(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】有益剤カプセルを含む布地処理組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/42 20060101AFI20221117BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20221117BHJP
D06M 23/12 20060101ALI20221117BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C11D3/42
C11D3/50
D06M23/12
D06F35/00 Z
(21)【出願番号】P 2021531627
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(86)【国際出願番号】 US2019046469
(87)【国際公開番号】W WO2020037026
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-10
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】スメツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ジョス、コニー・アーナ・アリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンスティーンウィンケル、パスケール・クレア・アニック
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/004339(WO,A1)
【文献】特表2013-538885(JP,A)
【文献】国際公開第2017/156141(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/011736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
D06M 13/00- 15/715
C09K 23/00- 23/56
C11B 9/00- 9/02
B01J 13/02- 13/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地処理組成物であって、
a)有益剤カプセルであって、コア材料を封入するシェル材料を含み、前記シェル材料が、ポリビニルアルコール及びシェル成分に由来し、前記シェル成分が、ポリアクリレート
を含み、前記コア材料が有益剤を含む、有益剤カプセルと、
b)式
【化1】
(式中、Mは、好適なカチオンである)
を有するビフェニル増白剤と、
を含む、布地処理組成物。
【請求項2】
前記ビフェニル増白剤の濃度が、前記布地処理組成物の0.01重量%~2重量
%である、請求項
1に記載の布地処理組成物。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコールの濃度が、前記有益剤カプセルの0.01~20重量
%である、請求項1
又は2に記載の布地処理組成物。
【請求項4】
前記ポリビニルアルコールが、70%~99
%の加水分解度を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項5】
前記ポリビニルアルコールが、4重量%水溶液として、2mPa.s~150mPa.
sの粘度を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項6】
ポリビニルアルコールのビフェニル増白剤に対する重量比が、1/1~1/500
0である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項7】
ビフェニル増白剤の有益剤カプセルに対する比が、50/1~1/50
0である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項8】
前記コア材料が、香料を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項9】
非イオン性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤を更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤の濃度が、前記布地処理組成物の1重量%~70重量
%である、請求項
9に記載の布地処理組成物。
【請求項11】
前記有益剤カプセルの濃度が、前記布地処理組成物の0.01重量%~10重量
%である、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の布地処理組成物。
【請求項12】
請求項1~1
1のいずれか一項に記載の布地処理組成物を含む洗浄水であって、
前記ビフェニル増白剤の濃度が、前記洗浄水の0.1~50重量pp
mである、洗浄水。
【請求項13】
布地上への有益剤カプセルの付着を増加させるための、請求項1~1
1のいずれか一項に記載の組成物におけるビフェニル増白剤の使
用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有益剤カプセル及びビフェニル増白剤を含む布地処理組成物、並びにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯プロセスで使用される布地処理組成物は、有益剤によって送達される効果を布地にもたらす。そのような効果の一例は、増白剤によってもたらされる色鮮やかな外見の維持である。別の例は、香料によって提供される心地よい匂いである。この分野における問題は、有益剤、特に香料の多くが、布地処理中に付着しないか又はすすぎ落とされることである。香料及び他の有益剤は高価な成分であるので、使用中の有益剤の送達を改善するために封入を使用する場合がある。有益剤カプセルは、典型的には、カプセルが使用中に破砕され、それによって有益剤を放出するまで、有益剤を収容する。したがって、香料を収容する有益剤カプセルが破砕されると、香料放出によって爽やかさの効果がもたらされる。
【0003】
しかしながら、特に布地繊維などの表面を処理するために使用中に洗浄溶液に希釈される布地処理組成物中に有益剤カプセルが含有されている場合(例えば、洗濯洗剤又は布地柔軟剤)、処理された布地上に有益剤カプセルを効果的に付着させるという課題が残っている。付着助剤は、有益剤カプセルの付着を改善することが既に同定されている。しかしながら、追加成分には追加のポンプ及び貯蔵タンクが必要になるため、付着助剤を布地処理組成物に添加すると、製造設備におけるコスト及び複雑さの増大が必要になる。
【0004】
したがって、布地処理組成物の処方のコスト及び複雑さを最小限に抑えながら、有益剤の送達を強化して布地処理組成物の使用中及び使用後に効果をより長く持続させるために、有益剤カプセルの布地への付着を改善することが依然として必要とされている。
【0005】
国際公開第2016049456(A1)号は、それぞれ活性物質及び当該活性物質を不動化するポリマー材料をそれぞれが含有する2つ以上の有益粒子と、負に帯電しているか又は負に帯電することができるアニオン性化学基をそれぞれが有する1つ以上のバインダーポリマーと、正に帯電しているか又は正に帯電することができるカチオン性化学基をそれぞれが有する1つ以上の付着ポリマーと、を含有する、カプセル凝集体に関する。国際公開第201701385号は、コポリマーの特定の混合物によってコーティングされた有益剤カプセルに関する。米国特許出願公開第20170189283(A1)号は、付着タンパク質、例えば、タンパク質-シラノールコポリマー、タンパク質-シランコポリマー、タンパク質-シロキサンコポリマー、又はカチオン変性タンパク質でコーティングされた有益剤カプセルを含有するマイクロカプセル組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2016049456(A1)号
【文献】国際公開第201701385号
【文献】米国特許出願公開第20170189283(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有益剤カプセルを含む布地処理組成物であって、有益剤カプセルがシェル材料を含み、当該シェル材料がポリビニルアルコール及びシェル成分に由来する、布地処理組成物に関する。布地処理は、界面活性剤及びビフェニル増白剤を更に含む。
【0008】
本発明は更に、布地処理組成物を含む洗浄水に関する。
【0009】
本発明は更に、有益剤カプセルの付着を改善するためのそのような布地処理組成物の使用に関する。
【0010】
本発明の1つの目的は、有益剤カプセルの付着を改善することである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本発明で使用するとき、用語「布地処理組成物」は、特に指示がない限り、以下を含む洗浄及び処理組成物のサブセットである:顆粒又は粉末形態の汎用又は「ヘビーデューティ」洗浄剤、特に、洗浄洗剤;液体、ゲル、又はペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体タイプのもの;繊細な布地用の液体洗剤;液体洗浄及び消毒剤、布地コンディショニング製品(液体、固体及び/又は乾燥機シート形態であり得る柔軟剤及び/又はフレッシュニング剤を含む)に加えて、漂白添加剤及び「ステインスティック」又は前処理タイプなどの洗浄補助剤、乾燥機添加シート、乾燥及び湿潤のワイプ及びパッド、不織布基材、並びにスポンジなどの基材付き製品;加えて、スプレー及びミストを含む。適用可能であるそのような製品は全て、標準形態、濃縮形態、あるいは、そのような製品が特定の態様では非水性であり得る程度まで高度に濃縮された形態であり得る。
【0012】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求又は記述されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」は、非限定的であることを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「固体」は、顆粒、粉末、バー、レンチル(lentil)、ビーズ、及びタブレットの製品形態を含む。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト、スラリー、及び気体の製品形態を含む。
【0016】
別途記載のない限り、全ての構成成分又は組成物の濃度は、当該構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる構成成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0017】
全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、全組成に基づいて計算される。
【0018】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0019】
布地処理組成物
本発明による布地処理組成物は有益剤カプセルを含み、有益剤カプセルは、コア材料を封入するシェル材料を含み、当該シェル材料は、ポリビニルアルコール及びシェル成分に由来し、当該シェル成分は、ポリアミン、メラミンホルムアルデヒド、ポリ尿素、ポリウレタン、多糖類、修飾多糖類、ホルムアルデヒドで架橋された尿素、グルタルアルデヒドで架橋された尿素、シリコーンジオキシド、ケイ酸ナトリウム、ポリエステル、ポリアクリルアミド、及びこれらの混合物からなるリストから選択され、当該コア材料は、有益剤を含む。布地処理組成物は、ビフェニル増白剤、及び好ましくは少なくとも1%の界面活性剤を更に含む。布地処理組成物は、固体又は液体であってよく、好ましくは、布地柔軟剤組成物は液体である。
【0020】
ビフェニル増白剤
本発明の布地処理組成物は、
【0021】
【化1】
の式を有するビフェニル増白剤を含み、式中、Mは好適なカチオンであり、好ましくは、MはH
+又はNa
+であり、より好ましくは、MはNa
+である。
【0022】
驚くべきことに、本発明によるビフェニル増白剤は、有益剤カプセルであって、コア材料を封入するシェル材料を含み、当該シェル材料がポリビニルアルコール及びシェル成分に由来する、有益剤カプセルの付着を改善することが見出された。理論に束縛されるものではないが、付着は、ポリビニルアルコールと本発明によるビフェニル増白剤との間の相互作用によって改善されると考えられる。
【0023】
好適なビフェニル増白剤の例は、BASFにより供給されるTinopal(登録商標)CBS-X、Cenkeyにより供給されるBrightener CF-351-UP Granular、Qingshanにより供給されるCBX-X、Meghmaniにより供給されるMegawhite DT、Hongdaにより供給されるOptical Brightener Agent 49#-E、Alcochemにより供給されるFL Brightener 49 CI 351、Millikenにより供給されるKeyfluor(商標)White MLの商標名で供給され得る。
【0024】
好ましい布地処理組成物では、布地処理組成物中の本発明によるビフェニル増白剤の総量の1%未満、より好ましくは0.01%未満が、有益剤カプセルに封入される。封入されていないビフェニル増白剤は、色鮮やかな外見を提供し、処理された布地への有益剤カプセルの付着を改善する。
【0025】
好ましい布地処理組成物では、ビフェニル増白剤の合計濃度は、当該組成物の0.01重量%~2重量%、好ましくは0.04重量%~1.5重量%、より好ましくは0.06重量%~1重量%、最も好ましくは0.1重量%~0.5重量%である。
【0026】
好ましい布地処理組成物では、ビフェニル増白剤の有益剤カプセルに対する比は、50/1~1/500、より好ましくは10/1~1/250、最も好ましくは5/1~1/100である。
【0027】
本発明の一態様では、布地処理組成物を含む洗浄水中のビフェニル増白剤の濃度は、洗浄水の0.1~50重量ppm、好ましくは1~30重量ppm、より好ましくは2~20重量ppm、更により好ましくは2~10重量ppmである。
【0028】
ビフェニル増白剤は、残りの成分を含む布地処理組成物に別個に添加してよい。
【0029】
好ましい布地処理組成物は、本発明によるビフェニル増白剤を含み、当該ビフェニル増白剤は、布地処理組成物の残りの成分に添加される前に予め混合され、プレミックスは、ビフェニル増白剤、水、並びに有機溶媒、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなるリストから選択される成分を含み、好ましくは、当該有機溶媒は、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、1,2-プロパンジオール、及びこれらの混合物からなるリストから選択され、より好ましくは、当該有機溶媒は、1,2-プロパンジオールである。ビフェニル増白剤プレミックスは、布地処理組成物全体にわたる増白剤の均質な分布を促進する。理論に束縛されるものではないが、出願人は、ビフェニル増白剤の均質な分布が、有益剤カプセルの布地への付着を更に改善すると考えている。
【0030】
有益剤カプセル
布地処理組成物は、コア材料及び当該コア材料を封入するシェル材料を含む有益剤カプセルを含み、当該シェル材料は、ポリビニルアルコール及びシェル成分に由来し、当該シェル成分は、ポリアクリレート、ポリアミン、メラミンホルムアルデヒド、ポリ尿素、ポリウレタン、多糖類、修飾多糖類、ホルムアルデヒドで架橋された尿素、グルタルアルデヒドで架橋された尿素、シリコーンジオキシド、ケイ酸ナトリウム、ポリエステル、ポリアクリルアミド、及びこれらの混合物からなるリストから選択される。
【0031】
有益剤カプセルの濃度は、布地処理組成物中の遊離及び封入有益剤の所望の合計濃度に依存し得る。好ましい布地処理組成物では、有益剤カプセルの濃度は、布地処理組成物の0.01重量%~10重量%、0.03重量%~5重量%、0.05重量%~4重量%である。「有益剤カプセルの濃度」とは、本明細書では、シェル材料とコア材料との合計を意味する。
【0032】
好ましい組成物では、当該シェル成分は、ポリアクリレート、ポリアミン、ポリ尿素、ポリウレタン、多糖類、修飾多糖類、ホルムアルデヒドで架橋された尿素、グルタルアルデヒドで架橋された尿素、シリコーンジオキシド、ケイ酸ナトリウム、ポリエステル、ポリアクリルアミド、及びこれらの混合物からなるリストから選択され、より好ましくは、当該シェル成分は、ポリアミン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアクリレート、及びこれらの混合物からなるリストから選択され、更により好ましくは、当該シェル成分は、ポリ尿素、ポリアクリレート、及びこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、当該シェル成分は、ポリアクリレートである。
【0033】
シェル成分は、約50%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%のポリアクリレートポリマーを含み得る。ポリアクリレートは、ポリアクリレート架橋ポリマーを含み得る。
【0034】
シェル材料は、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。
【0035】
カプセルのシェル材料は、1つ以上の多官能性アクリレート部分が含まれる材料から誘導されるポリマーを含み得る。多官能性アクリレート部分は、三官能性アクリレート、四官能性アクリレート、五官能性アクリレート、六官能性アクリレート、七官能性アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。多官能性アクリレート部分は、好ましくは、六官能性アクリレートである。シェル材料は、アクリレート部分、メタクリレート部分、アミンアクリレート部分、アミンメタクリレート部分、カルボン酸アクリレート部分、カルボン酸メタクリレート部分、及びこれらの組み合わせ、好ましくはアミンメタクリレート部分又はカルボン酸アクリレート部分からなる群から選択される部分を含む、ポリアクリレートを含み得る。
【0036】
シェル材料は、1つ以上の多官能性アクリレート部分及び/又はメタクリレート部分が含まれる材料を含み得る。1つ以上の多官能性アクリレート部分を含む材料の1つ以上のメタクリレート部分を含む材料に対する比は、約999:1~約6:4、好ましくは約99:1~約8:1、より好ましくは約99:1~約8.5:1であり得る。
【0037】
一態様では、シェル成分は、ポリ尿素又はポリウレタンである。シェル成分がポリ尿素又はポリウレタンに由来するカプセルは、1つ以上のポリイソシアネート及び1つ以上の架橋剤を使用して調製することができる。
【0038】
ポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基、すなわち、O=C=N-を有する分子であり、当該ポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族、直鎖、分枝状、又は環状であり得る。特定の実施形態では、ポリイソシアネートは、平均して2~4つの-N=C=O基を含有する。特定の実施形態では、ポリイソシアネートは、少なくとも3つのイソシアネート官能基を含有する。特定の実施形態では、ポリイソシアネートは、水不溶性である。
【0039】
ポリイソシアネートは、芳香族又は脂肪族のポリイソシアネートであってよい。望ましい芳香族ポリイソシアネートは、それぞれ、芳香族成分として、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル若しくはジフェニル部分、又はこれらの組み合わせを有する。特定の実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(「PMDI」)、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、又はキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0040】
好適な脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、又はヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが挙げられる。更なる例としては、市販されているもの、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族水分散性ポリイソシアネートであるBAYHYDUR N304及びBAYHYDUR N305;ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく低粘度多官能性脂肪族ポリイソシアネートであるDESMODUR N3600、DESMODUR N3700、及びDESMODUR N3900;並びにヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネートであるDESMODUR 3600及びDESMODUR N100(これらはそれぞれ、Bayer Corporation(Pittsburgh,Pa.)から入手可能である)が挙げられる。
【0041】
壁モノマー(wall monomer)ポリイソシアネートの具体例としては、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシロールジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジ-及びテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)の異性体、任意で混合物中、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、塩素化及び臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアネート、ブタン1,4-ジイソシアネート、ヘキサン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、また、反応性ハロゲン原子を有するポリイソシアネート、例えば、1-クロロメチルフェニル2,4-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル2,6-ジイソシアネート、3,3-ビスクロロメチルエーテル4,4’-ジフェニルジイソシアネートが挙げられる。
【0042】
他の好適な市販のポリイソシアネートとしては、LUPRANATE M20(PMDI、BASFから市販、イソシアネート基「NCO」を31.5重量%含有)(平均nは0.7である);PAPI 27(平均分子量340を有し、NCOを31.4重量%含有する、Dow Chemicalから市販されているPMDI)(平均nは0.7である);MONDUR MR(NCOを31重量%以上含有するPMDI、Bayerから市販)(平均nは0.8である);MONDUR MR Light(NCOを31.8重量%含有するPMDI、Bayerから市販)(平均nは0.8である);MONDUR 489(NCOを30~31.4重量%含有する、Bayerから市販されているPMDI)(平均nは1.0である);ポリ[(フェニルイソシアネート)-co-ホルムアルデヒド](Aldrich Chemical,Milwaukee,Wis.)、DESMODUR N3200(Bayerから市販されているポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート))などの他のイソシアネートモノマー、並びにTAKENATE D110-N(Mitsui Chemicals corporation(Rye Brook,N.Y.)から市販されているキシレンジイソシアネート付加物ポリマー、NCOを11.5重量%含有)、DESMODUR L75(Bayerから市販されているトルエンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート)、DESMODUR IL(Bayerから市販されているトルエンジイソシアネートに基づく別のポリイソシアネート)、及びDESMODUR RC(トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート)が挙げられる。
【0043】
特定の好適なポリイソシアネートの平均分子量は、250~1000Da、好ましくは275~500Daで変動する。一般に、ポリイソシアネート濃度の範囲は、全て有益剤カプセルの重量に基づいて、0.1%~10%、好ましくは0.1%~8%、より好ましくは0.2~5%、更により好ましくは1.5%~3.5%で変動する。
【0044】
ポリイソシアネートと共に使用するのに好適な架橋剤(cross-linkers又はcross-linking agents)は、それぞれ、ポリイソシアネートと反応してポリ尿素又はポリウレタンを形成することができる複数の(すなわち、2つ以上の)官能基(例えば、-NH-、-NH2、及び-OH)を含有する。例としては、2つ以上のアミン基を含有する多官能性アミン(例えば、ポリアミン)、2つ以上のヒドロキシル基を含有する多官能性アルコール(例えば、ポリオール)、エポキシ架橋剤、アクリレート架橋剤、並びに1つ以上のアミン基及び1つ以上のヒドロキシル基を含有するハイブリッド架橋剤が挙げられる。
【0045】
架橋剤中のアミン基としては、-NH2H及びR*NHが挙げられ、R*は置換及び非置換のC1~C20アルキル、C1~C20ヘテロアルキル、C1~C20シクロアルキル、3~8員ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールである。
【0046】
そのようなポリアミンの2つの部類としては、以下の構造を有するポリアルキレンポリアミンが挙げられる。
【0047】
【化2】
式中、Rは水素又は-CH
3であり、m、n、x、y、及びzはそれぞれ独立して0~2000の整数(例えば、1、2、3、4又は5)である。
【0048】
例としては、エチレンジアミン、1,3-ジアミンプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミン、メラミンなどが挙げられる。
【0049】
別の部類のポリアミンは、以下の種類のポリアルキレンポリアミンである。
【0050】
【化3】
式中、Rは水素又は-CH
3に等しく、mは1~5であり、nは1~5であり、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどである。また、この種の例示的なアミンとしては、ジエチレントリアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、ビス(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、ビス(ヘキサンエチレン)トリアミンも挙げられる。
【0051】
本発明で使用することができる別の部類のアミンは、ポリエーテルアミンである。これらは、ポリエーテル主鎖の末端に結合した一級アミノ基を含有する。ポリエーテル主鎖は、通常、プロピレンオキシド(P0)、エチレンオキシド(EO)、又は混合P0/EQに基づく。エーテルアミンは、このコア構造に基づいて、モノアミン、ジアミン、又はトリアミンであり得る。一例は、以下の通りである。
【0052】
【0053】
例示的なポリエーテルアミンとしては、2,2-(エチレンジオキシ)-ビス(エチルアミン)及び4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミンが挙げられる。
【0054】
他の好適なアミンとしては、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,2-ジアミノプロパン、1,2-ジアミノエタン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、分枝状ポリエチレンイミン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、及び2,4,6-トリアミノピリミジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
架橋剤として有用な分枝状ポリエチレンイミンは、典型的には、200~2,000,000Da(例えば、800~2,000,000Da、2,000~1,000,000Da、10,000~200,000Da、及び20,000~100,000Da)の分子量を有する。
【0056】
両性アミン、すなわち、酸としてだけではなく塩基としても反応することができるアミンは、本発明で使用する別の部類のアミンである。両性アミンの例としては、タンパク質及びアミノ酸、例えば、ゼラチン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-アルギニン、L-リジン一塩酸塩、D-リジン一塩酸塩、L-アルギニン一塩酸塩、D-アルギニン一塩酸塩、L-オミチン(omithine)一塩酸塩、D-オミチン一塩酸塩、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
グアニジンアミン及びグアニジン塩は、本発明で使用する更に別の部類の多官能性アミンである。例示的なグアニジンアミン及びグアニジン塩としては、1,3-ジアミノグアニジン一塩酸塩、1,1-ジメチルビグアニド塩酸塩、炭酸グアニジン、及び塩酸グアニジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
アミンの市販例としては、上に示した構造を有するJEFFAMINE EDR-148(式中、n=2)、JEFFAMINE EDR-176(式中、n=3)(Huntsman製)が挙げられる。他のポリエーテルアミンとしては、JEFFAMINE EDシリーズ、JEFFAMINE TRIAMINES、BASF(Ludwigshafen,Germany)製のLUPASOLグレード(例えば、LUPASOL FG、LUPASOL G20水不含、LUPASOL PR 8515、LUPASOL WF、LUPASOL FC、LUPASOL G20、LUPASOL G35、LUPASOL G100、LUPASOL G500、LUPASOL HF、LUPASOL PS、LUPASOL HEO 1、LUPASOL PNSO、LUPASOL PN6O、LUPASOL P0100、及びLUPASOL SK)のポリエチレンイミンが挙げられる。他の市販のポリエチレンイミンとしては、NIPPON SHOKUBAI(New York,N.Y)製のEPOMIN P-1000、EPOMIN P-1050、EPOMIN RP18W、及びEPOMIN PP-061が挙げられる。LUPAMINEグレードでBASFによって販売されているものなどのポリビニルアミンを使用することもできる。広範囲のポリエーテルアミンが当業者によって選択され得る。特定の実施形態では、架橋剤は、ヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルアミン、又はこれらの混合物である。
【0059】
多官能性アミン、多官能性アルコール、又はハイブリッド架橋剤の範囲は、有益剤カプセルの0.1重量%~5重量%(例えば、0.2重量%~3重量%、0.2重量%~2重量%、0.5重量%~2重量%、又は0.5重量%~1重量%)で変動し得る。
【0060】
カプセルは乳化剤を含み得、当該乳化剤は、好ましくは、アニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは非イオン性乳化剤である。
【0061】
カプセルのシェル材料は、ポリビニルアルコールに由来し、好ましくは、カプセルの0.01~20重量%、より好ましくは0.05~10重量%、更により好ましくは0.1~5重量%、最も好ましくは0.1~2重量%の濃度である。ポリビニルアルコールは、カプセルのシェル内に部分的に存在していてよく、シェルの外表面上に部分的に存在していてよい。
【0062】
好ましくは、ポリビニルアルコールは、少なくとも1つの以下の特性、又はこれらの混合を有する。
(i)70%~99%、好ましくは75%~98%、より好ましくは80%~96%、より好ましくは82%~96%、最も好ましくは86%~94%の加水分解度、
(ii)20℃の4%水溶液において、2mPa.s~150mPa.s、好ましくは3mPa.s~70mPa.s、より好ましくは4mPa.s~60mPa.s、更により好ましくは5mPa.s~55mPa.sの粘度。
【0063】
好ましい布地処理組成物では、ポリビニルアルコールのビフェニル増白剤に対する重量比は、1/1~1/5000、好ましくは1/2~1/2000、より好ましくは1/5~1/1000、最も好ましくは1/10~1/500である。
【0064】
好適なポリビニルアルコール材料は、Selvol 540 PVA(Sekisui Specialty Chemicals,Dallas,TX)、Mowiol 18-88=Poval 18-88、Mowiol 3-83、Mowiol 4-98=Poval 4-98(Kuraray)、Poval KL-506=Poval 6-77 KL(Kuraray)、Poval R-1130=Poval 25-98 R(Kuraray)、Gohsenx K-434(Nippon Gohsei)から選択され得る。
【0065】
香料組成物は、布地処理組成物で処理された布地の匂いを改善する好ましい封入有益剤である。香料組成物は、香料原材料を含む。封入有益剤は、精油、悪臭低減剤、臭気制御剤、シリコーン、及びこれらの組み合わせを更に含み得る。
【0066】
香料原材料は、典型的には、カプセルの10重量%~99重量%、好ましくは20重量%~98重量%、より好ましくは70重量%~96重量%の量で存在する。
【0067】
香料組成物は、3.0未満のlogP及び250℃未満の沸点を特徴とする香料原材料を、香料組成物の2.5重量%~30重量%、好ましくは5重量%~30重量%含み得る。
【0068】
香料組成物は、3.0未満のlogP及び250℃超の沸点を有することを特徴とする香料原材料を、香料組成物の5重量%~30重量%、好ましくは7重量%~25重量%の、3.0未満含み得る。香料組成物は、3.0超のlogP及び250℃未満の沸点を有することを特徴とする香料原材料を、香料組成物の35重量%~60重量%、好ましくは40重量%~55重量%含み得る。香料組成物は、3.0超のlogP及び250℃超の沸点を有することを特徴とする香料原材料を、香料組成物の10重量%~45重量%、好ましくは12重量%~40重量%含み得る。
【0069】
好ましくは、コアは分配変性剤も含む。好適な分配変性剤としては、植物油、変性植物油、プロパン-2-イルテトラデカノエート、及びこれらの混合物が挙げられる。変性植物油は、エステル化及び/又は臭素化されたものであり得る。植物油は、ヒマシ油及び/又はダイズ油を含む。分配変性剤は、プロパン-2-イルテトラデカノエートであり得る。分配変性剤は、コアの総重量に基づいて、10%超、又は10%超~約80%、又は20%超~約70%、又は20%超~約60%、又は約30%~約60%、又は約30%~約50%の濃度でコア内に存在し得る。
【0070】
好ましくは、カプセルは、0.5マイクロメートル~100マイクロメートル、好ましくは1マイクロメートル~60マイクロメートル、更により好ましくは5マイクロメートル~45マイクロメートルの体積加重平均粒径を有する。
【0071】
例えば、ポリアクリレート有益剤カプセルは、Encapsys(825 East Wisconsin Ave,Appleton,WI 54911)から購入することができ、例えば有益剤として香料を用いて、以下の通り作製することができる:37.5gの香料、0.2gのtert-ブチルアミノエチルメタクリレート、及び0.2gのβ-ヒドロキシエチルアクリレートからなる第1の油相を、約1時間混合した後、18gのCN975(Sartomer(Exter,PA))を添加する。後のプロセスで必要になるまで溶液を混合させる。
【0072】
65gの香油、84gのイソプロピルミリステート、1gの2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、及び0.8gの4,4’-アゾビス[4-シアノ吉草酸]からなる第2の油相を、ジャケット付鋼製反応器に添加する。反応器を35℃で保持し、油溶液を、2’’フラットブレードミキサーで500rpmにて混合する。窒素ブランケットを、300cc/分の速度で反応器に適用する。溶液を45分間で70℃まで加熱し、70℃で45分間保持し、その後75分間で50℃まで冷却する。50℃で、第1の油相を添加し、合わせた油を50℃で更に10分間混合する。
【0073】
固形分5%のSelvol 540 PVA(Sekisui Specialty Chemicals,Dallas,TX)85g、水268g、4,4’-アゾビス[4-シアノ吉草酸]1.2g、及び21.5%NaOH1.1gを含有する水相を調製し、4,4’-アゾビス[4-シアノ吉草酸]が溶解するまで混合する。
【0074】
油相温度が50℃まで低下したら、混合を停止し、水相を混合油に添加する。高剪断攪拌を適用して、所望のサイズ特性を有するエマルジョンを生成する(1900rpmで60分間)。
【0075】
温度を30分間で75℃まで上昇させ、75℃で4時間保持し、30分間で95℃まで上昇させ、95℃で6時間保持する。
【0076】
界面活性剤
好ましい布地処理組成物では、組成物は、1重量%~70重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは15重量%~30重量%の濃度の界面活性剤を更に含む。
【0077】
界面活性剤は、典型的には、アニオン性界面活性剤を含む。好ましい布地処理組成物では、界面活性剤は、1重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは15重量%~30重量%の濃度のアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0078】
好適なアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルエトキシサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、脂肪酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。しかしながら、W.M.Linfield,Marcel Dekker編「Surfactant Science Series」、Vol.7に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知のあらゆるアニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。しかしながら、塩基混合物は、好ましくは少なくともスルホン酸界面活性剤、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含むが、水溶性塩形態も使用できる。
【0079】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性スルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、直鎖又は分枝状のC5~C20、より好ましくはC10~C16、より好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネート、C5~C20アルキルエステルスルホネート、C6~C22一級又は二級アルカンスルホネート、C5~C20スルホン化ポリカルボン酸、及びこれらの任意の混合物が挙げられるが、好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネートである。上記界面活性剤は、その2-フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。
【0080】
本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性サルフェート塩としては、9~22個の炭素原子を有する又はより好ましくは12~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状アルキル又はアルケニル部分を有する、第一級及び二級アルキルサルフェートが挙げられる。(界面活性剤又は混合物の)重量平均分枝度が少なくとも50%である、β-分枝状アルキルサルフェート界面活性剤、又は市販の物質の混合物も同様に有用である。
【0081】
中鎖分枝状アルキルサルフェート又はスルホネートもまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものは、C5~C22の、好ましくはC10~C20の中鎖分枝状アルキル一級サルフェートである。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5超~17.5の範囲内である。好ましいモノ-メチル-分枝状一級アルキルサルフェートは、3-メチル~13-メチルペンタデカノールサルフェート、対応するヘキサデカノールサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度の分枝を有する他の生分解性のアルキルサルフェートも同様に使用することができる。
【0082】
本明細書で使用するのに好適な他のアニオン性界面活性剤としては、脂肪族メチルエステルスルホネート、及び/又はアルキルエチオキシサルフェート(AES)などのアルキルアルコキシル化サルフェート、及び/又はアルキルポリアルコキシル化カルボキシレート(AEC)が挙げられる。
【0083】
アニオン性界面活性剤は、典型的には、アルカノールアミン、又はナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属とのそれらの塩の形態で存在する。
【0084】
安定性の改善のために、布地処理組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤の割合が0.1~5、好ましくは0.25~3、より好ましくは0.75~1.5になるように、直鎖アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤及びアルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤を含み得る。使用する場合、アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤は、好ましくは、1つ以上のアルキルエトキシル化サルフェートのブレンドであり、より好ましくは1~10、最も好ましくは1.8~4のエトキシル化度を有する。
【0085】
布地処理組成物は、非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。布地処理組成物中の非イオン性界面活性剤の濃度は、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満の濃度で存在し得る。
【0086】
好適な非イオン性界面活性剤として、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含むC12~C18アルキルエトキシレート(「AE」)、及びC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合物)、C6~C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8~C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic、BASF Corp.)が挙げられるが、これらに限定されず、並びに、半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)を本発明の組成物に使用することができる。これらの種類の界面活性剤の広範囲の開示が、米国特許第3,929,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)に見出される。
【0087】
米国特許第4,565,647号(Llenado)に開示されているようなアルキル多糖類もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。
【0088】
アルキルポリグルコシド界面活性剤も好適である。
【0089】
いくつかの実施形態では、有用である非イオン性界面活性剤として、式R1(OC2H4)nOHのものが挙げられ、式中、R1は、C10~C16アルキル基又はC8~C12アルキルフェニル基であり、nは好ましくは3~80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり5~20モルのエチレンオキシドとC12~C15アルコール、例えば、アルコール1モル当たり6.5モルのエチレンオキシドと縮合したC12~C13アルコールの縮合生成物であり得る。
【0090】
追加の好適な非イオン性界面活性剤としては、以下の式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【0091】
【化5】
式中、RはC9~17アルキル又はアルケニルであり、R1はメチル基であり、Zは還元糖に由来するグリシジル又はそのアルコキシル化誘導体である。例としては、N-メチルN-1-デオキシグルシチルココアミド及びN-メチルN-1-デオキシグルシチルオレアミドが挙げられる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの製造プロセスは既知であり、米国特許第2,965,576号(Wilson)及び同第2,703,798号(Schwartz)に見出すことができる。
【0092】
布地処理組成物は、双性イオンを含んでいてもよい。低濃度の双性イオンであっても、布地処理組成物、特に有機非アミノ官能性溶媒をほとんど又は全く含まない組成物の安定性を改善することがわかっている。双性イオンは、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~2重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%の濃度で存在し得る。
【0093】
双性イオン性洗浄性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア洗浄に使用することが知られているものが挙げられる。好適な双性イオンの非限定的な例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、米国特許第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。双性イオン性洗浄性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有する、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広義に説明される界面活性剤が挙げられる。ベタインも好適な双性イオン性界面活性剤である。
【0094】
布地処理組成物は、双性イオン性ポリアミンを含んでいてもよい。好適な双性イオン性ポリマーは、様々なレベルの製品増強、とりわけ、界面活性剤による粘土汚れ除去の促進、高汚れ負荷用途におけるより大きな有効性を達成するために、アミノ単位を連結する骨格単位が配合者によって修飾されていてよいポリアミン主鎖で構成され得る。主鎖組成物の修飾に加えて、配合者は、好ましくは、主鎖アミノ単位の水素のうちの1つ以上を他の単位、とりわけ、末端アニオン性部分を有するアルキレンオキシ単位で置換してもよい。加えて、主鎖の窒素をN-オキシドに酸化させてもよい。好ましくは、ポリアミン主鎖の窒素のうちの少なくとも2つが四級化される。
【0095】
溶媒
布地処理組成物は、有機非アミノ官能性溶媒を含み得る。存在する場合、有機非アミノ官能性溶媒は、好ましくは、有機非アミノ官能性溶媒の40重量%未満、より好ましくは15重量%未満、より好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは1.2重量%~7.5重量%、最も好ましくは1.2重量%~5.0重量%の濃度で存在する。本明細書で使用するとき、「非アミノ官能性有機溶媒」は、アミノ官能基を不含で、更には窒素も不含の任意の溶媒を指す。非アミノ官能性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール及び/若しくはプロパノールなどのC1~C5アルカノール、並びに/又は1-エトキシペンタノール;C2~C6ジオール;C3~C8アルキレングリコール;C3~C8アルキレングリコールモノ低級アルキルエーテル;グリコールジアルキルエーテル;低分子量ポリエチレングリコール;グリセロールなどのC3~C9トリオール;並びにこれらの混合物が挙げられる。より具体的には、非アミノ官能性溶媒は、周囲温度及び圧力(すなわち、21℃及び1気圧)で液体であり、炭素、水素、及び酸素を含む。
【0096】
使用する場合、有機非アミノ官能性溶媒の混合物、特に、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコールの混合物、及び/又は1,2-プロパンジオール若しくは1,3-プロパンジオールなどのジオール;グリセロール;ジエチレングリコール;又はこれらの混合物が非常に好ましい。好ましいものは、プロパンジオール(特に、1,2-プロパンジオール)、又はプロパンジオールとジエチレングリコールとの混合物である。
【0097】
ヒドロトロープ
好適な布地処理組成物は、ヒドロトロープを含み得る。存在する場合、ヒドロトロープは、好ましくは、液体組成物の1重量%未満、より好ましくは0.1重量%~0.5重量%の濃度で存在する。好適なヒドロトロープとしては、米国特許第3,915,903号に開示されているような、アニオン型のヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。誤解を避けるために、双性イオンでもあるヒドロトロープは、本発明の組成物では双性イオンであるとみなされる。
【0098】
塩
布地処理組成物は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される非界面活性剤塩を含んでいてよい。そのような非界面活性剤塩を使用して、存在する液晶相、特にラメラ相の量を増加させることができる。布地処理組成物中に1.5重量%~10重量%、より好ましくは2.5重量%~7重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の濃度の非界面活性剤塩を提供するように、非界面活性剤塩を添加してよい。
【0099】
布地処理組成物は、好ましくは、15%~85%、好ましくは5%~70%、より好ましくは10%~60%の液晶相を含む。
【0100】
布地処理組成物は、好ましくは、水を含む。水含有量は、布地処理組成物の10重量%~90重量%、好ましくは25重量%~80重量%、より好ましくは45重量%~70重量%の濃度で存在し得る。
【0101】
補助材料
布地処理組成物は、ポリマー付着助剤、有機ビルダー及び/又はキレート剤、酵素、酵素安定剤、色相染料、微粒子材料、洗浄ポリマー、外部構造化剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものなどの追加成分を含み得る。
【0102】
ポリマー付着助剤:塩基混合物は、0.1%~7%、より好ましくは0.2%~3%のポリマー付着助剤を含み得る。本明細書で使用するとき、「付着助剤ポリマー」は、洗濯時の、布地ケア有益剤の布地への付着を有意に向上させる、任意のカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの組み合わせを指す。好適なポリマー付着助剤は、カチオン性多糖類及び/又はコポリマーを含むことができる。「有益剤」は、本明細書で使用するとき、布地ケア効果をもたらすことができる任意の物質を指す。布地ケア有益剤の非限定的な例としては、シリコーン誘導体、油性糖誘導体、分散性ポリオレフィン、ポリマーラテックス、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、付着助剤はカチオン性又は両性ポリマーである。ポリマーのカチオン電荷密度は、好ましくは0.05ミリ当量/g~6ミリ当量/gの範囲である。電荷密度は、繰り返し単位当たりの正味電荷数を繰り返し単位の分子量で除算して計算される。一実施形態では、電荷密度は0.1ミリ当量/g~3ミリ当量/gの間で変化する。正電荷は、ポリマーの主鎖又はポリマーの側鎖上に存在し得る。
【0103】
有機ビルダー及び/又はキレート剤:塩基混合物は、0.6重量%~10重量%、好ましくは2~7重量%の1つ以上の有機ビルダー及び/又はキレート剤を含み得る。好適な有機ビルダー及び/又はキレート剤は、MEAシトレート、クエン酸、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、アルカリ金属エタン1-ヒドロキシジスホスホネート、及びニトリロトリメチレン、ホスホネート、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ-エチレン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、イミノ二コハク酸(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、グリシン二酢酸(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Tiron(商標)などのカテコールスルホネート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0104】
色相染料:色相染料、シェーディング染料、又は布地シェーディング剤若しくは色相剤は、流体洗濯洗剤組成物における有用な洗濯補助剤である。洗濯におけるこれらの材料の歴史は長く、何年も前の「洗濯用青味剤」の使用に端を発する。より最近の開発としては、亜鉛又はアルミニウムの中心原子を有するスルホン化フタロシアニン染料の使用が挙げられ、更により最近では、その色相又はシェーディング効果のために多種多様な他の青色及び/又は紫色染料が使用されている。例えば、国際公開第2009/087524(A1)号、同第2009/087034(A1)号、及びこれらの参照文献を参照されたい。本明細書における流体洗濯洗剤組成物は、典型的には、0.00003重量%~0.1重量%、0.00008重量%~0.05重量%、又は更には0.0001重量%~0.04重量%の布地色相剤を含む。
【0105】
微粒子材料:好適な微粒子材料は、例えば、封入形態の香料、漂白剤、及び酵素などの封入成分を有する、粘土、泡抑制剤、マイクロカプセル、又は真珠光沢剤、顔料粒子、雲母などの審美補助剤である。特に好ましい微粒子材料は、マイクロカプセル、特に香料マイクロカプセルである。マイクロカプセルは、典型的には、少なくとも部分的に、好ましくは完全に壁材料で有益剤を包囲することによって形成される。好ましくは、マイクロカプセルは香料マイクロカプセルであり、当該有益剤は1つ以上の香料原材料を含む。好適な使用濃度は、布地処理組成物の0.0001重量%~5重量%又は0.1重量%~1重量%である。
【0106】
香料:好適な香料は当該技術分野において公知であり、典型的には、0.001~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の濃度で組み込まれる。
【0107】
洗浄ポリマー:好適な洗浄ポリマーは、表面及び布地の広範な汚れ洗浄並びに/又は汚れの懸濁を提供する。任意の好適な洗浄ポリマーを使用することができる。有用な洗浄ポリマーは、米国特許出願公開第2009/0124528(A1)号に記載されている。洗浄ポリマーの有用な部類の非限定的な例としては、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー、粘土汚れ洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。
【0108】
外部構造化剤:好ましい外部構造化剤は、非高分子結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤、例えば硬化ヒマシ油;微小繊維状セルロース;非荷電性ヒドロキシエチルセルロース;非荷電性疎水変性ヒドロキシエチルセルロース;疎水変性エトキシル化ウレタン;疎水変性非イオン性ポリオール;及びこれらの混合物からなる群から選択されるものなどの非荷電性外部構造化剤である。
【0109】
ビフェニル増白剤を含む布地処理組成物の使用
出願人らは、驚くべきことに、本発明による布地処理組成物中のビフェニル増白剤が、有益剤カプセルの付着を改善することを見出した。理論に束縛されるものではないが、出願人らは、ビフェニル増白剤と有益剤カプセルのポリビニルアルコールとの間の相互作用によって、付着、特に綿布に対する親和性が改善されると考えている。
【0110】
方法
布地を処理する方法
Miele W1714 Softtronic洗濯機を使用して布地を処理する。各処理のために、1500gのニット綿布、1100gのポリエステル-綿布(50/50)を含む3kgの布地を洗濯機に装填する。また、ヘッドスペース分析のために、合計で重量が260gの6つのテリー織タオルトレーサー(Maes Textilesにより供給)を加える。この洗濯物を、95℃の短い綿サイクルを使用して、79gのIEC A Base洗剤(無香料、WFK Testgewebe GmbHにより供給)で2回プレコンディショニングし、続いて、洗剤なしで更に2回95℃で洗浄した。試験処理のために、投入ボールを使用して、洗浄サイクルの開始時に添加された60gの布地処理組成物を用い、30℃の短い合成サイクルを用いて洗濯物を洗濯する。洗浄後、テリー織タオルトレーサーを吊り干しし、以下の方法に従って分析して、処理された布地の上方のヘッドスペース濃度を求める。
【0111】
処理された布地の上方のヘッドスペース濃度を求める方法
洗浄サイクルの終了時に、テリー織タオルトレーサーを洗濯機から取り出し、一晩吊り干しする。翌日、乾燥したテリー織タオルトレーサーを高速ヘッドスペースGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)手法により分析する。テリー織タオルトレーサーの4×4cmのアリコートを、25mLのヘッドスペースバイアル瓶に移した。布地サンプルを75℃で10分間平衡化させた。布地の上方のヘッドスペースをSPME(50/30μmDVB/Carboxen/PDMS)手法により5分間サンプリングした。続いて、SPME繊維をGC内にオンラインで熱的に脱着させた。高速GC/MSのフルスキャンモードで検体を分析した。PRMの特定の質量のイオン抽出を使用して、試験したレッグの上方の総HS反応及び香料ヘッドスペース組成を計算した。結果をヘッドスペース指数として報告し、試験処理の乾燥ヘッドスペースを、指数1を有する基準処理に対する比として表す。
【0112】
ポリビニルアルコール溶液の粘度を測定する方法
粘度は、4.00%+/-0.05%固体で、Brookfield LVシリーズ粘度計又はそれに相当する装置を使用して測定する。
【0113】
a.ポリビニルアルコールの4.00%+/-0.05%固形分溶液を調製する。
500mLビーカー及び撹拌機を秤量する。重量を記録する。16.00+/-0.01グラムのポリビニルアルコールサンプルをビーカーに添加する。約350~375mLの脱イオン水をビーカーに添加し、溶液を撹拌する。カバープレートを有する温水浴にビーカーを入れる。中程度の速度で45分間~1時間、又はポリビニルアルコールが完全に溶解するまで撹拌する。撹拌機をオフにする。ビーカーを約20℃に冷却する。
ビーカーの最終重量を以下のように計算する。
最終重量=(空ビーカー及び撹拌機の重量)+(小数点×400とした固体%)
例:空ビーカー及び撹拌機の重量=125.0グラム
(サンプルの)ポリビニルアルコールの固形分%=97.50%又は小数としては0.9750
最終重量=125.0+(0.9750×400)=515.0グラム
【0114】
上載せ式天秤をゼロに合わせ、プロペラを備えるポリビニルアルコール溶液のビーカーをその上に置く。脱イオン水を添加して、重量を計算された最終重量515.0グラムにする。
【0115】
サンプルの固形分含有量は、粘度を測定するためには4.00+0.05%でなければならない。
【0116】
b.粘度を測定する。
4%ポリビニルアルコール溶液のサンプルを粘度計のチャンバ内に分注し、スピンドルを挿入してそれを粘度計に取り付ける。チャンバSC4-13RPYを有するサンプルアダプタ(SSA)、Ultralowアダプタ。スピンドルはSC4-18及び00である。20℃の温度でサンプルを平衡化させる。粘度計を開始し、定常状態の粘度値を記録する。
粘度<13cPを0.01cP単位で、13~100cPを0.1cP単位で記録し、100cPを超える粘度を1cP単位で記録する。
計算された溶液固体含有量が4.00±0.05%である場合、測定された粘度に対する補正は必要ない。そうでなければ、以下の等式を使用して、測定された粘度を溶液固体の偏差に関して補正する。
【0117】
【実施例】
【0118】
香料を含むポリアクリレート有益剤カプセルを以下の通りに作製した:37.5gの香料、0.2gのtert-ブチルアミノエチルメタクリレート、及び0.2gのβヒドロキシエチルアクリレートからなる第1の油相を約1時間混合した後、18gのCN975(Sartomer(Exter,PA))を添加した。後のプロセスで必要になるまで溶液を混合した。
【0119】
65gの香油、84gのイソプロピルミリステート、1gの2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、及び0.8gの4,4’-アゾビス[4-シアノ吉草酸]からなる第2の油相を、ジャケット付鋼製反応器に添加した。反応器を35℃で保持し、油溶溶液を、2’’フラットブレードミキサーで500rpmにて混合した。窒素ブランケットを、300cc/分の速度で反応器に適用した。溶液を45分間で70℃まで加熱し、70℃で45分間保持し、その後75分間で50℃まで冷却した。50℃で、第1の油相を添加し、合わせた油を50℃で更に10分間混合した。
【0120】
固形分5%のSelvol 540ポリビニルアルコール(Sekisui Specialty Chemicals,Dallas,TX)85g、水268g、4,4’-アゾビス[4-シアノ吉草酸]1.2g、及び21.5%NaOH1.1gを含有する水相を調製し、4,4’-アゾビス[4-シアノ吉草酸]が溶解するまで混合した。
【0121】
油相温度が50℃まで低下したら、混合を停止し、水相を混合油に添加した。高剪断攪拌を適用して、所望のサイズ特性を有するエマルジョンを生成した(1900rpmで60分間)。
【0122】
温度を30分間で75℃まで上昇させ、75℃で4時間保持し、30分間で95℃まで上昇させ、95℃で6時間保持した。
【0123】
布地処理組成物の実施例1~4を、以下のように調製した。水、水酸化ナトリウム、及び溶媒を、ブレードミキサーを備えたプラスチック製ビーカー内で一緒に混合した。この混合物に、界面活性剤、キレート剤、ビルダー、及びポリマーを混合しながら添加する。最終pHを水酸化ナトリウムで約8のpH(10%希釈)に調整する。
【0124】
次いで、混合物を周囲温度に冷却し、更なる混合中、染料、酵素、ポリマー、防腐剤、加工助剤、及び構造化剤を添加する。実施例2~4でも、増白剤プレミックスから開始してビフェニル増白剤を添加した。増白剤49プレミックスは、Calvarious Industriesにより供給され、増白剤49は、1,2-プロパンジオール及びエトキシル化アルコールの水溶液中8.4%活性物質である。
【0125】
増白剤49は、式に対応し、式中、MはNa+に相当する。
【0126】
【0127】
プレミックスは、組成物全体に増白剤が均質に分布できるように作製した。布地処理組成物(実施例1~4)の詳細な組成を表1に提供する。
【0128】
【0129】
本発明による組成物(実施例2~4)で処理した布地の上方のヘッドスペースが、ビフェニル増白剤を含まない比較例1よりも高かったことは、表1から明らかである。ヘッドスペース測定は、有益剤カプセル内に元々封入されていた香料原材料の濃度を記録するので、ヘッドスペース濃度の増加は、有益剤カプセルの付着の増加に関連し得る。更に、より高い濃度のビフェニル増白剤(実施例3~4)が、より低い濃度のビフェニル増白剤(実施例2)と比較して、ヘッドスペース、ひいては付着の更なる改善を示したことが観察できる。
【0130】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。