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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】伸張性積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20221117BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20221117BHJP
   B32B 7/05 20190101ALI20221117BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/49 312Z
B32B7/05
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021048845
(22)【出願日】2021-03-23
(62)【分割の表示】P 2019071588の分割
【原出願日】2014-04-30
(65)【公開番号】P2021106885
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】61/819,138
(32)【優先日】2013-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/896,812
(32)【優先日】2013-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、シェーンベック
(72)【発明者】
【氏名】ヘナー、ソルマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク、バルダウフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルミッシュ、ポパトラル、ダラル
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル、アルベルト、エレラ
(72)【発明者】
【氏名】エリカ、リン、ロック
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-503781(JP,A)
【文献】特表2012-524645(JP,A)
【文献】特開2008-012122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0148361(US,A1)
【文献】特開2012-187857(JP,A)
【文献】特開平09-316406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシート、バックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアを含むシャーシを含む吸収性物品の弾性的に伸張可能なパネル用の伸張性積層体の製造方法であって、
2つの表面と、前記表面の少なくとも一方に皮膜とを有する、エラストマーフィルムを伸張させることによりプレ活性化して、前記皮膜に、複数の活性化縞を形成する、工程と、
プレ活性化された前記エラストマーフィルムを収縮させる工程と、
前記エラストマーフィルムの前記表面の少なくとも一方に、少なくとも1つのカバー層を取り付けるとともに、前記エラストマーフィルム及び前記カバー層を伸張させて、前記エラストマーフィルムと前記カバー層とを含む積層体を形成する、工程と、
前記積層体のうち前記エラストマーフィルムが積層されている領域の部分で前記積層体を部分的に伸張させて、伸張方向に沿って弾性的に伸展性である伸張ゾーンと、前記伸張方向に沿って伸展性ではないアンカーゾーンと、を形成する、工程と、を備えた、伸張性積層体の製造方法
【請求項2】
前記エラストマーフィルムがポリオレフィンエラストマーを含む、請求項1に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項3】
前記ポリオレフィンエラストマーが、弾性ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマー、立体エラーを含むアイソタクチックポリプロピレン、アイソタクチック/アタクチックポリプロピレンブロックコポリマー、アイソタクチックポリプロピレン/ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマーブロックコポリマー、ステレオブロック弾性ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンブロックポリ(エチレン-コ-プロピレン)ブロックシンジオタクチックポリプロピレン三元ブロックコポリマー、アイソタクチックポリプロピレンブロック位置不規則性ポリプロピレンブロックアイソタクチックポリプロピレン三元ブロックコポリマー、ポリエチレンランダム(エチレン/オレフィン)コポリマーブロックコポリマー、リアクターブレンドポリプロピレン、超低密度ポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン、メタロセンポリエチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、プロピレン系ホモポリマー若しくはコポリマー、又はエチレン系ホモポリマー若しくはコポリマーである、請求項2に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項4】
前記エラストマーフィルムがブローンフィルムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項5】
前記エラストマーフィルムが厚さ20μm~60μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項6】
前記エラストマーフィルムが厚さ40μmである、請求項5に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項7】
前記皮膜が、メタロセンポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、可塑性ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマー、シンジオタクチックポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン、ポリブテン、インパクトコポリマー、ポリオレフィンろう、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリオレフィンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項8】
前記エラストマーフィルムが、T型剥離試験により測定されたとき、0.5N/cm以上の剥離力で前記カバー層に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項9】
前記エラストマーフィルムが、ヒステリシス試験により測定されたとき、30%以上の%永久ひずみを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の伸張性積層体の製造方法
【請求項10】
前記吸収性物品がおむつである、請求項1~9のいずれか一項に記載の伸張性積層体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般に、伸張性積層体と、そのような伸張性積層体を用いたおむつ、パンツ、及び同様物などの吸収性物品とに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て吸収性物品(おむつなど)は、体外排泄物を収容し、着用者の衣服及び/又はその他の物(例えばベッド、いす、毛布など)が汚れるのを防ぐよう設計されている。この物品を着用者の身体にフィットさせることは、これらの排泄物を確実に収容するのに重要である。そのような物品はコスト効率良く設計されているため、メーカーは一般に、幅広い範囲の身体タイプの人が使用するのに適した物品を製造する。したがって、幅広い範囲の身体タイプにぴったり沿い、かつユーザーに沿ってフィットして、排泄物を収容しかつ漏れを制限するような、新しい改善された使い捨て吸収性物品が、引き続き関心対象となっている。
【0003】
適切なフィットと身体タイプのバリエーションという拮抗する関心のバランスをとるのに、メーカーが試みている方法の1つが、伸張可能な材料の使用を回する方法である。そのような材料群は、伸張性積層体として知られる。その名のとおり、これらの材料は実際、例えば接着剤の使用により、個々の構成要素を合わせて積層された複合体である。典型的な伸張性積層体は、1つ以上のカバー材料層と、エラストマー材料の1つ以上の層又はストランドとを組み合わせようとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような伸張性積層体は製造が困難かつ高価であることが知られており、複雑な問題が生じる。新しいタイプの伸張性積層体と、伸張性積層体の新しい製造方法とを提案するため、多大な研究努力が行われている。特に、これらの積層体を製造する困難さと、このような積層体を調製するために実行しなければならない多大かつ大変な工程について、数多くの特許で検討されてきている。よって、新しい伸張性積層体と、より高性能及び/又はより安価な伸張性積層体を製造する新しい方法と、そのような伸張性積層体を含む新しい吸収性物品とを提供するニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、吸収性物品は、i)トップシート、バックシート、このトップシートとこのバックシートとの間に配置された吸収性コアを含むシャーシと、ii)このシャーシに接合された少なくとも1つの弾性的に伸張可能なパネルを含む。この弾性的に伸張可能なパネルは、少なくとも1つのカバー層と、このカバー層に取り付けられたエラストマーフィルムとを有する、伸張性積層体を含む。このエラストマーフィルムは、2つの表面と、この表面のうち少なくとも一方に皮膜とを有する。この伸張性積層体は、少なくとも1つのアンカーゾーン及び少なくとも1つの伸張ゾーンを有し、このアンカーゾーン内に配置されている皮膜は、複数の活性化縞を有する。
【0006】
別の態様において、吸収性物品は、i)トップシート、バックシート、このトップシートとこのバックシートとの間に配置された吸収性コア含むシャーシと、ii)このシャーシに接合された少なくとも1つの弾性的に伸張可能なパネルと、を含む。この弾性的に伸張可能なパネルは、第1カバー層と、第2カバー層と、この第1カバー層と第2カバー層との間に配置されたエラストマーフィルムと、を含む。このエラストマーフィルムは、第1カバー層に最も近い第1表面に第1皮膜を有し、第2カバー層に最も近い第2表面に第2皮膜を有する。この伸張性積層体は、少なくとも1つのアンカーゾーン及び少なくとも1つの伸張ゾーンを有し、このアンカーゾーン内に配置されている第1皮膜及び第2皮膜はそれぞれ、複数の活性化縞を有する。
【0007】
本開示の更なる態様は、本特許の特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書は、本発明とみなされる主題を具体的に示しかつ明確に主張する特許請求の範囲で完結するが、本発明は、添付の図面と関連してなされた以下の説明から更に完全に理解されると考えられる。一部の図は他の要素をより明らかに示すため、選択された要素を省略することで簡略化されている場合がある。一部の図中のこうした要素の省略は対応する書面による明細書の中で明確に記述されている場合を除き、いずれかの代表的な実施形態の中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。いずれの図面も必ずしも一定の縮尺に従っていない。
図1A】本開示による伸張性積層体の第1実施形態の断面図。
図1B】本開示による伸張性積層体の第2実施形態の断面図。
図2】プレ活性化されていないエラストマーフィルムの一部分の断面図を示すSEM顕微鏡写真。
図3図2のSEM顕微鏡写真の拡大図。
図4】プレ活性化されたエラストマーフィルムの一部分の断面図を示すSEM顕微鏡写真。
図5図4のSEM顕微鏡写真の拡大図。
図6】プレ活性化されていないエラストマーフィルムの一部分の平面図を示す透過型光学顕微鏡写真。
図7】プレ活性化されたエラストマーフィルムの一部分の平面図の透過型光学顕微鏡写真。
図8】プレ活性化されていないエラストマーフィルムを含む伸張性積層体の一部分の断面図を示すSEM顕微鏡写真。
図9図8のSEM顕微鏡写真の拡大図。
図10】プレ活性化されたエラストマーフィルムを含む伸張性積層体の一部分の断面図を示すSEM顕微鏡写真。
図11図10のSEM顕微鏡写真の拡大版。
図12】本開示による伸張性積層体から作製される部分を含む、例示的な吸収性物品の平面図であり、トップシートの一部を除去して、下にある吸収性コアを露出させている、平面図。
図13図12の吸収性物品の収縮状態(即ち、弾性部材により誘導された収縮のある状態)の斜視図。
図14】本開示による伸張性積層体から製造された例示的なイヤパネルの平面図。
図15】本開示による伸張性積層体を製造するための連続プロセスの模式図。
図16】T型剥離試験サンプルの平面図の模式図。
図17図16のT型剥離試験サンプルの、線17-17に沿った断面の模式図。
図18】T型剥離試験方法を用いて生成された、T型剥離試験曲線をプロットした例示的なチャートであり、この例示的なチャートは、実施例2のT型剥離試験データをプロットしている、チャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語の定義
本明細書で使用されるとき、以下の用語は以下の意味を有する。
用語「吸収性物品」は、液体を吸収及び収容するデバイスを指し、より具体的には、着用者の身体に接触して又は近接して配置され、身体から排泄された様々な排出物を吸収及び収容するデバイスを指す。
【0010】
本発明で使用する場合、用語「活性化された」及び「プレ活性化された」とは、材料の少なくとも一部の伸張性を増大させるために材料を機械的に変形するプロセスを意味する。材料は、例えば、少なくとも1方向に材料を漸増式に延伸することによって、活性化又はプレ活性化させることができる。
【0011】
用語「接着剤で接着された(adhesively bonded)」又は「接着剤で積層された(adhesively laminated)」とは、エラストマー部材を少なくとも1つのカバー層に接着させるために接着剤が使用される、積層体を指す。
【0012】
用語「取り付けられた」とは、要素を互いに接続するために好適であり、かつこれらの構成要素材料にとって好適な、締結、接着、結合又はその他の任意の方法によって、要素が連結又は一体化されていることを指す。接着剤による結合、圧力接着、熱接着、超音波接着、機械的締結等を含む、要素を互いに取り付けるのに適した多くの方法が周知である。かかる取り付け方法は、特定の領域で連続的又は断続的に要素を互いに取り付けるために使用され得る。
【0013】
用語「おむつ」とは、一般に乳幼児又は失禁症状のある人が下部胴体周辺に着用する吸収性物品を指し、概ね短いズボン形状を有し、このうち異なる部分を互いに締結して、着用者の腰回り及び脚回りを取り囲む。
【0014】
用語「使い捨て」は、洗濯する、あるいは吸収性物品として復元するか再利用されることを一般に意図しない吸収性物品、即ち、一回の使用後に廃棄する、好ましくはリサイクルする、堆肥化する、あるいは環境に適合する方法で処理することを意図する吸収性物品の性質を指す。
【0015】
用語「配置された」とは、ある要素が、特定の場所若しくは位置に他の要素と共に単一構造体として、又は別の要素に接合された別個の要素として形成されている(接合されて位置付けられる)ことを意味するために用いられる。
【0016】
用語「伸展性」とは、バイアス力が材料に印加されたときに、その材料が意図された目的で使用不能になるような破裂又は破損を起こすことなく、その材料が元の弛緩時長さの少なくとも110%の伸長長さまで伸展することができる(すなわち10%延長可能)特性を指す。この定義に適合しない材料は、非伸展性であると見なされる。いくつかの実施形態において、伸展性材料は、その材料が意図された目的で使用不能になるような破裂又は破損を起こすことなく、その材料が元の弛緩時長さの125%以上の伸長長さまで伸展することができる場合がある。伸展性材料は、バイアス力の印加後に、回復を呈することがあり、又は呈さないこともある。
【0017】
本明細書全体を通じて、バイアス力が材料に印加されたときに、その材料が意図された目的で使用不能になるような破裂又は破損を起こすことなく、その材料が元の弛緩時長さの少なくとも110%の伸長長さまで伸展することができ(すなわち10%延長可能)、かつ、その力が材料から取り除かれた後、その材料がその伸長の少なくとも40%を回復する場合に、その伸展性材料は「弾性的伸展性」であると見なされる。さまざまな例において、弾性的伸展性材料から力が取り除かれたとき、その材料はその伸長の少なくとも60%、又は少なくとも80%を回復し得る。
【0018】
用語「内部」及び「外部」はそれぞれ、吸収性物品が着用されるとき、着用者の身体に接して又は向かって配置されることを意図する要素の位置、並びに吸収性物品の上に着用されるいずれかの衣類に接して又は向かって配置されることを意図する要素の位置を指す。「内部」及び「外部」の類義語としては、それぞれ「内方」及び「外方」、並びに「内側」及び「外側」が挙げられる。また類義語としては、吸収性物品の内部が上方に面するように向けられる場合、例えば、吸収性物品の上部に着用者を配置する準備をして吸収性物品を展開する場合、それぞれ「上側」及び「下側」、「上部」及び「下部」、「上方」及び「下方」、並びに「頂部」及び「底部」が挙げられる。
【0019】
用語「接合した」は、一つの要素を他の要素に直接付着させることによりその要素が他の要素に直接取り付けられる構成と、一つの要素を中間部材に付着させて、次に中間部材を他の要素に付着させることにより、その要素が他の要素に間接的に取り付けられる構成を指す。
【0020】
用語「横方向」又は「横断方向」は、長手方向に対して90度をなす角の方向を指し、かつ横方向の±45°以内の方向を指す。
【0021】
用語「長手方向」は、物品の最大直線寸法に平行に走る方向を指し、かつ長手方向の±45°以内の方向を含む。
【0022】
用語「パンツ」とは、一般に乳幼児又は失禁症状のある人が下部胴体周辺に着用する吸収性物品を指し、短いズボンの一般形態を有し、締結を外すことなく着用者に着用させ又は脱がせることができる。パンツは、着用者の脚を脚部開口に挿入し、パンツを着用者の下部胴体の周囲の位置にまで滑らせることによって着用者の所定位置に配置されてよい。
用語「パンツ」が本明細書で使用されるが、パンツはまた、「閉止おむつ」、「予締結おむつ」、「プルオン型おむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつパンツ」とも一般に呼ばれる。
【0023】
用語「回復」とは、材料が伸張された後に元の寸法に戻る能力を指す。
【0024】
用語「再締着可能」とは、2つの構成要素が、実質的に永久的な変形又は破断なしに、取り外し可能な取り付け、分離、その後の取り外し可能な再取り付けを行うことができる特性を指す。
【0025】
用語「取り外し可能に取り付けられた」、「取り外し可能に係合した」、及びこれらのバリエーションは、2つの構成要素が接続されているか又は接続可能であって、これによりこの構成要素が、一方又は両方の構成要素に印加される分離力がない限り、接続されたままである傾向にあり、かつ、これらの構成要素が、実質的に永久的な変形又は破断なしに分離可能であることを指す。必要な分離力は典型的に、この吸収性衣類を着用している間に遭遇する力を超える。
【0026】
材料の「ひずみ」又は「パーセントひずみ」は、伸張長さから元の長さを引き、次にその結果を元の長さにより除して100を乗算することにより、計算される。パーセントひずみは、以下の式により記述される:
パーセントひずみ=%ひずみ=ひずみ=100[(Ls-L)/L
式中、Lは、伸張工程開始時の伸張性積層体(又はエラストマーフィルム)の元の長さであり、Lsは、伸張工程終了時の伸張した積層体(又はエラストマーフィルム)の長さである。元の長さ10mmから長さ30mmに伸張されたサンプルでは、200%のひずみという結果になる。ひずみは、長さ方向、幅方向、又はこれらの間の任意の方向で計算することができる。
【0027】
材料の「永久ひずみ(set)」又は「パーセント永久ひずみ(percent set)」は、最終長さから元の長さを引き、次にその結果を元の長さにより除して100を乗算することにより、計算される。当初のパーセント永久ひずみは、以下の式により記述される:
パーセント永久ひずみ=%永久ひずみ=永久ひずみ=100[(L-L)/L
式中、Lは、伸張工程開始時の伸張性積層体(又はエラストマーフィルム)の元の長さであり、Lは、伸張工程後に弛緩した後の、弛緩した伸張性積層体(又はエラストマーフィルム)の長さである。サンプルは、元の長さ10mmから長さ30mmに伸張される。弛緩状態で(応力を除去した状態で)、サンプルは15mmに戻る。これにより、永久歪みは50%となる。永久ひずみは、長さ方向、幅方向、又はこれらの間の任意の方向で計算することができる。
【0028】
用語「しわ」は、小さな折り目、隆起、又はひだを指す。
【0029】
伸張性積層体
図1Aは、本開示による伸張性積層体20の一実施形態を示している。この実施形態により、積層体20は、エラストマーフィルム22、第1カバー層24、及び第2カバー層26の3つの層を含み得る。ただし、他の実施形態により(図1Bに示すように)、積層体20’は、エラストマーフィルム22’とカバー層24’の2つの層のみを含み得る。
下記の説明では図1Aの具体的な参照番号を引用するが、図1Bの2層の実施形態に関するこれらの番号のダッシュ付き番号も意図されることが、読者には理解されよう。例えば、記述で「伸張性積層体20のエラストマーフィルム22及び第1カバー層24」と示した場合、読者には「伸張性積層体20’のエラストマーフィルム22’及びカバー層24’」と同じ記述と見なされることが意図される。
【0030】
エラストマーフィルム22及びカバー層24、26は、互いに取り付けられていてよい。例えば、接着剤30、32が、層22、24、26の間に配置されていてよい。認識されるように、接着剤30は最初、エラストマーフィルム22の第1表面40か、又はカバー層24の表面42に配置され得、次に接着剤32を同様に、エラストマーフィルム22の第2表面44か、又はカバー層26の表面46に配置され得る。組み立てると、接着剤30が表面40を(したがってエラストマーフィルム22も)表面42に(したがってカバー層24にも)取り付け、接着剤32が表面44を(したがってエラストマーフィルム22も)表面46に(したがってカバー層26にも)取り付ける。
【0031】
層22、24、26は互いに完全に重なり合っているように見えるが、あらゆる実施形態においてこのようになっている必要はない。例えば、カバー層24、26はエラストマーフィルム22を超えて延在していてよく、層24、26がエラストマーフィルム22を超えて延在しているところに他のものに取り付けられていてもよい。あるいは、カバー層24、26は、エラストマーフィルム22の範囲を超えて延在していなくともよい。また、接着剤30、32は図1A及び1Bにおいて連続層のように見えるが、接着剤は連続層として適用されても、また非連続的パターン(例えば線状、らせん状、又は点状)として適用されてもよい。したがって、接着は、伸張性積層体20の全幅であってよく、又は積層体の幅の一部分であってもよい(例えば、断続的又はゾーン接着)。更に、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは他の任意の好適な取り付け手段、又はこれらの取り付け手段の組み合わせを含み得る。
【0032】
伸張性積層体20のエラストマーフィルム22は、伸縮的伸展性である単一層又は多層を含む。この弾性的伸展性の材料は、約10μm~約100μm、又は約20μm~約60μm、又は約30μm~約50μmの厚さであり得、あるいはいくつかの実施形態において、約40μmの厚さであり得る。弾性的伸展性の材料は、エラストマー性ポリオレフィンを含み得、またいくつかの実施形態において、ポリオレフィン(POE)ブローンフィルムを含み得る。有用な弾性的伸展性材料の非限定的例には、弾性ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマー、立体エラー(stereoerror)を含むアイソタクチックポリプロピレン、アイソタクチック/アタクチックポリプロピレンブロックコポリマー、アイソタクチックポリプロピレン/ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマーブロックコポリマー、ステレオブロック弾性ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンブロックポリ(エチレン-コ-プロピレン)ブロックシンジオタクチックポリプロピレン三元ブロックコポリマー、アイソタクチックポリプロピレンブロック位置不規則性(region-irregular)ポリプロピレンブロックアイソタクチックポリプロピレン三元ブロックコポリマー、ポリエチレンランダム(エチレン/オレフィン)コポリマーブロックコポリマー、リアクターブレンドポリプロピレン(reactor blend polypropylene)、極低密度ポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン、メタロセンポリエチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、プロピレン系ホモポリマー若しくはコポリマー、又はエチレン系ホモポリマー若しくはコポリマーが挙げられる。有用な伸縮的伸展性材料の更なる非限定的例には、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、エチレンコポリマー、ポリエーテルブロックアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
伸縮的伸展性材料は、変性樹脂を含み得る。本明細書で有用なそのような変性樹脂として、水素添加のないC5炭化水素樹脂又はC9炭化水素樹脂、部分的又は完全に水素添加されたC5炭化水素樹脂又はC9炭化水素樹脂;脂環式樹脂;テルペン樹脂;天然及び変性ロジン及びロジン誘導体;クマロンインデン;ポリシクロペンタジエン及びそのオリゴマー;ポリメチルスチレン又はそのオリゴマー;フェノール樹脂;インデンのポリマー、オリゴマー、及びコポリマー;アクリレート及びメタクリレートのオリゴマー、ポリマー又はコポリマー;これらの誘導体;並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。変性樹脂は、脂環式テルペン、炭化水素樹脂、脂環式樹脂、ポリ-ベータ-ピネン、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの組み合わせも含み得る。有用なC5炭化水素樹脂及びC9炭化水素樹脂は、米国特許第6,310,154号にて開示されている。
【0034】
伸縮的伸展性材料は、様々な添加物を含み得る。好適な添加剤には、伸縮的伸展性材料の熱的、酸化的、及び生化学的劣化を防ぐために、例えば、安定剤、酸化防止剤、及び制菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。添加剤は、伸縮的伸展性材料の全重量の約0.01%~約60%を占めてもよい。他の実施形態において、組成物は、約0.01%~約25%を構成する。他の好適な実施形態において、伸縮的伸展性材料は、約0.01重量%~約10重量%の添加物を含む。
【0035】
伸縮的伸展性材料は、当該技術分野において周知の様々な安定剤及び酸化防止剤を含んでよく、これには、高分子量ヒンダードフェノール(すなわち、ヒドロキシル基に近接して立体的なかさばったラジカルを有するフェノール化合物)、多官能フェノール(すなわち、イオウ及びリンを含有する基を有するフェノール化合物)、トリス-(p-ノニルフェニル)-ホスファイト等のリン酸塩、ヒンダードアミン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特許で保護された安定剤及び/又は酸化防止剤は、様々なWingstay(登録商標)、Tinuvin(登録商標)、及びIrganox(登録商標)製品を含む幾つかの商標名で入手可能である。
【0036】
伸縮的伸展性材料は、当該技術分野において既知の様々な抗菌剤を含んでもよい。好適な抗菌剤の例として、ベンゾエート、フェノール、アルデヒド、ハロゲンを含む化合物、窒素化合物、水銀等の金属を含む化合物、亜鉛化合物、及びスズ化合物が挙げられる。代表的な例として、商品名Irgasan Pa.(Ciba Specialty Chemical Corporation,Tarrytown,NY)で入手可能なものがある。
【0037】
伸縮的伸展性材料は、粘度調節剤、加工助剤、スリップ剤又は抗ブロック剤を含んでもよい。加工助剤には、加工油が含まれており、これらは、当該技術分野において周知であって、合成及び天然油、ナフテン系油、パラフィン系油、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、植物油、動物油、及び水素添加変成物が含まれるそれらの誘導体が挙げられる。加工油にはまた、そのような油の組み合わせが組み込まれてもよい。鉱油を加工油として使用してもよい。粘度調節剤も当該技術分野において周知である。例えば、石油抽出ワックスを使用すると、熱加工中の緩慢に回復するエラストマーの粘度を低下させることができる。好適なワックスは、低数平均分子量(例えば、0.6~6.0キロダルトン)のポリエチレン、パラフィンワックス及び微結晶ワックス等の石油ワックス、アタクチックポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス等の一酸化炭素と水素を重合して作製される合成ワックス、及びポリオレフィンワックスを含む。
【0038】
エラストマーフィルム22は更に、伸縮的伸展性材料の表面に配置された少なくとも1つの皮膜を含み、この皮膜は、フィルム表面40、44のうち少なくとも一方を形成する。そのような皮膜は伸展性材料であり、エラストマーフィルム22の外側表面を提供し、これは下にある伸縮的伸展性材料よりも粘着度が少ない。いくつかの実施形態において、この皮膜も伸縮的伸展性材料として適格であり得るが、下にある伸縮的伸展性材料よりも伸縮性が少ない。したがって、伸縮的伸展性材料と比較したときに、この皮膜は同じ伸展量からの回復度が少なくなる。また換言すれば、伸縮的伸展性材料と比較したときに、この皮膜は、同じパーセントひずみからのパーセント永久ひずみが大きくなる。この皮膜は、エラストマーフィルム22の加工性を補助することができ、この厚さは、約1μm~約10μm、又は約3μm~約7μm、あるいはいくつかの実施形態において、約5μmであり得る。特定の実施形態において、エラストマーフィルム22において伸縮的伸展性材料に重なっている皮膜は、ポリオレフィンである。有用な皮膜材料の非限定的例としては、メタロセンポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、可塑性ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマー、シンジオタクチックポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン、ポリブテン、インパクトコポリマー、ポリオレフィンろう(way)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
本明細書に記述される伸張性積層体に有用な例示的なエラストマーフィルム(すなわち、伸縮的伸展性材料の表面に配置された少なくとも1つの皮膜を備えた伸縮的伸展性材料)としては、Clopay Corporation(Cincinnati,Ohio)から市販されるM18-1117及びM18-1361エラストマーフィルム;Tredegar Film Products(Richmond,Virginia)から市販されるK11-815及びCEX-826エラストマーフィルム;並びにMondi Gronau GmbH(Gronau,Germany)から市販されるエラストマーフィルムが挙げられる。これらの例示的なエラストマーフィルムには、材料の両表面に配置された皮膜を備えた単層の伸縮的伸展性材料が含まれる。図1Aを参照して、そのような例示的なエラストマーフィルムが、第1表面40を提供する皮膜と、第2表面44を提供する第2皮膜とを有し得る。ただし、本明細書に記載される伸張性積層体に適用可能な他のエラストマーフィルムは、単に、第1表面40又は第2表面44を提供する1つの皮膜を有するだけでよい。
【0040】
カバー層24、26は不織材料を含んでよく、これには、スパンのみ又はスパンメルトブローンの組み合わせ(例えば(スパンボンド・メルトブローン)、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)、SMMS(スパンボンド・メルトブローン・メルトブローン・スパンボンド)不織材料、SSMMS(スパンボンド・スパンボンド・メルトブローン・メルトブローン・スパンボンド))、水流交絡不織材料、及びソフトボンド不織材料が挙げられるがこれらに限定されない。不織材料には更に、例えば活性化(例えばリングローリング)プロセスに適合可能となるよう特別に設計及び製造されたものなどの、カード不織材料も含まれ得る。1つの例示的な不織材料は、ポリプロピレンホモポリマーから製造されたカード不織材料である。スパンボンドは更に、活性化プロセスに適合可能となるよう特別に設計及び製造され得る。ただし、本開示によるエラストマーフィルムの使用により、設計の選択肢に大きな柔軟性をもたらすことが可能になる。例えば、スパンボンドを、過去にカード不織材料のみが使用されていた用途に選択することができ、あるいは、より薄いエラストマーフィルムをカード不織材料と共に使用できるようになる。設計柔軟性に関する他の改善点も、当業者には理解されよう。例えば、いくつかの実施形態において、カバー層(複数可)が伸展性不織材料であってよく、これは、伸張性積層体に伸展性を付与するために、活性化プロセスを経る必要があるか、又は経なくともよい。
【0041】
この不織材料の坪量は、約30gsm未満であり得る。実際、特定の実施形態により、この坪量は約27gsm未満であり得る。別の実施形態において、この坪量は約25gsm未満であり得る。更に他の実施形態において、この不織材料は、約24gsm未満の坪量を有し得る。この不織材料は更に、例えばCaCOなどの添加剤を含み得る。本明細書に記述される伸張性積層体の実施形態において、織布又は編布もカバー層24、26として使用することができる。
【0042】
接着剤30、32は、エラストマーフィルム22とカバー層24、26との間の好適な取り付けを提供するため、任意の既知の接着剤から選択され得る。いくつかの実施形態において、この接着剤は、坪量が約15gsm未満のホットメルト接着剤であり得る。一実施例により、この接着剤は、Bostik Inc.(Middleton,Massachusetts)より入手可能なH2031であってよい。この接着剤の1つの特性は、23℃で、手により伸張性積層体を製造するのに有用な顕著な感圧性特性を有する点である。しかしながら、この接着剤は更に、従来型の伸張性積層体製造装置(例えば当該技術分野において周知の装置)を用いて、上述のエラストマーフィルム及びカバー層から伸張性積層体を製造するのに使用するのに好適であり得る。
【0043】
エラストマーフィルム22は、少なくとも1つのカバー層24、26に取り付ける前に、機械的にプレ活性化される。下記の「伸張性積層体製造方法」に詳しく述べるように、エラストマーフィルム22は、ウェブ方向に対して横断方向に50%超伸張させることにより(すなわち、ひずみ>50%)、プレ活性化され得る。いくつかの実施形態において、エラストマーフィルム22の初期幅に対して約100%~約500%の拡張が起こる。別の実施形態において、エラストマーフィルム22は、ウェブ方向に伸張されてよく、ウェブ方向でもウェブ方向に対して横断方向のいずれでもない方向に伸張されてよく、又はこれらの方向の組み合わせに伸張されてもよい。用語「伸張」は、エラストマーフィルム22の拡張が完全には可逆性ではなく、非弾性部分により、プレ活性化後により大きな幅のフィルムがもたらされる(すなわち、エラストマーフィルムが100%の回復力を有さず、よってパーセント永久ひずみ値を有する)という事実を指すものである。拡張後、エラストマーフィルム22は縮み、フィルムの初期幅に対して約10%~約30%大きい可能性のある幅を有する。換言すれば、下記のプレ活性化拡張と収縮の後、エラストマーフィルム22は約10%~約30%の永久ひずみを呈し得る。
【0044】
加えて、エラストマーフィルム22は、伸縮的伸展性材料と、その伸縮的伸展性材料の表面に配置された少なくとも1つの皮膜との両方を含み、またこれらの材料は異なる弾性及び回復特性を有しているため、このプレ活性化プロセスは、これらの材料に対して異なる物理的改変を行う。プレ活性化中、皮膜と伸縮的伸展性材料は同様に伸張される(すなわち、同様のひずみ下におかれる)。しかしながら、伸長後、皮膜と伸縮的伸展性材料は異なった収縮及び回復を呈する(すなわち、異なる永久ひずみを有する)。伸縮的伸展性材料に比べると、この皮膜は弾性が低いため、伸長後の回復が少なく、すなわち、永久ひずみ値が大きい。更にこの皮膜は、伸縮的伸展性材料よりもはるかに薄いため、プレ活性化後に、より厚い伸縮的伸展性材料が収縮し回復すると、取り付けられている皮膜にも、一緒に収縮するよう強いる。けれども皮膜は伸縮的伸展性材料ほど回復できないため、皮膜は曲がり、しわが寄る。したがって、エラストマーフィルム22の断面形状及び平面的外観は、プレ活性化プロセス後に改変される。
【0045】
図2~5は、エラストマーフィルムの拡大断面図のSEM顕微鏡写真である。これらのSEM顕微鏡写真、並びに本明細書に含まれている他のSEM顕微鏡写真は、走査型電子顕微鏡(Hitachiモデル3500)で撮影された。個々の倍率及び距離を計算するための情報は、フレーム下側に沿って各SEM顕微鏡写真に含めた。図2は、プレ活性化されていないエラストマーフィルムの一部分の断面図を示す、倍率約900Xで撮影されたSEM顕微鏡写真である。皮膜は、断面図の上と下に違ったコントラストで見える薄いストリップの材料であり、この皮膜の間に、より厚い伸縮的伸展性材料がある。断面図の上側の皮膜は、その領域をよりクリーンに切断した断面図によって、より容易に識別される。プレ活性化なしの場合、皮膜、したがってエラストマーフィルムの外側表面は、断面図で実質的に滑らかである。図3は、図2のSEM顕微鏡写真に示す断面図の上の皮膜の、より高倍率の画像である(倍率約3500X)。
【0046】
図4は、プレ活性化されたエラストマーフィルムの一部分の断面図を示す、倍率約900Xで撮影されたSEM顕微鏡写真である。ここでも、皮膜は、断面図の上と下に違ったコントラストで見える薄いストリップの材料であり、この皮膜の間に、より厚い伸縮的伸展性材料がある。プレ活性化ありの場合、皮膜、したがってエラストマーフィルムの外側表面は、断面図でしわがよっている。図5は、図4のSEM顕微鏡写真に示す断面図の上の皮膜の、より高倍率の画像である(倍率約3500X)。
【0047】
図4及び5は、プレ活性化後、エラストマーフィルム22の皮膜が、隆起と溝とを有する複数のしわを含む様子を示す。例えば、図5の写真にある非限定的サンプルに示されているように、プレ活性化されたエラストマーフィルムの断面に沿って撮影された長さ約35μmの範囲に、様々な大きさの約6つの隆起と6つの溝がある。これを図3と比較すると、図3では、プレ活性化されていないエラストマーフィルムの断面に沿って撮影された長さ約35μmの範囲に、隆起も溝もない。しかしながら、図3に示すエラストマーフィルムの上表面に見られるように、1つ又は複数の不規則な隆起及び/又は溝が、プレ活性化されていないエラストマーフィルムの断面形状の特定の長さ範囲に存在してもよい。これらの不規則な隆起及び/又は溝は、エラストマーフィルム表面の不規則さによるものである。そのような不規則な隆起及び/又は溝は、機械的なプレ活性化プロセスによりエラストマーフィルムに意図的に形成された複数のしわの隆起及び溝と混同すべきではない。
【0048】
図6及び7は、エラストマーフィルムの拡大平面図の透過型光学顕微鏡写真である。透過型光学顕微鏡写真は、エラストマーフィルムサンプルの下から白色光を照らしながら、Evolution Mp5Cデジタルカメラを備えたNikon SMZ 1500双眼光学顕微鏡を用いてカラーで撮影した。図6及び7の下にある青い目盛は、ミリメートル刻みである。この目盛を使用して、透過型光学顕微鏡写真の固有の倍率と距離を計算した。図6は、プレ活性化されていないエラストマーフィルムの一部分の平面図を示す透過型光学顕微鏡写真である。プレ活性化なしの場合、エラストマーフィルムの観測可能な外側表面(すなわち皮膜の平面図)には、識別可能な縞はなく、均一な外観をしている。図7は、プレ活性化されたエラストマーフィルムの一部分の平面図を示す透過型光学顕微鏡写真である。プレ活性化ありの場合、皮膜の平面図には、機械的プレ活性化手段の噛み合いディスクの寸法とピッチ(下記の「伸張性積層体製造方法」に詳しく述べる)に関連して、様々な厚さの複数の縞が含まれる。この縞は、本明細書で活性化縞と呼ばれ、プレ活性化されたエラストマーフィルムのゾーンを示し、ここに、プレ活性化プロセス中の特定の範囲の伸張がある。例えば、図7の写真にある非限定的サンプルに示されているように、より高強度の皮膜しわを示す中程度厚さの濃い青色の縞と、中程度の皮膜しわを示す大きな厚さの薄い青色の縞と、低強度の皮膜皺を示す薄い白色の縞がある。
【0049】
加えて、プレ活性化後であるが、エラストマーフィルム22を伸張性積層体20の製造に利用する前に、このフィルムは所望により画像又はモチーフで印刷されて良く、これらは伸張性積層体のカバー層を透かして見ることができる。印刷に利用されるインク又はその他の顔料は、プレ活性化されたエラストマーフィルムのしわの隆起及び溝に沈着する。プレ活性化されたエラストマーフィルムの非平坦表面にインクを沈着させることにより、エラストマーフィルムとインクとの間の接触面積がより広くなる。したがって、プレ活性化されたエラストマーフィルムに印刷する際、プレ活性化されていないエラストマーフィルムのより滑らかな表面に印刷した画像に比べ、画像がより強力にフィルムに定着する。
【0050】
更に、伸張性積層体20が、機械的に活性化されたプレ活性化エラストマーフィルム(下記の「伸張性積層体製造方法」に詳しく述べる)を含む場合、フィルム上の変形されていない印刷画像が、フィルムに沿って均一かつ可逆的に伸張される。これは、画像が、プレ活性化されたエラストマーフィルム上に印刷される前に、エラストマーフィルム22の非弾性部分のかなりの部分又は全部が、プレ活性化プロセスにおいてすでに除去されているためである。換言すれば、印刷前に、エラストマーフィルム22から永久ひずみが除去されている。よって、印刷された画像は、伸張性積層体20を後で活性化しても、あるいはユーザーによりこの積層体を更に伸張させても、それ以上実質的に変形しない。これに対して、画像又はモチーフが、プレ活性化されていないエラストマーフィルムに印刷され、その印刷されたフィルムを伸張性積層体の製造に使用し、その伸張性積層体を機械的に活性化した場合、望ましい画像は、最終的に活性化された伸張性積層体において変形される。これは、エラストマーフィルムの永久ひずみが印刷プロセス前に除去されておらず、その永久ひずみが、製造された伸張性積層体の機械的活性化においてエラストマーフィルムから除去されるため、元の印刷画像を変形させてしまうからである。同様に、エラストマーフィルムに印刷してからプレ活性化した場合、エラストマーフィルムの永久ひずみが印刷プロセス前に除去されず、その永久ひずみが、プレ活性化プロセスにおいてエラストマーフィルムから除去されるため、元の印刷画像を変形させてしまう。
【0051】
別の一実施形態において、プレ活性化されたエラストマーフィルムは、フィルムの印刷中に再び伸張され得る。印刷されたフィルムは次に弛緩させて、伸張性積層体の製造及び活性化に使用される。結果として得られた活性化伸張性積層体は、伸張性積層体が使用中の伸張状態にあるときに(例えば、吸収性物品の適用又は除去の際にユーザーが伸張性積層体を伸張させるときに)、審美的に好ましい画像又はモチーフを有する。
【0052】
伸張性積層体20の製造において、カバー層24、26は、接着剤30、32を使用することにより、エラストマーフィルム22に取り付けられる。プレ活性化されていないエラストマーフィルムを利用する際、この接着剤は、接着のための比較的滑らかな表面を有する。図8は、プレ活性化されていないエラストマーフィルムを含む伸張性積層体の一部分の断面図を示す、倍率約900Xで撮影されたSEM顕微鏡写真である。皮膜は、顕微鏡写真の中ほどを横切る薄いコントラストで見えるストリップ材料であり、この皮膜の下に、より厚い伸縮的伸展性材料がある。皮膜の上に配置されているのは接着剤であり、これが更にカバー層に取り付けられている。この例示的な実施形態において、カバー層の繊維は、SEM顕微鏡写真の上部の、大きな円筒形の物体である。プレ活性化なしの場合、皮膜、したがってエラストマーフィルムの外側表面は、断面図で実質的に滑らかである。図9は、図8のSEM顕微鏡写真に示す、皮膜と接着剤との間の相互作用の、より高倍率の画像である(倍率約3500X)。
【0053】
図10は、プレ活性化されたエラストマーフィルムを含む伸張性積層体の一部分の断面図を示す、倍率約900Xで撮影されたSEM顕微鏡写真である。皮膜は、顕微鏡写真の中ほどを横切る違ったコントラストで見えるストリップ材料であり、この皮膜の間に、より厚い伸縮的伸展性材料がある。プレ活性化ありの場合、皮膜、したがってエラストマーフィルムの外側表面は、断面図でしわがよっている。皮膜の外側表面(すなわち、伸縮的伸展性材料に接していない表面)に配置されているのは接着剤であり、これは更にカバー層に取り付けられている。この例示的な実施形態において、カバー層の繊維は、SEM顕微鏡写真の上部及び下部の、大きな円筒形の物体である。プレ活性化されたエラストマーフィルムには、断面図において、しわのある非平坦な皮膜が含まれる。図11は、図10のSEM顕微鏡写真に示すエラストマーフィルムの上の皮膜の、より高倍率の画像である(倍率約3500X)。
【0054】
図4及び5にすでに示したように、図10及び11も、プレ活性化後、エラストマーフィルム22の皮膜が非平坦であり、隆起と溝とを有する複数のしわを含む様子を示す。エラストマーフィルム22をカバー層24、26に取り付けている接着剤30、32は、プレ活性化されたエラストマーフィルムの隆起及び溝内にわたって流動し得る。したがって、接着剤30、32は、エラストマーフィルム22の皮膜の溝内に配置される。これを図8及び9と比較すると、図8及び9では、接着剤が流れ込む溝が、エラストマーフィルムにない。プレ活性化されたエラストマーフィルムの溝に接着剤が流れ込むことにより、フィルムと接着剤との間の接触表面積が大きくなり、これにより、カバー層とフィルムとの間の結合がより強くなる。したがって、同じ量の接着剤を使用した場合、プレ活性化されていないエラストマーフィルムとカバー層との間の結合に比べると、プレ活性化されたエラストマーフィルムとカバー層との間の結合のほうが、より強い結合になる(例えば、より高い耐クリープ性を有する)。更に、プレ活性化されたエラストマーフィルムを採用した場合、プレ活性化されていないエラストマーフィルムとカバー層との間の前述の結合強度は、より少ない接着剤で達成することができる。
【0055】
プレ活性化された後に印刷されたエラストマーフィルムを含む伸張性積層体の実施形態において、印刷に利用されるインク又はその他の顔料は、フィルムのしわの隆起上及び溝の中に沈着する。上述のように、プレ活性化されたエラストマーフィルムの非平坦表面に沈着したインクは、エラストマーフィルムとインクとの間に追加の接触表面積が生じるため、(プレ活性化されていないエラストマーフィルムにインクが沈着した場合に比べて)、フィルムにより強力に定着する。エラストマーフィルム22をカバー層24、26に取り付けている接着剤30、32は更に、プレ活性化されたエラストマーフィルムの隆起及び溝内にわたって流動し得る。したがって、接着剤30、32は、プレ活性化されたエラストマーフィルム22の皮膜のインク及び/又は溝内にわたって配置される。更に、同じ量の接着剤を使用した場合、インクはより強力に、プレ活性化されたエラストマーフィルムに定着するため、プレ活性化されていない印刷済みエラストマーフィルムとカバー層との間の結合に比べると、プレ活性化され(及びその後印刷され)たエラストマーフィルムとカバー層との間の結合のほうが、より強い結合になる(例えば、より高い耐クリープ性を有する)。更に、プレ活性化され(及びその後印刷され)たエラストマーフィルムを採用した場合、プレ活性化されていない印刷済みエラストマーフィルムとカバー層との間の前述の結合強度は、より少ない接着剤で達成することができる。
【0056】
加えて、エラストマーフィルムをプレ活性化させることで、後でフィルムを伸張させるのに必要な力も(非活性化フィルムに比べて)低減される。これは、後で行う伸張性積層体の機械的活性化(下記の「伸張性積層体製造方法」に詳しく述べる)に役立つ。なぜなら、プレ活性化されたフィルムで製造された伸張性積層体を活性化するのに必要な負荷は、活性化されていないフィルムの場合に比べて、低くなるからである。
【0057】
例示的なイヤパネルと吸収性物品
上記に記述された伸張性積層体を用いて、吸収性物品のサイドパネルにおけるこの伸張性積層体の使用について記述する。具体的には、下記の例示的実施形態は、本明細書に記述される伸張性積層体から製造されたサイドパネルのイヤパネル部分を詳述する。下記に詳述するサイドパネルでの使用に加え、本明細書で記述される伸張性積層体は、パンツ型おむつ及びテープ型おむつの他のサイドパネル部分にも使用することができる。更に、伸張性積層体の使用が、吸収性物品の特定の領域に関して提案されているが、この伸張性積層体は他の領域にも使用できることが理解されよう。
【0058】
図12は、平らな、非収縮状態にある(すなわち、弾性誘導収縮がない)、例示的な使い捨て吸収性物品120の平面図である。物品の下にある構造をより明確に示すために、使い捨て吸収性物品120の一部が切り取られている。図示のように、着用者に接する使い捨て吸収性物品120の部分が観測者側を向いている(すなわち、物品の内部又は内側が示されている)。使い捨て吸収性物品120は、長手方向軸130及び横断方向軸132を有する。
【0059】
使い捨て吸収性物品120の一方の末端部は、物品の第1腰部領域140として構成される。その反対側の末端部分は、使い捨て吸収性物品120の第2腰部領域142として構成される。腰部領域140及び142は、一般に、着用時に着用者の腰部を取り囲む使い捨て吸収性物品120のこれらの部分を含む。腰部領域140及び142は伸縮性要素を含み、着用者の腰部周りで縮んで改善されたフィット性と封入性を提供してもよい。使い捨て吸収性物品120の中間部は、第1腰部領域140と第2腰部領域142の間で長手方向に延びる股領域144として構成されている。股領域144は、使い捨て吸収性物品120が着用されたときに、概ね着用者の脚の間に配置される物品の部分である。
【0060】
使い捨て吸収性物品120は、第1腰部領域140で横方向に延びる第1腰部縁部150と、第2腰部領域142で長手方向に対向して横方向に延びる第2腰部縁部152とを有する。使い捨て吸収性物品120は、第1側縁部154と、横方向に相対する第2側縁部156とを有し、これら両方の側縁部は、第1腰部縁部150と第2腰部縁部152との間で長手方向に延在する。第1腰部領域140の第1側縁部154の部分が154aで示され、股領域144の部分が154bで示され、第2腰部領域142の部分が154cで示されている。第2側縁部156の対応する部分はそれぞれ、156a、156b、及び156cである。
【0061】
使い捨て吸収性物品120は好ましくは、透水性トップシート160、非透水性バックシート162、及びトップシートとバックシートとの間に配置され得る吸収性アセンブリ又はコア164と含み、このトップシートは、バックシートに取り付けられている。トップシート160は、完全又は部分的に弾性であってよく、又は収縮されていてよい。弾性のある又は収縮されたトップシートを含む代表的な構造体は、米国特許第4,892,536号、同第4,990,147号、同第5,037,416号及び同第5,269,775号に、より詳細に記載されている。
【0062】
使い捨て吸収性物品120は、改良されたフィット感及び収容を提供しやすくする、少なくとも1つの弾性腰部機構170を含み得る。弾性腰部機構170は、弾力的に拡張及び収縮して着用者の腰部に動的に適合するように意図され得る。弾性腰部機構170は、吸収性物品150の腰部縁部(例えば縁部150)のうちの少なくとも1つから長手方向に外向きに延出していてよく、一般に、吸収性物品120の腰部領域(例えば領域140)の少なくとも一部分を形成する。おむつはしばしば、2つの弾性腰部機構170、172を有し、一方(170)を第1腰部領域140内に、一方(172)を第2腰部領域142内に配置されるように構築される。更に、弾性腰部機構170、172は、バックシート162に取り付け又は接合された伸張性積層体20から作製されてよい。あるいは、弾性腰部機構170、172は、吸収性物品の他の構成要素の延長として構成されてよく、例えばトップシート160、バックシート162、又はトップシートとバックシート両方の延長として構成されてよい(例えば、トップシート160又はバックシート162が伸張性積層体20のカバー層24、26の一方を画定する)。その他の弾性腰部機構は、米国特許第4,515,595号、同第4,710,189号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に記述されている。
【0063】
使い捨て吸収性物品120は、バックシート162に取り付けられたサイドパネル180、182を含み得る。いくつかの実施形態において、サイドパネル180、182は、イヤパネル184を含み得る。上述のように、サイドパネル180、182の1つ以上、又はそのようなサイドパネルの特定の部分(例えばイヤパネル184)は、伸張性積層体20から作製される弾性的に伸張可能なパネルであり得る。この構成は、弾性サイドパネル180、182が物品の側部を拡張及び収縮させるので、まず使い捨て吸収性物品120を着用者にぴったりとフィットさせ、物品が排出物で充填されてからかなり後の着用期間中もこのフィットを維持することによって、より快適で体形に合ったフィットを提供し得る。適用時に介護者が一方の弾性サイドパネル180を他方(182)よりもより遠くに引っ張っても、吸収性物品120は着用中に「自己調節」するので、サイドパネル180、182は、使い捨て吸収性物品120のより効果的な適用を提供し得る。使い捨て吸収性物品120は好ましくは第2腰部領域142に配置されたサイドパネル180、182を有しているが、この物品は、第1腰部領域140に配置されたサイドパネルが設けられてもよく、また前側腰部領域140と第2腰部領域142の両方に配置されたサイドパネルが設けられてもよい。
【0064】
使い捨て吸収性物品120は、イヤパネル184に配置された締結具190を含み得る。締結具190は更に、第1側縁部154の部分154cと第2側縁部156の部分156cとに隣接する第2腰部領域142内で、物品の内側に直接配置できる。締結具190は、相対する腰部領域の係合表面に対して押し付けたときに、着脱可能に取り付けられるような、任意の材料及び任意の形状で形成されてよい。例えば、主要締結要素は、係合表面と着脱可能に係合するような機械的締結具であってよく、例えば、不織シートの繊維で形成されたループに係合する複数のフックの方法によるものであってよい。あるいは、主要締結要素は、係合表面に着脱可能に接着する接着剤であってもよい。実際、締結具には、テープタブ、面ファスナー要素、相互係止締結具、例えば、タブ及びスロット、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は雌雄同体締結要素が挙げられ得る。例示的な表面締結システムは、米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に開示されており、一方、例示的な相互係止締結システムは、米国特許第6,432,098号に開示されている。また、締結システムは、米国特許第4,699,622号に開示されるように、一次及び二次締結システムも含んでもよい。加えて、例示的な締結具及び締結具配設、これらの締結具を形成する締結コンポーネント、並びに締結具を形成するのに好適な材料は、米国公開出願第2003/0060794号及び同第2005/0222546号、並びに米国特許第6,428,526号に記載されている。
【0065】
更に他のバリエーションも可能である。例えば、締結具190は、第1腰部領域140内で使い捨て吸収性物品120の内側に配置することができ、これにより、互いに締結されたときに、第1腰部領域140が第2腰部領域142に重なる。別の一例として、締結具190は、使い捨て吸収性物品120の内側ではなく外側に配置され得る。更なる一例として、締結具190は、締結具と協調するのに特に適した特定の係合締結表面(例えば、フック締結具と協働するループ層、又は、特定の接着剤用に好適な接触表面を提供するよう特殊処理された層)を備えて使用され得る。
【0066】
図13は、使用中を想定した形状の使い捨て吸収性物品120を示す。側縁部154の部分154cが開状態で示されており、これは例えば、閉じて締結する前、又は再び開けた後の状態である。相対する側縁部156の部分156cは閉じた状態で示されている。第2腰部領域142は、互いに締結されているとき、第1腰部領域140に重なる。あるいは、使い捨て吸収性物品120は更に、腰部領域を合わせて締結するのに使用できる、永久的又は再締結可能なサイドシームを含み得る。1つの例示的な実施形態により、このサイドシームは、プルオン型トレーニングパンツ又は使い捨てパンツのような物品を構成するのに使用し得る締結具(又は別の取り付け形態)であり得る。
【0067】
図14は、機械的に活性化された伸張性積層体20から製造されたイヤパネル184の例示的な一実施形態の平面図を示す。イヤパネル184は、長手方向に最も外側の第1横方向縁部50、長手方向に最も外側の第2横方向縁部51、内側端部52及び外側端部53を有する。伸張性積層体20の伸張ゾーン66は機械的に活性化され、伸張方向67に沿って弾性的伸展性である。伸張ゾーン66は、内側伸張ゾーン範囲86と外側伸張ゾーン範囲87との間に延在し得る。伸張ゾーン範囲86、87は、機械的活性化の領域が結合される内側線及び外側線に沿っていてよい。伸張ゾーン66の境界として、アンカーゾーン68、69がある。アンカーゾーン68は、内側伸張ゾーン範囲86と内側アンカーゾーン範囲88との間に延在し得る。アンカーゾーン69は、外側伸張ゾーン範囲87と外側アンカーゾーン範囲89との間に延在し得る。伸張性積層体20のアンカーゾーン68、69は、機械的活性化されていない。
【0068】
締結具190は、イヤパネル184と共に一体形成されてよく、又は別の材料から形成されてもよい。締結具190が別の材料から形成される実施形態において、締結具は、締結具取り付けゾーン71でイヤパネル184に取り付けられてよく、この締結具取り付けゾーンは、外側端部53と外側伸張ゾーン範囲87とを境界として有し得る。締結具は、任意の好適な方法で、イヤパネル184に取り付けることができ、これには、連続的又は断続的な接着剤接着、圧縮接着、熱接着、超音波接着、これらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。イヤパネル184は、サイドパネルと共に一体形成されてよく、又は別の材料から形成されてもよい。イヤパネル184が別の材料から形成される実施形態において、イヤパネルは、イヤパネル取り付けゾーン70でサイドパネルに取り付けられてよく、このイヤパネル取り付けゾーンは、内側端部52と内側伸張ゾーン範囲86とを境界として有し得る。イヤパネル184は、任意の好適な方法で、サイドパネルに取り付けることができ、これには、連続的又は断続的な接着剤接着、圧縮接着、熱接着、超音波接着、これらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
下記の「伸張性積層体製造方法」に詳しく述べるように、伸張性積層体20は、ウェブの方向に対して横断方向に積層体を伸張させることにより、機械的に活性化される。そのような伸張性積層体形成の技法は、一般に「ゼロひずみ」伸張性積層体形成と呼ばれる。ゼロひずみ伸張性積層体形成と、その結果として得られる伸張性積層体の例は、米国特許第4,116,892号、同第4,834,741号、同第5,143,679号、同第5,156,793号、同第5,167,897号、同第5,422,172号、及び同第5,518,801号に記述されている。本明細書に詳述される具体的なゼロひずみ伸張性積層体において、伸張性積層体20は、2つの形状ローラーの間のニップを通してガイドされてよく、各ローラーには少なくとも2つのディスクパケットが含まれ、これらは軸上に配置された複数の噛み合いディスクを有する。このプロセスは、一般的に「リング・ローリング」プロセスと呼ばれている。伸張性積層体20は、噛み合いディスクパケットによってその場で横断方向に伸張される。噛み合いディスクパケットにより伸張された伸張性積層体20の領域は、伸張ゾーン66と呼ばれる。ディスクパケットの間及び/又は外側のローラー部分において、形状ローラーは隙間を形成し、この隙間を通って、本質的に横断方向の伸張なしに、伸張性積層体20がガイドされる。噛み合いディスクパケットにより伸張されていない伸張性積層体20の領域は、アンカーゾーン68、69と呼ばれる。
【0070】
伸張ゾーン66においては、カバー層24、26の繊維が変性され、繊維の断裂及び再配置により不可逆的に伸張される。しかしながら、伸張性積層体20は、プレ活性化されたエラストマーフィルム22を含んでいるため、カバー層の間にあるエラストマーフィルムは、機械的活性化プロセス中に更に実質的に伸張されることがない(すなわち、伸張性積層体の活性化中に、フィルムに対して実質的な永久的変形量が加わらない)。換言すれば、エラストマーフィルム22は、伸張性積層体20の機械的活性化の前と後とで、横断方向の幅が実質的に同じである。これは、エラストマーフィルム22の非弾性部分(すなわち永久ひずみ値)のかなりの部分(又は全体)が、プレ活性化プロセスですでに除去されているからである。したがって、製造された伸張性積層体20の拡張性は、機械的活性化により、伸張ゾーン66において横断方向で(すなわち、長手ウェブ方向に対する横断方向で)向上する。活性化の後、最小限の力を印加するだけで、伸張性積層体20が横断方向に容易に拡張可能である。
【0071】
よって、機械的活性化された伸張性積層体20において(イヤパネル184及びその他の吸収性物品部品を製造するために使用される際)、エラストマーフィルム22は、伸張ゾーン66とアンカーゾーン68、69の両方で活性化される。プレ活性化されたエラストマーフィルムを含まない従来の伸張性積層体において、機械的活性化された伸張性積層体は、伸張ゾーン66において活性化されているが、アンカーゾーン68、69では活性化されていないエラストマーフィルムを含む可能性があった。したがって、アンカーゾーン内にあるエラストマーフィルムの部分は、複数のしわを含まない。更に、上から見た場合、アンカーゾーン内にあるエラストマーフィルムの部分は、複数の活性化縞を含まない。更に、プレ活性化されたエラストマーフィルムを含まない従来の伸張性積層体において、エラストマーフィルムをカバー層に接着する接着剤は、製造中に、伸張ゾーン66とアンカーゾーン68、69の両方に位置するフィルムの表面にある、しわのない表面と接触していた。本明細書に記述される伸張性積層体20では、エラストマーフィルム22をカバー層24、26に接着する接着剤30、32は、製造中に、伸張ゾーン66とアンカーゾーン68、69の両方に位置するフィルムの表面にある、複数のしわのある非平坦表面と接触しており、これにより、フィルムとカバー層との間の接着強度が増大する。
【0072】
伸張性積層体製造方法
図15の模式図は、本明細書に詳述される伸張性積層体を製造するための方法の例示的な一実施形態を説明するものである。この方法は、(上述の伸張性積層体の項で述べたように)、エラストマーフィルム1を提供する工程、及びプレ活性化する工程を含む。エラストマーフィルム1は、ウェブ方向に対して横断方向にフィルムを50%超伸張することにより機械的にプレ活性化される。いくつかの実施形態において、エラストマーフィルム1の初期幅に対して約100%~約500%の拡張が起こる。用語「伸張」は、エラストマーフィルム1の拡張が完全には可逆性ではなく、非弾性部分により、収縮後により大きな幅のフィルムがもたらされる(すなわち、逆拡張(reverse expansion))という事実を指すものである。拡張後、エラストマーフィルム1が収縮し、これは、フィルムの初期幅Bよりも約10%~約30%大きい幅Bを有する。したがって、エラストマーフィルム1は、プレ活性化プロセスにより、約10%~約30%の永久ひずみを有する。
【0073】
プレ活性化プロセスに関して、エラストマーフィルム1は、噛み合い形状ローラーのシステムを通ってガイドされてよく、各ローラーには、軸上に配置された複数の噛み合いディスクを有するディスクパケットが含まれる(すなわち、リング・ローリングプロセス)。エラストマーフィルム1は、噛み合いディスクパケットによって横断方向に伸張される。伸張は、均一であってよく、又はフィルムの幅にわたって変化していてもよい。プレ活性化プロセスは、変化するピッチで実行されてよく、及び/又は、変化する係合深さで実行されてもよい。プレ活性化プロセスは、機械方向で実行されてもよく、又は任意の他の方向で実行されてもよい。エラストマーフィルム1のプレ活性化は、伸張力プロファイルにプラスの効果を有し、これにより、大きな拡張面積にわたって製造された伸張性積層体の伸張動作を容易にするのに役立つ。更に、伸張性積層体の回復も、エラストマーフィルム1をプレ活性化することにより改善され得る。回復とは、伸張性積層体がその拡張限界まで伸張された後に、元の寸法まで戻る能力である。プレ活性化プロセス後にエラストマーフィルム1の回復が向上するのは、フィルムの永久ひずみの量が除去されるためである。
【0074】
プレ活性化後、エラストマーフィルム1をフィルムストリップ2に切断する前に、所望により、印刷ステーション11で、画像又はモチーフをフィルムに印刷することができる。この画像又はモチーフは、伸張性積層体のカバー層を透かして見ることができる。エラストマーフィルム1の印刷には、任意の既知の連続印刷方法を使用することができる。非限定的な例示的な印刷方法には、デジタル印刷、インクジェット印刷、及び回転印刷、特にフレキソ印刷が挙げられる。非限定的な一例として、印刷された画像又はモチーフは、エラストマーフィルム1のウェブ長手方向に延在する、平行な着色縞からなる縞モチーフであり得る。
【0075】
プレ活性化され、かつ所望により印刷されたフィルムは、次にフィルムストリップ2に切断される。フィルムストリップ2は、方向転換装置3でガイドされ、平行なストリップとして積層装置4に供給される。フィルムストリップ2は積層装置4で、フィルムストリップの上下に供給されるカバー層5、6の間に積層される(詳細は、上記の伸張性積層体セクションに詳述されている)。フィルムストリップ2及びカバー層5、6は、接着剤で合わせられ、又は熱装置で互いに接続されて、複合材料7(すなわち、本明細書に詳述される伸張性積層体材料の一実施形態)を形成する。図15に示すように、フィルムストリップ2は、カバー層5、6の間で互いに対してある距離をあけて積層される。カバー層5、6はよって、フィルムストリップ2の間の領域で、互いに直接接続される。したがって、弾性領域8、及び非弾性領域9が、複合材料7内に形成される。フィルムストリップ2の間の距離は、方向転換装置の位置調整により調節することができる。更に、フィルムストリップ間の非弾性領域9を強化するために、フィルムストリップ2の間に強化ストリップを積層できることが想到される。
【0076】
複合材料7は次に活性化装置10に供給され、ここで、ウェブの方向に対して横断方向に、弾性領域8の部分で複合材料が伸張される。伸張のため、複合材料7は、2つの形状ローラーの間のニップを通してガイドされてよく、各ローラーには少なくとも2つのディスクパケットが含まれ、これらは軸上に配置された複数の噛み合いディスクを有する。複合材料7は、噛み合いディスクパケットによってその場で横断方向に伸張される。噛み合いディスクパケットにより伸張された複合材料7の領域は、伸張ゾーンと呼ばれる。ディスクパケットの間及び/又は外側のローラー部分において、形状ローラーは隙間を形成し、この隙間を通って、本質的に横断方向の伸張なしに、複合材料7がガイドされる。噛み合いディスクパケットにより伸張されていない複合材料7の領域は、アンカーゾーンと呼ばれる。伸張ゾーンにおいては、カバー層5、6の繊維が変性され、繊維の断裂及び再配置により不可逆的に伸張される。したがって、複合材料7の拡張性は、伸張ゾーンにおいて横断方向で(すなわち、長手ウェブ方向に対する横断方向で)向上する。活性化の後、最小限の力を印加するだけで、複合材料7が横断方向に拡張限界まで容易に拡張可能であり、この拡張限界は、活性化装置10の伸張によってプレセットされる。
【0077】
従来型の不織材料をカバー層として利用する場合、エラストマーフィルム1のプレ活性化は置き換えることができないが、複合材料7の機械的活性化を追加することだけができる。したがって、エラストマーフィルム1がプレ活性化された場合であっても、積層されたエラストマーフィルムストリップを介して弾性を付与される領域(すなわち伸張ゾーン)で、複合材料7をウェブ方向に対して横断方向に伸張することが必要である。しかしながら、伸展性不織材料をカバー層として使用するいくつかの複合材料7の実施形態があり得、よって、複合材料を必ずしも活性化する必要はない可能性がある。
【0078】
本明細書で開示される印刷済み伸張性積層体の製造において、エラストマーフィルム1には画像又はモチーフが印刷され、これは、複合材料7のカバー層5、6の少なくとも一方を透かして見える。エラストマーフィルム1が印刷と共に提供されることにより、複合材料7の弾性領域に対する印刷モチーフの正しい整列が常に確認される。加えて、複合材料7を伸張すると、印刷画像が均一かつ可逆的に、それに沿って伸張される。更に、印刷モチーフは、複合材料7の前側並びに後側を透かして見えるようにすることができ、これによって、複合材料はその前側も後側も同様に、視覚的に魅力的にすることができる。
【0079】
試験方法
T型剥離試験
以下に記載されている各試験調製方法では、手、皮膚、又はその他の汚染表面と接触させないように、接着体及び被着体を慎重に取り扱わなければならない。未加工紙の清潔なシートを用いて、サンプルの調製中に接着体及び被着体の表面を保護してもよい。この方法を用いて、接着剤を用いて接着体と被着体との間に形成される結合部のT型剥離強度を測定する。
【0080】
サンプル調製-T型剥離試験用サンプルの調製法は、材料が別個のウェブとして入手可能であるか、又は製品内に組み込まれているかによって変わることになる。
【0081】
別個のウェブとしての材料:図16及び17は、下記の方法に従って形成された接着サンプルを示す。図17は、図16の線17-17に沿った断面図である。
【0082】
近位縁840を有する受容サンプル812について、被着体814(すなわちプレ活性化されたフィルム又は活性化されていないフィルム)を、切断ダイを用いて寸法を調節し、材料の横断方向(機械方向に対して垂直方向)に幅7.62cm(3”)、材料の機械方向に長さ20cm(7.9”)の、長方形受容サンプルを作製する。被着体814を形成する材料は、ひだ(すなわち、被着体814自体の折り目又はしわの領域)がないものとする。被着体814はエラストマーであるため、受容サンプルは、同様の寸法のポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(PETフィルム、200ゲージ、X-Clear)810片を裏打ちする。これには、両面テープ(例えば、Avery Denninson Corp.(Painesville,OH)から入手可能なFT 239、又は3M(St.Paul,MN)から入手可能な9589)を使用する。この接着サンプルに、2kg(4.5ポンド)のHR-100 ASTM 80ショア硬さのゴム面ローラー(幅5.08cm(2”))を転がす。ローラーは、接着領域全体にわたって、1回転がす。接着サンプルは、ひだ(すなわち、接着サンプル自体の折り目又はしわの領域)がないものとする。
【0083】
Fullerから入手可能な接着剤H2861を、剥離紙(例えば、Fox River Associates,LLC.(Geneva,IL)からサプライヤーコードHV100-473/473として入手可能な両面シリコーンコーティングペーパー)の上に坪量7gsmでらせん状にスプレーする。らせん状スプレーは、直径約12mmで、機械方向長さ1mm当たり3つのらせん密度とし、互いに最小限(1mm未満)の重なりで隣接させる。そのように接着剤をスプレーした剥離紙のシートを、機械方向に7.62cm、横断方向に20cmの寸法に切断する。接着剤側が被着体814を向いた切断サンプルを、被着体814の上に適用する。この被着体はPETフィルム810で裏打ちされている。この接着サンプルに、2kg(4.5ポンド)のHR-100 ASTM 80ショア硬さのゴム面ローラー(幅4.45cm(1.75”))を転がす。ローラーは、サンプル幅にわたって、1回転がす。接着サンプルから剥離紙を剥がし、被着体814に接着剤層816を残す。このようにして作製された受容サンプル812を、下記の嵌合サンプル822との接着に使用する。より大きな寸法の材料で受容サンプル812を作製してから、7.62cm×20cmに寸法を調節できることが理解されよう。
【0084】
嵌合サンプル822について、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムの幅7.62cm(3”)×長さ20cm(7.9”)の接着体828片が使用された。接着体828は、ひだ(すなわち、接着体828自体の折り目又はしわの領域)がないものとする。
【0085】
嵌合サンプル822は、接着表面上の接着剤で受容サンプル812に接着される。接着作業は、調理台のような平らで清潔な剛体面上で行う。嵌合サンプル822は、サンプルにひだができないように、受容サンプル812の上の接着剤層816に適用する。接着層816を接着体828上の中央に置き、接着体828の長手方向縁部が、被着体814及び接着層816の長手方向縁部と実質的に平行になるようにする。受容サンプル812の近位縁840を嵌合サンプル822の近位縁842と揃える。受容サンプル812の近位縁840及び嵌合サンプル822の近位縁842を試験計器のグリップ内に容易に配置できるように、受容サンプル812及び嵌合サンプル822はそれぞれ、これらサンプルの結合部分を少なくとも25ミリメートル超えて延びていなければならない。剥離紙830(例えば、Fox River Associates,LLC.(Geneva,IL)からサプライヤーコードHV100-473/473として入手可能な両面シリコーンコーティングペーパー)の小片を、接着層816(近位縁840に隣接している)と接着体828(近位縁842に隣接している)との間に配置する。剥離紙830は、層816と828との間に数ミリメートル挿入する(すなわち、合計結合長の10%以下)。接着したサンプルに、幅5.72cm(2.25”)の5.0kg(11lb)鋼面ローラー(4983GR、RDL-0960-1、J-2004)を転がす。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約10mm/秒の速度で、サンプルに対して行う。ゴムの幅(5.72cm(2.25”))はサンプルの幅(7.62cm(3”))よりも狭いため、サンプルの残りの幅にもストロークを繰り返す。接着面積は、幅約7.62cm(3”)×長さ約20cm(7.9”)(すなわち、嵌合サンプルと同じ面積)でなければならない。
【0086】
T型剥離試験については、幅2.54cm(1”)×長さ20cm(7.9”)のサンプルを、ダイカットを用いて接着サンプルから切断する。このサンプルを、下記の方法を用いて剥離する。
【0087】
T型剥離法では、その他の寸法の接着サンプルも使用し得ることが、当業者には理解されよう。受容及び嵌合部材の寸法は、上に列挙したものと異なってよいが、結合幅(すなわち、サンプルを引張試験機内に取り付けてから、グリップ幅と実質的に平行に測定される結合面積の幅である結合幅)2.54cm(1インチ)ごとに記録したT型剥離力の結果を標準化するには、効果的な結合面積を用いなければならない。
【0088】
製品に組み込まれる材料:製品にあらかじめ接着される材料が、調製サンプルとして使用された。T型剥離試験を行うために、可能な場合には、接着材料を製品から切断する。しかし、被着体(この場合はしわの寄ったフィルム)及び/又は接着体が他の材料に向かい合わせの形体で接合されている場合には、被着体と他の材料又は接着体と他の材料との間の向かい合わせの形体を保たなければならない。製品からの材料の除去は、材料の一体性を保持するように行わなければならない(例えば、被着体及び接着体を恒久的に変形させたり又は相互から剥離させたりしてはならない)。T-剥離試験のためにサンプルを取り付ける前に、受容及び嵌合表面を約1~5mm離して、剥離を開始さなければならない。被着体を含むサンプル部分は受容サンプル812であり、接着体を含むサンプル部分は嵌合サンプル822である。受容サンプル812の近位縁840及び嵌合サンプル822の近位縁842を試験計器のグリップ内に容易に配置できるように、受容サンプル812及び嵌合サンプル822はそれぞれ、これらサンプルの接着部分を少なくとも25ミリメートル超えて延びていなければならない。T-剥離試験は、以下の方法の部分に記載されているように、結合材料の上で行わなければならない。剥離角度は剥離力に影響を及ぼす可能性があることは、当事者であれば分かるはずである。剥離中、剥離角度は約180度に維持すべきである(すなわち、接着体と被着体が互いに反対方向に引っ張られる)。更に、接着体又は被着体がエラストマーである場合には、試験基材の伸縮を防ぐために、同じ寸法のシートの2mil(0.05mm)のPETフィルムで接着体又は被着体を裏打ちしなければならない。
【0089】
試験条件-T型剥離試験方法は、22℃±2℃、及びRH 50%±10%の空調室内で行う。この試験に適した計器としては、Instron Engineering Corp.,(Canton,Mass.)から市販されている引張試験機(例えばInstron 5564)又はMTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minn.)から市販されている引張試験機(例えばAlliance RT/1若しくはSintech 1/S)が挙げられる。下記の手順は、Instron 5564を用いるときの測定を示している。機器は、試験パラメータを制御し、データ取得及び計算を行い、グラフ及びデータ報告を提供する、Instron(登録商標)Merlin(商標)材料試験ソフトウェアを搭載したコンピュータに接続される。計器は、50Hzのデータ収集速度に設定する。得られたグラフのいずれも、計器の平均値(整数)設定を用いてプロットする。測定する力が、ロードセルの容量、又は使用する負荷範囲の10%~90%になるように、ロードセルを選択する(例えば、典型的には10N~100Nのロードセル)。計器を、製造者の指示に従って少なくとも0.1%未満の精度に較正する。計器は、固定グリップ及び可動グリップの2つのグリップを有する。使用するグリップは、サンプルよりも幅が広く、典型的には、幅5.08cm(2インチ)のグリップを使用する。グリップは、空気圧式グリップであり、全体的な保持力を試験応力の方向に垂直な平面に沿って集中させるように設計されている。保持力の線の間の距離(すなわち、標点距離)は、2.54cm(1”)に設定する。装備品及びグリップの質量を補正するために、計器上の負荷読み取り値がゼロにされる。受容サンプル812の近位縁840が可動グリップ内に位置し、嵌合サンプル822の近位縁842が固定グリップ内に位置するように、接着サンプルを搭載する。グリップ間における受容サンプル812又は嵌合サンプル822のたるみの量が最小限になるように、結合サンプルを搭載する。たるみがなく、かつ測定される荷重が0.00ニュートン~0.02ニュートンであるような様式で、試料をグリップ内に装着する。
【0090】
305mm/分(12インチ/分)のクロスヘッド速度を利用して、受容サンプル812を嵌合サンプル822から分離させる。平均負荷は、約25mm(約1”)~約160mm(約6.26”)の変位間の平均負荷として算出する。サンプルの調製の部分に示されている寸法と一致しないサンプルでは、サンプル長の約25%~約87.5%のクロスヘッド伸張度から得られた負荷から平均負荷を算出する。例えば、サンプルが長さ10cm(4”)である場合、平均負荷はサンプル長さ約2.54cm(1インチ)~8.9cm(3.5”)で算出する。標準化負荷(N/cm)=平均負荷(N)÷初期結合幅(cm)の式によって、平均負荷を標準化する。幅2.54cm(1”)のサンプルの場合、平均負荷を2.54cmで割って、標準化負荷を得る。良好な平均剥離力を得るには、Nが少なくとも3のサンプル数を評価する。
【0091】
ヒステリシス(%永久ひずみ)試験:
この方法は、平らなフィルム形状を含むエラストマーの特性を決定するのに使用され、これを、エラストマー組成物を含む製品の加工中に被る製品寸法の伸びと対応させることができる。ヒステリシス試験方法は、室温(22~25℃)にて実施される。試験される材料は、材料の横断方向で、実質的に直線形状に切り取られる。試料の寸法は、機器に適切な力によって、必要なひずみが得られるように選択されるべきである。好適なサンプル寸法は幅約25.4mm(伸張に対して垂直な、機械方向)×長さ約76.2mm(伸張方向、横断方向)である。本試験における好適な計器には、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minn.)(例えば、Alliance RT/1又はSintech 1/S)、又はInstron Engineering Corp.(Canton,Mass.)からの引張試験機が挙げられる。Alliance RT/1又はSintech 1/Sのいずれかの計器が上記に記載されている。
【0092】
次の手順は、上のサンプル寸法及びAlliance RT/1又はSintech 1/Sのいずれかを使用するときの測定を示す。計器をコンピュータと接続する。TestWorks 4(登録商標)ソフトウェアが、試験パラメータを制御し、データ獲得及び計算を実施して、グラフ及びデータの報告を提供する。
【0093】
試験に使用されるグリップは試料よりも幅が広い。幅5.08cm(2インチ)のグリップを使用することができる。グリップは、全把持力を試験応力の方向に垂直な単一の線に沿って集中させるように設計された、1つの平坦面と対向面を有する空気圧式のグリップであり、対向面からは、試料の滑りを最小限に抑えるための半円形(半径=6mm)が突出している(部品番号:56-163-827、MTS Systems Corp.)。
【0094】
ロードセルは、測定される力がロードセルの容量の10%~90%、又は使用される荷重範囲となるように選定される。25ニュートンのロードセルを用いてもよい。装備品及びグリップが取り付けられる。計器が、製造者の指示書に従って較正される。把持力線の間の距離(ゲージ長さ)は、25.4mm(1インチ)であり、別途明記されない限り、グリップの脇に保持される鋼定規で測定される。装備品及びグリップの質量を補正するために、計器上の負荷読み取り値がゼロにされる。試料の質量、厚さ、及び坪量が、試験前に測定される。別途明記されない限り、たるみがなく、かつ測定される荷重が0.00ニュートン~0.02ニュートンであるような様式で、試料をグリップ内に装着する。測定を22℃で行うために、計器を温度制御された部屋に設置する。
【0095】
フィルムサンプルのヒステリシス試験方法は、以下の工程を含む(すべてのひずみは工学的ひずみである):
(1)毎分25.4cm(毎分10インチ)の一定したクロスヘッド速度で、保持することなく、サンプルに500%のひずみを与える。
(2)保留なしの毎分25.4cm(毎分10インチ)の一定のクロスヘッド速度で、ひずみを0%ひずみまで低減させる(すなわち、グリップを元の2.54cm(1インチ)のゲージ長さに戻す)。
(3)サンプルを1分間、0%ひずみに保持する。
(4)サンプルを、0.05Nの力で、毎分13mm(毎分0.51インチ)の一定したクロスヘッド速度で引っ張り、次に同じクロスヘッド速度でゼロひずみに戻してから、材料の永久ひずみを測定する。サンプルの永久ひずみ又は伸びが、ゲージ長さを変化させる。この方法により、最大0.05Nの力に対する伸びを、元のゲージ長さ25.4mmに加えて、新しいゲージ長さを計算する。
(5)毎分25.4cm(毎分10インチ)の一定したクロスヘッド速度で、新しいゲージ長さに基づき、サンプルに200%のひずみを与える。
(6)200%ひずみで30秒間保持する。
(7)毎分25.4cm(毎分10インチ)の一定したクロスヘッド速度で、0%ひずみにする。
【0096】
この方法で、各サンプルについて新しいゲージ長さが報告され、これは、500%のひずみを与えてから、0%ひずみに1分間保持した後の、サンプルの新しい長さである。新しいゲージ長さは、下記のように、材料の%永久ひずみを計算するのに使用される。
%永久ひずみ=100(新しいゲージ長さ-元のゲージ長さ)/元のゲージ長さ
【実施例
【0097】
T型剥離実施例:
実施例1:活性化されていないフィルムKC 6282.810(Mondi GmbH(Gronau)から入手、40μm)を被着体として使用した。このフィルムは、ブローンフィルム押出プロセスを用いて、弾性ポリオレフィン樹脂で製造されたものである。弾性ポリオレフィンフィルムがコアであり、その両側の皮膜が可塑性ポリオレフィンの、3層構造になっている。このフィルムを、両面テープを用いてPETフィルムに接着した。T型剥離サンプルは、上記の方法の記述に従い、H2861接着剤及びPETを用いて作製した。
【0098】
実施例2:実施例1で使用したフィルムが、Weberらの米国特許第5143679号、同第5156793号、及び同第5167897号の記述による漸増式伸張プロセスを用いてプレ活性化させた。6mmの係合深さで、0.381cm(0.150”)ピッチのロールを用いて、横断方向にプレ活性化された。これにより、本明細書に記述及び図示されるように、フィルム皮膜にしわが形成された。プレ活性化されたフィルムを被着体として使用し、上述の方法に従ってT型剥離サンプルが作製された。このサンプルを、機械方向(すなわち、活性化ラインに対して平行な方向)に剥離されるように取り付けた。
【0099】
両方のサンプル(すなわち、実施例1及び2)を、上述の方法に従ってT型剥離を行った。剥離の際、被着体に適用された接着剤が完全に剥がれ、接着体PETに移動していた。これは、両方のサンプルについて同じであった。このことは、T型剥離の力が、接着剤と接着体PETとの間の接着破断ではなく、接着剤と被着体との間の接着破断を起こしたことを示すものである。図18は、実施例2のサンプルのT型剥離データ曲線を示す。下記の表1に示す2つのサンプルのT型剥離力データにおいて、接着力の違いが明らかとなった。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例2のプレ活性化されたフィルムは、活性化されていない実施例1のフィルムに比べ、より高い接着力を示した。試験された両方のサンプルとも幅2.54cm(1”)であったが、プレ活性化されたサンプルのしわにより、非活性化フィルムよりも大きな接着表面が提供されている。フィルムの波形表面(皮膜のしわ)には、隆起と溝がある。接着工程で接着剤がこの溝に押し込まれると、接触点が増大し、よって接着面積が増大する。
接着面積が大きくなると、剥離力の増大につながる。伸張積層工程では、接着剤適用の後にニッピングを使って、より強力な接着を形成する。したがって、フィルム表面に溝及び隆起を有することで、接着特性が強化される。
【0102】
T型剥離はしばしば、製品の丈夫さの指標となっている。本明細書で検討されている製品は、弾性フィルムと基材との間に0.5N/cmを超える剥離力が必要である。フィルムと基材との間の接着力が良好であることにより、製品使用中に基材又はフィルムの剥がれが防止される。実施例2は、T型剥離力が約14%の増加を示している。このT型剥離力の増加により、しわのよったフィルム(しわは、プレ活性化により得られたもの)では、実施例1の平らなフィルムで使用する接着剤の量に比べ、同じ性能を達成するのに、より少ない量の接着剤利用で済むことになる。本明細書で想到されるプレ活性化された伸張性積層体の実施形態において、上述のT型剥離方法で測定される剥離力は、約0.5N/cm以上、より好ましくは約0.6N/cm以上である。
【0103】
ヒステリシス(%永久ひずみ)実施例
実施例3:Kurarayから入手したスチレン系ブロックコポリマー樹脂21J(412-10225)を、Berstorff押出成形機ZE25を用いて押出成形し、フィルムを製造した。幅25.4cmのコートハンガー成形フィルムダイを使用して、配合されたエラストマー混合物を薄いフィルムに形成し、フィルムテークオフ装置を配置して押出成形物を受け取り、これを両面シリコーンコーティングされた剥離紙の上に収集し、ボール紙のロールに巻き取る。本明細書のデータ生成のため、単層フィルムが、約232℃(450°F)、約35gsm、超低速(約5cm/s(10ft/分))で押出成形される。このフィルムを254mm成形フィルムダイから収集し、中央部の127mmをサンプル調製に使用する。
【0104】
実施例4:ポリオレフィン系エラストマーVistamaxx 6102(Exxon
Mobilから入手可能)を、Berstorff押出成形機ZE25を用いて押出成形し、フィルムを製造した。このフィルムは、実施例3と同じセットアップを用いて押出成形された。単層フィルムが、約232℃(450°F)、約35gsm、超低速(約5cm/s(10ft/分))で押出成形された。
【0105】
ヒステリシス分析のため、両方のサンプルをフィルムの中央部から切り出し、パフォーマンスに対する縁の影響を取り除いた。各実施例について、横断方向に8cm(3”)、機械方向に2.54cm(1”)の寸法の、5つのサンプルが切断された。単層弾性フィルムは取り扱いがより難しく、しばしば取り扱いの前にパウダー(コーンスターチ又はタルク)適用が行われる。これらのサンプルを次に、上述のヒステリシス方法に従って分析した。この方法では様々なパフォーマンスパラメーターが測定されたが、下記の表2では材料の%永久ひずみ値を列記する。
【0106】
【表2】
【0107】
ポリプロピレンから製造された新しいクラスのポリオレフィン材料は、弾性性質を示す。しかしながらこれは、スチレン系ブロックコポリマーから製造された従来型エラストマーに比べて、非常に高い永久ひずみを呈する。弾性フィルム及び非弾性不織材料から製造された伸張性積層体はしばしば、弾性を得るために、機械的活性化を必要とする。機械的活性化は、最も一般的には、横断方向に行われる。活性化の際、弾性フィルムが高い永久ひずみを示す場合、活性化後のプロセスが不安定になる。伸長されたウェブプロセスを取り扱うには、しばしば高価な装置とより広いスペースが必要になる。より重要なこととして、横断方向にウェブが伸長すると、プロセスの信頼性と速度が低下する。リング・ローリングプロセスと伸張性積層体製造プロセスには、スチレン系ブロックコポリマーのフィルムが一般的に使用される。実施例3の表2に示すように、そのようなプロセスに使用されるスチレン系ブロックコポリマーフィルムは、ヒステリシス方法の記述に従って500%までひずみを与えた場合、20%~25%、最大30%の永久ひずみを示す。一方、実施例4の新世代の弾性ポリプロピレンフィルムは、約55%の永久ひずみを示す。そのように高い永久ひずみを有するフィルム又は積層体ウェブは、ウェブ取り扱いを難しくし、新たな資本投下が必要になる。しかしながら、この問題は、フィルムをプレ活性化することにより対処できる。材料の永久ひずみが、事前のひずみ提供により誘導されると、その後の活性化工程での永久ひずみが少なくなる。加えて、弾性ポリオレフィン材料は、プレ活性化後のヒステリシス特性が、プレ活性化前に比べて優れている。本明細書で想到されるプレ活性化された伸張性積層体の実施形態において、上述のヒステリシス方法で測定される%永久ひずみは、約30%以上、好ましくは約35%以上である。
【0108】
本明細書に開示した大きさ及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような大きさのそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0109】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において、本明細書に参照として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものであると解釈すべきではない。本文献における用語の意味又は定義が、参照して援用された文献における同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合には、本文献における当該用語に割り当てられた意味又は定義が優先するものとする。
【0110】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18