(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】オープンクロスフロー水車発電装置
(51)【国際特許分類】
F03B 11/00 20060101AFI20221118BHJP
F03B 7/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
F03B11/00 A
F03B7/00
(21)【出願番号】P 2018229353
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000242530
【氏名又は名称】北菱電興株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518434968
【氏名又は名称】アークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】山本 潔
(72)【発明者】
【氏名】松下 正人
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久和
(72)【発明者】
【氏名】北田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 裕士
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-125906(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104895730(CN,A)
【文献】特開昭52-053160(JP,A)
【文献】国際公開第2012/063255(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 11/00
F03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する左右のチャンネル状の縦部材を横部材の両端に立設する基礎フレームと、前記縦部材を介して左右の支柱部材を前記横部材上の下部材の両端に立設する架台フレームと、個別の支持スタンドを介して前記下部材上に直線状に配列して積載する一対のランナと、前記各支柱部材の上端に搭載する一対の発電機とを備えてなり、前記各ランナ、発電機は、前記各支柱部材に組み込む動力伝達機構を介して個別に連結し、
前記各ランナの間には、前記各ランナの軸受を共通に覆うカバーを設け、該カバーの上部は、前記各ランナと実質的に同径の円弧状に形成することを特徴とするオープンクロスフロー水車発電装置。
【請求項2】
前記ランナの上流側には、水位を上昇させる傾斜板を設置することを特徴とする請求項
1記載のオープンクロスフロー水車発電装置。
【請求項3】
前記傾斜板の先端部には、前記ランナの外周に沿って湾曲し、越流する水を前記ランナ上に導いて流下させる導水材を付設することを特徴とする請求項
2記載のオープンクロスフロー水車発電装置。
【請求項4】
前記導水材には、前記ランナの外周に沿って湾曲する補助材を前記各ランナごとに高さ調節可能に付設することを特徴とする請求項
3記載のオープンクロスフロー水車発電装置。
【請求項5】
相対向する左右のチャンネル状の縦部材を横部材の両端に立設する基礎フレームと、前記縦部材を介して左右の支柱部材を前記横部材上の下部材の両端に立設する架台フレームと、個別の支持スタンドを介して前記下部材上に直線状に配列して積載する一対のランナと、前記各支柱部材の上端に搭載する一対の発電機とを備えてなり、前記各ランナ、発電機は、前記各支柱部材に組み込む動力伝達機構を介して個別に連結し、前記ランナの上流側には、水位を上昇させる傾斜板を設置し、前記傾斜板の先端部には、前記ランナの外周に沿って湾曲し、越流する水を前記ランナ上に導いて流下させる導水材を付設し、前記導水材には、前記ランナの外周に沿って湾曲する補助材を前記各ランナごとに高さ調節可能に付設することを特徴とす
るオープンクロスフロー水車発電装置。
【請求項6】
前記ランナ、支持スタンド、発電機、動力伝達機構は、各一対2組を設けるに代えて、各1個1組を設けることを特徴とする請求項
5記載のオープンクロスフロー水車発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動作信頼性が高く、設置工事や保守点検作業等が容易なオープンクロスフロー水車発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小河川や農業用水などの開水路には、落差工を利用して水車発電装置を設備することがあり、この場合の水車としては、上流側からのごみや異物などによるトラブルが少ない点で、オープンクロスフロー水車と呼ばれている水車が殊に好適である。周知のとおり、オープンクロスフロー水車は、水流の一部をランナ上に越流させながら運転し、ごみや異物などを下流側に円滑に放流させることができるからである。ただし、ここでいう「オープン」は、水車ケーシングがない「開放形」を意味している。
【0003】
従来のオープンクロスフロー水車発電装置は、水路を横断して落差工の下流側に設置する基礎フレームと、基礎フレームの左右のチャンネル状の縦部材を介して設置する門形の架台フレームとを設け、架台フレームの下部にオープンクロスフロー水車のランナを組み付けるとともに、架台フレームの上部の横部材上に発電機を設置して構成されている(特許文献1)。ランナと発電機との間は、方向変換用のギヤボックスを含む動力伝達機構を介して連結されており、動力伝達機構は、架台フレームの一方の支柱部材に組み付けられている。
【0004】
なお、水路幅が大きく、ランナの軸方向の長さが長い場合には、架台フレームの左右の支柱部材にそれぞれ動力伝達機構を組み込み、ランナの軸の両端を各動力伝達機構に連結するとともに、双方の動力伝達機構の出力軸を横部材上の共通の発電機に連結する構成も提案されている(非特許文献1)。動力伝達機構を左右の2系統に分割することにより、ギヤボックスなどの動力伝達機構の構成部材を小形化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】大分県大分市所在の(株)ターボブレード社ホームページ、https://www.turboblade.jp/koredeki_s_water_03.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる従来技術によるときは、ランナ、発電機の他、ギヤボックスを含む動力伝達機構の全部が架台フレームに一体に組み付けられているため、架台フレームの全体重量が大きくなって大形のクレーン設備が必要になり、設置工事や保守点検作業等が煩雑になりがちであるという問題があった。また、従来技術の後者によるときは、ランナの両端に連結する2系統の動力伝達機構の出力軸を共通の発電機に連結するため、ランナの軸方向の捻れ等に起因するギヤボックスの故障や破損等を招き易く、全体の動作信頼性を損うことが少なくないという問題があった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、支持スタンドを介して左右一対のランナを架台フレームの下部材に組み付けるとともに、各ランナから各発電機に至る独立の2系統の動力伝達機構を設けることによって、動作信頼性が高く、設置工事や保守点検作業等が容易なオープンクロスフロー水車発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、相対向する左右のチャンネル状の縦部材を横部材の両端に立設する基礎フレームと、縦部材を介して左右の支柱部材を横部材上の下部材の両端に立設する架台フレームと、個別の支持スタンドを介して下部材上に直線状に配列して積載する一対のランナと、各支柱部材の上端に搭載する一対の発電機とを備えてなり、各ランナ、発電機は、各支柱部材に組み込む動力伝達機構を介して個別に連結し、各ランナの間には、各ランナの軸受を共通に覆うカバーを設け、カバーの上部は、各ランナと実質的に同径の円弧状に形成することをその要旨とする。
【0010】
なお、ランナの上流側には、水位を上昇させる傾斜板を設置してもよく、傾斜板の先端部には、ランナの外周に沿って湾曲し、越流する水をランナ上に導いて流下させる導水材を付設してもよく、導水材には、ランナの外周に沿って湾曲する補助材を各ランナごとに高さ調節可能に付設してもよい。
【0011】
請求項5の発明の構成は、相対向する左右のチャンネル状の縦部材を横部材の両端に立設する基礎フレームと、縦部材を介して左右の支柱部材を横部材上の下部材の両端に立設する架台フレームと、個別の支持スタンドを介して下部材上に直線状に配列して積載する一対のランナと、各支柱部材の上端に搭載する一対の発電機とを備えてなり、各ランナ、発電機は、各支柱部材に組み込む動力伝達機構を介して個別に連結し、ランナの上流側には、水位を上昇させる傾斜板を設置し、傾斜板の先端部には、ランナの外周に沿って湾曲し、越流する水をランナ上に導いて流下させる導水材を付設し、導水材には、ランナの外周に沿って湾曲する補助材を各ランナごとに高さ調節可能に付設することをその要旨とする。
【0012】
さらに、ランナ、支持スタンド、発電機、動力伝達機構は、各一対2組を設けるに代えて、各1個1組を設けることできる。
【発明の効果】
【0013】
かかる発明の構成によるときは、架台フレームの下部材上に積載する一対のランナは、それぞれ各支柱部材に組み込む動力伝達機構を介して各支柱部材の上端の発電機に個別に連結されている。そこで、ランナから発電機に至る動力伝達機構の各構成部材には、ランナの捻れ等に起因する過大な力が負荷されるおそれがなく、全体として高度の動作信頼性を容易に実現することができる。また、各ランナは、架台フレームに対し、支持スタンドと一体のまま個別に搬出入可能である上、各支柱部材は、発電機や動力伝達機構のギヤボックス、回転軸などとともに、下部材上に個別に搬出入可能であるから、過大なクレーン設備を使用する必要がなく、設置工事や保守点検作業等を含む維持管理業務を容易にし、簡便にすることができる。
【0014】
ただし、各支持スタンド、各支柱部材は、たとえばねじ止めなどにより下部材に対して着脱自在に固定するものとし、各ランナと各支柱部材内のギヤボックスとの間は、たとえばフランジ継手のような分離可能な継手を介して連結するものとする。また、基礎フレームは、開水路の落差工の下流側において、架台フレーム上のランナを適位置に位置決めするように設置するものとする。なお、一対のランナの一方だけを取り外すことにより、他方のランナ、発電機だけによる片側運転も可能である。ただし、このとき、取り外したランナ側の水は、ランナが存在する場合と同様にして下流側に放流させればよい。
【0015】
各ランナの間に設けるカバーは、水路の中央に位置して隣接する各ランナの片側の軸受を水流から保護するとともに、各ランナと実質的に同軸同径の円弧状に形成することにより、各ランナに対すると同等の水量を越流させ、上流からのごみや異物等を下流側に円滑に放流させることができる。
【0016】
ランナの上流側の傾斜板は、落差工の上流側の水位を上昇させ、傾斜板を越流する水をランナ上に効率よく流下させ、越流させる。また、傾斜板の先端部の導水材は、上流側の水位をさらに高め、越流する水をランナ上の適位置に導いて流下させることができ、導水材に付設する補助材は、導水材を越流する水位を調節し、水路の水量の多少などにより、適宜高さ調節してランナ上への水の流下位置を一層容易に微調整することがきる。
【0017】
ランナ、支持スタンド、発電機、動力伝達機構を各1個1組だけ設ければ、水路の幅が小さい場合の水車発電装置として一層使い勝手を向上させることができる。ただし、この場合の発電機、動力伝達機構は、架台フレームの一方の支柱部材だけに組み込めばよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0020】
オープンクロスフロー水車発電装置は、基礎フレーム10、架台フレーム20、一対のランナ31、31、一対の発電機32、32を主要部材としてなり(
図1、
図2)、水路Wの落差工W1 の下流側に設置されている。ただし、各ランナ31は、開水路の水路Wに設置する横軸形のオープンクロスフロー水車である。
【0021】
基礎フレーム10は、角筒状の横部材11の両端に左右のチャンネル状の縦部材12、12を立設して構成されている(
図1、
図3)。ただし、
図3(A)~(C)は、それぞれ基礎フレーム10の正面図、平面図、側面図であり、
図3(D)、(E)は、それぞれ同図(A)のX-X線矢視相当端面図、Y-Y線矢視相当断面図である。
【0022】
基礎フレーム10の横部材11は、落差工W1 の下流側の水叩きW2 上において、水路Wを横断するようにして設置されている。また、左右の縦部材12、12は、それぞれ水路Wの両岸の壁面W3 に埋め込まれており、水路Wを介して相対向している。なお、
図3において、斜線部分は、水路Wの壁面W3 のコンクリートに接触する部分を示している。
【0023】
架台フレーム20は、角筒状の下部材21の両端に左右の支柱部材22、22を立設して構成されている(
図1、
図2)。ただし、
図2において、左右の縦部材12、12、支柱部材22、22は、それぞれ中央縦断面図、外形図として図示されている。横部材11、下部材21の破断線Kの左側部分、右側部分についても同様である。下部材21は、基礎フレーム10の横部材11上に設置されており、左右の支柱部材22、22は、それぞれ左右の縦部材12、12を介して立設されている。なお、各支柱部材22の上端部には、内向き、外向きの各一対の吊上げ用の舌片22a、22a、22b、22bが付設されている。
【0024】
左右一対のランナ31、31は、それぞれ個別の支持スタンド33を介し、架台フレーム20の下部材21上に一直線状に配列して積載されている。すなわち、各ランナ31の軸31aは、支持スタンド33の左右の脚33a、33aの上端の軸受31b、31bを介して回転自在に支持されている。各支持スタンド33は、ベース板33bの両端に脚33a、33aを立設するとともに(
図4)、各脚33aの左右両側、脚33a、33aとベース板33bとの間には、それぞれ補強用のリブ板33c、33c、33dが付設されている。また、各脚33aの上端には、軸受31b用の支承板33eが固定され、一方の脚33aの上端部には、支承板33eの左右に突出する棚板33f、33fが支承板33eよりやや低い位置に付設されている。ただし、
図4(A)~(C)は、それぞれ支持スタンド33の正面図、平面図、棚板33f、33fがない側の側面図である。
【0025】
各ランナ31の軸31aの支柱部材22側の一端は、フランジ継手31cを介し、支柱部材22内のギヤボックス41に連結されている(
図2)。ギヤボックス41は、マイタギヤまたはベベルギヤなどを内蔵する方向変換用のギヤボックスであり、ギヤボックス41の上向きの出力軸は、回転軸42、増速用のギヤボックス43を介して立軸形の発電機32の下向きの軸端に連結されている。なお、ギヤボックス41、回転軸42、ギヤボックス43は、支柱部材22に組み込む動力伝達機構40を形成しており、発電機32は、支柱部材22の上端において、ギヤボックス43を収納する支持架台32aの上面に下向きに搭載されている(
図1、
図2)。ただし、増速用のギヤボックス43は、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。
【0026】
ランナ31、31の間には、互いに隣接する各ランナ31の片側の軸受31b、31bを共通に覆うカバー34が設けられている。カバー34は、下部開放の半月形の本体部34aの下端に底板34bを付設して構成されている(
図5)。本体部34aの一端は、底板34bとともに閉じられており、他端部は、斜めに切り欠いて開口部34cが形成されている。ただし、
図5(A)~(C)は、それぞれカバー34の正面図、底面図、開口部34c側の側面図である。
【0027】
カバー34は、左右の支持スタンド33、33の隣接する脚33a、33aの各棚板33f、33f上のスペーサ34d、34dを介して固定されている(
図1、
図2)。ただし、
図1には、一方の支持スタンド33の脚33a上の軸受31b、スペーサ34dのみが図示されており、
図2には、スペーサ34d、34dの図示が省略されている。また、カバー34は、開口部34cを水路Wの下流側に向けるものとし、本体部34aの上部は、各ランナ31と実質的に同軸同径の円弧状に湾曲しているものとする。
【0028】
水路Wの落差工W1 の上方には、水路Wの上流側からの水をランナ31、31に適切に導くために、導水部材50が配設されている(
図1、
図6)。
【0029】
導水部材50は、落差工W1 の上端からランナ31、31に向けて斜め上向きに突出する傾斜板51と、傾斜板51の左右両端において、水路Wの下流側に向けて斜めに対称的に突出する垂直のガイド板52、52と、ガイド板52、52の下流側の先端から水路Wと平行にランナ31、31の上方に伸びる平行板53、53とを一体に組み立てて構成されている(
図1、
図7)。なお、傾斜板51、ガイド板52、52は、それぞれ水平の取付部51a、垂直の取付部52a、52aを介し、落差工W1 の上流側の水路Wの底面W4 、壁面W3 、W3 に固定されている。また、各平行板53の下端は、ランナ31の外周に沿って円弧状に切り欠かれており、傾斜板51の下面側、各ガイド板52、平行板53の裏面側には、それぞれ適切な枚数の補強リブ51b、52b、53aが付設されている。
【0030】
傾斜板51の先端部上面には、横長の導水材54が付設されており、導水材54には、横長の補助材55、55が付設されている。なお、導水材54は、ランナ31、31に共通であり、補助材55、55は、それぞれランナ31に個別に対応している。また、導水材54、各補助材55は、ランナ31の外周に沿って短辺方向に湾曲されている(
図1、
図8(A)、(B))。ただし、
図8(A)、(B)は、それぞれ導水材54と補助材55、55の分解正面図、分解側面図、同図(C)は、導水材54の平面図、同図(D)、(E)は、それぞれ導水材54に対する補助材55、55の組立形態を示す平面図である。
【0031】
導水材54は、上面側に凸に湾曲するとともに、複数のリブ54b、54b…を上面に有する本体板54aと、本体板54a、リブ54b、54b…の基部に共通の取付板54cとを一体に組み立てて構成されている(
図8(A)~(C))。本体板54aには、下面側にナット54dを固定する複数のボルト孔が短辺方向に複列に形成されており、各補助材55には、本体板54a側のボルト孔に対応するボルト孔55a、55a…が短辺方向に複列に形成されている。そこで、各補助材55は、適切なボルト孔55aを選択して本体板54a側のナット54dにボルトを螺合することにより、導水材54に対して高さ調節可能にねじ止めすることができる(
図8(D)、(E))。
【0032】
ただし、
図8(D)は、導水材54に対して補助材55、55を最も低くセットした形態を示し、同図(E)は、最も高くセットした形態を示している。また、
図1、
図6、
図7において、導水材54、補助材55、55は、
図8(D)の形態に合わせて図示されている。
【0033】
なお、各補助材55には、導水材54のリブ54bを収納するために、短辺方向のスリット55bが形成され(
図8(A))、補助材55、55を突き合せた部分にリブ54bを収納できるように、対向する短辺上に切欠き55c、55cが形成されている。また、導水材54は、取付板54cのボルト孔54e、54e…を利用して傾斜板51の先端部にねじ止めすることができる(
図1、
図8(C))。
【0034】
ランナ31、31は、水路Wの上流側からの水が傾斜板51、導水材54、補助材55、55を越えて流下することにより回転する。そこで、各ランナ31は、対応する側の動力伝達機構40のギヤボックス41、回転軸42、ギヤボックス43を介して発電機32を回転駆動し、個別に発電することができる。
【0035】
一方、各ランナ31は、対応するギヤボックス41との間のフランジ継手31cを切り離すとともに(
図9)、クレーン車などのクレーン設備のフックFからの吊りワイヤS1 、吊り部材S2 、吊りワイヤS3 、S3 を介して軸31aの両端部を吊下することにより、支持スタンド33と一体のまま架台フレーム20の下部材21上から外部に搬出し、外部から下部材21上に搬入することがきる。また、架台フレーム20の各支柱部材22は、内蔵のギヤボックス41と対応のランナ31との間のフランジ継手31cを切り離すとともに(
図10)、クレーン設備のフックFからの吊りワイヤS1 を吊上げ用の舌片22a、22a、22b、22bに掛けて吊下することにより、内蔵の動力伝達機構40、発電機32と一体のまま、基礎フレーム10の縦部材12を介して架台フレーム20の下部材21上に搬出入することができる。
【0036】
なお、各支持スタンド33、各支柱部材22は、それぞれ下部材21に対して着脱自在にねじ止めされている。また、
図10において、1組の舌片22a、22bのみが図示されている。
【0037】
以上の説明において、ランナ31、31は、軸31a方向に同一長さとし、発電機32、32は、同容量とするだけでなく、ランナ31、31の長さをたとえば1:2に異ならせ、対応する発電機32、32の容量を異ならせてもよい。また、架台フレーム20上には、各1個1組のランナ31、支持スタンド33、発電機32、動力伝達機構40を設けてもよく、このとき、発電機32、動力伝達機構40は、一方の支柱部材22に搭載し、収納すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、上流側からのごみや異物などによるトラブルが少ないというオープンクロスフロー水車の特性を保持しながら、維持管理業務に必要なクレーン設備を小形化することができるため、アクセス事情がよくないサイト等であっても容易に対処可能であり、任意の開水路に設置する水車発電設備として広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10…基礎フレーム
11…横部材
12…縦部材
20…架台フレーム
21…下部材
22…支柱部材
31…ランナ
31b…軸受
32…発電機
33…支持スタンド
34…カバー
40…動力伝達機構
51…傾斜板
54…導水材
55…補助材
特許出願人 北菱電興株式会社
アークス株式会社