの発電単価(円/kWh)と、期間中ポイントと、現金換算値(円/kWh)を比較して、利益ができるタイミングで売電することができる。
【0117】
<第4の実施形態>
第1~第3の実施形態で示した電力授受システム1において、商業施設50に設置したポイント付与装置70とローカル端末80を一体化した上で運用サーバー100の機能を実装してもよい。この場合、電力授受システムは、次のように構成することができる。
【0118】
電気自動車(EV30)の蓄電池(バッテリー31)を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、給電側情報取得装置(ポイント予約番号発行装置40)、及びポイント付与装置(ポイント付与装置70とローカル端末80)を備える。
上記給電側情報取得装置(ポイント予約番号発行装置40)は、
電気自動車の所有者(顧客)を識別する顧客識別子を記憶する記憶部(主記憶装置420、顧客ID登録部423)と、
充電装置20により電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部422と、
蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部(電力種別受付け部421)と、
顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報をポイント付与装置へ送信し、ポイント付与装置から顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけられたポイント予約番号を受信する入出力インターフェース440と、を備える。
上記ポイント付与装置70(ポイント付与装置70とローカル端末80)は、
給電側情報取得装置との間で、顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報の受信と、ポイント予約番号の送信を行う入出力インターフェース550と、
顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報に紐づけてポイント予約番号を発行するポイント予約番号発行部622と、
ポイント予約番号の入力を受け付ける入力部(ポイント予約番号入力装置61)と、
売電装置60により電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部634と、
得られたポイントを、入力部により入力されたポイント予約番号と紐づいている顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部(施設別/顧客別/ポイント管理部635)と、を備える。
【0119】
上記構成の第4の実施形態によれば、第1~第3の実施形態の効果に加えて、次のような効果がある。すなわち、第4の実施形態では、ポイント付与装置70、ローカル端末80及び運用サーバー100の機能を一つの装置に集約されるので、商業施設50内でこれらの機能やデータを一元的に管理、及びメンテナンスすることができる。
【0120】
<第5の実施形態>
第1~第4の実施形態では、EV30に蓄電された電力を放電して売電(売電装置60で受電)するに際して、ポイント予約番号の入力を要求したが、ポイント予約番号に代えて顧客ID(顧客識別子)を利用してもよい。この場合、第5の実施形態は、ポイント付与装置70及び運用サーバー100は、ポイント予約番号ではなく顧客IDを受け付ける機能や、充電量の情報及び電力由来情報等の様々な情報を顧客IDと紐づけて管理又は処理する機能を有する。ポイント予約番号を発行する機能は不要となる。
【0121】
例えば、第4の実施形態において、顧客ID(顧客識別子)の入力を要求する場合、電力授受システムは次のように構成される。
電気自動車(EV30)の蓄電池(バッテリー31)を利用して電力の授受を行う電力授受システムにおいて、給電側情報取得装置(ポイント予約番号発行装置40)、及びポイント付与装置70を備える。
上記給電側情報取得装置(ポイント予約番号発行装置40)は、
電気自動車の所有者(顧客)を識別する顧客識別子を記憶する記憶部(主記憶装置420、顧客ID登録部423)と、
充電装置20により電気自動車の蓄電池に充電された充電量の情報を受け付ける充電量受付け部422と、
蓄電池に充電された電力の発生元を示す電力由来情報を受け付ける電力由来受付け部(電力種別受付け部421)と、
顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報をポイント付与装置へ送信する出力インターフェース(入出力インターフェース440)と、を備える。
上記ポイント付与装置70は、
給電側情報取得装置から、顧客識別子、充電量の情報、及び電力由来情報を受信する入力インターフェース(入出力インターフェース550)と、
顧客識別子の入力を受け付ける入力部(ポイント予約番号入力装置61)と、
売電装置60により電気自動車の蓄電池から放電される放電量と、電力由来情報とに基づいて、付与するポイントを計算するポイント計算部634と、
得られたポイントを、入力部により入力された顧客識別子と紐づけて管理するポイント管理部(施設別/顧客別/ポイント管理部635)と、を備える。
【0122】
上記構成の第4の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、EV30のバッテリー31に蓄電された電力の発電元に関する情報を記憶する機能をEV30に備えることなく、EV30を用いて売電が可能となる。
【0123】
ただし、第1の実施形態のように、充電ごとにポイント予約番号を発行する構成とすることで、バッテリー31内に複数の発電由来の蓄電がされている場合に対応可能である。特に、同じ発電由来の蓄電が複数ある場合に好適である。
【0124】
例えば、顧客が所有するEV30のバッテリー31内に複数の発電由来の蓄電がされている場合、それらの複数の発電由来の蓄電の情報を、充電装置20の表示部21に表示し、顧客が選択できるようにするとよい。ポイント予約番号発行装置40は、選択された発電由来の蓄電の情報を運用サーバー100に送信する。そして、運用サーバー100は、選択された発電由来の電力で蓄電された電力の売電に対してポイントの計算及び管理を実施する。
【0125】
<その他>
また、図3に示す電力授受システム1において、商業施設50の売電装置60がローカル端末80を介してポイント付与装置70と接続しているが、この例に限らない。例えば、ポイント付与装置70が、ローカル端末80を介さずに、ネットワークNに接続して運用サーバー100と通信可能としてもよい。また、売電装置60が、ポイント付与装置70及びローカル端末80と接続し、ポイント付与装置70及びローカル端末80がそれぞれ、ネットワークNに接続して運用サーバー100と通信可能な構成としてもよい。
【0126】
さらに、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0127】
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために電力授受システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0128】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてもよい。
【0129】
また、上述した本開示の第1の実施形態に係る電力授受システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…電力授受システム、 2…商用電力、 10…家庭、 11…太陽光パネル(太陽光発電装置)、 13…PCS、 20…充電装置、 30…電気自動車(EV)、 31…バッテリー、 35…携帯端末、 40…ポイント予約番号発行装置、 50…商業施設、 60…売電装置、 61… ポイント予約番号入力装置、 70…ポイント付与装置、 71…カードリーダー/ライター、 75…ポイントカード、 80…ローカル端末、 90…カメラ、 100…運用サーバー、 421…電力種別受付け部、 422…充電量受付け部、 423…顧客ID登録部、 424…暗号化処理部、 425…出力処理部、 430…表示部、 521…ポイント予約番号受付け部、 522…発行ポイント受付け部、 523…復号処理部、 524…出力処理部、 540…表示部、 621…顧客別/電力由来別/充電量受付け部、 622…ポイント予約番号発行部、 623…顧客ID/ナンバープレート管理部、 624…復号処理部、 625…出力処理部、 631…施設ID/ポイント予約番号/ナンバープレート受付け部、 632…売電受付け可否判断部、 633…施設別ポイント付与表管理部、 634…ポイント計算部、 635…施設別/顧客別/ポイント管理部、 636…施設ID管理部、 637…復号処理部、 638…出力処理部、 720…表示部、 721…顧客情報/ナンバープレート管理内容、 722…顧客別/売電量/ポイント発行量、 723…売電受付け可否判断結果、 731…顧客情報/ナンバープレート登録部、 732…施設別ポイント付与表登録部、 733…暗号化処理部、 1200…施設別ポイント付与表、 1300…ポイント管理表
図1
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図10
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