(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】フロントガラス反射方式によって仮想の画像を地面に位置させる3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20221117BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20221117BHJP
G02B 17/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G02B17/00 Z
(21)【出願番号】P 2021510059
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 KR2019013288
(87)【国際公開番号】W WO2020076090
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0120463
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】319012978
【氏名又は名称】ネイバーラボス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウニョン
(72)【発明者】
【氏名】チャ ジェウォン
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168595(WO,A1)
【文献】特開2014-181025(JP,A)
【文献】特開2015-197496(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066062(WO,A1)
【文献】特開2006-145998(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0129051(US,A1)
【文献】国際公開第2017/138242(WO,A1)
【文献】特開2016-109645(JP,A)
【文献】特開2018-120141(JP,A)
【文献】特開2016-068693(JP,A)
【文献】国際公開第2014/061138(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイであって、 光源の役割を担うディスプレイ装置、および 前記光源の光を車両のフロントガラス(windshield)に反射させる自由曲面ミラー(freeform surface mirror)を含み、 前記光源の光を前記自由曲面ミラーによって前記フロントガラスに反射させる反射方式により、前記光源の光による画像を3次元視点(perspective)の虚像として前記車両の前方の地面にフォーカシングする構造を含み、 前記光源の光を前記フロントガラスに反射させるための自由曲面ミラーは、一定の曲率を有する凹ミラーであり、 前記ディスプレイ装置に対応するディスプレイ平面、前記自由曲面ミラーに対応するミラー平面、および前記地面に対応する虚像平面との間の結像条件(imaging condition)に基づいて前記虚像が生成され、 前記結像条件は、前記ディスプレイ装置から放出された光が、前記自由曲面ミラーによって前記虚像平面に集束されるレンズの公式(lens formula)によるものであり、 前記結像条件の下で、前記虚像平面から前記自由曲面ミラーの光学的中心までの高さ、前記虚像平面を基準とした前記ディスプレイ平面の角度および前記ミラー平面の角度、および前記
ディスプレイ平面と前記ミラー平面の間の角度に基づいて、前記ディスプレイ装置と前記自由曲面ミラーとの間の離隔距離が決定されること を特徴とする、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記フロントガラスは、前記自由曲面ミラーによって反射した前記光源の光をアイボックス(Eye-box)に向けて反射させると同時に、外部の光を透過させる役割を含むこと を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記虚像を前記地面にフォーカシングするために前記地面に伸びる光線のうちで近距離光線側に前記ディスプレイ装置が位置する構造であって、前記光源の光が前記自由曲面ミラーよりも下の位置で前記自由曲面ミラーに伝達される構造を含むこと を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
光の経路の全体の大きさを減らすためのフォールドミラー(fold mirror) をさらに含み、 前記光源の光が、前記ディスプレイ装置、前記フォールドミラー、前記自由曲面ミラー、前記フロントガラスの順に、あるいは前記ディスプレイ装置、前記自由曲面ミラー、前記フォールドミラー、前記フロントガラスの順に伝達される構造を含むこと を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記結像条件を満たす前記ディスプレイ平面の角度に基づいて前記ディスプレイ装置の角度が決められること を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記結像条件を満たす前記ディスプレイ平面の角度と前記フロントガラスの角度、およびフォールドミラーの角度に基づいて前記ディスプレイ装置の角度が決められること を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記結像条件を満たす前記ミラー平面の角度と前記フロントガラスの角度に基づいて前記自由曲面ミラーの角度が決められること を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記自由曲面ミラーの法線が前記虚像平面と交差する点と前記自由曲面ミラーの光学的中心を通過する直線を基準に、前記ディスプレイ平面と前記虚像平面で結像条件を満たす角度を利用して前記虚像の開始位置と大きさが決められること を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
前記角度、前記虚像平面を基準とした前記ディスプレイ平面の角度、前記ディスプレイ平面と前記ミラー平面の角度、前記虚像平面から前記自由曲面ミラーの光学的中心までの高さのうちの少なくとも1つによって前記虚像の開始位置と大きさが調節されること を特徴とする、請求項7に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【請求項10】
前記自由曲面ミラーの位置は、要求されるアイボックス(Eye-box)の位置によるオフセットを含む高さによって決められること を特徴とする、請求項1に記載の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、3次元ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一般的なヘッドアップディスプレイ装置の情報確認のための焦点調節を説明した図である。
【0003】
図1を参照すると、一般的な車両用ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)装置は、ディスプレイ10から車両の現在速度、燃料残量、ナビゲーション(Navigation)の道案内情報のような画像を発信すると、光学系11、12を通過して運転手の前方に位置するフロントガラス13にグラフィックイメージ14が投映されることで、運転手が視線を必要以上に他の場所に移すことを最小限に抑える車両用ディスプレイ装置である。ここで、光学系11、12は、ディスプレイ10が発信した画像の光の経路を変更するために複数のミラーで構成される。このような車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、運転手の即時的な反応を誘導すると同時に、利便性を提供するという長所がある。
【0004】
一般的な車両用ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置において、画像は、利用者の前方約2~3mに固定されて位置する。この反面、運転時の運転手の注視距離は近距離~約300mである。このような点を考慮するとき、運転手が遠距離を注視しながら運転している最中にヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の情報を確認するためには、目の焦点を大幅に調整しなければならない不便が生じる。すなわち、主体となる視野が位置する遠距離と画像が映し出された~3mとの間で、焦点調節が繰り返されるようになる。
【0005】
したがって、運転中の注視視点に、目の焦点を変化させなくても運転手が情報を取得することができるように運転環境に拡張現実を実現し、画像表現距離の制約がない3次元ヘッドアップディスプレイ(3D Head-Up Display)装置の開発が求められている。
【0006】
例えば、特許文献1は、3次元拡張現実に基づくヘッドアップディスプレイ装置に関するものであって、3次元イメージに拡張されたイメージ情報を実際の距離情報に基づいて立体的に表示することにより、運転手にリアルな情報を提供することができる、ヘッドアップディスプレイ装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フロントガラス反射方式によって虚像を地面と一致させ、運転手の視点を基準に拡張現実の3次元虚像を生成することができる、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイを提供する。
【0009】
フロントガラスを含む構造により、地面と一致する仮想の3D画像を生成するための光学系の光の効率を最大化させる構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイであって、光源の役割を担うディスプレイ装置、および前記光源の光を車両のフロントガラス(windshield)に反射させる自由曲面ミラー(freeform surface mirror)を含み、前記光源の光を前記自由曲面ミラーによって前記フロントガラスに反射させる反射方式により、前記光源の光による画像を3次元視点(perspective)の虚像として前記車両の前方の地面にフォーカシングする構造を含むことを特徴とする、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイを提供する。
【0011】
一側面によると、前記フロントガラスは、前記自由曲面ミラーによって反射した前記光源の光をアイボックス(Eye-box)に向けて反射させると同時に、外部の光を透過させる役割を含んでよい。
【0012】
他の側面によると、前記虚像を前記地面にフォーカシングするために、前記地面に伸びる光線のうちの近距離光線側に前記ディスプレイ装置が位置する構造であって、前記光源の光が前記自由曲面ミラーよりも下の位置で前記自由曲面ミラーに伝達される構造を含んでよい。
【0013】
他の側面によると、光の経路の全体の大きさを減らすためのフォールドミラー(fold mirror)をさらに含み、前記光源の光が、前記ディスプレイ装置、前記フォールドミラー、前記自由曲面ミラー、前記フロントガラスの順、あるいは前記ディスプレイ装置、前記自由曲面ミラー、前記フォールドミラー、前記フロントガラスの順に伝達される構造を含んでよい。
【0014】
また他の側面によると、前記ディスプレイ装置に対応するディスプレイ平面は、前記自由曲面ミラーにより、前記地面に対応する虚像平面と結像条件(imaging condition)を満たしてよい。
【0015】
また他の側面によると、前記ディスプレイ装置に対応するディスプレイ平面と前記自由曲面ミラーに対応するミラー平面、および前記地面に対応する虚像平面の間の結像条件に基づいて前記虚像が生成されてよい。
【0016】
また他の側面によると、前記結像条件を満たす前記ディスプレイ平面の角度に基づき、前記ディスプレイ装置の角度が決められてよい。
【0017】
また他の側面によると、前記結像条件を満たす前記ディスプレイ平面の角度と前記フロントガラスの角度、およびフォールドミラーの角度に基づき、前記ディスプレイ装置の角度が決められてよい。
【0018】
また他の側面によると、前記結像条件を満たす前記ミラー平面の角度と前記フロントガラスの角度に基づき、前記自由曲面ミラーの角度が決められてよい。
【0019】
また他の側面によると、前記自由曲面ミラーの法線が前記虚像平面と交差する点と前記自由曲面ミラーの光学的中心を通過する直線を基準に、前記ディスプレイ平面と前記虚像平面で結像条件を満たす角度を利用して前記虚像の開始位置と大きさが決められてよい。
【0020】
また他の側面によると、前記角度、前記虚像平面を基準とした前記ディスプレイ平面の角度、前記ディスプレイ平面と前記ミラー平面の角度、前記虚像平面から前記自由曲面ミラーの光学的中心までの高さの少なくとも1つにより、前記虚像の開始位置と大きさが調節されてよい。
【0021】
また他の側面によると、前記虚像平面から前記自由曲面ミラーまでの高さにおいて、前記ディスプレイ装置と前記自由曲面ミラーとの離隔距離は、前記虚像平面から前記自由曲面ミラーの光学的中心までの高さに該当の高さ方向へのオフセットを加えた高さ値、前記虚像平面を基準とした前記ディスプレイ平面の角度、前記虚像平面を基準とした前記ミラー平面の角度、前記ディスプレイ平面と前記ミラー平面の角度によって導き出されてよい。
【0022】
さらに他の側面によると、前記自由曲面ミラーの位置は、要求されるアイボックス(Eye-box)の位置によるオフセットを含む高さとして決められてよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によると、フロントガラス反射方式によって虚像を地面と一致させ、運転手の視点を基準に拡張現実の3次元虚像を生成する、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0024】
本発明の実施形態によると、フロントガラスを含む構造により、地面と一致する仮想の3D画像を生成するための光学系の光の効率を最大化させる構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一般的なヘッドアップディスプレイ装置の情報確認のための焦点調節を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの画像位置を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態における、道路面のような地面に対応する仮想の平面上に画像を提供する例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成の一例を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態における、
図5の光学設計構成の理論的関係式を導き出すための等価表現を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態における、
図5の光学設計構成の理論的関係式を導き出すための等価表現を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態における、
図5の光学設計構成の理論的関係式を導き出すための等価表現を示した図である。
【
図9】本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成の他の例を示した図である。
【
図10】本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成のまた他の例を示した図である。
【
図11】本発明の一実施形態における、
図9の光学設計構成の理論的関係式を導き出すための等価表現を示した図である。
【
図12】本発明の一実施形態における、
図11にディスプレイ平面、自由ミラー平面、地面に対応する虚像平面を追加した状態の図である。
【
図13】本発明の一実施形態における、
図9の光学設計構成の理論的関係式を導き出すための等価表現を示した図である。
【
図14】本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成による光の効率を説明するための図である。
【
図15】本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成による光の効率を説明するための図である。
【
図16】本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成による光の効率を説明するための図である。
【
図17】本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成による光の効率を説明するための図である。
【
図18】本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイのディスプレイ装置と自由ミラーの関係式を導き出すために必要な変数を示した図である。
【
図19】本発明の一実施形態における、アイボックス(Eye-box、瞳孔の位置)によって決められる自由ミラーの位置を説明するための例示図である。
【
図20】本発明の一実施形態における、ディスプレイ平面と自由ミラー平面、および虚像平面の間の結像条件を示した図である。
【
図21】本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイのディスプレイ装置と自由ミラーの角度を導き出すために必要な変数を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0027】
以下で説明する実施形態は、複数の異なる形態に変形されてよく、本発明の範囲が以下で説明する実施形態によって限定されてはならない。また、複数の実施形態は、当技術分野において通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面において、要素の形状および大きさなどは、より明確な説明のために簡素化されるか、縮約あるいは誇張されることもある。
【0028】
図1を参照しながら説明した既存のヘッドアップディスプレイはもちろん、TV、モニター、プロジエクタスクリーン、VR/ARガラスなどのようなディスプレイの殆どは、運転手の視線に対して垂直方向に位置している。
【0029】
本発明の実施形態は、画像の位置を地面に対応させる形態の3次元実現方式を有する3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイを提供する。特に、仮想のスクリーンを地面と対応するように横にした3次元視点で表現することにより、運転環境において運転手の視点に対して最適化された3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態における、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの画像位置を示した図である。
【0031】
図2を参照すると、本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイは、運転手が目で見ることのできる仮想の画像、すなわち虚像24の位置を、運転手の前方の底面、すなわち地面25に対応するように横にした3次元視点で表現してよい。
【0032】
一般的な車両用ヘッドアップディスプレイの光学系による画像は、運転手の2~3m前方の固定された距離に位置し、その殆どが地面25に対して垂直に表示される。これとは異なり、本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイは、運転手が注視する前方の地面25に対応する仮想の平面上に虚像24を位置させる。
【0033】
本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイは、プロジエクタのようなスクリーンに直に透写して実像を生成する一般的な方式ではなく、ヘッドアップディスプレイの光学系によって反射させて目で見ることのできる虚像24を生成する方式を採用する。
【0034】
車両用ナビゲーションが提供する主な情報としては、走行中の道路上の迂回路情報、車線情報、前車との距離情報などが該当する。また、ADAS(advanced driver-assistance system)では運転手に安全情報を提供するようになるが、これに該当する情報としては、主に、車線情報、前/横の車両との距離情報、突発情報などがある。同じように、自律走行時にも、運転の主体となる車両では、道路上の迂回や車線変更などのように、これから起こる状況に関する情報を搭乗者に提供する必要がある。経路情報は、経路を案内するための情報であって、直進や迂回などを案内するTBT(turn-by-turn)情報を含んでよい。
【0035】
図3を参照すると、上述したような情報、例えば、車線情報31や前車との距離情報32などを、運転手が注視している視点の実際の道路面上に仮想のイメージで表示することは、極めて重要かつ効果的である。車線情報31は、走行中の車線に関する情報であって、車線上に表示する走行情報あるいはナビゲーション情報を意味してよい。
【0036】
本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイは、仮想のスクリーンを地面に対応するように横にした3次元視点で表現することにより、多様な運転環境において、運転手が運転中に注視している視点から目の焦点を他の場所に移動させる必要がなく、運転手が運転中に実際に注視している道路面に、伝達すべき情報を拡張現実で実現することができる。
【0037】
アフター・マーケット(aftermarket:市販)製品のヘッドアップディスプレイは、主に、コンバイナ(combiner)方式によって実現されるが、ビルトイン製品の場合は、一般的に部品(コンバイナ)を追加する必要がなく、画像の光を車両のフロントガラスに直ぐに反射させるフロントガラス反射方式で実現されている。
【0038】
本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイは、光源の光と外部(前景)の光を結合して運転手の目に伝達する役割を担う結合機能と、虚像を運転手の前方の地面と一致させ、運転手の視点を基準とした3次元の拡張現実画像で生成する役割の光学的機能(3D機能)とを含む。
【0039】
本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイは、フロントガラス反射方式を利用する。このとき、フロントガラスは結合機能の役割を担い、3D機能のために、光学的パワーを有する自由曲面ミラー(freeform surface mirror)(以下、「自由ミラー」と称する)を含む光学部品を利用してよい。
【0040】
図4を参照すると、本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、フロントガラス40を含む反射方式によって仮想の3D画像を生成する構成であって、光源の役割を担うディスプレイ装置401と、光源の光をフロントガラス40に反射させて仮想の画像を運転手の前方地面にフォーカシングするための自由ミラー402とを含んでよい。フロントガラス40は、自由ミラー402で反射した光源の光をアイボックス(Eye-box)(運転手の目の位置)に向けて反射させると同時に、外部(前方)光を透過する役割を含んでよい。
【0041】
言い換えれば、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、光源の光を自由ミラー402とフロントガラス40を通過して地面に投射(projection)させる構造を含むことにより、仮想の画像を運転手の前方地面に位置(位置付け)させてよい。
【0042】
フロントガラス40の角度を考慮しながら地面に対するディスプレイ装置401と自由ミラー402の位置と角度を導き出すことにより、地面に仮想の3D画像を位置させるフロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400を実現することが可能となる。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成の一例を示した図である。
【0044】
図5を参照すると、本発明に係るフロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、ディスプレイ装置401が放射した画像の光の経路において、ディスプレイ装置401が放射した光が遠距離光線側に位置して自由ミラー402に伝達される構造を有し、光の経路の全体の大きさを減らすためのフォールドミラー(fold mirror)403をさらに含んでよい。ここで、フロントガラス40とフォールドミラー403は、光学的パワーがないものと仮定する。
【0045】
遠距離光線とは、地面に虚像をフォーカシングするためにディスプレイ装置401から放射されて地面に伸びる光線のうち、運転手を基準に地面上の最も遠い距離に虚像を形成する光線を意味してよい。これとは反対に、地面に虚像をフォーカシングするためにディスプレイ装置401から放射されて地面に伸びる光線のうち、運転手を基準に地面上の最も近い距離に虚像を形成する光線は、近距離光線と呼ばれてよい。
【0046】
光の経路の全体の大きさを減らすということは、光がディスプレイ装置401から放射されて最終的にフロントガラスに到達するまでに通過する経路が占める領域の全体の大きさを減らすということを意味する。フォールドミラー403を使用する場合、光の経路の全体の長さ(length)は等しいが、光の経路が占める領域の全体の大きさ(size)を減らすことができる。
【0047】
ディスプレイ装置401から放射された光が、ディスプレイ装置401から自由ミラー402に直に伝達されても、フォールドミラー403で反射させて伝達されてもよく、このとき、光源の光が遠距離光線に近い位置で自由ミラー402に伝達される構造で実現されてよい。
【0048】
虚像を地面にフォーカシングするためのディスプレイ装置401と自由ミラー402の理論的関係式を導き出す過程を簡単に説明するために、先ず、
図6に示すように、フォールドミラー403およびフロントガラス40によって変更した光の経路を簡略化した等価構造として、光の経路を変化させる役割の他に光学的役割がないフォールドミラー403およびフロントガラス40の図は省略し、ディスプレイ装置401の位置を、フォールドミラー403を基準に対称となる位置に表現してよい。次に、
図7に示すように、ディスプレイ装置401に対応するディスプレイ平面(display plane)71、自由ミラー402に対応する自由ミラー平面(freeform mirror plane)72、地面に対応する虚像平面(image plane)73を追加した後、
図8に示すように、虚像平面73が地面に対して平行となるように回転させると同時に、Y軸(図面上で垂直方向の軸)に対して左右に反転する状態で表現してよい。
【0049】
図8を参照すると、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、ディスプレイ装置401から放射された光が自由ミラー402よりも上の位置で自由ミラー402に伝達される構造、言い換えれば、虚像を地面にフォーカシングするために地面に放射される光線のうち、運転手の位置から近い近距離光線よりも遠距離光線側にディスプレイ装置401が位置する構造を含んでよい。
【0050】
図9は、本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成の他の例を示した図であり、
図10は、本発明の一実施形態における、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイの光学設計構成のまた他の例を示した図である。
【0051】
図9と
図10を参照すると、本発明に係るフロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、ディスプレイ装置401が放射した画像の光の経路において、ディスプレイ装置401が放射した光が近距離光線側に位置して自由ミラー402に伝達される構造を有し、光の経路の全体の大きさを減らすためのフォールドミラー403をさらに含んでよい。同じように、フロントガラス40とフォールドミラー403は、光学的パワーがないものと仮定する。
【0052】
ディスプレイ装置401から放射された光がディスプレイ装置401から自由ミラー402に直に伝達されても、フォールドミラー403で反射させて伝達されてもよく、このとき、光源の光が近距離光線から近い位置で自由ミラー402に伝達される構造で実現してよい。
【0053】
図9は、光が移動する経路が、ディスプレイ装置401、フォールドミラー403、自由ミラー402、フロントガラス40、運転手の順からなる構造を示しているが、
図10に示すように、光が、ディスプレイ装置401、自由ミラー402、フォールドミラー403、フロントガラス40の順に伝達される構造も実現可能である。
【0054】
図9に示した光学設計構成に対し、虚像を地面にフォーカシングするためのディスプレイ装置401と自由ミラー402との理論的関係式を導き出す過程を簡単に説明するために、先ず、
図11に示すように、フォールドミラー403およびフロントガラス40によって変更した光の経路を簡略化した等価構造として、光の経路を変化させる役割の他に光学的役割がないフォールドミラー403およびフロントガラス40の図は省略し、ディスプレイ装置401の位置を、フォールドミラー403を基準に対称となる位置に表現してよい。次に、
図12に示すように、ディスプレイ装置401に対応するディスプレイ平面71、自由ミラー402に対応する自由ミラー平面72、地面に対応する虚像平面73を追加した後、
図13に示すように、虚像平面73が地面に対して平行になるように回転させると同時に、Y軸(図面上で垂直方向の軸)に対して左右反転した状態で表現してよい。
【0055】
図13を参照すると、フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、ディスプレイ装置401から放射された光が自由ミラー402よりも下の位置で自由ミラー402に伝達される構造、言い換えれば、虚像を地面にフォーカシングするために地面に放射される光線のうち、運転手の位置から近い近距離光線側にディスプレイ装置401が位置する構造を含んでよい。
【0056】
ディスプレイ装置401から放射される光の角度ごとに出力を比べると、垂直成分の出力が最も高く、垂直から遠ざかるほど出力が低くなり、垂直あるいは垂直に近い角度の光を使用することが光の効率の側面において良好であると言える。
【0057】
図5の光学設計構成を表現した
図8の等価構造によると、
図14に示すように、ディスプレイ装置401が自由ミラー402よりも上側に位置し、運転手の前方の遠距離光線側に位置するようになる。
【0058】
図5の光学設計構成を表現した
図8の等価構造を、
図15に示すように、自由ミラー平面72が垂直になるように回転させたものを詳察すると、ディスプレイ装置401から放射される光のうち、出力が強い垂直成分の光の殆どは捨てられる(利用されない)ようになり、垂直から遠い出力が相対的に低い成分の光を主に使用するようになるため、光の効率が低下する可能性がある。
【0059】
フロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400にディスプレイ装置401が自由ミラー402よりも上部に位置する光学設計構成を適用するためには、光の放射角度を調整することのできるディスプレイ装置、すなわち、回折素子、Micro-Lens Array、Digital Micromirror Deviceのような追加の光学素子が含まれたディスプレイ装置を利用することにより、光の効率を保障することが可能となる。
【0060】
一方、
図9の光学設計構成を表現した
図13の等価構造によると、
図16に示すように、ディスプレイ装置401が自由ミラー402よりも下側に位置し、運転手前方の近距離光線側に位置するようになる。
【0061】
図9の光学設計構成を表現した
図13の等価構造を、
図17に示すように、自由ミラー平面72が垂直になるように回転させたものを詳察すると、ディスプレイ装置401から放射される光のうち、出力が強い垂直成分の光を主に使用するようになり、光の効率が高いと言える。
【0062】
光が移動する実際の経路は、ディスプレイ装置401を出発して自由ミラー402とフロントガラス40で反射する。このとき反射した光が運転手の目に到達し、水晶体(レンズ)によって網膜の焦点に合うようになる。しかし、運転手が見る画像は、実際の画像が生成されるディスプレイ平面71に位置する実像ではなく、虚像24である。このとき、虚像24は、地面と対応する仮想の平面である虚像平面73上に位置する。すなわち、ディスプレイ平面71は、自由ミラー402によって虚像平面73と結像条件(imaging condition)を満たす。
【0063】
虚像を地面位置に生成するためのディスプレイ装置401と自由ミラー402の理論的関係式は、運転手の目を除いたディスプレイ装置401に対応するディスプレイ平面71、自由ミラー402に対応する自由ミラー平面72、地面に対応する虚像平面73の間の結像条件に基づいて導き出されてよい。また、自由ミラー平面72の焦点距離が、結像条件の一変数となってよい。
【0064】
図18は、ディスプレイ装置401と自由ミラー402の関係式を導き出すために必要な変数を示している。
【0065】
図18を参照すると、ディスプレイ平面71と自由ミラー平面72の交点Iは、地面上に位置してよい。言い換えれば、ディスプレイ平面71と自由ミラー平面72と虚像平面73は、所定の位置Iで同時に交差してよい。このような条件下において、ディスプレイ平面71と自由ミラー平面72と虚像平面73が結像条件を満たすように光学系を設定することが可能である。
【0066】
DPは、ディスプレイ装置401に対応するディスプレイ平面71を意味し、FMPは自由ミラー402に対応する自由ミラー平面72を意味し、IPは地面に対応する平面自体を示す虚像平面73を意味する。
【0067】
Cは、ディスプレイ装置401に対する自由ミラー402の光学的中心を意味する。ただし、Cが必ずしも実際の自由ミラー402上に位置する必要はなく、運転手の視線の位置に応じて自由ミラー402の位置にオフセットを適用してよい。運転手の視線の位置が高く設定されるほどオフセットは大きく設定され、運転手の視線の位置が低く設定されるほどオフセット値は低く設定されてよい。これによると、運転手の視線の位置が高く設定されるほど自由ミラー402も高く設置され、運転手の視線の位置が低く設定されるほど自由ミラー402も低く設置されてよい。ただし、このような変化とは関係なく、全体的な光学システムと内部構成要素の数学的関係式は、同じように維持される。
【0068】
以下では、簡単な数式化のために、Cが自由ミラー402上に位置する場合を仮定しながら関係式を導き出すことにする。
【0069】
IはDP71、FMP72、IP73が交わる交点、JはDP71に対して平行でありながら中心点Cを通過する直線がIP73と交差する点、KはIP73上の自由ミラー402の法線との交点であって、FMP72に対して垂直であって中心点Cを通過する直線がIP73と交差する点を意味する。
【0070】
α(α
E、α
S)は、中心点Cと交点Kを通過する直線を基準としてDP71とIP73で結像条件を満たす位置の角度であり、該当の位置は結像条件を満たすため、DP71方向角度とIP73方向角度が常に一致するようになる。ここで、結像条件とは、光源から全方位的な立体角に放出された光が自由ミラーによって虚像VIの同じ地点に到達するという条件を意味する。
図18において、結像条件が満たされるということは、ディスプレイ装置401、自由ミラー、および虚像VIが合わさるIP73の位置と角度、および自由ミラーの焦点距離fがレンズの公式(lens formula)を満たすことにより、ディスプレイ装置401から放出された光が自由ミラーによってIP73に収斂(収束)されることによってIP73上に虚像VIが生成されることを意味する。ただし、本発明の実施形態は、実像ではなく虚像VIが形成される例について説明しているため、光が実際にIP73に到達することではなく、発散する光線の延長線がIP73上で収斂されて虚像VIを形成することであるのは、本発明が属する分野の技術者であれば理解できるであろう。
【0071】
βはIP73あるいは地面基準のDP71の角度、γはIP73あるいは地面基準のFMP72の角度、θはDP71とFMP72の角度を意味する。
【0072】
hはIP73あるいは地面から中心点Cまでの距離を意味し、h’(
図19を参照)はhにh方向へのオフセット(正数または負数)を加えた値(実在的な自由ミラー402の高さ)を意味する。このとき、h’は、自由ミラー402の位置に運転手の視線の位置によるオフセットが適用される場合に該当する。
【0073】
Sは、交差点Iから交差点Jまでの長さ、すなわち、地面に対して平行な軸方向であって、高さhでのDP71とFMP72の離隔距離(separation distance)を意味する。
【0074】
S’(
図19を参照)は、地面に対して平行な軸方向であって、高さh’(
図19を参照)でのDP71とFMP72の離隔距離を意味する。
【0075】
dSは、IP73あるいは地面に対応する平面上において、自由ミラー402の中心点CとIP73あるいは地面との直交位置C’から虚像(VI)が始まる位置までの距離を意味する。
【0076】
dEは、IP73あるいは地面に対応する平面上において、自由ミラー402の中心点CとIP73あるいは地面との直交位置C’から虚像VIが終わる位置までの距離を意味する。
【0077】
dIは虚像VIの大きさ(size)を、fは自由ミラー402の焦点距離(focal length)を意味する。
【0078】
先ず、β、γ、θの関係式は、次のとおりとなる。
【0079】
DP71とIP73の間の結像条件を適用すれば、数式(1)が成立される。
【0080】
【数1】
(γ、θ、h、fはすべて正数と仮定)
ここで、hは、一般的な車両において、地面からダッシュボード上の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400の位置までの高さ(正確には、自由ミラー402の光学的中心Cまでの高さ)を意味する。また、fは、一般的な大きさと曲律を有する3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400の自由ミラー402の焦点距離を意味する。
【0081】
数式(1)にhとfの値を代入すれば、θとγとの数値的関係が導き出されるようになり、これに基づき、β、γ、θの関係式、β=γ+θによってβが導き出される。
【0082】
次に、Sは、数式(2)により、h、βとγ、およびθを利用して導き出されてよい。
【0083】
【数2】
最後に、d
S、d
E、およびd
Iは、数式(3)によって導き出されてよい。
【0084】
【数3】
(α(α
E、α
S)は、中心点Cと交差点Kを通過する直線基準の正数または負数)
数式(3)を利用してd
Sとd
Iが計算されるようになるが、このとき、虚像VIの開始位置を示すd
Sとおよび虚像VIの大きさを示すd
Iに対する調節が必要であれば、α(α
E、α
S)とβおよびθのうちの少なくとも1つを調節して光学構成を最適化してよい。
【0085】
上述したような関係式により、地面に対するDP71とFMP72の角度、および虚像VIの位置と大きさを導き出すことができる。
【0086】
図19は、3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400において、アイボックス(Eye-box、瞳孔の位置)によって決められる自由ミラー402の位置を説明するための例示図である。
【0087】
図19を参照すると、要求されるアイボックス(Eye-box、瞳孔の位置)の高さは、運転手が運転席に座っているときに目が位置する高さとすることが一般的であり、アイボックスから自由ミラー402までの距離は、目から3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400の自由ミラー402までの距離とする。
【0088】
自由ミラー402の位置は、要求されるアイボックスの位置に応じてオフセットを含んで高さh’が決まるが、その位置が必ずしも自由ミラー402の光学的中心Cを含む必要はない。h’に応じてDP71とFMP72の離隔距離であるs’が決められてよく、このとき、s’は、ディスプレイ装置401と自由ミラー402の距離として参考されてよい。
【0089】
図9の光学設計構成を表現した
図13の等価構造を自由ミラー平面72が垂直になるように回転させたものを詳察すると、
図20に示すように、DP71とIP73で結像条件を満たす位置の角度α(α
E、α
S)は、DP71方向角度とIP73方向角度が一致する。
【0090】
ディスプレイ装置401が近距離光線の近くに位置する構造はもちろん、ディスプレイ装置401が遠距離光線の近くに位置する構造でも同じように結像条件を満たす場合には、光源と虚像の位置角度(αE、αS)が常に統一する。
【0091】
図21は、フロントガラス40とフォールドミラー403を考慮したディスプレイ装置401と自由ミラー402の角度を導き出すために必要な変数を示している。
図21は、ディスプレイ装置401が近距離光線の近くに位置する構造の光学設計構成を示している。
【0092】
図21を参照すると、δは地面基準のディスプレイ装置401の角度を意味し、εは地面基準の自由ミラー402の角度を意味し、σは地面基準のフォールドミラー403の角度を、τは地面基準のフロントガラス40の角度を意味する。
【0093】
図18を参照しながら説明したディスプレイ装置401と自由ミラー402との理論的関係式に基づいてディスプレイ装置401と自由ミラー402の角度を導き出せば、次のとおりとなる。
【0094】
ディスプレイ装置401の角度は、結像条件を満たすDP71の角度βを利用して導き出すことができ、一例として、数式(4)または数式(5)によって導き出されてよい。
【0095】
δ=β+2×(τ-σ)(if σ≠τ:σ≠τの場合)・・・(4)
【0096】
δ=β(if σ=τ:σ=τの場合)・・・(5)
自由ミラー402の角度は、結像条件を満たすFMP72の角度γを利用して導き出すことができ、一例として、数式(6)によって導き出されてよい。
【0097】
ε=γ+2τ・・・(6)
したがって、本発明に係る3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400は、上述したような関係式に基づくディスプレイ装置401と自由ミラー402により、フロントガラス反射方式によって、運転手が注視している前方の地面に横になった3次元視点の虚像(VI)を実現することができる。
【0098】
DP71とIP73の間の結像条件を満たす位置において、DP71の角度βを利用して地面基準のディスプレイ装置401の角度を導き出し、FMP72の角度γを利用して地面基準の自由ミラー402の角度を導き出すことにより、地面に仮想の3D画像を位置させるフロントガラス反射方式の3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ400を実現することができる。
【0099】
このように、本発明の実施形態によると、フロントガラス反射方式によって虚像を地面と一致させ、運転手の視点を基準に拡張現実の3次元虚像を生成する3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイを提供することができ、特に、フロントガラスを含む構造において、地面と一致する仮想の3D画像を生成するための光学系の光の効率を最大化する構造を提供することができる。
【0100】
上述した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組み合わせによって実現されてよい。例えば、実施形態で説明された装置および構成要素は、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令を実行して応答することができる様々な装置のように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータを利用して実現されてよい。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)およびOS上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行してよい。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答し、データにアクセスし、データを記録、操作、処理、および生成してもよい。理解の便宜のために、1つの処理装置が使用されるとして説明される場合もあるが、当業者は、処理装置が複数個の処理要素および/または複数種類の処理要素を含んでもよいことが理解できるであろう。例えば、処理装置は、複数個のプロセッサまたは1つのプロセッサおよび1つのコントローラを含んでよい。また、並列プロセッサのような、他の処理構成も可能である。
【0101】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、またはこれらのうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよく、思うままに動作するように処理装置を構成したり、独立的または集合的に処理装置に命令したりしてよい。ソフトウェアおよび/またはデータは、処理装置に基づいて解釈されたり、処理装置に命令またはデータを提供したりするために、いかなる種類の機械、コンポーネント、物理装置、コンピュータ記録媒体または装置に具現化されてよい。ソフトウェアは、ネットワークによって接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された状態で記録されても実行されてもよい。ソフトウェアおよびデータは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてよい。
【0102】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって実行可能なプログラム命令の形態で実現されてコンピュータ読み取り可能な媒体に記録されてよい。ここで、媒体は、コンピュータ実行可能なプログラムを継続して記録するものであっても、実行またはダウンロードのために一時記録するものであってもよい。また、媒体は、単一または複数のハードウェアが結合した形態の多様な記録手段または格納手段であってよく、あるコンピュータシステムに直接接続する媒体に限定されることはなく、ネットワーク上に分散して存在するものであってもよい。媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープのような磁気媒体、CD-ROMおよびDVDのような光媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような光磁気媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどを含み、プログラム命令が記録されるように構成されたものであってよい。また、媒体の他の例として、アプリケーションを配布するアプリケーションストアやその他の多様なソフトウェアを供給または配布するサイト、サーバなどで管理する記録媒体または格納媒体が挙げられる。
【0103】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0104】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付される特許請求の範囲に属する。