(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ログイン管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20221118BHJP
G06F 21/35 20130101ALI20221118BHJP
【FI】
G06F21/31
G06F21/35
(21)【出願番号】P 2022154359
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522250482
【氏名又は名称】株式会社MEDIUS
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】久米 隆司
【審査官】平井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-196241(JP,A)
【文献】特開平11-306171(JP,A)
【文献】特開2015-184840(JP,A)
【文献】特開2001-109537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F21/00-88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ情報発生手段とユーザ情報読取手段とを備え、記憶手段と処理手段と表示手段とからなる情報処理手段において、前記表示手段に表示された所定の画面構成を有する情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させるログイン管理システムであって、
前記ユーザ情報発生手段には、複数組の前記ユーザ情報と前記ユーザ情報を格納させた格納部番号の組が予め記憶され、
前記ユーザ情報発生手段と前記ユーザ情報読取手段との近接により、前記複数組の前記ユーザ情報と前記格納部番号の組が発生され、
前記情報表示は、アプリケーション又はウェブサイトのいずれかにより表示された、予め登録されている一群の情報表示のいずれかとされ、
前記記憶手段と前記処理手段とが、中継手段とされ、
前記中継手段をなす前記記憶手段が、前記一群の情報表示の各々と、前記情報表示に表示される前記ユーザ入力欄に付された入力欄番号と、前記格納部番号とを対応付けて予め記憶し、
前記中継手段をなす前記処理手段が、情報表示監視手段及びユーザ情報自動入力手段とされ、
前記情報表示監視手段が、前記一群の情報表示のうちのいずれかが表示されたことを検知させると共に、表示された前記情報表示の表示状態を常時監視し、
前記ユーザ情報自動入力手段が、前記ユーザ情報を前記ユーザ入力欄に自動入力させ、
前記自動入力される前記ユーザ情報が、前記近接により発生された前記ユーザ情報であり、且つ、表示状態となっている前記情報表示の前記ユーザ入力欄に付された前記入力欄番号と一致した前記格納部番号に対応した前記ユーザ情報である、
ことを特徴とするログイン管理システム。
【請求項2】
前記情報表示監視手段が、アクティブ判定手段を有し、
前記アクティブ判定手段が、一群の前記情報表示のいずれがアクティブな表示状態となっているかを、常時監視により判定し、
前記ユーザ情報自動入力手段が、アクティブな情報表示となっている前記情報表示の前記ユーザ入力欄のみに、前記ユーザ情報発生手段が前記ユーザ情報読取手段に近接される毎に、前記ユーザ情報を自動入力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のログイン管理システム。
【請求項3】
前記アクティブ判定手段が、画面情報取得手段と画面情報判定手段とからなり、
一群の前記情報表示の前記ユーザ入力欄の各々の配置情報が、前記情報処理手段の前記記憶手段がなす登録手段に、予め登録配置情報として記憶され、
前記画面情報取得手段が、少なくとも、前記表示手段に表示されている前記情報表示の周囲の外枠情報と、前記ユーザ入力欄の配置情報とを取得し、
前記画面情報判定手段が、少なくとも、取得した前記外枠情報が矩形形状であり、且つ、取得した前記配置情報と前記登録配置情報とが相似関係にある情報表示を、アクティブな情報表示であると判定させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のログイン管理システム。
【請求項4】
前記ユーザ情報読取手段又は前記情報処理手段のいずれかに暗号鍵が記憶されると共に、前記暗号鍵が記憶されている前記ユーザ情報読取手段又は前記情報処理手段が復号化手段として機能され、
前記ユーザ情報発生手段が、各々の前記ユーザ情報を、予め前記暗号鍵により暗号化された暗号化ユーザ情報として発生させ、
前記復号化手段が、各々の前記暗号化ユーザ情報を復号化し、
前記ユーザ情報発生手段が前記ユーザ情報読取手段に近接されて、前記暗号化ユーザ情報が発生されてから、前記ユーザ入力欄に入力される前に、前記復号化手段により復号化された前記ユーザ情報が前記ユーザ入力欄に自動入力される、
ことを特徴とする請求項1に記載のログイン管理システム。
【請求項5】
前記ログイン管理システムが、生産設備に適用され、
一つの情報表示に係る前記ユーザとして、組をなす第1ユーザと第2ユーザとが対象とされ、
前記情報表示が、第1ユーザが入力する第1ユーザ入力欄を有する第1情報表示と、第2ユーザが入力する第2ユーザ入力欄を有する第2情報表示とからなり、
第1ユーザに係る前記ユーザ情報発生手段が、前記ユーザ情報読取手段に近接されて、第1情報表示の第1ユーザ入力欄に第1ユーザに係る前記ユーザ情報が自動入力され、前記生産設備に係る設定情報が編集されてから情報表示が変更され、
第2ユーザに係る前記ユーザ情報発生手段が、前記ユーザ情報読取手段に近接されて、第2情報表示の第2ユーザ入力欄に第2ユーザに係る前記ユーザ情報が自動入力され、第1ユーザに編集された前記設定情報が第2ユーザに承認される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のログイン管理システム。
【請求項6】
前記ユーザ情報読取手段として、近距離無線通信によりユーザ情報を取得するRFIDリーダ、又は、接触によりユーザ情報を取得するICリーダのいずれかが適用される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のログイン管理システム。
【請求項7】
自動入力の対象とする前記情報表示の追加編集と、前記情報表示に対応付けられる前記ユーザ入力欄の入力欄番号と前記格納部番号の追加編集のいずれもが、ログイン管理システムの管理権限者のみに可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のログイン管理システム。
【請求項8】
前記ユーザ情報発生手段が、生体判定情報記憶手段とユーザ特定手段とを備えた携帯端末とされ、
前記生体判定情報記憶手段が、予め前記ユーザの生体判定情報を記憶し、
前記ユーザ特定手段が、前記ユーザから取得した生体情報と前記生体判定情報との同一性により、前記ユーザを前記携帯端末が操作可能な特定ユーザであると特定して、
前記特定ユーザにより操作された前記携帯端末がユーザ情報読取手段に近接されて、前記特定ユーザに係る前記ユーザ情報と前記格納部番号とが発生される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のログイン管理システム。
【請求項9】
ユーザ情報発生手段とユーザ情報読取手段とを備え、記憶手段と処理手段と表示手段とからなる情報処理手段を使用して、前記表示手段に表示された所定の画面構成を有する情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させるプログラムにおいて、
前記ユーザ情報発生手段には、複数組の前記ユーザ情報と前記ユーザ情報を格納させた格納部番号の組が予め記憶され、
前記ユーザ情報発生手段と前記ユーザ情報読取手段との近接により、前記複数組の前記ユーザ情報と前記格納部番号の組が発生され、
前記情報表示は、アプリケーション又はウェブサイトのいずれかにより表示された、予め登録されている一群の情報表示のいずれかとされ、
前記記憶手段と前記処理手段とを、中継手段として機能させるプログラムであって、
前記中継手段をなす前記記憶手段を、前記一群の情報表示の各々と、前記情報表示に表示される前記ユーザ入力欄に付された入力欄番号と、前記格納部番号とを対応付けて、予め記憶するように機能させ、
前記中継手段をなす前記処理手段を、情報表示監視手段及びユーザ情報自動入力手段として機能させ、
前記情報表示監視手段を、前記一群の情報表示のうちのいずれかが表示されたことを検知させると共に、表示された前記情報表示の表示状態を常時監視するように機能させ、
前記ユーザ情報自動入力手段を、前記ユーザ情報を前記ユーザ入力欄に自動入力させるように機能させるプログラムであり、
前記自動入力される前記ユーザ情報が、前記近接により発生された前記ユーザ情報であり、且つ、表示状態となっている前記情報表示の前記ユーザ入力欄に付された前記入力欄番号と一致した前記格納部番号に対応した前記ユーザ情報である、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め登録した、ユーザ認証が必要なアプリケーション又はウェブサイト(以下、アプリ等という)の情報表示のユーザ入力欄にユーザ情報を自動入力させるログイン管理システムおよびプログラムに関する。本願において、情報表示とは、表示手段に表示されているユーザ入力欄が配置された状態の構成を示す画面情報をいい、その画面情報はURLにより特定されていてもよい。
【0002】
具体的には、ユーザ情報とその格納部番号とを組にして、ICタグ等のユーザ情報発生手段に記憶させておく。コンピュータ(以下、PCという)等の情報処理手段には、アプリ等の情報表示を予め登録しておくと共に、その表示状態を常時監視する。
【0003】
アプリ等の情報表示が表示された後に、そのユーザ入力欄の入力欄番号に一致した格納部番号と組をなすユーザ情報を、ユーザ情報発生手段から発生させ、直接ユーザ入力欄に自動入力させるログイン管理システムおよびプログラムに関する。更に、複数の情報表示が立ち上がっている場合には、アクティブな状態である情報表示のみのユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力するログイン管理システムに関する。
【背景技術】
【0004】
従来から、ログインが必要な複数のウェブサイトやアプリ等(以下、ログイン必要アプリ)に、一度のログインを行うだけで、ログイン必要アプリの全てにログインすることができるシングルサインオンというログイン認証方法が知られている。特許文献1には、サインオンした状態で、ユーザが一時的に離席した場合でもセキュリティを確保するという技術が開示されている。
【0005】
この技術によれば、シングルサインオンで認証させるためには、ログイン必要アプリにユーザがログインする際に、まずユーザがユーザ情報を入力し、ログイン必要アプリで基本認証させるとしている。そして、有効期限と共に読み書き可能なRFIDカードに暗号化した状態で、入力したユーザ情報を格納させ、そのユーザ情報をWebサーバにも格納させるとしている。
【0006】
これにより、RFIDカードを携帯したユーザが離席したとき、又はRFIDカードの有効期限が経過した場合には、Webサーバにおいて、ユーザ認証ができなくなるため、ユーザ情報のセキュリティが確保されるとしている。しかし、ログイン可能アプリに最初にログインする際に、ユーザは自らユーザ情報を入力する必要があり、手間がかかると共に入力の際にユーザ情報が盗み取られる可能性があった。
【0007】
RFIDカードを使って、離席しているときにログイン必要アプリが機能しないようにできたとしても、最初にログインする際に、基本認証としてログイン情報を自ら入力する必要があり、セキュリティを向上させるために複雑なパスワードを設定している場合には、入力ミスが発生しやすく入力が煩雑になり、入力に手間がかかるという課題もあった。
【0008】
そこで本願の発明者は、予めRFIDカードに格納させておいたユーザ情報を、RFIDリーダに読み取らせ情報処理装置に取得させ、ユーザが入力しなくても、キーボードエミュレーション機能により、ログイン必要アプリにユーザ情報が自動入力され、簡易でセキュリティが確保できるログイン管理技術の開発を試みた。
【0009】
しかし、情報処理手段、例えばPCには、ログイン必要アプリと共に、ログイン認証が不要なアプリ(以下、ログイン不要アプリという)が登録されている。ログイン不要アプリには、例えばメモ帳、テキストエディタ等(以下、メモ帳アプリという)があり、キーボードエミュレーション機能によりログイン必要アプリにユーザ情報を自動入力させる際に、メモ帳アプリが実行されていると、メモ帳アプリにもユーザ情報が取得される可能性があった。
【0010】
例えば、予め商品情報が記憶されたRFIDタグを、RFIDリーダに近距離無線通信させて、商品情報を取得させて、在庫管理に利用する技術(非特許文献1参照)がある。しかし商品情報をユーザ情報に換えて、キーボードエミュレーション機能を利用し、業務用アプリのログイン認証欄にテキストデータ形式のユーザ情報を入力しようとすると、実行されているメモ帳アプリにもユーザ情報が表示され、機密情報が漏洩する可能性があった。
【0011】
ログイン必要アプリには、例えば、公的手続等の特定の業務に特化して開発された、その業務専用の業務用アプリがある。その一例として、ユーザ情報が記録されたICカード内に登録している認証情報を読出し、業務用アプリの中の専用領域に予め登録させている認証判定情報と照合する等、その業務用アプリ専用のログイン環境のなかでログイン判定をさせる業務用アプリがある。その他、生産管理用、会計処理等の多様な用途の専用の業務用アプリが提供されている。
【0012】
特許文献2には、業務用アプリとして、金融機関の基幹システムに適し、短期間かつ低コストで導入可能な情報処理装置の技術が開示されている。この文献に記載の技術によれば、ユーザによりユーザ端末で手書き等により入力された文字情報が、キーボードエミュレーション機能を介して、キーボード入力情報、換言すればテキストデータに変換され入力されている。そしてその後は、前記文字情報のテキストデータだけを通信させるようにすれば、業務の中間段階での誤入力を防止するシステムが短期間で導入できるとされている。
【0013】
この文献に記載の技術は、この専用の業務用アプリだけが適用される環境であれば、情報漏洩が防止される。しかし業務用アプリ以外のログイン不要アプリ、例えばメモ帳アプリと、キーボードエミュレーション機能を有する業務用アプリが並行して実行された場合には、取得したキーボード入力情報がメモ帳アプリに表示される可能性があり、情報漏洩の危険にさらされるという課題があった。
【0014】
特許文献3には、ログイン認証を行う認証アプリと、ログイン認証を行わない非認証アプリのいずれもが、IDカードに記憶された情報を安全に共有可能な画像形成装置の技術が開示されている。この文献に記載の技術によれば、画像形成装置の動作を、共有モードと個別モードから選択することができ、共有モードとしたときには、非認証アプリにもIDカード情報の利用を許可し、個別モードとしたときには認証アプリのみにIDカード情報の利用を許可している。
【0015】
しかし、この文献に記載の技術によっては、個別モードの設定時において、認証されたユーザに一つの認証アプリに対してのみ、IDカード情報の利用を許可するだけで、一般事務用のPCのように、複数のアプリを実行して並行作業を行う場合には適用できないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
特許文献1:特開2005-215870号公報
特許文献2:特開2019-204308号公報
特許文献3:特開2014-194750号公報
【非特許文献】
【0017】
非特許文献1:トッパン・フォームズ株式会社のホームページ,「キーボードエミュレーション対応RFIDリーダー・ライター」,[令和4年8月1日検索],ウェブサイト
<https://rfid.toppan-f.co.jp/products/hf-peripheral/ke-reader.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ユーザ認証が必要な業務用アプリを始めとして、複数のアプリ等の情報表示の専用のログイン環境を設計しなくても、予め登録させておいた情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させることができ、セキュリティが高く且つ汎用性が高いログイン管理システムおよびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
ユーザ情報をICタグ等のユーザ情報発生手段に記憶させておき、PC等の情報処理手段にアプリ等の情報表示を予め登録しておくと共に情報表示の表示状態を常時監視し、ユーザ入力欄を有する情報表示が表示された後に、ユーザ入力欄にユーザ情報発生手段から発生させた格納部番号が付与されたユーザ情報を、格納部番号と同一の入力欄番号が付与されたユーザ入力欄に自動入力させるようにした。
【0020】
本発明の第1の発明は、ユーザ情報発生手段とユーザ情報読取手段とを備え、記憶手段と処理手段と表示手段とからなる情報処理手段において、前記表示手段に表示された所定の画面構成を有する情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させるログイン管理システムであって、前記ユーザ情報発生手段には、複数組の前記ユーザ情報と前記ユーザ情報を格納させた格納部番号の組が予め記憶され、前記ユーザ情報発生手段と前記ユーザ情報読取手段との近接により、前記複数組の前記ユーザ情報と前記格納部番号の組が発生され、前記情報表示は、アプリケーション又はウェブサイトのいずれかにより表示された、予め登録されている一群の情報表示のいずれかとされ、前記記憶手段と前記処理手段とが、中継手段とされ、前記中継手段をなす前記記憶手段が、前記一群の情報表示の各々と、前記情報表示に表示される前記ユーザ入力欄に付された入力欄番号と、前記格納部番号とを対応付けて予め記憶し、前記中継手段をなす前記処理手段が、情報表示監視手段及びユーザ情報自動入力手段とされ、前記情報表示監視手段が、前記一群の情報表示のうちのいずれかが表示されたことを検知させると共に、表示された前記情報表示の表示状態を常時監視し、前記ユーザ情報自動入力手段が、前記ユーザ情報を前記ユーザ入力欄に自動入力させ、前記自動入力される前記ユーザ情報が、前記近接により発生された前記ユーザ情報であり、且つ、表示状態となっている前記情報表示の前記ユーザ入力欄に付された前記入力欄番号と一致した前記格納部番号に対応した前記ユーザ情報であることを特徴としている。
【0021】
情報処理手段は、可搬式端末機、PC、サーバ又はクラウドコンピュータのいずれでもよい。アプリ等は、セキュリティが要求される業務アプリであることが好適であるが、PC等にインストールされたアプリ、クラウドコンピュータで実行されるアプリ等であってもよい。ウェブサイトは、ウェブサイト通信により実行されるウェブサイトであればよく、一群の情報表示をなすアプリ、ウェブサイト共に、その数は限定されない。
【0022】
ユーザ情報発生手段は、カード型、スマホ型又は腕時計型の可搬式端末でもよく限定されず、接触型又は非接触型のいずれでもよいが、近距離無線通信によりユーザ情報読取手段にユーザ情報が読取り可能であると操作性がよく好適である。
【0023】
登録手段は、情報処理手段として機能されるPC等に備えられるHDD、SSD、RAM、ROM等の記憶手段に機能させればよいが、ウェブサイトに通信接続されたクラウドコンピュータの記憶手段を登録手段として機能させてもよい。登録手段に登録される情報表示は、ユーザ入力欄が配置された状態の構成を示す画面情報が好適であるが、その画面情報を表示させる、例えばアプリID、アプリ名称、ウェブサイトのURL等で特定され、ユーザ情報を入力させる情報表示であってもよい。
【0024】
情報処理手段とユーザ読取手段が起動された状態で、中継手段をなす情報表示監視手段が情報表示の表示状態を常時監視し、情報表示をなすアプリ等が立ち上がってから、ユーザ情報発生手段がユーザ情報読取手段に近接されてユーザ情報が発生され、表示状態となっている情報表示のユーザ入力欄にユーザ情報が自動入力される。ユーザ情報が自動入力されてから、アプリ等をログイン実行させるかは任意に設定すればよい。
【0025】
「所定の画面構成の情報表示」とは、表示手段に表示されたユーザ情報を入力させる機能を有する画面構成の表示であればよい。情報表示のユーザ入力欄には、入力欄番号と一致した格納部番号に対応したユーザ情報が自動入力され、予め情報表示をなすアプリ等に備えられた判定用テータベースのユーザ判定情報と、自動入力されたユーザ情報とが、前記アプリ等のなかで照合・判定され、同一性がある場合にはログインが許可される。
【0026】
シングルサインオン方式による自動入力の場合には、最初のアプリに入力されたユーザ情報が仮記憶され、後のアプリにも適用されるため、ログインが容易になる反面、先のアプリと後のアプリとのユーザ入力欄に入力する情報が異なる場合には、ユーザ情報を変更して入力する必要がある。本発明によれば、ユーザ情報は仮記憶されず、ユーザ情報発生手段がユーザ情報読取手段に近接されるつど発生し、アプリに応じたユーザ情報がユーザ情報自動入力手段により自動入力される。
【0027】
ユーザが変われば、変わったユーザのユーザ情報が自動入力され、情報表示が変われば、変わった情報表示のユーザ入力欄に自動入力され、セキュリティに優れると共に、様々なアプリに容易に適用でき汎用性が高い。情報表示に先にログインさせた第1ユーザにより操作がされてから、別のログイン用の情報表示に切り替えて後からログインした第2ユーザに承認させるようにしてもよい。
【0028】
ユーザ情報発生手段には、ユーザがどの情報表示にログイン許可されているかに拘わらず、ユーザの個を特定するユーザ情報と、ログイン許可されている情報表示の入力欄番号と同じ格納部番号だけが記憶されていればよい。一群をなす情報表示以外のアプリ等のユーザ入力欄には、ユーザ情報は自動入力されず、例えば文書作成アプリやメモ帳アプリに、誤ってユーザ情報が表示されることがなく、セキュリティも高い。
【0029】
ユーザ情報発生手段がユーザ情報読取手段に近接したことにより発生されたユーザ情報が、情報表示のユーザ入力欄に自動入力されるため、例えば個人ID、メールアドレス等に限らず、乱数、文字・記号等が混在された複雑なユーザIDをユーザ情報にしてもよい。これにより、ユーザ情報漏洩が防止できセキュリティが高いだけでなく、情報表示毎にユーザ情報を使い分けてもよく、複雑なユーザ情報を用いても誤入力がされず、様々なアプリに適用でき、既存の業務環境に簡易に導入できるという従来にない有利な効果を奏する。
【0030】
本発明の第2の発明は、第1の発明のログイン管理システムにおいて、前記情報表示監視手段が、アクティブ判定手段を有し、前記アクティブ判定手段が、一群の前記情報表示のいずれがアクティブな表示状態となっているかを、常時監視により判定し、前記ユーザ情報自動入力手段が、アクティブな情報表示となっている前記情報表示の前記ユーザ入力欄のみに、前記ユーザ情報発生手段が前記ユーザ情報読取手段に近接される毎に、前記ユーザ情報を自動入力することを特徴としている。
【0031】
常時監視は、オペレーションシステムに備えられた常駐監視プログラムによればよいが限定されない。ユーザによりユーザ情報が自動入力される前の情報表示が、表示手段に複数表示された状態となっていても、ユーザ情報発生手段をユーザ情報読取手段に近接させてユーザ情報を発生させたときに、アクティブと判定されている情報表示のユーザ入力欄のみに、その入力欄番号と同一の格納部番号に対応したユーザ情報が自動入力される。第2の発明によれば、複数の情報表示が、同時に表示されていても、ユーザが特別な選択操作をしないでも、アクティブな情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報が入力されるという効果を奏する。
【0032】
本発明の第3の発明は、第2の発明のログイン管理システムにおいて、前記アクティブ判定手段が、画面情報取得手段と画面情報判定手段とからなり、一群の前記情報表示の前記ユーザ入力欄の各々の配置情報が、前記情報処理手段の前記記憶手段がなす登録手段に、予め登録配置情報として記憶され、前記画面情報取得手段が、少なくとも、前記表示手段に表示されている前記情報表示の周囲の外枠情報と、前記ユーザ入力欄の配置情報とを取得し、前記画面情報判定手段が、少なくとも、取得した前記外枠情報が矩形形状であり、且つ、取得した前記配置情報と前記登録配置情報とが相似関係にある情報表示を、アクティブな情報表示であると判定させることを特徴としている。
【0033】
第3の発明によれば、表示手段の画面表示に表れた情報表示の周囲の外枠情報が、欠けた状態とされていない矩形であることと、ユーザ入力欄の配置情報と予め登録された登録配置情報とが相似であるという、少なくとも二つの要素からアクティブな表示状態であることを判定させている。他の要素としては、アプリ名称、タスクバーに示されたアプリロゴの状態等とすればよい。
【0034】
少なくとも二つの要素からアクティブな表示状態であることを判定させているため、特定のオペレーションシステムによらなくても、アクティブな表示状態である情報表示が判定でき、生産管理用に特化した独自のオペレーションシステムにも適用しやすいという効果を奏する。
【0035】
本発明の第4の発明は、第1の発明のログイン管理システムにおいて、前記ユーザ情報読取手段又は前記情報処理手段のいずれかに暗号鍵が記憶されると共に、前記暗号鍵が記憶されている前記ユーザ情報読取手段又は前記情報処理手段が復号化手段として機能され、前記ユーザ情報発生手段が、各々の前記ユーザ情報を、予め前記暗号鍵により暗号化された暗号化ユーザ情報として発生させ、前記復号化手段が、各々の前記暗号化ユーザ情報を復号化し、前記ユーザ情報発生手段が前記ユーザ情報読取手段に近接されて、前記暗号化ユーザ情報が発生されてから、前記ユーザ入力欄に入力される前に、前記復号化手段により復号化された前記ユーザ情報が前記ユーザ入力欄に自動入力されることを特徴としている。
【0036】
ユーザ情報発生手段に記憶されるユーザ情報が暗号化されているため、例えば、職員番号、氏名、メールアドレス等の個を特定しやすいユーザ情報が使用されていても、ユーザ情報発生手段が盗難・紛失されてもユーザ情報が漏洩されにくく、セキュリティが高いという効果を奏する。
【0037】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明のログイン管理システムにおいて、前記ログイン管理システムが、生産設備に適用され、一つの情報表示に係る前記ユーザとして、組をなす第1ユーザと第2ユーザとが対象とされ、前記情報表示が、第1ユーザが入力する第1ユーザ入力欄を有する第1情報表示と、第2ユーザが入力する第2ユーザ入力欄を有する第2情報表示とからなり、第1ユーザに係る前記ユーザ情報発生手段が、前記ユーザ情報読取手段に近接されて、第1情報表示の第1ユーザ入力欄に第1ユーザに係る前記ユーザ情報が自動入力され、前記生産設備に係る設定情報が編集されてから情報表示が変更され、第2ユーザに係る前記ユーザ情報発生手段が、前記ユーザ情報読取手段に近接されて、第2情報表示の第2ユーザ入力欄に第2ユーザに係る前記ユーザ情報が自動入力され、第1ユーザに編集された前記設定情報が第2ユーザに承認されることを特徴としている。
【0038】
生産設備、特に薬品関係の生産設備においては、生産設備情報の管理権限を有する第1ユーザに生産設備情報を追加・編集させるに留まらず、更に、別の第2ユーザが第1ユーザの追加・編集を承認し、その記録を残すようにしている。生産設備の情報表示には、第1ユーザがユーザ情報を入力する第1ユーザ入力欄と、第2ユーザがユーザ情報を入力する第2ユーザ入力欄とを備えさせる場合には、第1ユーザに追加編集権限を与え、第2ユーザに確認承認権限を与えればよい。
【0039】
第5の発明によれば、第1ユーザだけでなく、第2ユーザも、自己のユーザ情報発生手段により、自己のユーザ情報を発生させ、自己に割り当てられたユーザ入力欄に、自ら自動入力させることができるため、ユーザ入力欄に、入力が容易なだけでなく、追加・編集の記録を残しやすいという効果を奏する。
【0040】
本発明の第6の発明は、第1から第4の発明のログイン管理システムにおいて、前記ユーザ情報読取手段として、近距離無線通信によりユーザ情報を取得するRFIDリーダ、又は、接触によりユーザ情報を取得するICリーダのいずれかが適用されることを特徴としている。
【0041】
第6の発明によれば、ユーザ情報読取手段として、非接触式のRFIDリーダ、又は接触式のICリーダのいずれかが適用されればよい。信頼性の高いICカード型、スマホ型又は腕時計型等を、挿し込み、接触し、かざす等により、非接触式のRFIDリーダ又は接触式のICリーダに近接させればよく、情報表示にログインするつどに双方を近接させるようにしても、操作性が良いという効果を奏する。
【0042】
本発明の第7の発明は、第1から第4の発明のログイン管理システムにおいて、自動入力の対象とする前記情報表示の追加編集と、前記情報表示に対応付けられる前記ユーザ入力欄の入力欄番号と前記格納部番号の追加編集のいずれもが、ログイン管理システムの管理権限者のみに可能とされていることを特徴としている。
【0043】
第7の発明によれば、管理権限者以外のユーザに、任意のウェブサイトやメモ帳アプリ等を登録手段に登録されることがなく、また、ユーザの職務権限に応じて、情報表示へのログイン権限が管理されるため、ログイン管理システム全体としての安全性が確保されるという効果を奏する。
【0044】
本発明の第8の発明は、第1から第4の発明のログイン管理システムにおいて、前記ユーザ情報発生手段が、生体判定情報記憶手段とユーザ特定手段とを備えた携帯端末とされ、前記生体判定情報記憶手段が、予め前記ユーザの生体判定情報を記憶し、前記ユーザ特定手段が、前記ユーザから取得した生体情報と前記生体判定情報との同一性により、前記ユーザを前記携帯端末が操作可能な特定ユーザであると特定して、前記特定ユーザにより操作された前記携帯端末がユーザ情報読取手段に近接されて、前記特定ユーザに係る前記ユーザ情報と前記格納部番号とが発生されることを特徴としている。
【0045】
生体情報は、指紋・静脈・脈波・声紋・顔相・虹彩等であればよく限定されない。携帯端末に備えられた、カメラ、指紋センサー等により携帯者の生体情報が取得され、予め登録されている生体判定情報との同一性によりユーザが特定される。指紋照合等によりユーザが特定されて、携帯端末が操作可能になり、ユーザ情報読取手段に携帯端末が近接されて、予め携帯端末の記憶手段に記憶させた格納部番号とユーザ情報が、真正なユーザの情報として発生される。
【0046】
第8の発明によれば、ユーザ情報発生手段が携帯端末であるため、ユーザ情報読取手段にかざす等により近接しやすく、取り扱いやすいだけでなく、ユーザ情報を発生させる前に、ユーザの真正性が保証されており、セキュリティが高いという効果を奏する。
【0047】
本発明の第9の発明は、ユーザ情報発生手段とユーザ情報読取手段とを備え、記憶手段と処理手段と表示手段とからなる情報処理手段を使用して、前記表示手段に表示された所定の画面構成を有する情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させるプログラムにおいて、前記ユーザ情報発生手段には、複数組の前記ユーザ情報と前記ユーザ情報を格納させた格納部番号の組が予め記憶され、前記ユーザ情報発生手段と前記ユーザ情報読取手段との近接により、前記複数組の前記ユーザ情報と前記格納部番号の組が発生され、前記情報表示は、アプリケーション又はウェブサイトのいずれかにより表示された、予め登録されている一群の情報表示のいずれかとされ、前記記憶手段と前記処理手段とを、中継手段として機能させるプログラムであって、前記中継手段をなす前記記憶手段を、前記一群の情報表示の各々と、前記情報表示に表示される前記ユーザ入力欄に付された入力欄番号と、前記格納部番号とを対応付けて、予め記憶するように機能させ、前記中継手段をなす前記処理手段を、情報表示監視手段及びユーザ情報自動入力手段として機能させ、前記情報表示監視手段を、前記一群の情報表示のうちのいずれかが表示されたことを検知させると共に、表示された前記情報表示の表示状態を常時監視するように機能させ、前記ユーザ情報自動入力手段を、前記ユーザ情報を前記ユーザ入力欄に自動入力させるように機能させるプログラムであり、前記自動入力される前記ユーザ情報が、前記近接により発生された前記ユーザ情報であり、且つ、表示状態となっている前記情報表示の前記ユーザ入力欄に付された前記入力欄番号と一致した前記格納部番号に対応した前記ユーザ情報であることを特徴としている。
【0048】
第9の発明によれば、一般的な事務管理用のコンピュータにインストールすることにより、事務管理用のコンピュータに表示された情報表示へのログインを容易にすると共に、セキュリティを強化することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0049】
・第1の発明によれば、ユーザ情報漏洩が防止できセキュリティが高いだけでなく、情報表示毎にユーザ情報を使い分けてもよく、複雑なユーザ情報を用いても誤入力がされず、様々なアプリに適用でき、既存の業務環境に簡易に導入できるという従来にない有利な効果を奏する。
・第2の発明によれば、複数の情報表示が、同時に表示されていても、ユーザが特別な選択操作をしないでも、アクティブな情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報が入力されるという効果を奏する。
・第3の発明によれば、少なくとも二つの要素からアクティブな表示状態であることを判定させているため、特定のオペレーションシステムによらなくても、アクティブな表示状態である情報表示が判定でき、生産管理用に特化した独自のオペレーションシステムにも適用しやすいという効果を奏する。
【0050】
・第4の発明によれば、個を特定しやすいユーザ情報が使用されていても、ユーザ情報発生手段が盗難・紛失されてもユーザ情報が漏洩されにくく、セキュリティが高いという効果を奏する。
・第5の発明によれば、第1ユーザだけでなく、第2ユーザも、自己のユーザ情報発生手段により、自己のユーザ情報を発生させ、自己に割り当てられたユーザ入力欄に、自ら自動入力させることができるため、ユーザ入力欄に、入力が容易なだけでなく、追加・編集の記録を残しやすいという効果を奏する。
・第6の発明によれば、信頼性の高いICカード型、スマホ型又は腕時計型等を、挿し込み、接触し、かざす等により、非接触式のRFIDリーダ又は接触式のICリーダに近接させればよく、情報表示にログインするつどに双方を近接させるようにしても、操作性が良いという効果を奏する。
【0051】
・第7の発明によれば、管理権限者以外のユーザに、任意にウェブサイトやメモ帳アプリ等を登録されることがなく、また、ユーザの職務権限に応じて、情報表示へのログイン権限が管理されるため、ログイン管理システム全体としての安全性が確保されるという効果を奏する。
・第8の発明によれば、ユーザ情報発生手段が携帯端末であるため、ユーザ情報読取手段にかざす等により近接しやすく、取り扱いやすいだけでなく、ユーザ情報を発生させる前に、ユーザの真正性が保証されており、セキュリティが高いという効果を奏する。
・第9の発明によれば、事務管理用のコンピュータに表示された情報表示へのログインを容易にすると共に、セキュリティを強化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】ログイン管理システムの概要図(実施例1)。
【
図3】アプリ毎の入力欄番号と格納部番号の対応付けの説明図(実施例1)。
【
図4】ログイン管理システムのブロック図(実施例1)。
【
図5】第1ユーザによる設定変更までの説明図(実施例1)。
【
図6】第2ユーザによる承認の説明図(実施例1)。
【
図7】情報表示にログインするまでの全体フロー(実施例1)。
【
図8】承認用の情報表示にログインするまでのフロー(実施例1)。
【
図10】サーバを含むログイン管理システムのブロック図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ICタグ等のユーザ情報発生手段に、一人のユーザの複数のユーザ情報を、格納部番号と組にして記憶させ、PC等の情報処理手段に、アプリ毎のユーザ入力欄の入力欄番号と格納部番号との対応付けと、アプリ毎の情報表示とを予め登録しておくと共に、情報表示の表示状態を常時監視させるようにした。そして、登録した情報表示が表示状態となってから、ユーザ情報が取得され、その格納部番号と同一の入力欄番号が付与されたユーザ入力欄に、取得したユーザ情報を自動入力させるログイン管理システムとした。
【実施例1】
【0054】
実施例1では、PC10が情報処理手段として機能する場合のログイン管理システム1を、
図1から
図8を参照して説明する。
図1はログイン管理システムの構成の概要を説明する図を示している。
図1(A)図はPC10に記憶されたアプリAのユーザ入力欄20に暗号化ユーザ情報を復号させて自動入力させる例を示し、
図1(B)図はウェブサイトにより提供され、人確認入力欄21を有するウェブサイトαにユーザ情報を自動入力させる例を示している。
図2(A)図は、管理権限者である甲の暗号化ユーザ情報22と復号化したユーザ情報23と格納部番号24の組25を示し、
図2(B)図は一般ユーザである乙の、
図2(C)図は一般ユーザである丙の、暗号化されていない格納部番号とユーザ情報の組を示している。
【0055】
図3は、ユーザ情報を自動入力させるための入力欄番号26と格納部番号24の対応付けと、ユーザ情報と共に自動入力させるTABキー、Enterキーの入力情報を示している。
図4はログイン管理システム1のブロック図を示している。
図4においては、任意の構成を破線の枠で示している。
図5と
図6は第2ユーザの承認が必要な業務アプリBにおいて、第1ユーザのユーザ情報が自動入力されてから、第2ユーザの承認用のユーザ情報が自動入力されるまでの具体例を示している。
図7はユーザ情報の自動入力の全体フローを示し、
図8は第1ユーザが設定変更入力をしてから、第2ユーザを承認用の情報表示にログインさせるまでのフローを示している。
【0056】
まず、
図1を参照して、ログイン管理システム1の構成・作用の概要を説明する。ログイン管理システム1は、アプリ等が実行されるPC10からなる情報処理手段100に適用され、ICタグを有するICカードからなるユーザ情報発生手段200と、情報処理手段とを通信されるRFIDリーダからなるユーザ情報読取手段300とからなる。ここでは、理解を容易にするため、PC10が情報処理手段100として機能される場合を説明するが、これに限定されない。
【0057】
ユーザ毎に携帯されるユーザ情報発生手段200は、一人のユーザの複数のユーザ情報について、個々のユーザ情報を、格納部番号を異にする格納部に記憶させることにより、各々の格納部番号24とユーザ情報23を組25にして記憶している(
図2参照)。複数のユーザ情報とは、ユーザID、パスワード、電話番号、電子メールアドレス等のユーザの個を特定する情報であればよい(
図2(A)図参照)。
【0058】
ユーザ情報発生手段200は、近距離無線通信手段によりユーザ情報の読み取り・書き換えが可能なICタグであればよいが、これに限定されない。ここでICタグとは、電波を受けて作用する小型の電子装置をいい、非接触で情報を読み取り可能なRFIDタグを含む。このほか、接触によりユーザ情報の読み取り・書き換えが可能なICカード、スマートホン・ウェアラブル端末機器等の携帯端末であってもよい。携帯端末の場合には生体認証機能を有するとより好適である。
【0059】
ユーザ情報読取手段300は、ユーザ情報発生手段200が、RFIDカードの場合には非接触式のRFIDリーダ、ICカードの場合には接触式のICリーダであればよい。ユーザ情報発生手段が携帯端末の場合には、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等によりユーザ情報を読み取り可能な機器であればよい。RFIDリーダ、ICリーダ等を選択可能とすれば、適用可能なユーザ情報発生手段が広くなる。
【0060】
さて、情報処理手段100は、アプリ等による情報表示を表示させる表示手段11を備えている。各々のアプリ等は、情報表示にログインするためのユーザ判定情報12を記憶している(
図4(A)図,
図6(B)図参照)。通信手段を介してウェブサイトにより提供される情報表示の場合には、その情報表示毎にユーザ判定情報が記憶されている(
図1(B)図参照)。
【0061】
中継手段は、PCの制御手段110及び記憶手段120からなり、登録手段121、情報表示監視手段111及びユーザ情報自動入力手段112として機能され、情報表示監視手段として常駐監視アプリが情報処理手段100に常駐する。登録手段121には、ユーザ情報を自動入力させる一群の情報表示122と、情報表示毎の入力欄番号123と、ユーザ情報と組をなす格納部番号124とが対応付けられて記憶されている(
図4参照)。具体的には、アプリ又はウェブサイト毎に、そのユーザ入力欄に入力すべきユーザ情報が格納された格納部番号と、同一の入力欄番号を登録させることにより、入力欄番号と格納部番号とを対応付けている(
図1,
図3参照)。
【0062】
ユーザ情報を入力させるユーザ入力欄の入力欄番号と格納部番号とを同一としているため、ユーザ入力欄に入力させるユーザ情報と組になっている格納部番号を、入力欄番号に付与しておけばよい。例えば、ユーザ入力欄に入力させるユーザ情報が電子メールアドレスである場合には、ユーザ情報発生手段に電子メールアドレスを格納させる格納部番号と同じ番号を入力欄番号に付与しておけばよい。
【0063】
ユーザ情報自動入力手段112により、単一のICカード等から、ユーザ入力欄に付与した入力欄番号と同じ格納部番号に対応したユーザ情報を読み出して自動入力させればよい。異なるユーザ情報を追加登録させるときにも、ユーザ情報発生手段に格納部番号とユーザ情報の組25(
図2(A)図参照)を追加登録させるだけでよく、そのユーザ情報を入力させるユーザ入力欄に、同一の格納部番号を付与させればよい。
【0064】
情報表示監視手段111は、情報表示の表示状態を常時監視し、一群の情報表示として登録された情報表示のうち、いずれかの情報表示が表示状態となったことを検知させている。例えば、タスク管理アプリが管理する起動アプリの一覧に登録された情報表示が追加されたことにより、その情報表示が表示状態となったと検知させればよい。
【0065】
情報表示監視手段111により、登録された情報表示が表示状態となったことが検知されてから、換言すればユーザ入力欄を有するアプリ表示画面が表示され、ユーザ情報がユーザ入力欄に入力できる状態となってから、ユーザ情報発生手段200をユーザ情報読取手段300に近接させ、複数の格納部番号とユーザ情報の組25を発生させる(
図2参照)。ここで、情報処理手段100にユーザ情報発生手段から全ての組の格納部番号とユーザ情報を取得させてもよいが、表示状態の情報表示の入力欄番号と同一の格納部番号とユーザ情報の組だけを取得させるようにしてもよい。
【0066】
発生されたユーザ情報が暗号化ユーザ情報であるときには、ユーザ情報がユーザ入力欄に自動入力されるまでに、復号化手段116が復号鍵を兼ねる暗号鍵により暗号化ユーザ情報をユーザ情報に復号させて、ユーザ情報を自動入力させ(
図1(A)図参照)、暗号化されていないユーザ情報が発生されたときは、そのままユーザ入力欄に自動入力させればよい。また、自動入力では、情報表示のログイン実行ボタンの選択、Enterキーの実行までを自動入力させてもよいが、ウェブサイトのように人確認入力欄、例えば1回限りの画像認証の入力が求められる場合等には、人確認入力欄までのユーザ入力欄を自動入力させればよい(
図1(B)図参照)。
【0067】
ここで、ユーザ情報発生手段200に記憶される、複数の格納部番号とユーザ情報の組について、
図2を参照して詳細に説明する。なお、
図2(A)図においては、理解を容易にするため暗号化ユーザ情報と共に、暗号化されていないユーザ情報をかっこ書きにて表示している。各々のユーザ情報は、管理権限レベルに応じて暗号化させるとよい。例えば、管理権限者である甲については暗号化ユーザ情報とし(
図2(A)図参照)、一般ユーザである乙・丙については暗号化されていないユーザ情報としてもよい(
図2(B)図,
図2(C)図参照)。
【0068】
ユーザ情報は、格納部番号1に第1ユーザIDが、格納部番号2に第1パスワードが、格納部番号3に承認用パスワードが、格納部番号4に電話番号が、格納部番号5に電子メールアドレスが夫々割り当てられる(
図2(A)図参照)。なお、承認用パスワードについては、そのユーザが承認権限者である場合のみに設定させる。ユーザID・パスワードを使い分ける場合には、格納部番号を異にして第2ユーザID、第2パスワード等を追加させてもよい。
【0069】
一般ユーザである乙については、格納部番号3と組となる承認用パスワードを除き、第1ユーザID、第1パスワード、電話番号、電子メールアドレス等を、格納部番号を割り当てて記憶させる(
図2(B)図参照)。一方、同じ一般ユーザであっても、オンジョブトレーニング中の丙については、一部の情報表示にしかユーザ情報が自動入力できないように、第1ユーザIDと第1パスワードのみを夫々の格納部番号1,2に割り当てて記憶させる(
図2(C)図参照)。
【0070】
次に、中継手段をなす登録手段121に記憶される、情報表示と入力欄番号と格納部番号の対応付けと、ユーザ情報と共に自動入力されるTABキー、Enterキーの実行について、
図1から
図3を参照して説明する。アプリA(
図1(A)図,
図3(A)図参照)は、アプリA固有のデータベースにユーザ判定情報12として、ユーザ毎にユーザIDとパスワードを記憶している。
【0071】
例えば、ユーザ「乙」については、ユーザID「otsu002」と、パスワード「z1y2x3w4v5u6」が登録され、ユーザ「丙」については、ユーザID「hei003」と、パスワード「a1b2c3d4e5f6」が登録されている。これらは、ユーザ情報発生手段の格納部番号1,2に夫々格納されている(
図2参照)
【0072】
そこで登録手段には、アプリAがなす情報表示に入力すべきユーザ情報について、ユーザIDと組をなす格納部番号1と、パスワードと組をなす格納部番号2を対応付けて登録させる(
図3(A)図参照)。すなわち登録手段にはアプリAがなす情報表示に表示されるユーザ入力欄の夫々に、格納部番号と同一の入力欄番号を付して登録させるだけであり、具体的なユーザ情報は登録させない。
【0073】
そのため、ユーザ情報発生手段だけ、又は、PCの記憶手段がなす登録手段だけでは、アプリAがなす情報表示に入力すべきユーザ情報を特定させることはできず、登録手段に登録された情報表示毎の入力欄番号と格納部番号とが対応付けられ、そこに情報発生手段から格納部番号と対応したユーザ情報が読み取られてはじめて、アプリAに入力すべきユーザ情報が特定されるため、セキュリティが高い。
【0074】
また、登録手段121にはキーボードエミュレーション機能等によりユーザ情報を自動入力できるように、アプリがなす情報表示毎に、格納部番号と入力欄番号の対応付けと一体に、TABキーの実行(自動入力)、Enterキーの実行(自動入力)を、自動入力の順序と共に登録させる(
図3参照)。ここでは、図の左側から順番に自動入力されるように登録している。例えば、アプリAの場合には、格納部番号1のユーザ情報、TABキー、格納部番号2のユーザ情報、TABキー、Enterキーの順に自動入力がされる。
【0075】
より詳細には、アプリAがなす情報表示が表示状態となったときには、情報表示の一番上に表示されるユーザ入力欄であるID入力欄が最初の入力位置となる(
図1(A)図参照)。ユーザ入力欄が表示された状態で、ユーザ情報発生手段をユーザ情報読取手段に近接させると、ユーザ情報が自動入力される。例えば、甲のユーザ情報が発生されたときには、ユーザ情報自動入力手段はアプリAの情報表示に対して、まず入力欄番号[1]の位置のID入力欄に、格納部番号(1)のユーザ情報を復号して「kou001」を自動入力させる。
【0076】
次に、TABキーを自動入力させて入力欄番号[3]に入力位置を移動させる。そして、入力欄番号[3]の位置のパスワード入力欄に、格納部番号(3)のユーザ情報を復号して「cs123456」を自動入力させる。更に、TABキーを自動入力させて入力位置をログイン実行ボタン(OKボタン)に移動させ、Enterキーを自動入力させてアプリAにログイン処理を実行させる。アプリAは、自らのデータベースに記憶されたユーザ判定情報と自動入力された各々のユーザ情報とが一致しているときには、アプリAにユーザ「甲」をログインさせる。ここでは、Enterキーを自動入力させているが、Enterキーはユーザに入力させるようにしてもよい。
【0077】
ウェブサイトαの場合には、ユーザ入力欄として、電子メールアドレス入力欄と、パスワード入力欄と、人確認入力欄とが情報表示の上方から順に配置されている(
図1(B)図参照)。ここではユーザ「乙」がユーザ情報を自動入力させる場合を例に示している。電子メールアドレスは、ユーザ情報発生手段の格納部番号(5)が割り当てられているため、電子メールアドレス入力欄には、入力欄番号[5]が割り当てられる(
図2(B)図,
図3(B)図参照)。パスワードは、ユーザ情報発生手段の格納部番号(2)が割り当てられているため、パスワード入力欄には、入力欄番号[2]が割り当てられる。
【0078】
また、ウェブサイトαについては人確認入力欄が含まれるため、ユーザ情報自動入力手段は、人確認入力欄を除いてユーザ情報を自動入力させる(
図1(B)図参照)。その後、ユーザ「乙」が、キーボード等の入力手段により人確認入力欄とログイン実行ボタン(OKボタン)とを手動入力する。そうすると、通信手段を介してユーザ情報がウェブサイトαに通信され、ウェブサイトαが、自らのユーザ判定情報とユーザ情報を照合させ、一致しているときにはウェブサイトαにユーザ「乙」をログインさせる。
【0079】
次に、ログイン管理システム1のブロック図を、
図4を参照して説明する。ログイン管理システム1は、情報処理手段100をなすPCと、ユーザ情報発生手段200と、PCに通信可能に有線接続されたユーザ情報読取手段300とからなっている。ここでは、先にユーザ情報発生手段200とユーザ読取手段300を説明する。
【0080】
RFIDカード等からなるユーザ情報発生手段200の記憶手段210には、一人のユーザの複数の格納部番号211とユーザ情報212の組を記憶させている。また、ユーザ情報発生手段が生体認証機能を有するスマートホン,ウェアラブル端末機器等の携帯端末である場合には、制御手段220を備えてもよい。このとき、記憶手段が生体判定情報213を記憶する生体判定情報記憶手段として機能され、制御手段がユーザ特定手段221として機能される。
【0081】
ユーザ特定手段は、ユーザから指紋・静脈・脈波・声紋・顔相・虹彩等の生体情報を取得し、生体判定情報との同一性により、その携帯端末を携帯するユーザを、その携帯端末が操作可能な特定ユーザであると特定する。携帯端末が操作可能な状態となってから、ユーザ情報読取手段に近接させることにより、ICタグ等と同様に、特定ユーザにかかる格納部番号とユーザ情報の組が近距離無線通信により取得される。
【0082】
PCに有線接続されるRFIDリーダ等からなるユーザ情報読取手段300は、RFIDリーダを起点として、RFIDカード等に向けて電波を発信している。RFIDカードがRFIDリーダと近距離無線通信可能な領域まで近接されると、前記電波を受信したRFIDカードに誘導電力が発生し、反射波により格納部番号とユーザ情報の組25(
図2(A)図参照)をRFIDリーダに送り返し、RFIDリーダが情報を取得する。
【0083】
ここで、RFIDリーダをなす制御手段が復号化手段として機能され、記憶手段が暗号鍵を記憶しているときには、取得したユーザ情報が暗号化ユーザ情報の場合には、復号鍵を兼ねる暗号鍵によりユーザ情報を復号化させてからPCに通信させる。PCが復号化手段として機能されるときは、RFIDリーダは取得した暗号化ユーザ情報を、そのままPCに通信する。
【0084】
さて、情報処理手段100をなすPCは、制御手段110として機能されるCPUと、記憶手段120として機能されるHDD、SSD,ROM,RAM等を備えている。このほか、モニター等の表示手段130と、キーボード等の入力手段140と、ウェブサイト150に通信接続する通信手段160を備えている。表示手段130は入力手段140を兼ねるタッチパネル機器であってもよい。また、PCがウェブサイトに通信接続されないスタンドアロン機器の場合には通信手段を備えなくてもよい。このほか、RFIDカード等にユーザ情報を書き込むRFIDライタ等の情報書込手段170を備えてもよい。ユーザ情報取得手段をなすRFIDリーダがRFIDライタとして機能されてもよい。
【0085】
情報処理手段の制御手段110が、上述した中継手段をなす情報表示監視手段111とユーザ情報自動入力手段112として機能され、情報処理手段の記憶手段120が、上述した中継手段をなす登録手段121として機能される(
図4参照)。また、情報表示監視手段111はアクティブ判定手段113としても機能させてもよい。アクティブ判定手段113は、情報処理手段のOS(オペレーティングシステム)の処理状況を常時監視し、一つしかないアクティブ状態のアプリを特定し、一群の情報表示のいずれがアクティブな表示状態となっているかを判定させる。
【0086】
情報表示監視手段111がアクティブ判定手段113として機能され、ユーザ情報自動入力手段112は、アクティブ判定手段によりアクティブと判定された情報表示のユーザ入力欄のみに、ユーザ情報を自動入力させる。仮に、ユーザの操作によって、複数の登録された情報表示が起動されている場合であっても、アクティブな表示状態の情報表示は一つに限定され、そのユーザ入力欄に入力すべき格納部番号と組をなすユーザ情報が自動入力される。
【0087】
また、情報処理手段の制御手段110は、アプリ等を実行するアプリ実行手段114、ユーザ情報を所定の暗号鍵により暗号化させる暗号化手段115、暗号化ユーザ情報を取得したときに復号鍵を兼ねる暗号鍵によりユーザ情報を復号化させる復号化手段116、登録手段に登録する一群の情報表示等を追加編集させる追加編集手段117としても機能される。情報処理手段が復号化手段として機能されることにより、ユーザ情報が自動入力されるまで暗号化されたままとなり、情報漏洩がされにくい。
【0088】
追加編集手段117は、情報表示の追加編集、情報表示毎の入力欄番号と格納部番号の追加編集について、いずれもログイン管理システム1の管理権限者のみに制限している。そのため、管理権限のないユーザが、メモ帳アプリ等を誤って登録することが防がれる。
【0089】
情報処理手段の記憶手段120は、中継手段をなす登録手段121として機能され、一群の情報表示122と、情報表示毎の入力欄番号123と、情報表示毎の格納部番号124とを、対応情報125(
図3参照)として紐付けて記憶している。このほか、情報処理手段の記憶手段には、アプリ126、暗号化手段・復号化手段が共通して使用する暗号鍵127と、管理権限者にだけ付与される管理権限128を記憶している。
【0090】
アプリ等とは、生産管理用、会計処理等の多様な用途の専用の業務用アプリのいずれであってもよく、クラウドコンピューティングにより提供されるウェブサイトであってもよい。ウェブサイトの場合には、ユーザ入力欄が表示されたサービスの情報表示とURLとが一体に記憶される。
【0091】
情報処理手段の記憶手段には、PCにインストールされたアプリについては、図には省略しているがアプリ毎に固有のユーザ判定情報も記憶されている。なお、アプリ毎のログイン成功・失敗の履歴記憶129をさせると、高度なセキュリティ管理が要求される医薬品の生産設備にも好適である。ウェブサイトのユーザ判定情報151については、通信手段160を介して通信接続されるウェブサイトの記憶手段152に記憶されている。
【0092】
次に、第1ユーザによる設定変更に、第2ユーザによる承認が必要な業務アプリBについて、
図5と
図6を参照して説明する。
図5(A)図は、第1ユーザである「乙」のユーザ情報が、業務アプリBの第1ユーザ入力欄に自動入力される状態を示し、
図5(B)図は、ログインした第1ユーザが、承認が必要な設定値を変更する状態を示している。
【0093】
図6(A)図は、業務アプリBの入力操作を行う情報表示と、業務アプリBの承認操作を行う情報表示の、入力欄番号と格納部番号の対応付けを示している。
図6(B)図は業務アプリBの固有のデータベースに登録されたユーザ判定情報を示している。
図6(C)図は、第2ユーザである「甲」の承認用のユーザ情報が、業務アプリBの第2ユーザ入力欄に自動入力される状態を示している。
【0094】
ここでは、医薬品が封入される分包シート用の包装機を管理する業務アプリBを例に説明する。業務アプリBは、分包シートを製造する際の生産重要情報を管理し、例えば装置調温温度、分包シートの搬送速度、分包シートの熱溶着温度、分包シート1枚あたりの製品基準重量、分包シート1枚あたりの重量許容誤差等について、設定変更ができるようになっている(
図5(B)図参照)。
【0095】
また、業務アプリBの「入力用情報表示」については、入力欄番号1が付されたID入力欄に格納部番号1のユーザIDが、入力欄番号2が付されたパスワード入力欄に格納部番号2のパスワードが対応付けられている(
図5(A)図,
図6(A)図参照)。一方、業務アプリBの「承認用情報表示」については、入力欄番号1が付されたID入力欄に格納部番号1のユーザIDが、入力欄番号3が付された承認用パスワード入力欄に格納部番号3の承認用パスワードが対応付けられている(
図6(A)図,
図6(C)図参照)。
【0096】
業務アプリBの固有のデータベース(
図6(B)図参照)には、入力欄番号1,2に対応するユーザIDとパスワードは、乙・丙についてのみ登録され、甲については、入力欄番号2はブランクとされ、入力欄番号1,3についてのみが登録されている。入力欄番号1,2と対応する格納部番号1,2にユーザ情報を有する乙・丙が「設定変更・入力用情報表示」の情報表示にログインでき、入力欄番号1,3と対応する格納部番号1,3にユーザ情報を有する甲のみが「承認用情報表示」の情報表示にログインできる。
【0097】
具体的には、乙は、分包シートの生産状況に応じて、いずれかの生産重要情報を変更すべきと判断したときには、まず業務アプリBを起動し、自らのRFIDカードをRFIDリーダに近接させて、業務アプリBの立上げ用の情報表示30に「乙」のユーザ情報を自動入力させ、業務アプリBにログインする(
図5(A)図参照)。業務アプリBにログインすると、生産重要情報の管理画面31をなす情報表示が表示される(
図5(B)図参照)。ここで、管理画面に表示された装置調温温度の設定値32を選択し、入力手段により具体的な数値を入力する。例えば、既定の装置調温温度がN[℃]であれば、N‐1[℃]を入力する等である。
【0098】
第1ユーザである「乙」が、設定値を変更してから変更決定ボタンを選択すると、設定変更を承認の意思確認をする承認用の情報表示33が、表示手段の最前面にポップアップする(
図6(C)図参照)。第2ユーザである「甲」は、承認用情報表示の表示内容を確認し、設定変更に問題がないと判断したときには、RFIDリーダに自らのRFIDカードを近接させて、「甲」のユーザ情報を自動入力させてから、承認ボタンを手動入力する。そうすると、乙による設定変更が有効化される。
【0099】
次に、ユーザ情報を自動入力させる情報表示において、ログイン可否が決定されるまでの全体フローを、
図7を参照して説明する。なお、暗号化ユーザ情報の判定ステップと復号化ステップは理解を容易にするため省略している。まず、ステップ10で情報処理手段(PC)とユーザ情報取得手段(RFIDリーダ)が起動され(S10)、ステップ20に進み、情報表示監視手段による常時監視が開始される(S20)。ステップ30で登録された情報表示を表示するアプリが実行され(S30)、ステップ40で情報処理手段をなす表示手段に、そのアプリの情報表示が表示される(S40)。ステップ50で登録手段から入力欄番号と格納部番号の対応付けを読み出して(S50)、ステップ60に進む。
【0100】
ステップ60でユーザ情報発生手段(RFIDカード)がユーザ情報読取手段に近接されると(S60)、ステップ70でRFIDカードから格納部番号とユーザ情報の組が発生され、RFIDリーダを介してPCに格納部番号とユーザ情報の組が取得される(S70)。ここでは省略しているが、ユーザ情報が暗号化されている場合には、S70からS100までの間に暗号化ユーザ情報を復号化させておけばよい。ステップ80でアクティブ判定手段により、表示された情報表示がアクティブな表示状態か否かが判定され(S80)、アクティブであればステップ90に進み、アクティブでなければステップ60に戻る。
【0101】
ステップ90に進み、中継手段がアクティブ状態の情報表示のユーザ入力欄の入力欄番号と一致した格納部番号から、ユーザ入力欄に入力すべきユーザ情報を特定させ(S90)、ステップ100に進み、ユーザ情報自動入力手段が、ユーザ入力欄にユーザ情報を自動入力させる(S100)。
【0102】
次に、ステップ110でアプリが、自らのデータベースに登録されたユーザ判定情報と、自動入力されたユーザ情報が一致したかを判定させ(S110)、ユーザ情報が一致していれば、ステップ120に進み、不一致であれば、ステップ130に進みログインを不可とする。ステップ120においては、ログインの権限があるとして、情報表示にログインを許可させる(S120)。ステップ120、ステップ130を経て、ステップ140で情報処理手段にログイン成功・失敗の履歴を記録させるようにする(S140)。
【0103】
次に、第2ユーザが第1ユーザの設定変更を承認する場合のフローを、
図8を参照して説明する。まずステップ200において、業務アプリにログインした第1ユーザが、第2ユーザによる承認が必要な情報について設定変更し(S200)(
図6参照)、ステップ210に進み、業務アプリが承認用情報表示を表示させる(S210)。
【0104】
ステップ220でユーザ情報自動入力手段が入力欄番号と格納部番号の対応付けを読み出して(S220)、ステップ230に進む。ステップ230で第2ユーザによりユーザ情報発生手段がユーザ情報読取手段に近接される(S230)。ステップ240で承認用のユーザ情報が発生され(S240)、PCに承認用のユーザ情報が取得される。
【0105】
ステップ250でアクティブ判定手段が、承認用情報表示がアクティブな表示状態かを判定し(S250)、承認用情報表示がアクティブでないと判定されたときには、ステップ230に戻り、再度ユーザ情報発生手段がユーザ情報読取手段に近接されるまで待機する。
【0106】
一方、ステップ250において承認用情報表示がアクティブであると判定されたときには、ステップ260に進み、承認用のユーザ情報を特定させる(S260)。そして、ステップ270でユーザ情報自動入力手段が、承認用の第2ユーザ入力欄に、第2ユーザのユーザ情報を自動入力させる(S270)。
【0107】
ステップ280においては、業務アプリに記憶されているデータベースに、予め登録されているユーザ判定情報と、自動入力された承認用のユーザ情報が一致したかを判定し(S280)、一致しているときには、ステップ290に進み設定変更を許可し、一致していないときにはステップ300に進み設定変更を許可しない。ステップ290,ステップ300を経て、ステップ310において、情報処理手段にログイン成功・失敗の履歴、すなわち承認可否の履歴を記録させる(S310)。
【0108】
アクティブな情報表示の判定は、オペレーションシステムに備えられた常駐監視プログラムによればよいが、常駐監視プログラムに換えて適用できる、アクティブ判定手段の例を、
図9を参照して説明する。
図9に示した例では、表示手段に表示された画面情報から、画面情報取得手段と画面情報判定手段とにより情報表示がアクティブか否かを判定させるようにしている。
図9(A)図は、表示手段に表示された画面情報を示し、
図9(B)図は、アクティブ判定のフローを示している。
【0109】
表示手段には、アプリAの情報表示40(破線参照)、ウェブサイトαの情報表示41(一点鎖線参照)、ウェブサイトβの情報表示42(実線参照)を示す複数の情報表示が表示されている(
図9(A)図参照)。このうち、アプリAの情報表示40とウェブサイトβ42の情報表示については外枠が矩形であり、ウェブサイトαの情報表示41については外枠の矩形の一部が欠けた状態とされている。
【0110】
情報処理手段の記憶手段がなす登録手段には、予め登録配置情報として、一群の情報表示のユーザ入力欄の各々の配置情報、例えばユーザ入力欄の数、大きさ、縦横比率、位置、人確認入力欄の有無・大きさ、入力欄の縦横比率、位置や、実行ボタンの位置・大きさ、更に、アプリの名称、アプリロゴ等が記憶されていてもよい。
【0111】
画面情報取得手段は、前記3つのアプリ等の情報表示の外枠の表示状態の情報、具体的には矩形状態か、一部に欠落があり矩形状態をなしていないか等の表示状態の情報と、各情報表示が有するユーザ入力欄の数、大きさ、縦横比率、位置等の配置情報を取得する。併せて、アプリ名称、アプリロゴ等の情報を取得してもよい。
【0112】
画面情報判定手段は、少なくとも、取得した前記外枠情報が矩形形状であり、且つ、取得した配置情報と登録配置情報とが相似関係にある情報表示を、アクティブな情報表示であると判定させる。配置情報と登録配置情報との相似関係は、具体的には、表示画面に表示された情報表示のユーザ入力欄の数、大きさ、位置、人確認入力欄の有無等の情報を、予め登録手段に記憶させておいた複数の情報表示の登録配置情報と対比して、いずれの情報表示と相似関係かを判定させればよい。
【0113】
より具体的には、ユーザ情報入力欄の数が一致しているか、ユーザ情報入力欄の縦横比率が一致しているか、人確認入力欄を有するか、ユーザ情報入力欄と実行ボタンの位置・大きさが相似関係にあるかをCPUにより演算処理させて相似を判定すればよく、更にアプリ名称、アプリロゴ等の情報を判定対象にすれば好適である。
【0114】
ここで、画面情報をもとにしたアクティブ判定のフローを説明する。全体フロー(
図7参照)に示したようにユーザ情報が発生されてから(S70)、入力すべきユーザ情報を特定する(S90)までに、入力対象の情報表示がアクティブか否かをアクティブ判定手段により判定させている。ここでは、画面情報によるアクティブ判定のフローを、
図9を参照して説明する。
【0115】
全体フロー(
図7参照)のステップ70でユーザ情報が発生されてから、ステップ81に進み、画面情報を取得する。ステップ81では、画面情報取得手段により、表示手段に表示されているアプリの画面情報を取得し(S81)、ステップ82に進む。アプリの画面情報とは、登録されたアプリの外枠が矩形か、又は一部が他のアプリの表示画面が重なって欠損された状態か、更に、外枠が矩形のアプリの表示画面が複数あるかといった、アプリの配置情報をいう。
【0116】
ステップ82において、外枠が矩形をなす情報表示が複数であればステップ83に進み、外枠が矩形をなす情報表示が一つであればステップ85に進みアクティブな情報表示であると判定させる(S85)。ステップ83においては、画面情報取得手段が取得したユーザ入力欄の配置情報が、予め登録手段に記憶されているいずれかの登録配置情報と相似関係を判定させる。
【0117】
ステップ83で相似関係にあると判定されたときにはステップ85に進み、アクティブな情報表示であると判定させ(S85)、全体フロー(
図7参照)S90に進む。ステップ83で相似関係にないと判定されたときには、ステップ84で情報表示がアクティブではないとして、全体フロー(
図7参照)S60に戻り、ユーザ情報発生手段がユーザ情報読取手段に近接されるのを待機する。なお、取得した他の画面情報、例えばアプリロゴ等を併用してアクティブを判定してもよい。
【実施例2】
【0118】
実施例2では、情報処理手段が、サーバ400とPC10とに機能分担されているログイン管理システム2を、
図10を参照して説明する。実施例2においては、実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略している。
【0119】
ログイン管理システム2は、複数のPCが通信手段430を介してサーバ400に通信接続される業務環境に適用される。サーバ400は、制御手段410と記憶手段420を備え、制御手段がアプリ実行手段114、暗号化手段115、復号化手段116、追加編集手段117として機能され、記憶手段420が登録手段121として機能される。またサーバ400にアプリ126が記憶されるほか、暗号鍵127、管理権限128が記憶されている。情報表示の追加編集をする場合には管理権限を有するユーザが、いずれかのPCによりサーバを操作して追加編集をすればよい。サーバは、工場の構内に配設される構内サーバであってもよく、クラウドサーバであってもよい。
【0120】
各々のPC10は、制御手段110、記憶手段120、入力手段140、表示手段130を備え、情報読取手段300が有線接続されると共に、通信手段を介してウェブサイトに通信接続されると好適である。各々のPCが、中継手段をなす情報表示監視手段111、ユーザ情報自動入力手段112、アクティブ判定手段113として機能される。少なくともいずれかのPC又はサーバにユーザ情報発生手段に格納部番号とユーザ情報とを書込む情報書込手段170が有線接続されるとよい。
【0121】
サーバ400がアプリを実行する場合には、PC10の記憶手段120にはアプリ本体を記憶させなくてもよい。各々のPC10にユーザ情報が取得されると、PC10はサーバから登録手段121に記憶された対応情報125が記憶された一群の情報表示122、情報表示毎の入力欄番号123、格納部番号124を取得し、ユーザ情報自動入力手段112がユーザ情報をアプリ等のユーザ入力欄に自動入力させる。
【0122】
PC10が暗号化ユーザ情報を取得したときには、通信手段430を介して、サーバ400に暗号化ユーザ情報とPC10の識別IDを通信させ、サーバをなす復号化手段116が暗号化ユーザ情報を復号化させ、復号化させたユーザ情報を同じ識別IDのPC10に送り返す。その後、PCが情報表示にユーザ情報を自動入力させる。
【0123】
登録手段121に記憶させる情報がサーバ400により統括され、複数のPC10に共有されるため、登録手段の情報管理が容易となる。例えば、アプリ等の仕様変更があったとき、入力欄番号・格納部番号を追加編集するときに、システム管理者はサーバの情報だけを追加編集させれば、全てのPCにおいて一括して変更後の情報を利用させることができ、管理作業の負担が軽減される。
【0124】
(その他)
・上記の実施例では、ログイン管理システムの実施例を示したが、ログイン管理システムと同様に、PC等の情報処理手段の表示手段に表示された所定の画面構成を有する情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させるプログラムとすればよいことは勿論のことである。
・サーバはクラウドサーバであってもよく、アプリはクラウドで実行されるアプリであってもよい。
・上述の詳細な説明により、明らかであるように、この出願において「所定の画面構成の情報表示」とは、表示手段に表示されたユーザ情報を入力させる機能を有する画面構成の表示を称し、一つの表示手段に示された単なる全体の画面表示ではなく、表示手段の画面全体に表示されていなくてもよく、一つの画面に複数表示されていてもよいことは、もちろんのことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
1,2…ログイン管理システム、
10…PC、11…表示手段、12…ユーザ判定情報、
20…ユーザ入力欄、21…人確認入力欄、22…暗号化ユーザ情報、
23…ユーザ情報、24…格納部番号、25…組、26…入力欄番号、
30…立上げ用の情報表示、31…生産重要情報の管理画面、32…設定値、
33…承認用の情報表示、40…アプリAの情報表示、
41…ウェブサイトαの情報表示、42…ウェブサイトβの情報表示、
100…情報処理手段、110…制御手段、111…情報表示監視手段、
112…ユーザ情報自動入力手段、113…アクティブ判定手段、
114…アプリ実行手段、115…暗号化手段、116…復号化手段、
117…追加編集手段、120…記憶手段、121…登録手段、
122…一群の情報表示、123…情報表示毎の入力欄番号、
124…ユーザ情報と組をなす格納部番号、125…対応情報、126…アプリ、
127…暗号鍵、128…管理権限、129…ログイン成功・失敗の履歴記憶、
130…表示手段、140…入力手段、150…ウェブサイト、
151…ユーザ判定情報、152…ウェブサイトの記憶手段、160…通信手段、
170…情報書込手段、200…ユーザ情報発生手段、210…記憶手段、
211…格納部番号、212…ユーザ情報、213…生体判定情報、
220…制御手段、221…ユーザ特定手段、300…ユーザ情報読取手段、
400…サーバ、410…制御手段、420…記憶手段、430…通信手段
【要約】
【課題】ユーザ認証が必要な業務用アプリを始めとして、複数のアプリ等の情報表示の専用のログイン環境を設計しなくても、予め登録させておいた情報表示のユーザ入力欄に、ユーザ情報を自動入力させることができ、セキュリティが高く且つ汎用性が高いログイン管理システムを提供すること。
【解決手段】ICタグ等のユーザ情報発生手段200に、一人のユーザの複数のユーザ情報を、格納部番号と組にして記憶させ、PC10等の情報処理手段に、アプリ毎のユーザ入力欄の入力欄番号と格納部番号との対応付けと、アプリ毎の情報表示とを予め登録しておくと共に、情報表示の表示状態を常時監視させるようにした。そして、表示手段11に登録した情報表示が表示状態となってから、ユーザ情報が取得され、その格納部番号と同一の入力欄番号が付与されたユーザ入力欄に、取得したユーザ情報を自動入力させるログイン管理システムとした。
【選択図】
図1