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▶ ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】カスタマイズビットを含む集積回路
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20221117BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14
B41J2/01 401
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021541196
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019016905
(87)【国際公開番号】W WO2020162933
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】リン,スコット,エイ
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ジェイムズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ネス,エリック,ディー
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/009904(WO,A1)
【文献】特開2003-159802(JP,A)
【文献】特表2017-533126(JP,A)
【文献】特開2001-080078(JP,A)
【文献】特開2000-238245(JP,A)
【文献】特開2000-238247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体作動装置を駆動するための集積回路であって、
各第1の不揮発性メモリセルがカスタマイズビットを記憶している、複数の第1の不揮発性メモリセルと、
前記カスタマイズビットに基づいて当該集積回路の動作を設定するための制御ロジックと
を含む、集積回路。
【請求項2】
前記動作は、前記カスタマイズビットに基づいて前記集積回路に入力されたアドレスを変更することである、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記制御ロジックは、前記変更されたアドレスに基づいて流体作動装置を発射する、請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
複数の第2の不揮発性メモリセル
をさらに含み、
前記制御ロジックは、変更されたアドレスに基づいて第2の不揮発性メモリセルにアクセスする、請求項2又は請求項3に記載の集積回路。
【請求項5】
前記動作は、
前記集積回路のさらに別のメモリセルへのアクセスを禁止又は許可すること、
前記集積回路によって受信されたデータストリームの少なくとも一部を反転させること、又は
前記集積回路の設定レジスタに記憶されたビットの作用を変更すること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
前記複数の第1の不揮発性メモリセルは、4つのメモリセルを含み、
前記カスタマイズビットは、前記集積回路を16個の一意の集積回路のうちの1つとして定義する、請求項1~5の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項7】
前記カスタマイズビットが前記第1の不揮発性メモリセルに書き込まれると、前記複数の第1の不揮発性メモリセルへの書き込みアクセスは、無効にされる、請求項1~6の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項8】
前記制御ロジックは、前記複数の第1の不揮発性メモリセルへの外部読み取りアクセスを禁止する、請求項1~7の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項9】
流体噴射装置であって、
キャリアと、
前記キャリア上に互いに平行に配置された複数の流体噴射ダイであって、各流体噴射ダイが、長さ、厚さ、及び幅を有し、前記長さが、前記幅の少なくとも20倍である、複数の流体噴射ダイと
を含み、
各流体噴射ダイは、
複数の流体作動装置と、
複数の第1の不揮発性メモリセルであって、各第1の不揮発性メモリセルが、カスタマイズビットを記憶している、複数の第1の不揮発性メモリセルと、
前記カスタマイズビットに基づいて前記流体噴射ダイの動作を設定するための制御ロジックと
を含み、
前記カスタマイズビットが、前記流体噴射ダイの各々の間で異なる、流体噴射装置。
【請求項10】
各流体噴射ダイについて、前記動作は、前記カスタマイズビットに基づいて前記流体噴射ダイに入力されたアドレスを変更することである、請求項9に記載の流体噴射装置。
【請求項11】
各流体噴射ダイについて、前記制御ロジックは、前記変更されたアドレスに基づいて前記流体作動装置を発射する、請求項10に記載の流体噴射装置。
【請求項12】
各流体噴射ダイは、複数の第2の不揮発性メモリセルを含み、
各流体噴射ダイについて、前記制御ロジックは、前記変更されたアドレスに基づいて第2の不揮発性メモリセルにアクセスする、請求項10又は請求項11に記載の流体噴射装置。
【請求項13】
各流体噴射ダイについて、前記複数の第1の不揮発性メモリセルは、4つのメモリセルを含み、
前記複数の流体噴射ダイの前記カスタマイズビットは、前記流体噴射装置を4096個の一意の流体噴射装置のうちの1つとして定義する、請求項9~12の何れか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項14】
各流体噴射ダイについて、前記カスタマイズビットが第1の不揮発性メモリセルに書き込まれると、前記複数の第1の不揮発性メモリセルへの書き込みアクセスは、無効にされる、請求項9~13の何れか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項15】
各流体噴射ダイについて、前記複数の第1の不揮発性メモリセルは、ライトワンスメモリセルである、請求項9~13の何れか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項16】
各流体噴射ダイについて、前記制御ロジックは、前記複数の第1の不揮発性メモリセルへの外部読み取りアクセスを禁止する、請求項9~15の何れか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項17】
複数の流体作動装置を駆動するために集積回路を動作させるための方法であって、
対応する複数の第1の不揮発性メモリセルに記憶された複数のカスタマイズビットを読み取り、
ノズルデータストリームからアドレスを受信し、
前記カスタマイズビットと前記アドレスを合計して、変更されたアドレスを生成すること
を含む、方法。
【請求項18】
前記変更されたアドレスに基づいて流体作動装置を発射すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記変更されたアドレスに基づいて、複数の第2の不揮発性メモリセルのうちのある第2の不揮発性メモリセルにアクセスすること
をさらに含む、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のカスタマイズビットは、4つのカスタマイズビットを含み、前記アドレスは、4つのビットを含み、
前記カスタマイズビットと前記アドレスを合計することは、前記カスタマイズビットと前記アドレスを合計して、4つのビットを含む変更されたアドレスを生成することを含み、前記合計の結果として得られた最上位ビットは破棄される、請求項17~19の何れか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
流体噴射システムの一例としてのインクジェット印刷システムは、プリントヘッド、プリントヘッドに液体インクを供給するインク供給源、及びプリントヘッドを制御する電子制御装置を含む場合がある。プリントヘッドは、流体噴射装置の一例として、複数のノズル又はオリフィスを通って、紙のシートのような印刷媒体に向かってインクの液滴を噴射して、印刷媒体に印刷する。例によっては、オリフィスは、少なくとも1つの列又はアレイを成して配置され、プリントヘッドと印刷媒体が互いに相対的に移動されるときに、オリフィスからのインクの適当に順序付けられた噴射により、文字又は他の画像が印刷媒体上に印刷される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1A】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路の一例を示すブロック図である。
図1B】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路の別の例を示すブロック図である。
図2】アドレス変更器の一例を示している。
図3】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路の別の例を示すブロック図である。
図4A】カスタマイズビットを記憶しているメモリセルにアクセスするための回路の一例を示す概略図である。
図4B】ロックビットを記憶するメモリセルにアクセスするための回路の一例を示す概略図である。
図5】流体噴射装置の一例を示す図である。
図6A】流体噴射ダイの一例を示す図である。
図6B】流体噴射ダイの一例を示す図である。
図7】流体噴射システムの一例を示すブロック図である。
図8A】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路を動作させるための方法の例を示すフロー図である。
図8B】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路を動作させるための方法の例を示すフロー図である。
図8C】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路を動作させるための方法の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
[詳細な説明]
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。添付の図面には、本開示を実施することができる種々の特定の例が、例として示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、他の例を利用することができ、構造的又は論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。本明細書に記載された様々な例の特徴は、特に断りのない限り、部分的又は全体的に互いに組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0004】
集積回路(例えば、半導体ダイ)を、さまざまな地理的地域によって、顧客の購買の有無によって、又は他の理由から、異なる動作にすることには利点があるかもしれない。個別に追跡し、又は個別に管理しなければならない、異なる動作をするように設計された複数の物理的集積回路を製造するよりも、(製造中などに)いくつかの不揮発性メモリビットを集積回路に書き込むことにより、集積回路の動作を変更する方が、容易な場合がある。
【0005】
したがって、本明細書に開示されるのは、各メモリセルがカスタマイズビットを記憶している複数のメモリセルを含む集積回路(例えば、流体噴射ダイ)である。一例において、カスタマイズビットを使用すれば、カスタマイズビットをノズルデータストリームからのアドレスと合計して、変更されたアドレスを生成することによって、ダイに入力されたアドレスを変更することができる。変更されたアドレスは、変更されたアドレスに基づいて、流体作動装置を発射し、又は流体作動装置に対応するメモリセルにアクセスするために使用される場合がある。以下説明されるように、他の例では、カスタマイズビットは、集積回路の他の動作の設定に使用される場合がある。
【0006】
本明細書で使用される場合、「論理ハイ」信号は、論理「1」又は「オン」信号、すなわち、集積回路に供給される論理電力にほぼ等しい電圧(例えば、約5.6Vのような約1.8V~15Vの電圧)の信号である。本明細書で使用される場合、「論理ロー」信号は、論理「0」又は「オフ」信号、すなわち、集積回路に供給される論理電力の論理電力接地帰路にほぼ等しい電圧(例えば、約0Vの電圧)の信号である。
【0007】
図1Aは、複数の流体作動装置を駆動するための集積回路100の一例を示すブロック図である。集積回路100は、複数のメモリセル102~102を含む。ここで、「N」は、メモリセルの任意の適当な数(例えば、4つのメモリセル)である。集積回路100は、制御ロジック106をさらに含む。制御ロジック106は、信号経路101~101をそれぞれ介して各メモリセル102~102に電気的に結合されている。
【0008】
各第1のメモリセル102~102は、カスタマイズビットを記憶している。各第1のメモリセル102~102は、不揮発性メモリセル(例えば、フローティングゲートトランジスタ、プログラム可能なヒューズ、ライトワンスメモリセルなど)を含む場合がある。制御ロジック106は、集積回路100の動作を制御するために、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の適当な論理回路を含む場合がある。制御ロジック106は、複数のメモリセル102~102への外部読み取りアクセスを禁止することができる。図3を参照して以下に説明するように、ロックビットを書き込むことなどによって、カスタマイズビットがメモリセル102~102に書き込まれると、複数のメモリセル102~102への書き込みアクセスは、無効にされる場合がある。
【0009】
制御ロジック106は、カスタマイズビットに基づいて集積回路100の動作を設定することができる。一例において、この動作は、カスタマイズビットに基づいて集積回路100に入力されたアドレスを変更することであってもよい。別の例では、集積回路のさらに別のメモリセル(例えば、図1Bを参照して以下に説明されるメモリセル130)又はさらに別のメモリセルのサブセットへの読み取り及び/又は書き込みアクセスが、カスタマイズビットに基づいて禁止又は許可される場合がある。さらに別の例では、データストリーム(例えば、ノズルデータストリーム)又は集積回路100によって受信されたデータストリームの少なくとも一部が、カスタマイズビットに基づいて反転される場合がある。データストリーム又はデータストリームの一部は、データストリームパスに沿って任意の場所で反転させることができる。複数のカスタマイズビットを使用して、複数の反転ポイントを設けることができる。
【0010】
さらに別の例では、集積回路100の設定レジスタ(図示せず)に記憶されたビットの作用が、カスタマイズビットに基づいて変更される場合がある。例えば、集積回路100の機能の遅延を設定するための設定レジスタ内の遅延ビットが、カスタマイズビットに基づいて反転及び/又は符号化される場合がある。いずれの場合でも、単一のカスタマイズビット又は複数のカスタマイズビットのサブセットを使用して、集積回路100の単一の動作を設定することができる。したがって、カスタマイズビットを使用すれば、集積回路100の複数の動作を設定することができ、各動作が、異なるカスタマイズビットに基づいて設定される。
【0011】
図1Bは、複数の流体作動装置を駆動するための集積回路120の別の例を示すブロック図である。集積回路120は、複数の第1のメモリセル102~102と、制御ロジック106とを含む。さらに、集積回路120は、流体作動装置128と、複数の第2のメモリセル130とを含む。この例では、制御ロジック106は、アドレス変更器122を含む。アドレス変更器122は、アドレス信号経路124に電気的に結合され、信号経路101~101をそれぞれ介して各第1のメモリセル102~102に電気的に結合され、さらに、変更されたアドレス信号経路126を介して流体作動装置128及び複数の第2のメモリセル130に電気的に結合されている。複数の第2のメモリセル130の各々は、不揮発性メモリセル(例えば、フローティングゲートトランジスタ、プログラム可能なヒューズなど)を含む。一例において、流体作動装置128は、流体滴を噴射するためのノズル又は流体ポンプを含む。
【0012】
この例では、4つのカスタマイズビットを記憶するための4つのメモリセル102~102がある。これらのカスタマイズビットは、集積回路120を16個の一意の集積回路のうちの1つとして定義する。16個の一意の集積回路の各々は、記憶されたカスタマイズビットによって異なる動作をする。
【0013】
アドレス変更器122は、アドレス信号経路124を介してアドレスを受信する。一例において、このアドレスは、図7を参照して以下で説明される流体噴射システム700のようなホスト印刷装置から集積回路120に入力されるノズルデータストリームの一部である。アドレス変更器122はさらに、各第1のメモリセル102~102から記憶されたカスタマイズビットを受信する。アドレス変更器122は、カスタマイズビットに基づいて集積回路120に入力されたアドレスを変更し、変更されたアドレスを信号経路126上に提供する。一例において、制御ロジック106は、変更されたアドレスに基づいて流体作動装置128を発射する。別の例では、制御ロジック106は、変更されたアドレスに基づいて第2のメモリセル130にアクセスする。
【0014】
図2は、アドレス変更器122の一例を示している。この例では、アドレス変更器122は、4ビット加算器である。4ビット加算器122の第1の入力は、信号経路124を介して4つのアドレスビット(ADDR0、ADDR1、ADDR2、及びADDR3)を受け取る。4ビット加算器122の第2の入力は、信号経路101~101をそれぞれ介して4つのカスタマイズビット(CUST0、CUST1、CUST2、及びCUST3)を受け取る。4ビット加算器122は、4つのアドレスビットと4つのカスタマイズビットを合計して、4つのビットを含む変更されたアドレスを信号経路126上に生成する。一例において、この合計の結果として得られた最上位ビットは、破棄される。
【0015】
図3は、複数の流体作動装置を駆動するための集積回路200の別の例を示すブロック図である。集積回路200は、複数の第1のメモリセル202~202と、複数の第1の記憶要素204~204と、制御ロジック206とを含む。さらに、集積回路200は、第2のメモリセル222と、第2の記憶要素224と、書き込み回路230と、読み取り回路232とを含む。制御ロジック206は、信号経路201~201をそれぞれ介して各第1のメモリセル202~202に電気的に結合され、信号経路203~203をそれぞれ介して各第1の記憶要素204~204に電気的に結合され、さらに、リセット信号経路210に電気的に結合されている。各第1のメモリセル202~202は、信号経路208~208を介して、対応する第1の記憶要素204~204にそれぞれ電気的に結合されている。
【0016】
また、制御ロジック206は、信号経路221を介して第2のメモリセル222にも電気的に結合され、信号経路223を介して記憶要素224にも電気的に結合されている。第2のメモリセル222は、信号経路228を介して記憶要素224に電気的に結合されている。各第1のメモリセル202~202、第2のメモリセル222、書き込み回路230、及び読み取り回路232は、単一のインターフェース(例えば、一本のワイヤ)234に電気的に結合されている。読み取り回路232は、インターフェース(例えば、検知インターフェース)236に電気的に結合されている。
【0017】
リセット信号経路210は、リセットインターフェースに電気的に結合される場合がある。リセットインターフェースは、集積回路200との間で信号を送信及び/又は受信するためのコンタクトパッド、ピン、バンプ、ワイヤ、又は他の適当な電気インターフェースであってよい。リセットインターフェースは、流体噴射システム(例えば、図7を参照して以下で説明される流体噴射システム700のようなホスト印刷装置)に電気的に結合される場合がある。検知インターフェース236は、集積回路200との間で信号を送信及び/又は受信するためのコンタクトパッド、ピン、バンプ、ワイヤ、又は他の適当な電気インターフェースであってよい。検知インターフェース236は、流体噴射システム(例えば、図7の流体噴射システム700のようなホスト印刷装置)に電気的に結合される場合がある。
【0018】
各第1のメモリセル202~202は、カスタマイズビットを記憶している。各第1のメモリセル202~202は、不揮発性メモリセル(例えば、フローティングゲートトランジスタ、プログラム可能なヒューズなど)を含む。各第1の記憶要素204~204は、デジタルロジック(論理回路)によって直接使用できる論理信号(すなわち、論理ハイ信号又は論理ロー信号)を出力するラッチ又は他の適当な回路を含む。制御ロジック206は、集積回路200の動作を制御するためのマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の適当な論理回路を含む場合がある。
【0019】
制御ロジック206は、リセット信号経路210上のリセット信号に応答して(例えば、リセット信号の第1のエッジに応答して)、各第1のメモリセル202~202に記憶されたカスタマイズビットを読み取り、(例えば、リセット信号の第2のエッジに応答して)各カスタマイズビットを対応する第1の記憶要素204~204にラッチする。一例において、制御ロジック206は、ラッチされたカスタマイズビットに基づいて集積回路200の動作を設定する。一例において、この動作は、ラッチされたカスタマイズビットに基づいて、集積回路200に入力されたアドレスを変更することができる。他の例では、前述のように、集積回路200の他の動作が、ラッチされたカスタマイズビットに基づいて変更される場合がある。
【0020】
第2のメモリセル222は、ロックビットを記憶している。第2のメモリセル222は、不揮発性メモリセル(例えば、フローティングゲートトランジスタ、プログラム可能なヒューズなど)を含む。第2の記憶要素224は、デジタルロジックによって直接使用できる論理信号(すなわち、論理ハイ信号又は論理ロー信号)を出力するラッチ又は他の適当な回路を含む。制御ロジック206は、リセット信号に応答して(例えば、リセット信号の第1のエッジに応答して)、第2のメモリセル222に記憶されたロックビットを読み取り、(例えば、リセット信号の第2のエッジに応答して)そのロックビットを第2の記憶要素224にラッチする。さらに、制御ロジック206は、ラッチされたロックビットに基づいて、複数の第1のメモリセル202~202への書き込みを許可又は禁止する。一例において、制御ロジック206はさらに、ラッチされたロックビットに基づいて第2のメモリセル222への書き込みを許可又は禁止する。例えば、「0」のロックビットが第2のメモリセル222に記憶されている場合、第1のメモリセル202~202に記憶されているカスタマイズビットを変更することができる。「1」ロックビットが第2のメモリセル222に書き込まれると、第1のメモリセル202~202に記憶されたカスタマイズビットは変更できなくなり、また、第2のメモリセル222に記憶されたロックビットも変更できなくなる。
【0021】
書き込み回路230は、単一のインターフェース234を介して、対応するカスタマイズビットを複数の第1のメモリセル202~202の各々に書き込む。また、書き込み回路230は、単一のインターフェース234を介して第2のメモリセル222にロックビットを書き込むこともできる。一例において、書き込み回路230は、カスタマイズビットを第1のメモリセル202~202に書き込み、ロックビットを第2のメモリセル222に書き込むための電圧レギュレータ及び/又は他の適当な論理回路を含む場合がある。
【0022】
読み取り回路232は、(例えば、検知インターフェース236を介した)外部アクセスが、単一のインターフェース234を介して、複数の第1のメモリセル202~202の各々のカスタマイズビットを読み取ることを可能にする。また、読み取り回路232は、(例えば、検知インターフェース236を介した)外部アクセスが、単一のインターフェース234を介して、第2のメモリセル222のロックビットを読み取ることを可能にする。一例において、読み取り回路232は、検知インターフェース236を介した第1のメモリセル202~202及び第2のメモリセル222への外部読み取りアクセスを可能にするためのトランジスタスイッチ又は他の適当な論理回路を含む場合がある。一例において、制御ロジック206は、ラッチされたロックビットに基づいて、複数の第1のメモリセル202~202、及び第2のメモリセル222への外部読み取りアクセスを許可又は禁止する。例えば、「0」のロックビットが第2のメモリセル222に記憶されている場合、第1のメモリセル202~202に記憶されたカスタマイズビット及び第2のメモリセル222に記憶されたロックビットは、読み取り回路232を介して読み取ることができる。「1」のロックビットが第2のメモリセル222に書き込まれると、第1のメモリセル202~202に記憶されたカスタマイズビット及び第2のメモリセル222に記憶されたロックビットは、読み取り回路232を介して読み取ることができなくなる。
【0023】
図4Aは、カスタマイズビットを記憶しているメモリセルにアクセスするための回路300の一例を示す概略図である。一例において、回路300は、図1Aの集積回路100、図1Bの集積回路120、又は図3の集積回路200の一部である。回路300は、メモリセル302と、ラッチ304と、内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306と、書き込み電圧レギュレータ308と、インバータ310と、ANDゲート312、316と、ORゲート314、318と、トランジスタ320、322と、検知パッド324とを含む。メモリセル302は、フローティングゲートトランジスタ330、及びトランジスタ332、334、336を含む。
【0024】
インバータ310の入力は、ロック信号経路340に電気的に結合されている。インバータ310の出力は、信号経路311を介してANDゲート312の第1の入力に電気的に結合されている。ANDゲート312の第2の入力は、カスタマイズビットイネーブル信号経路338に電気的に結合されている。ANDゲート312の第3の入力は、選択信号(ノズルデータストリームからのY個のアドレスビットのうちの1つに対応するADDR[X]。ただし、「Y」は任意の適当なビット数(例えば、4))経路342に電気的に結合される。ANDゲート312の出力は、信号経路313を介してORゲート314の第1の入力に電気的に結合されている。ORゲート314の第2の入力は、リセット信号経路344に電気的に結合されている。ORゲート314の出力は、信号経路315を介して、メモリセル302のトランジスタ332のゲート、及びラッチ304のゲート(G)入力に電気的に結合されている。
【0025】
ANDゲート316の第1の入力は、書き込みイネーブル信号経路346に電気的に結合されている。ANDゲート316の第2の入力は、発射信号経路348に電気的に結合されている。ANDゲート316の出力は、信号経路317を介してメモリセル302のトランジスタ334のゲートに電気的に結合されている。ORゲート318の第1の入力は、発射信号経路348に電気的に結合されている。ORゲート318の第2の入力は、リセット信号経路344に電気的に結合されている。ORゲート318の出力は、信号経路319を介してメモリセル302のトランジスタ336のゲートに電気的に結合されている。
【0026】
内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306の入力は、リセット信号経路344に電気的に結合されている。内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306の出力は、信号経路323を介して、メモリセル302のフローティングゲートトランジスタ330のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。書き込み電圧レギュレータ308の入力は、メモリ書き込み信号経路350に電気的に結合されている。書き込み電圧レギュレータ308の出力は、信号経路323を介して、メモリセル302のフローティングゲートトランジスタ330のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。検知パッド324は、トランジスタ320のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。トランジスタ320のゲート及びトランジスタ322のゲートは、読み取りイネーブル信号経路352に電気的に結合されている。トランジスタ320のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路321を介してトランジスタ322のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。トランジスタ322のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路323を介して、メモリセル302のフローティングゲートトランジスタ330のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。
【0027】
フローティングゲートトランジスタ330のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路331を介して、トランジスタ332のソース-ドレイン経路の一方の側及びラッチ304のデータ(D)入力に電気的に結合されている。ラッチ304の別の入力は、プリセット信号経路354に電気的に結合されている。ラッチ304の出力(Q)は、カスタマイズビット信号経路356に電気的に結合されている。トランジスタ332のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路333を介して、トランジスタ334のソース-ドレイン経路の一方の側及びトランジスタ336のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。トランジスタ334のソース-ドレイン経路の他方の側は、共通又は接地ノード335に電気的に結合されている。トランジスタ336のソース-ドレイン経路の他方の側は、共通又は接地ノード335に電気的に結合されている。
【0028】
回路300は、カスタマイズビットを記憶するための1つのメモリセル302と、1つの対応するラッチ304とを有しているが、回路300は、所望の数のカスタマイズビットを記憶するための任意の適当な数のメモリセル302と、対応するラッチ304とを含む場合がある。各カスタマイズビットについて、各メモリセル及び対応するラッチは、メモリセル302及びラッチ304について説明したもと同様の形でアクセスされる場合がある。
【0029】
回路300は、カスタマイズイネーブル信号経路338上のカスタマイズイネーブル信号を受信し、ロック信号経路340上のロック信号を受信し、選択信号経路342上のアドレス又は選択信号を受信し、リセット信号経路344上のリセット信号を受信し、書き込みイネーブル信号経路346上の書き込みイネーブル信号を受信し、発射信号経路348上の発射信号を受信し、メモリ書き込み信号経路350上のメモリ書き込み信号を受信し、読み取りイネーブル信号経路352上の読み取りイネーブル信号を受信し、そして、プリセット信号経路354上のプリセット信号を受信する。プリセット信号は、テスト中にラッチ304を上書きして、ラッチ304から所望の論理レベルを出力するために使用される場合がある。カスタマイズイネーブル信号及びロック信号は、カスタマイズビットを記憶しているメモリセルへの書き込みアクセス及び外部読み取りアクセスを有効又は無効にするために使用される場合がある。アドレス信号は、カスタマイズビットを記憶しているメモリセルの1つを選択するために使用される場合がある。カスタマイズイネーブル信号、書き込みイネーブル信号、メモリ書き込み信号、読み取りイネーブル信号、及びプリセット信号は、設定レジスタ(図示せず)に記憶されたデータに基づくか、又はホスト印刷装置から受信したデータに基づく場合がある。ロック信号は、図3の記憶要素224のようなラッチから出力される内部信号である。
【0030】
アドレス信号は、データインターフェースなどを介してホスト印刷装置から受信される。リセット信号は、リセットインターフェースを介してホスト印刷装置から受信される場合がある。発射信号は、発射インターフェースを介してホスト印刷装置から受信される場合がある。データインターフェース、リセットインターフェース、及び発射インターフェースの各々は、回路300との間で信号を送信及び/又は受信するための接触パッド、ピン、バンプ、ワイヤ、又は他の適当な電気インターフェースを含む場合がある。データインターフェース、リセットインターフェース、発射インターフェース、及び検知パッド324の各々は、流体噴射システム(例えば、図7の流体噴射システム700のようなホスト印刷装置)に電気的に結合される場合がある。
【0031】
インバータ310は、ロック信号を受信し、信号経路311に反転ロック信号を出力する。論理ハイのカスタマイズイネーブル信号、論理ハイの反転ロック信号、及び論理ハイの選択信号に応答して、ANDゲート312は、信号経路313上に論理ハイの信号を出力する。論理ローのカスタマイズイネーブル信号、論理ローの反転ロック信号、又は論理ローの選択信号に応答して、ANDゲート312は、信号経路313に論理ローの信号を出力する。
【0032】
信号経路313上の論理ハイの信号又は論理ハイのリセット信号に応答して、ORゲート314は、信号経路315上に論理ハイの信号を出力する。信号経路313上の論理ローの信号及び論理ローのリセット信号に応答して、ORゲート314は、信号経路315上に論理ローの信号を出力する。論理ハイの書き込みイネーブル信号及び論理ハイの発射信号に応答して、ANDゲート316は、信号経路317上に論理ハイの信号を出力する。論理ローの書き込みイネーブル信号又は論理ローの発射信号に応答して、ANDゲート316は、信号経路317上に論理ローの信号を出力する。論理ハイの発射信号又は論理ハイのリセット信号に応答して、ORゲート318は、信号経路319上に論理ハイの信号を出力する。論理ローの発射信号及び論理ローのリセット信号に応答して、ORゲート318は、信号経路319上に論理ローの信号を出力する。
【0033】
信号経路315上の論理ハイの信号に応答して、トランジスタ332がオンにされ(すなわち、導通され)、メモリセル302へのアクセスが可能になる。信号経路315上の論理ローの信号に応答して、トランジスタ332がオフにされ、メモリセル302へのアクセスが無効になる。信号経路317上の論理ハイの信号に応答して、トランジスタ334がオンにされ、メモリセル302への書き込みアクセスが可能になる。信号経路317上の論理ローの信号に応答して、トランジスタ334がオフにされ、メモリセル302への書き込みアクセスが無効になる。信号経路319上の論理ハイの信号に応答して、トランジスタ336がオンにされ、メモリセル302への読み取りアクセスが可能になる。信号経路319上の論理ローの信号に応答して、トランジスタ336がオフにされ、メモリセル302への読み取りアクセスが無効になる。一例において、トランジスタ334は比較的強いデバイスであり、トランジスタ336は比較的弱いデバイスである。このように、比較的強いデバイスを使用して書き込みアクセスを可能にし、比較的弱いデバイスを使用して読み取りアクセスを可能にすることにより、信号経路331上の電圧をラッチするためのマージンを向上させることができる。
【0034】
論理ハイのリセット信号に応答して、内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306は、信号経路323に読み取り電圧バイアスを出力することが可能になる。論理ローのリセット信号に応答して、内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306は、無効にされる。したがって、論理ローから論理ハイへ遷移するリセット信号に応答して、トランジスタ332及び336がオンになり、内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306は、フローティングゲートトランジスタ330の状態(すなわち、記憶されたカスタマイズビットを表す抵抗)を読み取ることが可能になる。フローティングゲートトランジスタ330の状態は、ラッチ304のデータ(D)入力に渡される(すなわち、記憶されたカスタマイズビットを表す電圧として)。論理ハイから論理ローへのリセット信号の遷移に応答して、フローティングゲートトランジスタ330に記憶されたカスタマイズビットは、ラッチ304によってラッチされ、トランジスタ332及び336がオフになり、内部(リセット)読み取り電圧レギュレータ306は、無効にされる。その結果、ラッチ304の出力(Q)にカスタマイズビットを得て、したがって、カスタマイズビット信号経路356上にカスタマイズビットを得て、他のデジタルロジックで利用することができる。
【0035】
論理ハイの読み取りイネーブル信号に応答して、トランジスタ320及び322がオンにされ、検知パッド324を介したメモリセル302への外部アクセスが可能になる。論理ローの読み取りイネーブル信号に応答して、トランジスタ320及び322はオフにされ、検知パッド324を介したメモリセル302への外部アクセスは無効になる。したがって、論理ハイのカスタマイズイネーブル信号、論理ローのロック信号、論理ハイのアドレス信号、論理ハイの読み取りイネーブル信号、及び論理ハイの発射信号に応答して、トランジスタ320、322、332、及び336がオンにされ、外部回路は、検知パッド324を介してフローティングゲートトランジスタ330を読み取ることが可能になる。
【0036】
論理ハイのメモリ書き込み信号に応答して、書き込み電圧レギュレータ308は、信号経路323に書き込み電圧を印加することが可能になる。論理ローのメモリ書き込み信号に応答して、書き込み電圧レギュレータ308は無効にされる。したがって、論理ハイのカスタマイズイネーブル信号、論理ローのロック信号、論理ハイのアドレス信号、論理ハイの書き込みイネーブル信号、論理ハイのメモリ書き込み信号、及び論理ハイの発射信号に応答して、トランジスタ332、334、336がオンにされ、書き込み電圧レギュレータ308は、フローティングゲートトランジスタ330に書き込むことが可能になる。
【0037】
図4Bは、ロックビットを記憶しているメモリセルにアクセスするための回路370の一例を示す概略図である。一例において、回路370は、図3の集積回路200の一部である。回路370は、図4Aを参照して上で図示説明された回路300に類似しているが、回路370では、メモリセル302がメモリセル372に置き換えられ、ラッチ304がラッチ374に置き換えられている。メモリセル372は、ロックビットを記憶しており、ラッチ374は、リセット信号に応答してロックビットをラッチする。
【0038】
メモリセル372は、上で説明したメモリセル302と同様である。ラッチ374は、上で説明したラッチ304に類似しているが、ラッチ374は、プリセット信号入力を有していない。ラッチ374の出力(Q)は、ロック信号経路340上にロック信号を提供する。ロック信号経路340は、インバータ310への入力である(図4Aのインバータ310も参照)。ANDゲート312に入力される選択信号の代わりに、ノズルデータロックビット信号が、ノズルデータロックビット信号経路376を介してANDゲート312に入力される。ノズルデータロックビット信号は、メモリセル372の選択に使用される場合がある。ノズルデータロックビット信号は、データインターフェースなどを介してホスト印刷装置から受信したデータに基づく場合がある。前述のように、メモリセル372は、図4Aのメモリセル302と同様に、書き込み又は読み取りアクセスのために有効にされる場合がある。
【0039】
図5は、流体噴射装置500の一例を示している。流体噴射装置500は、検知インターフェース502と、第1の流体噴射アセンブリ504と、第2の流体噴射アセンブリ506とを含む。第1の流体噴射アセンブリ504は、キャリア508と、複数の細長い基板510、512、514(例えば、図6を参照して以下で説明される流体噴射ダイ)とを含む。キャリア508は、各細長い基板510、512、514のインターフェース(例えば、検知インターフェース)に結合され、かつ、検知インターフェース502に結合された電気配線516を含む。第2の流体噴射アセンブリ506は、キャリア520と、細長い基板522(例えば、流体噴射ダイ)とを含む。キャリア520は、細長い基板522のインターフェース(例えば、検知インターフェース)に結合され、かつ、検知インターフェース502に結合された電気配線524を含む。一例において、第1の流体噴射アセンブリ504は、カラー(例えば、シアン、マゼンタ、及び黄色)のインクジェット又は流体ジェットプリントカートリッジ又はペンであり、第2の流体噴射アセンブリ506は、黒色のインクジェット又は流体ジェットプリントカートリッジ又はペンである。
【0040】
一例において、各細長い基板510、512、514、522は、図1Aの集積回路100、図1Bの集積回路120、図3の集積回路200、あるいは、図4A及び図4Bの回路300及び/又は回路370を含む。したがって、検知インターフェース502は、各細長い基板の検知インターフェース236(図3)又は検知パッド324(図4A及び図4B)に電気的に結合される場合がある。各細長い基板510、512、514、522のメモリセルは、検知インターフェース502及び電気配線516、524を介してアクセスされる場合がある。
【0041】
一例において、第1の流体噴射アセンブリ504の各細長い基板510、512、514のカスタマイズビットは、各細長い基板間で異なる。一例において、各細長い基板510、512、514、522は、4つのカスタマイズビットを記憶するための4つの不揮発性メモリセルを含む。したがって、カスタマイズビットは、流体噴射アセンブリ504を4096個の一意の流体噴射装置のうちの1つとして定義し、流体噴射アセンブリ506を16個の一意の流体噴射装置のうちの1つとして定義することができる。
【0042】
図6Aは、流体噴射ダイ600の一例を示す図であり、図6Bは、流体噴射ダイ600の両端部を示す拡大図である。一例において、流体噴射ダイ600は、図1Aの集積回路100、図1Bの集積回路120、図3の集積回路200、あるいは、図4A及び図4Bの回路300及び/又は370を含む。ダイ600は、接触パッドの第1の列602と、接触パッドの第2の列604と、流体作動装置608の列606とを含む。
【0043】
接触パッドの第2の列604は、接触パッドの第1の列602と整列され、接触パッドの第1の列602から距離(すなわち、Y軸に沿った距離)を置いて配置されている。流体作動装置608の列606は、接触パッドの第1の列602及び接触パッドの第2の列604に対して縦方向に配置されている。また、流体作動装置608の列606は、接触パッドの第1の列602と接触パッドの第2の列604との間に配置されている。一例において、流体作動装置608は、流体滴を噴射するためのノズル又は流体ポンプである。
【0044】
一例において、接触パッドの第1の列602は、6つの接触パッドを含む。接触パッドの第1の列602は、次の接触パッドを順番に含む場合がある。すなわち、データ接触パッド610、クロック接触パッド612、論理電力接地帰路接触パッド614、多目的入出力(例えば、検知)接触パッド616、第1の高電圧電源接触パッド618、及び第1の高電圧電源接地帰路接触パッド620である。したがって、接触パッドの第1の列602は、第1の列602の上部にデータ接触パッド610を含み、第1の列602の下部に第1の高電圧電源接地帰路接触パッド620を含み、第1の高電圧電源接地帰路接触パッド620の直ぐ上に第1の高電圧電源接触パッド618を含む。接触パッド610、612、614、616、618、及び620が特定の順序で示されているが、他の例では、これらの接触パッドは、異なる順序で配置されてもよい。
【0045】
一例において、接触パッドの第2の列604は、6つの接触パッドを含む。接触パッドの第2の列604は、次の接触パッドを順番に含む場合がある。すなわち、第2の高電圧電源接地帰路接触パッド622、第2の高電圧電源接触パッド624、論理リセット接触パッド626、論理電力供給接触パッド628、モード接触パッド630、及び発射接触パッド632である。したがって、接触パッドの第2の列604は、第2の列604の上部に第2の高電圧電源接地帰路接触パッド622を含み、第2の高電圧電源接地帰路接触パッド622の直ぐ下に第2の高電圧電源接触パッド624を含み、第2の列604の下部に発射接触パッド632を含む。接触パッド622、624、626、628、630、及び632が特定の順序で示されているが、他の例では、これらの接触パッドは、異なる順序で配置されてもよい。
【0046】
データ接触パッド610は、流体作動装置、メモリビット、温度センサー、設定モード(例えば、設定レジスタにより選択される)等を選択するためのシリアルデータのダイ600への入力に、使用することができる。また、データ接触パッド610は、メモリビット、設定モード、ステータス情報(例えば、ステータスレジスタを介して読み取られる)等を読み取るためのダイ600からのシリアルデータの出力にも、使用することができる。クロック接触パッド612は、データ接触パッド610上のシリアルデータをダイの中にシフトさせ、又は、ダイからシリアルデータをデータ接触パッド610にシフトさせてとり出すための、ダイ600へのクロック信号の入力に使用することができる。論理電力接地帰路接触パッド614は、ダイ600に供給される論理電力の接地帰路(例えば、約0V)を提供する。一例において、論理電力接地帰路接触パッド614は、ダイ600の半導体(例えば、シリコン)基板640に電気的に結合される。多目的入出力接触パッド616は、ダイ600のアナログ検知モード及び/又はデジタル試験モードの場合に使用される場合がある。一例において、多目的入出力接触(例えば、検知)パッド616は、図3の検知インターフェース236、又は、図4A及び図4Bの検知パッド3242を提供することができる。
【0047】
第1の高電圧電源接触パッド618及び第2の高電圧電源接触パッド624は、ダイ600への高電圧(例えば、約32V)の供給に使用することができる。第1の高電圧電源接地帰路接触パッド620及び第2の高電圧電源接地帰路接触パッド622は、高電圧電源の電力接地帰路(例えば、約0V)を提供するために使用される場合がある。高電圧電源接地帰路接触パッド620及び622は、ダイ600の半導体基板640に直接電気的に接続されていない。高電圧電源接触パッド618及び624ならびに高電圧電源接地帰路接触パッド620及び622を最も内側の接触パッドとして有する接触パッドのこの特定の順序によれば、ダイ600への電力供給を向上させることができる。第1の列602の下部及び第2の列604の上部に高電圧電源接地帰路接触パッド620及び622をそれぞれ有することにより、製造の信頼性を向上させ、インク短絡保護を向上させることができる。
【0048】
論理リセット接触パッド626は、ダイ600の動作状態を制御するための論理リセット入力として使用される場合がある。一例において、論理リセット接触パッド626は、図3のリセット信号経路210、又は、図4A及び図4Bのリセット信号経路344に電気的に結合される場合がある。論理電力供給接触パッド628は、ダイ600への論理電力(例えば、5.6Vのような約1.8V~15V)の供給に使用される場合がある。モード接触パッド630は、ダイ600の設定モード(すなわち、機能モード)を有効/無効にするアクセスを制御するための論理入力として使用される場合がある。発射接触パッド632は、データ接触パッド610からロードされたデータをラッチし、ダイ600の流体作動装置又はメモリ要素を有効にするための論理入力として使用される場合がある。一例において、発射接触パッド632は、図4A及び図4Bの発射信号経路348に電気的に結合される場合がある。
【0049】
ダイ600は、長さ642(Y軸に沿って)、厚さ644(Z軸に沿って)、及び幅646(X軸に沿って)を有する細長い基板640を含む。一例において、長さ642は、幅646の少なくとも20倍である。幅646は、1mm以下であってもよいし、厚さ644は、500ミクロン(マイクロメートル)未満であってもよい。流体作動装置608(例えば、流体作動ロジック)及び接触パッド610~632は、細長い基板640上に設けられ、細長い基板の長さ642に沿って配置される。流体作動装置608は、細長い基板640の長さ642よりも短いスワス652を有する。一例において、スワスの長さ652は、少なくとも1.2cmである。接触パッド610~632は、流体作動ロジックに電気的に結合される場合がある。接触パッドの第1の列602は、細長い基板640の第1の長手方向端部648の近くに配置される場合がある。接触パッドの第2の列604は、第1の長手方向端部648とは反対側の細長い基板640の第2の長手方向端部650の近くに配置される場合がある。
【0050】
図7は、流体噴射システム700の一例を示すブロック図である。流体噴射システム700は、プリントヘッドアセンブリ702のような流体噴射アセンブリと、インク供給アセンブリ710のような流体供給アセンブリとを含む。図示の例では、流体噴射システム700は、サービスステーションアセンブリ704と、キャリッジアセンブリ716と、印刷媒体搬送アセンブリ718と、電子制御装置720とをさらに含む。以下の説明は、インクに関する流体処理のためのシステム及びアセンブリの例を提供するが、開示されたシステム及びアセンブリは、インク以外の流体の処理にも適用可能である。
【0051】
プリントヘッドアセンブリ702は、図6A及び図6Bを参照して上で図示説明された少なくとも1つのプリントヘッド又は流体噴射ダイ600を含み、これは、複数のオリフィス又はノズル608を通してインク又は流体の液滴を噴射する。一例において、液滴は、印刷媒体724に印刷するために、印刷媒体724のような媒体に向けられる。一例において、印刷媒体724は、紙、カードストック、OHPフィルム、マイラー、布のような任意のタイプの適当なシート材料を含む。別の例では、印刷媒体724は、粉末床のような3次元(3D)印刷用の媒体、又は、リザーバ若しくは容器のようなバイオプリンティング及び/又は新薬発見試験用の媒体を含む。一例において、ノズル608は、少なくとも1つの列又はアレイを成して配置され、プリントヘッドアセンブリ702と印刷媒体724が互いに相対的に移動されるときに、ノズル608からのインクの適当に順序付けられた噴射により、文字、記号、及び/又は他のグラフィックス又は画像が、印刷媒体724に印刷される。
【0052】
インク供給アセンブリ710は、プリントヘッドアセンブリ702にインクを供給し、インクを貯蔵するためのリザーバ712を含む。したがって、一例において、インクは、リザーバ712からプリントヘッドアセンブリ702へと流れる。一例において、プリントヘッドアセンブリ702及びインク供給アセンブリ710は、インクジェット又は流体ジェットプリントカートリッジ又はペンに一緒に収容されている。別の例では、インク供給アセンブリ710は、プリントヘッドアセンブリ702から分離されており、供給チューブ及び/又はバルブのようなインターフェース接続713を介してプリントヘッドアセンブリ702にインクを供給する。
【0053】
キャリッジアセンブリ716は、プリントヘッドアセンブリ702を印刷媒体搬送アセンブリ718に対して相対的に位置決めし、印刷媒体搬送アセンブリ718は、印刷媒体724をプリントヘッドアセンブリ702に対して相対的に位置決めする。したがって、プリントヘッドアセンブリ702と印刷媒体724との間の領域に、ノズル608に隣接して印刷ゾーン726が定義される。一例において、プリントヘッドアセンブリ702は、走査型プリントヘッドアセンブリであり、キャリッジアセンブリ716は、プリントヘッドアセンブリ702を印刷媒体搬送アセンブリ718に対して相対的に移動させる。別の例では、プリントヘッドアセンブリ702は、非走査型プリントヘッドアセンブリであり、キャリッジアセンブリ716は、プリントヘッドアセンブリ702を印刷媒体搬送アセンブリ718に対して所定の位置に固定する。
【0054】
サービスステーションアセンブリ704は、プリントヘッドアセンブリ702、より具体的には、ノズル608の機能を維持するために、プリントヘッドアセンブリ702のスピッティング(吹き返し)、拭き取り、キャッピング、及び/又はプライミングを提供する。例えば、サービスステーションアセンブリ704は、余分なインクを拭き取り、ノズル608をクリーニングするために、定期的にプリントヘッドアセンブリ702上を通過するゴムブレード又はワイパーを含む場合がある。さらに、サービスステーションアセンブリ704は、不使用期間中にノズル608が乾燥するのを防ぐために、プリントヘッドアセンブリ702を覆うキャップを含む場合がある。さらに、サービスステーションアセンブリ704は、スピトゥーン(廃インクトレイ)を含む場合があり、プリントヘッドアセンブリ702は、その中にインクを噴射することで、リザーバ712が適当なレベルの圧力及び流動性を維持することを保証し、ノズル608が詰まったりノズル608からインクが垂れたりしないことを保証する場合がある。サービスステーションアセンブリ704の機能には、サービスステーションアセンブリ704とプリントヘッドアセンブリ702との間の相対運動も含まれる場合がある。
【0055】
電子制御装置720は、通信経路703を介してプリントヘッドアセンブリ702と通信し、通信経路705を介してサービスステーションアセンブリ704と通信し、通信経路717を介してキャリッジアセンブリ716と通信し、通信経路719を介して印刷媒体搬送アセンブリ718と通信する。一例において、プリントヘッドアセンブリ702がキャリッジアセンブリ716に取り付けられている場合、電子制御装置720とプリントヘッドアセンブリ702は、通信経路701を介してキャリッジアセンブリ716経由で通信することができる。一実施形態において、電子制御装置720はさらに、新しい(又は使用済みの)インク供給源を検出することができるように、インク供給アセンブリ710とも通信する場合がある。
【0056】
電子制御装置720は、コンピュータのようなホストシステムからデータ728を受信し、データ728を一時的に記憶するためのメモリを含む場合がある。データ728は、電子、赤外線、光学的、又は他の情報転送経路に沿って流体噴射システム700に送信される場合がある。データ728は、例えば、印刷される文書及び/又はファイルに相当する。したがって、データ728は、流体噴射システム700の印刷ジョブを形成し、少なくとも1つの印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータを含む。
【0057】
一例において、電子制御装置720は、ノズル608からのインク滴の噴射のためのタイミング制御を含む、プリントヘッドアセンブリ702の制御を提供する。したがって、電子制御装置720は、印刷媒体724上に文字、記号、及び/又は他のグラフィックス又は画像を形成する、噴射されたインク滴のパターンを定義する。タイミング制御、したがって噴射されるインク滴のパターンは、印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータによって決定される。一例において、電子制御装置720の一部を形成するロジック及び駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ702上に配置される。別の例では、電子制御装置720の一部を形成するロジック及び駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ702以外の場所に配置される。
【0058】
図8A図8Cは、複数の流体作動装置を駆動するための集積回路を動作させるための方法800の例を示すフロー図である。一例において、方法800は、図1Aの集積回路100、図1Bの集積回路120、図3の集積回路200、図4Aの回路300、及び/又は、図4Bの回路370によって実施される場合がある。図8Aに示されるように、方法800は、802において、対応する複数の第1の不揮発性メモリセルに記憶された複数のカスタマイズビットを読み取ることを含む。方法800は、804において、ノズルデータストリームからアドレスを受信することを含む。方法800は、806において、カスタマイズビットとアドレスを合計して、変更されたアドレスを生成することを含む。
【0059】
一例において、複数のカスタマイズビットは、4つのカスタマイズビットを含み、アドレスは4つのビットを含む。この場合、カスタマイズビットとアドレスを合計することは、カスタマイズビットとアドレスを合計して、4つのビットを含む変更されたアドレスを生成することを含む場合があり、合計の結果として得られた最上位ビットは破棄される。図8Bに示されるように、方法800は、808において、変更されたアドレスに基づいて流体作動装置を発射することをさらに含む場合がある。図8Cに示されるように、方法800は、810において、変更されたアドレスに基づいて、複数の第2の不揮発性メモリセルのうちのある第2の不揮発性メモリセルにアクセスすることをさらに含む場合がある。
【0060】
特定の例が本明細書で図示説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、図示説明された特定の例の代わりに、様々な代替及び/又は均等の実施形態が使用されてもよい。この出願は、本明細書で説明した特定の例の如何なる改変や又は変形もカバーすることを意図している。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等によってのみ制限されることが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A-6B】
図7
図8A
図8B
図8C