(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ウインチ制御システム及び車両
(51)【国際特許分類】
B66D 5/30 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B66D5/30 A
(21)【出願番号】P 2020219418
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 公人
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-071800(JP,A)
【文献】特開2018-150167(JP,A)
【文献】特開2008-125532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00- 5/34
A61G 3/00
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引物を牽引可能なベルトと、
前記ベルトが巻回可能なドラムと、
前記ドラムを回転させる電動モータと、
前記ドラムの回転に対する抵抗を付与する抵抗状態と、前記ドラムの回転に対する抵抗を解除することによって手動による前記ベルトの引出を許容する抵抗解除状態と、を切替可能な電磁クラッチと、
を有する電動ウインチと、
前記電動モータ及び前記電磁クラッチを制御することによって、前記ドラムに対する前記ベルトの出し入れを行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電動ウインチの電源が入った状態で前記ベルトの出入操作が行われた場合に、前記電磁クラッチを前記抵抗状態に維持することによって、手動による前記ベルトの引出を許容するベルトフリーモードへの切替を禁止する
ことを特徴とするウインチ制御システム。
【請求項2】
前記電動ウインチは、
前記ドラムに設けられるラッチギヤと、
前記ラッチギヤに歯合することによって前記ベルトの引出を規制する歯合状態と、前記ラッチギヤから離間することによって手動による前記ベルトの引出を許容する歯合解除状態と、を切替可能なアームと、
を備え、
前記制御部は、前記ベルトフリーモードへの切替を禁止する際に、前記アームを前記歯合状態に維持する
ことを特徴とする請求項1に記載のウインチ制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電動ウインチの電源が切れてから次回に電源が入るまでの間、前記ベルトフリーモードへの切替禁止を維持する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウインチ制御システム。
【請求項4】
前記ベルトの引出長を検知する引出長検知部を備え、
前記制御部は、前記電動ウインチの電源が入った状態で前記電動モータによる前記ベルトの巻回が行われており、
前記電動ウインチの電源が入ってから切れるまでの間の当該巻回による、
前記電動ウインチの電源が入った時点の前記ドラムから引き出された状態の前記ベルトの引出長からの当該ベルトの引出長の変化量が所定値未満である場合に、前記ベルトフリーモードへの切替を許可する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のウインチ制御システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のウインチ制御システムと、
車両の開口部を介して、前記電動ウインチによって牽引された前記牽引物としての車椅子が搭載される車両のフロアパネルと、
を備え、
前記フロアパネルにおける前記車椅子の搭載領域は、前記電動ウインチ側から前記開口部側に向かうにつれて上方に傾斜する
ことを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のウインチ制御システムと、
車両の開口部を介して、前記電動ウインチによって牽引された前記牽引物としての車椅子が搭載される車両のフロアパネルと、
を備え、
前記フロアパネルにおける前記車椅子の搭載領域の車両上下方向高さは、前記開口部の下縁部の車両上下方向高さよりも低い
ことを特徴とする記載の車両。
【請求項7】
請求項4に記載のウインチ制御システムと、
車両の開口部を介して、前記電動ウインチによって牽引された前記牽引物としての車椅子が搭載される車両のフロアパネルと、
を備え、
前記フロアパネルには、前記車椅子の搭載位置の目安である目安部が設定されており、
前記所定値は、前記目安部及び前記開口部の距離に基づいて設定されている
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインチ制御システム及び当該ウインチ制御システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車椅子を搭載可能な車両において車椅子の後退や脱落を防止する技術として、車椅子を牽引するためのベルトを手動で引き出すことが可能なベルトフリーモードを実行する際に、ベルトフリースイッチのオン操作に加えてベルトの引き込み状態の検出を必要とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、ベルトフリー動作が実行されるまでに手間がかかってしまい、利用者(操作者)に不快な思いをさせる可能性がある。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、牽引物の引出方向への移動防止と利用者による容易なベルトフリー動作とを実現することが可能なウインチ制御システム及び車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明のウインチ制御システムは、牽引物を牽引可能なベルトと、前記ベルトが巻回可能なドラムと、前記ドラムを回転させる電動モータと、前記ドラムの回転に対する抵抗を付与する抵抗状態と、前記ドラムの回転に対する抵抗を解除することによって手動による前記ベルトの引出を許容する抵抗解除状態と、を切替可能な電磁クラッチと、を有する電動ウインチと、前記電動モータ及び前記電磁クラッチを制御することによって、前記ドラムに対する前記ベルトの出し入れを行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記電動ウインチの電源が入った状態で前記ベルトの出入操作が行われた場合に、前記電磁クラッチを前記抵抗状態に維持することによって、手動による前記ベルトの引出を許容するベルトフリーモードへの切替を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、牽引物の引出方向への移動防止と利用者による容易なベルトフリー動作とを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るウインチ制御システムが適用された車両を模式的に示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るウインチ装置を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図4】操作リモコンの外観を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るウインチ制御システムを模式的に示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るウインチ制御システムが適用された車両の第一の変形例を模式的に示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るウインチ制御システムが適用された車両の第一の変形例を模式的に示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るウインチ制御システムが適用された車両の第二の変形例を模式的に示す側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るウインチ制御システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】ウインチ制御システムの動作例を示すタイミングチャートである。
【
図11】ウインチ制御システムの動作例を示すタイミングチャートである。
【
図12】ウインチ制御システムの動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、前後、上下、左右といった方向を表す表現は、車両の乗員を基準とする。
【0010】
<車両>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両用ウインチ装置20(以下、単に「ウインチ装置20」と称する)が適用された車両1は、車体2の後面に形成された後部開口2aのバックドア(テールゲートともいう)3を開けた状態で、当該後部開口2aから車体2の床面2b上に被搭載物(例えば、被介護者が座った車椅子)Xを搭載することができるように構成されている。本実施形態において、バックドア3は、車体2の後部開口2aの上縁部に対して回動可能に支持されている。車両1には、スロープ10と、左右一対のウインチ装置20(左側のみを図示)と、が設けられている。
【0011】
<スロープ>
スロープ10は、車体2の床面2bと車両1の後方の地面Gとの間に架設可能な金属製の部材である。スロープ10は、床面2bの後端部に対して回動可能に支持されており、車体2の床面2b上に倒れた状態で格納される第一の格納状態(床上格納状態、図示せず)と、車両1内において起立状態で格納される第二の格納状態(起立格納状態、図示せず)と、車両1の後方の地面Gへ架設された展開状態と、をとることができる。スロープ10は、第一の板部11と、第二の板部12と、第三の板部13と、を備える。
【0012】
第一の板部11は、スロープ10の基端部側を構成する板状部材である。第一の板部11の基端部は、車体2の床面2bの後端部に対して回動可能に支持されている。
【0013】
第二の板部12は、スロープ10の中間部を構成する板状部材である。第二の板部12は、第一の板部11に対してスライド可能に取り付けられている。第二の板部12は、第一の格納状態及び第二の格納状態において、第一の板部11と重ねられており、展開状態において、第一の板部11の先端部から延出されている。
【0014】
第三の板部13は、スロープ10の先端部側を構成する板状部材である。第三の板部13は、第二の板部12に対してスライド可能に取り付けられている。第三の板部13は、第一の格納状態及び第二の格納状態において、第一の板部11及び第二の板部12を重ねられており、展開状態において、第二の板部12の先端部から延出されており、地面Gに接地する。
【0015】
<ウインチ装置>
図1に示すように、ウインチ装置20は、車体2に設けられており、被搭載物Xを車両1に乗車及び降車させるためのものである。ウインチ装置20は、被搭載物Xが搭載されるスペースよりも前方の床面2b上(本実施形態では、床面2bと車両1の前席4(運転席又は助手席)の座面部との間)に設置されている。
図2に示すように、ウインチ装置20は、ウインチ本体として、ドラム21と、牽引ベルト22と、係止部材23(
図1参照)と、筐体24と、ガイド25と、を備える。また、ウインチ装置20は、ロータリーエンコーダ26(
図5参照)と、モータ27と、伝達機構28と、第一のブレーキ部30と、第二のブレーキ部40と、を備える。
【0016】
≪ドラム≫
ドラム21は、円柱形状又は円筒形状を呈しており、筐体24内に回動可能に収容されている。ドラム21は、牽引ベルト22が引き出される力によって牽引ベルト22の引出方向に回転し、モータ27の駆動力によって牽引ベルト22の巻取方向に回転する。
【0017】
≪牽引ベルト≫
牽引ベルト22は、ドラム21に巻き取られることによって被搭載物Xを乗車させたり、ドラム21から送り出されることによって被搭載物Xを降車させたりする。牽引ベルト22の基端部は、ドラム21に固定されている。牽引ベルト22の中間部は、ガイド25及び第一のブレーキ部30に当接している。牽引ベルト22の先端部には、係止部材23が取り付けられている。本実施形態において、牽引ベルト22は、ドラム21の上側から引き出されたり巻き取られたりするように、ドラム21に巻回されている。ドラム21から引き出された牽引ベルト22は、先端部に向かうにつれて、その下面がガイド25に当接し、その上面が第一のブレーキ部30に当接するように構成されている。本実施形態では、牽引ベルト22は、第一のブレーキ部30よりも先端部側において、その下面が例えば床面2d上に格納された後席5に当接するように構成されている。
【0018】
≪係止部材≫
図1に示すように、係止部材23は、ウインチ装置20のドラム21から延びて被搭載物Xに係止可能な金属製部材である。本実施形態において、係止部材23は、S字形状を呈するフックである。係止部材23の基端部は、牽引ベルト22の先端部に取り付けられている。係止部材23の先端部は、被搭載物Xに係止される。
【0019】
≪筐体≫
図2に示すように、筐体24は、ドラム21及び当該ドラムに巻回される牽引ベルト22を収容する金属製の箱状部材である。筐体24の後端部には、牽引ベルト22が引き出される開口部24aが形成されている。
【0020】
≪ガイド≫
ガイド25は、牽引ベルト22が当接される部材の一例であって、正面視で横長の棒状を呈しており、筐体24に固定されて当該筐体24の開口部24aに臨むように設けられている。牽引ベルト22が当接し得るガイド25は、円柱形状又は円筒形状を呈している。本実施形態では、牽引ベルト22の下面が、ガイド25の上面に当接している。
【0021】
≪ロータリーエンコーダ≫
ロータリーエンコーダ26(
図5参照)は、ドラム21の回転量を検出し、検出結果を制御部70へ出力する。
【0022】
≪モータ及び伝達機構≫
モータ27は、ドラム21を牽引ベルト22の巻取方向に回転させることによって、牽引ベルト22の弛みをとるためのものである。かかるモータ27は、係止部材23に被搭載物Xが係止された状態で、利用者による被搭載物Xの乗車方向への力無しに、ドラム21を巻取方向に回転させる能力は有していない。本実施形態において、モータ27の回転力は、伝達機構28及び後記するラッチギヤ41を介してドラム21に伝達される。
【0023】
≪第一のブレーキ部≫
第一のブレーキ部30は、牽引ベルト22のドラム21からの引出性を変更する機構である。第一のブレーキ部30は、牽引ベルト22に作用する摩擦抵抗を変更することによって、牽引ベルト22がドラム21から引き出しやすい状態(ベルトフリー状態)と、牽引ベルト22がドラム21から引き出しにくい状態(ブレーキ状態)とを切り替える。第一のブレーキ部30は、筐体24外に設けられており、固定部31と、円筒部32と、摩擦力発生部33と、電磁クラッチ34と、を備える。円筒部32及び摩擦力発生部33は、回転体を構成する。
【0024】
固定部31は、円筒部32、摩擦力発生部33及び電磁クラッチ34を車体2の床面2bに固定するための金属製部材である。
【0025】
円筒部32は、牽引ベルト22と当接する回転体の一例であって、固定部31によって回転可能に支持されている金属製部材である。摩擦力発生部33は、牽引ベルト22が当接する部位であって、例えば、円筒部32の外周面に設けられたゴム製部材である。本実施形態では、牽引ベルト22の上面が、円筒部32(摩擦力発生部33)の下側に当接している。摩擦力発生部33は、摩擦力発生部33が設けられていない(牽引ベルト22が円筒部32に当接している)場合よりも、牽引ベルト22が当該摩擦力発生部33に当接している場合の方が、摩擦力が大きくなるように構成されている。
【0026】
また、第一のブレーキ部30における牽引ベルト22との当接部位は、ガイド25よりも下方(床面2b側)に設けられている。
【0027】
電磁クラッチ34は、円筒部32から離間した状態(ベルトフリー状態)と、円筒部32に当接して円筒部32の回転を規制する状態(ブレーキ状態)と、を切り替える。電磁クラッチ34は、通常状態では、円筒部32に当接しており、制御部70から出力された連結解除信号を取得した場合に、円筒部32から離間する。
【0028】
電磁クラッチ34が円筒部32に当接した状態で、牽引ベルト22が巻き取られたり引き出されたりする場合には、円筒部32は回転しないため、牽引ベルト22と摩擦力発生部33との間には、比較的大きい摩擦抵抗が発生する。電磁クラッチ34が円筒部32から離間した状態で、牽引ベルト22が巻き取られたり引き出されたりする場合には、円筒部32が牽引ベルト22に追従して回転するため、牽引ベルト22と摩擦力発生部33との間には、摩擦抵抗は殆ど発生しない。
【0029】
≪第二のブレーキ部≫
第二のブレーキ部40は、ドラム21の回転性を変更する機構である。第二のブレーキ部40は、ラッチギヤ41と、アーム42と、アーム作動部43と、を備える。
【0030】
ラッチギヤ41は、ドラム21に結合されており、ドラム21と一体的に回転可能に構成されている。また、ラッチギヤ41は、モータ27の出力軸に連結されており、モータ27の回転力をドラム21に伝達する。
【0031】
アーム42は、中間部において筐体24に揺動可能に支持されている。アーム42の一端部は、ラッチギヤ41に歯合可能に構成されており、アーム42の他端部は、アーム作動部43に結合されている。かかるアーム42は、ラッチギヤ41に歯合した状態で、ラッチギヤ41の回転に対する抵抗を発生する。
【0032】
アーム作動部43は、アーム42の他端部を移動可能なソレノイド駆動部材である。アーム作動部43は、通常状態では、アーム42をラッチギヤ41に歯合させており、制御部70から出力された歯合解除信号を取得した場合に、アーム42をラッチギヤ41から離間させる。
【0033】
アーム作動部43は、アーム42をラッチギヤ41から離間させた状態(回転フリー状態)と、アーム42をラッチギヤ41に歯合させてドラム21の回転を規制(本実施形態では、禁止)する状態(ブレーキ状態)と、を切り替える。アーム作動部43は、通常状態では、アーム42をラッチギヤ41に歯合させており、制御部70から出力された歯合解除信号を取得した場合に、アーム42をラッチギヤ41から離間させる。
【0034】
ウインチ装置20は、乗車した被搭載物X(
図1の実線参照)を後方への移動を規制するように車体2の床面2bに固定するためにも用いられる。また、乗車した被搭載物Xは、図示しない固定部材によって、前方への移動を規制するように車体2の床面2bに固定される。すなわち、乗車した被搭載物Xは、ウインチ装置20及び図示しない固定部材によって、前後方向への移動を規制するように車体2の床面2bに固定される。
【0035】
<ウインチ制御システム>
図5に示すように、ウインチ制御システム6は、前記したウインチ装置20(
図1参照)と、操作パネル50と、操作リモコン60と、制御部70と、を備える。
【0036】
≪操作パネル≫
操作パネル50は、車両1に車室内に設けられている。操作パネル50は、主電源ボタン51と、ベルトフリーボタン52と、ブザー53と、これらを制御する制御部54(
図5参照)と、を備える。
【0037】
主電源ボタン51は、操作パネル50及びウインチ装置20の電源をオン/オフさせるためのボタンである。主電源ボタン51は、当該主電源ボタン51の操作状態を表示するインジケータ51aを一体的に有する。
【0038】
ベルトフリーボタン52は、第一のブレーキ部30を作動させるためのボタンである。ベルトフリーボタン52は、当該ベルトフリーボタン52の操作状態を表示するインジケータ52aを一体的に有する。
【0039】
ブザー53は、音声出力を行うためのものである。
【0040】
制御部54は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部54は、各ボタン51,52の操作結果を制御部70へ出力したり、各インジケータ51a,52aに表示させたり、ウインチ制御システム6の状態をブザー53に音声出力させたりする。例えば、制御部54は、ベルトフリーボタン52が押下されると、ベルトフリー信号を制御部70へ出力する。
【0041】
≪操作リモコン≫
操作リモコン60は、利用者が携行可能に構成されている。操作リモコン60は、電源ボタン61と、乗車ボタン62と、降車ボタン63と、制御部64と、を備える。
【0042】
電源ボタン61は、操作リモコン60の電源をオン/オフさせるためのボタンである。
【0043】
乗車ボタン62は、第一のブレーキ部30及び第二のブレーキ部40を作動させるためのボタンである。乗車ボタン62は、被搭載物Xが車両1外から車両1内に乗車する際に押下される。
【0044】
降車ボタン63は、第一のブレーキ部30及び第二のブレーキ部40を作動させるためのボタンである。降車ボタン63は、被搭載物Xが車両1内から車両1外に降車する際に押下される。
【0045】
制御部64は、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されている。制御部64は、各ボタン61~63の操作結果を制御部70へ出力する。例えば、制御部64は、電源ボタン61が押下されると、リモコン電源信号を制御部70へ出力する。また、制御部64は、乗車ボタン62が押下されると、乗車信号を制御部70へ出力する。また、制御部64は、降車ボタン63が押下されると、降車信号を制御部70へ出力する。
【0046】
≪制御部≫
制御部70は、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されている。制御部70は、ロータリーエンコーダ26の検出結果、操作パネル50の操作結果及び操作リモコン60の操作結果を取得し、取得された検出結果及び操作結果に基づいて、モータ27、第一のブレーキ部30及び第二のブレーキ部40を制御する。
【0047】
ここで、制御部70は、ロータリーエンコーダ26の検出結果、及び、予め記憶されたドラム21の半径に基づいて、牽引ベルト22のドラム21から引き出された長さ(引出長)を算出する。すなわち、制御部70は、ロータリーエンコーダ26とともに、牽引ベルト22の引出長を検知する引出長検知部を構成する。
【0048】
制御部70は、操作リモコン60の制御部64から出力された乗車信号を取得した場合に、連結解除信号を第一のブレーキ部30へ出力し、歯合解除信号を第二のブレーキ部40へ出力する。この場合には、第一のブレーキ部30の連結及び第二のブレーキ部40の歯合が解除された状態でモータ27がドラム21を巻取方向に回転させるため、被搭載物Xが乗車方向に移動する際に牽引ベルト22に弛みが発生することを防止することができる。したがって、ウインチ装置20は、利用者による被搭載物Xのスムーズな乗車を好適に支援することができる。
【0049】
また、制御部70は、操作リモコン60の制御部64から出力された降車信号を取得した場合に、連結解除信号の第一のブレーキ部30への出力を中止し、歯合解除信号を第二のブレーキ部40へ出力する。この場合には、第一のブレーキ部30が連結された状態であるため、ウインチ装置20は、被搭載物Xの降車方向への急激な移動を抑制することができる。
【0050】
また、制御部70は、操作リモコン60の制御部64から出力された乗車信号又は降車信号を取得しない場合に、連結解除信号の第一のブレーキ部30への出力を中止し、歯合解除信号の第二のブレーキ部40への出力を中止する。
【0051】
<床面(フロアパネル)に係る第一の変形例>
図6に示すように、本発明の第一の変形例に係る車両1は、いわゆる3列シート構成であり、2列目の中席に対応する位置及び3列目の後席に対応する位置のそれぞれに被搭載物(牽引物)Xを搭載可能である。この場合には、車両1は、2列目の中席に対応する位置に被搭載物(牽引物)Xを搭載するためのウインチ装置20F及びこれを制御する制御部70(
図5参照)と、3列目の後席に対応する位置に被搭載物(牽引物)Xを搭載するためのウインチ装置20R及びこれを制御する制御部70(
図5参照)と、を備える。
【0052】
ウインチ装置20Fは、2列目の被搭載物Xの床面2bにおける搭載領域(固定領域)2b1よりも前方、本変形例では、前席4の下方に設置されている。ウインチ装置20Rは、3列目の被搭載物Xの床面2bにおける搭載領域(固定領域)2b2よりも前方、本変形例では、搭載領域2b1の後端部に設置されている。
【0053】
搭載領域2b1は、前方に行くほど下方に傾斜する(例えば、地面G基準で0.9°)。搭載領域2b2は、前方に行くほど上方に傾斜する(例えば、地面G基準で1.4°)。かかる構成によると、搭載領域2b1に搭載された被搭載物Xが後部開口2a側に移動したり後部開口2aから脱落したりすることを防止することができる。
【0054】
また、搭載領域2b(2b1,2b2)には、それぞれ目安部A(A1,A2)が設定されている。
図7(a)(b)に示すように、目安部Aは、被搭載物Xとしての車椅子を搭載(固定)する位置の目安を表すものである。本実施形態において、目安部Aは、搭載領域2bにおいて、車椅子の車輪が当接する位置を指し示す矢印等である。利用者(介護者)は、被搭載物Xとしての車椅子の車輪の軸に設けられた目印Bを目安部Aに合わせることによって、被搭載物Xを搭載領域2bに対して位置決めすることができる。
【0055】
また、搭載領域2b後端部には、リング等の挿通部110が設けられている。利用者(介護者)は、両端部に係止部材123が取り付けられたベルト121を挿通部110に挿通させた状態で係止部材123を被搭載物Xに係止させる。これにより、ベルト121及び係止部材123は、被搭載物Xを前方への移動を規制するように固定する。
【0056】
<床面(フロアパネル)に係る第二の変形例>
続いて、本発明の第二の変形例に係る車両について、第一の変形例との相違点を中心に説明する。
図8に示すように、本発明の第二の変形例に係る車両1において、搭載領域2b2は、前方に行くほど上方に傾斜する(例えば、地面G基準で0.4°)。また、搭載領域2b2とスロープ10の基端部との間の領域2b3は、前方に行くほど下方に傾斜する(例えば、地面G基準で13.8°)。搭載領域2b2(の少なくとも後端部)の車両上下方向高さは、スロープ10の基端部(後部開口2a側端部)の車両上下方向高さよりも低く設定されている。かかる構成によると、搭載領域2b2に搭載された被搭載物Xが後部開口2a側に移動したり後部開口2aから脱落したりすることを防止することができる。
【0057】
<動作例>
続いて、本発明の実施形態に係るウインチ制御システム6の動作例について、
図9及び
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
図9に示すように、利用者(例えば、被搭載物Xに座った被介護者を介護する介護者)が操作パネル50の主電源ボタン51を押下すると、操作パネル50、モータ27、第一のブレーキ部30の電磁クラッチ34、第二のブレーキ部40のアーム作動部43及び制御部70が起動する。ここで、初期状態として、電磁クラッチ34は、円筒部32と当接した状態(クラッチ連結状態)であり、アーム作動部43は、アーム42をラッチギヤ41に歯合させた状態(ラッチギヤ歯合状態)である。
【0059】
制御部70は、主電源ON以降に牽引ベルト22の出入操作(操作リモコン60の乗車ボタン及び降車ボタン63のいずれかの操作)が行われたか否かをフラグとして設定する。または、制御部70は、前回の主電源ONから主電源OFFまでの間に牽引ベルト22の出入操作(操作リモコン60の乗車ボタン62及び降車ボタン63のいずれかの操作)が行われたか否かを記憶するとともに、今回の主電源ONの後にモータ27による牽引ベルト22の出入操作(操作リモコン60の乗車ボタン62及び降車ボタン63のいずれかの操作)が行われたか否かを記憶している。また、制御部70は、牽引ベルト22の入操作が行われた場合に、モータ27による牽引ベルト22の引出長の変化量(巻取量)を算出して記憶して記憶している。
【0060】
制御部70は、操作パネル50の制御部54から出力されたベルトフリー信号を取得した場合に、今回の主電源ONの後に牽引ベルト22の出入操作が行われたか否かを判定する(ステップS1)。また、今回の主電源ONの後に牽引ベルト22の出入操作が行われていない場合(ステップS1でNo)には、制御部70は、前回の主電源ONから主電源OFFまでの間に牽引ベルト22の出入操作が行われたか否かを判定する(ステップS2)。ステップS1,S2における判定は、前記したフラグによるものであってもよく、制御部70に記憶された出入操作の有無を読み出すことによるものであってもよい。
【0061】
今回の主電源ONの後に牽引ベルト22の出入操作が行われている場合(ステップS1でYes)、又は、前回の主電源ONから主電源OFFまでの間に牽引ベルト22の出入操作が行われている場合(ステップS2でYes)には、制御部70は、牽引ベルト22の巻取量が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、所定値は、牽引ベルト22によって牽引された被搭載物Xの位置が目安部Aと開口部2aとの間となる牽引ベルト22の引出長の変化量に設定されている。
【0062】
前回の主電源ONから主電源OFFまでの間に牽引ベルト22の出入操作が行われている場合(ステップS2でNo)、又は、牽引ベルト22の巻取量が所定値未満である場合(ステップS3でYes)には、制御部70は、連結解除信号を第一のブレーキ部30の電磁クラッチ34へ出力する(ステップS4A)とともに、歯合解除信号を第二のブレーキ部40のアーム作動部43へ出力する(ステップS5A)。ステップS4Aにおいて、電磁クラッチ34は、ドラム21の回転に対する抵抗を解除することによって手動による牽引ベルト22の引出を許容する抵抗解除状態となる。ステップS5Aにおいて、アーム42は、ラッチギヤ41から離間することによって手動による牽引ベルト22の引出を許容する歯合解除状態となる。これにより、ウインチ装置20は、手動による牽引ベルト22の引出を許容するベルトフリーモードとなる(ステップS10A)。
【0063】
一方、牽引ベルト22の巻取量が所定値以上である場合(ステップS3でNo)には、電磁クラッチ34は、ドラム21の回転に対する抵抗を付与する抵抗状態を維持し、アーム42は、ラッチギヤ41に歯合することによって牽引ベルト22の引出を規制する歯合状態を維持する(ステップS5B)。これにより、ウインチ装置20は、手動による牽引ベルト22の引出を許容するベルトフリーモードを禁止する(ステップS6B)。
【0064】
図9のフローチャートでは、制御部70は、ベルトフリー信号を取得した場合にベルトフリーモードを許可するか禁止するかを設定しているが、制御部70は、ベルトフリー信号を取得する前にステップS1~S3を実行し、その結果に基づいてベルトフリーモードを許可したり禁止したりする構成であってもよい。この場合には、ステップS2でNoの場合、又は、ステップS3でYesの場合に、制御部70は、ベルトフリーモード許可状態(待機状態)となる。また、ステップS3でNoの場合に、制御部70は、ベルトフリーモード禁止状態となる。制御部70は、ベルトフリー許可状態でベルトフリー信号を取得した場合には、前記したステップS4A,S5Aを実行し、ベルトフリー禁止状態でベルトフリー信号を取得した場合には、前記したステップS4B,S5Bを実行する。
【0065】
また、
図9のフローチャートにおいて、ステップS1,S2は、どちらが先に実行されてもよい。また、ステップS4A,S5Bは、どちらが先に実行されてもよく、同時に実行されてもよい。また、ステップS4B,S5Bは、どちらが先に実行されてもよく、同時に実行されてもよい。
【0066】
図10に示す例では、主電源(ウインチ装置20の電源)が入った後に操作リモコン60の乗車ボタン62及び降車ボタン63が操作されていないため、制御部70は、ベルトフリー許可状態となってベルトフリー信号を待機する。そして、制御部70は、主電源が入った状態でベルトフリー信号を取得すると、電磁クラッチ34を連結解除状態とするとともにラッチギヤ34を歯合解除状態とすることによってウインチ装置29をベルトフリー状態とし、利用者の手動による牽引ベルト22の引出を許容する。
【0067】
図11に示す例では、主電源(ウインチ装置20の電源)が入った後に操作リモコン60の乗車ボタン62が操作されており、牽引ベルト22が所定値以上巻回されているため、制御部70は、ベルトフリー禁止状態となる。制御部70は、主電源が切れた後にも一定時間起動し続けており、その間ベルトフリー禁止状態を維持する。そして、制御部70は、主電源が切れた状態でベルトフリー信号を取得すると、電磁クラッチ34を連結状態に維持するとともにラッチギヤ34を歯合状態に維持することによって、利用者の手動による牽引ベルト22の引出を禁止する。
なお、牽引ベルト22の巻回量が所定値未満である場合には、制御部70は、ベルトフリー許可状態となってベルトフリー信号を待機する。そして、制御部70は、主電源が切れた状態でベルトフリー信号を取得すると、電磁クラッチ34を連結解除状態とするとともにラッチギヤ34を歯合解除状態とすることによってウインチ装置29をベルトフリー状態とし、利用者の手動による牽引ベルト22の引出を許容する。
【0068】
図12に示す例では、主電源(ウインチ装置20の電源)が入った後に操作リモコン60の降車ボタン63が操作されているため、制御部70は、ベルトフリー禁止状態となる。制御部70は、主電源が切れた後にも一定時間起動し続けており、その間ベルトフリー禁止状態を維持する。そして、制御部70は、主電源が切れた状態でベルトフリー信号を取得すると、電磁クラッチ34を連結状態に維持するとともにラッチギヤ34を歯合状態に維持することによって、利用者の手動による牽引ベルト22の引出を禁止する。
【0069】
本発明の実施形態に係るウインチ制御システム6は、牽引物を牽引可能なベルト(牽引ベルト22)と、前記ベルトが巻回可能なドラム21と、前記ドラム21を回転させる電動モータ(モータ27)と、前記ドラムの回転に対する抵抗を付与する抵抗状態と、前記ドラムの回転に対する抵抗を解除することによって手動による前記ベルトの引出を許容する抵抗解除状態と、を切替可能な電磁クラッチ34と、を有する電動ウインチ(ウインチ装置20)と、前記電動モータ及び前記電磁クラッチ34を制御することによって、前記ドラム21に対する前記ベルトの出し入れを行う制御部70と、を備え、前記制御部70は、前記電動ウインチの電源が入った状態で前記ベルトの出入操作が行われた場合に、前記電磁クラッチ34を前記抵抗状態に維持することによって、手動による前記ベルトの引出を許容するベルトフリーモードへの切替を禁止する。
したがって、ウインチ制御システム6は、電源ON状態で牽引ベルト22の出入操作が行われた場合にベルトフリーモードを禁止するので、利用者が牽引ベルト22に牽引された状態の牽引物を手動で引出方向に移動させようとした場合に、当該引出方向への移動を防止することができる。また、ウインチ制御システム6は、電源ON状態で牽引ベルト22の出入操作が行われていない場合にベルトフリーモードを許可するので、利用者が牽引ベルト22を引き出したい場合、及び、利用者が自身で牽引物を引出方向に移動させたい場合に、手間をかけることなく容易にベルトフリー動作を行わせることができる。
【0070】
前記電動ウインチは、前記ドラム21に設けられるラッチギヤ41と、前記ラッチギヤ41に歯合することによって前記ベルトの引出を規制する歯合状態と、前記ラッチギヤ41から離間することによって手動による前記ベルトの引出を許容する歯合解除状態と、を切替可能なアーム42と、を備え、前記制御部70は、前記ベルトフリーモードへの切替を禁止する際に、前記アーム42を前記歯合状態に維持する。
したがって、ウインチ制御システム6は、ベルトフリーモード禁止状態における牽引物の引出方向への移動をより好適に防止することができる。
【0071】
前記制御部70は、前記電動ウインチの電源が切れてから次回に電源が入るまでの間、前記ベルトフリーモードへの切替禁止を維持する。
したがって、ウインチ制御システム6は、ベルトフリーモード禁止状態を好適に設定することによって、牽引物の引出方向への移動をより好適に防止することができる。
【0072】
前記ウインチ制御システム6は、前記ベルトの引出長を検知する引出長検知部を備え、前記制御部70は、前記電動ウインチの電源が入った状態で前記電動モータによる前記ベルトの巻回が行われており、当該巻回による前記ベルトの引出長の変化量が所定値未満である場合に、前記ベルトフリーモードへの切替を許可する。
したがって、ウインチ制御システム6は、巻回方向への牽引物の移動量が小さい場合にベルトフリーモードを許可するので、利用者により好適にベルトフリー動作を行わせることができる。
【0073】
本発明の実施形態に係る車両1は、前記ウインチ制御システム6と、車両1の開口部(後部開口2a)を介して、前記電動ウインチによって牽引された前記牽引物としての車椅子(被搭載物X)が搭載される車両のフロアパネル(床面2b)と、を備え、前記フロアパネルにおける前記車椅子の搭載領域2b1は、前記電動ウインチ側から前記開口部側に向かうにつれて上方に傾斜する。
したがって、車両1は、搭載領域2b1が開口部(後部開口2a)に向かうにつれて上方に傾斜するので、搭載領域2b1に搭載された被搭載物Xとしての車椅子が不必要に後部開口2a側に移動したり後部開口2aを通過したりすることを防止することができる。
【0074】
本発明の実施形態に係る車両1は、前記ウインチ制御システム6と、車両1の開口部を介して、前記電動ウインチによって牽引された前記牽引物としての車椅子が搭載される車両のフロアパネルと、を備え、前記フロアパネルにおける前記車椅子の搭載領域2b2の車両上下方向高さは、前記開口部の下縁部の車両上下方向高さよりも低い。
したがって、車両1は、搭載領域2b2が開口部(後部開口2a)の下縁部よりも低く設定されているので、搭載領域2b1に搭載された被搭載物Xとしての車椅子が不必要に後部開口2a側に移動したり後部開口2aを通過したりすることを防止することができる。
【0075】
本発明の実施形態に係る車両1は、前記ウインチ制御システム6と、車両1の開口部を介して、前記電動ウインチによって牽引された前記牽引物としての車椅子が搭載される車両のフロアパネルと、を備え、前記フロアパネルには、前記車椅子の搭載位置の目安である目安部Aが設定されており、前記所定値は、前記目安部A及び前記開口部の距離に基づいて設定されている。
したがって、車両は、車両1に搭載された被搭載物Xとしての車椅子がスロープ20及び/又はフロアパネルに乗っている場合にベルトフリーモードを禁止することができるので、かかる状態で利用者が牽引ベルト22に牽引された状態の被搭載物Xを手動で引出方向に移動させようとした場合に、当該引出方向への移動を防止することができる。また、車両1は、巻取量の所定値を長く設定することができるので、例えば、入操作が誤操作である場合等にベルトフリーモードを許可することができ、利用者により好適にベルトフリー動作を行わせることができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、電磁クラッチ34は、通常時(非通電時)に連結解除、通電時に連結という構成であってもよい。同様に、アーム作動部43は、通常時(非通電時)に歯合解除、通電時に歯合という構成であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
6 ウインチ制御システム
20 ウインチ装置(電動ウインチ)
21 ドラム
22 牽引ベルト
26 ロータリーエンコーダ(引出長検知部)
27 モータ(電動モータ)
34 電磁クラッチ
41 ラッチギヤ
42 アーム
43 アーム作動部
50 操作パネル
60 操作リモコン
70 制御部(引出長検知部)