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  • 特許-躯体ユニット及び簡易構造物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】躯体ユニット及び簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20221118BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
E04B1/348 H
E04H1/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021039116
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022138941
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-09-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月21日に東京都中央区日本橋蛎殻町二丁目9番に設置。令和3年3月3日に東京都目黒区上目黒1丁目26番に設置。令和3年3月4日に東京都立川市柴崎町3丁目6に設置。令和3年3月4日に東京都立川市曙町2丁目4に設置。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502445121
【氏名又は名称】株式会社ランドピア
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤司
(72)【発明者】
【氏名】朽木 裕二
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-328664(JP,A)
【文献】特開2008-261160(JP,A)
【文献】特許第6762548(JP,B1)
【文献】特許第5054217(JP,B2)
【文献】特開2005-240358(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108547467(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用コンテナの部材及び構造を利用してなる、簡易構造物の躯体ユニットであって、
支柱、梁材、及び桁材を組んでなる外形略直方体形状の、鋼枠体と、
前記鋼枠体の天面及び4つの側面に付設した、5面の鋼板パネルと、
前記鋼枠体の底面を貫通した、底面開口と、
側面の前記鋼板パネルの一部を貫通した、側面開口と、を備え、
前記側面開口側の側面において、下部の前記梁材又は前記桁材が上部の前記梁材又は前記桁材より短いことで、前記底面開口と前記側面開口の接続部に、前記梁材又は前記桁材が延在せず、
前記鋼枠体が、前記側面開口側の前記鋼板パネルの側辺に接する1本又は2本の補強支柱を備え、
前記側面開口が、隣り合う前記支柱及び前記補強支柱の間、又は隣り合う2本の前記補強支柱の間に構成され、
板状、棒状、又は線状の補強材を備え、
前記側面開口の両側の、前記支柱の下部と前記補強支柱の下部、又は2本の前記補強支柱の下部と下部、を前記補強材で接続したことを特徴とする、
躯体ユニット。
【請求項2】
建築用コンテナの部材及び構造を利用してなる、簡易構造物の躯体ユニットであって、
支柱、梁材、及び桁材を組んでなる外形略直方体形状の、鋼枠体と、
前記鋼枠体の天面及び3つの側面に付設した、4面の鋼板パネルと、
前記鋼枠体の底面を貫通した、底面開口と、
前記鋼枠体の側面を貫通した、側面開口と、を備え、
前記側面開口側の側面において、前記鋼枠体が下部の前記梁材又は下部の前記桁材を有さず、
板状、棒状、又は線状の補強材を備え、
前記側面開口の両側の2本の前記支柱の下部と下部を前記補強材で接続したことを特徴とする、
躯体ユニット。
【請求項3】
前記支柱が、角形鋼管からなる柱本体と、前記柱本体の上下の端面を塞いだ添接板からなり、前記添接板が、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の躯体ユニット。
【請求項4】
設置面内に埋設したコンクリート基礎と、
前記コンクリート基礎上に配置した、請求項1乃至のいずれか一項に記載の躯体ユニットと、を備えることを特徴とする、
簡易構造物。
【請求項5】
床面の少なくとも一部が、前記設置面より低いことを特徴とする、請求項に記載の簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は躯体ユニット及び簡易構造物に関し、特に、モジュール施工による高い施工性と、ボトムレス構造による空間設計の自由度及び高いバリアフリー性を兼備した、躯体ユニット及び簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナは、本来貨物輸送用の構造物であるが、構造が堅牢であり、モジュール施工により容易に設置できるため、倉庫、店舗、事務所、喫煙ブース等の建築物として利用されることがある。
コンテナを建築物として設置するには、着工前に建築確認申請を行い、建築確認を受けて確認済証を取得しなければならない。この場合、建築物としての構造強度を確保するため、パネル構造の貨物コンテナではなく、ラーメン構造の建築用コンテナが使用される(特許文献1、2)。
建築用コンテナは、主要構造材が建築基準法に準拠したJIS鋼材から構成され、外寸は輸送の便宜のためISOコンテナの規格に基づいて設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3210453号公報
【文献】特開2020-20185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には次のような問題点がある。
<1>バリアフリーの問題。
コンテナの床は、2本の梁の間にチャンネル材からなる複数の根太を架け渡し、梁及び根太の上に床面パネルを設置することで構成する。ここで、一般にコンテナの梁は170~180mm程度の高さがあるため、外部のコンテナ設置面とコンテナの床の間には、梁の高さに床面パネルの高さを加えた200mm程度の大きな段差が生じる。
このため、車椅子の使用者が利用するためにはコンテナの外側にスロープを設置する必要がある。しかし、例えば介助者なしで自ら車椅子で昇降できる限界とされる1/12勾配で20cmの段差を吸収するには、水平距離2.4mのスロープと踊り場や待機場所が必要となり、コンテナ外側の敷地を広く占有する。これによって、「敷地の有効利用」という、コンテナ構造本来のメリットが損なわれる。
<2>設計上の制約の問題。
コンテナはISOの規格サイズに基づいて設計されるため、天井の高さに規格上の制約がある。例えば20ftコンテナの場合、室内天井高さは、コンテナ外寸高(約2,590mm)から梁せい高を控除した約2,250mmしか確保できない。
このため、特に喫煙ブースなどのように立って利用する施設では、利用者が圧迫感を覚えると共に、内部に設置する設備に高さによる制約が生じる。
また、床の一部をコンテナ設置面より低くしたり、床下収納を設けるなどの、設置面以下の空間を利用した柔軟な設計ができない。
<3>メンテナンスの問題。
外部から床下に吹き込んだ雨水が根太の内部に溜まることで、床が腐食するおそれがある。
また、床パネルが水に弱いため、生鮮食品店、生花店といった、室内で水を使う用途での利用が難しい。
【0005】
本発明の目的は、以上の課題を解決するための躯体ユニット及び簡易構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の躯体ユニットは、支柱、梁材、及び桁材を組んでなる外形略直方体形状の、鋼枠体と、鋼枠体の天面及び4つの側面に付設した、5面の鋼板パネルと、鋼枠体の底面を貫通した、底面開口と、側面の鋼板パネルの一部を貫通した、側面開口と、を備え、側面開口側の側面において、下部の梁材又は桁材が上部の梁材又は桁材より短いことで、底面開口と側面開口の接続部に、梁材又は桁材が延在しないことを特徴とする。
【0007】
本発明の躯体ユニットは、鋼枠体が、側面開口側の鋼板パネルの側辺に接する1本又は2本の補強支柱を備え、側面開口が、隣り合う支柱及び補強支柱の間、又は隣り合う2本の補強支柱の間に構成されていてもよい。
【0008】
本発明の躯体ユニットは、板状、棒状、又は線状の補強材を備え、側面開口の両側の、支柱の下部と補強支柱の下部、又は2本の補強支柱の下部と下部、を補強材で接続してもよい。
【0009】
本発明の躯体ユニットは、支柱、梁材、及び桁材を組んでなる外形略直方体形状の、鋼枠体と、鋼枠体の天面及び3つの側面に付設した、4面の鋼板パネルと、鋼枠体の底面を貫通した、底面開口と、鋼枠体の側面を貫通した、側面開口と、を備え、側面開口側の側面において、鋼枠体が下部の梁材又は下部の桁材を有さないことを特徴とする。
【0010】
本発明の躯体ユニットは、板状、棒状、又は線状の補強材を備え、側面開口の両側の2本の支柱の下部と下部を補強材で接続してもよい。
【0011】
本発明の躯体ユニットは、支柱が、角形鋼管からなる柱本体と、柱本体の上下の端面を塞いだ添接板からなり、添接板が、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有していてもよい。
【0012】
本発明の簡易構造物は、設置面内に埋設したコンクリート基礎と、コンクリート基礎上に配置した躯体ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の簡易構造物は、床面の少なくとも一部が、設置面より低くてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成より、本発明の躯体ユニット及び簡易構造物は次の効果の少なくともひとつを備える。
<1>高いバリアフリー性。
躯体ユニットが床面パネルを有さないボトムレス構造であるため、床面を設置面と略同じ高さにすることができる。また、側面開口の下部に梁や桁がないため、床面と設置面の間に段差が生じない。
このため、スロープの設置が不要であるか、設置するとしても短いスロープとすることができ、高いバリアフリー性を発揮することができる。また、スロープの専有面積が小さいため、敷地の有効利用が可能となる。
<2>高い設計の自由度。
床面パネルを有さないボトムレス構造であるため、コンテナ建築でありながら高い天井高を確保できる。例えば20ftコンテナの規格サイズの場合、室内天井高さを2.4m以上とすることができる。
このため、利用者に開放感のある室内空間を提供できると共に、室内に背の高い設備を設置することができる。
また、ボトムレス構造であるため、設置面以下の空間を利用することができる。例えば床の一部を設置面より低くすることで、更に天井高を高くできる。
以上より、モジュール施工による高い施工性と、ボトムレス構造による空間設計の自由度を同時に達成することができる。
<3>高いメンテナンス性と用途の広さ。
ボトムレス構造であるため、メンテナンス性が高く、床面パネルの腐食を考慮する必要がない。このため、水の利用を伴う様々な用途に利用することができる。
例えば、側面開口を開放し、床面をコンクリート三和土にして、水打ち可能な生鮮食品店や生花店等としても利用することができる。
<4>その他。
床面パネルを有さないため、材料コストが安価である。また、躯体ユニットが軽量となるため、運搬や取り回しが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の簡易構造物の説明図。
図2】本発明の躯体ユニットの説明図。
図3】鋼枠体の説明図。
図4】施工方法の説明図。
図5】実施例2の説明図。
図6】実施例3の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の躯体ユニット及び簡易構造物について詳細に説明する。
本明細書等では、コンテナの長辺側の1側面を正面として、長辺方向を「梁方向」、短辺方向を「桁方向」と定義する。
【実施例1】
【0017】
[簡易構造物]
<1>全体の構成(図1
本発明の簡易構造物Aは、建築用コンテナの部材と構造を利用して構築する構造物である。
ここで、「建築用コンテナ」とは、主要構造材をJIS鋼材で作る、溶接技能認定を受けた溶接技術者によって溶接する、鉄骨製作工場の認定を受けた工場で製造する、等の所定の基準を満たした、日本の建築基準法に適合したコンテナをいう。
簡易構造物Aは、設置面内に埋設したコンクリート基礎A1上に、躯体ユニット1を搭載してなる。
本例ではコンクリート基礎A1として、躯体ユニット1の設置面に埋設した2本の布基礎を採用する。ただしこれに限らず、例えば枠状の布基礎、ベタ基礎、コンクリートブロックによる四点基礎等であってもよい。
コンクリート基礎A1内には、アンカーボルトを埋設し、アンカーボルトの先端をコンクリート基礎A1の上面から上向きに突出させる。
【0018】
<2>躯体ユニット(図2
躯体ユニット1は、簡易構造物Aの躯体を構成するユニット体である。
躯体ユニット1は、外形略直方体形状の鋼枠体10と、鋼枠体10の各面に付設する複数枚の鋼板パネル20と、鋼枠体10の底面全面を貫通する底面開口Xと、側面開口Yと、を少なくとも備える。
本例では、鋼枠体10の天面及び4つの側面に、5面の鋼板パネル20を付設する。
本発明の簡易構造物Aは、予め工場で製作した躯体ユニット1を設置場所に搬送するモジュール施工によって、現場での組み立てを必要とせず、容易に建築することができる。
【0019】
<2.1>側面開口
側面開口Yは、躯体ユニット1内部への入出口である。
側面開口Yは、1枚の側面パネル22の一部を貫通するか、鋼枠体10の側面1面を貫通して設ける。
本例では、鋼枠体10の梁材12側の一側面において、一方の支柱11と側面パネル22の間に隙間を設け、側面パネル22の隙間側の側辺に補強支柱14を設け、支柱11と補強支柱14の間に側面開口Yを構成する。
側面開口Yの下方の梁材12は、上方の梁材12より短くして、側面開口Yと底面開口Xを連通させる。なおここで「連通させる」とは、側面開口Yと底面開口Xの間に梁材12又は桁材13が延在しないことを意味するが、側面開口Yと底面開口Xの間に後述する補強材15が延在する場合も含む。
【0020】
<3>鋼枠体(図3
鋼枠体10は、躯体ユニット1の骨格を構成するラーメン構造体である。
鋼枠体10は、支柱11と、梁材12と、桁材13と、を外形略直方体形状に組んでなる。
本例では鋼枠体10が、4本の支柱11と、5本の梁材12と、4本の桁材13と、1本の補強支柱14と、1枚の補強材15と、からなる。
詳細には、平行に立設した4本の支柱11の上部間及び下部間を、梁材12及び桁材13で連結する。但し、鋼枠体10の側面開口Y側の1面では、2本の支柱11間に補強支柱14を立設し、補強支柱14の上部と2本の支柱11の上部を梁材12で連結し、補強支柱14の下部と片側の支柱11の下部を梁材12で連結し、補強支柱14の下部と他側の支柱11の下部を補強材15で接続する。
従って、側面開口Yの下端部には梁材12が延在しない。
【0021】
<3.1>支柱
支柱11は、鋼枠体10を構成する柱材である。
本例では支柱11として、一般構造用角形鋼管(STKR400)からなる柱本体11aと、柱本体11aの上下の端面に溶接した2枚の添接板11bからなる柱材を採用する。
角形鋼管はL字等の開放型断面に比べて断面性能が高く、柱構造としての高い強度と安定性を発揮することができる。
添接板11bには、貨物コンテナ輸送用のツイストロックに連結可能な長孔を設ける。また、下部の添接板11bには、更にコンクリート基礎A1のアンカーボルトを挿通可能なボルト孔を設ける。
【0022】
<3.2>補強支柱
補強支柱14は、側面開口Yの少なくとも一側を区画する支柱である。
補強支柱14の構造には、支柱11と同じ構造を採用することができるが、添接板に長孔やボルト孔を設ける必要はない。
本例では、鋼枠体10における梁材12側の側面において、1本の補強支柱14を、2本の支柱11の中間部に設ける。
補強支柱14は、幅方向の片側が側面パネル22の側辺に接し、他側が側面開口Yに接する。
【0023】
<3.3>補強材
補強材15は、側面開口Yの下方を補強する部材である。
本例では補強材15として、長尺の鋼製プレートを採用し、側面開口Yの片側の支柱11の下部と、側面開口Yの他側の補強支柱14の下部に、添接板の代わりに補強材15を付設する。補強材15には、必要に応じてコンクリート基礎A1のアンカーボルトを挿通可能なボルト孔を設ける。
補強材15で側面開口Yの両側を拘束することで、クレーンによる躯体ユニット1の吊り上げ時に、側面開口Yの下方が両側に開き変形するのを防ぐことができる。
なお、補強材15は板状体に限らず、鋼棒のような棒状体や、ワイヤロープのような線状体であってもよい。また、補強材15は鋼枠体10の必須の構成要素ではなく、鋼枠体10に補強材15を設けないこともできる。
【0024】
<4>鋼板パネル(図2
鋼板パネル20は、躯体ユニット1の天面及び壁面を構成するパネル体である。
鋼板パネル20は、鋼枠体10の天面を被覆する天面パネル21と、鋼枠体10の側面を被覆する側面パネル22と、を備える。
本例では鋼板パネル20として、1面の天面パネル21と、4面の側面パネル22の組合せを採用し、梁材12側の側面パネル22の内1面は、側面開口Yの幅及び補強支柱14の幅だけ、対向する他の側面パネル22より幅を狭くする。
天面パネル21及び側面パネル22は、波型鋼板(コルゲート板)からなる外壁に、ブラスターボード、ウレタン吹付け断熱層、不燃クロス等を積層した内壁を付設してなる。ただし天面パネル21及び側面パネル22の構成はこれに限らず、他の公知の構造を採用することができる。
本例では側面パネル22の内、梁材12側の1面及び桁材13側の1面に、窓40を設置するための設備孔22aを設ける。
【0025】
<5>その他の設備
本例では簡易構造物Aが、扉30、2枚の窓40、及び庇50を更に備える。
詳細には、側面開口Yの内部、すなわち、側面開口Yを区画する、支柱11、上部の梁材12、補強支柱14、及び補強材15の間に、引き戸タイプの扉30を付設する。
2枚の側面パネル22の設備孔22a内に、それぞれ窓40を付設する。
扉30の上方に、梁材12に沿って庇50を付設する。
なお、以上の構成は一例にすぎず、扉30等の数や具体的構成は任意に設計することできる。また、扉30等の一部または全部を設けないこともできるし、扉30等以外の設備を付設することもできる。
【0026】
<6>施工方法(図4
本発明の簡易構造物Aは、例えば以下の手順で設置する。
簡易構造物Aの設置面の内、梁材12の直下になる部分を掘削して帯状の基礎孔を設ける。基礎孔の底に砕石を敷設し、砕石の上に捨てコンクリートを打設する。
捨てコンクリート上に、コンクリート基礎A1を設置する。詳細には、基礎孔内に型枠を組み、型枠内に鉄筋とアンカーボルトを設置して、コンクリートを打設する。アンカーボルトは、躯体ユニット1の4本の支柱11の直下に配置する。
コンクリート基礎A1の硬化後、2本のコンクリート基礎A1の間に土間コンクリートA2を打設する。
コンクリート基礎A1上に、クレーン等の重機で躯体ユニット1を吊り込む。
この際、添接板11bのボルト孔に、コンクリート基礎A1のアンカーボルトを挿通させる。
躯体ユニット1の設置後、アンカーボルトの先端にナットを螺着して、躯体ユニット1をコンクリート基礎A1に固定する。
側面開口Yに扉30を、側面パネル22の設備孔22aに窓40を、側面開口Y上部の梁材12に庇50を、土間コンクリートA2上にタイルパネルを、それぞれ付設する。
なお、上記の手順は一例に過ぎず、他の手順を用いてもよい。
【実施例2】
【0027】
[側面1面を側面開口とする例]
実施例1では、側面パネル22の一部に側面開口Yを設けたが、鋼枠体10の側面の1面に側面パネル22を設けないことにより、1面の側面全体を側面開口Yとしてもよい(図5)。
本例では、鋼枠体10の桁材13側の側面において、側面パネル22と下方の桁材13を設けず、左右の支柱11と上方の桁材13の間に側面開口Yを構成する。
【実施例3】
【0028】
[側面開口を側面パネルの中間に設ける例]
実施例1では、側面開口Yを1面の側面パネル22の片側に設けたが、側面開口Yは1面の側面パネルの中間に設けてもよい(図6)。
詳細には、鋼枠体10の1側面において、1面の側面パネル22が左右2枚の分割パネル22bからなり、鋼枠体10が2本の補強支柱14を備える。
右側の分割パネル22bを右側の支柱11と右側の補強支柱14で挟み、左側の分割パネル22bを左側の支柱11と左側の補強支柱14で挟み、左右の補強支柱14の間に側面開口Yを画成する。
【実施例4】
【0029】
[床面を設置面より低くする例]
本例では、簡易構造物Aの床面の内少なくとも一部を、設置面より低くする。
例えば、簡易構造物Aにおける土間コンクリートA2を部分的に設置面より低くすることで、簡易構造物Aの内部に、コンテナの内法寸法より背の高い設備を設置することができる。
また、土間コンクリートA2全体を設置面より低くして、高さ方向への開放感溢れる構造としたり、土間コンクリートA2内に部分的な凹みを設けることで、収納庫として利用する等、コンテナ構造でありながら自由度の高い設計が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 躯体ユニット
10 鋼枠体
11 支柱
11a 柱本体
11b 添接板
12 梁材
13 桁材
14 補強支柱
15 補強材
20 鋼板パネル
21 天面パネル
22 側面パネル
22a 設備孔
22b 分割パネル
30 扉
40 窓
50 庇
A 簡易構造物
A1 コンクリート基礎
A2 土間コンクリート
X 底面開口
Y 側面開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6