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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】組み立て式展示ケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A47F3/00 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022015446
(22)【出願日】2022-02-03
【審査請求日】2022-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521376996
【氏名又は名称】新田 伸之
(74)【代理人】
【識別番号】100179165
【弁理士】
【氏名又は名称】宇都宮 将之
(72)【発明者】
【氏名】新田伸之
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3234968(JP,U)
【文献】特開2003-325989(JP,A)
【文献】特開昭56-104617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示ケースであって、
多面体形状の支柱枠と、
当該支柱枠の上面側又は下面側の少なくとも一方に設ける脱着可能な補強枠と、
展示対象物を囲うように当該支柱枠の側面及び上下面に設けられる展示カバーとを備え、
前記支柱枠が組み立て式であり、
前記支柱枠が、少なくとも3つの柱状の支柱部材と、少なくとも3つの四角形状の枠部材
を組み合わせてなることを特徴とする展示ケース。
【請求項2】
前記支柱部材の一方端部に鉤爪部を設け、
当該鉤爪部を、前記枠部材を2以上組み合わせて形成する鉤爪部挿入孔に挿入することに
より、
前記支柱枠を組み立てることを特徴とする請求項に記載の展示ケース。
【請求項3】
前記支柱部材に枠部材固定部を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の展示ケー
ス。
【請求項4】
前記四角形状の枠部材の少なくとも一辺に枠部材結合凸部を形成し、
当該枠部材結合凸部を設けた辺と対抗する一辺に枠部材結合凹部を形成し、
当該枠部材結合凸部及び当該枠部材結合凹部を形成しない少なくとも一辺に支柱枠嵌込凸
部を形成すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の展示ケース。
【請求項5】
前期支柱枠の上面側及び下面側のいずれにも脱着可能な補強枠を設け、
当該補強枠の支柱枠側の内側に支柱枠嵌込凹部を形成することを特徴とする請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載の展示ケース。
【請求項6】
展示対象物を載せる展示台を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の展示ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型やフィギュア等の玩具、ひな人形や五月人形等の節句人形等を展示するための組み立て式の展示ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、模型やフィギュア等の玩具、ひな人形や五月人形等の節句人形等をコレクションして透明ケースに収めて展示するようなことは行われている。また、四季の中で育まれた多くの「節句」は代表的な日本の季節行事であり、日本古来より、この様な節句人形のひな人形や五月人形等をケースに入れて飾る習慣がある。このような場合に用いられる展示用のケースとしては、ガラスやアクリル等の透明なカバーに覆うようにしてこれらの展示対象物を収めて展示することが多いことは知られている。
【0003】
従来からある展示ケースにおいては、展示者のニーズに応じて様々な工夫が施されているものがある。例えば、展示対象物の高さに応じて調整できるようにした展示ケースであったり(特許文献1)、展示対象物を挟持保持することにより自立又は空中静止しているかの状態で展示可能であったりする展示ケース(特許文献2)等も知られている。さらには、展示ケースの大きさに関わらず展示対象物の出し入れが容易であり、展示カバーが脱着でき展示カバー等が破損した際も容易に交換が可能な展示ケース(特許文献3)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3096587号公報
【文献】特開2005-74200号公報
【文献】実願2021-3305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様に従来の展示ケースは、自身のコレクションを好みの状態で展示することができる点で非常に優れたものである。自身のコレクションを自身の好みの状態に合わせて展示するということは、展示者にとって重要なニーズの一つと言えるものである。この様なニーズは多岐に渡るものであり、展示者のニーズをすべて満たすような展示ケースというものを提供することは現実的には非常に困難なものである。
【0006】
そこで、本発明は前記引用文献の展示ケースの特徴とは異なり、展示ケースを組み立て式にすることによって、分解してコンパクトにすることができ、かさ張ることなく持ち運びや収納等を目的とする。さらには、大きな展示ケースであっても展示対象物の出し入れが容易にでき、破損時の交換も容易で、展示者の好みに応じて展示ケースの背景を変更することができる展示ケースを提供することを目的とする。さらに、組み立て式の構造にすることにより完成した展示ケースの外観が損なわれることが考えられるが、成形品と同程度の外観を実現することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の展示ケースは以下の(1)~(7)に関するものである。
(1)展示ケースであって、多面体形状の支柱枠と、当該支柱枠の上面側又は下面側の少なくとも一方に設ける脱着可能な補強枠と、展示対象物を囲うように当該支柱枠の側面及び上下面に設けられる展示カバーとを備え、前記支柱枠が組み立て式であることを特徴とする展示ケース。
(2)前記支柱枠が、少なくとも3つの柱状の支柱部材と、少なくとも3つの四角形状の枠部材を組み合わせてなることを特徴とする前記(1)に記載の展示ケース。
(3)前記支柱部材の一方端部に鉤爪部を設け、当該鉤爪部を、前記枠部材を2以上組み合わせて形成する鉤爪部挿入孔に挿入することにより、前記支柱枠を組み立てることを特徴とする前記(2)に記載の展示ケース。
(4)前記支柱部材に枠部材固定部を設けることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の展示ケース。
(5)前記四角形状の枠部材の少なくとも一辺に枠部材結合凸部を形成し、当該枠部材結合凸部を設けた辺と対抗する一辺に枠部材結合凹部を形成し、当該枠部材結合凸部及び当該枠部材結合凹部を形成しない少なくとも一辺に支柱枠嵌込凸部を形成すること、を特徴とする前記(2)から(4)のいずれか1つに記載の展示ケース。
(6)前期支柱枠の上面側及び下面側のいずれにも脱着可能な補強枠を設け、当該補強枠の支柱枠側の内側に支柱枠嵌込凹部を形成することを特徴とする前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の展示ケース。
(7)展示対象物を載せる展示台を備える前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の展示ケース。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態に係る展示ケースは、組み立て式であり各パーツを分解することができるため、展示ケースの搬送時、販売のための展示や展示ケースを使用しないときでもコンパクトに場所を取らずに収納することが可能となる。さらには、展示ケースの大きさに関わらず展示対象物の出し入れが容易である。また、展示カバーが脱着できるものであれば展示カバー等が破損した際も容易に交換が可能となる。さらに、展示カバーに特定の図柄のものを設ければ展示者の好みに応じて展示ケースの背景を変更することができ、展示者の満足を満たすことが可能となる。さらに、本発明の組み立て式の構造を用いることにより、組み立て式の構造としても完成した展示ケースの外観を損なうことなく一見して成形品と同程度の外観を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る組み立て式展示ケースの概要図である。
図2】本発明の実施形態に係る展示ケースの分解図である。
図3】本発明の実施形態に係る展示カバーを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る補強枠を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る支柱枠を構成する支柱部材を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る支柱枠を構成する枠部材の正面及び背面を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る支柱枠を構成する枠部材の上面及び底面を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る支柱枠を構成する枠部材の左右の側面を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る支柱枠を構成する枠部材の組み立て構造の詳細を示す図である。
図10】本発明の実施形態で支柱部材と枠部材を組み立て状態に係る概要図である。
図11】本発明の実施形態で支柱枠に補強枠を取り付ける状態に係る概要図である。
図12】本発明の実施形態で支柱枠に補強枠を取り付ける状態に係る状態を図10の背面から示した概要図である。
図13】本発明の実施形態で使用する展示カバーに図柄も設けた例である。
図14】本発明の第2の実施形態実施形態にかかる補強枠を示す図である。
図15】本発明の第3の実施形態実施形態にかかる補強枠を示す図である。
図16図1のA―A’線断面図のうち展示ケースの下部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態の展示ケースの概要を示すものである。1は本実施形態の組み立て式展示ケースである。組み立て式展示ケース1は、展示台2、支柱枠3、展示カバー4、補強枠5からなる。また、20は切込み部であり、展示カバー4を挿入するための切込みである。なお、本実施形態においては、展示台2、支柱枠3、補強枠5はプラスチック製のものを使用したが特にこれに限定されるものではなく、木材や金属などの素材を用いても良い。本実施形態では補強枠5を支柱枠3の上下に設けてより強度の向上や美観を高めるものとしたが、展示ケースとして使用する際は上部に設ける補強枠5は必ずしも必要なものではなく補強枠5を上部もしくは下部のいずれか一方だけに使用しても展示ケースとしては使用できる。この場合は部品点数を減らすことが可能となる。
【0011】
図2は、本発明の実施形態の展示ケース1の分解図である。図2(a)は補強枠5、図2(b)は支柱枠3(後述の枠部材と支柱部材を用いて組み立てた状態)、図2(c)は展示台2を示す。これら展示台2、支柱枠3、展示カバー4(図3で図示する)、補強枠5を組み合わせることにより本実施形態の組み立て式展示ケース1を構成する。
【0012】
本実施形態で使用した支柱枠3は、図2(b)に全体図を示し、図5から図10に詳細な構造を示す枠部材6と支柱部材7を組み立てることにより形成する。支柱枠3は多面体形状をしており、多面体の各頂点同士が辺を構成する支柱で繋がった形状である。本実施形態で称した支柱枠3は、4つの枠部材6と4つの支柱部材7から構成される。なお、本実施形態では四面体(直方形状)の支柱枠3を使用したが、三角柱や五角柱や六角柱や八角柱、三角錐や四角錐等の形状とすることも可能である。
【0013】
本実施形態の展示カバー4は、展示前面部の前面(側面)カバー4a、当該前面カバー4aの対面の後面(側面)カバー4b、展示側面部の第1の側面カバー4cとその対面の第2の側面カバー4d、上面の天面カバー4eからなる。本実施形態の展示カバー4は、透明で硬質や半硬質の合成樹脂(例えば、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ガラス等)の素材のものが使用可能である。なお、本実施形態では0.5mm厚の透明のポリ塩化ビニル樹脂を使用した。本実施形態で使用する展示カバーの厚みとしては大きさや構造によるものなので特に限定するものではないが、0.3mm~1.5mm程度のものが使用でき、0.5mm~1mm程度であることが展示ケース全体の軽量化や低コスト化の観点で好ましい。また、当該展示カバー4は前述の支柱枠3の切込み部20(後述、図5に図示する。)に上部から差し込むように挿入して装着する。当該展示カバー4は、展示ケース1の外周を覆うようにすべての展示カバー4(本実施形態においては4a~4d)を挿入した。また、支柱枠3の天井側に展示カバー4eを載置し、その上に補強枠5を設けた。ただし、展示ケースとして展示台2を使用しない形態の場合は支柱枠3の底面部に展示カバー4を差し込んで使用しても良い。展示カバー4を本実施形態のような態様にすることにより、キズや破損が生じた場合であっても従来の一体型のアクリルケース等と比べて容易に交換が可能となる点で優れるものである。
【0014】
図2(a)と図4は本実施形態で使用する補強枠5を図示したものである。本実施形態で使用する補強枠5は、組み立て式展示ケース1に載置された支柱枠3の上面と底面に被せるようにして載置して使用する。図4(a)の補強枠5の表面(組み立て式展示ケース1の上面と底面に該当)、図4(b)は補強枠5の裏面(組み立て式展示ケースの支柱枠3に嵌め込まれる面)を示すものである。具体的には、底面に用いる補強枠5の内側に形成した支柱枠嵌込凹部22を後述の支柱枠嵌込凸部24を嵌め込み底面の補強枠5に支柱枠3を載置し、支柱枠3の上面(天井側)の外周を覆うように上面に使用する補強枠5被せて載置して被せて載置する。本実施形態の支柱枠3の底面に補強枠5を取り付けた状態を図11の(a)、支柱枠3の上面と底面に補強枠5を取り付けた状態を図11の(b)に示す。なお、支柱枠嵌込凹部22は基本的には支柱枠3の下部に設けられた支柱枠嵌込凸部24と結合する箇所であるため、補強枠5の少なくとも1方(底面側に使用する補強枠)に設ければよいが、製造工程や部品点数の削減を考慮すると、上下面に使用される2つの補強枠5の内側に設けて、補強枠5を一つの部品としていずれの面にも使用できる状態とすることが好ましい。また、本実施形態の補強枠5は、外周の形状が支柱枠3の外周の形状と同形状であり、支柱枠3に補強枠5を取り付けた際の見た目が同一となり一体に成型されたような外観を実現できる。また、補強枠5の形状としては、略四角形状でありその四辺の外周から略直角に各辺と同じ長さで、同一の幅で下方に板状の部材を取り付けたものであり、当該四角形状との中央部は空洞とする。従って、支柱枠3に装着した状態でも天井部から展示物が視認することが可能となり。前述の通り、支柱枠3自体にも十分な強度が認められるため補強枠5を用いることは必須ではないが、補強枠5を使用することにより、さらに全体的に組み立て式展示ケース1の強度が増すことができるため、展示中の衝撃や地震の揺れ等にもある程度耐えることが可能となる。また、上部の補強枠を外すだけで簡単に展示カバーを脱着できることが可能となる。本実施形態の様に、上下に補強枠5を使用した場合は、六面全面に一体形成の四角い枠状のパーツを使用することになり、枠の頂点部のすべての直角部がぐらつくことがないので、パーツ同士が上下方向以外に動かすことができない構造と合わせて高い強度を確保できる。本実施形態では上述の通り補強枠5を中央部を空洞としたが当該空洞部を設けない板状のものとしても良い(支柱枠3の底面に当該補強枠5を使用すれば後述の第2の実施形態となる。)。この場合は展示ケースの上部から展示物を見ることはできないが、展示ケースの上にさらに展示ケースを載せたり、その他の備品や鑑賞物を置いたりすることが可能となる。
【0015】
図2(c)は本実施形態の展示台2を図示したものである。図1に示すように支柱枠3を設置できるように展示台2の外周に段差部を形成し、支柱枠3の底面の枠部分は展示台2の当該段差部に載置する。前述の展示対象物は展示台2の上に様々な状態で展示することができる。当該段差部は支柱枠3を構成する各辺の幅と同程度の幅であり、展示台2に支柱枠3を載置した際にきれいに嵌め込むことが可能となる。また、展示台2の中央に形成された展示スペースの高さも支柱枠3を構成する底辺の各辺の幅(高さ)と同程度であるため図1に示すように、展示台2と支柱枠3を結合した際に支柱枠3と展示台2の結合部で凹凸がなくきれいな見た目を実現できる。
【0016】
図5は本実施形態で使用した支柱枠3を構成する支柱部材7の形状を示す図である。図5(a)は支柱部材7を正面から見た図、図5(b)は支柱部材7の上部側を(a)の側面から見た拡大図、図5(c)は支柱部材7の上部を(b)の反対側から見た拡大図である。支柱部材7は後述の枠部材6を2つ組み合わせる際にそれらを結合するために用いられ支柱枠3としては4つ(4辺)の支柱を形成する重要な部材となる。当該支柱部材7を用いることによって、組み立て式の展示ケースであったとしても十分な強度を保つことが可能となる。図5に示す9は鉤爪部であり、10は支柱形成部、11は枠部材固定部である。後述の枠部材6を2つ組み合わせた際に、当該鉤爪部9を挿入するための孔(鉤爪部挿入孔18)が形成されるため、当該鉤爪部9を鉤爪部挿入孔18に差し込むことによってしっかりと支柱部材と枠部材の各部材を保持することができる。また、枠部材固定部11で枠部材6を支え、23の枠部材押部で支柱枠3が揺れを起こしても枠部材がずれないように押さえることができるため強度も保つことができる。26は支柱部材下部に設けられる差し込み部であり、支柱枠3の底面に設けられる補強枠5の四隅に差し込まれる箇所となる。また、支柱形成部10は支柱部材7を全体的に覆う部材であり、支柱枠3を形成した際に展示ケースの一部(支柱枠の面)を形成する部材で展示ケースとしての外観を形成する部分である。
【0017】
図6は本実施形態で使用した支柱枠3を構成する枠部材6の背面(a)と正面(b)を示す図である。図6(b)の正面からみた状態が展示ケースの外観側を形成する部分となり、図6(a)の背面からみた状態が展示ケースの内部を形成する部分となる。図6中、8は取り外し凹部であり、支柱枠3の上部側に展示カバーを載置した際に展示カバーを取り外すときに指をかけて取り外し易くするものである。また、側面の展示カバーの上部をつまんで側面展示カバーの脱着をしやすくする効果も有する。15は枠部材結合凸部で、17は枠部材結合凹部であり、これらは組み立てる際に枠部材結合凸部を枠部材結合凹部17に差し込むことにより2つの枠部材6が滑らないように固定することが可能となる。25は枠部材止部であり2つの枠部材6を組み合わせる際に角を構成する箇所であり、一方の枠部材がずれないように受け止めるためのストッパーの機能を有する。当該枠部材止部25が前述の支柱部材7の枠部材押部23と組み合わさることにより2つの枠部材6と支柱部材7がしっかりと固定することができる。24は支柱枠嵌込凸部であり、前述の補強枠5の内側に設けられた支柱枠嵌込凹部22に差し込むことにより支柱枠3と補強枠5をずれが生じることなくしっかりと固定することが可能となる。
【0018】
図7は本実施形態で使用した支柱枠を構成する枠部材6の上面(a)及び底面(b)を示す図である。図6でも説明した通り、取り外し凹部8、枠部材結合凸部15、枠部材止部25、支柱枠嵌込凸部24を備えるものである。12は展示カバー保持部で、支柱枠3を組み立てた際には天井側になる箇所であり、横枠面形成部13より少し低い段差部を有する。支柱枠3を組み立てることにより、各枠部材6の展示カバー保持部により支柱枠3の天井側の内周に略四角形状に形成されることになり、ここに展示カバー4を載置することになる。13は横枠面形成部であり、展示カバー保持部12との関係では展示カバー4がずれないようにする機能を有し、横から見た際には支柱枠3の枠面の横の外観を形成する箇所となる。14は鉤爪挿入孔形成部であり、図9で後述する通り2つの枠部材6が重なり合うことにより、鉤爪部9を挿入するための孔を形成する箇所である。なお、本実施形態では補強枠5を用いているため、横面形成部13は補強枠5によって覆われるため外観は形成せずに、補強枠の内側とともに切り込み部20を形成する箇所となる。
【0019】
図8は本実施形態で使用した支柱枠を構成する枠部材6の側面を示す図である。枠部材6の正面側から見て左側側面が(a)、右側側面が(b)である。枠部材結合凸部15、支柱枠嵌込凸部24を備えるのは図6,7と同様である。16は縦枠面形成部であり、横から見た際には支柱枠3の枠面の縦の外観を形成する箇所となる。また、縦枠面形成部16は、支柱部材7の支柱形成部10の内側とともに切り込み部20を形成する。
【0020】
図9は2つの枠部材6を組み合わせる状態を示す図である。本実施形態で支柱枠3を形成する際には、4つの枠部材6と4つの支柱部材7を組み合わせて完成させる。本実施形態の組み立て手順は後述するが(図10~12)、まずは枠部材6を4つ組み合わせることからスタートする。枠部材6を組み合わせる際には2つ枠部材側面の辺同士を組み合わせ、それを3つめ4つめと組み合わせることにより支柱枠3の基本構成を組み上げる。図9の(a)は枠部材6を背面側から見て右側の構造を拡大して表示したものであり、図9の(b)は1つの枠部材6を背面側から見て右側の辺と、背面側から見て左側の辺とを組み合わせる状態を示す図である。2つの枠部材6を組み合わせる際には、まずは一方の枠部材6の枠部材結合凸部15を、2つの枠部材6同士の組み合わせ角度が略直角になるように他方の枠部材6の枠部材結合凹部17に差し込んで組み合わせる。このとき、枠部材6を背面側から見て左側の方に形成された枠部材止部25があることにより、支柱部材7の枠部材押部23によって、枠部材6同士が離れる方向にずれることを防ぐことが可能となる。また組み合わせる際に、枠部材6を背面側から見て左側の方に形成された鉤爪挿入孔形成部14と鉤爪挿入孔18があるので、支柱部材7の鉤爪部9を差し込むことが可能となる。鉤爪挿入孔形成部14は凹部となっており、枠部材6を組み合わせた際に他方の枠部材6の鉤爪挿入孔形成範囲27と組み合わさることにより鉤爪部9が入り込む空洞を形成する。また、鉤爪挿入孔18は階段上の形状をしているため、当該空洞を形成した後に、鉤爪部9の先端を差し込むことが可能となり、枠部材6を2つ組み合わせた後に支柱部材7をズレたりブレたりすることなく差し込むことが可能となる。鉤爪部9を用いることにより、各部材を接着剤を用いずに組み立てる組み立て方でも組み立てが容易になることと、接着をしない組み立て方でも補強枠を外すだけで簡単に展示カバーの脱着ができる機能を実現することができる。
【0021】
続いて、図9から図12で支柱枠3の組み立て方を説明する。前述の通り、支柱枠3を組み立てる際にはまず枠部材6を4つ組み合わせることから始める。次に、この組み合わせた4つの枠部材を底面として用いる補強枠5に上から嵌め込むようにして載置する(図10(a)及び図12(a)の状態)。次に、2つの枠部材6を組み合わせた辺の角に支柱部材7を上から差し込むように、枠部材6の枠部材止部25と、支柱部材7の枠部材固定部11と枠部材押部23とを組み合わせつつ下部に向かいつつ挿入する(図10(b)及び図12(b)の状態)。最後に支柱部材7の鉤爪部9を枠部材6の組み合わせにより形成した鉤爪部挿入孔18に挿入しつつ、支柱部材7の差し込み部26を補強枠5と支柱枠3により形成された孔に差し込むことにより支柱枠3と底面の補強枠5を組み合わせた状態となる(図10(c)、図12(c)及び図11(a)の状態)。最後に支柱枠3の上面(天面)にもう一方の補強枠5を被せるように載置して支柱枠3に上下面の補強枠5を設けた状態とし(図11(b)の状態)、これを展示台2に載置することにより図1に示す展示ケース1とする。また、支柱部材7の支柱形成部10と枠部材6との間に隙間が設けられるような構造としているため、当該隙間を切込み部20として形成して展示カバー4を挿入する隙間として利用する。なお、本実施形態では前述の通り図9から図12で示す組み立て手順により行ったが、これは組み立て時の組み立て易さや組み立て時の強度、破損を防ぐこと等を目的とするものであって、本発明の組み立て手順を限定するものではない。例えば、4つの補強枠6と4つの支柱部材7を組み合わせた後に上下面の補強枠5を設けても良いし、2つの補強枠6を組み合わせて支柱部材7を差し込んで組み立て、その後に3つめの枠部材6と支柱部材7、さらにその後に4つめの枠部材6と支柱部材7を組み立てても良い。
【0022】
図13は特定の図柄を設けた展示カバー4の例である。19は青空の図柄を設けた展示カバー、19’は宇宙の図柄を設けた展示カバー、19’’夕焼けの図柄を設けた展示カバーである。これらの特定の図柄を設けた展示カバーは、前述の展示カバー4に変えて、若しくは前述の展示カバー4と同時に支柱枠3の切込み部20に挿入することにより使用することが可能である。これにより、例えば、建築物等の模型を展示する場合は青空や夕焼けの背景を合わせて使用することにより臨場感を高めたり、潜水艦の模型に水中の背景を合わせたり、宇宙船等の模型を展示する場合は宇宙の背景を合わせて使用すたりすることにより鑑賞のリアリティを高めたりすることが可能となる。この様に夕焼けや水中の表現を行う場合には、背景の変更だけでなく、全面または背景以外の全面でクリアーオレンジやクリアーブルーの展示カバーを使用することも可能となる。さらに、自作の絵や写真、鏡面等も背景として使用することも可能である。その他にも、節句人形を展示する際には、金色の画用紙等によって金張の背景を表現することにより、金張の展示ケースを新たに購入することなく、節句の時期に節句人形を展示することも可能である。また、普段の展示物がぬいぐるみやフィギュアの場合は、節句人形を所持していなくても、例えば5月前後の子供の節句の時期であれば、折り紙等の自作の兜を展示物にかぶせ、背景を金張風に変更して季節感を演出するといった使用例も考えられる。さらには、和紙や障子紙などを、本実施形態の支柱枠3の切込み部に抜き差しできるように加工し、中に灯りを設置すれば行燈としても使用でき、行燈として使用する際は展示カバーに磨りガラスや半透明のプラ板なども使用可能である。
【0023】
本実施形態では直方体(立方体含む)形状の展示ケースを示したが、組み立て式の基本構造はそのままで各部品を構成する面の角度を一部変更することで、四角柱以外の多角柱形状の展示ケースとすることになる。例えば支柱形成部10を構成する2面の角度が60度(本実施形態では略90度)の支柱部材7を3つと、枠部材6同士を組み合わせたときの内角が60度(本実施形態では略90度)となる枠部材6を3つと、正三角形の補強枠を組み立てると正三角柱の展示ケースとなる。また支柱形成部10を構成する2面の角度が108度の支柱部材7を5つと、枠部材6同士を組み合わせたときの内角が108度となる枠部材6を5つと、正五角形の補強枠を組み立てると正五角柱の展示ケースとなり、支柱形成部10を構成する2面の角度が120度の支柱部材7を6つと、枠部材6同士を組み合わせたときの内角が120度となる枠部材6を6つと、正六角形の補強枠を組み立てると正六角柱の展示ケースとなる。さらには組み合わせによっては正三角柱以外の三角柱や正六角柱以外の六角柱などさまざまな多角柱形状の展示ケースが可能となる。
【0024】
上述の組み立て式の展示ケースは1つの実施形態を示したものである。本発明の第2の実施形態として、上述の実施形態で使用した展示台2の代わりに底面に使用する補強枠5を展示スペースとして使用できる状態とした展示ケースとすることもできる。第2の実施形態の底面で使用する補強枠5を図14に示す。図14(a)は展示対象物を載置する側(支柱枠3を嵌め込む側)からみた図、図14(b)は底面側(展示ケース1と載置面が接触面)からみた図である。なお、本第2の実施形態で使用する補強枠5は前述の中央部に空洞を有しない天板として上面の補強枠5としても使用可能となる。
【0025】
さらに、本発明の第3の実施形態として、上述の実施形態で使用した展示台2の代わりに底面に使用する補強枠5を展示スペースとして使用できる状態とした展示ケースとすることもできる。第3の実施形態の底面で使用する補強枠5を図15に示す。第2の実施形態で用いた補強枠5との相違点としては、補強枠5の中央部をせりあがった形状として展示エリア部21を設ける点である。図15(a)は底面側(展示ケース1と載置面が接触面)からみた図、図15(b)は展示対象物を載置する側(支柱枠3を嵌め込む側)からみた図である。
【0026】
図16図1に示すA-A’線の断面図のうち、展示ケース1の底面側の形状を示す図である。図16(a)は、上述の実施形態の断面図、図16(b)は第2の実施形態の断面図、図16(c)は第3の実施形態の断面図を示す。図16中、2は展示台、4は展示カバー、5は補強枠、6は枠部部材、22は支柱枠嵌込凹部、24は支柱枠嵌込凸部である。
【0027】
図16(a)(b)(c)に示されるように、補強枠5に形成された支柱枠嵌込凹部22に枠部材6に形成された支柱枠嵌込凸部24を差し込んで補強枠5に支柱枠3を載置して組み合わせる。また、上述の実施形態では展示台2の外周に設けた段差部に補強枠5を載置して展示ケースとすることを図16(a)に示す。
【0028】
第2の実施形態及び第3の実施形態では展示台2を使用せずに補強枠5で代用するため図16(b)(c)に示すように展示台2を図示せずに補強枠5のみを図示する。第2の実施形態は図14及び図16(b)に示すように、補強枠5の枠部材6よりも内側の中央付近が展示対象物を展示するエリアとなる。また、第3の実施形態は図15及び図16(c)に示すように補強枠5の中央部に展示エリア部21を設ける。図16(c)に示す通り、当該展示エリア部21は補強枠5の中央部をせり上げる形状とすることにより形成する。せり上げる高さとしては特に限定するものではないが、図16(c)に示すように補強枠5の最外周の高さと略等しい高さ程度が分解時の収納の観点等で好ましい。本第2の実施形態及び第3の実施形態では、展示カバー4を少なくとも1枚外して展示物の出し入れをする使用になるため、前述の切込み部20を設ける下面以外の展示カバーを簡単に脱着できる構造を有することがより好ましい。なお、第2の実施形態及び第3の実施形態において底面側で使用した補強枠は上面側で使用する補強枠とは構造が異なるため展示枠と呼称して区別しても良い。さらに、第2の実施形態と、第3の実施形態の下面に使用する補強枠は、天板に転用して上面に使用することも可能である。
【0029】
以上、本実施形態の組み立て式展示ケース1を示したが、特にこれらの構造に限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
<変形例>
(1)本実施形態の展示ケース1は略長方体の形状のものを示したが、特にこれに限定されるものではなく、本発明の組み立て形状を使用できるものであれば、三角柱形状や六角柱形状や三角錐や四角錘等、また展示カバーに薄くて柔らかい塩ビ板を使用すれば円柱形形状とすること等も可能である。
(2)本実施形態では展示カバーとして透明のものや図柄を設けたものを使用したがミラータイプの展示カバーも使用することができる。
(3)本実施形態では補強枠5を展示台2と略平行な天井部に設けたが、天井が高い展示ケースの場合(例えば人の手が届き難いようなもの)は当該補強枠5に相当する形状の部分を横面に設けることも可能である。これにより、展示カバーを横から取り換えることが可能となり、縦型の展示ケースでも交換が容易となる。
(4)本実施形態においては天井側から視認できる補強枠5を使用したが、展示カバー4を設ける空洞箇所を設けずに、補強枠5の空洞部分を板状のもので塞いで一体的な形状としても良い。これにより、天井側からの視認性はなくなるが、天井部の強度が向上するため、展示ケース1を積み重ねて使用して少ない床面積で展示量を増やすことも可能となる。
(5)本実施形態における展示ケース1は、強度等を考慮して支柱枠3の上部と下部に補強枠5を設ける例を示したが、これに限定されるものでなくいずれか一方のみに補強枠5を設ける様にしても良い。
(6)本実施形態では支柱枠3を構成する部材として、4つの枠部材6と4つの支柱部材7を用いたが、当該枠部材と支柱部材をさらに分解・組み立てができるような構造とすることも可能である。
(7)本実施形態では支柱枠3を構成する部材として、4つの枠部材6と4つの支柱部材7を用いたが、例えば2つの枠部材を蝶番等で結合することも可能である。収納等の際には2つの枠部材を180°開くことによりかさ張ることなく納められ、使用時には本実施形態で示したように約90°に折り曲げることにより支柱枠3の一部を構成することができる。
(8)本実施形態では支柱枠3や上部補強枠に特定の図柄の展示カバーを使用することができる例を示したが、それに加えて下部の補強枠または支柱枠下部に切り込み部を設けて特定の図柄の展示カバーなどを使用することもできる。これにより展示ケース全体に海や宇宙等の雰囲気を再現することが可能となり、より没入感やリアリティを高めることができる。
(9)本実施形態では1つの展示ケースをそのまま展示する状態を示したが特にこれに限定されることなく、上下の補強枠5を一体化したり、上下の補強枠5に公知の嵌め込み構造を施したりすることにより縦に積み重ねることができる展示ケースとすることもできる。
(10)本実施形態では組み立て式の展示ケースを組み立て後にも分解でき再度組み立て可能な状態とするように各部材を接着等して固定していないが、再度分解や組み立てを行わない状態で使用する場合は接着剤を用いて固定することにより強度を高めることも可能である。さらに、シーリング材等の止水効果を有する素材を用いることにより展示ケース内部に水を入れた状態で展示物を展示することも可能となる。
(11)本実施形態においては、支柱部材7の鉤爪部9が形成されている側を上面(もしくは天面)としたが、それを逆に用いて支柱部材の鉤爪部9が形成されている側を下面(もしくは底面)として使用することも可能であるので、本発明で使用する支柱枠は構造上、上面側下面側が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1 展示ケース
2 展示台
3 支柱枠
4 展示カバー
5 補強枠
6 枠部材
7 支柱部材
8 取り外し凹部
9 鉤爪部
10 支柱形成部
11 枠部材固定部
12 展示カバー保持部
13 横枠面形成部
14 鉤爪挿入孔形成部
15 枠部材結合凸部
16 縦枠面形成部
17 枠部材結合凹部
18 鉤爪挿入孔
19 青空の図柄を設けた展示ケース
19’ 宇宙の図柄を設けた展示ケース
19’’ 夕焼けの図柄を設けた展示ケース
20 切込み部
21 展示エリア部
22 支柱枠嵌込凹部
23 枠部材押部
24 支柱枠嵌込凸部
25 枠部材止部
26 差し込み部
27 鉤爪挿入孔形成範囲

【要約】      (修正有)
【課題】展示ケースを組み立て式にすることによって、分解してコンパクトにすることができ、かさ張ることなく持ち運びや収納等を目的とする。さらには、大きな展示ケースであっても展示対象物の出し入れが容易にでき、破損時の交換も容易で、展示者の好みに応じて展示ケースの背景を変更することができる展示ケースを提供することを目的とする。
【解決手段】展示ケース1であって、多面体形状の支柱枠3と、当該支柱枠の上面側又は下面側の少なくとも一方に設ける脱着可能な補強枠5と展示対象物を囲うように当該支柱枠の側面及び上下面に設けられる展示カバー4とを備え、前記支柱枠が組み立て式であることを特徴とする展示ケース。
【選択図】図1
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