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特許7178478分散予測によって電力網を最適化するための技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】分散予測によって電力網を最適化するための技術
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20221117BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20221117BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221117BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20221117BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J13/00 301B
H02J3/38 120
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/38 170
G06Q50/06
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021500035
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019040719
(87)【国際公開番号】W WO2020010326
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】62/694,431
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,カール・エリック
(72)【発明者】
【氏名】アーチャーリャ,ミトゥン・ピィ
(72)【発明者】
【氏名】スマイリー,カレン・ジェイ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0024034(US,A1)
【文献】特開2011-166884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0323390(US,A1)
【文献】特開2010-124644(JP,A)
【文献】国際公開第2014/122929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
H02J 3/38
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
コンピュータ装置が、前記コンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することと、
前記コンピュータ装置が、前記コンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の将来状態を予測することと、
前記コンピュータ装置が、他の電力網コンポーネントに関連付けられた他のコンピュータ装置と通信することによって、前記予測に基づいて、前記コンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することとを含み、
前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記挙動を協議することは、前記コンピュータ装置がセントラルコントローラから受信した1つ以上の制約が、前記予測と競合するかどうかを判断することを含む、方法。
【請求項2】
前記コンピュータ装置は、他の電力網コンポーネントに関連付けられた前記他のコンピュータ装置と無線通信することによって、前記予測に基づいて、前記コンピュータ装置に関連付けられた前記電力網コンポーネントの挙動を協議する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各コンピュータ装置は、自身に関連付けられた電力網コンポーネントに通信可能に連結され、または各コンピュータ装置は、自身に関連付けられた電力網コンポーネントと一体化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の測定値を取得することは、前記関連付けられた電力網コンポーネントに取り付けられた1つ以上のセンサから測定値を受信することを含み、
特に前記1つ以上のセンサは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、風速センサ、および湿度センサのうち少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の測定値を取得することは、前記関連付けられた電力網コンポーネントの電力消費量、前記関連付けられた電力網コンポーネントの電力生成量、または1つ以上の局所気象状況のうち少なくとも1つの測定値を取得することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータ装置が前記他のコンピュータ装置から前記他の電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を受信することをさらに含み、
特に受信した前記測定値は、前記他の電力網コンポーネントの電力消費量データ、電力生成量データ、および局所気象データのうち少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータ装置によって予測された前記電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記将来状態は、将来の1~60分間の状態または将来の1分未満の状態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の状況の前記将来状態を予測することは、時系列予測を使用することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の状況の前記将来状態は、取得した前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記測定値、取得した前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記測定値および受信した前記他の電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記測定値、取得した前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記測定値および前記1つ以上の状況に関連する履歴データ、または取得した前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記測定値、受信した前記他の電力網コンポーネントの前記1つ以上の状況の前記測定値および前記1つ以上の状況に関連する履歴データのうち1つに基づいて予測される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記予測に基づいて、前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記挙動を協議することは、前記関連付けられた電力網コンポーネントおよび前記他の電力網コンポーネントを含む電力網のサブセクションを局所的に最適化することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電力網の前記サブセクションを局所的に最適化することは、前記関連付けられた電力網コンポーネントおよび前記他の電力網コンポーネントからの総電力生成量を最大化すること、前記関連付けられた電力網コンポーネントおよび前記他の電力網コンポーネントに関連する総エネルギーコストを最小化すること、前記関連付けられた電力網コンポーネントおよび前記他の電力網コンポーネントに関連する総エネルギー損失を最小化すること、または前記関連付けられた電力網コンポーネントおよび前記他の電力網コンポーネントの利用可能性を最大化することのうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記挙動を協議することは、前記コンピュータ装置が自律エージェントを実行すると、前記自律エージェントが、仮想市場において、取引アルゴリズムに従って、他のコンピュータ装置によって実行される他の自律エージェントと協議することまたは前記コンピュータ装置がニューラルネットワークを実行することのうち少なくとも1つを含み、
特に前記ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、ラジアル基底関数ニューラルネットワーク、クローン自己組織化ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーニューラルネットワーク、および物理ニューラルネットワークのうち1つを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記関連付けられた電力網コンポーネントは、分散型エネルギー資源であり、
特に前記分散型エネルギー資源は、再生可能なエネルギー源からの電力を電力網に供給し、または前記分散型エネルギー資源は、太陽電池パネルアレイ、風力タービン、水力発電所、バイオマス発電所、地熱発電所、および水素燃料電池発電所のうち少なくとも1つを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記関連付けられた電力網コンポーネントは、前記他の電力網コンポーネントに電気的に接続される配電変電所である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
記1つ以上の制約は、電力制約、経済制約、気象制約、および時間制約のうち少なくとも1つを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記コンピュータ装置が前記セントラルコントローラから上書きコマンドを受信することと、
前記コンピュータ装置が前記上書きコマンドを実行することとをさらに含み、
特に前記上書きコマンドは、前記関連付けられた電力網コンポーネントの電力消費量を低減するためのコマンド、前記電力網から前記関連付けられた電力網コンポーネントを切り離すためのコマンド、および前記関連付けられた電力網コンポーネントの前記挙動の前記協議を停止するためのコマンドのうち1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記他の電力網コンポーネントに関連付けられた前記他のコンピュータ装置と通信することは、第1サブセットの前記他のコンピュータ装置と通信することによって、前記第1サブセットの前記他のコンピュータ装置と協議することを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記他の電力網コンポーネントに関連付けられた前記他のコンピュータ装置と通信することは、前記第1サブセットの前記他のコンピュータ装置と無線通信した後、第2サブセットの前記他のコンピュータ装置と無線通信することによって、前記第2サブセットの前記他のコンピュータ装置と協議することをさらに含み、
特に前記コンピュータ装置は、前記第1サブセットの前記他のコンピュータ装置との協議が前記コンピュータ装置の最適化計画を満たしていないことに応答して、前記第2サブセットの前記他のコンピュータ装置と通信する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記協議することは、前記コンピュータ装置が、前記コンピュータ装置の含まれるサブセクション内の、他の電力網コンポーネントに関連付けられた他のコンピュータ装置と通信することによって、前記予測に基づいて、前記コンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することを含み、
前記方法は、前記コンピュータ装置が、前記協議の結果に基づいて、他のサブセクションに属する電力網コンポーネントに関連付けられたコンピュータ装置と協議するかどうかを判定することをさらに含む、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記コンピュータ装置が、最適化計画を決定することをさらに備え、
前記協議することは、前記コンピュータ装置が、前記最適化計画を実行するために、前記予測に基づいて、前記コンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することを含む、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
複数の命令を格納するための1つ以上の機械可読媒体であって、前記命令は、コンピュータ装置によって実行されると、前記コンピュータ装置に、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を実行させる、機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2018年7月5日に出願された米国仮特特許出願第62/694431号の利益および優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、分散予測によって電力網の動作を最適化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
従来の送電網の動作は、集中型方法で制御される。電力網からの測定値は、収集され、セントラルコントローラに送信される。セントラルコントローラは、データを処理し、電力生成を最適化するための計画を策定する。その後、セントラルコントローラは、計画を実行するための命令を全ての電力網コンポーネントに送信する。
【0004】
しかしながら、電力網の複雑性および規模の増加によって、従来の方法はもはや実現できなくなった。太陽電池パネルおよび風力タービンなどの分散型エネルギー資源(DER)が増えており、不安定であるため、電力網の不規則性が高くなっている。現在の電力網は、分単位の制御および最適化を必要とするが、集中型方法に起因する遅延によって、このような精度を提供することができない。現在の送電システムの規模では、従来の技術を実施することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示の一態様によれば、電力網は、複数の電力網コンポーネントと、複数の電力網コンポーネントのうち1つに各々関連付けられた複数のコンピュータ装置とを含んでもよい。複数のコンピュータ装置の各コンピュータ装置は、(i)関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況(condition)の測定値を取得し、(ii)関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の将来状態を予測し、および(iii)予測に基づいて、複数のコンピュータ装置のうち他のコンピュータ装置と無線通信することによって、関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議するように構成されてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ装置の各コンピュータ装置は、複数の電力網コンポーネントのうち1つに通信可能に連結されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ装置の各コンピュータ装置は、複数の電力網コンポーネントのうち1つと一体化されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、電力網は、複数の電力網コンポーネントに連結された複数のセンサをさらに含んでもよい。関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、複数のセンサのうち1つ以上から1つ以上の状況の測定値を受信することを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、複数のセンサは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、風速センサ、および湿度センサのうち1つ以上を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、関連付けられた電力網コンポーネントの電力消費量を測定することを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、関連付けられた電力網コンポーネントの電力生成量を測定することを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、1つ以上の局所気象状況を測定することを含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ装置の各コンピュータ装置は、複数のコンピュータ装置のうち他のコンピュータ装置から、他の電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を受信するようにさらに構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、受信された測定値は、他の電力網コンポーネントの電力消費量データ、電力生成量データおよび局所気象データのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、各コンピュータ装置によって予測された電力網コンポーネントの1つ以上の状況の将来状態は、将来の1~60分間の状態であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、各コンピュータ装置によって予測された電力網コンポーネントの1つ以上の状況の将来状態は、将来の1分未満の状態であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態を予測することは、時系列予測技術を使用することを含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態は、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値に基づいて予測されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態は、さらに、他の電力網コンポーネントから受信した1つ以上の状況の測定値に基づいて予測されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態は、さらに、1つ以上の状況に関連する履歴データに基づいて予測されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、予測に基づいて、関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することは、複数の電力網コンポーネントを含む電力網のサブセクションを局所的に最適化することを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、複数の電力網コンポーネントからの総電力生成量を最大化することを含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、複数の電力網コンポーネントに関連する総エネルギーコストを最小化することを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、複数の電力網コンポーネントに関連する総エネルギー損失を最小化することを含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、複数の電力網コンポーネントの利用可能性を最大化することを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ装置は、1つ以上の機械学習技術を用いて互いに協議するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、1つ以上の機械学習技術は、複数の自律エージェントを含んでもよく、複数の自律エージェントの各々は、複数のコンピュータ装置のうち1つによって実行されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、複数の自律エージェントは、仮想市場において、取引アルゴリズムに従って互いに協議してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、1つ以上の機械学習技術は、複数のニューラルネットワークを含んでもよく、複数のニューラルネットワークの各々は、複数のコンピュータ装置のうち1つによって実行されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、複数のニューラルネットワークの各々は、フィードフォワードニューラルネットワーク、ラジアル基底関数ニューラルネットワーク、クローン自己組織化ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーニューラルネットワーク、および物理ニューラルネットワークのうち1つを含んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、複数の電力網コンポーネントのうち少なくとも一部は、分散型エネルギー資源であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、分散型エネルギー資源は、1つ以上の再生可能なエネルギー源からの電力を電力網に供給することができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、分散型エネルギー資源は、太陽電池パネルアレイ、風力タービン、水力発電所、バイオマス発電所、地熱発電所、および水素燃料電池発電所のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、複数の電力網コンポーネントのうち1つは、複数の電力網コンポーネントのうち他の電力網コンポーネントを電気的に接続するための配電変電所であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、配電変電所は、1つ以上の変圧器を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、電力網は、複数のコンピュータ装置に1つ以上の制約を提供するように構成されたセントラルコントローラをさらに含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、1つ以上の制約は、電力制約、経済制約、気象制約、および時間制約のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することは、セントラルコントローラから受信した1つ以上の制約に基づいて挙動を協議することを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、複数の電力網コンポーネントの挙動を設定しないように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、1つ以上の上書きコマンドを複数のコンピュータ装置のうち1つ以上に提供するようにさらに構成されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、1つ以上の上書きコマンドは、関連付けられた電力網コンポーネントの電力消費量を低減するためのコマンド、電力網から関連付けられた電力網コンポーネントを切り離すためのコマンド、および関連付けられた電力網コンポーネントの挙動の協議を停止するためのコマンドのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0041】
本開示の別の態様によれば、方法は、コンピュータ装置がコンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することと、コンピュータ装置がコンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の将来状態を予測することと、コンピュータ装置が他の電力網コンポーネントに関連付けられた他のコンピュータ装置と無線通信することによって、予測に基づいて、コンピュータ装置に関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することとを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、各コンピュータ装置は、関連付けられた電力網コンポーネントに通信可能に連結されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、各コンピュータ装置は、関連付けられた電力網コンポーネントと一体化されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、関連付けられた電力網コンポーネントに取り付けられた1つ以上のセンサから測定値を受信することを含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、1つ以上のセンサは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、風速センサ、および湿度センサのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、関連付けられた電力網コンポーネントの電力消費量の測定値を取得することを含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、関連付けられた電力網コンポーネントの電力生成量の測定値を取得することを含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を取得することは、1つ以上の局所気象状況の測定値を取得することを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、本方法は、コンピュータ装置が他の電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値を他のコンピュータ装置から受信することをさらに含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、受信した測定値は、他の電力網コンポーネントの電力消費量データ、電力生成量データ、および局所気象データのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、コンピュータ装置によって予測された電力網コンポーネントの1つ以上の状況の将来状態は、将来の1~60分間の状態であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、コンピュータ装置によって予測された電力網コンポーネントの1つ以上の状況の将来状態は、将来の1分未満の状態であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態を予測することは、時系列予測を使用することを含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態は、取得した関連付けられた電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値に基づいて予測されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態は、さらに、受信した他の電力網コンポーネントの1つ以上の状況の測定値に基づいて予測されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、1つ以上の状況の将来状態は、さらに、1つ以上の状況に関連する履歴データに基づいて予測されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、方法は、コンピュータ装置によって管理されたデータベースから履歴データを取得することをさらに含んでもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、予測に基づいて関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することは、関連付けられた電力網コンポーネントおよび他の電力網コンポーネントを含む電力網のサブセクションを局所的に最適化することを含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、関連付けられた電力網コンポーネントおよび他の電力網コンポーネントからの総電力生成量を最大化することを含んでもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、関連付けられた電力網コンポーネントおよび他の電力網コンポーネントに関連する総エネルギーコストを最小化することを含んでもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、関連付けられた電力網コンポーネントおよび他の電力網コンポーネントに関連する総エネルギー損失を最小化することを含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、電力網のサブセクションを局所的に最適化することは、関連付けられた電力網コンポーネントおよび他の電力網コンポーネントの利用可能性を最大化することを含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することは、コンピュータ装置によって自律エージェントを実行することによって、自律エージェントが、仮想市場において、取引アルゴリズムに従って、他のコンピュータ装置によって実行される他の自律エージェントと協議することを含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、予測に基づいて、関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することは、コンピュータ装置によってニューラルネットワークを実行することを含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、ラジアル基底関数ニューラルネットワーク、クローン自己組織化ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーニューラルネットワーク、および物理ニューラルネットワークのうち1つを含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントは、分散型エネルギー資源であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、分散型エネルギー資源は、再生可能なエネルギー源からの電力を電力網に供給することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、分散型エネルギー資源は、太陽電池パネルアレイ、風力タービン、水力発電所、バイオマス発電所、地熱発電所、および水素燃料電池発電所のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントは、他の電力網コンポーネントに電気的に接続される配電変電所であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、配電変電所は、1つ以上の変圧器を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、本方法は、コンピュータ装置がセントラルコントローラから1つ以上の制約を受信することをさらに含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、1つ以上の制約は、電力制約、経済制約、気象制約、および時間制約のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、関連付けられた電力網コンポーネントの挙動を協議することは、セントラルコントローラから受信した1つ以上の制約に基づいて挙動を協議することを含んでもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、この方法は、コンピュータ装置がセントラルコントローラから上書きコマンドを受信することと、コンピュータ装置が上書きコマンドを実行することとをさらに含んでもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、上書きコマンドは、関連付けられた電力網コンポーネントの電力消費量を低減するためのコマンド、電力網から関連付けられた電力網コンポーネントを切り離すためのコマンド、および関連付けられた電力網コンポーネントの挙動の協議を停止するためのコマンドのうち1つであってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、他の電力網コンポーネントに関連付けられた他のコンピュータ装置と無線通信することは、第1サブセットの他のコンピュータ装置と無線通信することによって、第1サブセットの他のコンピュータ装置と協議することを含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、他の電力網コンポーネントに関連付けられた他のコンピュータ装置と無線通信することは、第1サブセットの他のコンピュータ装置と無線通信した後に、第2サブセットの他のコンピュータ装置と無線通信することによって、第2サブセットの他のコンピュータ装置と協議することをさらに含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、コンピュータ装置は、第1サブセットの他のコンピュータ装置との協議がコンピュータ装置の最適化計画を満たしてないことに応答して、第2サブセットの他のコンピュータ装置と無線通信することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、第2サブセットの他のコンピュータ装置は、第1サブセットの他のコンピュータ装置よりもコンピュータ装置から地理的に遠く離れてもよい。
【0079】
本開示のさらに別の態様によれば、1つ以上の機械可読媒体は、コンピュータ装置によって実行されると、コンピュータ装置に、上記(または本開示の他の場所)に記載された方法のいずれかを実行させる複数の命令を格納する。
【0080】
本開示に記載された概念は、添付の図面において、例示として示され、限定として示されていない。説明の簡略化および明瞭性のために、図面に示された要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、明瞭性のために、いくつかの要素の寸法は、他の要素に対して拡大されてもよい。さらに、適切な場合、複数の図面に同様の参照ラベルを使用して、対応するまたは類似の要素を示す。詳細な説明は、特に添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】分散型電力網を示す簡略図である。
図2図1の各電力網コンポーネントに接続されるコンピュータ装置の少なくとも1つの実施形態を示す簡略ブロック図である。
図3図2のコンピュータ装置によって確立され得る環境の少なくとも1つの実施形態を示すブロック図である。
図4図2のコンピュータ装置によって実行され得る、図2のコンピュータ装置を用いて図1の電力網の動作を最適化するための方法の少なくとも1つの実施形態を示す簡略フローチャートである。
図5図2のコンピュータ装置によって実行され得る、図2のコンピュータ装置を用いて図1の電力網の動作を最適化するための方法の少なくとも1つの実施形態を示す簡略フローチャートである。
図6図2のコンピュータ装置によって実行され得る、図2のコンピュータ装置を用いて図1の電力網の動作を最適化するための方法の少なくとも1つの実施形態を示す簡略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図面の詳細な説明
本開示の概念に対して、様々な修正および代替形態が可能である。本開示の具体的な実施形態は、例示として図面に示され、本明細書において詳細に説明される。理解すべきことは、本開示の概念は、開示された特定の形態に限定されることを意図しておらず、逆に、本開示および添付の特許請求の範囲と一致する全ての変形例、均等物および代替例を含むことを意図していることである。
【0083】
本明細書において、「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的実施形態」などを言及する場合、この実施形態は、特定の特徴、構造または特性を含み得ることを意味するが、全ての実施形態は、その特定の特徴、構造または特性を含んでもよく、含まなくてもよい。また、そのような表現は、同一の実施形態を指す必要がない。さらに、留意すべきことは、一実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性を説明する場合、明示的に説明したか否かに関わらず、他の実施形態に関連してその特定の特徴、構造または特性を達成することは、当業者の知識範囲にあることである。
【0084】
場合によって、開示された実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合せに実装されてもよい。また、開示された実施形態は、一時的または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によって担持されるまたは格納される命令として実装され、1つ以上のプロセッサによって読み出され、実行されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ装置によって読み取り可能な形式で情報を記憶または伝送するための任意の記憶装置、メカニズム、または他の物理構造(例えば、揮発性もしくは不揮発性メモリ、メディアディスク、または他のメディア装置)として具現化されてもよい。
【0085】
図面において、いくつかの構造特徴または方法特徴は、特定の配置および/または順序で示されてもよい。しかしながら、理解すべきことは、特定の配置および/または順序が必要ではないことである。むしろ、いくつかの実施形態において、これらの特徴は、例示的な図面に示される配置および/または順序と異なる配置および/または順序で設けられてもよい。さらに、特定の図面が構造特徴または方法特徴を含む場合、その特徴が全ての実施形態に必要であることを意味しておらず、いくつかの実施形態において、その特徴を含む必要がなく、または他の特徴と組み合わせてもよい。
【0086】
本開示のシステムおよび方法は、計算を実行するセントラルコントローラに依存することなく、電力網を最適化することができる。特に、本開示のシステムおよび方法は、分散予測および局所最適化提供することができる。電力網の各コンポーネントは、コンピュータ装置を含んでもよい。コンピュータ装置によって、各コンポーネントは、それ自体の予測を決定することができ、同様の能力を有する他のコンポーネントと通信することができる。電力網の1つのセクション内のコンポーネントは、様々な機械学習技術を用いて互いに「協議」することによって、当該セクションを局所的に最適化することができる。分散予測および最適化プロセスは、電力網システムの遅延およびコストを低減する。「最適化する」、「最適化」および類似の用語は、本開示に使用された場合、厳密に最適な状態を達成するまたは求めることを意味しておらず、むしろ、このような用語は、状況(condition)または状態(state)に対して任意レベルの改善(または改善の試み)を「最適化」として意味している。
【0087】
図1を参照して、分散型電力網100の1つの例示的な実施形態は、簡略図として示される。電力網100は、セントラルコントローラ102と、配電変電所104と、分散型エネルギー資源(「DER」)106と、産業負荷108と、住宅負荷110とを含む。配電変電所104、DER106、産業負荷108、および住宅負荷110は、電力網100のサブセクション112に配置される。セントラルコントローラ102、配電変電所104、DER106、産業負荷108、および住宅負荷110は、互いに電気的に接続される。また、図1の各電力網コンポーネントは、コンピュータ装置200を含み、このコンピュータ装置200は、電力網100内の他のコンピュータ装置200に通信可能に連結される。サブセクション112内の電力網コンポーネント104、106、108、110に関連付けられたコンピュータ装置200は、サブセクション112を最適化するために、互いに協議することができる。いくつかの実施形態において、電力網コンポーネントは、サブセクション112および最適化プロセスの効率を高めるために、機械学習技術を用いて協議する。
【0088】
セントラルコントローラ102は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の電力網コンポーネントとして具現化されてもよい。この例示的な実施形態において、セントラルコントローラ102は、分散型電力網100を管理する。セントラルコントローラ102は、配電変電所104、DER106、産業負荷108および住宅負荷110に制約を提供する。いくつかの実施形態において、制約は、電力に関連する制約、経済に関連する制約、気象に関連する制約、時間に関連する制約、または分散型電力網100を介して送達される電力に影響を与え得る任意の他の要因に関連する制約であってもよい。また、セントラルコントローラ102は、配電変電所104、DER106、産業負荷108、または住宅負荷110のいずれかに上書きコマンドを発行することができる。いくつかの実施形態において、上書きコマンドは、電力消費量を低減するためのコマンド、電力網からそれ自体を切り離すためのコマンド、最適化プロセスを停止するためのコマンド、または分散型電力網100を管理するために必要な任意の他のコマンドであってもよい。いくつかの実施形態において、セントラルコントローラ102は、図1の他の電力網コンポーネントのうち少なくとも1つとデータを交換することができる。データは、気象測定値、電力消費量記録、履歴データ、協議結果、または電力網100に関連する任意の他のデータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、石炭発電所、原子力発電所、風力発電所、または電力を生成することができる任意の他の発電所であってもよい。
【0089】
配電変電所104は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の電力網コンポーネントとして具現化されてもよい。配電変電所104は、サブセクション112内の各電力網コンポーネントをセントラルコントローラ102および分散型電力網100の他の電力網コンポーネントに電気的に接続する。いくつかの実施形態において、配電変電所104は、1つ以上の変圧器を含む。配電変電所104は、コンピュータ装置200を含む。配電変電所104は、電力消費量に関連するデータを収集することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所104は、局所気象データを収集することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所104は、サブセクション112に配置された各電力網コンポーネントの電力消費量および電力生成量に関連するデータを収集することができる。配電変電所104は、セントラルコントローラおよびサブセクション112内の各電力網コンポーネントに通信可能に連結される。配電変電所104は、サブセクション112内の電力網コンポーネントのうち少なくとも1つと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、ニューラルネットワークまたは自律エージェントなどの機械学習技術を用いて協議することができる。配電変電所104は、サブセクション112を最適化するために、他の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所104は、サブセクション112の外部の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所104は、セントラルコントローラ102から受信した制約に基づいて、電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、セントラルコントローラ102とデータを交換することができる。データは、気象測定値、電力消費量記録、履歴データ、協議結果、または配電変電所104に関連する任意の他のデータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、配電変電所104は、セントラルコントローラ102から上書きコマンドを受信することができる。いくつかの実施形態において、上書きコマンドは、電力消費量を低減するためのコマンド、電力網から配電変電所104を切り離すためのコマンド、最適化プロセスを停止するためのコマンド、または分散型電力網100を管理するために必要な任意の他のコマンドであってもよい。
【0090】
DER106は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の電力網コンポーネントとして具現化されてもよい。DER106は、電力を生成し、サブセクション112内の各電力網コンポーネントに電気的に接続される。DER106は、太陽電池パネルアレイ、風力タービン、水力発電所、バイオマス発電所、地熱発電所、水素燃料電池発電所、または再生可能なエネルギー源から電力を生成する任意の他の発電所として具現化されてもよい。いくつかの実施形態において、DER106は、油、石炭、または天然ガスなどの非再生可能なエネルギー源を使用して電力を生成する。DER106は、コンピュータ装置200を含む。DER106は、電力消費量および電力生成量に関連するデータを収集することができる。いくつかの実施形態において、DER106は、局所気象データを収集することができる。いくつかの実施形態において、DER106は、サブセクション112に配置された各電力網コンポーネントの電力消費量および電力生成量に関連するデータを収集することができる。DER106は、セントラルコントローラおよびサブセクション112内の各電力網コンポーネントに通信可能に連結される。DER106は、サブセクション112内の電力網コンポーネントのうち少なくとも1つと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、ニューラルネットワークまたは自律エージェントなどの機械学習技術を用いて協議することができる。DER106は、サブセクション112を最適化するために、他の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、DER106は、サブセクション112の外部の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、DER106は、セントラルコントローラ102から受信した制約に基づいて、電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、セントラルコントローラ102とデータを交換することができる。データは、気象測定値、電力消費量記録、履歴データ、協議結果、またはDER106に関連する任意の他のデータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、DER106は、セントラルコントローラ102から上書きコマンドを受信することができる。いくつかの実施形態において、上書きコマンドは、電力消費量を低減するためのコマンド、電力網からDER106を切り離すためのコマンド、最適化プロセスを停止するためのコマンド、または分散型電力網100を管理するために必要な任意の他のコマンドであってもよい。
【0091】
産業負荷108は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の電力網コンポーネントとして具現化されてもよい。産業負荷108は、電力を消費し、サブセクション112内の各電力網コンポーネントに電気的に接続される。産業負荷108は、工場、オフィスビル、小売店、倉庫、または任意の他の商業ビルとして具現化されてもよい。いくつかの実施形態において、産業負荷は、太陽電池パネル、風力タービン、または発電機などのDERを含んでもよい。産業負荷108は、コンピュータ装置200を含む。産業負荷108は、電力消費量および/または電力生成量に関連するデータを収集することができる。いくつかの実施形態において、産業負荷108は、局所気象データを収集することができる。いくつかの実施形態において、産業負荷108は、サブセクション112に配置された各電力網コンポーネントの電力消費量および電力生成量に関連するデータを収集することができる。産業負荷108は、セントラルコントローラおよびサブセクション112内の各電力網コンポーネントに通信可能に連結される。産業負荷108は、サブセクション112内の電力網コンポーネントのうち少なくとも1つと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、ニューラルネットワークまたは自律エージェントなどの機械学習技術を用いて協議することができる。産業負荷108は、サブセクション112を最適化するために、他の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、産業負荷108は、サブセクション112の外部の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、産業負荷108は、セントラルコントローラ102から受信した制約に基づいて、電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、セントラルコントローラ102とデータを交換することができる。データは、気象測定値、電力消費量記録、履歴データ、協議結果、または産業負荷108に関連する任意の他のデータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、産業負荷108は、セントラルコントローラ102から上書きコマンドを受信することができる。いくつかの実施形態において、上書きコマンドは、電力消費量を低減するためのコマンド、電力網から産業負荷108を切り離すためのコマンド、最適化プロセスを停止するためのコマンド、または分散型電力網100を管理するために必要な任意の他のコマンドであってもよい。
【0092】
住宅負荷110は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の電力網コンポーネントとして具現化されてもよい。住宅負荷110は、電力を消費し、サブセクション112内の各電力網コンポーネントに電気的に接続される。住宅負荷110は、戸建て、分譲マンション、都市住宅、または任意の他の種類の住宅ビルに具現化されてもよい。いくつかの実施形態において、住宅負荷は、太陽電池パネル、風力タービン、または他の発電機などのDERを含んでもよい。住宅負荷110は、コンピュータ装置200を含む。住宅負荷110は、電力消費量および電力生成量に関連するデータを収集することができる。いくつかの実施形態において、住宅負荷110は、局所気象データを収集することができる。いくつかの実施形態において、住宅負荷110は、サブセクション112に配置された各電力網コンポーネントの電力消費量および電力生成量に関連するデータを収集することができる。住宅負荷110は、セントラルコントローラおよびサブセクション112内の各電力網コンポーネントに通信可能に連結される。住宅負荷110は、サブセクション112内の電力網コンポーネントのうち少なくとも1つと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、ニューラルネットワークまたは自律エージェントなどの機械学習技術を用いて協議することができる。住宅負荷110は、サブセクション112を最適化するために、他の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、住宅負荷110は、サブセクション112の外部の電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、住宅負荷110は、セントラルコントローラ102から受信した制約に基づいて、電力網コンポーネントと協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、セントラルコントローラ102とデータを交換することができる。データは、気象測定値、電力消費量記録、履歴データ、協議結果、または住宅負荷110に関連する任意の他のデータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、住宅負荷110は、セントラルコントローラ102から上書きコマンドを受信することができる。いくつかの実施形態において、上書きコマンドは、電力消費量を低減するためのコマンド、電力網から住宅負荷110を切り離すためのコマンド、最適化プロセスを停止するためのコマンド、または分散型電力網100を管理するために必要な任意の他のコマンドであってもよい。
【0093】
サブセクション112は、電力網の任意のサブセクションとして具現化されてもよい。例示的な実施形態において、電力網100のサブセクションは、配電変電所104と、DER106と、産業負荷108と、住宅負荷110とを含む。いくつかの実施形態において、サブセクション112は、発電所、電力変圧器、送電変電所、配電変電所、DER、配電自動化装置、商業/産業消費者、住宅消費者、および他の電力網コンポーネントの任意の組み合わせを含んでもよい。サブセクション112内の各電力網コンポーネントは、コンピュータ装置200を含むことができる。サブセクション112内の各電力網コンポーネントは、互いに電気的に且つ通信可能に連結されてもよい。サブセクション112内の電力網コンポーネントは、互いに協議することができる。いくつかの実施形態において、配電変電所は、ニューラルネットワークまたは自律エージェントなどの機械学習技術を用いて協議することができる。電力網コンポーネントは、サブセクション112を最適化するために協議することができる。
【0094】
図2を参照して、コンピュータ装置200は、他のコンピュータ装置と協議し、本明細書に記載の機能を実行することができる任意のコンピュータ装置として具現化されてもよい。例えば、コンピュータ装置200は、限定することなく、ラズベリーパイ、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ラップトップコンピュータ、組込みコンピューティングシステム、サーバコンピュータ、システムオンチップ(SoC)、マルチプロセッサシステム、プロセッサベースのシステム、家庭用電子機器、スマートフォン、携帯電話、デスクトップコンピュータ、ネットワーク装置、ネットワークコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、ハンドセット、メッセージング装置、カメラ装置、および/または任意の他のコンピュータ装置として具現化されてもよく、またはそれに含まれてもよい。例示的なコンピュータ装置200は、プロセッサ202と、メモリ204と、入力/出力(I/O)サブシステム206と、データストレージ208と、通信システム210とを含む。例示的なコンピュータ装置200は、センサ212およびDER214に接続される。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200の1つ以上の例示的な構成要素は、別の構成要素に組み込まれてもよく、または別の構成要素の一部を形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、メモリ204またはその一部は、プロセッサ202に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、センサ212およびDER214は、コンピュータ装置200に含まれてもよい。
【0095】
プロセッサ202は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意のプロセッサとして具現化されてもよい。例えば、プロセッサ202は、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、シングルソケットもしくはマルチソケットプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、グラフィックプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のプロセッサもしくは処理/制御回路として具現化されてもよい。同様に、メモリ204は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはデータストレージとして具現化されてもよい。動作時、メモリ204は、コンピュータ装置200の動作時に使用される様々なデータおよびソフトウェア、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラム、ライブラリおよびドライバなどを記憶することができる。メモリ204は、I/Oサブシステム206を介してプロセッサ202に通信可能に連結される。I/Oサブシステム206は、プロセッサ202、メモリ204およびコンピュータ装置200の他の構成要素との入出力操作を容易にするための回路および/または部品として具現化されてもよい。例えば、I/Oサブシステム206は、メモリ制御ハブ、入力/出力制御ハブ、ファームウェア装置、通信リンク(すなわち、ポイントツーポイントリンク、バスリンク、ワイヤ、ケーブル、光導体、プリント回路基板トレースなど)、および/または入力/出力動作を容易にするための他のコンポーネントおよびサブシステムとして具現化されてもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態において、I/Oサブシステム206は、システムオンチップ(SoC)の一部を形成してもよく、コンピュータ装置200のプロセッサ202、メモリ204および他の構成要素と共に単一の集積回路チップ上に組み込まれてもよい。
【0096】
データストレージ208は、データの短期記憶または長期記憶を行うように構成された任意の装置として具現化されてもよい。例えば、データストレージ208は、任意の1つ以上のメモリ装置および回路、メモリカード、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、または他のデータストレージ装置を含んでもよい。
【0097】
また、コンピュータ装置200は、ネットワークを介してコンピュータ装置200と他の遠隔装置との間の通信を提供することができる任意の通信回路、通信装置、またはそれらの集合として具現化され得る通信サブシステム210を含む。例えば、通信サブシステム210は、遠隔装置との間にネットワークデータを送信および/または受信するためのネットワークインターフェイスコントローラ(NIC)として具現化されてもよく、またはそれを含んでもよい。通信サブシステム210は、通信を実現するために、任意の1つ以上の通信技術(例えば、有線通信または無線通信)および関連するプロトコル(例えば、イーサネット(登録商標)、インフィニバンド(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、WiMAX、3G、4G LTE、5Gなど)を使用するように構成されてもよい。
【0098】
センサ212は、入力信号の中でも特に、電力網コンポーネントの電力生成量、電力網コンポーネントの電力消費量、および/または電力網コンポーネントの周囲の気象および温度を示す1つ以上の入力信号を生成することができる任意の1つ以上のセンサとして具現化されてもよい。例示的な実施形態において、センサ212は、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、風速センサ、湿度センサを含んでもよい。以下のコンピュータ装置の機能を実行するために、追加のセンサ212を含んでもよい。
【0099】
DER106は、コンピュータ装置200に電気的に接続される任意の分散型電源として具現化されてもよい。一例として、DER106は、太陽電池パネル、水力システム、風力タービン、地熱発電システム、バイオマス発電システム、ディーゼル発電機、および/または電力を生成および/または蓄積することができる他のシステムを含むことができる。
【0100】
図3を参照して、例示的な一実施形態において、コンピュータ装置200は、動作中に環境300を確立する。例示的な環境300は、予測決定部302と、通信コントローラ304と、協議コントローラ306と、電力出力/消費コントローラ308と、履歴データベース310とを含む。環境300の様々な構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして具現化されてもよい。例えば、環境300の様々な構成要素は、コンピュータ装置200のプロセッサ202または他のハードウェア要素の一部を形成してもよく、またはそれによって確立されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、環境3001つ以上の構成要素は、電気装置の回路または集合(例えば、予測決定回路302、通信コントローラ回路304など)として具現化されてもよい。このような実施形態において、1つ以上の回路(例えば、予測決定回路302、通信コントローラ回路304など)は、コンピュータ装置200のプロセッサ202、メモリ204、I/Oサブシステム206、通信システム210、データストレージ208、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブル回路、および/または他の構成要素のうち1つ以上の一部を形成してもよい。例えば、協議コントローラ306は、プロセッサ202、並びにデータストレージ208および/またはメモリ204に記憶され、プロセッサ202によって実行され得る命令として具現化されてもよい。また、いくつかの実施形態において、1つ以上の例示的な構成要素は、別の構成要素の一部分を形成してもよく、および/または1つ以上の例示的な構成要素は、互いに独立してもよい。さらに、いくつかの実施形態において、環境300の1つ以上の構成要素は、コンピュータ装置200のプロセッサ202または他の構成要素によって確立および管理され得る、仮想化ハードウェア構成要素または擬似アーキテクチャとして具現化されてもよい。環境300の1つ以上の構成要素の機能の一部は、ハードウェアによって実現されてもよい。この場合、その機能を実現する構成要素は、少なくとも部分的にハードウェアとして実装される。
【0101】
上述したハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、仮想化ハードウェア、擬似アーキテクチャ、および/またはそれらの組み合わせとして具現化され得る予測決定部302は、コンピュータ装置200に接続された電力網コンポーネントの電力生成量および消費量を予測するように構成される。予測決定部302は、接続された電力網コンポーネントの現在の電力出力量および現在の電力消費量を決定することができる。次いで、予測決定部302は、センサ212からデータを取得することができる。いくつかの実施形態において、予測決定部302は、電圧レベル、電流レベルおよび気象データ、例えば温度、風速および湿度に関連するデータを取得することができる。いくつかの実施形態において、予測決定部302は、セントラルコントローラ102から気象データを受信することができる。いくつかの実施形態において、予測決定部302は、別のソースから気象予測をダウンロードすることができる。次いで、予測決定302は、現在の日付および時刻を決定することができる。いくつかの実施形態において、予測決定302は、コンピュータ装置200の内部カレンダおよび時計を読み取ることによって、現在の日付および時刻を決定することができる。次いで、予測決定302は、履歴データベース310から履歴データを取得することができる。予測決定部302は、現在の電力生成量、現在の電力消費量、取得されたセンサデータ、気象、現在の日付および現在の時刻に部分的に基づいて、履歴データを取得することができる。履歴データは、同様の制約下で典型的な電力出力/消費レベルを記述することができる。いくつかの実施形態において、履歴データは、人間の行動を定義することができる。次いで、予測決定部302は、少なくとも履歴データ、現在の電力出力量、現在の電力消費量、取得されたセンサデータ、気象、現在の日付および/または現在の時刻に基づいて、予測を決定することができる。予測決定部302は、任意の適切な予測技術を用いて、分単位を含む任意の期間の予測を決定することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、将来の1~60分間の予測を決定することができる。いくつかの実施形態において、予測決定部302は、時系列予測技術を使用することができる。予測判定部302は、異常を検出することができる。いくつかの実施形態において、予測決定部302は、機械学習技術を用いて異常を検出することができる。予測判定部302は、異常に対処することができる。いくつかの実施形態において、予測決定部302は、電力網コンポーネントによって消費または生成された電力量を調節することによって、異常に対処することができる。
【0102】
上述したハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、仮想化ハードウェア、擬似アーキテクチャ、および/またはそれらの組み合わせとして具現化され得る通信コントローラ304は、サブセクション112内の他の電力網コンポーネントとの通信リンクを確立するように構成される。いくつかの実施形態において、通信コントローラ304は、サブセクション112の外部の電力網コンポーネントとの通信リンクを確立することができる。いくつかの実施形態において、通信チャネルは、5G通信プロトコルを用いて確立されてもよい。
【0103】
上述したハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、仮想化ハードウェア、擬似アーキテクチャ、および/またはそれらの組み合わせとして具現化され得る協議コントローラ306は、サブセクション112内の他の電力網コンポーネントと協議するように構成される。いくつかの実施形態において、協議コントローラ306は、サブセクション112の外部の電力網コンポーネントと協議する。協議コントローラ306は、サブセクション112を最適化するために、他の電力網コンポーネントと協議する。協議コントローラ306は、最適化コントローラ312、ニューラルネットワークコントローラ314、および/または自律エージェントコントローラ316を含むことができる。
【0104】
最適化コントローラ312は、最適化計画を制御するように構成される。最適化計画は、サブセクション112を最適化するための計画を定義する。いくつかの実施形態において、最適化計画は、最大電力を生成するために、サブセクション112内の電力網コンポーネントを最適化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、最適化計画は、エネルギーコストおよびエネルギー損失を低減するために、サブセクション112内の電力網コンポーネントを最適化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、最適化計画は、信頼性、利用可能性または回復性を最大化するために、サブセクション112内の電力網コンポーネントを最適化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、最適化計画は、予め定義された重要業績評価指標(KPI)に基づいて調整されてもよい。最適化コントローラ312は、セントラルコントローラから受信した制約に基づいて、最適化計画を構成することができる。最適化コントローラ312は、DER214の電力生成量に基づいて、最適化計画を構成することができる。いくつかの実施形態において、最適化コントローラ312は、サブセクション112内の他のコンピュータ装置200の最適化計画に基づいて、最適化計画を変更することができる。最適化コントローラ312が最適化計画を定義した後、ニューラルネットワークコントローラ314および自律エージェントコントローラ316は、他のコンピュータ装置200と協議することによって、最適化計画を実行する。
【0105】
ニューラルネットワークコントローラ314は、ニューラルネットワークを介して他のコンピュータ装置200と協議するように構成される。ニューラルネットワークコントローラ314は、サブセクション112を最適化するために、最適化計画に基づいて他のコンピュータ装置と協議することができる。ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、ラジアル基底関数ニューラルネットワーク、クローン自己組織化ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーニューラルネットワーク、物理ニューラルネットワーク、または任意の他のニューラルネットワークとして具現化されてもよい。ニューラルネットワークコントローラ314は、ネットワークトレーナを含んでもよい。ネットワークトレーナは、トレーニングアルゴリズムを用いて、ニューラルネットワークをトレーニングするように構成される。トレーニングアルゴリズムは、1つ以上の構成パラメータで構成される。いくつかの実施形態において、構成パラメータは、履歴データに依存する。いくつかの実施形態において、構成パラメータは、セントラルコントローラ102から受信した制約に依存する。ネットワークトレーナは、ニューラルネットワークのトレーニングに応答して時系列の部分精度値を取り込むようにさらに構成される。各々の部分精度値は、トレーニング反復に関連するニューラルネットワーク精度を示す。ネットワークトレーナは、トレーニングアルゴリズムの複数の並列インスタンスを用いて、ニューラルネットワークをトレーニングするようにさらに構成されてもよい。トレーニングアルゴリズムの各並列インスタンスは、1つ以上の構成パラメータの異なるセットで構成される。ネットワークトレーナは、トレーニングアルゴリズムの各並列インスタンスのために、時系列の部分精度値を取り込むするようにさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ネットワークトレーナは、複数の分散コンピューティングノード上で、トレーニングアルゴリズムを用いてニューラルネットワークを並列にトレーニングするようにさらに構成されてもよい。各コンピューティングノードのトレーニングアルゴリズムは、1つ以上の構成パラメータの異なるセットで構成される。
【0106】
自律エージェントコントローラ316は、自律エージェントを用いて他のコンピュータ装置と協議するように構成される。自律エージェントは、サブセクション112を最適化するために、最適化計画に基づいて他のコンピュータ装置と協議することができる。自律エージェントは、その電力網コンポーネントと共に、仮想市場上のコンピュータ装置200を表す。自律エージェントは、余剰エネルギーまたは不足エネルギーをサブセクション112内の他のコンピュータ装置200のエージェントと「取引」する。自律エージェントは、取引アルゴリズムに従って「取引」する。いくつかの実施形態において、取引アルゴリズムは、コンピュータ装置200に接続された電力網コンポーネントの需要に依存する。いくつかの実施形態において、取引アルゴリズムは、最適化計画に依存する。
【0107】
上述したハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、仮想化ハードウェア、擬似アーキテクチャ、および/またはそれらの組み合わせとして具現化され得る電力出力/消費コントローラ308は、協議結果に基づいて、電力網コンポーネントの電力消費量および/または電力生成量を調整するように構成される。例えば、電力出力/消費コントローラ308は、サブセクション112からDER214を切り離すことができ、または電力出力/消費コントローラ308は、電力網コンポーネントのエネルギー消費を低減することができる。いくつかの実施形態において、電力出力/消費コントローラ308は、セントラルコントローラ102から上書きコマンドを受信し、コマンドに従って動作することができる。例えば、電力出力/消費コントローラ308は、サブセクション112が損傷したときに、コマンドを受信して、電力網からDER214を切り離すことができる。
【0108】
上述したハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、仮想化ハードウェア、擬似アーキテクチャ、および/またはそれらの組み合わせとして具現化され得る履歴データベース310は、履歴データを記憶するように構成される。履歴データは、気象および時刻などの様々な状況下の電力生成量および電力消費量の記録を含んでもよい。いくつかの実施形態において、履歴データは、過去の最適化計画を含んでもよい。履歴データベース310は、セントラルコントローラ102または他のコンピュータ装置200から受信した履歴データを含んでもよい。
【0109】
図4~6を参照して、コンピュータ装置200は、使用されると、サブセクション112を最適化するための方法400を実行することができる。方法400は、ブロック402から開始する。ブロック402において、コンピュータ装置200は、セントラルコントローラから制約およびデータを受信する。受信した制約は、サブセクション112を最適化する方法を規定することができる。例えば、受信した制約は、サブセクション112の動作コストをできるだけ低く維持すべきことを規定することができる。受信した制約は、サブセクション112の電力生成量を最大化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、受信したデータは、サブセクション112の気象データを含む。いくつかの実施形態において、受信したデータは、履歴データベース310に格納される履歴データを含む。
【0110】
ブロック404において、コンピュータ装置200は、コンピュータ装置200に関連付けられた電力網コンポーネントの現在の電力出力量および/または現在の電力消費量を監視する。電力は、DER214によって生成されてもよい。DER214は、太陽電池パネル、水力システム、風力タービン、地熱発電システム、バイオマス発電システム、ディーゼル発電機、および/または電力を生成および/または蓄積することができる任意の他のシステムとして具現化されてもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、他の電力網コンポーネントの現在の電力出力量および/または現在の電力消費量を監視することができる。例えば、配電変電所104は、DER106、産業負荷108および住宅負荷110の現在の電力出力量および現在の電力消費量を監視することができる。
【0111】
ブロック406において、コンピュータ装置200は、異常を検出したか否かを判断することができる。コンピュータ装置200は、機械学習技術を用いて異常を検出することができる。コンピュータ装置200が異常を検出した場合、方法は、ブロック408に進む。ブロック408において、コンピュータ装置200は、異常に対処する。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置は、電力網コンポーネントによって消費または生成された電力量を調整することによって、異常に対処する。コンピュータ装置200が異常を検出していない場合、方法は、ブロック410に進む。
【0112】
ブロック410において、コンピュータ装置200は、センサ212からデータを取得することができる。データは、電圧、電流、温度、風速、湿度レベル、または電力網に関連する任意の他の制約を示すことができる。
【0113】
ブロック412において、コンピュータ装置200は、現在の日付および時刻を決定することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、内部カレンダおよび時計を読み取ることによって、現在の日付および時刻を決定することができる。
【0114】
ブロック414において、コンピュータ装置200は、履歴データベース310から履歴データを取得することができる。コンピュータ装置200は、現在の電力生成量、現在の電力消費量、取得されたセンサデータ、気象、現在の日付および現在時刻に部分的に基づいて、履歴データを取得することができる。履歴データは、同様の制約下の電力網コンポーネントの典型的な電力出力/消費レベルを記述することができる。いくつかの実施形態において、履歴データは、人間の行動を示すことができる。
【0115】
ブロック416において、コンピュータ装置200は、電力網コンポーネントの予測を決定することができる。次いで、コンピュータ装置200は、少なくとも履歴データ、現在の電力出力量、現在の電力消費量、取得されたセンサデータ、気象、現在の日付および/または現在の時刻に基づいて、予測を決定することができる。コンピュータ装置200は、任意の適切な予測技術を用いて、分単位を含む任意の期間の予測を決定することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、将来の1~60分間の予測を決定することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、時系列予測技術を使用することができる。
【0116】
図5を参照して、ブロック418において、コンピュータ装置200は、最適化計画を決定することができる。最適化計画は、サブセクションを最適化するための計画を定義する。いくつかの実施形態において、最適化計画は、最大電力を生成するために、サブセクション内の電力網コンポーネントを最適化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、最適化計画は、エネルギーコストおよびエネルギー損失を低減するために、サブセクション内の電力網コンポーネントを最適化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、最適化計画は、信頼性、利用可能性または回復性を最大化するために、サブセクション内の電力網コンポーネントを最適化すべきであることを規定することができる。いくつかの実施形態において、最適化計画は、予め定義された重要業績評価指標に基づいて調整されてもよい。コンピュータ装置200は、セントラルコントローラから受信した制約に基づいて、最適化計画を構成することができる。コンピュータ装置200は、DER106の電力生成量に基づいて、最適化計画を構成することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、サブセクション112内の他のコンピュータ装置200の最適化計画に基づいて、最適化計画を変更することができる。
【0117】
ブロック420において、コンピュータ装置200は、第1サブセットの電力網コンポーネントとの通信リンクを確立することができる。第1サブセットの電力網コンポーネントは、電力網の第1サブセット内の全ての電力網コンポーネントとして定義される。いくつかの実施形態において、通信チャネルは、5G通信プロトコルを用いて確立される。
【0118】
ブロック422において、コンピュータ装置200は、第1サブセットの電力網コンポーネントとの協議を開始する。コンピュータ装置200は、最適化計画を実行するために、第1サブセットの電力網コンポーネントと協議する。協議は、ニューラルネットワーク、自律エージェント、または任意の他の協議方法を用いて実現されてもよい。ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、ラジアル基底関数ニューラルネットワーク、クローン自己組織化ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーニューラルネットワーク、物理ニューラルネットワーク、または任意の他のニューラルネットワークとして具現化されてもよい。協議は、コンピュータ装置200が電力網コンポーネントに対して実現することができる可能な電力変更をもたらす。
【0119】
ブロック424において、コンピュータ装置200は、可能な電力変更がセントラルコントローラ102から受信した任意の制約と競合するか否かを判断する。可能な電力変更がセントラルコントローラ102の制約と競合する場合、方法400は、図6のブロック428に進む。可能な電力変更がセントラルコントローラの制約と競合しない場合、方法400は、ブロック426に進む。
【0120】
ブロック426において、コンピュータ装置200は、接続された電力網コンポーネントに対して可能な電力変更を実行する。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置は、電力網の第1のサブセクションからDER214を切り離すことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、接続された電力網コンポーネントのエネルギー消費量を低減することができる。
【0121】
図6を参照して、ブロック428において、コンピュータ装置200は、より離れた電力網コンポーネントとの最適化プロセスを開始するか否かを判断する。いくつかの実施形態において、ブロック428の判断は、コンピュータ装置200が第1サブセットの電力網コンポーネントと協議することによって最適化計画を首尾よく実行したか否かを評価することを含んでもよい。そうでない場合、コンピュータ装置200は、最適化計画を実行するために、より離れた電力網コンポーネントと協議することを決定することができる。この場合、方法400は、ブロック430に進む。コンピュータ装置200がより離れた電力網コンポーネントと協議しないと決定した場合、方法400は、ブロック438に進む。
【0122】
ブロック430において、コンピュータ装置200は、第2サブセットの電力網コンポーネントとの通信リンクを確立する。第2サブセットの電力網コンポーネントは、電力網の第2サブセット内の全ての電力網コンポーネントとして定義される。いくつかの実施形態において、通信チャネルは、5G通信プロトコルを用いて確立される。
【0123】
ブロック432において、コンピュータ装置200は、第2サブセットの電力網コンポーネントとの協議を開始する。コンピュータ装置200は、最適化計画を実行するために、第2サブセットの電力網コンポーネントと協議する。協議は、ニューラルネットワーク、自律エージェント、または任意の他の協議方法を用いて実現されてもよい。ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、ラジアル基底関数ニューラルネットワーク、クローン自己組織化ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーニューラルネットワーク、物理ニューラルネットワーク、または任意の他のニューラルネットワークとして具現化されてもよい。協議は、コンピュータ装置200が電力網コンポーネントに対して実施することができる可能な電力変更をもたらす。
【0124】
ブロック434において、コンピュータ装置200は、可能な電力変更がセントラルコントローラ102から受信した任意の制約と競合するか否かを判断する。可能な電力変更がセントラルコントローラの制約と競合する場合、方法400は、ブロック428に進む。可能な電力変更がセントラルコントローラの制約と競合しない場合、方法400は、ブロック436に進む。
【0125】
ブロック436において、コンピュータ装置200は、接続された電力網コンポーネントに対して可能な電力変更を実施する。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置は、電力網の第2のサブセクションからDER214を切り離すことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ装置200は、接続された電力網コンポーネントのエネルギー消費量を低減することができる。次いで、方法400は、ブロック428に戻る。
【0126】
ブロック438において、コンピュータ装置200は、セントラルコントローラ102からコマンド(例えば、上書きコマンド)を受信したか否かを判断する。コンピュータ装置200がセントラルコントローラ102からコマンドを受信した場合、方法400は、ブロック440に進む。ブロック440において、コンピュータ装置200は、受信したコマンドに基づいて、現在の電力消費量および/または電力出力量を変更する。いくつかの実施形態において、コマンドは、電力消費量を低減するためのコマンド、電力網からコンピュータ装置200を切り離すためのコマンド、最適化プロセスを停止するためのコマンド、または電力網のサブセクションを管理するために必要な任意の他のコマンドであってもよい。一方、ブロック438において、コンピュータ装置200がセントラルコントローラ102からコマンドを受信していない場合、方法400は、ブロック442に進む。ブロック442において、コンピュータ装置200は、以前に確立された電力消費量および/または電力出力量を継続する。次いで、方法400は、ブロック402に戻る。
【0127】
図面および上記の説明において本開示を詳細に例示および説明してきたが、これらの例示および説明は、例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。理解すべきことは、例示的な実施形態のみを図示および説明しており、本開示の精神の範囲に含まれる全ての変更および修正が保護されることである。
【0128】
本明細書に記載された方法、装置およびシステムの様々な特徴は、複数の利点を有する。本開示の方法、装置およびシステムの代替的な実施形態は、記載された全ての特徴を含まなくても、少なくともいくつかの利点を達成することができる。当業者は、本発明の1つ以上の特徴を含む方法、装置およびシステムを考案することができ、これらの方法、装置およびシステムは、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6