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特許7178650情報検索方法、情報検索プログラム、情報検索用端末および情報検索装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】情報検索方法、情報検索プログラム、情報検索用端末および情報検索装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9032 20190101AFI20221118BHJP
   G06F 16/9038 20190101ALI20221118BHJP
   G06F 16/904 20190101ALI20221118BHJP
【FI】
G06F16/9032
G06F16/9038
G06F16/904
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2016155123
(22)【出願日】2016-08-08
(65)【公開番号】P2018025833
(43)【公開日】2018-02-15
【審査請求日】2019-07-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100200229
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真也
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳世子
(72)【発明者】
【氏名】三木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】アリアバディ ファラハニ, マルジエ
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】古川 哲也
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/097037(WO,A1)
【文献】特開2010-250529(JP,A)
【文献】特開2013-45121(JP,A)
【文献】阿部剛,外6名,“いますぐ使える!デザインのネタ110”,DTP WORLD,株式会社ワークスコーポレーション,2002年8月13日,第7巻,第8号,p.26~55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである第1の非言語情報のみの複数の候補を表示する第1の表示ステップと、
前記第1の非言語情報のみの複数の候補から第1の非言語情報の選択を受け付ける受付ステップと、
選択を受け付けた前記第1の非言語情報から検索構文を生成する生成ステップと、
前記検索構文に基づいて、検索対象となる情報を検索する検索ステップと、
前記検索ステップの検索結果と関連性のある情報を推薦する推薦ステップと、
前記検索ステップの検索結果、及び、前記推薦ステップの推薦結果を、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである複数の第2の非言語情報で表示する第2の表示ステップと、有し、
前記第2の表示ステップで表示された前記検索結果が、所望の情報でない場合は、前記推薦結果の1つを選択する選択ステップと、
前記選択された推薦結果と関連性のある情報を推薦する第2の推薦ステップと、
前記選択された推薦結果、及び、前記第2の推薦ステップの推薦結果を、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである複数の第3の非言語情報で表示する第3の表示ステップと、を有する絞込み検索工程に移行し、
前記第3の表示ステップを新たな第2の表示ステップとして、前記絞込み検索工程を繰り返し、情報を絞り込む情報検索方法であって、
前記検索対象となる情報のデータ構造は、情報をノードとし、第1の情報を基点に、前記第1の情報と関連する1つ又は複数の第2の情報とが、リンクされたネットワーク構造を有し、前記第1の情報は前記検索結果及び前記選択された推薦結果とし、前記第2の情報は前記第1の情報に基づき推薦された推薦結果とする情報検索方法。
【請求項2】
前記受付ステップは、画面上に表示された、前記第1の非言語情報のみの複数の候補から、前記第1の非言語情報の選択を受け付ける、請求項1に記載の情報検索方法。
【請求項3】
選択を受け付けた前記第1の非言語情報と、表示する前記第2の非言語情報とは同一または異なる、請求項1に記載の情報検索方法。
【請求項4】
前記受付ステップは、アラビア数字と単位の組み合わせ、又は記号を前記第1の非言語情報の補完情報として受け付ける請求項1~3のいずれか1項に記載の情報検索方法。
【請求項5】
前記受付ステップは、論理積、論理和、論理否定の少なくとも1つの入力を図記号で受け付ける請求項1~4のいずれか1項に記載の情報検索方法。
【請求項6】
前記受付ステップは、論理積、論理和、論理否定の少なくとも1つの入力をアラビア数字と単位の組み合わせ、又は記号で受け付ける請求項1~5のいずれか1項に記載の情報検索方法。
【請求項7】
前記検索ステップは、前記受付ステップが受け付けた選択の場所を位置情報として受け取り、前記検索構文および前記位置情報に基づいて、情報検索装置を検索する請求項1~6のいずれか1項に記載の情報検索方法。
【請求項8】
案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである第1の非言語情報のみの複数の候補を表示する第1の表示ステップと、
前記第1の非言語情報のみの複数の候補から第1の非言語情報の選択を受け付ける受付ステップと、
選択を受け付けた前記第1の非言語情報から検索構文を生成する生成ステップと、
前記検索構文に基づいて、検索対象となる情報を検索する検索ステップと、
前記検索ステップの検索結果と関連性のある情報を推薦する推薦ステップと、
前記検索ステップの検索結果、及び、前記推薦ステップの推薦結果を、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである複数の第2の非言語情報で表示する第2の表示ステップと、有し、
前記第2の表示ステップで表示された前記検索結果が、所望の情報でない場合は、前記推薦結果の1つを選択する選択ステップと、
前記選択された推薦結果と関連性のある情報を推薦する第2の推薦ステップと、
前記選択された推薦結果、及び、前記第2の推薦ステップの推薦結果を、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである複数の第3の非言語情報で表示する第3の表示ステップと、を有する絞込み検索工程に移行し、
前記第3の表示ステップを新たな第2の表示ステップとして、前記絞込み検索工程を繰り返し、情報の絞り込みをコンピュータに実行可能な情報検索プログラムであって、
前記検索対象となる情報のデータ構造は、情報をノードとし、第1の情報を基点に、前記第1の情報と関連する1つ又は複数の第2の情報とが、リンクされたネットワーク構造を有し、前記第1の情報は前記検索結果及び前記選択された推薦結果とし、前記第2の情報は前記第1の情報に基づき推薦された推薦結果とする情報検索プログラム。
【請求項9】
案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである第1の非言語情報のみの複数の候補から選択された第1の非言語情報に基づいて、検索対象となる情報を記憶する情報記憶装置を検索する検索部と、
関連性記憶装置から、前記検索部の検索結果と関連性のある情報を推薦する情報推薦部と、
前記検索部の検索結果、及び、前記情報推薦部の推薦結果を、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである複数の第2の非言語情報で出力する出力部と、
有し、
前記出力部が出力した前記検索結果が、所望の情報でなく、かつ、前記推薦結果の1つが選択された場合
前記情報推薦部は、前記選択された推薦結果と関連性のある第2の推薦結果を推薦し、
前記出力部は、前記選択された推薦結果、及び、前記第2の推薦結果を、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報の少なくとも1つである複数の第3の非言語情報で出力する、
絞込み検索を行い、
前記第3の非言語情報を新たな第2の非言語情報として、前記絞込み検索を繰り返し、情報を絞り込む情報検索装置であって、
前記検索対象となる情報のデータ構造は、情報をノードとし、第1の情報を基点に、前記第1の情報と関連する1つ又は複数の第2の情報とが、リンクされたネットワーク構造を有し、前記第1の情報は前記検索結果及び前記選択された推薦結果とし、前記第2の情報は前記第1の情報に基づき推薦された推薦結果とする情報検索装置。
【請求項10】
前記関連性記憶装置は前記ノード間の関連性の強弱を有し、前記情報推薦部は前記関連性の強弱をランクとして推薦し、前記出力部は推薦されたランクを出力する請求項9に記載の情報検索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非言語情報を用いた情報検索方法、情報検索プログラム、情報検索用端末および情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを控え、今後10年間での外国人観光客の大幅増加が見込まれている。このような背景から、外国人にも利用しやすい観光スポットの検索システムが望まれている。しかし、外国人が使用する言語は様々である。このため、外国語による観光案内情報システムでは、英語、中国語、フランス語、スペイン語などの主要な言語で案内できるように、システムが多言語化されている(特許文献1および2)。
【0003】
特許文献1では、各観光スポットの観光ガイド情報について、ユーザーが所望する言語で案内・ガイドするファイルをダウンロードすることができる観光案内情報システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、海外からの観光客等が、携帯電話(スマートフォン)等を用いて、観光地等に設置されている案内板や看板などに貼付された情報タグから、または携帯電話等が得たGPSによる位置情報から、複数の言語により構成された上述の観光地に関する案内音声及び文字・図形からなる説明データをインターネットを介して選択的に取得する観光案内システムが記載されている。
【0005】
しかしながら、様々な地域から訪れる外国人観光客が使用する言語は多様であり、上述の主要な言語を使用できるとは限らず、全ての言語に対応するシステムを開発するのは難しい。このため、特許文献1や特許文献2のシステムにおいても、上述した主要な言語が苦手な外国人観光客は、観光情報を入手することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-029942号公報
【文献】特開2012-038278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような課題に着目して鋭意研究され完成されたものであり、その目的は、情報検索において非言語情報を入出力に活用することで、言語格差をほとんど感じさせることなくユーザーが所望する観光などの情報を適切に検索・提供可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の第1の非言語情報の候補から第1の非言語情報の入力を受け付ける受付ステップと、入力を受け付けた第1の非言語情報から検索構文を生成する生成ステップと、検索構文に基づいて、検索対象となる情報を検索する検索ステップと、検索ステップの検索結果を第2の非言語情報として表示する表示ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非言語情報によってユーザーが所望する情報を適切に検索・提供することができるため、多言語化対応等の負担を抑えることができると共に言語格差を是正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る情報検索システムの全体図である。
図2図1の情報検索システムの概略構成を示すブロック図である。
図3図1の情報検索システムの入力画面の一例を示す図である。
図4図1の情報検索システムの結果表示画面の一例を示す図である。
図5図1の情報検索システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施例2に係る情報検索システムの概略構成を示すブロック図である。
図7図6の関連性記憶装置が記憶するデータ構造の概略を示す図である。
図8】結果表示画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る情報検索システムの全体図である。ここでは、情報検索システムの一例として、観光スポットを検索する観光情報検索システムを説明する。情報検索システムはクライアント端末100と、サーバ200とから構成される。クライアント端末100は、スマートフォンなどの携帯情報端末であってもよい(以下、単に端末という)。そして、端末100は、実施例1に係る情報検索アプリケーションソフトウェアをプログラムとしてダウンロードし、インストールすることによって、サーバ200と連携し、情報検索システムを実現する。
【0013】
端末100は、ネットワーク300を経由して、サーバ200へ情報検索処理の実行を要求し、サーバ200から検索結果を受け取り、端末100の画面に表示する。ネットワーク300としては、公衆無線LAN(Local Area Network)や、LTE(Long Term Evolution)などの携帯電話ネットワーク等がある。また、端末100は、サーバ200へ情報検索処理の実行を要求する際に、GPS(Global Positioning System)衛星400から端末100の位置情報を取得し、この位置情報をサーバ200へ送信する。
【0014】
<構成>
まず、図2図3図4を用いて、実施例1に係る情報検索システムの構成を説明する。図2は、実施例1に係る情報検索システムの概略構成を示すブロック図である。端末100およびサーバ200での処理の流れは実線で、端末100とサーバ200の間での情報の受け渡しは点線で示す。
【0015】
端末100は、外国人観光客(以下、利用者という)からの入力を受け付ける入力部110と、GPS衛星400から端末100の位置情報を取得する位置情報取得部120と、入力部110が受け付けた入力と、位置情報取得部120が取得した位置情報とから、情報検索用の構文を生成する構文生成部130と、生成した構文をサーバ200へ送信する送信部140と、情報検索の結果をサーバ200から受信する受信部150と、受信した検索結果を表示する表示部160とを備える。
【0016】
ここで、入力部110および表示部160は端末(例えば、スマートフォン)の同一のタッチパネルディスプレイとして構成される。位置情報取得部120は、GPS情報から端末100の位置情報を取得してもよいし、公衆無線LAN、LTEなどの携帯電話ネットワーク、あるいは、ビーコン(Beacon)からの信号から位置情報を取得してもよい。構文生成部130は、情報検索アプリケーションソフトウェアが動作する端末100のプロセッサおよびメモリに相当する。送信部140および受信部150は無線通信モジュールに相当し、ネットワークを経由してサーバ200と通信を実行する。
【0017】
サーバ200は、端末100から情報検索用の構文を受信する受信部210と、受信した構文を用いて情報記憶装置500に記憶されている検索対象となる情報を検索する情報検索部220と、情報検索の結果を端末100へ送信する送信部(出力部)230とを備える。
【0018】
ここで、情報検索部220は、サーバ200のプロセッサおよびメモリが協働して、情報記憶装置500に対し情報検索処理を実行する。情報記憶装置500はサーバ200の内部に設けられていてもよい。また、外部の記憶装置として設けられていてもよい。外部の記憶装置の場合、サーバ200はこの外部記憶装置と情報の送受信を実行する。受信部210および送信230は、無線通信モジュールに相当し、公衆無線LANやLTEなどの携帯電話ネットワーク等のネットワークを経由して端末100と通信を実行する。
【0019】
図3は、入力部110に表示される入力画面の一例を示す図である。入力画面600は、利用者が移動手段を選択するための移動手段選択画面610と、移動に費やす時間を選択するための移動時間選択画面620と、観光スポットの入場料金を選択するための料金選択画面630と、利用者の指示に基づいて検索を開始するための検索実行ボタン640とを備える。
【0020】
移動手段選択画面610は、非言語情報である案内用図記号(ピクトグラム)を表示する。ここでは、移動手段の表示として、上段の左から順に「徒歩」611、「自動車」612、「電車」613、「バス」614の案内用図記号が表示され、下段の左から順に「飛行機」615、「船」616、「自転車」617の案内用図記号が表示されており、少なくとも1つの移動手段をタッチして選択することができる。この図では、「徒歩」611が選択され、反転表示されている。
【0021】
移動時間選択画面620は、非言語情報である時計のマークを表示し、プルダウンメニューから複数の移動時間間隔の候補から選択することができる。この図では、プルダウンメニューの下矢印をクリックし、“~15minutes”を選択している。つまり、「15分以内で移動可能」という条件が選択されている。利用者がこの図の表示をこのような意味に理解できるのは、移動手段選択画面610の下に移動時間選択画面620が表示され、かつ、非言語情報である時計のマークが表示されることで、移動手段と移動時間の選択が想起されるからである。このため、いかなる言語を利用している外国人観光客(利用者)であっても、この画面620に表示されるアラビア数字「15」は移動時間を表していることを直観的に理解できる。ここで、アラビア数字は非言語情報である。
【0022】
ここで、アラビア数字が「24」よりも小さい数の場合、利用者は「分」なのか「時間」なのか理解しにくい場合がある。そのため、「分」を表す英単語“minutes”をアラビア数字と共に表示することによって、利用者はアラビア数字(すなわち非言語情報)の補完情報として理解できる。また、補完情報としては、英単語“minutes”の代わりに、略語“min”又は“m”を表示してもよい。“minutes”のように簡単な英単語やその略語であれば、英語の苦手な外国人観光客(利用者)であっても、「分」の意味であることを理解できる。
【0023】
補完情報は、移動時間間隔の候補全てに対して表示をする必要はない。例えば、プルダウンメニューの中で、“~15minutes”の次に、単に“15~30”と表示した場合、利用者は「15~30分」と推測することができる。観光客にとって、「15分~30時間」では移動時間の選択候補として時間間隔が広すぎ、また、上述の選択候補の次に「15時間~30時間」という選択候補が挙げられることも想起し得ないためである。
【0024】
料金選択画面630は、非言語情報である日本円のマークを表示し、プルダウンメニューの下矢印をクリックすることによって、複数の金額の間隔の候補を選択することができる。この図では、“Unspecified”を選択しており、「料金の選択は特に無し」という意味を表す。
【0025】
このように利用者がこの図の表示を「料金の選択は特に無し」の意味であると理解できるのは、この情報検索システムが観光スポットを検索するためのものであり、かつ、複数の金額の間隔の候補を選択可能としていることから、料金の選択に関する項目であることを想起できるからである。このため、いかなる言語を利用している外国人観光客(利用者)であっても、画面630が観光スポットの入場料金であることが直観的に理解できる。
【0026】
また、“Unspecified”という英単語の代わりに、「-」(ハイフン)や「―」(ダッシュ)等の記号を用いてもよい。このようにすれば、“Unspecified”という英単語を知らない利用者であっても、このシステムを直観的に利用することができる。
【0027】
検索実行ボタン640は、図3に示すように、入力画面600上の特定の領域に設けられ、検索条件の選択後に利用者に触れられることで情報検索システムによる検索が実行される。上述のように画像の表示とタッチパネルディスプレイの組み合わせを利用した構成でもよく、また、端末100に配置された機械式スイッチ等が、同様の役割を担ってもよい。利用者が検索実行ボタン640を押すことで所定の検索条件に従った検索が指示される。
【0028】
図4は、表示部160に表示される結果表示画面の一例を示す図である。結果表示画面700には、検索結果である観光スポットの周辺の地理情報画面710と、この観光スポットの種類を示す案内用図記号(ピクトグラム)720と、観光スポット情報画面730と、が表示され、観光スポット情報画面730には上述の案内用図記号720が示す観光スポット情報731が表示される。
【0029】
地理情報画面710は、検索結果である観光スポットの案内用図記号720の周辺の地図を表示する。検索結果を示す案内用図記号720は、いわゆる白抜き(記号の背景色を濃くし、その中の記号を白く表示)で表示されており、検索結果の観光スポットであることが利用者に直観的に理解できる。この図では、「温泉」の記号が表示されている。
【0030】
観光スポット情報画面730は、検索結果の案内用記号720の詳細表示である観光スポット情報731が表示される。ここでは、案内用図記号720が示す観光スポット「温泉」の空間イメージ写真(観光スポットの概要を直観的に理解できる写真)と、案内用図記号720で白抜き表示された「温泉」の名称を“Onsen 1”とローマ字表記している。なお、名称を表記する際には、ローマ字表記または英語表記が一般的に望ましい。このように空間イメージ写真に加え、その補完情報として、名称を表記するのは、たとえ利用者が補完情報を理解できなくても、利用者の周囲にいる人(観光スポットの店員など)が理解できる場合があるからである。また、空間イメージ写真は非言語情報である。
【0031】
図4では、観光スポットの案内用図記号720の他にも、複数種類の案内用図記号(案内用図記号721、722、723)が表示されている。例えば、複数の観光スポットの案内用図記号721、722、723のいずれかを利用者が選択した場合(例えば721を選択した場合)、案内用図記号721が白抜き表示され、今まで白抜き表示されていた案内用図記号720は通常表示(記号の背景色を白くし、その中の記号を濃く表示)される。そして、観光スポット情報画面730上の観光スポット情報は、案内用図記号720に対応した観光スポット情報731から、案内用図記号721に対応した観光スポット情報に表示が切り替わる。ここで、地理情報および案内用図記号は非言語情報である。
【0032】
また、観光スポット情報画面730上の観光スポット情報は左右にスライド可能であり、例えば、図4において「温泉」の観光スポット情報731を左側にスライドさせると、地理情報画面710上の案内用図記号720が通常表示に戻ると共に案内用図記号723が選択され白抜き表示され、観光スポット情報画面730上に観光スポット情報731の代わりに案内用図記号723に対応する観光スポット情報が表示される。また、観光スポット情報731を右側にスライドさせると、上述と同様、地理情報画面710上の案内用図記号720が通常表示に戻ると共に案内用図記号722が選択され白抜き表示され、観光スポット情報画面730上に観光スポット情報731の代わりに案内用図記号722に対応する観光スポット情報が表示される。利用者の直感的操作を促すため、観光スポット情報のスライド方向と地理情報画面710上の案内用図記号の配置とが対応していることが好ましい。
【0033】
なお、複数の観光スポットの案内用図記号721、722、723が表示されない場合もある。
【0034】
また、図4の結果表示画面700に示した案内用図記号は、図3の入力画面600に示した案内用図記号と異なるが、同一の場合もあり得る。すなわち、入力された案内用図記号と出力表示された案内用図記号とが同一となることを妨げない。例えば、図4の結果表示画面700に示した案内用図記号「温泉」720と同じ案内用図記号「温泉」が、図3の入力画面600に観光スポットの種類の選択候補として表示されてもよい。
【0035】
<動作>
次に、実施例1に係る情報検索システムの動作を図2図3図5を用いて説明する。図5は、情報検索システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0036】
まず、利用者が移動手段選択画面(図3の610)で移動手段として「徒歩」611を選択すると、構文生成部130は、移動手段は「徒歩」611であることを受け付ける(S110)。次に、利用者が移動時間選択画面(図3の620)で“~15minutes”という移動時間間隔を選択すると、構文生成部130は、移動時間間隔が「15分以内」であることを受け付ける(S120)。
【0037】
続いて、利用者が料金選択画面(図3の630)で“Unspecified”を選択すると、構文生成部130は、入場料金の選択は「特に無し」であることを受け付ける(S130)。
【0038】
最後に、利用者が検索実行ボタン(図3の640)を押すと、構文生成部130は、利用者の選択した1つ又は複数の非言語情報(検索条件)に基づいて検索構文(すなわち検索式)を生成する(S140)。
【0039】
構文生成部130は、上述の例では、利用者が「移動手段:徒歩」かつ「移動時間:15分以内」かつ「入場料金:指定なし」と選択した情報から、(移動手段:徒歩)AND(移動時間:15分以内)AND(入場料金:指定なし)という検索式を生成する。
【0040】
ここで、構文生成部130は、利用者が検索実行ボタン(図3の640)を押した時点の端末100の位置情報を、図2の位置情報取得部120から取得する。取得した位置情報は、検索式とは分けた形式でサーバ200へ送ってもよいし、検索式の中に入れた形式で送ってもよい。
【0041】
上述のとおり、利用者が移動手段選択画面610で移動手段を選択し、移動時間選択画面620で移動に費やす時間を選択し、料金選択画面630で観光スポットの入場料金を選択し、最後に、検索実行ボタン640を押すことで、利用者が選択した情報から論理積(AND条件)を用いた検索構文を生成することができる。
【0042】
なお、ここではステップS110、S120、S130の処理毎に、利用者の選択を受け付けたが、これに限らず、S140で利用者が検索実行ボタンを押した段階で、S110、S120、S130の処理での利用者の選択を全て受け付けてもよい。また、ステップS110~S130の順序は入れ替えることができる。
【0043】
送信部140は構文生成部130が生成した検索構文をサーバ200の受信部210へ送信する。
【0044】
情報検索部220は、受信部210が受信した検索構文を用いて情報記憶装置500を検索し、検索結果を非言語情報として送信部230からクライアント端末100の受信部150に送信する。表示部160は、受け取った検索結果を図4のように表示することができる。
【0045】
実施例1によれば、利用者は、検索構文を生成するためのテキスト情報を直接入力するのではなく、図3の入力画面600で、1つ又は複数の非言語情報を入力(または選択)し、この非言語情報を入力部110が受け付け、受け付けた非言語情報から、構文生成部130が検索構文を生成し、情報検索部220は情報検索できる。ここで、非言語情報の入力とは、1つの非言語情報の入力を受け付ける際に、複数の非言語情報の候補から1つの非言語情報を選択することをいう。
【0046】
また、図4に示すように検索結果の表示画面でも、観光スポットの空間イメージ写真や案内用図記号などの非言語情報が使われているため、検索結果である観光スポットを直観的に理解できるという効果がある。これによって、どのような言語を利用する外国人観光客であっても、観光情報を入手できるという効果がある。
【0047】
なお、観光スポットを表示する際に、空間イメージ写真に加え、便宜上、言語情報を用いて名称を補完情報として表記している。しかし、補完情報は必須ではない点に留意すべきである。
【0048】
<変形例1-1>
実施例1では、構文生成部130はクライアント端末100に設けられている。しかしながら、これに限らず、構文生成部130はサーバ200に設けられていてもよい。
【0049】
<変形例1-2>
実施例1では、移動手段選択画面310、移動時間選択画面320、料金選択画面330それぞれの選択結果を論理積(AND条件)で連結して検索構文を生成した。しかしながら、これに限らず、論理和(OR条件)、論理否定(NOT条件)などで連結して検索構文を生成してもよい。この場合、入力部110では、OR条件やNOT条件を表す図記号を入力できるようにしてもよいし、“OR”や“NOT”という英単語を補完情報として入力できるようにしてもよい。
【0050】
<変形例1-3>
実施例1では、構文生成部130は、利用者が検索実行ボタン(図3の640)を押した時点の端末100の位置情報を、図2の位置情報取得部120から取得し、取得した位置情報をサーバ200へ送信している。しかしながら、これに限らず、位置情報取得部120は端末100の位置情報を取得しなくてもよい。
【0051】
例えば、図3の入力画面600に、案内用図記号(ピクトグラム)として観光スポットの種類を利用者に選択させる画面(不図示)を設け、観光スポットの種類として「レストラン」を選択し、さらに、レストランのランクを表示する星印(不図示)を案内用図記号(ピクトグラム)から選択した場合、十分に検索対象を絞ることができる検索構文を生成することができる。従って、情報検索部220が情報検索する際に、端末100の位置情報は必須とは限らない。
【実施例2】
【0052】
<構成>
図6は、実施例2に係る情報検索システム(クライアント端末1100およびサーバ1200)の概略構成を示す図である。実施例1で説明した入力部110は、キーワードをテキストで入力する場合に比べて、細かな条件を指定することが難しい。このため、利用者の細かな検索意図を反映しにくい。そこで、実施例2では情報推薦部800を新たに設けている。
【0053】
情報検索の処理、すなわち入力部110から情報検索部220までの処理は、実施例1と同じであり、説明は省略する。
【0054】
実施例2では、情報検索部220が情報記憶部500を検索し、検索結果の観光スポットを取得した後に、この検索結果の観光スポットを情報推薦部800へ送信する。そして、情報推薦部800は、検索結果の観光スポットに類似する観光スポットを関連性記憶装置900から検索し、類似する観光スポットを情報推薦結果として、情報検索部220へ返信する。関連性記憶装置900はサーバ200の内部に設けられていてもよい。また、外部の記憶装置として設けられていてもよい。
【0055】
図7は、関連性記憶装置900が記憶するデータの構造の概略を示す図である。データ構造は、各々の情報(ここでは観光スポット)をノード、情報と情報との関連性(観光スポット同士の共通な属性など)をリンクとするネットワーク構造である。このネットワーク構造は、テキストデータである観光スポットの名称および属性などをXML(Extensible Markup Language)データベースで構成されている。
【0056】
例えば、ノード「温泉1」とノード「温泉2」とは、共通の属性「温泉」でリンクされている。また、ノード「温泉1」とノード「温泉2」とは、共通の属性「宿泊可」および「大浴場」でリンクされ、かつ、移動時間「電車1時間」でもリンクされている。さらに、ノード「温泉1」は、ノード「水族館1」とは移動時間「電車30分」でリンクされ、ノード「タワー1」とは移動時間「電車1時間」でリンクされている。
【0057】
情報推薦部800は、検索結果の観光スポット「Onsen1」の名称情報を受け取ると、関連性記憶装置900から類似する観光スポットの名称情報、例えば、共通の属性「温泉」から類似観光スポット「Onsen2」を、共通の属性「宿泊可」および「大浴場」から類似観光スポット「ホテル1」を推薦する。
【0058】
図8は、実施例2に係る表示部160の結果表示画面の一例を示す図である。情報検索結果としての観光スポット“Onsen1”の観光スポット情報1010には、この観光スポットの空間イメージ写真が掲載される空間イメージ写真画面1020と、地理情報画面1030と、移動手段、電話番号、住所、入場料金、営業日、営業時間などの補完情報画面1040が表示される。そして、その下の類似観光スポット情報画面1050には、非言語情報としての空間イメージ写真が表示される。ここでは、4つの類似観光スポット情報の空間イメージ写真が表示されている。
【0059】
<動作>
図7の画面を見た利用者は、情報検索結果としての観光スポット情報1010が、利用者が選択した複数の非言語情報(検索条件)を満たしていれば、この観光スポットを観光してもよい。
【0060】
一方、利用者の検索条件を満たしていない場合、利用者は、検索をし直すのではなく、入力部110および表示部160が一体化されたタッチパネルディスプレイ上に類似観光スポット情報画面1050として表示される複数の空間イメージ写真から1つを選択することができる(すなわち、絞込み検索をする)。入力部110は、その選択結果を受け付け、再度、情報推薦部800に送る。
【0061】
そして、情報推薦部800は、その選択結果と直接関連がある情報、すなわち、選択した情報と直接リンクされている情報を取り出し、表示部160は、取り出した情報を表示する。
【0062】
実施例2によれば、利用者が絞込み検索をし、リンクされている情報の中から、条件に合う情報を表示することを繰り返すことによって、非言語情報を用いた情報検索の不都合を解消することができるという効果を有する。すなわち、キーワード入力に比べて、細かな条件を指定することができないという不都合を解消することができる。
【0063】
<変形例2-1>
図8の類似観光スポット情報画面1050では、4つの類似観光スポット情報を同等に表示した。しかしながら、関連性記憶装置900が各ノード(観光スポット)の関連性の強弱を有している場合、この情報推薦部800は関連性の強弱をランクとして推薦し、表示部160は推薦されたランクを類似観光スポット情報画面1050に表示してもよい。例えば、情報検索結果としての観光スポット1010と最も関連性の強い類似観光スポットにはランクとして星印を3つ付与し、その次に関連性の強い類似観光スポットには星印を2つ付与し、さらにその次に関連性の強い類似観光スポットには星印を1つ付与してもよい。
【0064】
<変形例2-2>
図6の関連性記憶装置900としては、複数の情報記憶装置500から、複数の検索結果を抽出し、これら複数の検索結果から、いわゆるビッグデータの解析を予め行うことによって、図7のネットワーク構造を求めてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施例(変形例を含む)について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施例を組み合わせて実施してもよい。あるいは、これらのうち、1つの実施例を部分的に実施してもよい。さらには、これらのうち、2つ以上の実施例を部分的に組み合わせて実施してもよい。
【0066】
例えば、本発明は、非言語情報を用いた情報検索システムであり、情報システムの実施運用形態によらず、また観光情報を扱うシステム以外、例えば、一般的なナビゲーションシステムにも適用できる。
【0067】
例えばWebシステムとして実施するならば、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ写真、地理情報を保持する記録媒体をWebサーバが保管し、それらの情報を用いてクライアント(Webブラウザ)に応答するWebシステムとしてもよい。また、Webサーバに記録媒体を持たせず、他のサーバから随時取得する方法にしてもよい。
【0068】
スマートフォン等の端末アプリケーションとして実施するならば、案内用図記号、アラビア数字、空間イメージ、地理情報の少なくとも1つで、検索語入力を実施してもよい。これらの情報は端末に保持してもよいし、サーバに保持しておきアプリケーションからの要求に応じて、これらの情報を転送してもよい。
【0069】
本発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。例えば、入力部110および表示部160は同一のタッチパネルディスプレイとして構成されていると記載したが、別々のタッチパネルディスプレイとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
100、1100 クライアント端末
200、1200 サーバ
110 入力部
120 位置情報取得部
130 構文生成部
140、230 送信部
150、210 受信部
160 表示部
220 情報検索部
500 情報記憶装置
800 情報推薦部
900 関連性記憶装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8