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特許7178535細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法
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  • 特許-細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/10 20060101AFI20221118BHJP
   C01G 49/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C02F3/10 A
C01G49/00 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022081922
(22)【出願日】2022-05-18
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202210463433.5
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】花銘
(72)【発明者】
【氏名】李紀彬
(72)【発明者】
【氏名】呉思棋
(72)【発明者】
【氏名】張▲うぇい▼銘
(72)【発明者】
【氏名】潘丙才
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103451437(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109923075(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113072269(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0141604(US,A1)
【文献】特開2014-074171(JP,A)
【文献】特開2016-035435(JP,A)
【文献】特開昭62-022857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00 - 11/20
3/00 - 3/34
1/28
1/58 - 1/64
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
C01G 49/00 - 49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1、細胞外ポリマー抽出
汚泥から細胞外ポリマーを抽出し、用意するステップと、
前記汚泥から細胞外ポリマーを抽出し、用意するステップは、
S101、遠心分離機の回転数6000~7000rpmの条件下で、10分間遠心分離
し、上澄み液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回転
数2800~3200rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去することと、
S102、0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し
、冷却した後、7500~8500rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μm
のガラスファイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得ることを含
み、
S2、バイオ炭調製
S201、混合物と炭化ケイ素中空球を2:0.5~1の質量比をで混合して処理し、
泥と細胞外ポリマーを1:5~50の重量比で混合して混合物を得て、
S202、混合処理が終了した後、炭化ケイ素中空球を濾過回収し、得られた混合物を乾
燥し、粒子径100~250μmに粉砕した後、200~900℃の条件下で2時間熱分
解し、次に純水で洗浄・乾燥して、細胞外ポリマーで調整された汚泥バイオ炭を得るステ
ップと、
S3、担持ナノ鉄材料の調製
S301、硫酸第一鉄七水和物とS202で得られた細胞外ポリマーで調整された汚泥バ
イオ炭を重量比20:1~3で蒸留水に溶解し、溶液pHを4.0に調整し、硫酸第一鉄
七水和物の重量で、前記蒸留水の添加量が50mL/gであり、
S302、120~180rpm、25℃でシェーカー上で24時間攪拌した後、硫酸第
一鉄七水和物の重量で、50mL/gのエタノールを加え、次に900~1100rpm
で1時間攪拌しながらNを溶液に吹き込み、
S303、次に、900~1100rpmで攪拌しながら0.5mol/LのKBH
液を溶液に滴下し、0.5時間反応した後、固形残留物を濾過により分離し、硫酸第一鉄
七水和物の重量で、前記KBH溶液の添加量が100mL/gであり、
S304、超純水を用いて固形残留物を複数回濾過および洗浄した後、固形残留物を凍結
乾燥処理して汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得るステップと、を含み、
前記汚泥から細胞外ポリマーを抽出し、用意するステップについて、S101、S102
のステップ(遠心分離機の回転数6000~7000rpmの条件下で、10分間遠心分
離し、上澄み液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回
転数2800~3200rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去することと、
0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し、冷却した
後、7500~8500rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μmのガラスフ
ァイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得ること)であり、
混合物と炭化ケイ素中空球の質量比が2:0.5~1であり、
炭化ケイ素中空球が、内殻および内殻表面に付着した炭化ケイ素球殻を含み、内殻の内部
に磁性コアが設けられ、磁性コアと内殻内壁間に隙間を有し、磁性コアがルチル鉄ボロン
磁石からなる楕円球であり、内殻の材質は銅であり、炭化ケイ素球殻の厚さが0.5~2
mmであり、炭化ケイ素中空球の粒子径が7~15mmである、
ことを特徴とする細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製
方法。
【請求項2】
前記ステップS201では、混合処理は、混合物と炭化ケイ素中空球を一定の質量比で混
合した後、160~300秒のマイクロ波弱放射処理を行い、前記マイクロ波弱放射の電
力は420~600Wであり、前記混合物と炭化ケイ素中空球の添加質量比が2:0.5
~1である、ことを特徴とする請求項1に記載の細胞外ポリマーに基づいて調整された汚
泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法。
【請求項3】
前記ステップS202では、乾燥温度が60~80℃であり、熱分解ではアルゴンを内部
キャリアガスとするアルゴンの管状炉が使用され、昇温速度が5~15℃/分である、こ
とを特徴とする請求項1に記載の細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担
持ナノ鉄の調製方法。
【請求項4】
前記ステップS202では、純水洗浄の方法としては、純水を加えた後、磁気スターラー
で2時間以上攪拌および洗浄し、0.45μmフィルタフィルムで濾過し、このステップ
を3~5回繰り返す、ことを特徴とする請求項1に記載の細胞外ポリマーに基づいて調整
された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水処理の技術分野に関し、具体的には、細胞外ポリマーに基づいて調整され
た汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥は汚水処理後の生成物であり、有機物の破片、細菌体、無機物粒子、コロイドなどか
らなる極めて複雑な非均質体であり、汚泥は、水分量が多く、有機物含有量が多く、腐敗
しやすく臭気があり、粒子が細かく比重が小さいという特徴を有し、コロイド液体状態、
つまり液体と固体の間にある厚い物質であり、ポンプで輸送できるが沈降による固体・液
体の分離は困難であるため、汚泥の処理は生態環境を改善するための既存の課題となって
いる。
【0003】
細胞外ポリマー(EPS)微生物が一定の環境下で細胞外に分泌する複雑な非均質ポリマ
ーで、活性汚泥フロックの内部や表面によく見られ、環境中の栄養分を細胞外酵素で低分
子に分解して細胞内に吸収したり、殺菌剤や有害物質が細胞に与える害に抵抗したりする
重要な生理機能を有している。
【0004】
ナノ鉄は還元剤として重金属汚染廃水を効果的に修復することができ、ナノ鉄は、粒子径
が小さく、比表面積が大きく、表面活性が高く、還元能力が高いなどの利点を有するが、
ナノ鉄は比較的高い活性および非常に大きい比表面積を有するため、空気中の酸素と反応
して不活性化したり、廃水中で凝集して不活性化しやすくなる。
【0005】
研究によると、鉄ナノ粒子を担持した汚泥系バイオ炭の調製に、細胞外ポリマー(EPS
)調整バイオ炭を担体として用いることで、汚泥処理の問題を効果的に解決するだけでな
く、鉄ナノ粒子担持バイオ炭の廃水処理効果を向上させることができることが判明したた
め、汚泥処理問題を解決するために、細胞外高分子調整法で調製したバイオ炭から新しい
材料を作ることが求められている。
【発明の概要】
【0006】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥
系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法を提供する。
本発明の技術的解決策として、細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持
ナノ鉄の調製方法は、
S1、細胞外ポリマー抽出
汚泥から細胞外ポリマーを抽出し、用意するステップ、
S2、バイオ炭調製
S201、汚泥と細胞外ポリマーを1:5~50の重量比で混合して混合物を得、次に混
合物と炭化ケイ素中空球を一定の質量比で混合して処理し、
S202、混合処理が終了した後、炭化ケイ素中空球を濾過回収し、得られた混合物を乾
燥し、粒子径100~250μmに粉砕した後、200~900℃の条件下で2時間熱分
解し、次に純水で洗浄・乾燥して、細胞外ポリマーで調整された汚泥バイオ炭を得るステ
ップ、
S3、担持ナノ鉄材料の調製
S301、硫酸第一鉄七水和物とS202で得られた細胞外ポリマーで調整された汚泥バ
イオ炭を重量比20:1~3で蒸留水に溶解し、溶液pHを4.0に調整し、硫酸第一鉄
七水和物の重量で、前記蒸留水の添加量が50mL/gであり、
S302、120~180rpm、25℃でシェーカー上で24時間攪拌した後、硫酸第
一鉄七水和物の重量で、50mL/gのエタノールを加え、次に900~1100rpm
で1時間攪拌しながらNを溶液に吹き込み、
S303、次に、900~1100rpmで攪拌しながら0.5mol/LのKBH
液を溶液に滴下し、0.5時間反応した後、固形残留物を濾過により分離し、硫酸第一鉄
七水和物の重量で、前記KBH溶液の添加量が100mL/gであり、
S304、超純水を用いて固形残留物を複数回濾過および洗浄した後、固形残留物を凍結
乾燥処理して汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得るステップ、を含む。
さらに、前記ステップS1で採用された遠心分離処理方法により汚泥から細胞外ポリマー
を抽出するステップは、
S101、遠心分離機の回転数6000~7000rpmの条件下で、10分間遠心分離
し、上澄み液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回転
数2800~3200rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去すること、
S102、0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し
、冷却した後、7500~8500rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μm
のガラスファイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得ること、を
含み、
上記の遠心分離法を用いた汚泥からの細胞外ポリマーの抽出は、操作の難易度が低く、抽
出が容易で、例えば、大量の細胞溶解が生じることもない。
さらに、前記ステップS201では、混合処理は具体的には、混合物と炭化ケイ素中空球
を一定の質量比で混合した後、160~300秒のマイクロ波弱放射処理を行い、前記マ
イクロ波弱放射の電力は420~600Wであり、前記混合物と炭化ケイ素中空球の添加
質量比が2:0.5~1であり、実験によると、マイクロ波弱放射線処理を適切に行うこ
とで、汚泥系バイオ炭の調整における細胞外ポリマーの効果を効果的に高め、より優れた
性能を持つ鉄ナノ粒子担持汚泥系バイオ炭を得ることができることがわかった。
さらに、前記ステップS202では、乾燥温度が60~80℃であり、熱分解ではアルゴ
ンを内部キャリアガスとするアルゴンの管状炉が使用され、昇温速度が5~15℃/分で
あり、上記の乾燥温度および熱分解処理とすることで、細胞外ポリマーで調整された汚泥
のバイオ炭の調製における安定性を高める。
さらに、前記ステップS202では、純水洗浄の方法としては、純水を加えた後、磁気ス
ターラーで2時間以上攪拌および洗浄し、0.45μmフィルタフィルムで濾過し、この
ステップを3~5回繰り返す。
さらに、前記炭化ケイ素中空球は、内殻および前記内殻表面に付着した炭化ケイ素球殻を
含み、前記内殻の内部に磁性コアが設けられ、前記磁性コアと内殻内壁間に隙間を有し、
磁性コアはルチル鉄ボロン磁石からなる楕円球であり、前記内殻の材質は銅であり、前記
炭化ケイ素球殻の厚さが0.5~2mmであり、前記炭化ケイ素中空球の粒子径が7~1
5mmであり、
実験によると、適切なマイクロ波弱照射処理を行うことで、細胞外ポリマーの汚泥を調整
することを効果的に補助し、汚泥由来のバイオ炭担持ナノ鉄のより優れた性能を得ること
ができるが、過度のマイクロ波弱照射処理は、微生物の細胞壁構造に過度の損傷を与えや
すく、マイクロ波照射処理の過程で、混合物の厚さなどの要因により、マイクロ波照射処
理工程中混合物へのマイクロ波の照射量を効果的かつ正確に制御することは困難であるこ
とが判明したため、適量の炭化ケイ素を導入することによりマイクロ波を吸収させる。
しかし、炭化ケイ素の添加により混合物が急激に温まる傾向があるため、炭化ケイ素中空
球を導入することでこの問題を改善し、また、混合物の流動性などにより、添加した炭化
ケイ素中空球が混合物中で常に均一な分布を保つことが難しいため、磁性コアを楕円状に
設定し、内殻内壁との間に隙間を設けることでこの問題を解決している。 コアとインナ
ーシェルの内壁の間に隙間があることで、炭化ケイ素中空球の動きが良くなり、混合物中
の炭化ケイ素中空球の攪拌効果が促進される。
またさらに、前記内殻内壁にスポンジ状の液吸着コアが設けられ、内殻に高純度水が封入
され、内殻内壁に磁性コアと液吸着コアの衝撃を防止するためのメッシュシェルホルダー
が設けられ、液吸着コアなどの構造を設けることにより、内殻から磁性コアへの熱伝達効
果をより高めることができ、磁性材質の特性により高温で磁性が低下、あるいは失活して
しまうため、炭化ケイ素中空球を配置することにより、異なる温度領域を精度よく制御で
き、異なる温度領域の炭化ケイ素中空球の磁性コアの磁性が一定の違いがあるため、同じ
磁場の強さの作用下で、異なる温度領域の炭化ケイ素中空球が異なる運動姿勢を形成し、
高温領域の炭化ケイ素中空球の相対運動速度が遅くなるため、より良い放熱を行うことが
できる。
【0007】
本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明の調製方法により調製した鉄ナノ粒子担持汚泥系バイオ炭は、廃水中の処理
効果を大幅に向上させることができ、汚泥の資源利用を実現するために有効に活用するこ
とが可能である。
(2)本発明の汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子の調製方法は、バイオ炭の調製に細胞外ポ
リマーのコンディショニングを用いることにより、バイオ炭の調製効果を効果的に向上さ
せ、より使用性能の高い汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子を得ることが可能である。
(3)本発明の鉄ナノ粒子担持汚泥系バイオマスの調製方法は、マイクロ波弱放射処理を
適切に行うことにより、細胞外ポリマーと協働して汚泥を調整する効果を有効に発揮する
ことができ、さらに炭化ケイ素中空球の適量の導入とマイクロ波弱放射処理により、マイ
クロ波弱放射による細胞外ポリマーとの協働による汚泥調整効果をより強化・制御するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の利点をより良く反映するために、具体的な実施形態と併せて本発明をより
詳細に説明する。
実施例1
図1に示すように、細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調
製方法は、
S1、細胞外ポリマー抽出
S101、遠心分離機の回転数6500rpmの条件下で、10分間遠心分離し、上澄み
液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回転数3000
rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去すること、
S102、0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し
、冷却した後、8000rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μmのガラスフ
ァイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得ること、を含み、
S2、バイオ炭調製
S201、汚泥と細胞外ポリマーを1:40の重量比で混合して混合物を得、次に混合物
と炭化ケイ素中空球を質量比5:2で混合処理し、
S3、担持ナノ鉄材料の調製
S301、1gの硫酸第一鉄七水和物とS202で得られた0.05gの細胞外ポリマー
で調整された汚泥バイオ炭を50mLの蒸留水に溶解し、溶液のpHを4.0に調整し、
S302、150rpm、25℃でシェーカー上で24時間攪拌した後、50mLのエタ
ノールを加え、次に1000rpmで1時間攪拌しながらNを溶液に吹き込み、
S303、次に1000rpmで攪拌しながら100mLの0.5mol/LのKBH
溶液を溶液に滴下し、0.5時間反応した後、濾過により固形残留物を分離し、
S304、超純水を用いて固形残留物を3回濾過および洗浄した後、固形残留物を凍結乾
燥処理して汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得るステップを含む。
【0010】
実施例2
図1に示すように、細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調
製方法は、
S1、細胞外ポリマー抽出
S101、遠心分離機の回転数6500rpmの条件下で、10分間遠心分離し、上澄み
液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回転数3000
rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去すること、
S102、0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し
、冷却した後、8000rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μmのガラスフ
ァイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得ること、
S2、バイオ炭調製
S201、汚泥と細胞外ポリマーを1:40の重量比で混合して混合物を得、次いで、混
合物と炭化ケイ素中空球を5:2の質量比で混合し、マイクロ波弱照射を260秒間補足
し、前記マイクロ波弱照射の電力は520Wであり、混合期間中、混合物と炭化ケイ素中
空球の混合物に異なる方向の磁場を間欠的に交互に適用し、例えば、混合物と炭化ケイ素
中空球の混合物の前後左右に同じ磁場を3秒/回印加し、時計回りに順番に切り替え、毎
回片側の磁場のみを作動させ、切り替え間隔を2秒とし、
図2に示すように、前記炭化ケイ素中空球は、内殻および前記内殻表面に付着した炭化ケ
イ素球殻を含み、前記内殻の内部に磁性コアが設けられ、前記磁性コアと内殻内壁間に隙
間を有し、磁性コアはルチル鉄ボロン磁石からなる楕円球であり、前記内殻の材質は銅で
あり、前記炭化ケイ素球殻の厚さが1.2mmであり、前記炭化ケイ素中空球の粒子径が
12mmであり、前記内殻内壁にスポンジ状の液吸着コアが設けられ、内殻に高純度水が
封入され、内殻内壁に磁性コアと液吸着コアの衝撃を防止するためのメッシュシェルホル
ダーが設けられ、
S202、マイクロ波弱照射処理終了後、炭化珪素中空球を濾過回収し、得られた混合物
を乾燥温度72℃で乾燥し、粒子径110μmに粉砕した後、アルゴンを内部キャリアガ
スとする管状炉下で2時間熱分解し、その間、加熱速度10℃/分で200℃から900
℃に温度を上げてから純水を加え、磁気スターラーで2時間以上撹拌しながら洗浄し、0
.45μmのフィルターフィルムで濾過し、3~5回洗浄を繰り返し、乾燥させて、細胞
外ポリマー調整汚泥系バイオマスチャーを得ることができ、
S3、担持ナノ鉄材料の調製
S301、1gの硫酸第一鉄七水和物とS202で得られた0.05gの細胞外ポリマー
で調整された汚泥バイオ炭を50mLの蒸留水に溶解し、溶液のpHを4.0に調整し、
S302、150rpm、25℃でシェーカー上で24時間攪拌した後、50mLのエタ
ノールを加え、次に1000rpmで1時間攪拌しながらNを溶液に吹き込み、
S303、次に1000rpmで攪拌しながら100mLの0.5mol/LのKBH
溶液を溶液に滴下し、0.5時間反応した後、濾過により固形残留物を分離し、
S304、超純水を用いて固形残留物を3回濾過および洗浄した後、固形残留物を凍結乾
燥処理して汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得るステップを含む。
【0011】
実施例3
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS1で細胞外ポリ
マーの抽出パラメータが異なり、具体的には、
S1、細胞外ポリマー抽出
S101、遠心分離機の回転数6000rpmの条件下で、10分間遠心分離し、上澄み
液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回転数2800
rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去し、
S102、0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し
、冷却した後、7500rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μmのガラスフ
ァイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得、用意する。
【0012】
実施例4
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS1で細胞外ポリ
マー抽出のパラメータが異なり、具体的には、
S1、細胞外ポリマー抽出
S101、遠心分離機の回転数7000rpmの条件下で、10分間遠心分離し、上澄み
液を除去し、残りの汚泥を0.05wt.%のNaCl溶液で遠心分離機回転数3200
rpmの条件下で3回洗浄した後、上澄み液を除去し、
S102、0.05wt.%のNaClで残りの汚泥を再懸濁し、80℃で1時間水浴し
、冷却した後、8500rpmの回転数で15分間遠心分離し、0.45μmのガラスフ
ァイバフィルタフィルムで上澄み液を濾過し、細胞外ポリマーを得、用意する。
【0013】
実施例5
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201で汚泥と
細胞外ポリマーの混合比が異なり、具体的には、
汚泥と細胞外ポリマーを1:5の重量比で混合して混合物を得る。
【0014】
実施例6
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201で汚泥と
細胞外ポリマーの混合比が異なり、具体的には、
汚泥と細胞外ポリマーを1:50の重量比で混合して混合物を得る。
【0015】
実施例7
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201で混合物
と炭化ケイ素中空球の混合比が異なり、具体的には、
混合物と炭化ケイ素中空球を質量比4:1で混合した後、マイクロ波弱放射を補足して処
理する。
【0016】
実施例8
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201で混合物
と炭化ケイ素中空球の混合比が異なり、具体的には、
混合物と炭化ケイ素中空球を質量比2:1混合した後、マイクロ波弱放射を補足して処理
する。
【0017】
実施例9
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201でマイク
ロ波弱放射処理のパラメータが異なり、具体的には、
混合物と炭化ケイ素中空球を混合した後、マイクロ波弱放射を補足して160秒処理し、
前記マイクロ波弱放射の電力は420Wである。
【0018】
実施例10
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201でマイク
ロ波弱放射処理のパラメータが異なり、具体的には、
混合物と炭化ケイ素中空球を混合した後、マイクロ波弱放射を補足して300秒処理し、
前記マイクロ波弱放射の電力は600Wである。
【0019】
実施例11
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201で炭化ケ
イ素中空球の仕様が異なり、具体的には、
前記炭化ケイ素球殻の厚さが0.5mmであり、前記炭化ケイ素中空球の粒子径が7mm
である。
【0020】
実施例12
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS201で炭化ケ
イ素中空球の仕様が異なり、具体的には、
前記炭化ケイ素球殻の厚さが2mmであり、前記炭化ケイ素中空球の粒子径が15mmで
ある。
【0021】
実施例13
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS202で乾燥お
よび粉砕のパラメータが異なり、具体的には、
得られた混合物を乾燥温度60℃下で乾燥し粒子径100μmに粉砕する。
【0022】
実施例14
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS202で乾燥お
よび粉砕のパラメータが異なり、具体的には、
得られた混合物を乾燥温度80℃下で乾燥し粒子径250μmに粉砕する。
【0023】
実施例15
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS202で熱分解
のパラメータが異なり、具体的には、
アルゴンを内部キャリアガスとする管状炉で2時間熱分解し、その間昇温速度5℃/分で
200℃から900℃に昇温させる。
【0024】
実施例16
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、ステップS202で熱分解
のパラメータが異なり、具体的には、
アルゴンを内部キャリアガスとする管状炉で2時間熱分解し、その間昇温速度15℃/分
で200℃から900℃に昇温させる。
【0025】
実施例17
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、担持ナノ鉄材料の調製パラ
メータが異なり、具体的には、
S3、担持ナノ鉄材料の調製
S301、1gの硫酸第一鉄七水和物とS202で得られた0.05gの細胞外ポリマー
で調整された汚泥バイオ炭を50mLの蒸留水に溶解し、溶液のpHを4.0に調整し、
S302、120rpm、25℃でシェーカー上で24時間攪拌した後、50mLのエタ
ノールを加え、次に900rpmで1時間攪拌しながらNを溶液に吹き込み、
S303、次に900rpmで攪拌しながら100mLの0.5mol/LのKBH
液を溶液に滴下し、0.5時間反応した後、濾過により固形残留物を分離し、
S304、超純水を用いて固形残留物を3回濾過および洗浄した後、固形残留物を凍結乾
燥処理して汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得る。
【0026】
実施例18
本実施例は以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、担持ナノ鉄材料の調製のパ
ラメータが異なり、具体的には、
S3、担持ナノ鉄材料の調製
S301、1gの硫酸第一鉄七水和物とS202で得られた0.05gの細胞外ポリマー
で調整された汚泥バイオ炭を50mLの蒸留水に溶解し、溶液のpHを4.0に調整し、
S302、180rpm、25℃でシェーカー上で24時間攪拌した後、50mLのエタ
ノールを加え、次に1100rpmで1時間攪拌しながらNを溶液に吹き込み、
S303、次に1100rpmで攪拌しながら100mLの0.5mol/LのKBH
溶液を溶液に滴下し、0.5時間反応した後、濾過により固形残留物を分離し、
S304、超純水を用いて固形残留物を3回濾過および洗浄した後、固形残留物を凍結乾
燥処理して汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得る。
【0027】
実験例
実施例1~18で調製した汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を用い、市内の工場からのクロム含
有廃水を処理し、クロム含有廃水のカドミウム濃度を測定したところ、濃度が57.8m
g/Lであり、
実施例1及び2を例にとり、実施例1及び2で調製した汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を用い
てクロム含有廃水を処理し、処理終了後にクロム含有廃水のカドミウム濃度を測定し、そ
の結果を以下の表1に示す。
表1 実施例1および2で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度


上記表1から分かるように、実施例2のクロム含有廃水に対する処理効果は、実施例1と
大きく異なり、実施例2の処理効果が優れていることから、細胞外ポリマーの調整と相乗
的に適切なマイクロ波弱放射を用いることにより、バイオ炭の調製が促進される。
実施例2を例にし、同じ汚泥を用いて実施例2と同じ処理パラメータで乾燥、粉砕、熱分
解などの処理を行い、実施例2と同様に担持ナノ鉄材料を調製し、調製された材料を対照
例1とし、それぞれ実施例2、対照例1で調製された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を使用し
てクロム含有廃水を処理し、処理終了後クロム含有廃水のカドミウム濃度を測定し、結果
を以下の表2に示す。
表2 実施例2および対照例1で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度



上記表2から分かるように、クロム含有廃水に対する実施例2の処理効果は、対照例1の
処理効果とは大きく異なり、実施例2の処理効果の方が優れている。
さらに、調製パラメータの違いが、調製した鉄ナノ粒子担持汚泥系バイオマスの利用に及
ぼす影響を調べるために、以下の検討を行った。
検討1
汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子の使用における細胞外ポリマーの抽出の違いの影響を調べ
るために、実施例2~4で調製した汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子をそれぞれクロム含有
廃水の処理に使用し、処理終了後にクロム含有廃水のカドミウム濃度を測定し、結果を下
記表3に示す。
表3 実施例2~4で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度



上記表3から分かるように、鉄ナノ粒子を担持した調製汚泥系バイオ炭の使用にあたって
は、測定誤差などを考慮すると、細胞外ポリマー抽出パラメータの違いは基本的に影響し
ないので、実際の抽出装置パラメータに従って細胞外ポリマーの抽出操作を行い、細胞外
ポリマーの抽出物を得ることができる。
検討2
汚泥と細胞外ポリマーの混合比の違いによる汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子の使用への影
響を調べるため、実施例2、5、6で調製した汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子を用いてク
ロム含有廃水を処理し、対照例2は添加した細胞外ポリマーを等量の汚泥に置き換え、処
理終了後クロム含有廃水のカドミウム濃度を測定し、結果を以下の表4に示す。
表4 実施例2、5、6で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度

上記表4から分かるように、汚泥と細胞外ポリマーの混合比の違いが、汚泥系バイオ炭担
持鉄ナノ粒子の使用効果に何らかの影響を与え、中でも実施例6が最も優れた処理効果を
発揮したが、実施例6と実施例2の差は大きくないが、実施例2で用いた細胞外ポリマー
は比較的少ないので、実施例1で調製した鉄ナノ粒子担持汚泥系バイオ炭は、クロム含有
廃水の処理等の経済性の観点から、実施例6と同様の処理効果があり、かつ安価である。
対照例2と比較すると、細胞外ポリマーで調整して調製されたバイオ炭を使用しなと、ク
ロム含有廃水に対する処理効果が著しく低下することが分かった。
検討3
汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子の使用における細胞外ポリマーの調整の違いによる影響を
調べるため、実施例2、7および8で調製した汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子を用いてク
ロム含有廃水を処理し、処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度を測定し、結果を以下
の表5に示す。
表5 実施例2、7、8で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度


上記表5から分かるように、細胞外ポリマーで調整して調製されたバイオ炭の違いにより
、鉄ナノ粒子担持汚泥系バイオ炭に効果があり、実施例2が最も処理効果が高く、実施例
2と実施例8を比較すると、マイクロ波を吸収する炭化ケイ素中空球が多すぎるため、細
胞外ポリマーで調整して調製されたバイオ炭とともにマイクロ波弱放射の効果が低減した
ためであると考えられる。
検討4
鉄ナノ粒子を担持した汚泥系バイオマルの使用における細胞外ポリマーで調整して調製さ
れた違いを調べるために、実施例2、9、10で調製した鉄ナノ粒子を担持した汚泥系バ
イオマルを用いてクロム含有廃水を処理し、処理終了後にクロム含有廃水のカドミウム濃
度を測定し、結果を以下の表6に示す。
表6 実施例2、9、10で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度


上記表6から分かるように、鉄ナノ粒子を担持した汚泥系バイオ炭の処理効果に対して、
細胞外ポリマーで調整して調製されたバイオ炭の違いが一定の効果を発揮しており、その
中でも実施例2が最も良い処理効果を得、実施例2と比較例9及び10を比較することに
より、炭化ケイ素中空球の現在の仕様パラメータでは実施例2が良いマイクロ波弱放射範
囲であるため、低減したマイクロ波弱放射パラメータのもとで、バイオ炭の調製における
細胞外ポリマー調整と併用したマイクロ波微弱放射の効果は、マイクロ波微弱放射パラメ
ータが低下し、一方、マイクロ波微弱放射パラメータが高いと、比較的高いマイクロ波微
弱放射パラメータによってごく少数の微生物の細胞壁構造が過度に損傷するため、バイオ
炭の調製における細胞外ポリマー調整と併用したマイクロ波微弱放射の効果は低下する。
検討5
炭化ケイ素中空球の仕様の違いが汚泥系バイオ炭化物担持鉄ナノ粒子の使用に及ぼす影響
を調べるため、実施例2、11、12で調製した汚泥系バイオ炭化物担持鉄ナノ粒子を用
いてクロムを含む廃水を処理し、処理終了後にクロムを含む廃水のカドミウム濃度を測定
し、以下の表7に結果を示す。
表7 実施例2、11、12で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度


上記表7から分かるように、異なる炭化ケイ素中空球の仕様が汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄
の使用効果にある程度影響を与え、実施例2の処理効果が最良であり、実施例2と実施例
11および12を比較すると、実施例2の現在炭化ケイ素中空球の仕様パラメータがこの
マイクロ波弱放射範囲により合致してる。
検討6
汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子の使用における乾燥・粉砕パラメータの違いの影響を調べ
るために、実施例2、13、14で調製した汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子を用いてクロ
ムを含む廃水を処理し、処理終了後にクロムを含む廃水のカドミウム濃度を測定し、結果
を以下の表8に示す。
表8 実施例2、13、14で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度


上記表8から分かるように、乾燥と粉砕のパラメータの違いが、鉄ナノ粒子を担持した汚
泥系バイオマスの効果に影響を及ぼし、その中でも、実施例2において最も優れた治療効
果が得られ、実施例2と実施例13、17とを比較すると、粒子径が小さいほどクロム吸
着効果が高いが、110μm付近で最適値が発生する。
検討7
汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子の使用における熱分解パラメータの違いの影響を調べるた
めに、実施例2、15、16で調製した汚泥系バイオ炭担持鉄ナノ粒子を用いてクロム含
有廃水を処理し、処理終了後にクロム含有廃水のカドミウム濃度を測定し、結果を以下の
表9に示す。
表9 実施例2、15、16で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度


上記表9から分かるように、熱分解パラメータの違いは、鉄ナノ粒子を担持した汚泥系バ
イオ炭の使用効果に影響を与え、実施例2が最も良い処理効果が得られる。
検討8
担持ナノ鉄材の調製パラメータの違いが、汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の使用に及ぼす影響
を調べるために、実施例2、17、18で調製した汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を用いてク
ロムを含む廃水を処理し、処理終了後にクロムを含む廃水のカドミウム濃度を測定し、結
果を以下の表10に示す。
表10 実施例2、17、18で処理後のクロム含有廃水のカドミウム濃度

上記表10から分かるように、鉄ナノ材料を担持した汚泥系バイオマスの使用効果には、
担持鉄ナノ材料の調製のためのパラメータの違いが一定の影響を及ぼし、その中でも実施
例2及び18が最も優れた処理効果を示すが、実施例18が処理に高い撹拌力を採用する
ことを考慮すると、経済性等の観点から実施例2が比較的優れている。
【要約】      (修正有)
【課題】細胞外ポリマーに基づいて調整された汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄の調製方法を提供する。
【解決手段】この方法は、S1、細胞外ポリマー抽出:汚泥から細胞外ポリマーを抽出するステップと、S2、バイオ炭調製:細胞外ポリマーを利用して調整してバイオ炭を調製するステップと、S3、担持ナノ鉄材料の調製:バイオ炭にナノ鉄を担持するステップと、を含む。本発明の調製方法は、細胞外ポリマーを利用して調整してバイオ炭を調製することによって、バイオ炭の調製効果を効果的に向上させ、使用性能がより良好な汚泥系バイオ炭担持ナノ鉄を得ることができる。
【選択図】図1
図1