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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/16 20170101AFI20221117BHJP
   B01J 23/75 20060101ALI20221117BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20221117BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C01B32/16
B01J23/75 M
B01J23/755 M
B01J23/745 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021529513
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2019120827
(87)【国際公開番号】W WO2020253104
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】201910533219.0
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521049469
【氏名又は名称】ジィァンシー コパー テクノロジー リサーチ インスティテュート カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI COPPER TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1129 Gaoxin Avenue Nanchang, Jiangxi 330096 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミンハイ
(72)【発明者】
【氏名】ユェン シンシン
(72)【発明者】
【氏名】ルァン チャオ
【審査官】田口 裕健
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510300(JP,A)
【文献】特開2008-037690(JP,A)
【文献】特開2007-252970(JP,A)
【文献】特開2018-027880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009557(US,A1)
【文献】特許第6418690(JP,B2)
【文献】特許第6455988(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/082936(WO,A1)
【文献】特開2002-255521(JP,A)
【文献】特開2002-255522(JP,A)
【文献】特開2002-255523(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0050409(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0108699(KR,A)
【文献】カーボンナノチューブの製造方法,信州大学 遠藤守信研究室,2005年,[online],[令和4年7月8日検索],インターネット,<http://endomoribu.shinshu-u.ac.jp/research_j/cnt/make.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
B01J 21/00-38/74
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を含み、前記触媒剤蒸発室が第1管路を介して前記化学気相堆積室と密封接続され、前記化学気相堆積室が第2管路を介して前記気固分離室と密封接続され、高温物理蒸発と化学気相堆積との併用を実現し、前記触媒剤蒸発室内に触媒剤を置くことができると共に、前記触媒剤蒸発室内には、不活性キャリアガスの入口と高温蒸発スプレーガンとが設けられており、前記触媒剤蒸発室と前記化学気相堆積室との接続部には有機炭素源ガス混合ガスの入口が設けられており、前記気固分離室には真空システムが接続されており、前記有機炭素源ガス混合ガスの入口と前記不活性キャリアガスの入口にはガス流路システムがそれぞれ接続されたカーボンナノチューブの製造装置を用いたカーボンナノチューブの製造方法であって、
S1)触媒剤を前記触媒剤蒸発室内に置き、前記真空システムを起動して前記触媒剤蒸発室内の空気を排出した後、前記ガス流路システムを起動及び切り替えて前記不活性キャリアガスの入口から不活性キャリアガスを導入する工程と、
S2)前記化学気相堆積室を稼動して加熱昇温し、温度を所定温度まで上げる工程と、
S3)しかる後、前記高温蒸発スプレーガンをオンにして前記触媒剤蒸発室内の触媒剤を蒸発させ、前記第1管路を介して不活性キャリアガスと共に前記化学気相堆積室に入れる工程と、
S4)続いて、前記有機炭素源ガス混合ガスの入口から導入された前記有機炭素源ガス混合ガスを、稼動されて加熱昇温した前記化学気相堆積室内において触媒剤と反応させて触媒熱分解させ、カーボンナノチューブを生成し、生成した生成物を前記第2管路を介して前記不活性キャリアガスと共に前記気固分離室に入れ、分離後に最終生成物を得る工程とを含むカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項2】
前記S1)において触媒剤は金属触媒剤であり、前記金属触媒剤は鉄、コバルト及びニッケルのいずれか1つ又は複数を含み、前記不活性キャリアガスは窒素、アルゴン及びヘリウムのいずれかであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記S2)における前記所定温度は500~1500℃であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記S3)における前記高温蒸発スプレーガンは、最高温度が2000℃を超え、パワーが10kWを超えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記S4)において前記有機炭素源ガス混合ガスは、有機炭素源ガス、不活性キャリアガス及び水素を含み、前記有機炭素源ガスの体積が5~80%、水素の体積が0.1~10%であり、残りは不活性キャリアガスであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機炭素源ガスは、メタン、エタン、エチレン、エタノール、メタノールのうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新材料技術分野に属し、ナノカーボン材料に関し、特にカーボンナノチューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブはspハイブリッド炭素-炭素共有結合から構成される管状ナノ材料であり、軽量、高強度、高熱伝導率、大表面積、構造安定などの利点を有する。その誕生以来、常時人々の注目を受け、ナノ材料の科学技術のホットスポットをリードし、構造複合材料、エネルギー、触媒及び機能部品の領域に広い応用の可能性がある。
【0003】
現在、カーボンナノチューブの製造方法は主に以下の通りである。化学気相堆積法(chemical vapor deposition)、アークアブレーション法(arc ablation)、レーザー法、プラズマ法などである。化学気相堆積法は比較的成熟した工程経路であり、すでに産業に応用されている。しかし、化学気相堆積法は固有の反応温度が低いため、カーボンナノチューブの結晶程度が低いという欠点があり、化学気相堆積法で製造されたカーボンナノチューブは欠陥含有量が高い。特に、細い管径カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブを製造するとき、表面欠陥が高く、その導電性が極めて制限され、高温方法で製造されたカーボンナノチューブと比較できない。伝統的な化学気相堆積法は反応温度が低いため、炭素-炭素が再構築過程において化学結合ポテンシャル障壁をうまく乗り越えられず、大量の非完備なsp構造を形成し、カーボンナノチューブの内部欠陥を招き、電子伝達を厳重に阻害し、その導電性を低下させる。そのため、触媒剤活性を高める又は反応温度を上げることは細い管径カーボンナノチューブを製造する重要な要素である。
【0004】
中国発明特許CN200710098478.2は、カーボンナノチューブを連続的に生産する方法と装置とを公開している。ここでは、多段逆流反応器を採用し、流動床化学気相堆積技術を利用してカーボンナノチューブの連続的な製造を実現している。中国発明特許201010234322.4は、直径制御可能な単層カーボンナノチューブの製造方法を公開している。ここでは、高温アークアブレーション法を採用してカーボン電極にカーボン粉末と金属触媒剤とを充填し、アークにより直接アブレーションしてカーボンナノチューブを製造している。中国発明特許201110315452.5は、カーボンナノチューブの製造方法を公開している。ここでは、金属塩溶液をモリブデン或いはジルコニウム基板にロードさせ、直流プラズマ噴射化学気相堆積設備室内の堆積台に置き、直流アークは高温プラズマを形成し、金属塩を分解還元後Ni/MgO触媒剤を生成し、その後、炭化水素ガスを導入し、高温熱分解によりカーボンナノチューブを形成する。しかし、触媒剤粒子のサイズと活性との制御可能な製造を実現し、それによって細い管径のカーボンナノチューブ乃至単層カーボンナノチューブを製造することは、依然として挑戦的な仕事である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な目的は、従来技術における欠点を克服するためのカーボンナノチューブの製造方法を提供することである。
【0006】
前述の発明の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。カーボンナノチューブの製造装置であって、前記カーボンナノチューブの製造装置は触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を含み、この装置は触媒剤蒸発室が管路を介して化学気相堆積室密封接続され、高温物理蒸発と化学気相堆積との併用を実現し、化学気相堆積室には直接接続された通路を通じて触媒剤を入れることができ、同時にガス流路システムがキャリアガスと炭素源ガスとをそれぞれ触媒剤蒸発室と化学気相堆積室とに導入し、触媒剤と高温熱分解した有機炭素源とを反応させ、カーボンナノチューブを生成し、さらに気固分離室を介して分離収集する。
【0007】
さらに、前記カーボンナノチューブの製造装置の構造は以下の通りである。前記触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室は左から右へ順に密閉して接続する。
【0008】
前記触媒剤蒸発室と化学気相堆積室との接続部には有機炭素源混合気の入口が設けられている。前記触媒剤蒸発室の他端にはキャリアガスの入口と高温蒸発スプレーガンとが設けられている。
【0009】
真空システムは前記気固分離室と接続されている。前記ガス流路システムはそれぞれ前記有機炭素源混合気入口と前記キャリアガス入口と接続されている。前記化学気相堆積室の側壁には冷却システムが配置され、電源システムは電源を供給する。
【0010】
さらに、前記触媒剤蒸発室は高温物理蒸発方式である。前記高温物理蒸発方式は高温アーク、高温無線周波数プラズマ又は高温マイクロ波プラズマである。前記触媒剤蒸発室は内ライニング高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体であり、内ライニング高温保温層は多孔質セラミック、セラミックファイバーフェルト、黒鉛又は黒鉛フェルトである。
【0011】
さらに、前記化学気相堆積室は石英管式炉である。
【0012】
さらに、前記気固分離室の分離方式は以下の通りである。遠心分離、サイクロン分離及び濾過分離方式のいずれかである。
【0013】
本発明の別の目的は、上述のカーボンナノチューブの製造装置を用いてカーボンナノチューブを製造する方法を提供することであり、具体的には以下の工程を含む。
【0014】
S1)触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、真空システムを起動して触媒剤蒸発室内の空気を排出した後、ガス流路システムを起動及び切り替えて不活性キャリアガスを導入する。
【0015】
S2)化学気相堆積室を稼動して加熱昇温し、温度を指定の温度まで上げる。
【0016】
S3)しかる後、高温蒸発スプレーガンをオンにして触媒剤蒸発室内の触媒剤を蒸発させ、管路接続を介してキャリアガスと共に化学気相堆積室に入れる。
【0017】
S4)続いて、化学気相堆積室に有機炭素源ガス混合ガスを導入し、生成した生成物を接続された管路を介してキャリアガスと共に気固分離室に入れ、分離後に最終生成物を得る。
【0018】
さらに、前記S1)において触媒剤は金属触媒剤であり、前記金属触媒剤は鉄、コバルト及びニッケルのいずれか1つ又は複数を含む。前記キャリアガスは窒素、アルゴン及びヘリウムのいずれかである。
【0019】
さらに、前記S2)における温度は500~1500℃である。
【0020】
さらに、前記S3)における高温蒸発スプレーガンは、最高温度が2000℃を超え、パワーが10kWを超える。
【0021】
さらに、前記S4)において有機炭素源ガス混合ガスは、有機炭素源ガス、不活性キャリアガス及び水素を含む。ここで、前記有機炭素源ガスの体積が5~80%、水素の体積が0.1~10%であり、残りは不活性キャリアガスである。
【0022】
さらに、前記有機炭素源ガスは、メタン、エタン、エチレン、エタノール、メタノールのうちの1つ又は複数である。
【0023】
従来技術と比較して、本発明の利点は以下の通りである。
【0024】
(1)高温物理蒸発技術と化学気相堆積との併用装置を用いて、触媒剤の調製とカーボンナノチューブの成長とを連続的に進行させ、効果的に触媒剤の活性を保証し、間欠的に触媒剤を調製することで酸化や凝集による触媒剤の失効を回避することは、後続する化学気相堆積の触媒効率の向上に有利である。
【0025】
(2)高温物理蒸発技術を用いて触媒剤を調製し、金属を直接気体状に蒸発させ、微細寸法の触媒剤粒子を得ることができ、微細管径カーボンナノチューブ乃至単層カーボンナノチューブの有効な製造に有利である。
【0026】
(3)装置の全体は触媒剤調製、カーボンナノチューブ製造及び分離収集機能を一体化し、連続化製造が可能であり、生産効率が高く、技術が簡便であるなどの特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明に係る一種のカーボンナノチューブの製造装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明に係る方法の実施例1で製造されたカーボンナノチューブ生成物の走査型電子顕微鏡の概略写真である。
図3図3は、本発明に係る方法の実施例2で製造されたカーボンナノチューブ生成物の走査型電子顕微鏡の概略写真である。
【符号の説明】
【0028】
1 触媒剤蒸発室、2 キャリアガスの入口、3 高温蒸発スプレーガン、4 触媒剤、5 有機炭素源混合気の入口、6 化学気相堆積室、7 気固分離室
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面および実施例と合わせて本発明の技術的解決手段についてさらに説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明は、カーボンナノチューブの製造装置であって、前記カーボンナノチューブの製造装置は触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を含み、この装置は触媒剤蒸発室が管路を介して化学気相堆積室密封接続され、高温物理蒸発と化学気相堆積との併用を実現し、化学気相堆積室には直接接続された通路を通じて触媒剤を入れることができ、同時にガス流路システムがキャリアガスと炭素源ガスとをそれぞれ触媒剤蒸発室と化学気相堆積室とに導入し、触媒剤と高温熱分解した有機炭素源とを反応させ、カーボンナノチューブを生成し、さらに気固分離室を介して分離収集する。
【0031】
さらに、前記カーボンナノチューブの製造装置の構造は以下の通りである。前記触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室は左から右へ順に密閉して接続されている。
【0032】
前記触媒剤蒸発室と化学気相堆積室との接続部には有機炭素源混合気の入口が設けられている。前記触媒剤蒸発室の他端にはキャリアガスの入口と高温蒸発スプレーガンとが設けられている。
【0033】
真空システムは前記気固分離室と接続されている。前記ガス流路システムはそれぞれ前記有機炭素源混合気の入口と前記キャリアガスの入口と接続されている。前記化学気相堆積室の側壁には冷却システムが配置され、電源システムは電源を供給する。
【0034】
さらに、前記触媒剤蒸発室は高温物理蒸発方式である。前記高温物理蒸発方式は高温アーク、高温無線周波数プラズマ又は高温マイクロ波プラズマである。前記触媒剤蒸発室は内ライニング高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体であり、内ライニング高温保温層は多孔質セラミック、セラミックファイバーフェルト、黒鉛又は黒鉛フェルトである。
【0035】
さらに、前記化学気相堆積室は石英管式炉である。
【0036】
さらに、前記気固分離室の分離方式は以下の通りである。遠心分離、サイクロン分離及び濾過分離方式のいずれかである。
【0037】
本発明の別の目的は、上述のカーボンナノチューブの製造装置を用いてカーボンナノチューブを製造する技術方法を提供することであり、具体的には以下の工程を含む。
【0038】
S1)触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、真空システムを起動して触媒剤蒸発室内の空気を排出した後、ガス流路システムを起動及び切り替えて不活性キャリアガスを導入する。
【0039】
S2)化学気相堆積室を稼動して加熱昇温し、温度を指定の温度まで上げる。
【0040】
S3)しかる後、高温蒸発スプレーガンをオンにして触媒剤蒸発室内の触媒剤を蒸発させ、管路接続を介してキャリアガスと共に化学気相堆積室に入れる。
【0041】
S4)続いて、化学気相堆積室に有機炭素源ガス混合ガスを導入し、生成した生成物を接続された管路を介してキャリアガスと共に気固分離室に入れ、分離後に最終生成物を得る。
【0042】
さらに、前記S1)において触媒剤は金属触媒剤であり、前記金属触媒剤は鉄、コバルト及びニッケルのいずれか1つ又は複数を含む。前記キャリアガスは窒素、アルゴン及びヘリウムのいずれかである。
【0043】
さらに、前記S2)における温度は500~1500℃である。
【0044】
さらに、前記S3)における高温蒸発スプレーガンは、最高温度が2000℃を超え、パワーが10kWを超える。
【0045】
さらに、前記S4)において有機炭素源ガス混合ガスは、有機炭素源ガス、不活性キャリアガス及び水素を含む。ここで、前記有機炭素源ガスの体積が5~80%、水素の体積が0.1~10%であり、残りは不活性キャリアガスである。
【0046】
さらに、前記有機炭素源ガスは、メタン、エタン、エチレン、エタノール、メタノールのうちの1つ又は複数である。
【0047】
実施例1
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温アーク装置であり、パワーが20kWで、外層は、内ライニング黒鉛高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。鉄を金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるヘリウムを導入する。同時に、化学気相堆積室を1200℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、鉄原子を気化した後、キャリアガスであるヘリウムによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は1200℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはメタン(45%)、ヘリウム(50%)及び水素(5%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端でサイクロン分離装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現し、電子顕微鏡でスキャンされた形態(図2に示す)のカーボンナノチューブ生成物を得る。
【0048】
実施例2
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温無線周波数プラズマであり、パワーが25kWで、外層は、内ライニング多孔質セラミック高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。鉄を金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるアルゴンを導入する。同時に、化学気相堆積室を1300℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、鉄原子を気化した後、キャリアガスであるアルゴンによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は1300℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはエチレン(5%)、アルゴン(85%)及び水素(10%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端でサイクロン分離装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現し、電子顕微鏡でスキャンされた形態(図3に示す)のカーボンナノチューブ生成物を得る。
【0049】
実施例3
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温マイクロ波プラズマであり、パワーが25kWで、外層は、内ライニングセラミックファイバーフェルト高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。鉄を金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるヘリウムを導入する。同時に、化学気相堆積室を500℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、鉄原子を気化した後、キャリアガスであるヘリウムによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は500℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはメタノール(80%)、窒素(15%)及び水素(5%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端でサイクロン分離装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現する。
【0050】
実施例4
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温アーク装置であり、パワーが20kWで、外層は、内ライニング黒鉛高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。鉄を金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるヘリウムを導入する。同時に、化学気相堆積室を1500℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、鉄原子を気化した後、キャリアガスであるヘリウムによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は1500℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはエタノール(45%)、ヘリウム(54.9%)及び水素(0.1%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端でサイクロン分離装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現する。
【0051】
実施例5
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温アーク装置であり、パワーが20kWで、外層は、内ライニング黒鉛高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。コバルトを金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるヘリウムを導入する。同時に、化学気相堆積室を1200℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、コバルト原子を気化した後、キャリアガスであるヘリウムによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は1200℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはエタン(45%)、ヘリウム(45%)及び水素(5%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端で濾過装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現する。
【0052】
実施例6
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温アーク装置であり、パワーが50kWで、外層は、内ライニング黒鉛高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。ニッケルを金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるヘリウムを導入する。同時に、化学気相堆積室を1200℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、ニッケル原子を気化した後、キャリアガスであるヘリウムによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は1200℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはメタン(45%)、ヘリウム(45%)及び水素(5%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端でサイクロン分離装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現する。
【0053】
実施例7
カーボンナノチューブの製造装置は、触媒剤蒸発室、化学気相堆積室及び気固分離室を直列に接続したものである。ここで、触媒剤蒸発室は高温アーク装置であり、パワーが50kWで、外層は、内ライニング黒鉛高温断熱層の二層水冷ステンレス鋼殻体で構成されている。化学気相堆積室は石英管式炉から構成され、気固分離室はサイクロン分離装置である。鉄を金属触媒剤とし、まず触媒剤を触媒剤蒸発室内に置き、空気を排除して真空にした後、不活性キャリアガスであるヘリウムを導入する。同時に、化学気相堆積室を1200℃まで昇温させ、その後にアーク装置をオンにして発生した高温アークは、鉄原子を気化した後、キャリアガスであるヘリウムによって管路を経て化学気相堆積室内に入る。化学気相堆積室の温度は1200℃に制御させ、有機炭素源混合ガスはメタン(45%)、ヘリウム(45%)及び水素(5%)であり、有機炭素源混合ガスの入口から化学気相堆積室に注入される。炭素源は高温下で触媒剤により触媒熱分解され、カーボンナノチューブを成長させ、後端でサイクロン分離装置に接続されて気固分離を行い、連続的な製造収集を実現する。
【0054】
上述した本発明の実施例の番号は、説明のためのものであり、実施例の優劣を示すものではない。以上、本発明の実施例を図面と合わせて説明したが、本発明は、上述した具体的な実施形態に限定されるものではなく、上述の具体的な実施形態は単なる例示的なものであって限定的なものではなく、当業者は、本発明の趣旨および請求項によって保護される範囲から逸脱しない場合、本発明の啓示の下で多くの形態を作ることができ、これらはいずれも本発明の保護の範囲内である。
図1
図2
図3