(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電力供給方法及び電力管理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20221117BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/14
(21)【出願番号】P 2020569574
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2020002469
(87)【国際公開番号】W WO2020158592
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2019014433
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩征
(72)【発明者】
【氏名】小野 光夫
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-324850(JP,A)
【文献】特開2017-169418(JP,A)
【文献】特開2015-171269(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018395(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/158794(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1需要家施設に設けられている第1電力管理装置が、検索要求を送信することと、
第2需要家施設に設けられている第2電力管理装置が、前記検索要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を送信することと、
前記第1電力管理装置が、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報に応じて選出した前記第2電力管理装置に対して、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を送信することと、を有する電力供給方法。
【請求項2】
前記第2電力管理装置が、前記デマンドレスポンス要請に応答して、前記第2電力管理装置によって管理されている分散電源及び負荷機器のうち少なくとも一方を、前記第1需要家施設に対して前記指定値の電力量を供給するように制御することと、
前記第1電力管理装置が、前記デマンドレスポンスが完了した際に、前記第2電力管理装置に対して、前記デマンドレスポンスの完了時に応答結果を送信することを要求する結果要求を送信することと、を更に有する、請求項1に記載の電力供給方法。
【請求項3】
前記第2需要家施設の信頼度に関する情報は、少なくとも前記デマンドレスポンス要請に対する達成度及び前記デマンドレスポンス要請に対する平均滞在率のいずれか一方であり、
前記平均滞在率は、要請に応じていた際の電力量が要請量に対して所定範囲内に入っていた時間の割合を示す、請求項1又は2に記載の電力供給方法。
【請求項4】
前記第2電力管理装置が、前記結果要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記デマンドレスポンスの完了時に応答結果を送信する結果応答によって、前記指定値の電力量の供給に係るレポートを送信すること、を更に有する、請求項2に記載の電力供給方法。
【請求項5】
前記検索応答の送信において、前記第2電力管理装置は、前記第1電力管理装置に対して、前記検索応答によって、前記レポートとして送信可能な項目を通知する、請求項4に記載の電力供給方法。
【請求項6】
前記レポートの送信において、前記第2電力管理装置は、前記第1電力管理装置に対して、前記レポートとして、前記第2需要家施設の信頼度を送信する、請求項4又は5に記載の電力供給方法。
【請求項7】
前記第1電力管理装置が、前記第1電力管理装置を管理するサーバ装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を通知することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の電力供給方法。
【請求項8】
第1需要家施設に設けられている第1電力管理装置及び第2需要家施設に設けられている第2電力管理装置を有する電力供給システムにおいて前記第1電力管理装置として機能する電力管理装置であって、
前記第1需要家施設に対して電力量を供給可能な需要家施設を検索するための検索要求を送信し、前記第2電力管理装置が前記検索要求を受信したことに応じて、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を前記第2電力管理装置から受信する検索部と、
前記第2需要家施設の信頼度に関する情報に応じて選出した前記第2電力管理装置に対して、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を送信するデマンドレスポンス処理部と、を有する、電力管理装置。
【請求項9】
第1需要家施設に設けられている第1電力管理装置及び第2需要家施設に設けられている第2電力管理装置を有する電力供給システムにおいて前記第2電力管理装置として機能する電力管理装置であって、
前記第1電力管理装置から受信した検索要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を送信する応答部と、
前記第1電力管理装置から、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を受信するデマンドレスポンス処理部と、を有する、電力管理装置。
【請求項10】
少なくとも機能の一部が第1需要家施設
と、インターネット上に設けられるクラウドサーバとに設けられている、前記第1需要家施設の電力を管理する第1電力管理装置が、検索要求を送信することと、
少なくとも機能の一部が第2需要家施設
と、インターネット上に設けられるクラウドサーバとに設けられている、前記第2需要家施設の電力を管理する第2電力管理装置が、前記検索要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を送信することと、
前記第1電力管理装置が、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報に応じて選出した前記第2電力管理装置に対して、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を送信することと、を有する電力供給方法。
【請求項11】
少なくとも機能の一部が第1需要家施設
と、インターネット上に設けられるクラウドサーバとに設けられている、前記第1需要家施設の電力を管理する第1電力管理装置、及び少なくとも機能の一部が第2需要家施設
と、インターネット上に設けられるクラウドサーバとに設けられている、前記第2需要家施設の電力を管理する第2電力管理装置を有する電力供給システムにおいて前記第1電力管理装置として機能する電力管理装置であって、
前記第1需要家施設に対して電力量を供給可能な需要家施設を検索するための検索要求を送信し、前記第2電力管理装置が前記検索要求を受信したことに応じて、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を前記第2電力管理装置から受信する検索部と、
前記第2需要家施設の信頼度に関する情報に応じて選出した前記第2電力管理装置に対して、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を送信するデマンドレスポンス処理部と、を有する、電力管理装置。
【請求項12】
少なくとも機能の一部が第1需要家施設
と、インターネット上に設けられるクラウドサーバとに設けられている、前記第1需要家施設の電力を管理する第1電力管理装置、及び少なくとも機能の一部が第2需要家施設
と、インターネット上に設けられるクラウドサーバとに設けられている、前記第2需要家施設の電力を管理する第2電力管理装置を有する電力供給システムにおいて前記第2電力管理装置として機能する電力管理装置であって、
前記第1電力管理装置から受信した検索要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を送信する応答部と、
前記第1電力管理装置から、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を受信するデマンドレスポンス処理部と、を有する、電力管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給方法及び電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VPP(Virtual Power Plant)においては、デマンドレスポンス(DR:Demand Response)の技術を応用して、応答側需要家から要請側需要家に対して所望の電力量を供給する実証が行われている。
【0003】
具体的には、かかる実証におけるVPPは、各施設の蓄電装置や電力管理装置(EMS:Energy Management System)を組み合わせて実現されており、また、インターネット環境を使用して各電力管理装置とサーバ装置との間で通信を行うシステム構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の特徴は、電力供給方法であって、第1需要家施設に設けられている第1電力管理装置が、検索要求を送信し、第2需要家施設に設けられている第2電力管理装置が、前記検索要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を送信する。さらに、前記第1電力管理装置は、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答に応じて選出した前記第2電力管理装置に対して、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を送信する。
【0006】
本開示の第2の特徴は、第1需要家施設に設けられている第1電力管理装置及び第2需要家施設に設けられている第2電力管理装置を有する電力供給システムにおいて前記第1電力管理装置として機能する電力管理装置である。前記電力管理装置は、検索部と、デマンドレスポンス処理部と、レポート取得部と、を有する。前記検索部は、前記第1需要家施設に対して電力量を供給可能な需要家施設を検索するための検索要求を送信する。前記検索部は、前記第2電力管理装置が前記検索要求を受信したことに応じて、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を前記第2電力管理装置から受信する。前記デマンドレスポンス処理部は、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報に応じて選出した前記第2電力管理装置に対して、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を送信する。
【0007】
本開示の第3の特徴は、第1需要家施設に設けられている第1電力管理装置及び第2需要家施設に設けられている第2電力管理装置を有する電力供給システムにおいて前記第2電力管理装置として機能する電力管理装置である。前記電力管理装置は、応答部と、デマンドレスポンス処理部と、レポート送信部と、を有する。前記応答部は、前記第1電力管理装置から受信した検索要求に応じて、前記第1電力管理装置に対して、前記第2需要家施設の信頼度に関する情報を含む検索応答を送信する。前記デマンドレスポンス処理部は、前記第1電力管理装置から、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するためのデマンドレスポンス要請を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、従来技術を説明するための図である。
【
図2】
図2は、従来技術を説明するための図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る電力供給システム1の全体構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る電力管理装置102Aの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る電力管理装置102Bの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る電力供給方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び
図2に、かかるVPPにおけるシーケンスの一例を示す。
【0010】
従来の応答側需要家から要請側需要家に対して所望の電力量を供給するVPPでは、応答側需要家のEMSから要請側需要家のEMSに対して送信されるレポートに起因して通信量及び要請側需要家のEMSにおける処理量が増加してしまうという問題点があった。
【0011】
具体的には、
図1示すパターン1のシーケンスでは、要請中レポート及び定期レポートによって、上述の通信量及び処理量が増加してしまうという問題点があった。ここで、
図1に示すパターン1のシーケンスでは、要請中レポート及び定期レポートによって、デマンドレスポンスの要請による電力量のうち、今回どれだけ要請するか或いは今回どれだけ電力量を送ったか等について逐次報告している。
【0012】
同様に、
図2示すパターン2のシーケンスでは、定期レポートによって、上述の通信量及び処理量が増加してしまうという問題点があった。ここで、
図2に示すパターン2のシーケンスにおいても、定期レポートによって、デマンドレスポンスの要請による電力量のうち、今回どれだけ要請するか或いは今回どれだけ電力量を送ったか等について逐次報告している。また、
図2に示すパターン2のシーケンスでは、完了時レポートによって、デマンドレスポンスが完了する旨を報告している。
【0013】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、応答側需要家から要請側需要家に対して所望の電力量を供給する場合に、応答側需要家のEMSから要請側需要家のEMSに対して送信されるレポートに起因する通信量の増加及び要請側需要家のEMSにおける処理量の増加を低減することができる。
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る電力供給システムについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0015】
(第1実施形態)
以下、
図2~
図6を参照して、本開示の第1実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係る電力供給システム1の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、電力供給システム1は、複数の施設100A/100Bと、サーバ装置300とを有する。各施設100A/100B及びサーバ装置300は、ネットワーク200に接続されている。ネットワーク200は、インターネットを含んでもよいし、VPN(Virtual Private Network)等の専用回線を含んでもよい。
【0016】
図3では、複数の施設100として、施設100A/100Bが例示されている。1つの施設100は、1つの需要家施設(以下、単に「需要家」と呼ぶ)に対応する。各施設100A/100Bは、電力系統110に接続される。
【0017】
電力系統110から施設100への電力の流れは「潮流」と称され、施設100から電力系統110への電力の流れは「逆潮流」と称される。電力系統110は、電力会社から切り離された地域内の需要家間で電力融通する場合における需要家外の送電網であってもよい。
【0018】
施設100Aは、分散電源101Aと、EMS102Aと、負荷機器103Aとを有し、施設100Bは、分散電源101Bと、EMS102Bと、負荷機器103Bとを有する。
【0019】
分散電源101A/101Bは、燃料を用いて発電を行う燃料電池装置であってもよい。燃料電池装置は、燃料を用いて発電を行う装置である。例えば、燃料電池装置は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、及び/又は溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。また、分散電源101A/101Bは、太陽光、風力、水力、又は地熱等の自然エネルギーを用いて発電を行う発電装置であってもよい。また、分散電源101A/101Bは、電力の充電及び電力の放電を行う蓄電装置であってもよい。
【0020】
蓄電装置は、EMS102A/102Bの制御下で充電及び放電を行う装置である。例えば、蓄電装置は、リチウムイオン蓄電装置、鉛蓄電装置又はニッケル・水素蓄電装置等である。
【0021】
なお、蓄電装置が放電する電力は、施設100A/100B内の負荷機器103A/103Bに供給されてもよいし、電力系統110に供給されてもよい。また、本実施形態において、発電装置によって発電された電力を売電し、施設100A/100B内の負荷機器103A/103Bを蓄電装置の放電により賄う「押し上げモード」にて運用されてもよい。蓄電装置は、例えば、電力系統110によって供給される電力或いは発電装置の余剰電力を充電することができる。
【0022】
EMS102A/102Bは、施設100A/100Bの電力を管理する電力管理装置である。EMS102A/102Bは、分散電源101A/101B及び負荷機器103A/103Bの動作状態を制御してもよい。具体的には、EMS102A/102Bは、蓄電装置の充電又は放電を制御してよい。EMS102A/102Bは、VEN(Virtual End Node)の一例である。
【0023】
負荷機器103A/103Bは、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器103A/103Bは、空調機器、照明機器、又はAV(Audio Visual)機器等である。
【0024】
サーバ装置300は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者、リソースアグリゲータ等の電力事業者によって管理されるサーバ装置である。リソースアグリゲータは、VPPにおいて発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などに逆潮流の電力を提供する電力事業者である。本実施形態において、サーバ装置300は、逆潮流の電力の買取エンティティの一例である。本実施形態では、サーバ装置300は、施設100A/100Bを管理するように構成されている。
【0025】
以下、
図4を参照して、電力供給システム1においてEMS102A(第1電力管理装置)として機能するEMSの構成の一例について説明する。また、
図5を参照して、電力供給システム1においてEMS102B(第2電力管理装置)として機能するEMSの構成の一例について説明する。なお、本実施形態に係るEMSは、EMS102Aの構成及びEMS102Bの構成の両方を有していてもよい。
【0026】
図4に示すように、EMS102Aは、通信部111と、データベース112と、検索部113と、DR処理部114と、レポート取得部115と、通知部116とを有している。ここで、検索部113、DR処理部114、レポート取得部115及び通知部116の一部又は全部は、EMS102Aの制御部(図示せず)に含まれていてもよい。
【0027】
通信部111は、通信モジュールによって構成されており、施設100Aの分散電源101A、負荷機器103A及びサーバ装置300と通信を行う。通信部111は、サーバ装置300との間で、第1通信プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信プロトコルとしては、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコル、或いは、独自の専用通信プロトコルを用いることができる。一方、通信部111は、分散電源101A及び負荷機器103Aとの間で、第2通信プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信プロトコルは、ECHONET Lite(登録商標。以下同じ)に準拠する通信プロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用通信プロトコルを用いることができる。
【0028】
データベース112は、不揮発性メモリ又は/及びHDD等の記憶媒体によって構成されており、施設100Aに関するデータを記憶する。
【0029】
検索部113は、通信部111を介して、ネットワーク200に対して検索要求を送信するように構成されている。ここで、検索要求は、EMS102Aに対して電力量を供給可能な他の需要家を検索するための信号である。かかる検索要求には、施設100Aにおいて必要な電力量を示す情報が含まれている。かかる検索要求は、例えば、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコルで規定されている信号であってもよい。
【0030】
また、検索部113は、他の施設100のEMS、本実施形態では、EMS102Bから、検索要求に対応する検索応答を受信するように構成されている。かかる検索応答には、EMS102Bにおいて施設100Aの需要家に対して供給可能な電力量を示す情報が含まれている。かかる検索応答は、例えば、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコルで規定されている信号であってもよい。
【0031】
なお、検索部113は、上述の検索要求を送信してから所定期間が経過した後に、通信部111を介して、ネットワーク200に対して、かかる検索応答の受付を締め切る旨を通知する信号を送信するように構成されていてもよい。
【0032】
また、上述の検索要求には、上述の検索応答を受け付ける期間を示す情報が含まれていてもよい。更に、上述の検索要求には、施設100Aの需要家において必要な電力の希望単価、及び/又は施設100A(或いは、施設100Aの需要家)の信頼度に関する情報が含まれていてもよい。
【0033】
同様に、上述の検索応答は、施設100Aの需要家に対して供給可能な電力の希望単価、及び/又は施設100B(或いは、施設100Bの需要家)の信頼度に関する情報が含まれていてもよい。
【0034】
また、検索部113は、かかる検索応答によって、後述するレポートとして送信可能な項目を通知されるように構成されていてもよい。
【0035】
DR処理部114は、通信部111を介して、EMS102Bに対してデマンドレスポンス要請を送信するように構成されている。ここで、デマンドレスポンス要請は、デマンドレスポンスによって指定値の電力量の供給を要請するための信号である。かかるデマンドレスポンス要請は、例えば、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコルで規定されている信号であってもよい。
【0036】
また、DR処理部114は、複数の需要家の中から、所定方法で、デマンドレスポンス要請の対象の需要家を選出するように構成されていてもよい。
【0037】
例えば、DR処理部114は、各需要家の信頼度に関する情報を用いて、デマンドレスポンス要請の対象の需要家を選出するように構成されていてもよい。DR処理部114は、サーバ装置300から、かかる信頼度に関する情報について取得するように構成されていてもよい。
【0038】
レポート取得部115は、デマンドレスポンスが完了した際に、通信部111を介して、EMS102Bに対して、応答結果を送信することを要求する結果要求を送信するように構成されている。かかる結果要求は、例えば、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコルで規定されている信号であってもよい。
【0039】
また、レポート取得部115は、通信部111を介して、EMS102Bから、応答結果を送信する結果応答によって、上述の指定値の電力量の供給に係るレポートを受信するように構成されている。かかる結果応答は、例えば、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコルで規定されている信号であってもよい。
【0040】
なお、レポート取得部115は、検索応答によって通知されたレポートとして送信可能な項目に基づいて、結果要求の内容を決定するように構成されていてもよい。
【0041】
通知部116は、通信部111を介して、サーバ装置300に対して、所定情報を通知するように構成されている。かかる所定情報は、上述のデマンドレスポンス要請に対するEMS102B(施設100B或いは施設100Bの需要家)の実績及び/又は評価を示す情報である。
【0042】
例えば、通知部116は、かかる所定情報として、少なくともデマンドレスポンス要請に対する達成率(要請期間中に、要請された電力量を100%とした場合に対して達成した電力量の度合い(例えば、%))及びデマンドレスポンス要請に対する平均滞在率のいずれか一方を通知するように構成されている。ここで、「滞在率」は、要請に応じていた際の電力量が、要請量に対しある範囲(例えば、±20%や10%)に入っていた時間の単位時間当たりの割合である。「平均滞在率」は、デマンドレスポンスが要請されている時間の範囲で滞在率を平均したものである。
【0043】
ここで、サーバ装置300は、かかる所定情報に基づいて、上述の各需要家の信頼度に関する情報を算出するように構成されていてもよい。
【0044】
また、レポート取得部115は、かかるレポート(結果応答)の内容について信用できないと判断した場合には、
図2に示すパターン2のシーケンスを実施することで、施設100B(或いは、施設100Bの需要家)の評価を実施するように構成されていてもよい。かかる評価の結果及びレポートの内容が異なる場合、通知部116は、かかる評価の結果及びレポートの内容について、サーバ装置300に通知するように構成されていてもよい。かかる構成によれば、サーバ装置300において、施設100B(或いは、施設100Bの需要家)の評価を修正することができる。
【0045】
図5に示すように、EMS102Bは、通信部121と、データベース122と、応答部123と、DR処理部124と、レポート送信部125とを有している。ここで、
通信部121、応答部123、DR処理部124及びレポート送信部125の一部又は全部は、EMS102Aの制御部(図示せず)に含まれていてもよい。
【0046】
通信部121は、通信モジュールによって構成されており、施設100Bの分散電源101B、負荷機器103B及びサーバ装置300と通信を行う。通信部121は、サーバ装置300との間で、第1通信プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信プロトコルとしては、Open ADR 2.0に準拠する通信プロトコル、或いは、独自の専用通信プロトコルを用いることができる。一方、通信部121は、分散電源101B及び負荷機器103Bとの間で、第2通信プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信プロトコルは、ECHONET Liteに準拠する通信プロトコル、SEP2.0、KNX、或いは、独自の専用通信プロトコルを用いることができる。
【0047】
データベース122は、不揮発性メモリ又は/及びHDD等の記憶媒体によって構成されており、施設100Bに関するデータを記憶する。
【0048】
応答部123は、通信部121を介して、EMS102Aから検索要求を受信するように構成されている。
【0049】
また、応答部123は、EMS102Aから受信した検索要求に応じて、通信部121を介して、EMS102Aに対して検索応答を送信するように構成されている。
【0050】
ここで、応答部123は、通信部121を介して、EMS102Aに対して、かかる検索応答によって、後述するレポートとして送信可能な項目を通知するように構成されていてもよい。
【0051】
例えば、応答部123は、かかる項目として、EMS102Bにおけるデマンドレスポンス要請に対する達成率(要請期間中に、要請された電力量を100%とした場合に対して達成した電力量の度合い(例えば、%))、EMS102Bにおけるデマンドレスポンス要請に対する最大達成率(要請期間内、単位時間ごとの達成率(例えば、%)のうち最大の値)、EMS102Bにおけるデマンドレスポンス要請に対する最低達成率(要請期間内、単位時間ごとの達成率(例えば、%)のうち最小の値)、デマンドレスポンス要請に対する平均滞在率、及び/又はデマンドレスポンス要請に対する応答時の最大電力誤差(例えば、1分単位)等を通知するように構成されていてもよい。ここで、「滞在率」は、要請に応じていた際の電力量が、要請量に対しある範囲(例えば、±20%や10%)に入っていた時間の単位時間当たりの割合である。「平均滞在率」は、デマンドレスポンスが要請されている時間の範囲で滞在率を平均したものである。
【0052】
ここで、各需要家の信頼度に関する情報は、少なくともデマンドレスポンス要請に対する達成度及びデマンドレスポンス要請に対する平均滞在率のいずれか一方であってもよい。
【0053】
なお、EMS102Bが、EMS102Aからのデマンドレスポンス要請に対して応答した場合には、供給した電力量に対する対価として金銭の支払いが発生する。従って、上述の構成によれば、各項目の内容に応じてデマンドレスポンス要請に対する達成具合を把握することができ、必要に応じて対価を減額することも可能になる。
【0054】
DR処理部124は、通信部121を介して、EMS102Aから、デマンドレスポンス要請を受信するように構成されている。
【0055】
また、DR処理部124は、EMS102Aから受信したデマンドレスポンス要請に応答して、EMS102Aに対してデマンドレスポンス要請によって要請された指定値の電力量を供給するように、EMS102Bによって管理されている分散電源101B又は負荷機器103Bを制御するように構成されている。
【0056】
レポート送信部125は、デマンドレスポンスが完了した際に、通信部121を介して、EMS102Aから結果要求を受信するように構成されている。
【0057】
また、レポート送信部125は、EMS102Aから受信した結果要求に応じて、通信部121を介して、EMS102Aに対して、結果応答によって、上述の指定値の電力量の供給に係るレポートを送信するように構成されている。
【0058】
更に、レポート送信部125は、検索応答によってEMS102Aに通知したレポートとして送信可能な項目及び結果要求に基づいて、かかるレポートの内容について決定するように構成されていてもよい。
【0059】
なお、上述のデマンドレスポンス要請に対する対価に係る情報は、別プロトコルによって、サーバ装置300とEMS102A/102Bとの間で送受信されるように構成されていてもよい。
【0060】
以下、
図6を参照して、本実施形態に係る電力供給方法の一例について説明する。
【0061】
図6に示すように、ステップS101において、EMS102Aは、検索要求を送信し、ステップS102において、かかる検索要求を受信したEMS102Bは、EMS102Aに対して、かかる検索要求に対応する検索応答を送信する。
【0062】
ステップS103において、EMS102Aは、検索応答を受信したEMSの中から、EMS102Bを選出し、EMS102Bに対して、デマンドレスポンス要請を送信する。
【0063】
ステップS104において、EMS102Bは、EMS102Aに対してデマンドレスポンス要請によって要請された指定値の電力量を供給するように、EMS102Bによって管理されている分散電源101B又は負荷機器103Bを制御する。
【0064】
ステップS105において、EMS102Aは、デマンドレスポンスが完了した際に、EMS102Bに対して、結果要求を送信する。
【0065】
ステップS106において、EMS102Bは、かかる結果要求に応じて、EMS102Aに対して、結果応答によって、上述の指定値の電力量の供給に係るレポートを送信する。
【0066】
本実施形態によれば、応答側需要家(施設100B)から要請側需要家(施設100A)に対して所望の電力量を供給する場合における通信量及びEMSにおける処理量の増加を低減することができる。なお、上述のように、本明細書において「応答」という用語が使われているが、「応答して動作すること」から、かかる「応答」という用語の代わりに「応動」という用語を用いてもよい。
【0067】
本開示は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0068】
実施形態では、サーバ装置300が複数の施設100を管理するケースについて例示した。しかしながら、サーバ装置300が1つの施設100を管理してもよい。このようなケースにおいて、サーバ装置300は、EMS102であってもよい。
【0069】
実施形態では特に触れていないが、施設100に設けられるEMS102は、必ずしも施設100内に設けられていなくてもよい。例えば、EMS102の機能の一部は、インターネット上に設けられるクラウドサーバによって提供されてもよい。すなわち、EMS102がクラウドサーバを含むと考えてもよい。
【0070】
実施形態では、第1通信プロトコルがOpen ADR2.0に準拠するプロトコルであり、第2通信プロトコルがECHONET Lite、SEP2.0、或いはKNXに準拠するプロトコルであるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1通信プロトコルは、サーバ装置300とEMS102との間の通信で用いるプロトコルとして規格化されたプロトコルであればよい。第2通信プロトコルは、施設100で用いるプロトコルとして規格化されたプロトコルであればよい。
【0071】
本願は、日本国特許出願第2019-014433号(2019年1月30日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。