(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】部品及びその部品が備えられた腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナー
(51)【国際特許分類】
A44C 27/00 20060101AFI20221118BHJP
A45C 13/00 20060101ALI20221118BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A44C27/00
A45C13/00 Z
G09F3/02 Z
(21)【出願番号】P 2019507723
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(86)【国際出願番号】 JP2018011229
(87)【国際公開番号】W WO2018174110
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2017059129
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内海 秀太
(72)【発明者】
【氏名】柴田 進
(72)【発明者】
【氏名】竹内 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】濱倉 信行
(72)【発明者】
【氏名】今 一恵
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3123695(JP,U)
【文献】特開2008-178915(JP,A)
【文献】特開平07-043477(JP,A)
【文献】実開平04-079287(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00-3/00
A44C 7/00-27/00
A45C 13/00
G09F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の部材で構成され、
第一の部材が、サファイア単結晶、ルビー単結晶、石英ガラス、ダイヤモンド単結晶の何れかから形成されており、
文字、図形、記号の何れかが、第一の部材の面に凹状に形成されており、
凹状の箇所の内部に発光材が配置されており、
発光材に波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に、発光材が発光し、
凹状の箇所の開口部が
金、銀、或いは有色の金属膜又は
カラーインクで覆われている部品。
【請求項2】
前記文字、前記図形、前記記号の大きさが、10μm未満の範囲内に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品が備えられた、腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品及びその部品が備えられた腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナー等に関する。
【背景技術】
【0002】
有名ブランドの腕時計、宝飾品、バッグ、装身具と云った様々な製品に関して、模倣品による被害が年々広がっている。模倣品が企業に与える被害は大きく、例えば低価格の模倣品が出回ると真正品の販売機会の損失だけでなく、ビジネスモデルの破綻にもなりかねない。また粗悪な模倣品により悪い風評が広がると、長年に亘って育んできたブランドイメージの信用を失うことにもなりかねない。
【0003】
そこで、模倣品による被害を防ぐために、真正品と模倣品を識別する偽造防止技術が開発されており、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1には、腕時計のケース部品に固着された透明プレートを有し、このプレートを通して記号情報を読み込む事が出来ると云う、記号情報の保護装置が開示されている。記号情報としては、腕時計の出所を示す製造マークや商標が挙げられており、これら記号情報を透明プレートと腕時計のケース部品との間にサンドイッチすることで、剥離不能に接着している。従って腕時計の購入者が、記号情報が真性かどうか目視で確認する事が出来るとしている。
【0005】
特許文献1記載の保護装置は偽造防止効果を有するものの、腕時計に必要な装飾性を付加する事は、何ら考慮されていなかった。
【0006】
そこで腕時計に別途、装飾性を付加する先行技術として、例えば特許文献2が挙げられる。特許文献2には、自由に発光部を発光させて、色彩性及び装飾性に優れた時計ガラスとして、2枚の透明なガラス板を上下に積層した2層構造の時計ガラスが開示されている。2枚のガラス板は透明な接着剤により貼り合わされており、これらガラス板の間には更に発光部が設けられている。この発光部は、波長350~420nm又は254~365nmの紫外線に反応して発光するため、色彩性および装飾性に優れた時計ガラスを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭58-044381号公報
【文献】特開2003-186429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特許文献2では、発光層を時計ガラスの全面に設ける構造であった。従って、発光部を時計ガラスとは別に設ける必要性があり、製造コストの高騰を招くと共に、他製品への水平展開の阻害要因となっていた。よって最小限の発光部の構成で、偽造防止効果を確保しながら、更に装飾性を向上させることが出来なかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、製造コストを抑制しつつ装飾性を向上させることが出来ると共に偽造防止効果も有し、他製品への水平展開が可能な部品と、その部品が備えられた腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナー等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の部品は、少なくとも第一の部材で構成され、第一の部材が、サファイア単結晶、ルビー単結晶、石英ガラス、ダイヤモンド単結晶の何れかから形成されており、文字、図形、記号の何れかが、第一の部材の面に凹状に形成されており、凹状の箇所の内部に発光材が配置されており、発光材に波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に、発光材が発光し、凹状の箇所の開口部が金、銀、或いは有色の金属膜又はカラーインクで覆われていることを特徴とする。
【0012】
更に本発明の部品の他の実施形態は、文字、図形、記号の大きさが、10μm未満の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナーは、前記部品が備えられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る部品に依れば、最小限の発光材の配置又は構成とすることができ、部品の製造コストを抑制しつつ識別認知性を向上させることが可能となる。
【0015】
更に、波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に発光する発光材を部品に用いる事で、市販のいわゆるブラックライトと呼ばれる波長が250nm以上400nm以下の紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)の照射により、容易に発光の有無を確認する事が可能となる。更にこの発光を部品の真贋判定及び偽造防止対策にも使用することが出来る。
【0016】
更に、発光材が配置されている凹状の箇所の開口部を、膜又はインクで覆う事により、目視により部品を一見しただけでの偽造防止対策の発光材の有無発見を、困難なものとすることが出来る。よって部品の偽造防止効果を高めることが可能となる。また、膜又はインクにより、部品の装飾性を向上させることが出来る。
【0017】
更に、第一の部材の面に凹状に形成される文字、図形、記号の大きさを、10μm未満の範囲内に設定することにより、文字、図形、記号を目視により一見しただけでの発見を、困難なものとすることが出来る。従って、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
【0018】
以上の効果を有する部品を、腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナーに備える事で、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
【0019】
更にこのような部品を、腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナーに備える事により、本発明に係る部品を他製品へ水平展開する事が出来る。特に、タグやファスナー等に備える事で、更に他製品等にも本発明に係る部品を使用する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a) 本発明の実施例に係る部品を示す平面図である。(b)
図1(a)の部品の側面図である。
【
図2】
図1に示す部品に形成されている、文字部分及び膜の部分拡大側断面図である。
【
図3】本実施例に係る部品を備えるリングの模式図である。
【
図4】本実施例に係る部品を備えるイヤリングの模式図である。
【
図5】本実施例に係る部品を備える部品を備えるバッグの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施の形態の第一の特徴は、少なくとも第一の部材で構成され、第一の部材が、サファイア単結晶、ルビー単結晶、石英ガラス、ダイヤモンド単結晶の何れかから形成されており、文字、図形、記号の何れかが、第一の部材の面に凹状に形成されており、凹状の箇所の内部に発光材が配置されており、発光材に波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に、発光材が発光し、凹状の箇所の開口部が金、銀、或いは有色の金属膜又はカラーインクで覆われている部品とした事である。
【0023】
これらの構成に依れば、発光材の配置部分を文字や、図形、記号の凹状の箇所のみに抑えているので、最小限の発光材の配置又は構成とすることができ、部品の製造コストを抑制しつつ識別認知性を向上させることが可能となる。
【0024】
更に、波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に発光する発光材を部品に用いる事で、市販のいわゆるブラックライトと呼ばれる波長が250nm以上400nm以下の紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)の照射により、容易に発光の有無を確認する事が可能となる。更にこの発光を部品の真贋判定及び偽造防止対策にも使用することが出来る。
【0025】
更に、発光材が配置されている凹状の箇所の開口部を、膜又はインクで覆う事により、目視により部品を一見しただけでの偽造防止対策の発光材の有無発見を、困難なものとすることが出来る。よって部品の偽造防止効果を高めることが可能となる。また、膜又はインクにより、部品の装飾性を向上させることが出来る。
【0026】
なお本発明に於いて、文字又は図形又は記号としては、アルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、漢数字、符号等のあらゆる文字や、ブランドロゴを含むものとする。また図形としては、円や三角形又は四角形といった基本的な図形や、より複雑な幾何学模様、又はブランドや製造者を示すトレードマークも含むものとする。
【0027】
第二の特徴は、文字、図形、記号の大きさが、10μm未満の範囲内に設定されている事である。
【0028】
なお本発明に於いて、文字、図形、記号の大きさが10μm未満の範囲内とは、部品を平面方向から肉眼で目視した際の、文字、図形、記号それぞれの縦横の何れの大きさも10μm未満の範囲内に設定されているものとする。本発明では、人の肉眼が文字、図形、記号を認識可能な限度を10μm未満と定義する。従って、文字、図形、記号の大きさが10μm以上の場合は、本発明では人の肉眼が文字、図形、記号が認識可能であるとしている。
【0029】
この構成に依れば前記各効果に加えて、文字、図形、記号を目視により一見しただけでの発見を、困難なものとすることが出来る。従って、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
【0030】
第三の特徴は、前記何れかの部品が備えられた、腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナーとした事である。
【0031】
この構成に依れば、前記各効果に加えて、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
【0032】
更にこのような部品を、腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナーに備える事により、本発明に係る部品を他製品へ水平展開する事が出来る。特に、タグやファスナー等に備える事で、更に他製品等にも本発明に係る部品を使用する事が可能となる。
【0033】
以下に本発明に係る実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
以下、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施例に係る部品を説明する。
図1(a)は平面図、同図(b)は側面図、
図2は部分拡大側断面図である。本実施例に係る部品1は、少なくとも第一の部材2のみで構成されている(以下、必要に応じて単に、「部材2」と記載する)。
図1と
図2には、部品1を構成する部材2の表面2a上への発光材5の配置の構成形態が、一例として図示されている。
【0035】
図1より部材2の外形形状は、円形の板状に成形されている。部材2は、サファイア単結晶、ルビー単結晶、ダイヤモンド単結晶又は石英ガラスの何れかで形成されている。このような材料を研削、研磨により円形の板状に成形する。部材2を形成する材料の透過率は、分光光度計で透過率を測定した際に、例えば400nm~800nmの波長範囲での透過率が所定値(例えば80%以上)を満足すれば良い。
【0036】
部材2を形成する各材料は、公知の方法を用いて作製すれば良い。サファイア単結晶やルビー単結晶の場合、EFG(Edge-defined Film-fed. Growth)法、キロプロス法、チョクラスルキー法、ベルヌーイ法、垂直ブリッジマン法などによって育成成長されたものを用いる。ダイヤモンド単結晶は、エピタキシャル法により形成すれば良い。
【0037】
例えばサファイア単結晶で部材2を形成する場合、結晶面方位として例えば表面2aをc面とするものを用いれば良いが、c面に限定されず、r面、a面、m面等、所望の結晶面を表面として良い。
【0038】
部材2の平面形状は、
図1に示すような円形、又は図示しない異形とすることも出来る。部材2の平面形状が異形とは、部材2の平面形状が、正方形、長方形、楕円形、頂点3つ以上の多角形、星形の何れかの形状を指すものとする。更に頂点3つ以上の多角形に成形する場合、各頂点を丸めて角丸が複合した平面形状に変更しても良い。
【0039】
部材2の表面2a上に、文字、図形、記号の何れかが凹状に形成される。本実施例では、部材2の表面2a上に、発光材5の配置箇所の一形態として、アルファベットAの文字4が凹状に形成されている。その凹状の箇所2bの部分拡大側断面図を、
図2に示す。文字又は図形又は記号としては、アルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、漢数字、符号等のあらゆる文字や、ブランドロゴを含む。また図形としては、円や三角形又は四角形といった基本的な図形や、より複雑な幾何学模様、又はブランドや製造者を示すトレードマークも含む。
【0040】
文字4、図形、記号の凹状の箇所2bの形成は、レーザ走査により行えば良い。なおレーザ走査に対する耐性の点から、部材2の材料はサファイア単結晶、ルビー単結晶、ダイヤモンド単結晶がより好ましい。サファイア単結晶としては、無色のサファイア単結晶や、ピンク等の有色のサファイア単結晶のどちらでも良い。また凹状の箇所2bの深さは、種々設定可能であるが、一例として0.05mm~0.15mmの範囲内に設定可能である。
【0041】
更に
図2に示すように、文字4等の凹状の箇所2bの内部に、発光材5が配置される。発光材5としては、紫外線領域(波長250nm以上~400nm以下)の光を発光する蓄光体(燐光体)、蛍光体、又は発光ガラスが用いられる。蓄光体(燐光体)としては、アルミナ系酸化物の無機顔料、硫化物系顔料が挙げられ、蛍光体としては蛍光インクが挙げられる。
【0042】
このようにして形成された部品1に、外部から波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に、発光体5が発光する。好ましくは部品1を暗闇に置くとより発光が効果的に現れる。ライトとしては、いわゆるブラックライトと呼ばれる波長が250nm以上400nm以下の紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)が好適である。このようなライトから出射される紫外線領域波長の光に反応して、発光材5により文字4、図形又は記号部分が有色発光する。より詳述すると、文字4、図形又は記号は、発光材5を構成する材料により、250nm以上400nm以下の紫外線領域波長を有する光を発光する。
【0043】
これらの構成に依れば、発光材5の配置部分を文字4や、図形、記号の凹状の箇所2bのみに抑えているので、最小限の発光材5の配置又は構成とすることができ、部品1の製造コストを抑制しつつ識別認知性を向上させることが可能となる。
【0044】
更に、波長250nm以上400nm以下の光が照射された時に発光する発光材5を部品1に用いる事で、市販のいわゆるブラックライトと呼ばれる波長が250nm以上400nm以下の紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)の照射により、容易に発光の有無を確認する事が可能となる。更にこの発光を部品1の真贋判定及び偽造防止対策にも使用することが出来る。
【0045】
更に部品1は
図2に示すように、発光材5が配置された凹状の箇所2bの開口部が、膜又はインク3で覆われる事がより好ましい。その理由として、発光材5が配置されている凹状の箇所2bの開口部を、膜又はインク3で覆う事により、目視により部品1を一見しただけでの偽造防止対策の発光材5の有無発見を、困難なものとすることが出来るためである。よって部品1の偽造防止効果を高めることが可能となる。
【0046】
膜3は、凹状の箇所2bが形成されている側の表面2a上に任意に形成可能であるが、本実施例では一例として、スパッタ法による膜が挙げられ、金、銀、或いは任意の有色(青色等)の金属膜が形成可能である。金属膜の厚みは任意に設定可能であるが、一例として50nm以上~200nm以下に設定可能である。
【0047】
またインク3としては、顔料インクや印刷インキ等のカラーインクを、凹状の箇所2bが形成されている側の表面2a上に塗布すれば良い。このような膜又はインク3により、部品1の装飾性を向上させることが出来る。
【0048】
なお表面2aには、表面粗さRaが0.1μm以下となるように鏡面研磨を施す。Raの測定は表面粗さ測定機により行えば良い。
【0049】
更に、文字4、図形、記号の大きさは、10μm未満の範囲内に設定されていることが、より好ましい。その理由として、文字4、図形、記号の大きさを、10μm未満の範囲内に設定することにより、文字4、図形、記号を目視により一見しただけでの発見を、困難なものとすることが出来るためである。従って、部品1を真性品の腕時計等に備えた場合、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
【0050】
なお文字4、図形、記号の大きさが10μm未満の範囲内とは、部品1を平面方向(例えば、
図1に示すように部品1を目視する方向)から肉眼で目視した際の、文字4、図形、記号それぞれの縦横の何れの大きさも10μm未満の範囲内に設定されているものとする。本発明では、人の肉眼が文字4、図形、記号を認識可能な限度を10μm未満と定義する。従って、文字4、図形、記号の大きさが10μm以上の場合は、本発明では人の肉眼が文字4、図形、記号が認識可能であるとしている。
【0051】
部品1を腕時計や宝飾品、バッグ、装身具(リング、ネックレス、イヤリング、ブレスレット等)、タグ、又はファスナーに備える事で、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
図3に部品1を備えるリング6を、
図4に部品1を備えるイヤリング7を、
図5に部品1を備えるバッグ8の模式図を、それぞれ示す。
【0052】
更に部品1を他製品へ水平展開する事が出来る。特に、タグやファスナー等に備える事で、更に他製品等にも本発明に係る部品を使用する事が可能となる。
【0053】
部品1を、一例として腕時計の文字盤を保護するカバー部品として用いる場合、
図1における部品1の外形寸法としては、直径22mm前後~約33mm程度、厚さを1mm前後~2mm程度に設定すれば良い。もちろん、部品1を備える腕時計、宝飾品、バッグ、装身具、タグ、ファスナーの仕様に応じて、寸法は種々設定可能である。
【0054】
なお、上記実施例はその技術的思想により種々変更可能であり、例えば部材2の外形形状は板状部材に限定されず、例えばリング形状でも良い。
【符号の説明】
【0055】
1 部品
2 第一の部材
2a 第一の部材の表面
2b 凹状の箇所
3 膜又はインク
4 文字
5 発光材
6 リング
7 イヤリング
8 バッグ