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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/044 20180101AFI20221118BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20221118BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20221118BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221118BHJP
【FI】
G01N23/044
G01N23/046
G01N23/18
G06T7/00 610B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021513687
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2020015889
(87)【国際公開番号】W WO2020209313
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2019074244
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019117735
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000117054
【氏名又は名称】朝日レントゲン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正岡 聖
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329906(JP,A)
【文献】特開2009-080031(JP,A)
【文献】特開2007-218749(JP,A)
【文献】特許第2937324(JP,B2)
【文献】再公表特許第2015/111728(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0067570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G01B 15/00 - G01B 15/08
G06T 7/00 - G06T 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以下になるという第1条件、
(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以下になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最小となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最小となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最小となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最小となる第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以上になるという第1条件、
(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以上になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以下になるという第1条件、
(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以下になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最小となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最小となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最小となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最小となる第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、
(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、
前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、
着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、
前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、
所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、
を備え、
前記所定の条件は、
(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以上になるという第1条件、
(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以上になるという第2条件、
(c)前記第1条件及び前記第2条件、
のうちのいずれか一つであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
被検査物をX線撮影の対象とし、2次元X線撮影画像を前記X線撮影に用いたX線検出部の検出結果に基づき生成する第1画像生成部と、
前記2次元X線撮影画像を前記X線検出部の位置を除く所定の位置に設定される断層に投影した画像を生成し、その後、その生成した画像を2次元画像である投影画像に再構成する再構成部と、
前記投影画像に基づき異物の位置を特定する特定部と、
を備え、
前記特定部は、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像処理装置を備え、
前記分割部は、前記投影画像を所定の領域毎に分割することを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物に含まれ得る異物を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物に含まれ得る異物を検出する検査装置が種々開発されている。例えば、特許文献1で開示されている検査装置は、被検査物のX線透過画像から強調線を検出し、その強調線に基づき異物を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-156647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被検査物と異物とのX線減弱の差が小さい場合、強調線の検出が困難であり、その結果、異物の検出精度が低くなるという問題が発生する。なお、被検査物と異物とのX線減弱の差が小さい場合としては、例えば、被検査物が魚の身であり、異物が小骨である場合等が挙げられる。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、異物の検出精度が高い画像処理装置及び画像処理方法並びに検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の第1局面に係る画像処理装置は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0007】
上記目的を達成するために本発明の第2局面に係る画像処理装置は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第3局面に係る画像処理装置は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以下になるという第1条件、(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以下になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第4局面に係る画像処理装置は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最小となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最小となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最小となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最小となる第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第5局面に係る画像処理装置は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第6局面に係る画像処理装置は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割部と、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出部と、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定部と、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以上になるという第1条件、(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以上になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の第1局面に係る画像処理方法は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の第2局面に係る画像処理方法は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が大きいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以下になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以下になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0014】
上記目的を達成するために本発明の第3局面に係る画像処理方法は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上小さい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以下になるという第1条件、(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以下になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0015】
上記目的を達成するために本発明の第4局面に係る画像処理方法は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最小となる第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最小となる第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最小となる第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最小となる第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の第5局面に係る画像処理方法は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第2輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第3輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で前記着目ピクセルより輝度値が小さいという要件と、前記着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値又は前記着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値であるという要件との双方を満たす第4輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第1閾値以上になるという第1条件、(b)前記第3輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合及び前記第4輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合がそれぞれ第2閾値以上になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0017】
上記目的を達成するために本発明の第6局面に係る画像処理方法は、被検査物のX線撮影に基づく画像を所定の領域毎に分割する分割ステップと、前記所定の領域それぞれにおける平均輝度値を算出する算出ステップと、着目ピクセルの輝度値が、前記着目ピクセルの属する前記所定の領域における前記平均輝度値よりも所定値以上大きい場合に、前記着目ピクセルの第1方向一方側に前記着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第1方向他方側に第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値である第1輝度値を算出し、前記着目ピクセルの第1方向と異なる方向である第2方向一方側に前記着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び前記着目ピクセルの第2方向他方側に前記着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値である第2輝度値を算出し、所定の条件が成立すれば、前記着目ピクセルを異物の位置として特定する特定ステップと、を備え、前記所定の条件は、(a)前記第1輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第1閾値以上になるという第1条件、(b)前記第2輝度値に対する前記着目ピクセルの輝度値の割合が第2閾値以上になるという第2条件、(c)前記第1条件及び前記第2条件、のうちのいずれか一つである構成とする。
【0018】
上記目的を達成するために本発明に係る検査装置は、被検査物をX線撮影の対象とし、2次元X線撮影画像を前記X線撮影に用いたX線検出部の検出結果に基づき生成する第1画像生成部と、前記2次元X線撮影画像を前記X線検出部の位置を除く所定の位置に設定される断層に投影した画像を生成し、その後、その生成した画像を2次元画像である投影画像に再構成する再構成部と、前記投影画像に基づき異物の位置を特定する特定部と、を備え、前記特定部は、上述したいずれかの画像処理装置を備え、前記分割部は、前記投影画像を所定の領域毎に分割する構成とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、異物の検出精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図
図2】本発明の一実施形態に係る検査装置の概略動作を示すフローチャート
図3】投影画像を再構成する処理の一例を示すフローチャート
図4】系の座標変換を示す図
図5A】X線検出部の検出面の一部であるピクセル群と四つのボクセルとの位置関係の一例を示す斜視図
図5B図5Aで示した位置関係を示す上面図
図6A】X線検出部の検出面の一部であるピクセル群と一つのボクセルとの位置関係の一例を示す斜視図
図6B図6Aで示した位置関係を示す上面図
図7】X線入射方向に対するボクセルの厚みを示す図
図8A】ボクセルを近似する斜四角柱の一例を示す図
図8B】ボクセル内に形成される長方形を示す斜視図
図9】ボクセルを近似する斜四角柱の他の例を示す図
図10】ボクセルを近似する斜四角柱の他の例を示す図
図11】ボクセルを近似する斜四角柱の他の例を示す図
図12】ボクセルを近似する斜四角柱の他の例を示す図
図13】ボクセルを透過するX線がX線検出部の検出面に対してZ軸方向に斜めに入射する場合の一例を示す図
図14】各投影画像について異物の位置を特定する処理の一例を示すフローチャート
図15】複数の断層上の高さ方向が所定の位置であるボクセルを便宜上断層毎に真っ直ぐ一列に並べた図
図16】位置補正の一例を示すフローチャート
図17】検査装置の第1変形例を示す図
図18】検査装置の第2変形例を示す図
図19】検査装置の第2変形例を示す図
図20】検査装置の第3変形例を示す図
図21】検査装置の第3変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本明細書においては、言葉の定義として、X線検出部の位置を除く所定の位置に設定される断層で生成される2次元画像において、そのX軸方向、Y軸方向の内少なくともいずれか一方に関して2次元X線撮影画像を平行移動しているだけで長さが変化しない場合においても、便宜上、2次元画像は、2次元X線撮影画像を断層に「投影」した画像を生成し、その後、その生成した画像を再構成する処理によって得られるものとし、その2次元画像を「投影画像」とよぶことにする。
【0022】
<1.検査装置の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。図1に示す検査装置100は、第1X線照射部1Aと、第2X線照射部1Bと、第1X線検出部2Aと、第2X線検出部2Bと、ベルトコンベア3と、CPU4と、ROM5と、RAM6と、VRAM7と、表示部8と、HDD9と、入力部10と、を備える。なお、本実施形態では、画像を処理する画像処理装置がCPU4、ROM5、RAM6、及びHDD9によって構成されている。
【0023】
第1X線照射部1A及び第2X線照射部1Bはそれぞれ、被検査物T1にX線を照射する。第1X線照射部1Aから照射されるX線及び第2X線照射部1Bから照射されるX線はそれぞれ、Y軸に沿って延びるファンビーム形状、より詳細にはナローファンビーム形状である。なお、第1X線照射部1A及び第2X線照射部1Bを共通化して単一のX線照射部にしてもよい。当該単一のX線照射部から照射されるX線は、ワイドファンビーム形状又はコーンビーム形状にすればよい。
【0024】
第1X線照射部1Aから第1X線検出部2Aに照射されるX線の照射方向と、第2X線照射部1Bから第2X線検出部2Bに照射されるX線の照射方向とは互いに異なる。本実施形態では、第1X線照射部1Aから第1X線検出部2Aに照射されるX線の照射方向はX軸とY軸に直交する方向であり、第2X線照射部1Bから第2X線検出部2Bに照射されるX線の照射方向はX軸とY軸に直交する方向から傾いた方向である。
【0025】
第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bはそれぞれ、入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を一定のフレームレートで出力する。第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bはそれぞれ、Y軸に沿って延びるラインセンサである。なお、検査装置100はトモシンセシス法を採用しているため、第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bはそれぞれ、X軸方向にも複数のX線検出素子を有する。第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bはそれぞれ、所定のフレームレートで入射X線を、当該X線の量に応じたデジタル電気量の画像データとして収集することができる。以下、この収集データを「フレームデータ」(2次元X線撮影画像の一例)という。なお、第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bを共通化して単一のX線検出部にしてもよい。ただし、第1X線照射部1A及び第2X線照射部1Bを共通化する場合には、第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bを共通化しない。
【0026】
ベルトコンベア3は、第1X線照射部1Aと第1X線検出部2Aの対及び第2X線照射部1Bと第2X線検出部2Bの対に対して、ベルト上に載置された被検査物T1をX軸の負側に向かって移動させる。つまり、ベルトコンベア3の構成部品であるベルトの長手方向はX軸に沿っており、ベルトコンベア3の構成部品であるベルトの幅方向はY軸に沿っている。なお、本実施形態では、第1X線照射部1Aと第1X線検出部2Aの対及び第2X線照射部1Bと第2X線検出部2Bの対に対して、被検査物T1をX軸の負側に向かって移動させる第1移動機構(ベルトコンベア3)を用いたが、第1移動機構の代わりに第1X線照射部1Aと第1X線検出部2Aの対及び第2X線照射部1Bと第2X線検出部2Bの対を、被検査物T1に対してX軸の正側に向かって移動させる第2移動機構を用いてもよい。
【0027】
CPU4は、ROM5やHDD9に格納されているプログラム及びデータに従って検査装置100全体を制御する。ROM5は固定的なプログラムやデータを記録する。RAM6は作業メモリを提供する。CPUは、HDD9に格納されたプログラムに従って画像を生成する機能を果たすように動作する。つまり、CPU41は画像を生成する画像生成部を兼ねる。
【0028】
VRAM7は画像データを一時的に記憶する。表示部8はVRAM7に記憶された画像データに基づいて画像を表示する。
【0029】
HDD9は、X線撮影動作を制御するための撮影制御プログラム、再構成画像を生成するための画像再構成処理プログラム、異物の位置を特定するための異物位置特定処理プログラム、位置補正プログラム等の各種プログラム、各種プログラムを実行する際に用いられる各種パラメータの設定値や画像データ等の各種データを記憶する。
【0030】
入力部10は、例えばキーボード、ポインティングデバイス等であって、ユーザ操作の内容を入力する。
【0031】
<2.検査装置の概略動作>
検査装置100の概略動作を図2のフローチャートに従い説明する。まず始めに検査装置100はX線撮影を行う(ステップS1)。具体的には、ベルトコンベア3が被検査物T1を移動させている間に、第1X線照射部1A及び第2X線照射部1BからX線が曝射される。第1X線照射部1Aから照射されたX線は被検査物T1の撮影領域を透過して第1X線検出部2Aに入射し、第2X線照射部1Bから照射されたX線は被検査物T1の撮影領域を透過して第2X線検出部2Bに入射する。第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bは、前述したように、所定のフレームレートで入射X線を検出し、対応するデジタル電気量の2次元のデジタルデータをフレーム単位で順次出力する。このフレームデータは、HDD9に保管される。
【0032】
次に、検査装置100はX線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置に設定される断層に投影して得られる投影画像を生成する(ステップS2)。具体的には、検査装置100は、フレームデータをX線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置に設定される60層の各断層に投影した画像を生成し、その後、その生成した画像を2次元画像(投影画像)に再構成する。フレームデータを或る1つの断層に投影して1つの投影画像を得る方法としては、例えば、上記フレームデータを上記或る1つの断層の深さ方向中心面(1つの断層面)に投影して上記1つの投影画像を得る方法、上記フレームデータを上記或る1つの断層の深さ方向最上面(1つの断層面)に投影して上記1つの投影画像を得る方法、上記フレームデータを上記或る1つの断層の深さ方向最下面(1つの断層面)に投影して上記1つの投影画像を得る方法、上記フレームデータを上記或る1つの断層に含まれる複数の断層面それぞれに投影して得られる複数の投影画像を合成処理(例えば単純平均処理、加重平均処理等)して上記1つの投影画像を得る方法等を挙げることができる。本実施形態では、X線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置に設定される各断層に投影して得られる投影画像は、トモシンセシスの原理に基づいて得られる各断層における投影画像である。本実施形態では、X軸及びY軸に垂直な方向を断層の深さ方向とし、第1X線照射部1A及び第2X線照射部1B側から第1X線検出部2A及び第2X線検出部2B側に0.5mmピッチでX線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置に60層の断層を設定している。なお、本実施形態では、X線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置は被検査物T1の位置を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0033】
第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する60層の投影画像は、HDD9に保管される。同様に、第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する60層の投影画像も、HDD9に保管される。
【0034】
次に、検査装置100は各投影画像について異物の位置を特定する(ステップS3)。異物の位置を特定する手法の詳細については後述する。各投影画像について異物の位置を特定することによって、単純なX線透過画像等のX線画像について異物の位置を特定する場合と比較して、異物の検出精度を高くすることができる。異物位置の特定結果は、例えば、異物の位置と異物でない位置とを異なる輝度値で示す二値化画像とすることができる。
【0035】
次に、検査装置100は異物の位置特定の誤検出部分を除去する(ステップS4)。具体的には、検査装置100は、同じ深さの第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する投影画像と第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する投影画像について、第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する投影画像に基づき特定した異物の位置と第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する投影画像に基づき特定した異物の位置とを比較し、比較結果に基づいて異物の位置特定の誤検出部分を除去する。より具体的には、検査装置100は、上記の比較により、両方の投影画像において異物の位置であると特定されたピクセルのみを異物の位置として採用し、片方の投影画像のみにおいて異物の位置であると特定されたピクセルを異物の位置として採用しない。ステップS4の処理は、処理対象である断層に存在する異物はX線の照射角度が異なっていても両方の投影画像の同じ座標位置で検出されるのに対して、処理対象である断層に存在しない異物等がX線の照射方向に投影された場合には両方の投影画像の互いに異なる座標位置で検出されることを利用した誤検出部分除去処理である。検査装置100は、この誤検出部分除去処理を全ての断層において実行する。
【0036】
次に、検査装置100は位置補正を行う(ステップS5)。位置補正の詳細については後述する。
【0037】
最後に、検査装置100は、出力画像を生成し、その出力画像を表示部8に表示する(ステップS6)。出力画像としては、例えば、誤検出部分除去処理及び位置補正が反映された異物の位置を示す各投影画像を全て足し合わせて得られる画像、つまり異物の位置を2次元表示する画像を挙げることができる。出力画像の他の例としては、誤検出部分除去処理及び位置補正が反映された異物の位置を示す各投影画像を積層して得られる画像、つまり異物の位置を3次元表示する画像を挙げることができる。
【0038】
<3.投影画像>
前述したステップS2の処理、すなわちフレームデータを断層に投影した画像を生成し、その後、その生成した画像を投影画像に再構成する処理の一例を図3のフローチャートに従い説明する。
【0039】
CPU4は、まず、ディフェクト登録データを読み込み、ディフェクトテーブルを作成する(ステップS11)。
【0040】
次に、CPU4は、濃度補正用画像を読み込み、濃度補正データを作成する(ステップS12)。なお、ステップS11及びS12は本実施形態と異なり、ステップS1より先に実行されてもよい。
【0041】
CPU4は、投影データ(フレームデータ)を読み込み(ステップS13)、投影データに対して、ディフェクト補正及び濃度補正を行う(ステップS14)。
【0042】
ステップS13で読み込んだ各投影データにおいては、第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する投影データに関しては第1X線照射部1Aから曝射されたX線が透過するボクセルについてのみ計算をすればよく、第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する投影データに関しては第2X線照射部1Bから曝射されたX線が透過するボクセルについてのみ計算をすればよい。各投影データにおいては、X線が透過するボクセルの範囲が狭いので、X線が透過するボクセルについてのみ計算を行うようにすることで、計算時聞を短縮することができる。したがって、CPU4は、フレームデータごとに、各断層において計算するボクセルの範囲を被検査物T1のサイズに応じてあらかじめ設定しておけばよい。
【0043】
次に、CPU4は、再構成領域を占める各ボクセル頂点の実際の位置座標を算出する(ステップS15)。
【0044】
続いて、CPU4は、ステップS13のデータ収集処理で得られた投影データをフレーム毎に順次読み込む(ステップS16)。1回のステップS16の処理では、1フレームの投影データが読み込まれる。
【0045】
次に、CPU4は、投影データとフィルタ関数を畳み込み積分する(ステップS17)。
【0046】
その後、CPU4は、計算を簡単化するため、畳み込み積分の算出結果毎に、図4に示す座標系になるように系の座標変換を行う(ステップS18)。具体的には、第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する畳み込み積分の算出結果に関して、第2X線照射部1Bが原点、第2X線検出部2Bの中心位置がZ軸上の正方向になるように、第2X線照射部1B、再構成領域R1、及び第2X線検出部2Bからなる系の回転移動と並行移動を行う。ここで、Z軸はX軸とY軸とに直交する軸であり、第1X線照射部1Aから第1X線検出部2Aに向かう方向がZ軸の正方向である。なお、第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する畳み込み積分の算出結果に関しては、元から図4に示す座標系であるため、系の座標変換を行わない。
【0047】
次に、ステップS19においてCPU4が実行するFBP(Filtered Back Projection)法を用いた再構成計算について図5A図13を参照して説明する。以下の説明において、第1X線照射部1A及び第2X線照射部1Bを区別する必要がない場合にはそれらをX線照射部1と称し、第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bを区別する必要がない場合にはそれらをX線検出部2と称する。
【0048】
まず、X線検出部2の検出面の或るピクセルに着目し、X線照射部1からのX線がその着目ピクセルに入射する場合を考える。
【0049】
着目ピクセルに入射するX線は被写体を透過する際に減弱し、X線検出部2に取り込まれるX線が減少する。つまり、複数のボクセルによって構成される図4に示す再構成領域R1を設定すると、着目ピクセルには、ボクセルを透過したX線が入射し、そのX線が透過したボクセルの分だけX線が減弱して着目ピクセルの輝度値に反映されることになる。
【0050】
着目ピクセルに入射するX線が断層内の複数のボクセルの一部分を透過する場合は、各ボクセルのX線が透過した部分の体積比に応じてX線が減弱し、その減弱度合いが着目ピクセルの輝度値に反映される。
【0051】
つまり、着目ピクセルに入射するX線が透過した各ボクセルは、各ボクセルのX線が透過した部分の体積比の割合で着目ピクセルの輝度値に寄与している。逆に考えれば、着目ピクセルの輝度値を、着目ピクセルに入射するX線が透過した各ボクセルのX線が透過した部分の体積比で分割すると、各分割値は、各ボクセルのX線が透過した部分のX線減弱に対応する。
【0052】
図5Aは、X線検出部2の検出面の一部であるピクセル群PXGとボクセルVX1~VX4との位置関係の一例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aで示した位置関係を示す上面図である。ピクセル群PXGはピクセルPX1~PX16によって構成されている。図5A及び図5Bに示す位置関係において、着目ピクセルをピクセルPX11とすると、ボクセルVX1~VX4が着目ピクセルに入射するX線が透過したボクセルとなる。
【0053】
一方、着目ピクセルに反映されるX線減弱すなわち着目ピクセルの輝度値は、着目ピクセルの輝度値と、着目ピクセルに入射するX線が透過した全ボクセルのX線が透過した部分の総体積に対する当該全ボクセル中の或る一つボクセルのX線が透過した部分の体積の割合との乗算値を、当該全ボクセル中の個々のボクセルに関して和をとったものになっている。したがって、或るボクセルに着目した場合、その着目ボクセルを透過するX線は複数のピクセルに入射するため、着目ボクセルにおけるX線減弱の影響が、各ピクセルに対応する体積比に応じて各ピクセルに与えられることになる。つまり、各ピクセルに対して、影響を受けたX線減弱の内、着目ボクセルがそのピクセルに与える影響の比(体積比)と、輝度値との乗算値をとり、その乗算値をピクセルについて積分することで、着目ボクセル全体のX線減弱を求めることができる。すなわち、着目ボクセルへの逆投影が得られることになる。
【0054】
図6Aは、X線検出部2の検出面の一部であるピクセル群PXGとボクセルVX1との位置関係の一例を示す斜視図である。図6Bは、図6Aで示した位置関係を示す上面図である。図6A及び図6Bに示す位置関係において、着目ボクセルをボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、着目ボクセルVX1の体積に対する着目ボクセルVX1のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の体積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、着目ボクセルVX1の体積に対する着目ボクセルVX1のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の体積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、着目ボクセルVX1の体積に対する着目ボクセルVX1のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の体積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、着目ボクセルVX1の体積に対する着目ボクセルVX1のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の体積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、着目ボクセルVX1の体積に対する着目ボクセルVX1のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の体積の割合との乗算値、及び(6)ピクセルPX11の輝度値と、着目ボクセルVX1の体積に対する着目ボクセルVX1のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の体積の割合との乗算値、の和となる。
【0055】
具体的には、ボクセルを透過するX線は直進するので、各ボクセルについて、X線検出部2の検出面をX線入射方向でボクセル位置まで投影させる。逆に、各ボクセルについて、ボクセルをX線入射方向でX線検出部2の検出面の位置まで投影させてもよい。
【0056】
直方体であるボクセルのいずれの構成面もX線入射方向に対して垂直でない場合、例えば図7に示すようにX線入射方向に対するボクセルの厚みがボクセルVX1内で一様ではないので、ピクセルによってはボクセルの薄い部分を透過したX線が入射される場合もあり、これを厳密に計算すると、逆投影の計算時間が膨大になる。
【0057】
そこで、本実施形態では、直方体のボクセルを、直方体のボクセルと同一の体積であってX線入射方向に対する厚みが一様な斜四角柱に近似して、逆投影を行う。当該斜四角柱は、X線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面を、両方又は片方のみ各対向構成面を含む平面上で平行移動させることによって、2つの底面とし、直方体のボクセルと同一の体積であってX線入射方向に対する厚みを一様とした形状である。このような近似を行っても投影画像の画質には殆ど影響しない。
【0058】
図8Aは、ボクセルVX1を近似する斜四角柱の一例を示す図である。図8Aに示す斜四角柱OP1は、長方形RT2及びRT3を底面とし、X線入射方向に対する厚みを一様とした形状である。長方形RT1は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうち、X線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面に含まれる辺以外の着目ボクセルVX1の各辺の中点を頂点とする長方形である。着目ボクセルVX1内に形成される長方形RT1を斜視図で示すと、図8Bのようになる。長方形RT2は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面のX線検出部2に近い方をそのX線検出部2に近い方の対向構成面を含む平面上で平行移動させたものである。長方形RT3は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面のX線検出部2に遠い方をそのX線検出部2に遠い方の対向構成面を含む平面上で平行移動させたものである。そして、長方形RT1~RT3の各外周はX線入射方向から見て一致している。
【0059】
着目ボクセルを図6A及び図6Bに示すボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(6)ピクセルPX11の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、の和となる。長方形RT1の各頂点の座標は、着目ボクセルVX1の各頂点の座標から算出することができる。また、上記の各面積は、長方形RT1のX座標およびZ座標と、X線検出部2の検出面に形成されているピクセルの各格子点のX座標およびY座標とから算出することができる。
【0060】
長方形RT1は、上述した通り、着目ボクセルVX1の構成面のうち、X線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面に含まれる辺以外の着目ボクセルVX1の各辺の中点を頂点とする長方形である。これにより、X線検出部2の検出面に平行な方向に関して、斜四角柱OP1が、着目ボクセルVX1に対して偏ることを防止することができ、近似による投影画像の画質への影響を最小化することができる。ただし、着目ボクセルVX1を近似する斜四角柱の位置設定は、本実施形態の設定に限定されるものではない。例えば、X線検出部2の検出面に平行な方向に関して、斜四角柱OP1が、着目ボクセルVX1に対して偏ることがあまり問題にならない場合には、着目ボクセルVX1を近似する斜四角柱を、図9に示す斜四角柱OP2、図10に示す斜四角柱OP3、図11に示す斜四角柱OP4、図12に示す斜四角柱OP5などにしてもよい。
【0061】
図9に示す近似を行う場合、着目ボクセルを図6A及び図6Bに示すボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、長方形RT4の面積に対する長方形RT4のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、長方形RT4の面積に対する長方形RT4のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、長方形RT4の面積に対する長方形RT4のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、長方形RT4の面積に対する長方形RT4のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、長方形RT4の面積に対する長方形RT4のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(6)ピクセルPX11の輝度値と、長方形RT4の面積に対する長方形RT4のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、の和となる。なお、長方形RT4は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面のX線検出部2に遠い方である。
【0062】
図10に示す近似を行う場合、着目ボクセルを図6A及び図6Bに示すボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、長方形RT5の面積に対する長方形RT5のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、長方形RT5の面積に対する長方形RT5のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、長方形RT5の面積に対する長方形RT5のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、長方形RT5の面積に対する長方形RT5のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、長方形RT5の面積に対する長方形RT5のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(6)ピクセルPX11の輝度値と、長方形RT5の面積に対する長方形RT5のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、の和となる。なお、長方形RT5は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面のX線検出部2に近い方である。
【0063】
図11に示す近似を行う場合、着目ボクセルを図6A及び図6Bに示すボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、長方形RT6の面積に対する長方形RT6のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、長方形RT6の面積に対する長方形RT6のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、長方形RT6の面積に対する長方形RT6のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、長方形RT6の面積に対する長方形RT6のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、長方形RT6の面積に対する長方形RT6のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(6)ピクセルPX11の輝度値と、長方形RT6の面積に対する長方形RT6のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、の和となる。なお、長方形RT6は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面に含まれる辺以外の着目ボクセルVX1の各辺をX線検出部2に遠い方から1:2で分割する分割点を頂点とする長方形である。
【0064】
図12に示す近似を行う場合、着目ボクセルを図6A及び図6Bに示すボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、長方形RT7の面積に対する長方形RT7のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、長方形RT7の面積に対する長方形RT7のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、長方形RT7の面積に対する長方形RT7のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、長方形RT7の面積に対する長方形RT7のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、長方形RT7の面積に対する長方形RT7のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(6)ピクセルPX11の輝度値と、長方形RT7の面積に対する長方形RT7のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、の和となる。なお、長方形RT7は、図6A及び図6Bに示すボクセルVX1の構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面に含まれる辺以外の着目ボクセルVX1の各辺をX線検出部2に遠い方から2:1で分割する分割点を頂点とする長方形である。
【0065】
ステップS1において縦長のX線細隙ビームがX線照射部1から照射されるため、X線照射部1から照射されるX線のX軸方向(=X線検出部2の横方向)の広がりは小さく、X線照射部1から照射されるX線のY軸方向(=X線検出部の縦方向)の広がりは大きい。したがって、X軸方向(=X線検出部2の横方向)に関しては、着目ボクセルの位置に係わらず、上記において説明した図7図12のように、X線入射方向をX線検出部2の検出面に対して垂直として扱うことができるが、Y軸方向(=X線検出部2の縦方向)に関しては、X線入射方向を一律にX線検出部2の検出面に対して垂直として扱うことができず、着目ボクセルの位置がY軸方向に関して原点から離れているほど着目ボクセルを透過するX線はX線検出部2の検出面に対してY軸方向に斜めに入射する。ここで、着目ボクセルを透過するX線がX線検出部2の検出面に対してY軸方向に斜めに入射する場合の逆投影について図13を参照して説明する。図13は、着目ボクセルVX1を透過するX線がX線検出部2の検出面に対してY軸方向に斜めに入射する場合の一例を示す図である。図13においても、図7図12と同様に、直方体のボクセル(例えば図13における着目ボクセルVX1)を、直方体のボクセルと同一の体積であってX線入射方向に対する厚みが一様な斜四角柱(例えば図13における斜四角柱OP6)に近似して、逆投影を行う。当該斜四角柱は、X線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面を、両方又は片方のみ各対向構成面を含む平面上で平行移動させることによって、2つの底面とし、直方体のボクセルと同一の体積であってX線入射方向に対する厚みを一様とした形状である。
【0066】
図13に示す近似を行う場合、着目ボクセルを図6A及び図6Bに示すボクセルVX1とすると、着目ボクセルVX1全体のX線減弱は、(1)ピクセルPX5の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX5に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(2)ピクセルPX6の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX6に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(3)ピクセルPX7の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX7に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(4)ピクセルPX9の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX9に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(5)ピクセルPX10の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX10に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、(6)ピクセルPX11の輝度値と、長方形RT1の面積に対する長方形RT1のピクセルPX11に入射するX線が透過した部分の面積の割合との乗算値、の和となる。なお、長方形RT1は、上述した通り、着目ボクセルVX1の構成面のうち、X線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面に含まれる辺以外の着目ボクセルVX1の各辺の中点を頂点とする長方形である。
【0067】
上記の説明では、着目ボクセルのいずれの構成面もX線検出部2の検出面と平行でない場合と、着目ボクセルを透過するX線の入射方向がX線検出部2の検出面に対して垂直でない場合とを分け、両者とも同様の近似を行うことができることを示したが、着目ボクセルのいずれの構成面もX線検出部2の検出面と平行でなく且つ着目ボクセルを透過するX線の入射方向がX線検出部2の検出面に対して垂直でない場合にも同様の近似を行うことができる。
【0068】
図6A及び図6BではボクセルVX1のみを図示しているが、再構成領域R1の全ボクセルについて、同様の逆投影を行うようにする。なお、再構成の計算において、図4に示すX軸およびZ軸とそれらに直交するY軸によって定義される直交座標系を用いてもよく、動径r、第1の偏角θ、および第2の偏角φによって定義される極座標系を用いてもよい。極座標系を用いる場合、X線照射部1の中心(X線源)から一つのボクセルまでの距離を動径rとする。また、X線照射部1の中心(X線源)から一つのボクセルの端から端までの撮影に必要な縦方向の画角θは微小であるので、sinθをθに近似することができる。同様に、X線照射部1の中心(X線源)から一つのボクセルの端から端までの撮影に必要な横方向の画角φは微小であるので、sinφをφに近似することができる。
【0069】
なお、ボクセルの形状は直方体であるが、直方体には縦、横、高さの長さがすべて等しい特殊な一例である立方体も含まれる。同様に、ボクセルの構成面、及び、当該構成面に平行なボクセルの断面の各形状は長方形であるが、長方形には縦、横の長さが等しい特殊な一例である正方形も含まれる。また、着目ボクセルの構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が辺で存在する二対の対向構成面がある場合には、一対の対向構成面のみを着目ボクセルの構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面として選択するとよい。また、着目ボクセルの構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が点で存在する三対の対向構成面がある場合には、一対の対向構成面のみを着目ボクセルの構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面として選択するとよい。
【0070】
再構成領域R1の全ボクセルについて逆投影の計算が完了すると、ステップS19におけるFBP法を用いた再構成計算が完了する。その後、CPU4は、フレームデータが終了したか否か判断し(ステップS20)、終了していない場合にはステップS16に戻り、前述の動作を繰り返す。
【0071】
一方、各ボクセルをX線が透過した回数(n)は、被検査物T1とX線の照射領域との相対位置によって異なるので、CPU4は、その回数を計算過程で算出しておき(ステップS21)、最終結果をnで分割する(ステップS22)。
【0072】
<4.異物の位置特定>
前述したステップS3の処理、すなわち各投影画像について異物の位置を特定する処理の一例を図14のフローチャートに従い説明する。
【0073】
CPU4は、まず、投影画像を所定の領域(例えば、16ピクセル×16ピクセルの領域)毎に分割する (ステップS31)。投影画像において所定の領域で埋まらない部分が出る場合には、投影画像の端の部分は検査対象から外し、所定の領域群が投影画像の中央に位置するように、所定の領域群の位置を設定してもよい。
【0074】
次に、CPU4は、所定の領域それぞれにおける平均輝度値L1を算出する(ステップS32)。
【0075】
その後、CPU4は、着目ピクセルの輝度値L2が、その着目ピクセルの属する所定の領域における平均輝度値L1よりも所定値V1以上小さいか否かを判定する(ステップS33)。所定値V1としては、例えば着目ピクセルの属する所定の領域内の各ピクセルの輝度値の標準偏差を挙げることができる。
【0076】
着目ピクセルの輝度値L2が、その着目ピクセルの属する所定の領域における平均輝度値L1よりも所定値V1以上小さいと判定されなかった場合(ステップS33のNO)、CPU4は、着目ピクセルを異物の位置として特定しない。
【0077】
一方、着目ピクセルの輝度値L2が、その着目ピクセルの属する所定の領域における平均輝度値L1よりも所定値V1以上小さいと判定された場合(ステップS33のYES)、ステップS34に移行する。
【0078】
ステップS34において、CPU4は、着目ピクセルの横方向負側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる第1輝度値を算出し、着目ピクセルの横方向正側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる第2輝度値を算出し、着目ピクセルの縦方向負側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる第3輝度値を算出し、着目ピクセルの縦方向正側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる第4輝度値を算出する。第1設定数~第4設定数は全て同じ値であってもよく、2種類以上4種類以下の異なる値であってもよい。なお、所定の領域が投影画像の端に位置し、第1設定数~第4設定数の少なくとも1つを確保することができない場合は、確保可能なピクセル数で対応し、全く確保できない場合はそのピクセルは検査対象から外す。
【0079】
次に、CPU4は、第1輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合及び第2輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合がそれぞれ閾値TH1以下であるか否かを判定する(ステップS35)。
【0080】
第1輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合及び第2輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合がそれぞれ閾値TH1以下であると判定された場合(ステップS35のYES)、後述するステップS37に移行する。
【0081】
一方、第1輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合及び第2輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合がそれぞれ閾値TH1以下であると判定されなかった場合(ステップS35のNO)、ステップS36に移行する。
【0082】
ステップS36では、CPU4は、第3輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合及び第4輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合がそれぞれ閾値TH1以下であるか否かを判定する(ステップS36)。なお、本実施形態では、ステップS35で用いる閾値とステップS36で用いる閾値とを同じ値にしたが、互いに異なる値にしてもよい。また、本実施形態とは異なり、ステップS35において、第1輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合が閾値TH1以下であるか否かのみを判定してもよい。逆に、ステップS35において、第2輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合が閾値TH1以下であるか否かのみを判定してもよい。ステップS36についても同様の変形を行ってもよい。ステップS36において、第3輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合が閾値TH1以下であるか否かのみを判定してもよい。逆に、ステップS36において、第4輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合が閾値TH1以下であるか否かのみを判定してもよい。
【0083】
第3輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合及び第4輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合がそれぞれ閾値TH1以下であると判定された場合(ステップS36のYES)、後述するステップS37に移行する。
【0084】
一方、第3輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合及び第4輝度値に対する着目ピクセルの輝度値L2の割合がそれぞれ閾値TH1以下であると判定されなかった場合(ステップS36のNO)、CPU4は、着目ピクセルを異物の位置として特定しない。なお、すぐに着目ピクセルを異物の位置として特定しないことを確定させるのではなく、所定の領域の大きさ及び閾値TH1の値を変えてステップS35に戻り、ステップS35又はステップS36からステップS37に移行できるかを試行してもよい。なお、所定の領域の大きさ及び閾値TH1の値の変更は1回に限らず、2回以上であってもよい。
【0085】
ステップS37では、CPU4は、着目ピクセルを異物の位置として特定する。
【0086】
そして、所定の領域に属する全てのピクセルを1つずつ順次「着目ピクセル」として、ステップS33以降の処理を繰り返す。さらに、全ての所定の領域を1つ1つずつ順次「着目ピクセルが属する所定の領域」として、ステップS32以降の処理を繰り返す。
【0087】
図14のフローチャートによると、所定の領域すなわち微小領域において、微小領域全体の輝度特性に基づいて異物の位置を特定しているため、異物の検出精度を高くすることができる。
【0088】
なお、被検査物T1としては、例えば「魚」を挙げることができる。被検査物T1が「魚」である場合、異物は「小骨」である。図14のフローチャートの処理は、異物の減弱係数が被検査物T1(ただし、異物を除く)の減弱係数より大きい場合に適用することができる。ただし、投影画像が白黒反転させた画像である場合には、図14のフローチャートの処理において、「小さい」を「大きい」に置き換え、「最大」を「最小」に置き換え、「閾値TH1以下」を「閾値TH1以上」に置き換えるとよい。
【0089】
異物の減弱係数が被検査物T1(ただし、異物を除く)の減弱係数より小さい場合には、図14のフローチャートの処理をそのまま適用するのではなく、図14のフローチャートの処理において、「小さい」を「大きい」に置き換え、「最大」を「最小」に置き換え、「閾値TH1以下」を「閾値TH1以上」に置き換えるとよい。ただし、投影画像が白黒反転させた画像である場合には図14のフローチャートの処理をそのまま適用すればよい。
【0090】
<5.位置補正>
再構成計算後の各投影画像は、X線源から被検査物T1を見たときの断層への投影であるので、照射角度が異なれば、投影される被検査物T1の位置はずれてくる。このずれを補正するために、CPU4は前述した通り位置補正を行う(ステップS5)。
【0091】
具体的には、図15に示すように、補正基準として用いる任意の断層以外の或る断層上のボクセルの輝度を補正基準として用いる任意の断層に投影したときの、補正基準として用いる任意の断層上でのボクセルの輝度に基づいて、再構成計算後の投影画像各々の横方向および縦方向の長さを一致させるための位置補正を行う。
【0092】
補正基準として用いる任意の断層以外の或る断層上のボクセルの輝度の補正基準として用いる任意の断層への投影は、本来なら各フレームで全てのピクセルについてX線の透過経路を調べて計算すべきであるが、X線検出部2の幅(=X線検出部2の横方向の長さ)が非常に狭く(例えば64ピクセル)、隣り合うフレーム間の変化も小さいので、或る断層の特定のボクセルを透過するX線の経路は隣り合うフレーム間でほぼ変化しないと仮定し、各フレームについてX線検出部2の中心に入射するX線の透過経路のみを考慮して計算している。
【0093】
以下、補正基準として用いる任意の断層(以下、基準断層layと称する)上の高さ方向(=X線検出部2の縦方向)が所定の位置であるボクセル及び二つの或る断層j=j1、j2上の高さ方向が所定の位置であるボクセルを便宜上断層毎に真っ直ぐ一列に並べた図15を参照して、位置補正について詳説する。
【0094】
基準断層lay以外の或る断層j=a上のボクセルi=bの輝度を基準断層layに投影したときに、その投影した輝度が基準断層lay上のボクセルi=c上にくるのであれば、基本的にはその投影した輝度を位置補正後における或る断層j=a上のボクセルi=cの輝度として扱う。a、b、cはそれぞれ任意の自然数である。そして、1本のフレームのX線が、断層及び高さ方向が同一である複数のボクセルを透過する場合は、1本のフレームのX線が、中間面(=X線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面に含まれる辺以外のボクセルの各辺の中点を頂点とする長方形。図15中の点線を参照。)を透過したボクセルのみを、1本のフレームのX線が透過したボクセルとする。
【0095】
つまり、或るフレームにおいて、基準断層lay以外の或る断層j=a上のX線が透過する1個のボクセルi=bが基準断層lay上のボクセルi=cに1対1で対応している場合(図15に示すパターンI)は、基準断層layに投影した輝度を位置補正後における或る断層j=a上のボクセルi=cの輝度として扱う。また、1対1対応でなくても、基準断層lay上の1個のボクセルを通過するX線のフレームが1本である場合(図15に示すパターンI’)も同様に、或るフレームにおいて、基準断層lay以外の或る断層j=a上のX線が透過する1個のボクセルi=bが基準断層lay上のボクセルi=cにくるのであれば、その投影した輝度を位置補正後における或る断層j=a上のボクセルi=cの輝度として扱う。
【0096】
しかし、複数本のフレームのX線が基準断層lay上の1個のボクセルを透過する場合(図15に示すパターンII)、基準断層lay上のボクセルをどのフレームのX線も透過しない場合(図15に示すパターンIII)は、輝度値を調整する必要がある。
【0097】
高さ方向に関しても考え方は同様である。
【0098】
上述した考え方に沿ったステップS5の位置補正の一例を図16に示すフローチャートを参照して説明する。
【0099】
図16に示す位置補正の一例ではまず初めに、CPU4は、再構成領域R1の各断層のボクセル数をHDD9から読み込む(ステップS41)。
【0100】
次に、CPU4は、ステップS22で算出した再構成計算後の各ボクセルの輝度値cal(i,j,k)のデータをHDD9から読み込む(ステップS42)。iは対象ボクセルの図1に示すX軸方向の座標(位置)を特定するための変数であり、jは対象ボクセルの図1に示すY軸方向の座標(位置)を特定するための変数であり、kは対象ボクセルが属する断層を特定するための変数である。
【0101】
次に、CPU4は、フレーム毎及び断層毎にX線検出部2の中心に入射するX線が透過するボクセルの座標をHDD9から読み込むとともに、各断層のY軸方向が最大となるボクセルを通るX線源とX線検出部2を結ぶ各線分のY軸方向距離の比をHDD9から読み込む(ステップS43)。
【0102】
次に、CPU4は、ステップS43の読み込み結果を用いて、基準断層lay上のX軸座標iのボクセルを透過するN(i)個のフレームの内n(i)番目のX線が透過する、或る断層kのボクセルのX軸座標ii(i, k, n(i))を、各フレームおよび各断層について計算する(ステップS44)。
【0103】
次に、CPU4は、ステップS43の読み込み結果を用いて、基準断層lay上のY軸座標kのボクセルを透過するH(j)個のフレームの内h(j)番目のX線が透過する、或る断層kのボクセルのY軸座標kk(k, k, h(j))を、各フレームおよび各断層について計算する(ステップS45)。
【0104】
次に、CPU4は、ボクセルのX軸座標i、Y軸座標j、n(i)、h(j)のループで断層kのボクセルの輝度値を基準断層layに投影したときの輝度値datawa(i,j,k)を、断層k上の点(ii,jj,k)の輝度値cal(ii,jj,k)から計算する(ステップS46)。
【0105】
N(i)≠0かつH(j) ≠0の場合、すなわちi、jともにパターンIまたはパターンIIに該当する場合、輝度値datawa(i,j,k)は下記の(1)式で表される。
【数1】
【0106】
N(i)≠0かつH(j)=0の場合、すなわちiはパターンIまたはパターンIIに該当し、jはパターンIIIに該当する場合、輝度値datawa(i,j,k)は下記の(2)式で表される。
【数2】
【0107】
N(i)=0かつH(j) ≠0の場合、すなわちiはパターンIIIに該当し、jはパターンIまたはパターンIIに該当する場合、輝度値datawa(i,j,k)は下記の(3)式で表される。
【数3】
【0108】
N(i)=0かつH(j) =0の場合、すなわちi、jともにパターンIIIに該当する場合、輝度値datawa(i,j,k)は下記の(4)式で表される。
【数4】
【0109】
ただし、上記の(3)式および(4)式中のi1、i2は、基準断層lay上のボクセルのX軸座標iに対応するフレームがない場合(n(i)=0)において、その前後のフレームのn(i)>0を満たすiに対応する断層k上のX軸座標iiであり、i1≦i2を満たす。上記の(2)式および(4)式中のj1、j2もY軸方向について同様に考える。また、i1、i2、j1、j2で示される各座標位置の少なくとも一つが投影画像を形成する領域から外れる場合は、輝度値datawa(i,j,k)を0にする。
【0110】
ここでi1+1<i2の場合を考えると、パターンIIIのときに、基準断層layよりもボクセル数が多い断層(例えば図15に示す断層k=k2)上にフレームのX線が透過していないボクセル(例えば図15に示すボクセル)が存在することになるが、このボクセルの輝度値を使用しないというのは望ましくない。したがって、この場合は、次のような処理を行うことが望ましい。
【0111】
i1=ii(i-Δ1,k,N(i-Δ1))、i2=ii(i+Δ2,k,N(i+Δ1))とし、基準断層lay上のX軸座標iに対応する断層k上のX軸座標を下記の(5)式で表される実数ikとする。ここで、Δ1+Δ2-1は基準断層lay上のフレームのX線が透過しない連続したボクセルの個数である。
【数5】
j1、j2もY軸方向について同様に考える。そして、i1+1<i2及び/又はj1+1<j2の場合は、上記(2)式の代わりに下記(6)式を用い、上記(3)式の代わりに下記(7)式を用い、上記(4)式の代わりに下記(8)式を用いるようにする。ただし、下記(6)式~(8)式中のflr(x)は実数x以下となる整数のうち最大の整数を表している。
【数6】
【0112】
上述した輝度値datawa(i,j,k)の計算が完了すると、図16に示す位置補正処理(ステップS5の処理の一例)が完了する。
【0113】
以上のように、本実施形態では、FBP法を用いた再構成計算において、再構成領域を構成する直方体のボクセルへの逆投影を行う代わりに、再構成領域を構成する直方体のボクセルの構成面のうちX線入射方向から見て重複する領域が存在する一対の対向構成面の一方、又は、当該対向構成面に平行な当該ボクセルの断面への逆投影を行うので、逆投影の計算時間を大幅に短縮することができる。したがって、FBP法を用いて少ない再構成計算量で投影画像を再構成することができる。
【0114】
さらに、本実施形態では、再構成計算後の各投影画像を横方向、縦方向それぞれで一律に拡大あるいは縮小して位置補正を行うのではなく、補正基準として用いる任意の断層以外の或る断層上のボクセルの輝度を補正基準として用いる任意の断層に投影したときの、補正基準として用いる任意の断層上でのボクセルの輝度に基づいて位置補正を行う。これにより、FBP法を用いた再構成計算後の各投影画像を歪みの発生を抑えて位置補正することができる。
【0115】
また、上述した実施形態では、位置補正によって再構成計算後の各投影画像の横方向および縦方向の長さを一致させたが、再構成計算後の各投影画像の横方向の長さが異なることがあまり問題にならない場合には、位置補正によって再構成計算後の各投影画像の縦方向のみの長さを一致させてもよく、再構成計算後の各投影画像の縦方向の長さが異なることがあまり問題にならない場合には、位置補正によって再構成計算後の各投影画像の横方向のみの長さを一致させてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、位置補正によって再構成計算後の各投影画像の横方向および縦方向の長さを一致させたが、位置補正によって再構成計算後の各投影画像の横方向および縦方向の長さを略一致させてもよい。つまり、例えば、複数層の投影画像同士を比較して断層深さによる被検査物T1の様子を比較する場合等に不便にならない程度で、位置補正後において再構成計算後の各投影画像の横方向および縦方向の長さに差があってもよい。
【0117】
<6.その他>
上述した実施形態では、ステップS4の誤検出部分除去処理を実行したが、ステップS4の誤検出部分除去処理を実行しなくても異物の検出精度が要求される仕様を満たすのであれば、ステップS4の誤検出部分除去処理を省略してもよい。ステップS4の誤検出部分除去処理を省略する場合、第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aの対、或いは、第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bの対のいずれかを検査装置100から取り除くとよい。
【0118】
上述した実施形態では、ステップS4の誤検出部分除去処理において、第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する投影画像に基づき特定した異物の位置と第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する投影画像に基づき特定した異物の位置とが比較され、比較結果に基づいて異物の位置特定の誤検出部分が除去されたが、この誤検出部分除去処理はあくまで一例である。
【0119】
したがって、X線の照射方向がそれぞれ異なる第1~第m(mは3以上の自然数)X線照射部と、第1~第mX線検出部とを検査装置100に設け、第k(kはm以下の任意の自然数)X線照射部から照射され被検査物T1を透過したX線が第kX線検出部に入射するようにしてもよい。この場合、第kX線照射部から照射されるX線によって得られる投影画像である第k投影画像に基づき異物の位置が特定され、同じ深さの投影画像について、第1~第m投影画像それぞれに基づき特定した異物の位置同士が比較され、比較結果に基づいて異物の位置特定の誤検出部分が除去されるようにすればよい。
【0120】
上述した実施形態では、ステップS34において、CPU4は、着目ピクセルの横方向負側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる第1輝度値を算出し、着目ピクセルの横方向正側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる第2輝度値を算出し、着目ピクセルの縦方向負側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる第3輝度値を算出し、着目ピクセルの縦方向正側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる第4輝度値を算出したが、この算出処理はあくまで一例である。すなわち、上記の「横方向負側」、「横方向正側」、「縦方向負側」、及び「縦方向正側」はそれぞれ、「第1方向一方側」、「第1方向他方側」、「第2方向一方側」、及び「第2方向他方側」に一般化することができる。なお、第1方向と第2方向とは互い異なる方向である。第1方向と第2方向とは直交していなくてもよい。
【0121】
また、第1輝度値を、着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる輝度値ではなく、着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で着目ピクセルより輝度値が大きく且つ着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値とし、第2~第4輝度値についても同様の置換を行ってもよい。すなわち、第2輝度値を、着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で最大となる輝度値ではなく、着目ピクセルの第1方向他方側に並ぶ第2設定数のピクセル内で着目ピクセルより輝度値が大きく且つ着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値とする。また、第3輝度値を、着目ピクセルの第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる輝度値ではなく、着目ピクセルの第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で着目ピクセルより輝度値が大きく且つ着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値とする。また、第4輝度値を、着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で最大となる輝度値ではなく、着目ピクセルの第2方向他方側に並ぶ第4設定数のピクセル内で着目ピクセルより輝度値が大きく且つ着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値とする。上記の置換を行った場合も、上述した実施形態と同様に、微小領域全体の輝度特性に基づいて異物の位置を特定しているため、異物の検出精度を高くすることができる。ただし、上記の置換を行った場合において、異物の減弱係数が被検査物T1(ただし、異物を除く)の減弱係数より小さい画像について適用するときには、ステップS33の処理において「小さい」を「大きい」に置き換え、ステップS34を置換した処理において「大きい」を「小さい」に置き換え、「閾値TH1以下」を「閾値TH1以上」に置き換えるとよい。また、上記の「着目ピクセルからできるだけ離れているピクセルの輝度値」の代わりに「着目ピクセルからできるだけ近いピクセルの輝度値」としてもよい。
【0122】
また、第1輝度値を、着目ピクセルの第1方向一方側に並ぶ第1設定数のピクセル内で最大となる輝度値ではなく、着目ピクセルの第1方向一方側に着目ピクセルから第1所定位置離れて並ぶ第1設定数のピクセル(例えば着目ピクセルから3ピクセル離れて並ぶ4つのピクセルである場合、着目ピクセルから第1方向一方側に3つ目~6つ目に並んでいるピクセル)及び着目ピクセルの第1方向他方側に着目ピクセルから第2所定位置離れて並ぶ第2設定数のピクセルの平均輝度値とする。そして、ステップS34~S36において、第2輝度値に関する処理を行わないようにする。また、第3輝度値を、着目ピクセルの第2方向一方側に並ぶ第3設定数のピクセル内で最大となる輝度値ではなく、着目ピクセルの第2方向一方側に着目ピクセルから第3所定位置離れて並ぶ第3設定数のピクセル及び着目ピクセルの第2方向他方側に着目ピクセルから第4所定位置離れて並ぶ第4設定数のピクセルの平均輝度値(請求項3及び請求項9における「第2輝度値」に相当)とする。そして、ステップS34~S36において、第4輝度値に関する処理を行わないようにする。上記の置換を行った場合も、上述した実施形態と同様に、微小領域全体の輝度特性に基づいて異物の位置を特定しているため、異物の検出精度を高くすることができる。ただし、上記の置換を行った場合において、異物の減弱係数が被検査物T1(ただし、異物を除く)の減弱係数より小さい画像について適用するときには、ステップS33の処理において「小さい」を「大きい」に置き換え、ステップS34を置換した処理において「閾値TH1以下」を「閾値TH1以上」に置き換えるとよい。
【0123】
CPU4は、過去に検査された被検査物T1の投影画像により学習した人工知能を用いて異物の位置を特定してもよい。人工知能を用いることにより、異物の検出精度をより一層高めることができる。人工知能の設けられる場所は特に限定されない。例えばCPU4に人工知能を設けてもよい。また例えば検査装置100が通信ネットワークを介してアクセス可能なクラウド上に人工知能を設けてもよい。
【0124】
上述した実施形態とは異なり、ステップS4とステップS5との実行順序を入れ替え、ステップS6において、位置補正及び誤検出部分除去処理が反映された異物の位置を示す各投影画像を全て足し合わせて得られる画像、つまり異物の位置を2次元表示する画像を出力画像として生成してもよい。この場合、ステップS3において、必ずしも投影画像ごとに異物の位置を特定する必要はなく、複数の投影画像ごとに異物の位置を特定してもよい。
【0125】
上述した実施形態とは異なり、ステップS3の直後にステップS5を実行し、位置補正終了後に照射角度ごとに全断層の異物の位置を足し合わせ、全断層の異物の位置を足し合わせた後の照射角度ごとのデータについてステップS4を実行し、ステップS6において、位置補正及び誤検出部分除去処理が反映された異物の位置を示す各投影画像を全て足し合わせて得られる画像、つまり異物の位置を2次元表示する画像を出力画像として生成してもよい。この場合、ステップS3において、必ずしも投影画像ごとに異物の位置を特定する必要はなく、複数の投影画像ごとに異物の位置を特定してもよい。
【0126】
上述した実施形態では、X線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置に設定される各断層に投影して得られる投影画像は、トモシンセシスの原理に基づいて得られる各断層における投影画像であるが、これはあくまで例示である。すなわち、X線検出部2A及び2Bの位置を除く所定の位置に設定される各断層に投影して得られる投影画像は、トモシンセシスの原理に基づいて得られる各断層における投影画像でなくてもよい。また、上述した実施形態では、投影画像を用いて異物の位置を特定したが、被検査物T1の単純なX線透過画像等のX線画像を用いて異物の位置を特定してもよい。すなわち、X線透過画像等のX線画像に対して例えば図14に示すフローチャートの処理を実行してもよい。この変形例においてCPU4は人工知能を用いてもよい。トモシンセシス法を採用しない場合、1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bをそれぞれ単一ラインのラインセンサにしてもよい。1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bがそれぞれ単一ラインである場合は、ラインセンサの画素サイズと1フレームあたりの被検査物の移動量とを一致させる。
【0127】
なお、検査装置100の構造上の制約により、第1X線検出部2Aと第2X線検出部2Bとを同じ高さに配置できない場合がある。この場合、第1X線検出部2AのZ軸方向位置と第2X線検出部2BのZ軸方向位置とが異なり、被検査物T1の同じ位置を通過したX線が入射するピクセルが第1X線検出部2Aと第2X線検出部2Bとでずれる。したがって、このずれを考慮して、Y軸方向において、第1X線照射部1A及び第1X線検出部2Aに由来する投影画像のピクセルに該当する、第2X線照射部1B及び第2X線検出部2Bに由来する投影画像のピクセルを特定すればよい。
【0128】
上述した実施形態のように画素データ(ラインセンサで得られるデータ)を単純に並べること又は単純に積算することで撮影画像(2次元のデジタルデータ)を生成するのではなく、独自の画像処理に基づいて撮影画像を生成してもよい。独自の画像処理に基づいて撮影画像を生成する場合、被検査物T1の移動速度をラインセンサの画素サイズに必ずしも合わせる必要はない。
【0129】
また、ラインセンサである第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bの代わりに、図17に示すように二次元検出器2Cを用いてもよい。二次元検出器2Cの斜線領域(図17参照)の検出結果を用いることで、二次元検出器2Cを擬似的な2つのラインセンサとすることができる。なお、図17に示す構成においても、図1に示す構成と同様に、第1X線照射部1A及び第2X線照射部1Bを共通化して単一のX線照射部にしてもよい。
【0130】
また、単一の二次元検出器2Cの代わりに複数の二次元検出器を用い、複数の二次元検出器それぞれの一部領域の検出結果を用いることで、複数の二次元検出器を擬似的な複数のラインセンサとすることができる。
【0131】
また、単一の二次元検出器2Cの代わりに単一のラインセンサを用い、単一の二次元検出器2Cの場合と同様に単一のラインセンサの複数領域の検出結果を用いることで、単一のラインセンサを擬似的な複数のラインセンサとすることができる。なお、単一のラインセンサは、Y軸方向に沿って延びる複数のラインを有するラインセンサである。
【0132】
また、ラインセンサである第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bの代わりに、図18及び図19に示すように二次元検出器2D及び2Eを用いてもよい。図18及び図19に示す検査装置100は、例えば次のような動作を行うとよい。第2X線照射部1B及び二次元検出器2Eによる撮影が可能な位置に被検査物T1をベルトコンベア3の駆動により移動させ、その後ベルトコンベア3を停止させ、第2X線照射部1B及び二次元検出器2Eによる撮影が可能な位置に被検査物T1を静止させる(図18参照)。図18に示す静止状態において、第2X線照射部1B及び二次元検出器2Eによって被検査物T1を1ショット撮影する。それから、第1X線照射部1A及び二次元検出器2Dによる撮影が可能な位置に被検査物T1をベルトコンベア3の駆動により移動させ、その後ベルトコンベア3を停止させ、第1X線照射部1A及び二次元検出器2Dによる撮影が可能な位置に被検査物T1を静止させる(図19参照)。図19に示す静止状態において、第1X線照射部1A及び二次元検出器2Dによって被検査物T1を1ショット撮影する。
【0133】
また、第1X線照射部1A、第2X線照射部1B、並びにラインセンサである第1X線検出部2A及び第2X線検出部2Bの代わりに、図20及び図21に示すようにX線照射部1C並びに二次元検出器2Fを用いてもよい。図20及び図21に示す検査装置100は、例えば次のような動作を行うとよい。被検査物T1を第1の所定位置までベルトコンベア3の駆動により移動させる。このとき被検査物T1の移動に連動して二次元検出器2Fも不図示の移動機構により移動させる。その後ベルトコンベア3及び不図示の移動機構を停止させ、被検査物T1を第1の所定位置に静止させ、二次元検出器2Fを第1の所定位置に対応する位置に静止させる(図20参照)。図20に示す静止状態において、X線照射部1C及び二次元検出器2Fによって被検査物T1を1ショット撮影する。それから、被検査物T1を第2の所定位置までベルトコンベア3の駆動により移動させる。このとき被検査物T1の移動に連動して二次元検出器2Fも不図示の移動機構により移動させる。その後ベルトコンベア3及び不図示の移動機構を停止させ、被検査物T1を第2の所定位置に静止させ、二次元検出器2Fを第2の所定位置に対応する位置に静止させる(図21参照)。図21に示す静止状態において、X線照射部1C及び二次元検出器2Fによって被検査物T1を1ショット撮影する。
【0134】
以上の説明では、被検査物T1とX線撮影に用いたX線照射部との位置関係がX軸方向においてのみ異なる複数枚の2次元X線撮影画像が生成されたが、被検査物T1とX線撮影に用いたX線照射部との位置関係がY軸方向においてのみ異なる複数枚の2次元X線撮影画像が生成されてもよく、被検査物T1とX線撮影に用いたX線照射部との位置関係がX軸方向、Y軸方向の両方において異なる複数枚の2次元X線撮影画像が生成されてもよい。
【0135】
なお、X線検出部としてラインセンサを使用する場合、X線の照射領域ごとにフレームデータを或る1つの断層に投影し、再構成して生成される各2次元画像を「2次元X線撮影画像」とみなして以後の処理を行う構成の検査装置も本発明に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0136】
1 X線照射部
1A 第1X線照射部
1B 第2X線照射部
2 X線検出部
2A 第1X線検出部
2B 第2X線検出部
3 ベルトコンベア
4 CPU
5 ROM
6 RAM
7 VRAM
8 表示部
9 HDD
10 入力部
100 検査装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21