(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】テープ材貼付け機
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
B29C63/02
(21)【出願番号】P 2019013215
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519033845
【氏名又は名称】株式会社テクノオリンパス
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】浜田 信幸
(72)【発明者】
【氏名】伊東 弘素
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-032522(JP,A)
【文献】特開平10-113987(JP,A)
【文献】特開2003-081232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48
B29C 65/00-65/82
B65B 51/00-51/32
B65C 1/00-11/06
B65H 37/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状のテープ材が巻かれた保持部材を、第1回転軸を中心に回転させる回転駆動部および、前記第1回転軸に平行な方向を含む3軸方向に前記保持部材を直線的に移動させる3軸駆動部を備えたテープ貼付け装置と、
ワークを前記第1回転軸と直交する第2回転軸を中心に回転させるワーク回転装置と、
前記テープ
貼付け装置および前記ワーク回転装置を駆動制御する制御装置とを有し、
前記テープ貼付け装置は、前記保持部材にテープ材の両端部を把持する一対の把持部を備えており、
前記保持部材に巻かれたテープ材をワークに対して押え付けながら前記第2回転軸を回る方向に貼り付けるテープ材貼付け機。
【請求項2】
前記保持部材は、ワークに対するテープ材の貼付け形状に対応して前記第1回転軸を中心にした周状の外形形状であり、その外周部分にテープ材の嵌り込む溝部が形成されたものである請求項1に記載のテープ材貼付け機。
【請求項3】
前記テープ貼付け装置は、前記保持部材が、前記第1回転軸を中心にした円形の外周部分にテープ材の嵌り込む溝部が形成されたものであり、前記保持部材からのテープ材をワークに対して押え付ける格納式の押圧部材を有する請求項1に記載のテープ材貼付け機。
【請求項4】
1本のテープ材を所定位置に配置させるテープ材受渡し装置を有し、前記テープ貼付け装置は、前記保持部材を回転させて前記テープ材を周方向に巻き付けて保持するものである請求項1乃至請求項3のいずれか
1項に記載のテープ材貼付け機。
【請求項5】
前記テープ材は、一枚の台紙上に貼付けられた長尺なテープシートが幅方向にカットされ、前記テープシートの長手方向に複数並べられたものであり、
前記テープ材受渡し装置は、頂部が曲面のガイド部材を折り返すようにして前記テープシートを送り、その頂部に1本のテープ材を前記テープ貼付け装置との受渡し対象として位置決めするものである請求項4に記載のテープ材貼付け機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して弾力性のある樹脂性のテープ材を自動で貼り付けるテープ材貼付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、両面テープ等をワークの曲面部分に沿って貼り付けるシール貼付け装置が開示されている。そのシール貼付け装置は、昇降可能なハンドに多数の細孔をもった吸着ブロックが設けられ、真空引きによってシール部材の吸着保持が行われるよう構成されている。また、インデックステーブルにワークを保持する位置決め治具と移動自在な回転ピンとが組み付けられている。そして、ハンドにはシール表面からワーク曲面に沿って、バネ力を使用したシール部材に押し付ける回転ローラが設けられている。このようなシール貼付け装置では、吸着ブロックに保持されたシール部材がワークの曲面に沿って回転ローラの押し付けによって貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-260225号公報(
図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来例のシール貼付け装置は、テープ材を長手方向に沿って直線的に貼付ける作業は可能であっても、複雑な形状の部品をワークとした場合、そのワークに対するテープ材の貼付けは不可能である。例えば、部品同士を嵌め合わせるような箇所には、気密性を高めるため或いは緩衝を目的としてウレタンなどの弾力性のある樹脂性のテープ材が貼り付けられる。ところが、こうした部品への貼り付けは、テープ材を取り付ける箇所が様々な形状をしているため機械化が難しく、これまでは一品ごと手作業によって貼付けが行われていた。そうした場合、経験などの個人差が生じてしまい、貼付け品質が一定にはならず、また作業効率も良くなかった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、自動でテープ材を貼り付けするテープ材貼付け機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るテープ材貼付け機は、線状のテープ材が巻かれた保持部材を、第1回転軸を中心に回転させる回転駆動部および、前記第1回転軸に平行な方向を含む3軸方向に前記保持部材を直線的に移動させる3軸駆動部を備えたテープ貼付け装置と、ワークを前記第1回転軸と直交する第2回転軸を中心に回転させるワーク回転装置と、前記テープ貼付け装置および前記ワーク回転装置を駆動制御する制御装置とを有し、前記テープ貼付け装置は、前記保持部材にテープ材の両端部を把持する一対の把持部を備えており、前記保持部材に巻かれたテープ材をワークに対して押え付けながら前記第2回転軸を回る方向に貼り付けるものである。
【発明の効果】
【0007】
前記構成によれば、各駆動部の動きを制御装置が制御することにより、線状のテープ材が巻かれた保持部材をテープ貼付け装置が回転および3軸方向に移動させ、またワークをワーク回転装置が回転させ、保持部材に巻かれたテープ材をワークに対して押え付けながら第2回転軸を回る方向に自動で貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】テープ材貼付け機の一実施形態を簡略化して示した平面図である。
【
図2】テープ材貼付け機の一実施形態を簡略化して示した正面図である。
【
図3】テープ材貼付け機の一実施形態を簡略化して示した側面図である。
【
図5】貼付け用ハンドに設けられたテープ止めを示した図である。
【
図6】テープ材貼付け機によりテープ材が貼り付けられたワークの斜視図である。
【
図7】テープ材貼付け時の状況を示した斜視図である。
【
図8】第2実施形態のテープ材貼付け時の状況を簡略化して示した斜視図である。
【
図9】第2実施形態のテープ材貼付け機の貼付け用ハンドの一部を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るテープ材貼付け機の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
図6は、第1実施形態のテープ材貼付け機においてテープ材の貼付け対象とする部品(ワーク)を示したものであり、テープ材10が貼り付けられた後の斜視図である。そのテープ材10は、弾力性を必要とするためウレタンが使用され、接着面を有する厚みのある一定幅の線状部材である。ワーク80は、平板部801の両面に突設された筒形状部802,803を有する樹脂製品である。テープ材10は、そのワーク80に対して筒形状部802の周りを囲むようにして平板部801に貼り付けられる。
【0010】
図1乃至
図3は、ワーク80にテープ材10を貼付ける第1実施形態のテープ材貼付け機を簡略化して示した図であり、
図1は平面図、
図2は正面図、
図3は側面図である。テープ材貼付け機1は、前述したように、ワーク80に対してテープ材10を貼り付けるものであり、保持したテープ材10を回転および3軸方向に直線移動させるテープ貼付け装置3、保持したワーク80を回転させるワーク保持装置4および、各装置を駆動制御する制御装置5を主要部として構成されている。また、テープ材貼付け機1には、貼り付けるテープ材10を順番に送るためのテープ材受渡し装置6が設けられている。
【0011】
テープ貼付け装置3は、テープ材10を保持する板状の貼付け用ハンド11を有している。
図4は、その貼付け用ハンド11を示した図である。貼付け用ハンド11は、外周に沿ってテープ材10を保持するようにした板状の部材であり、その外周方向に回転してテープ材10を押し付けながらワーク80の平板部801上に貼り付けるものである。そのため、貼付け用ハンド11の外形形状は、
図6に示すテープ材10の周状の貼付け形状に対応している。そして、この貼付け用ハンド11には、テープ材10を始端10aと終端10bにおいて掴むためのテープ止め12が設けられている。
貼付け用ハンド11は本発明の保持部材の一例であり、テープ止め12は本発明の把持部の一例である。
【0012】
図5は、貼付け用ハンド11に設けられたテープ止めを示した図であり、具体的には
図4に示すA-A矢視部分が表されている。貼付け用ハンド11は、テープ材10の幅に合わせた肉厚のベース板111の両面に、薄板の側板113,114が貼り合わされている。そのため、貼付け用ハンド11の外周部には溝部116が形成され、そこにテープ材10が嵌り込むようになっている。しかし、浅い溝部116に嵌り込んでいるだけでは、テープ材10が外れてしまい、或いは位置ズレしてしまう。そこで、テープ材10の始端10aと終端10bを掴むテープ止め12が設けられている。
【0013】
テープ止め12は、エアシリンダ21が使用され、そのヘッド側がブラケット22に対して揺動可能にピン止めされている。エアシリンダ21のロッド側は、ピストンロッド211の先端部に平行リンク機構の駆動リンク23が連結され、その駆動リンク23と従動リンク24に対して押し部材25が連結されている。テープ止め12は、
図5に示すように、エアシリンダ21が収縮した状態では、押し部材25が貼付け用ハンド11から離れる方向に後退し(図a)、伸長した場合にテープ材10を押え付けるように前進する(図b)よう構成されている。なお、側板114は、押し部材25のピン部材251が干渉しないように切り欠かれ、テープ材10は、ピン部材251によって側板113に押し付けられるようになっている。
【0014】
次に、貼付け用ハンド11には一定の長さのテープ材10が巻き付けられるが、テープ材貼付け機1は、テープ材10の自動巻き付けを可能にするテープ材受渡し装置6が設けられている。
図4は、貼付け用ハンド11を機体正面から見た図であり、その第1回転軸O1が機体前後方向のY軸と平行になるよう組み付けられている。テープ材受渡し装置6は、そうした貼付け用ハンド11がテープ材10を巻き取れるようにしたものである。なお、本実施形態では、
図1乃至
図3に示すテープ材貼付け機1について、機体幅方向をX軸方向、機体前後方向をY軸方向、そして機体高さ方向をZ軸方向として説明する。
【0015】
テープ材受渡し装置6は、テープ材10の元となるロール状のウレタンシート100が機体下部の回転ロッド31に取り付けられ、上方へと巻き出されるようになっている。このウレタンシート100は、テープ材10の長さを横幅寸法とする長尺なものであり、長手方向と直交する幅方向にカットされ、一枚の台紙101上に複数のテープ材10が並んで貼り付けられた状態となっている。テープ材受渡し装置6では、そのウレタンシート100が、Z軸方向に起立したガイド32を超えるようにして送られる。ガイド32は、起立した板状部材の頂部に曲面が形成されたものであって、その頂部でウレタンシート100が折り返す際、カットされた1本分のテープ材10が隣のテープ材10から離れるようになっている。そうした頂部のテープ材10が貼付け用ハンド11によって巻き取られることとなる。
ウレタンシート100は本発明のテープシートの一例であり、ガイド32は本発明のガイド部材の一例である。
【0016】
テープ材受渡し装置6は、ガイド32の頂部を折り返した残りの台紙101を回収する回収ボックス38が設けられている。テープ材受渡し装置6は、ウレタンシート100を巻き出すため、折り返し後の台紙101を一対の送りローラで引っ張る巻出し機構が設けられている。すなわち、駆動ローラ33と従動ローラ34によって台紙101が挟み込まれ、回転時の摩擦力によって
図3に矢印で示す方向にウレタンシート100が送られるようになっている。ウレタンシート100の送り量は、テープ材10の一本分の幅寸法であるが、本実施形態では、ガイド32の頂部に位置するテープ材10を検出するセンサ36が設けられ、その検知信号に基づく制御装置5の駆動モータ35の駆動停止制御によって位置調整が行われる。
【0017】
次に、テープ貼付け装置3は、貼付け用ハンド11が回転駆動部13に支持されている。その回転駆動部13は、第1回転軸O1を中心に貼付け用ハンド11を回転させる回転用モータが、ギヤなどの回転伝達部を介して貼付け用ハンド11の軸部に連結されている。その回転駆動部13は、貼付け用ハンド11を機体上下のZ軸方向に直線移動させるZ軸駆動部14に搭載されている。そして、Z軸駆動部14が貼付け用ハンド11を機体前後のY軸方向に直線移動させY軸駆動部15に搭載され、更にY軸駆動部15が貼付け用ハンド11を機体左右のX軸方向に直線移動させるX軸駆動部16に搭載されている。
【0018】
Z軸駆動部14、Y軸駆動部15およびX軸駆動部16は、Z軸、Y軸およびX軸の各スライダがレールに沿って移動可能であり、モータの回転を直進運動に変換するボールネジ機構が使用されている。すなわち、各スライダにはナットが固定され、そのナットにZ軸、Y軸およびX軸のネジ軸が各々螺合し、それぞれのネジ軸にZ軸、Y軸およびX軸の各駆動モータが連結されている。テープ貼付け装置3を構成する各部の回転用モータ、X軸用モータ、Y軸用モータ及びZ軸用モータは、いずれもサーボモータが使用され、制御装置5に格納された貼付けプログラムからの制御指令に従って所定量の回転制御が行われるようになっている。
【0019】
ところで、テープ貼付け装置3のX軸駆動部16は、
図1に示すように、X軸方向のストロークを長くした構成となっている。これはワーク80に対するテープ材10の貼付けだけではなく、貼付け用ハンド11がテープ材受渡し装置6からテープ材10を巻き取る際の移動が必要だからである。
【0020】
次に、テープ材貼付け機1は、ワーク80に対するテープ材10の貼付けの際、貼付け用ハンド11側の動きにワーク80が連動するよう構成されている。ワーク80の動きは、第1回転軸O1に直交する第2回転軸O2を中心にした回転である。そのため、ワーク保持装置4は、ワーク80を保持するチャック機構41を備えた作業台42を有し、その作業台42が旋回用モータ43に回転支持されている。旋回用モータ43の回転軸がZ軸に平行な第2回転軸O2であり、作業台42に配置されたワーク80がXY平面上において回転可能になっている。
【0021】
更に、ワーク保持装置4は、旋回用モータ43がスライドテーブル45に搭載され、Y軸方向に設置されたガイドレール46に従った移動が可能になっている。スライドテーブル45にも不図示のボールネジ機構が使用されており、固定されたナットにネジ軸が螺合し、そのネジ軸に搬送用モータが連結されている。よって、テープ材貼付け機1では、
図1において一点鎖線で示すように、機体の前に立った作業者が機内に体を入れることなく、立ち位置の近くでワーク80を横向きにセットできるようになっている。
【0022】
テープ材貼付け機1では、作業者によってワーク80のセットが行われると、機体前面部のスタートボタン51を押すことによってテープ材10の貼り付けが実行される。スタートボタン51の隣には非常用ボタン52があり、非常時に作業者が押すことによりテープ材貼付け機1の緊急停止が行われる。また、機体の前面にはライトカーテン53が設けられ、テープ材貼付け機1の駆動時に作業者の侵入が検知されると、緊急停止が実行されるようになっている。
【0023】
セットされたワーク80は、
図1に示す白抜き矢印のように、旋回用モータ43の回転により向きが90°変えられ、搬送用モータの駆動によりテープ貼付け装置3近くの作業位置へと移動して位置決めされる。こうしたワーク80の移動の一方で、テープ貼付け装置3の駆動により、貼付け用ハンド11にテープ材10が巻き付けられる。その際、テープ材受渡し装置6では、駆動ローラ33と従動ローラ34が回転し、両者に挟み込まれた台紙101が所定量だけ引っ張られる。ロール状のウレタンシート100が巻き出され、ガイド32の頂部では次のテープ材10が立ち上がった状態になり、受渡しの準備が行われる。
【0024】
そのテープ材10に対して貼付け用ハンド11が近づき、テープ貼付け装置3の回転および3軸方向の駆動制御により、一方のテープ止め12がテープ材10の端部に位置合わせが行われる。そして、テープ止め12がテープ材10の始端10aを掴んだ後、
図2において一点鎖線で示す貼付け用ハンド11のように、回転しながらX軸方向に移動し、外周の溝部116にテープ材10が嵌まり込むようにして巻き取られる。最後まで巻き取ったところで、他方のテープ止め12が作動して終端10bが掴まれる。
【0025】
テープ材10を保持した貼付け用ハンド11は、テープ貼付け装置3の駆動により作業位置に移動し、ワーク80に対するテープ材10の貼り付けが行われる。
図7は、そうしたテープ材10の貼付け時の状況を示した斜視図である。貼付け用ハンド11は、まずテープ材10の始端10aがワーク80の貼付け開始位置に合わせて押し付けられ、テープ止め12が始端10aを解放してワーク80に対するテープ材10の接着が開始される。その後、回転および3軸方向の微妙な制御によりワーク80に対する押し付け位置を変え、
図6に示すように、ワーク80の平板部801に筒形状部802の周りを囲むようにした貼付けが終端10bにかけて行われる。
【0026】
ワーク80は、平面上に貼付けるテープ材10の貼付け形状に直線部と曲線部とがあり、貼付け用ハンド11の単純な回転だけでは適切な貼り付けができない。そこで、曲線部では、貼付け用ハンド11が回転しながら3軸方向の移動を加えた動きをするとともに、ワーク80の回転も行われる。こうした貼付け用ハンド11およびワーク80に対する各装置の駆動制御は、テープ材10の貼付け形状におけるシミュレーション上での測定値に基づいて作成された制御プログラムに従って行われる。そして、最後にテープ止め12が終端10bを解放して貼付けが完了する。
【0027】
以上のようなテープ材10の貼付け作業は、これまでは人手によって行われていたが、テープ材貼付け機1によって自動化が可能になり、作業者の経験など能力に関係なく貼付け品質を均一にすることができる。また、テープ材貼付け機1は貼付け用ハンド11に対するテープ材10の巻き付けも自動で行うため、作業者の負担がより軽減される。
【0028】
次に、テープ材貼付け機の第2実施形態について説明する。
図8は、テープ材貼付け時の状況を簡略化して示した斜視図であり、
図9は、テープ材貼付け機の主要な構成である貼付け用ハンドの一部を示した側面図である。本実施形態のテープ材貼付け機は、部品(ワーク)90を対象とし、その外周に沿ってテープ材60を貼り付けるものである。ワーク90は、その形状が複雑であり、凹部91など高さ方向の変化もあるため、第1実施形態のような貼付け形状に対応した貼付け用ハンドの作成が困難である。
【0029】
そこで、本実施形態の貼付け用ハンド61は、テープ材60を巻き取る円形のテープ保持部63と、そのテープ保持部63に巻かれたテープ材60をワーク90に押し当てる格納式の押圧部64を備え、テープ保持部63からのテープ材60を押圧部64の先端でワーク90に押し当てながら貼り付ける構成が採られている。そのテープ保持部63は、第1実施形態と同じく外周にテープ材60を嵌め込む溝部が形成され、テープ材60の端部を掴むためのテープ止め65が設けられている。テープ保持部63は、回転用モータ71によって回転可能に支持され、その回転中心がY軸に平行な本実施形態の第1回転軸O1である。
【0030】
一方、押圧部64(
図8では省略されている)は、先端にテープ材60を押え込む溝付きローラ66を保持した押圧部材67が、回転用モータ71側に固定されたブラケット72に軸支されている。また、回転用モータ71側にはエアシリンダ68が軸支され、押圧部材67がテープ保持部63の裏側に格納可能になっている。すなわち、ピストンロッドの伸縮によって押圧部材67が揺動し、下方に突き出した使用状態と、テープ保持部63の裏側に退避する格納状態とに切り換えられるようになっている。こうして回転用モータ71の回転駆動部に搭載された貼付け用ハンド61は、更に前記第1実施形態のテープ貼付け装置3と同様、Z軸、Y軸およびX軸方向にそれぞれ直線移動させるためのZ軸駆動部、Y軸駆動部およびX軸駆動部に搭載されている。なお、図示しない構成は前記第1実施形態のテープ材貼付け機1と概ね同様であるため
図1乃至
図3を参考にする。
【0031】
本実施形態のテープ材貼付け機では、ワーク90がワーク保持装置4にセットされ、Z軸に平行な回転軸O2を中心に回転可能になる。そして、スタートボタン51が押されることでテープ材60の貼り付けが開始される。すなわち、テープ貼付け装置3では、テープ保持部63が回転しながらX軸方向に移動し、テープ材受渡し装置6のテープ材60が巻き付けられる。テープ材60を保持した貼付け用ハンド61は、テープ貼付け装置3の駆動によりワーク90に対する作業位置に移動し、
図8に示すようにワーク90にテープ材60が貼り付けられる。
【0032】
貼付け用ハンド61によるテープ材60の貼付けは、テープ保持部63が回転しながらテープ材60がワーク90に押し付けられ、一定の長さ分の貼り付けが行われる。それまでの間、押圧部材67は、
図9の一点鎖線で示すようにテープ保持部63の裏側に格納された退避状態にあり、収縮していたエアシリンダ68が伸長することにより、実線で示す使用位置にまで移動して作業状態となる。なお、
図8には溝付きローラ66のみが示されているが、その溝付きローラ66によってテープ保持部63からのテープ材60が引掛けられ、ワーク90に対するテープ材60の押し付けが行われる。
【0033】
ワーク90は、テープ材60の貼付け形状が複雑であるが、テープ材60を押し付ける溝付きローラ66の位置が各装置の駆動制御によって3次元の移動を行い、それに連動してワーク90の回転が行われる。貼付け用ハンド61およびワーク90に対する各装置の駆動制御も、テープ材60の貼付け形状におけるシミュレーション上での測定値に基づいて作成された制御プログラムに従って行われる。よって、こうしたテープ材60の貼付け作業は、これまでは人手によって行われていたが、本実施形態のテープ材貼付け機によって自動化が可能になり、作業者の経験に関係なく品質を均一にすることができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、ワーク保持装置4を一台にした構成であるが、テープ材受渡し装置6を挟んでX字方向の反対側にもう一台設け、X軸駆動部16の距離を延ばすことにより、テープ材の貼付け作業を2箇所で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…テープ材貼付け機 3…テープ貼付け装置 4…ワーク保持装置 5…制御装置 6…テープ材受渡し装置 10…テープ材 11…貼付け用ハンド 12…テープ止め 13…回転駆動部 14…Z軸駆動部 15…Y軸駆動部 16…X軸駆動部 32…ガイド 80…ワーク 100…ウレタンシート O1…第1回転軸 O2…第2回転軸