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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20221117BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/00 711
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020571943
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2019004863
(87)【国際公開番号】W WO2020165947
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 秀俊
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052147(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/119162(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/128001(WO,A1)
【文献】特開2007-130309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、
前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、
前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、
を具備し、
前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、
前記可変固定機構は、
前記湾曲操作機構或いは前記操作部の何れか一方に設けられ、前記中心軸上に中心を有する円弧状の長孔と、
前記湾曲操作機構或いは前記操作部の何れか他方に設けられ、前記長孔に係合する係合ピンと、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記湾曲操作機構から突出する外向フランジと、
前記操作部に形成され、前記外向フランジを摺動可能に支持する収容部と、
を具備し、
前記湾曲操作機構が前記操作部に対して移動可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記操作部及び前記湾曲操作機構には、前記湾曲操作機構のニュートラル位置を示す指標が表示されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記外向フランジには環状の溝が設けられ、前記溝にシール部材が保持されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記係合ピンはボルトであることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記収容部にはねじ穴が形成され、前記ねじ穴に前記ボルトが螺合されることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、
前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、
前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、
を具備し、
前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、
前記可変固定機構は、
環状の押圧部材と前記操作部との間に前記湾曲操作機構を挟み込む構成を有し、
前記湾曲操作機構と前記操作部との間に、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して所定の角度ステップで回動可能なクリックストップ機構を有することを特徴とする内視鏡。
【請求項8】
被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、
前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、
前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、
を具備し、
前記可変固定機構は、
中立位置にあるときの前記レバーの中心軸に対する垂直方向に前記湾曲操作機構をスライドさせることにより、前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、
環状の押圧部材と前記操作部との間に前記湾曲操作機構を挟み込む構成を有し、
前記押圧部材の外周には雄ねじが形成され、
前記操作部には前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、前記押圧部材は前記操作部に螺合されることを特徴とする内視鏡。
【請求項9】
被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、
前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、
前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、
を具備し、
前記可変固定機構は、
中立位置にあるときの前記レバーの中心軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより、且つ前記中立位置にあるときの前記レバーの前記中心軸に対する垂直方向に前記湾曲操作機構をスライドさせることにより、前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、
前記可変固定機構は、環状の押圧部材と前記操作部との間に前記湾曲操作機構を挟み込む構成を有し、
前記押圧部材の外周には雄ねじが形成され、
前記操作部には前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、前記押圧部材は前記操作部に螺合されることを特徴とする内視鏡。
【請求項10】
被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、
前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、
前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、
を具備し、
前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸に交わる回動軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより、前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であることを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイスティック型の湾曲レバーへの傾動操作に連動して湾曲部が湾曲動作する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体の体内、構造物の内部など、観察が困難な被検体の内部の箇所を観察するために、被検体内に挿入可能な内視鏡が、例えば、医療分野または工業分野において広く利用されている。
【0003】
このような内視鏡の挿入部には、被検体内の挿入性及び観察性等を向上させるための湾曲部が設けられている。この湾曲部は、操作部に設けられた湾曲操作機構により湾曲操作される。
【0004】
この種の湾曲操作機構としては、操作部の側部に重畳配置された上下湾曲用の操作ノブと左右湾曲用の操作ノブとを操作入力部として備えた構成が知られている。
【0005】
また、湾曲操作に大きな操作力を必要としない細径の湾曲部を備えた内視鏡に特に好適な湾曲操作機構として、例えば、国際公開番号WO2016/203818号公報には、任意の方向に傾倒することが可能なジョイスティック型の湾曲レバーを操作入力部として備えた構成が開示されている。
【0006】
このようなジョイスティック型の湾曲レバーは、操作部を把持した手の親指等によって、全ての方向に湾曲レバーの傾動操作を行うことができるため、操作ノブに比べ、簡単な湾曲操作によって上下方向及び左右方向への湾曲操作を行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、ジョイスティック型の湾曲レバーは、上下方向及び左右方向のみならず、これらの方向を合成した任意の方向に対しても傾動可能であるため、例えば、内視鏡画像上の上方向のような特定の方向に湾曲部を湾曲操作する際に、使用者の意思に合致した湾曲動作を実現することが困難となる場合がある。
【0008】
すなわち、湾曲レバーを操作する親指は使用者等によって長さが異なり、また、操作部を把持した使用者等の親指は根元の関節を支点として円弧状に動作する。従って、特定の方向(例えば、内視鏡画像上の上方向)に湾曲部を湾曲させるべく操作レバーを操作した際に、他の方向への傾動(例えば、右方向或いは左方向への傾動)が僅かに加わり、特定の方向からやや外れた方向(例えば、上方向よりもやや右寄り或いは左寄り)に湾曲部を湾曲させてしまう場合がある。このような場合、後から湾曲方向の微調整を行わなければならなくなり、使用時間が長引き、使用者の疲労等を招く虞がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ジョイスティック型の湾曲レバーに対する特定方向への湾曲操作を正確に行うことができる内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による内視鏡は、被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、を具備し、前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、前記可変固定機構は、前記湾曲操作機構或いは前記操作部の何れか一方に設けられ、前記中心軸上に中心を有する円弧状の長孔と、前記湾曲操作機構或いは前記操作部の何れか他方に設けられ、前記長孔に係合する係合ピンと、を具備する。
また、本発明の他態様による内視鏡は、被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、を具備し、前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、前記可変固定機構は、環状の押圧部材と前記操作部との間に前記湾曲操作機構を挟み込む構成を有し、前記湾曲操作機構と前記操作部との間に、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して所定の角度ステップで回動可能なクリックストップ機構を有する。
さらに、本発明の他態様による内視鏡は、被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、を具備し、前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸に対する垂直方向に前記湾曲操作機構をスライドさせることにより、前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、環状の押圧部材と前記操作部との間に前記湾曲操作機構を挟み込む構成を有し、前記押圧部材の外周には雄ねじが形成され、前記操作部には前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、前記押圧部材は前記操作部に螺合される。
さらにまた、本発明の他態様による内視鏡は、被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、を具備し、前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより、且つ前記中立位置にあるときの前記レバーの前記中心軸に対する垂直方向に前記湾曲操作機構をスライドさせることにより、前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能であり、前記可変固定機構は、環状の押圧部材と前記操作部との間に前記湾曲操作機構を挟み込む構成を有し、前記押圧部材の外周には雄ねじが形成され、前記操作部には前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、前記押圧部材は前記操作部に螺合される。
また、本発明の他態様による内視鏡は、被検体に挿入される挿入部に設けた湾曲部を上下左右方向を含む全方向に湾曲させるために、前記上下左右方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つのレバーを有する湾曲操作機構と、前記挿入部の基端側に設けられるとともに前記湾曲操作機構が配設され、操作者が把持する把持部が設けられた操作部と、前記湾曲操作機構と前記操作部との間に構成され、前記湾曲操作機構を前記操作部に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構と、を具備し、前記可変固定機構は、中立位置にあるときの前記レバーの中心軸に交わる回動軸の周りに前記湾曲操作機構を回動させることにより、前記第1、第2、第3および第4方向を前記操作部に対して変位可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】内視鏡の外観を示す正面図
図2】内視鏡の外観を示す右側面図
図3】先端部及び湾曲部の要部を示す横断面図
図4】湾曲操作機構の内部構造体を示す斜視図
図5】湾曲操作機構を示す分解斜視図
図6】湾曲操作機構を示す斜視図
図7】湾曲操作機構及び可変固定機構の要部断面図
図8】操作部本体に固定された湾曲操作機構を示す斜視図
図9】操作部本体と湾曲操作機構との間に構成した可変固定機構の分解斜視図
図10】操作部本体に対する基準位置に固定した湾曲操作機構の平面図
図11】操作部本体に対する基準位置から変位する位置に固定した湾曲操作機構の平面図
図12】第1の変形例に係り、操作部本体と湾曲操作機構との間に構成した可変固定機構の分解斜視図
図13】第2の変形例に係り、湾曲操作機構及び可変固定機構の要部断面図
図14】第3の変形例に係り、操作部本体に対する基準位置に固定した湾曲操作機構の平面図
図15】同上、操作部本体に対する基準位置から変位する位置に固定した湾曲操作機構の平面図
図16】第4の変形例に係り、操作部本体と湾曲操作機構との間に構成した可変固定機構の分解斜視図
図17】同上、操作部本体と湾曲操作機構との間に構成した可変固定機構の分解斜視図
図18】同上、操作部本体に対する基準位置に固定した湾曲操作機構の平面図
図19】同上、操作部本体に対する基準位置から変位する位置に固定した湾曲操作機構の平面図
図20】第5の変形例に係り、操作部本体と湾曲操作機構との間に構成した可変固定機構の分解斜視図
図21】同上、湾曲操作機構及び可変固定機構の要部断面図
図22】第6の変形例に係り、湾曲操作機構を示す斜視図
図23】同上、湾曲操作機構及び可変固定機構の要部断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1図11は本発明の一実施形態に係り、図1は内視鏡の外観を示す正面図、図2は内視鏡の外観を示す右側面図である。
【0013】
図1,2に示す本実施形態の内視鏡1は気管支用の電子内視鏡であり、この内視鏡1は、細長形状に形成された挿入部2と、挿入部2の基端に連設された操作部3と、操作部3から延設された内視鏡ケーブルであるユニバーサルコード4と、ユニバーサルコード4の先端に配設された内視鏡コネクタ5と、を備えて構成されている。
【0014】
挿入部2は、先端側から順に、先端部6、湾曲部7、可撓管部8が連設され他可撓性を有する管状部材によって構成されている。
【0015】
例えば、図3に示すように、先端部6内には、金属製の先端硬質部10が設けられている。この先端硬質部10には、CCD,CMOS等の撮像素子を内蔵した撮像ユニット11、図示しないライトガイド、及び、処置具挿通チャンネル13等が保持されている。
【0016】
また、先端部6内において、先端硬質部10の基端側の外周には、略円筒形状をなす最先端湾曲駒20が嵌合され、この最先端湾曲駒20の外周が湾曲ゴム22によって覆われている。最先端湾曲駒20の内周には、挿入軸O周りの4箇所に図示しないワイヤ固定部が設けられ、各ワイヤ固定部には、挿入部2内に挿通された4本の牽引ワイヤ23の何れかの先端がそれぞれ固定されている。
【0017】
湾曲部7は、使用者等である術者の操作部3に対する操作入力に応じて、上下方向(UP-DOWN)及び左右方向(LEFT-RIGHT)を含む挿入軸O周りの全方向へと能動的に湾曲させうるように構成されている。
【0018】
具体的に説明すると、本実施形態の湾曲部7は、複数の湾曲駒25が一列に連結された湾曲駒組24を有して構成されている。各湾曲駒25の駒間は、挿入部2の上下方向に配置された枢軸部25aと、挿入部2の左右方向に配置された枢軸部25bと、よって順次交互に連結されている。また、湾曲駒組24を構成する所定の湾曲駒25には、各牽引ワイヤ23を湾曲駒組24の内面に沿って挿入軸O方向に配索するためのワイヤガイド26が形成されている。そして、各牽引ワイヤ23が牽引或いは弛緩に伴い、各湾曲駒25が枢軸部25aまたは枢軸部25bを中心として回動することにより、湾曲部7は上下左右方向を含む任意の方向に能動的に湾曲することが可能となっている。
【0019】
なお、本実施形態において、挿入部2の上下左右方向とは、例えば、撮像ユニット11によって撮像される画像の上下左右方向に対応付けて定義される方向である。
【0020】
この湾曲駒組24の内部には、撮像ユニット11から延在する信号ケーブル11a、ライトガイド、及び、処置具挿通チャンネル13が挿通されている。また、湾曲駒組24の外周は、先端部6側から延在する湾曲ゴム22によって覆われている。
【0021】
可撓管部8は、受動的に湾曲可能な可撓性を有する管状部材によって構成されている。この可撓管部8の内部には、上述の信号ケーブル11a、ライトガイド、及び、処置具挿通チャンネル13等が挿通されている(ここでは、何れも不図示)。
【0022】
操作部3は、可撓管部8の基端を覆った状態にて当該可撓管部8に接続された折れ止部30と、折れ止部30に連接され使用者等の手によって把持可能な把持部31と、把持部31の基端側に連設された操作部本体32と、を有して構成されている。なお、本実施形態において操作部3における挿入軸O周りの方向等は使用者等が把持部31を把持した状態を基準として定義されており、具体的には、操作部3には、使用者等が挿入部2を垂下させたて把持部31を前方に把持した状態を基準として、挿入軸Oの軸直角方向に、前後左右方向(前面、背面、及び、左右側面等)が定義されている。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の把持部31は、挿入軸O(中心軸)に対して左右対称な形状に形成され、使用者等が左手或いは右手の何れの手によっても同様に把持することが可能となっている。
【0024】
また、把持部31の先端側の前面には、処置具挿通部35が設けられている。この処置具挿通部35は、各種の処置具(不図示)を挿入する処置具挿通口35aを備えて構成されている。操作部3の内部において、処置具挿通口35aには、図示しない分岐部材を介して、処置具挿通チャンネル13が連通されている。また、処置具挿通部35には、処置具挿通口35aを閉塞するための蓋部材である鉗子栓(不図示)が着脱自在となっている。
【0025】
操作部本体32は、把持部31の基端側において、主として左右側方及び前方に膨出された略部分球状をなす中空部材によって構成されている。
【0026】
この操作部本体32の前面側には、内視鏡1の各種機能を実行するための操作ボタン群40が配設されている。操作ボタン群40は、例えば、操作部本体32に着脱自在に装着された吸引バルブ41から突出する吸引ボタン41aと、内視鏡1に関する各種機能の中から任意の機能を割り当てることが可能な2つのボタンスイッチ42と、を有して構成されている。
【0027】
一方、操作部本体32の背面側には、レバーとしての湾曲レバー45が配設されている。この湾曲レバー45は、湾曲部7を湾曲動作させるための湾曲操作機構50を構成するものであり、湾曲部7の上下左右方向に対応付けて設定された第1方向(UP方向)、第2方向(DOWN方向)、第3方向(LEFT方向)、及び、第4方向(RIGHT方向)を含む全方向に傾動することが可能となっている。
【0028】
さらに、操作部本体32の一側部(例えば、左側部)からは、ユニバーサルコード4が延出されている。
【0029】
ここで、操作部本体32の左右形状は挿入軸Oに対して左右対称に膨出された形状となっており、この操作部本体32の先端側の左右側面には、把持部31を把持した使用者の人差し指等を操作ボタン群40に導くガイド用凹部32aがそれぞれ形成されている。
【0030】
ユニバーサルコード4は、挿入部2の内部を通じて先端部6側から操作部3に至り、さらに操作部3から延出する各種信号線などを内部に挿通するとともに、光源装置(不図示)のライドガイドを挿通し、さらに送気送水装置(不図示から延出される送気送水用チューブを挿通する複合ケーブルである。
【0031】
内視鏡コネクタ5は、外部機器であるビデオプロセッサ(不図示)との間を接続する信号ケーブルが接続される電気コネクタ部5aを側面部に有するとともに、外部機器である光源装置との間を接続するライトガイド及び電気ケーブルが接続される光源コネクタ部5bを有して構成されている。
【0032】
次に、操作部本体32に設けられた湾曲操作機構50の構成について、より詳細に説明する。
【0033】
図4図7に示すように、湾曲操作機構50は、操作部本体32に固定されるハウジング51と、ハウジング51内に回動(揺動)自在に軸支される回動枠52と、回動枠52内に回動(揺動)自在に軸支されるベース部材53と、ベース部材53の一端に固設されるワイヤ牽引部材54と、ベース部材53の他端から突出する湾曲レバー45と、を有して構成されている。
【0034】
ハウジング51は、略円筒形状をなす部材によって構成され、このハウジング51の周壁には、互いに対向する軸孔51aが穿設されている。
【0035】
回動枠52は、例えば、略矩形形状をなす枠体によって構成されている。この回動枠52には、長手方向両端部の中央に互いに対向する一対のねじ孔52aが穿設されている。また、回動枠52には、短手方向両端部の中央に互いに対向する一対の軸孔52bが穿設されている。そして、ハウジング51の各軸孔51aにそれぞれ挿通されたビス55が各ねじ孔52aに螺合することにより、回動枠52はハウジング51に対して回動自在に軸支されている。
【0036】
ベース部材53は、略円柱形状をなす部材によって構成されている。このベース部材53の中央部には嵌合孔53aが穿設され、この嵌合孔53aには、湾曲レバー45の基端側が嵌入により連結されている。また、ベース部材53の周部には互いに対向する一対の平坦部53bが形成され、これら平坦部53bには互いに対向するねじ孔53c(図5においては一方のねじ孔53cのみを図示)が穿設されている。そして、回動枠52の各軸孔52bにそれぞれ挿通されたビス56が各ねじ孔53cに螺合することにより、ベース部材53は回動枠52に対して回動自在に軸支されている。そして、このようにベース部材53が回動枠52を介してハウジング51に支持されることにより、ベース部材53に連結された湾曲レバー45は任意の方向に対して傾動することが可能となっている。
【0037】
ワイヤ牽引部材54は、互いに異なる4方向にアーム部54bが延出された板状の部材によって構成されている。本実施形態において、より具体的には、ワイヤ牽引部材54は、互いに隣接するアーム部54bのなす角度が90度に設定された十字状の板状部材によって構成され、その中心部54aがベース部材53の基端面に対してビス57を介して固定されている。すなわち、ワイヤ牽引部材54には、ベース部材53を介して湾曲レバー45が連結されている。また、各アーム部54bの延出端側にはワイヤ固定孔54cが穿設され、これらワイヤ固定孔54cには、挿入部2側から延設された各牽引ワイヤ23の基端側が固定されている。これにより、ワイヤ牽引部材54は湾曲レバー45の傾動状態に応じた所定の牽引ワイヤ23を所定の牽引量にて牽引することが可能となっている。なお、各アーム部54bのなす角度は90度に限定されるものではなく、例えば、当該90度を基準とする±30度の範囲内において任意に変更することも可能である。
【0038】
ここで、例えば、図6に示すように、湾曲操作機構50のハウジング51には4本のステー58が設けられ、各ステー58には、ガイドコイル23aの基端側がそれぞれ保持されている。そして、各牽引ワイヤ23は、各ガイドコイル23aにそれぞれ挿通された状態にて、操作部3の内部から可撓管部8の内部にかけて配索されている。これにより、各牽引ワイヤ23は、他の内蔵物等と干渉することなく、湾曲レバー45の傾動動作に連動した進退移動(弛緩、或いは、牽引動作)を行うことが可能となっている。
【0039】
図7に示すように、湾曲レバー45は、ハウジング51の外部に突出されている。この湾曲レバー45には、突端側に太径部45aが形成され、さらに、この太径部45aよりも突端側に雄ねじ部45bが形成されている。
【0040】
また、湾曲レバー45の雄ねじ部45bには、使用者等の親指等を当接させることが可能な指当て部46が螺合によって固定されている。
【0041】
さらに、湾曲レバー45の外周には、当該湾曲レバー45とハウジング51との間を液密に封止するための外装カバー47が設けられている。
【0042】
具体的に説明すると、例えば、図7に示すように、外装カバー47は、一端側から他端側にかけて略ドーム状に拡径する樹脂成型品によって構成されている。この外装カバー47の一端部は、湾曲レバー45の太径部45aと指当て部46との間に挟み込まれることにより、湾曲レバー45の外周に液密な状態にて連結されている。一方、ハウジング51の外周にはストッパリング48が螺合されており、外装カバー47の他端部は、ハウジング51とストッパリング48との間に挟み込まれることにより、ハウジング51の外周に液密な状態にて連結されている。
【0043】
このように構成された湾曲操作機構50は、ワイヤ牽引部材54側が、操作部本体32に形成された開口部32bを介して、操作部本体32の内部に収容されている。
【0044】
そして、湾曲操作機構50は、ハウジング51と操作部本体32との間に構成された可変固定機構60を介して、操作部本体32に対し適宜変位させることが可能な状態にて固定されている。
【0045】
具体的に説明すると、可変固定機構60は、ハウジング51の外周面に設けられた外向フランジ61と、操作部本体32に設けられたフランジ収容室62と、を有して構成されている。
【0046】
外向フランジ61は、例えば、ハウジング51の外周面の全周にわたって形成された環状のフランジによって構成されている。
【0047】
この外向フランジ61には、厚さ方向に貫通する一対の長孔61aが設けられている。各長孔61aは、湾曲レバー45が傾動されていない中立状態にあるときの中心軸Ol上の点を中心とする部分円弧状に形成され、中心軸Olの回転対称位置にそれぞれ配置されている。
【0048】
また、外向フランジ61の裏面側において、長孔61aよりも内側には、環状のシール溝61bが設けられ、このシール溝61bにはOリング等のシールリング66が保持されている。
【0049】
フランジ収容室62は、操作部本体32の開口部32bに形成された内向フランジ63と、内向フランジ63の外周に設けられた壁部64と、を有して構成されている。
【0050】
内向フランジ63は、外向フランジ61と略同一の内径及び外径を有する環状のフランジであり、開口部32bの内側の全周にわたって形成されている。この内向フランジ63には、長孔61aに対応する一対のねじ穴63aが設けられている。
【0051】
壁部64は、例えば、外向フランジ61の厚さと略同一の高さを有し、且つ、外向フランジ61の外径と略同一の内径を有する円筒状に形成されている。
【0052】
図7図10に示すように、このように構成されたフランジ収容室62には、外向フランジ61が摺動可能に収容される。そして、外向フランジ61の長孔61aに六角穴付ボルト等からなる係合ピンとしてのボルト65が挿通され、さらに、このボルト65がねじ穴63aに螺合されることにより、湾曲操作機構50は操作部本体32に対して固定される。
【0053】
この場合において、図8,9に示すように、例えば、外向フランジ61の表面と壁部64の端面には位置決め用の指標67a,67bが設けられている。そして、これらの指標67a,67bを一致させることにより、操作部3(操作部本体32)に対し、湾曲レバー45に設定された第1~第4方向の中心軸Ol周りの回転位置が、予め設定された基準位置(ニュートラル位置)に位置決めされる。
【0054】
また、このように位置決めされた湾曲レバー45の操作部本体32に対する中心軸Ol周りの回転位置は、可変固定機構60に対する調整により、使用者等に応じて任意に変位させることが可能である。
【0055】
すなわち、湾曲レバー45に設定された第1~第4方向の中心軸Ol周りの回転位置は、可変固定機構60のボルト65による締結を緩め、ハウジング51を長孔61aの許容する範囲内において回動させることにより、調整することが可能である。
【0056】
これにより、内視鏡1を用いた検査等において、例えば、使用者等が湾曲部7を湾曲操作する際に傾動させる頻度が高い特定の方向を、湾曲レバー45を操作する使用者等の指の軌跡に一致させることができる。具体的には、例えば、図10,11に示すように、使用者等が湾曲部7を上方向に湾曲させる頻度が高い場合において、上方向への湾曲に対応する第1方向を、湾曲レバー45を操作する使用者等の指の軌跡に一致させることができる。
【0057】
このような実施形態によれば、湾曲部7の上下左右方向への湾曲方向に対応する第1方向、第2方向、第3方向、及び第4方向を含む全方向に傾動可能な1つの湾曲レバー45を有する湾曲操作機構50を備えた内視鏡1において、湾曲操作機構50と操作部本体32(操作部3)との間に構成され、湾曲操作機構50を操作部本体32に対して変位させることが可能な状態にて固定する可変固定機構60を設けることにより、ジョイスティック型の湾曲レバー45に対する特定方向への湾曲操作を正確に行うことができる。
【0058】
ここで、例えば、図12に示すように、ボルト65を内向フランジ63のねじ穴63aに螺合する構成に代えて、内向フランジ63に係合ピンとしてのボルト70を突出させることにより、可変固定機構60を構成することも可能である。この場合、長孔61aに挿通したボルト70にナット71を螺合することにより、湾曲操作機構50を変位可能に固定することが可能となる。
【0059】
また、例えば、図13に示すように、湾曲操作機構50に設けた外向フランジ61と、操作部本体32に設けたフランジ収容室62と、の配置を逆にすることも可能である。
【0060】
この場合、フランジ収容室62を構成する内向フランジ63に長孔63bを設け、外向フランジ61にねじ穴61cを設けることにより、上述の実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、例えば、図14,15に示すように、外向フランジ61に設けた一対の長孔61aのうちの一方を軸受孔61dに変更すると共に、壁部64の内径を外向フランジ61の外径に対して十分に大きく設定することも可能である。このように構成すれば、湾曲操作機構50を、軸受孔61dを支点として揺動するように変位させることが可能となる。
【0062】
また、例えば、図16図19に示すように、フランジ収容室62の壁部64に環状板からなる押圧部材75を組み付け、この押圧部材75と内向フランジ63との間に外向フランジ61を挟み込むことにより、湾曲操作機構50を変位可能に固定する可変固定機構60を構成することも可能である。
【0063】
具体的に説明すると、本変形例において、フランジ収容室62を構成する壁部64の内径は、外向フランジ61の外径に対して十分に大きく設定されている。
【0064】
また、壁部64の内周には雌ねじ部64aが設けられている。
【0065】
一方、押圧部材75の外周には、雌ねじ部64aに螺合することが可能な雄ねじ部75aが設けられている。なお、図中において、符号75bは、押圧部材75を壁部64に組み付ける際の治具が係合する係合穴である。
【0066】
そして、このように構成された可変固定機構60では、押圧部材75の雄ねじ部75aを壁部64の雌ねじ部64aに螺合させ、この押圧部材75と内向フランジ63との間に外向フランジ61を挟み込むことにより、湾曲操作機構50を操作部本体32に固定することが可能となっている。
【0067】
また、この可変固定機構60では、雌ねじ部64aに対する雄ねじ部75aの螺合状態を緩めることにより、湾曲レバー45の第1,第2,第3及び第4の方向を操作部本体32に対して変位させることが可能となっている。具体的には、図18,19に示すように、本変形例における可変固定機構60では、中心軸Olの周りに湾曲操作機構50を回動させ、且つ、中心軸Olに対する垂直方向に湾曲操作機構50をスライドさせることにより、湾曲操作機構50を操作部本体32に対して変位させることが可能となっている。
【0068】
なお、本変形例の可変固定機構60では、中心軸Olの周りに湾曲操作機構50を回動させること、或いは、中心軸Olに対する垂直方向に湾曲操作機構50をスライドさせること、のうちの何れか一方のみを行うことも可能である。
【0069】
また、例えば、図20,21に示すように、フランジ収容室62の壁部64に環状板からなる押圧部材75を組み付け、この押圧部材75と内向フランジ63との間に外向フランジ61を挟み込む構成の可変固定機構60に、湾曲操作機構50を操作部本体32に対して例えば1度から5度程度の所定の角度ステップで回動させることが可能なクリックストップ機構80を設けることも可能である。
【0070】
具体的に説明すると、本変形例において、フランジ収容室62を構成する壁部64の内径は、外向フランジ61の外径と略同一に設定されている。
【0071】
また、壁部64の内周には雌ねじ部64aが設けられている。
【0072】
一方、押圧部材75の外周には、雌ねじ部64aに螺合することが可能な雄ねじ部75aが設けられている。
【0073】
そして、このように構成された可変固定機構60では、押圧部材75の雄ねじ部75aを壁部64の雌ねじ部64aに螺合させ、この押圧部材75と内向フランジ63との間に外向フランジ61を挟み込むことにより、湾曲操作機構50が中心軸Olの周りに回動可能となるよう保持されている。
【0074】
また、内向フランジ63には、スプリング収容穴63cが設けられ、このスプリング収容穴63cにはスプリング81が収容されている。
【0075】
一方、外向フランジ61には、スプリング収容穴63cに対応する位置に複数のボール受孔61eが、中心軸Olを中心とする円弧状に配列されている。そして、ボール受孔61eの何れか1つに、スプリング81に付勢されたボール82が押し当てられることにより、湾曲操作機構50の中心軸Olの周りの回動位置が固定されている。
【0076】
このような構成において、使用者等が湾曲操作機構50に対し、中心軸Ol周りに所定以上のトルクを付与すると、スプリング81の付勢力に抗してボール受孔61eからボール82が押し出され、湾曲操作機構50の回動が許容される。そして、この回動に伴い、ボール82が従前押し当てられていたボール受孔61eに隣接する他のボール受孔61eに押し当てられることにより、湾曲操作機構50は、その回動が再び禁止され、新たな回動位置に固定される。
【0077】
このような変形例によれば、湾曲操作機構50を容易に変位させることができる。
また、基準位置からの回転量をクリックストップ機構によって生じるクリック感の回数で確認できるので、回転した状態から基準位置に戻すことが容易である。さらに、回転量が段階的に設定されるので、使用者毎に好適な回転位置を容易に把握できる効果もある。
【0078】
また、例えば、図22,23に示すように、可変固定機構60としては、中心軸Olに交わる方向に設定した回動軸Orの周りに湾曲操作機構50を回動させる構成を採用することも可能である。
【0079】
具体的に説明すると、本変形例において、湾曲操作機構50のハウジング51には、中心軸Olに対して回転対称な位置に、当該中心軸Olに直交する回動軸Orに沿って延在する一対の回動軸部85が設けられている。
【0080】
また、ハウジング51には、回動軸部85と同心上に、部分円弧上をなすボール受板86が設けられている。このボール受板86には、複数のボール受孔86aが、回動軸Orを中心とする円弧状に配列されている。
【0081】
また、操作部本体32には、回動軸部85に対応する軸受穴87が設けられている。さらに、操作部本体32には、ボール受孔86aが配列される円弧に対応する位置に、スプリング収容穴88が設けられ、このスプリング収容穴88にはスプリング89が収容されている。
【0082】
そして、ボール受孔86aの何れか1つに、スプリング89に付勢されたボール90が押し当てられることにより、湾曲操作機構50の回動軸Orの周りの回動位置が固定されている。
【0083】
このような構成において、使用者等が湾曲操作機構50に対し、回動軸Or周りに所定以上のトルクを付与すると、スプリング89の付勢力に抗してボール受孔86aからボール90が押し出され、湾曲操作機構50の回動が許容される。そして、この回動に伴い、ボール90が従前押し当てられていたボール受孔86aに隣接する他のボール受孔86aに押し当てられることにより、湾曲操作機構50の回動が再び禁止され、新たな回動位置に固定される。
【0084】
ここで、このように湾曲操作機構50が回動軸Orを中心とする回動により変位する本変形例においては、操作部本体32から突出する壁部32cの外周にストッパリング91が螺合され、外装カバー47の他端側は、壁部32cとストッパリング91との間に挟み込まれることにより、操作部本体32に対して液密な状態にて連結されている。
【0085】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。例えば、上述の実施形態の構成及び各変形例の構成を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23