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特許7178731ビオプテリン誘導体を含む固体薬学的組成物およびそのような組成物の使用
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  • 特許-ビオプテリン誘導体を含む固体薬学的組成物およびそのような組成物の使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ビオプテリン誘導体を含む固体薬学的組成物およびそのような組成物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20221118BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221118BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221118BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/08
A61K47/02
A61P25/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021072278
(22)【出願日】2021-04-22
(62)【分割の表示】P 2019123306の分割
【原出願日】2015-03-30
(65)【公開番号】P2021105062
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】14162727.3
(32)【優先日】2014-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505351119
【氏名又は名称】ヴァソファーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ショイラー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】テークトマイヤー フランク
(72)【発明者】
【氏名】シンツェル ラインハルト
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-514965(JP,A)
【文献】特表2010-523708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 2つの異なるリン酸塩および任意でNaCl
を含む注射剤を調製するための方法であって、
該2つの異なるリン酸塩が、NaH 2 PO 4 ・2H 2 OおよびNa 2 HPO 4 ・2H 2 Oであり、該注射剤中に存在するNaH 2 PO 4 ・2H 2 OおよびNa 2 HPO 4 ・2H 2 Oの量が、NaH 2 PO 4 ・2H 2 OおよびNa 2 HPO 4 ・2H 2 Oの両方と化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.02~0.5の範囲になるように選択されており;
該方法が以下の工程:
aa) 式(III)および/または(II)の化合物:
を、該2つの異なるリン酸塩を含む緩衝液に溶解させる工程であって、該緩衝液が下記の段階により調製される工程;
NaH 2 PO 4 ・2H 2 OおよびNa 2 HPO 4 ・2H 2 Oを別々に水に溶解させる段階、
次に、該NaH 2 PO 4 ・2H 2 O溶液を該Na 2 HPO 4 ・2H 2 O溶液に加えて、pH 7.4を有するリン酸ナトリウム溶液を得る段階、ならびに、
該リン酸ナトリウム溶液を5N NaOH溶液に加える段階
bb) aa)において得られた溶液を凍結乾燥させる工程;ならびに
cc) バイアルに充填された、bb)において得られた凍結乾燥物を、注射剤の調製のための薬学的に許容される液体中で再構成する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記緩衝液が、12~16%(w/w)の5N NaOH、8~12%(w/w)のリン酸水素ナトリウム緩衝液、および74~78%(w/w)の注射用水を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ビオプテリン誘導体を含む固体薬学的組成物、およびそのような固体薬学的組成物を得るための方法に関する。本発明はまた、疾患を治療するための本発明の固体薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ビオプテリンおよびそれらの誘導体は、薬学的な関心対象の分子である。例えば、フェニルケトン尿症(PKU)を有する成人患者および4歳以上の小児患者における高フェニルアラニン血症(HPA)の治療用に、テトラヒドロビオプテリン(BH4、サプロプテリン)が最近承認された。この目的で、テトラヒドロビオプテリンは、マンニトール(E421)、無水リン酸水素カルシウム、クロスポビドンA型、アスコルビン酸(E300)、フマル酸ステアリルナトリウム、およびリボフラビン(E101)を有する溶解可能な錠剤としての市販薬(Kuvanという名称で販売)として製剤化されている。これに関しては国際公開公報第2006/055511号(特許文献1)も参照。
【0003】
治療上有望な他のビオプテリン化合物としては4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンがある。いずれの化合物も、他のNO阻害剤とは異なる性質を示すことから、「古典的な」アルギニン類似体よりも潜在的に好適であると示された(Werner et al., (1996). Biochemical Journal 320, 93-6(非特許文献1)または米国特許第5,922,713号(特許文献2))。いずれの化合物も実験的TBIにおいて有効であると示された(例えば、国際公開公報第2004/084906号(特許文献3)、米国特許第8,222,828号(特許文献4)、欧州特許第0 906 913号(特許文献5)、またはTerpolilli et al., J Neurotrauma. 2009; 26(11):1963-75(非特許文献2)を参照)。しかし、これらのビオプテリン誘導体は医療用にはまだ認可されていない。したがって、ヒトにおける治療用途に好適な薬学的組成物を提供することが求められている。理想的には、そのような薬学的組成物は調製が容易で、使用が容易で、なおかつ安定であるべきであるが、これに関しては、長期にわたって保存される場合に、または溶液として提供される場合に、水素化ビオプテリン誘導体が酸化に対して感受性があるということに留意されたい。
【0004】
したがって、本発明の目的は、これらの要求を満たす、ビオプテリン誘導体を含有する薬学的組成物を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開公報第2006/055511号
【文献】米国特許第5,922,713号
【文献】国際公開公報第2004/084906号
【文献】米国特許第8,222,828号
【文献】欧州特許第0 906 913号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Werner et al., (1996). Biochemical Journal 320, 93-6
【文献】Terpolilli et al., J Neurotrauma. 2009; 26(11):1963-75
【発明の概要】
【0007】
この課題は、特許請求の範囲に定義され、本説明に記載され、かつ実施例および図面に示される、本発明の態様によって解決される。
【0008】
一態様では、本発明は、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩
を含む、(静脈内投与に適した)固体薬学的組成物に関する。
【0009】
本発明の固体組成物は「静脈内投与に適し」ていてもよい。このことは、固体組成物と薬学的に許容される担体、好ましくは薬学的に許容される液体、例えば水もしくは緩衝液または任意の再構成液とが混合された後で、直接そのままで静脈内適用に使用可能な組成物が得られることを意味する。したがって、固体組成物と薬学的に許容される担体との混合後に、静脈内適用に好適な、すぐに使える組成物が得られる。
【0010】
本発明の薬学的組成物の一態様では、少なくとも1つのリン酸塩は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはリン酸アンモニウムである。リン酸塩は、Na2HPO4(無水)、Na2HPO4・2H2O、Na2HPO4・7H2O、Na2HPO4・12H2O、NaH2PO4(無水)、NaH2PO4・H2O、NaH2PO4・2H2O、K2HPO4(無水)、K2HPO4・3H2O、KH2PO4(無水)、およびこれらの混合物からなる群より選択されることができる。
【0011】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、リン酸塩はNa2HPO4・2H2Oであり、組成物中に存在するNa2HPO4・2H2Oの量は、Na2HPO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.04~0.4の範囲になるように選択される。
【0012】
本発明の薬学的組成物のさらなる態様では、リン酸ナトリウムはNaH2PO4・2H2Oであり、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.01~0.09の範囲になるように選択される。
【0013】
他の態様では、本発明の薬学的組成物は2つの異なるリン酸ナトリウム塩を含む。場合によっては、2つの異なるリン酸ナトリウム塩はNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oである。
【0014】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの両方と化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.02~0.5の範囲になるように選択される。
【0015】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oのそれぞれと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.02~0.5の範囲になるように選択される。
【0016】
本発明の薬学的組成物のさらなる態様では、化合物(I)および/または化合物(II)は遊離塩基として存在する。
【0017】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、薬学的組成物は凍結乾燥された薬学的組成物である。
【0018】
本発明の薬学的組成物の別の態様では、化合物(I)は、式(Ia)を有する化合物である。
【0019】
本発明の薬学的組成物の別の態様では、化合物(II)は、式(IIa)を有する化合物である。
【0020】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、薬学的組成物はさらなる薬学的賦形剤を含む。
【0021】
本発明の薬学的組成物の別の態様では、さらなる薬学的賦形剤は無機塩である。無機塩は、MgCl2、CaCl2、NH4Cl、KCl、またはNaClより選択されることができ、好ましくは、無機塩はNaClである。
【0022】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、本発明の組成物中に存在するNaClの量は、NaClと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が1.5~4、好ましくは1.8~3.7の範囲になるように選択される。
【0023】
いくつかの態様では、本発明の薬学的組成物は結晶水をさらに含む。
【0024】
他の態様では、本発明の薬学的組成物は、水中での再構成に適している。「水中での再構成に適している」とは、水を加えることで(脱水または濃縮された)組成物を液体状態に戻すことができることを意味する。
【0025】
さらなる態様では、本発明の薬学的組成物は、注入または注射による投与に適している。
【0026】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、化合物(I)は(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンである。
【0027】
本発明の薬学的組成物のさらなる態様では、化合物(I)は(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンである。
【0028】
本発明の薬学的組成物の他の態様では、化合物(I)は、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンを(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンよりも多く含むジアステレオマー混合物である。
【0029】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量は、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量と(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量との比が0.5~2の範囲、好ましくは約1.3になるように選択される。
【0030】
本発明の薬学的組成物のさらなる態様では、組成物の単位用量は、4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水140±30mg、リン酸水素二ナトリウム二水和物(Na2HPO4・2H2O)70±7mg、リン酸二水素ナトリウム二水和物(NaH2PO4・2H2O)16.5±2mg、および塩化ナトリウム(NaCl)350±30mgを含有する。
【0031】
本発明の薬学的組成物の他の態様では、組成物の単位用量は、4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水60±50mg、リン酸水素二ナトリウム二水和物(Na2HPO4・2H2O)70±7mg、リン酸二水素ナトリウム二水和物(NaH2PO4・2H2O)12±2.5mg、および塩化ナトリウム(NaCl)350±30mgを含有する。
【0032】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、組成物は、4-アミノ-L-ビオプテリン、(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン、1-[(6R,S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパノール、1-[(6R,S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパン、(1R,2S)-1-[(6R,S)-2-(アセチルアミノ)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリン-6-イル]-1,2-ジアセトキシ-プロパン、2,4-ジアミノ-7,8-ジヒドロプテリジン、2,4-ジアミノプテリジンからなる群より選択される1つまたは複数の化合物からなる群より選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれより多くのさらなる化合物を含む。
【0033】
本発明はまた、疾患の治療のための、凍結乾燥された本発明の薬学的組成物の使用に関する。いくつかの態様では、疾患は外傷性脳損傷、非外傷性脳損傷、好ましくは脳卒中または髄膜炎、頭蓋内圧上昇、二次脳損傷からなる群より選択される。
【0034】
本発明はまた、疾患の治療における使用のための凍結乾燥された薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、疾患は外傷性脳損傷、非外傷性脳損傷、好ましくは脳卒中または髄膜炎、頭蓋内圧上昇、二次脳損傷からなる群より選択される。
【0035】
本発明はさらに、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩および任意でNaCl
を含む(静脈内投与に適した)凍結乾燥された固体薬学的組成物を調製するための方法であって、
aa) 式(III)の化合物および/または式(II)の化合物:
を、リン酸塩を含むことが好ましい緩衝液に溶解させる工程;
bb) aa)において得られた溶液を凍結乾燥させる工程
を含む方法に関する。
【0036】
いくつかの態様では、本発明の方法は、bb)において得られた凍結乾燥物を、注射剤の調製のための薬学的に許容される液体に溶解させる工程をさらに含む。
【0037】
したがって、本発明はまた、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩および任意でNaCl
を含む注射剤を調製するための方法であって、
aa) 式(III)および/または(II)の化合物:
を、リン酸塩を含むことが好ましい緩衝液に溶解させる工程;
bb) aa)において得られた溶液を凍結乾燥させる工程;
cc) バイアルに充填された、bb)において得られた凍結乾燥物を、注射剤の調製のための薬学的に許容される液体中で再構成する工程
を含む方法に関する。
【0038】
本発明の方法の一態様では、bb)において得られた凍結乾燥物は、
(i) 好ましくは固体製剤約1~1.5g、好ましくは1.25gの量で; または
(ii) 好ましくは固体製剤約0.9~1.4g、好ましくは1.15gの量で、
50mlバイアルに充填されている。
【0039】
本発明の方法の他の態様では、aa)における緩衝液は、少なくとも1つのリン酸塩を含むリン酸水素ナトリウム緩衝液である。
【0040】
本発明の方法の他の態様では、aa)における緩衝液はNaOH、リン酸水素ナトリウム緩衝液、および水を含む。場合によっては、NaOHは5N NaOH溶液である。
【0041】
本発明の方法の別の態様では、リン酸水素ナトリウム緩衝液は、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oを別々に溶解させることで調製される。本発明の方法のさらなる態様では、NaH2PO4・2H2O溶液をNa2HPO4・2H2O溶液に加えることでリン酸水素ナトリウム緩衝液はpH 7.4を有する。
【0042】
本発明の方法のいくつかの態様では、緩衝液はNaOH 5N 12~16%(w/w)、リン酸水素ナトリウム緩衝液8~12%(w/w)、および注射用水74~78%(w/w)を含む。
【0043】
本発明の方法の別の態様では、aa)において得られた溶液は、好ましくは0.22μmフィルターで滅菌濾過される。
【0044】
本発明の方法のさらなる態様では、緩衝液はpH約8、9、10、11、12、13、または14を有する。
【0045】
本発明の方法のさらに別の態様では、工程aa)における溶液はpH約4、5、6、7、8、9、10、または11、好ましくは6.5~7.6、最も好ましくは7.4を有する。
【0046】
本発明の方法の他の態様では、bb)において得られた凍結乾燥物は、好ましくは固体製剤約1~1.5g、好ましくは1.25gの量で; または好ましくは固体製剤約0.9~1.4g、好ましくは1.15gの量で、バイアルに充填されている。
【0047】
本発明の方法のさらなる態様では、緩衝液は脱気緩衝液を用いて調製される。いくつかの態様では、緩衝液は窒素を用いて酸素含有量が1.0ppm未満になるまで脱気される。
【0048】
本発明の方法の別の態様では、溶液の調製後、凍結乾燥は2時間以内に開始される。
【0049】
本発明はまた、本発明の方法によって得ることができる薬学的組成物に関する。
【0050】
本発明はさらに、閉鎖性頭部損傷などの外傷性脳損傷、頭蓋内圧上昇を有する対象だけでなく、および二次脳損傷、または脳卒中もしくは髄膜炎などの非外傷性脳損傷を有する対象をも治療するための医薬の製造における、凍結乾燥された本発明の薬学的組成物の使用に関する。
【0051】
本発明はまた、対象において疾患を治療する方法であって、疾患の治療を必要とする対象に凍結乾燥された本発明の薬学的組成物を投与する工程を含む方法に関する。対象において疾患を治療する方法のいくつかの態様では、最大一日量は20mg/kg体重および日、好ましくは17.5、15.0、または12.5、10、8.5、7.5、5.0、または2.5mg/kg体重および日である。
【0052】
本発明はまた、対象における疾患の治療における使用のための凍結乾燥された薬学的組成物であって、該使用が、疾患の治療を必要とする対象に凍結乾燥された本発明の薬学的組成物を投与する工程を含む、凍結乾燥された薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、最大一日量は20mg/kg体重および日、好ましくは17.5、15.0、または12.5、10、8.5、7.5、5.0、または2.5mg/kg体重および日である。
【0053】
さらに別の態様では、本発明は、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つの無機塩、好ましくはNaCl
を含む、(静脈内投与に適した)固体薬学的組成物に関する。
【0054】
そのような態様では、本発明の組成物中に存在するNaClの量は、NaClと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が1.5~4、好ましくは1.8~3.7、1.85~3.6、1.9~3.4、最も好ましくは1.9~2.5の範囲になるように選択されることができる。
【0055】
一態様では、NaClと化合物(I)または化合物(II)とのモル比は約2.2である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン二塩酸塩二水和物(VAS203)原薬の調製を示す。
図2】本発明のVAS203薬品の製造プロセスを示す。
図3-1】2~8℃で保存された1g VAS203バイアル(バッチ番号928606)の安定性を示す(表5)。
図3-2】図3-1の続きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
発明の詳細な説明
本発明の目的は、薬学的組成物を提供することにあった。さらに、これらの組成物は使用が容易でかつ安定であるべきである。固体リン酸塩(単独でのまたはNaClもしくはKClなどの無機塩との組み合わせでの)を式(I)または(II)の化合物などの固体ビオプテリン誘導体との組み合わせで使用することで、溶解時に直ちに治療用投与に好適となるpH値またはpH範囲および浸透圧を実現するように非常によく適した薬学的組成物(製剤)が得られることが、本明細書において発見された。固体薬学的組成物は、既に静脈内投与に適していることから、特に適切でかつ使用が容易であり、これにより使用量の節約も保証される。さらに、液体中でのビオプテリン誘導体の酸化という問題が、固体組成物の提供によって解決される。
【0058】
したがって、本発明は、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩
を含む、(静脈内投与に適した)固体薬学的組成物に関する。
【0059】
さらに、本発明はまた、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つの無機塩、特にNaCl
を含む、(静脈内投与に適した)固体薬学的組成物に関する。
【0060】
本明細書において使用される際の「固体」または「固体組成物」という用語は、最密充填された粒子(イオン、原子、または分子もしくは化合物)に関する。粒子間の力が強いことから、粒子は自由に移動することができず、振動することしかできない。その結果、固体は安定な決まった形状および決まった体積を有する。固体は、破壊または切断される際の力によってしか形状を変化させることができない。結晶性固体では、粒子(原子、分子、またはイオン)は、規則的に配列された反復パターンで充填されている。様々な異なる結晶構造があり、同じ物質は2つ以上の構造(または固相)を有しうる。「固体」という用語は、非晶質または非結晶性の組成物/物質/固体も包含する。通常、凝集状態は室温および周囲圧力で決定される。室温は、空気が熱くも冷たくも感じられない狭い範囲の温度を一般に表し、平均21℃(70°F)とする20~23.5℃の範囲をしばしば示す。周囲圧力とは900~1200hPa(ヘクトパスカル)の圧力、好ましくは約1000hPaを意味する。固体は融解によって液体に変換されうるし、液体は凍結によって固体に変換されうる。また、固体は昇華プロセスを通じて気体に直接変化しうる。
【0061】
本発明の固体組成物を(通常は水などの液体への溶解の時点で)個人に投与することができる(「投与」)。これにより、治療有効量の本発明の固体組成物の対象への投与が実現される。
【0062】
「治療有効量」とは、式(I)の化合物および/または式(II)の化合物が投与される目的である作用を生じさせる、該化合物の用量のことである。正確な用量は、治療の目的に依存するものであり、公知の技術を使用して当業者が確認可能である。当技術分野において公知のように、また上記のように、全身送達対局所送達、年齢、体重、全身的健康、性別、食事、投与時間、薬物相互作用、および状態の重症度に応じた調節が必要なことがあり、この調節は当業者による日常的な実験によって確認可能である。これに関して、4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンの両化合物が治療上有効であることに再度留意されたい。また、4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンを4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンからの酸化(自発酸化も)によって得ることができることにも留意されたい。したがって、本発明の組成物は、4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンもしくは4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンのいずれかのみ、または任意の比でのこれら2つの化合物の混合物を含みうる。
【0063】
本発明の固体組成物はヒト治療用途および獣医学用途の両方に適用可能である。本明細書に記載のように、薬学的に許容される担体中の所望の治療活性を有する本明細書に記載の化合物を患者/対象に投与することができる。導入様式に応じて、本化合物を以下で説明する様々なやり方で製剤化することができる。本発明の固体組成物を単独でまたは他の治療薬との組み合わせで投与することができる。
【0064】
さらに、本発明の固体組成物は「静脈内投与に適し」ていてもよい。このことは、固体組成物と薬学的に許容される担体、好ましくは薬学的に許容される液体、例えば水もしくは緩衝液または以下に記載の任意の再構成液とが好ましく混合された後で、直接そのままで静脈内適用に使用可能な組成物が得られることを意味する。したがって、固体組成物と薬学的に許容される担体との混合後に、静脈内適用に好適な、すぐに使える組成物が得られる。静脈内投与とは、シリンジ、および対象の体内に物質を投与するために十分な深さまで皮膚を貫通する中空針を通常は用いる、静脈中への液体物質の直接注入または直接注射のことである。
【0065】
したがって、さらなる態様では、本発明の薬学的組成物は注入または注射による投与に適している。「注入」とは、特定の期間にわたる持続投与を意味する。例えば、そのような投与は10分~4日を要することがある。したがって、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、32、40、48、56、68、72、86、または96時間以下を要することがある。「注射」とは、対象の体内に液体を流入させる一時的注入法を意味する。通常、そのような投与に要するのは10分未満である。しかし、注射は1日に何回も繰り返されることがある。例えば、注射は1日1、2、3、4、5、6、7、8、または9回行われうる。さらに、注射は1、2、3、または4日間実施されうる。しかし、必要であれば、注射または注入による投与がさらに長期間を要することもある。正確な期間が多くの要因に依存することは明らかである。
【0066】
通常、静脈内投与用組成物は、本発明の固体薬学的組成物が薬学的に許容される担体(例えば、滅菌等張水性緩衝液)と混合されて形成した薬剤溶液である。この組成物/溶液は、必要であれば、可溶化剤、および注射部位において疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。一般に、成分は、別々に、または単位剤形中で一緒に混合されるかのいずれかで、例えば、化合物(I)および/または化合物(II)の量を表示したバイアル、アンプル、またはサシェなどの密封容器中の凍結乾燥粉末または無水の濃縮物として、供給される。組成物/溶液を注入によって投与すべき場合、医薬等級の滅菌水または滅菌食塩水を収容する輸液ボトルを用いて分注することができる。組成物を注射または注入によって投与する場合、成分が投与前に混合可能になるように、滅菌注射用水または滅菌食塩水のアンプルを用意することができる。
【0067】
「薬学的に許容される」という用語は、動物、特にヒトにおける使用に関して規制当局または他の一般に認知された薬局方によって承認されたことを意味する。一般に、「薬学的に許容される」とは「生理学的に許容される」も意味し、生理学的に許容されるとは、液体/担体が生存対象の正常な機能と調和しているかまたは該機能の特徴を示し、毒性または任意の他の有害作用を引き起こさないことを意味する。通常、そのような液体/担体は、例えば動物の血液などの液体とほぼ同じpHおよび/または浸透圧を有する。
【0068】
「薬学的に許容される液体」は、非水性溶媒または水性溶媒の以下の非限定的リストのうちの1つでありうる。非水性溶媒としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。水性溶媒としては、水、食塩水および緩衝媒体を含むアルコール性/水性の溶液、乳濁液もしくは懸濁液、ナトリウムイオン溶液、ブドウ糖リンゲル液、ブドウ糖ナトリウムイオン、乳酸リンゲル液、または不揮発油が挙げられる。静脈内用媒体としては、液体栄養補液、電解質補液(例えばブドウ糖リンゲル液ベースの補液)などが挙げられる。好ましい薬学的に許容される液体は、水性溶媒、例えば滅菌注射用水である。
【0069】
いくつかの態様では、本発明の固体薬学的組成物は投与前に再構成される。他の態様では、本発明の薬学的組成物は水中で再構成されるのに適している。「水中で再構成される」とは、上記の薬学的に許容される液体を加えることで(脱水または濃縮された)組成物を液体状態に戻すことを意味する。好ましくは、本発明の固体組成物は水中で再構成される。
【0070】
本発明は、異なる固体組成物を含みうる。例えば、固体組成物は、リン酸塩以外に化合物(I)および/または化合物(II)を含みうる。「リン酸塩」とは、任意の公知のリン酸塩が使用可能であることを意味する。リン酸塩とは、化学的リン酸塩と塩および無機質との多くの異なる組み合わせを意味する。本発明の薬学的組成物の一態様では、少なくとも1つのリン酸塩は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはリン酸アンモニウムである。リン酸塩は、Na2HPO4(無水)、Na2HPO4・2H2O、Na2HPO4・7H2O、Na2HPO4・12H2O、NaH2PO4(無水)、NaH2PO4・H2O、NaH2PO4・2H2O、K2HPO4(無水)、K2HPO4・3H2O、KH2PO4(無水)、およびこれらの混合物からなる群より選択されることができる。
【0071】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、リン酸塩はNa2HPO4・2H2Oであり、組成物中に存在するNa2HPO4・2H2Oの量は、Na2HPO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.04~0.4、好ましくは0.05~0.35、0.075~0.25、0.09~0.2の範囲になるように選択される。一態様では、Na2HPO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比は約0.144である。
【0072】
本発明の薬学的組成物のさらなる態様では、リン酸ナトリウムはNaH2PO4・2H2Oであり、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.01~0.09、好ましくは0.015~0.07、0.02~0.05、0.025~0.04、0.035~0.05の範囲になるように選択される。一態様では、NaH2PO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比は約0.038である。
【0073】
他の態様では、本発明の薬学的組成物は2つの異なるリン酸ナトリウム塩を含む。場合によっては、2つの異なるリン酸ナトリウム塩はNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oである。
【0074】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの両方と化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.02~0.5、好ましくは0.03~0.45、0.04~0.3、0.05~0.25、0.06~0.2、0.07~0.15の範囲になるように選択される。一態様では、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの両方と化合物(I)または化合物(II)とのモル比は約0.18である。
【0075】
本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oのそれぞれと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.02~0.5、好ましくは0.025~0.4、0.025~0.3、0.025~0.2、0.03~0.1の範囲になるように選択される。いくつかの態様では、組成物中に存在するNaH2PO4・2H2Oの量は、NaH2PO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.01~0.09の範囲になるように選択され、組成物中に存在するNa2HPO4・2H2Oの量は、Na2HPO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.04~0.4の範囲になるように選択される。ここでは、単独で適用されるリン酸塩Na2HPO4・2H2OおよびNaH2PO4・2H2Oの上記の他の量も当てはまる。いくつかの態様では、固体薬学的組成物は1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多くのリン酸塩を含む。一態様では、本発明の固体薬学的組成物は2つの(異なる)リン酸塩を含む。
【0076】
本明細書において使用される際の「約」という用語は、所与の値の最大5%、最大10%、最大15%、または20%以下でありうる各値または範囲(pH、濃度、パーセント、モル濃度、時間などの)の変動が存在しうることを意味するものと理解される。例えば、製剤が化合物約5mg/mlを含む場合、製剤が4~6mg/ml、好ましくは4.25~5.75mg/ml、より好ましくは4.5~5.5mg/ml、いっそう好ましくは4.75~5.25mg/mlを有しうることを意味するものと理解され、最も好ましくは5mg/mlである。同じことはモル濃度にも当てはまる。例えば、モル濃度約1はモル濃度0.8~1.2、好ましくは0.85~1.15、より好ましくは0.9~1.1、いっそう好ましくは0.95~1.05と理解されるべきであり、最も好ましくは1である。
【0077】
あるいは、本発明は、化合物(I)および/または化合物(II)、ならびにリン酸塩とは異なる無機塩を含む、固体組成物に関する。これらの組成物中で、無機塩は化合物(I)または(II)以外の唯一の成分でありうる(この場合、リン酸塩は存在しない)。あるいは、本発明の組成物中で、無機塩は少なくとも1つのリン酸塩との組み合わせで存在しうる。本明細書において言及される際の「無機塩」という用語は、あらゆる好適な無機塩を意味する。場合によっては、無機塩はMgCl2、CaCl2、NH4Cl、KCl、またはNaClより選択される。いくつかの好ましい態様では、無機塩はNaClである。本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、本発明の組成物中に存在するNaCl(単独でまたは少なくとも1つのリン酸塩と共に)の量は、NaClと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が1.5~4、好ましくは1.8~3.7、1.85~3.6、1.9~3.4、最も好ましくは1.9~2.5の範囲になるように選択される。そのような一態様では、NaClと化合物(I)または化合物(II)とのモル比は約2.2である。
【0078】
本発明の組成物中で、化合物(I)および/または化合物(II)は、ジアステレオマー混合物として、または化合物(I)の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、もしくは8つの立体異性体および化合物(II)の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの立体異性体の混合物、好ましくは1つもしくは2つの立体異性体の混合物として存在しうる。
【0079】
したがって、式(I)の化合物は式(I)の化合物のジアステレオマー混合物、または式(I)の化合物の1つもしくは複数の立体異性体の混合物を含みうる。化合物(I)は(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンでありうる。さらなる態様では、化合物(I)は(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンである。他の態様では、化合物(I)は、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンを(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンよりも多く含むジアステレオマー混合物である。いくつかの態様では、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量は、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量と(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量との比が0.5~2、好ましくは0.5~1.9、0.7~1.8、0.8~1.7、0.9~1.6、1~1.5、最も好ましくは1.1~1.4の範囲になるように選択される。一態様では、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量は、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量と(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量との比が約1.3になるように選択される。いくつかの態様では、本発明の薬学的組成物は化合物(I)のみを含む。
【0080】
化合物(I)は、式(Ia)を有する化合物:
であってもよい。
【0081】
同様に、本明細書において言及される際の式(II)の化合物は、式(II)の化合物の立体異性体混合物、または式(II)の化合物の1つもしくは複数の立体異性体の混合物を含みうる。本発明の薬学的組成物のいくつかの態様では、化合物(II)は4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンである。別の態様では、化合物(II)は、式(IIa)を有する化合物:
である。
【0082】
いくつかの態様では、本発明の薬学的組成物は化合物(II)のみを含む。
【0083】
固体薬学的組成物中で、化合物(I)および/または化合物(II)は遊離塩基として存在してもよい。本明細書において言及される場合の「遊離塩基」とは、塩形態との対照で、アミンの純粋な塩基性形態を意味する。さらに、この用語は、化合物の脱プロトン化アミン形態を記述するために使用される。一般的な対イオンは、負に帯電した塩化物イオンなどの無機酸からのイオンである。例えば、遊離塩基アミン(NH2)と、HClを加えた際のアミン塩酸塩(NH3 + Cl-)とを比較されたい。
【0084】
上記で言及したように、ビオプテリン誘導体は液体中で酸化に対して感受性がある。したがって、固体薬学的組成物を凍結乾燥された薬学的組成物として与えることもできる。本明細書において使用される際の「凍結乾燥した」という用語は、脱水プロセスである凍結乾燥を意味する。凍結乾燥は、材料を凍結させた後、材料中の凍結水を固相から気相に直接昇華させるように周囲圧力を低下させることで実施される。いくつかの態様では、凍結乾燥品中の最終残留含水量は0%~15%、好ましくは0%~12%(w/w)である。凍結乾燥を実施する方法は当業者に公知である。
【0085】
当業者に自明なように、薬学的組成物は1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれより多くのさらなる薬学的賦形剤をさらに含みうる。「薬学的賦形剤」または添加剤とは、式(I)および/または(II)の化合物に加えられる化合物のことである。これらの添加剤は特定の機能を果たすことができる。それらを加えることで、容量を増加させ、製造を支援し、安定性を改善し、薬物送達および薬物標的化を向上させ、かつ薬物安定性プロファイルまたは薬物動態プロファイルを修正することができる。薬品製造中に使用されるが本発明の固体組成物中には存在し得ない成分も賦形剤と見なされる(例としては凍結乾燥品用水、および容器のヘッドスペース中の不活性ガスが挙げられる)。好適な薬学的賦形剤としてはデンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グリシン、ヒスチジン、ラフィノース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、ナトリウムイオン、脱脂粉乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、ブドウ糖、デキストラン、水、エタノールなどが挙げられる。所望であれば、本組成物は微量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含有してもよい。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤などの形態を取りうる。
【0086】
例えば本発明の固体組成物が式(I)および/または式(II)の化合物ならびにリン酸塩を含む場合、ありうるさらなる薬学的賦形剤は無機塩でありうる。無機塩は上記の任意の無機塩でありうる。他方で、本発明の薬学的組成物が式(I)および/または式(II)の化合物ならびに無機塩を含む場合、さらなる薬学的賦形剤はリン酸塩でありうる。リン酸塩は上記の任意のリン酸塩でありうる。
【0087】
いくつかの態様では、本発明の固体薬学的組成物中に存在しうる薬学的賦形剤以外に、本発明の薬学的組成物は結晶水を含みうるし、当然、さらなる薬学的賦形剤も同様に存在しうる。当技術分野における通常の意味に従って本明細書において使用される「結晶水(water of crystallization)」または「水和水」または「結晶水(crystallization water)」とは、結晶内で生じる水を意味し、本発明では、Na2HPO4またはNaH2PO4などの無機塩および化合物(I)または化合物(II)のビオプテリン誘導体はいずれも結晶水を有しうる。Na2HPO4・2H2OまたはNaH2PO4・2H2Oなどの固体リン酸塩中では結晶水は決まった化学量論的量で存在するが、化合物(I)または化合物(II)の固体形態中に存在する結晶水の量は、本発明の固体製剤の調製に使用される化合物の合成および/または結晶化の条件に応じて変動しうる。理論によって拘束されることは望ましくないが、化合物(I)または化合物(II)の固体形態中に存在する結晶水は、遊離塩基として存在する化合物(I)または(II)の2つのアミノ基に例えば水素結合を通じて結合しうると考えられる。これに関して、例示目的で、4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水140±30mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 16.5±2mg、および塩化ナトリウム(NaCl)350±30mgを含有する、組成物の単位用量に言及する。この単位用量では、2つのリン酸ナトリウム塩は二水和物として存在し、一方、結晶水140±30mgの量で存在する結晶水は、化合物(I)および/または化合物(II)の遊離塩基に結合して存在する水のみを指す。本組成物の別の例示的な単位用量は、4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水60±50mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 12±2.5mg、および塩化ナトリウム(NaCl)350±30mgを含有する。
【0088】
ただ今記載したように、本発明の薬学的組成物は単位用量で与えることができる。本発明の固体薬学的組成物の「単位用量」とは、成分が単位用量中で一緒に混合されていることを意味し、通常は、化合物(I)および/または化合物(II)などの有効薬物成分と、少なくとも1つのリン酸塩および/または少なくとも1つの無機塩などの非薬物成分(賦形剤)との混合物を包含する。さらに、単位用量は、少なくとも1つのリン酸塩もしくは少なくとも1つの無機塩などのさらなる賦形剤、および/または、成分もしくは包装(例えばカプセルシェルなど)と見なすことができない他の再使用不可能な材料を含みうる。単位用量という用語は、再使用不可能な包装も同様に包含しうる(特に各薬品が個々に包装されている場合)。単位用量は、本発明の再構成固体薬学的組成物を含んでもよい。
【0089】
以下の例示的な単位用量について、この単位用量中の成分のモル比の計算を概説する。
モル比 nNACl / n化合物(i) = 0.005989mol / 0.0027053mol = 約2.214
モル比 nNACl / n化合物(ii) = 0.005989mol / 0.0027282mol = 約2.195
モル比 nNa2HPO4・2H2O + nNaH2PO4・2H2O / n化合物(i) = 0.0003932mol + 0.0001057mol / 0.0027053mol = 約0.18
モル比 nNa2HPO4・2H2O + nNaH2PO4・2H2O / n化合物(ii) = 0.0003932mol + 0.0001057mol / 0.0027282mol = 約0.18
モル比 nNa2HPO4・2H2O / n化合物(i) = 0.0003932mol / 0.0027053mol = 約0.145
モル比 nNa2HPO4・2H2O / n化合物(ii) = 0.0003932mol / 0.0027282mol = 約0.144
モル比 nNaH2PO4・2H2O / n化合物(i) = 0.0001057mol / 0.0027053mol = 約0.038
モル比 nNaH2PO4・2H2O / n化合物(ii) = 0.0001057mol / 0.0027282mol = 約0.038
【0090】
要約すると、本明細書に記載の単位用量は、4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンおよび/または4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水140±30mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 16.5±2mg、ならびにNaCl 350±30mgを含有しうる。本組成物の単位用量が4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水60±50mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 12±2.5mg、および塩化ナトリウム(NaCl)350±30mgを含有することもありうる。典型的な態様では、50ml量の注射用水などの薬学的に許容される担体による再構成後に、直ちに投与可能な注入液剤または注射剤が得られることから、この単位用量は、50mlバイアルでの投与用であることを指し、当該投与用に包装される。したがって、例えば異なる単位用量、例えば30mlバイアルが使用される場合、本組成物のすべての成分の量がこれに合わせて調節される。30mlバイアルの例では、各成分の量は3/5(60%)に減少する。すなわち、50mlバイアル中の単位用量が4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンおよび/または4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水140±30mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 16.5±2mg、ならびにNaCl 350±30mgを含有する場合、30ml単位用量は、4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンおよび/または4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基390±36mg、結晶水84±18mg、Na2HPO4・2H2O 42±4.2mg、NaH2PO4・2H2O 9.9±1.2mg、ならびにNaCl 210±18mgを含有する。したがって、50mlバイアル中の単位用量が4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンおよび/または4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水60±50mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 12±2.5mg、ならびにNaCl 350±30mgを含有する場合、30ml単位用量は、4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンおよび/または4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基390±36mg、結晶水36±18mg、Na2HPO4・2H2O 42±4.2mg、NaH2PO4・2H2O 7.2±1.2mg、ならびにNaCl 210±18mgを含有する。
【0091】
本発明の薬学的組成物は、さらなる分子、例えば本発明の薬学的組成物の生成プロセス中に発生する関連化合物を含んでもよい。したがって、本発明の薬学的組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれより多くのさらなる化合物を含みうる。これらのさらなる化合物は、例示的化合物をいくつか挙げれば、4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリン(4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの自発酸化によって発生しうる。上記参照)、4-アミノ-L-ビオプテリン、(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン、1-[(6R,S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパノール、1-[(6R,S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパン、(1R,2S)-1-[(6R,S)-2-(アセチルアミノ)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリン-6-イル]-1,2-ジアセトキシ-プロパン、2,4-ジアミノ-7,8-ジヒドロプテリジン、または2,4-ジアミノプテリジンからなる群を含むがそれに限定されない1つまたは複数の化合物より選択されることができる。
【0092】
上記で概説したように、プテリジン誘導体は、他のNO阻害剤とは異なる性質を示すことで、「古典的な」アルギニン類似体よりも潜在的に好適になるということが示された。したがって、本発明はまた、疾患の治療のための、凍結乾燥された本発明の薬学的組成物の使用に関する。いくつかの態様では、疾患は、外傷性脳損傷、非外傷性脳損傷、好ましくは脳卒中または髄膜炎、頭蓋内圧上昇、二次脳損傷からなる群より選択される。
【0093】
「外傷性脳損傷」または「脳外傷」という用語は、外力が脳に外傷性損傷を与える際に生じる。TBIは、重症度、機序(閉鎖性頭部損傷もしくは穿通性頭部外傷)、または他の特徴(例えば特定の位置において生じるか、もしくは広範な区域にわたって生じるか)に基づいて分類することができる。外傷性脳損傷は、頭蓋内での突然の加速/減速、または運動と突然の衝撃との複雑な組み合わせ、および、衝撃波、または発射体による穿通による、頭部に対する限局的衝撃の結果として生じうる。TBI重症度を分類するために最も一般的に使用されるシステムであるグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は、個人の意識レベルを、刺激に対する言語反応、運動反応、および開眼反応に基づいて3~15のスケールで類別する。一般に、GCS 13以上のTBIが軽度、9~12が中程度、8以下が重度であるということが同意されている。小児用にも同様のシステムが存在する。診断的観点からは、開放性TBIと閉鎖性TBIとがさらに区別される。開放性TBIは、脳髄膜(硬膜)が機械的に破壊されて脳がこの開口を通じて環境と接触する、損傷であると見なされる。多くの場合、開放性TBIは、髄液および脳壊死組織片の流出を伴う。閉鎖性TBIでは、頭骨または頭蓋は無傷のままであり、脳の一次傷害(外傷)は、挫傷もしくは血腫などの局所病変、および/またはびまん性脳組織傷害を特徴とする。本明細書において言及される際の「頭蓋」という用語は、脊椎動物の骨性および軟骨性の頭部骨格の外に存在する神経頭蓋(脳頭蓋)および顔面頭蓋(頭蓋顔面)のセットのことである。「頭蓋内」とは頭蓋の内側を意味する。
【0094】
対照的に、「非外傷性脳損傷」は、脳損傷をもたらすための機械的外力を包含しない。非外傷性脳損傷の原因としては酸素、グルコース、または血液の欠乏を挙げることができる。腫瘍または毒と同様に、感染症も、脳炎(脳腫脹)、髄膜炎(髄膜腫脹)、または、例えば劇症肝不全を原因とする細胞毒性を引き起こしうる。これらの感染症は、脳卒中、心発作、溺水、絞扼または糖尿病性昏睡、中毒またはアルコール乱用もしくは薬物過剰投与などの他の化学的原因、感染症または腫瘍、ならびにアルツハイマー病およびパーキンソン病などの変性状態を通じて生じうる。急性神経変性疾患は「脳卒中」が代表的であり、脳卒中は、特にそれが急速に生じる際の、脳への血液供給の妨害による脳機能の損失を意味し、多くの場合、脳血管疾患を伴う。これは、閉塞(血栓症、動脈塞栓症)を原因とする虚血(血流の欠乏)、または中枢神経系(CNS)もしくは頭蓋内血管の出血の後に生じうる。その結果、脳の患部は正常に機能することができない。
【0095】
治療可能な別の疾患は「髄膜炎」であり、髄膜炎とは、総称的に髄膜として知られている脳および脊髄を覆う膜の急性炎症のことである。炎症はウイルス、細菌、または他の微生物による感染、および、それほど一般的ではないが特定の薬物によって引き起こされうる。
【0096】
脳外傷(非外傷性または外傷性脳損傷)は、損傷の瞬間に引き起こされる傷害以外にも、「二次損傷」または「二次脳損傷」を引き起こし、これは、損傷後の数分および数日以内に生じる様々なイベントを意味する。これらのプロセスは、脳血流および頭骨内の圧力の変化を含み、初期損傷による傷害に実質的に寄与する。二次損傷イベントとしては、例えば血液脳関門の傷害、炎症を引き起こす因子の放出、フリーラジカル過負荷、神経伝達物質グルタメートの過度の放出(興奮毒性)、ニューロンへのカルシウムイオンおよびナトリウムイオンの流入、ならびにミトコンドリア機能不全を挙げることができる。脳の白質中の損傷軸索が二次損傷の結果として細胞体から分離することで、潜在的にそれらニューロンが死滅するということがある。二次損傷における他の因子としては、脳への血流の変化; 血液脳関門の一時的崩壊の反復; 虚血(血流不足); 低酸素脳症(脳内の酸素の不足); 脳浮腫(脳腫脹); および頭蓋内圧(頭骨内の圧力)の上昇がある。
【0097】
頭蓋内圧が出血などの病変による腫脹または質量効果によって上昇しうるということもありうる。その結果、脳灌流圧(脳内の血流の圧力)が減少し、虚血が生じる。頭骨内の圧力が上昇しすぎると、脳の一部が頭骨内の構造によって圧迫されて、脳死またはヘルニア形成が引き起こされることがある。「頭蓋内圧」(ICP)という用語は、頭蓋内の圧力、したがって脳組織および脳脊髄液(CSF)中の圧力を意味する。身体は、ICPを安定に保つ様々な機構を有し、CSF圧はCSFの産生および吸収の変化を通じて正常成人において約1mmHg変動する。ICPはミリメートル水銀柱(mmHg)単位で測定され、静止状態では、仰臥位の成人で通常7~15mmHgである。ICPの変化は、頭蓋に収容される1つまたは複数の区画の容量変化に起因する。「頭蓋内の圧力の上昇」または「頭蓋内圧上昇」とは、正常で健康な対象に比べて対象の頭蓋内の圧力が増加していることを意味する。頭蓋内圧が通常7~15mmHgであることから、正常上限である20~25mmHgは頭蓋内圧上昇と既に見なされ、この圧力を減少させるための治療が必要でありうる。したがって、頭蓋内圧上昇は、仰臥位の対象の頭蓋内の20mmHgを超える任意の圧力と見なすことができ、好ましくは、当該圧力は、25mmHg超、26mmHg超、27mmHg超、28mmHg超、29mmHg超、30mmHg超、31mmHg超、32mmHg超、33mmHg超、34mmHg超、または35mmHg超である。
【0098】
これに従って、本発明はさらに、閉鎖性頭部損傷、頭蓋内圧上昇、および二次脳損傷を有する対象を治療するための医薬の製造における、凍結乾燥された本発明の薬学的組成物の使用に関する。本明細書において言及される際の「閉鎖性頭部損傷」とは、頭蓋および硬膜が無傷のままである外傷性脳損傷の一種を意味する(上記も参照)。
【0099】
本発明はまた、対象において疾患を治療する方法であって、疾患の治療を必要とする対象に凍結乾燥された本発明の薬学的組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0100】
投与においては、主治医および臨床的要因が投与レジメンを決定する。医学分野において周知のように、任意の1人の患者に対する投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与すべき特定の化合物、性別、投与時間および投与経路、全身的健康、ならびに同時投与される他の薬物を含む多くの要因に依存する。典型的な一日量は例えば2.5mg/kg体重~12.5mg/kg体重の範囲でありうるが、特に上述の要因を考慮すると、この例示的範囲よりも下または上の用量も想定される。
【0101】
投与量は、1日1回、最大4日間空けて与えられることが好ましいが、治療の進行中には、投与量は遥かに長い時間間隔で与えられることがあり、必要であれば遥かに短い時間間隔で、例えば毎日与えられることがある。好ましい場合では、免疫応答が本明細書に記載の方法および当業者に公知のさらなる方法を使用してモニタリングされ、投与量が例えば時間、量、および/または組成に関して最適化される。投与量は変動するものであるが、化合物(I)および/または化合物(II)の静脈内投与での好ましい投与量は約2.5mg/kg体重および日~12.5mg/kg体重および日である。
【0102】
レジメンが注射または短期持続注入である場合、投与量はそれぞれ1分当たり体重1キログラム当たり約1μg~約1mg単位の範囲でもあるべきである。進行は定期的評価によってモニタリングすることができる。
【0103】
最適な投与量範囲の同定に役立つように、インビトロアッセイを使用してもよい。また、製剤中で使用される正確な用量は、投与経路および疾患の重篤度に依存するものであり、開業医の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験系から導出される用量反応曲線から外挿することができる。好ましくは、薬学的組成物は直接投与されるか、または補助剤との組み合わせで投与される。
【0104】
最大一日量(DDD)は、対象(例えば成人)の主な徴候について通常使用される1日当たりの化合物(I)および/または(II)の量に基づく。しかし、投与レジメンは注射と注入とで異なることがあり、さらには1日複数回の注射および/または注入の間で異なることがある。対象において疾患を治療する方法のいくつかの態様では、最大一日量は12.5mg/kg体重、好ましくは12.5、11.5、10.5、9.5、8.5、7.5、6.5、5.5、4.5、3.5、2.5mg/kg体重である。いくつかの態様では、最大一日量は10.0、9.0、または好ましくは8.5mg/kg体重、さらにはそれ未満、例えば7.5、5.0、2.5mg/kg体重である。
【0105】
本明細書において使用される、「XからYまで」と規定される間隔は、「XとYとの間」と規定される間隔に等しい。両間隔は上限および下限を具体的に含む。これは、例えば「2.5mg/kgから12.5mg/kgまで」または「2.5mg/kgと12.5mg/kgとの間」という間隔が濃度2.5、3.5、4.5、5.5、6.5、7.5、8.5、9.5、10.5、11.5、および12.5、ならびに任意の所与の中間値を含むことを意味する。
【0106】
薬学的組成物が併用療法アプローチで、すなわち、他の医薬または薬物、例えば外傷性脳損傷または非外傷性脳損傷などの疾患を予防するか、治療するか、または寛解させるための他の薬物との同時投与で使用されることも想定される。
【0107】
本発明において治療される「対象」は、好ましくはヒト、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、マウス、またはラットなどの哺乳動物であり、ヒトが好ましい。
【0108】
本発明はまた、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩および任意でNaCl
を含む(静脈内投与に適した)凍結乾燥された固体薬学的組成物を調製するための方法であって、
aa) 式(III)および/または(II)の化合物:
を、リン酸塩を含むことが好ましい緩衝液に溶解させる工程;ならびに
bb) aa)において得られた溶液を凍結乾燥させる工程
を含む方法を想定する。
【0109】
これに関して、式(II)の化合物が合成によってそれ自体で容易に入手可能であるが、式(I)の化合物の通常の合成物が式(III)に示されるその二塩酸塩二水和物であるということに留意されたい。このため、式(I)の化合物を含有する本発明の固体組成物を調製する方法では、出発原料である4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンは通常、式(III)の化合物である4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン二塩酸塩二水和物である。
【0110】
また、本発明はさらに、
a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つの無機酸、好ましくはNaCl
を含む(静脈内投与に適した)凍結乾燥された固体薬学的組成物を調製するための方法であって、
aa) 式(III)および/または式(II)の化合物:
を緩衝液に溶解させる工程;
bb) aa)において得られた溶液を凍結乾燥させる工程
を含む方法に関する。
【0111】
aa)に記載の緩衝液は、式(III)および/または式(II)の化合物を溶解させることで化合物-緩衝液溶液を得るために使用される。一般に、緩衝液とは、弱酸(または塩基)および該弱酸(または該塩基)の塩を含有する溶液のことである。さらに、緩衝液は、少量の酸またはアルカリがそこに加えられる際のpHの変化に抵抗する。様々なリン酸塩がいくつかの異なる緩衝液組み合わせを形成することができる。3つのありうるリン酸ナトリウムとしてはリン酸二水素ナトリウムNaH2PO4、リン酸水素二ナトリウムNa2HPO4、リン酸ナトリウムNa3PO4を挙げることができる。
【0112】
aa)における緩衝液は、少なくとも1つのリン酸塩を含むリン酸水素ナトリウム緩衝液であってもよい。「リン酸水素ナトリウム緩衝液」とは、リン酸ナトリウム塩を含む緩衝液のことである。いくつかの態様では、リン酸ナトリウム緩衝液は上記の少なくとも1つのリン酸ナトリウム塩を含む。他の態様では、リン酸ナトリウム緩衝液は上記の2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多くのリン酸ナトリウム塩、好ましくは2つの異なるリン酸塩を含む。本発明の方法の別の態様では、リン酸水素ナトリウム緩衝液は、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oを別々に溶解させることで調製される。
【0113】
「別々に溶解させる」という用語は、各リン酸ナトリウムの溶解が互いに隔離されて行われること、例えば異なるガラス器具中で行われることを意味する。本発明の方法のさらなる態様では、NaH2PO4・2H2O溶液をNa2HPO4・2H2O溶液に加えることでリン酸水素ナトリウム緩衝液はpH 7.4を有する。
【0114】
さらに、aa)における緩衝液はNaOH、リン酸水素ナトリウム緩衝液、および水を含みうる。場合によっては、NaOHは5N NaOH溶液である。「5N NaOH溶液」とは、規定度5(5N)を有するNaOH(水酸化ナトリウム)溶液を意味する。水酸化ナトリウム溶液の濃度がc(NaOH) = 5mol/Lである場合、その規定度は5Nである。
【0115】
本発明の方法のいくつかの態様では、緩衝液はNaOH 5N 12~16%(w/w)、リン酸水素ナトリウム緩衝液8~12%(w/w)、および注射用水74~78%(w/w)を含む。
【0116】
本発明の方法のさらなる態様では、緩衝液はpH約8、9、10、11、12、13、または14を有する。
【0117】
本発明の方法のさらに別の態様では、工程aa)における溶液はpH約4、5、6、7、8、9、10、または11、好ましくは6.5~7.6、最も好ましくは約7.4を有する。
【0118】
緩衝液は、異なるやり方で調製することができる。例えば、脱気緩衝液を得るための脱気に基づいて調製することができる。「脱気緩衝液」とは、液体(特に水または水溶液)から溶存ガス(例えば酸素)が除去されていることを意味する。溶液に不活性ガスを吹き込むことで、酸素および二酸化炭素などの有害で反応性の溶存ガスが置換される。窒素、アルゴン、ヘリウム、および他の不活性ガスが一般的に使用される。置換を完了させるには、溶液を激しく攪拌し、溶液に長時間吹き込むべきである。いくつかの態様では、酸素含有量が1.0ppm未満(百万分率)になるまで緩衝液が窒素で脱気される。
【0119】
本方法におけるさらなる追加の工程として、aa)において得られた溶液を好ましくは0.22μmフィルターで滅菌濾過することができる。滅菌濾過は、表面上に存在するか、液体中、医薬中、または組成物(固体もしくは液体)中に含まれる、伝染性作用物質(真菌、細菌、ウイルス、胞子形態などの)を含むすべての微生物生命形態を排除する(除去する)かまたは死滅させる、任意のプロセスを包含する。ここでは、滅菌は濾過によって実現される。滅菌は、熱の適用、化学物質、放射線照射、高圧、またはこれらと濾過工程との組み合わせによって実現することもできる。フィルターは異なる孔径を有しうる。通常は、孔径0.2μmを有するフィルター(精密濾過)によって微生物が効果的に除去される。生物製剤の加工においては、ウイルスを例えば熱またはグルタルアルデヒドなどによって除去または不活性化しなければならない。20~50nmというさらに小さな孔径を有するナノフィルター(ナノ濾過)が使用される。孔径が小さいほど流量が低くなる。より高い総処理量を実現するために、または早すぎる閉塞を回避するために、プレフィルターを使用して小孔径メンブランフィルターを保護することがある。
【0120】
本発明の方法の別の態様では、薬学的組成物の調製後、凍結乾燥は2時間以内、好ましくは1.5時間以内、1時間以内、30分以内、最も好ましくは15分以内に開始される。
【0121】
特に、本発明はまた、本発明の方法によって得ることができる薬学的組成物に関する。
【0122】
本発明の固体薬学的組成物の取り扱いの改善のために、bb)において得られた凍結乾燥物、または本発明の薬学的組成物が、好ましくは固体製剤約1~1.5g、好ましくは約1.25gの量でバイアルに充填される。あるいは、bb)において得られた凍結乾燥物、または薬学的組成物が固体製剤約0.9~1.4g、好ましくは1.15gの量でバイアルに充填されうる。「単位用量」として使用される場合、約1~1.5gまたは好ましくは約1.25gの量の固体製剤、あるいは約0.9~1.4g、好ましくは1.15gの量の固体製剤が、50mlバイアルに充填される。「バイアル」という用語は、薬学的組成物を液体または固体として保管するために多くの場合で使用されるガラス製またはプラスチック製の(小さな)容器またはボトルを意味する。今日、バイアルはやはり多くの場合で、ポリプロピレンまたはポリスチレンなどのプラスチックで作製される。当然、任意の他の好適な容器を本発明の固体組成物の保管に使用してもよい。
【0123】
すぐに使える注射剤を得るために、本発明の方法はまた、bb)において得られた凍結乾燥物を、注射剤の調製のための薬学的に許容される液体中で再構成する工程を含む。「注射剤」という用語は、静脈内投与に、好ましくは注射または注入に利用可能な溶液を意味する(注射については上記開示も参照)。注射剤は、薬学的に許容される液体を含む。
【0124】
本発明は、以下の項目のリストをさらに特徴とする。
項目1. a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩
を含む、静脈内投与に適した固体薬学的組成物。
項目2. 前記少なくとも1つのリン酸塩が、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはリン酸アンモニウムである、項目1に記載の薬学的組成物。
項目3. 前記リン酸塩が、Na2HPO4(無水)、Na2HPO4・2H2O、Na2HPO4・7H2O、Na2HPO4・12H2O、NaH2PO4(無水)、NaH2PO4・H2O、NaH2PO4・2H2O、K2HPO4(無水)、K2HPO4・3H2O、KH2PO4(無水)、およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目2に記載の薬学的組成物。
項目4. 前記リン酸塩がNa2HPO4・2H2Oであり、前記組成物中に存在するNa2HPO4・2H2Oの量が、Na2HPO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.04~0.4の範囲になるように選択されている、項目2に記載の薬学的組成物。
項目5. 前記リン酸ナトリウムがNaH2PO4・2H2Oであり、前記組成物中に存在するNaH2PO4・2H2Oの量が、NaH2PO4・2H2Oと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が0.01~0.09の範囲になるように選択されている、項目2に記載の薬学的組成物。
項目6. 2つの異なるリン酸ナトリウム塩を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目7. 前記2つの異なるリン酸ナトリウム塩がNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oである、項目6に記載の薬学的組成物。
項目8. 前記組成物中に存在するNaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの量が、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oの両方と化合物(I)または化合物(ii)とのモル比が0.02~0.5の範囲になるように選択されている、項目7に記載の薬学的組成物。
項目9. 化合物(I)および/または化合物(II)が遊離塩基として存在する、項目1~8のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目10. 凍結乾燥された薬学的組成物である、項目1~9のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目11. 化合物(I)が、式(Ia)を有する化合物:
である、項目1~10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目12. 化合物(II)が、式(IIa)を有する化合物:
である、項目1~11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目13. さらなる薬学的賦形剤を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目14. 前記さらなる薬学的賦形剤が無機塩である、項目13に記載の薬学的組成物。
項目15. 前記無機塩が、MgCl2、CaCl2、NH4Cl、KCl、またはNaClより選択される、項目14に記載の薬学的組成物。
項目16. 前記無機塩がNaClである、項目15に記載の薬学的組成物。
項目17. 前記組成物中に存在するNaClの量が、NaClと化合物(I)または化合物(II)とのモル比が1.5~4、好ましくは1.8~3.7の範囲になるように選択されている、項目16に記載の薬学的組成物。
項目18. 結晶水をさらに含む、項目1~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目19. 水での再構成に適している、項目1~18のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目20. 注入または注射による投与に適している、項目1~19のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目21. 化合物(I)が(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンである、項目1~20のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目22. 化合物(I)が(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンである、項目1~21のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目23. 化合物(I)が、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンを(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンよりも多く含むジアステレオマー混合物である、項目1~22のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目24. (6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量が、(6R)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量と(6S)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの量との比が0.5~2の範囲、好ましくは約1.3になるように選択されている、項目23に記載の薬学的組成物。
項目25. 前記組成物の単位用量が、4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mg、結晶水140±30mg、Na2HPO4・2H2O 70±7mg、NaH2PO4・2H2O 16.5±2mg、およびNaCl 350±30mgを含有する、項目1~24のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
項目26. 4-アミノ-L-ビオプテリン、(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン、1-[(6R,S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパノール、1-[(6R,S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパン、(1R,2S)-1-[(6R,S)-2-(アセチルアミノ)-4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリン-6-イル]-1,2-ジアセトキシ-プロパン、2,4-ジアミノ-7,8-ジヒドロプテリジン、2,4-ジアミノプテリジンからなる群より選択される1つまたは複数の化合物からなる群より選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれより多くのさらなる化合物を含む、項目1~25のいずれか一項に記載の組成物。
項目27. 疾患の治療のための、凍結乾燥された項目1~26のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
項目28. 前記疾患が、外傷性脳損傷、非外傷性脳損傷、好ましくは脳卒中または髄膜炎、頭蓋内圧上昇、二次脳損傷からなる群より選択される、項目27に記載の使用。
項目29. a) 式(I)を有する化合物:
および/または式(II)を有する化合物:
ならびに
b) 少なくとも1つのリン酸塩
を含む、静脈内投与に適した凍結乾燥された固体薬学的組成物を調製するための方法であって、
aa) 式(III)および/または(II)の化合物:
を、該リン酸塩を含む緩衝液に溶解させる工程;
bb) aa)において得られた溶液を凍結乾燥させる工程
を含む、前記方法。
項目30. bb)において得られた凍結乾燥物を、注射剤の調製のための薬学的に許容される液体中で再構成する工程をさらに含む、項目29に記載の方法。
項目31. aa)における前記緩衝液が、少なくとも1つのリン酸塩を含むリン酸水素ナトリウム緩衝液である、項目29または30に記載の方法。
項目32. aa)における前記緩衝液が、NaOH、リン酸水素ナトリウム緩衝液、および水を含む、項目29~31のいずれか一項に記載の方法。
項目33. 前記NaOHが5N NaOH溶液である、項目31に記載の方法。
項目34. 前記リン酸水素ナトリウム緩衝液が、NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・2H2Oを別々に溶解させることにより調製される、項目31に記載の方法。
項目35. NaH2PO4・2H2O溶液をNa2HPO4・2H2O溶液に加えることによって、前記リン酸水素ナトリウム緩衝液がpH 7.4を有する、項目33に記載の方法。
項目36. 前記緩衝液が、12~16%(w/w)の5N NaOH、8~12%(w/w)のリン酸水素ナトリウム緩衝液、および74~78%(w/w)の注射用水を含む、項目29~35のいずれか一項に記載の方法。
項目37. aa)において得られた溶液が、好ましくは0.22μmフィルターで滅菌濾過される、項目29~36のいずれか一項に記載の方法。
項目38. 前記緩衝液が、pH約8、9、10、11、12、13、または14を有する、項目29~37のいずれか一項に記載の方法。
項目39. 工程aa)における溶液が、pH約4、5、6、7、8、9、10、または11、好ましくは6.5~7.6、最も好ましくは7.4を有する、項目29~38のいずれか一項に記載の方法。
項目40. bb)において得られた凍結乾燥物が、好ましくは固体製剤約1~1.5g、好ましくは1.25gの量でバイアルに充填される、項目29~39のいずれか一項に記載の方法。
項目41. 緩衝液が脱気緩衝液を用いて調製される、項目29~40のいずれか一項に記載の方法。
項目42. 緩衝液が、窒素を用いて酸素含有量が1.0ppm未満になるまで脱気される、項目29~41のいずれか一項に記載の方法。
項目43. 溶液の調製後、2時間以内に凍結乾燥が開始される、項目29~42のいずれか一項に記載の方法。
項目44. 項目29~43のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる薬学的組成物。
項目45. 閉鎖性頭部損傷、頭蓋内圧上昇、および二次脳損傷を有する対象を治療するための医薬の製造における、凍結乾燥された項目1~28のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
項目46. 疾患の治療を必要とする対象に凍結乾燥された項目1~28のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、対象において疾患を治療する方法。
項目47. 最大一日量が20mg/kg体重、好ましくは17.5、15.0、または12.5、10、8.5、7.5、5.0、2.5mg/kg体重である、項目46に記載の方法。
【実施例
【0125】
以下の実施例によって本発明をさらに示す。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。実施例は例示目的で含まれるものであり、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0126】
実施例1 - 製造プロセスの説明
市販のL-ビオプテリンから出発する多工程合成によりVAS203を調製する。図1にプロセススキームを示す。VAS203の合成は、刊行物 W. Pfleiderer et al. in Pteridines 1989, 1, 199-210およびPteridines 1995, 6, 1-7に基づく。
【0127】
第1の開発段階では、文献に記載された手法を再現し、該手法をマルチグラムスケールで実施可能かどうかを推定することを目的とした。フラッシュクロマトグラフィーによる中間体の精製を省略し、析出工程または結晶化工程で代用した。さらに、中間体 MAE 119(4-アミノ-L-ビオプテリン)に至るロバストなプロセスを利用できるように、試薬のモル比および反応条件の選定を行った。
【0128】
触媒としてPtO2を使用してMAE 119からVAS203への水素化のためのロバストで確実な経路を確立することが課題であった。種々の溶媒および水性媒体を種々のpH値で試験したが、希塩酸を使用した場合にのみ、特に原薬のジアステレオマー比に関する迅速かつ再現可能な結果を得ることができた。酸化白金(IV)触媒の予備水素化によって残留白金負荷の総量を劇的に減少させることができ、これによりジアステレオマー比がわずかに変化した。減圧下での水の単純蒸発によってガラス様残渣が残ったことから、VAS203の酸性溶液のワークアップは困難であるとわかった。2-プロパノールを蒸発プロセス用の共溶媒として使用した場合にブレイクスルーが実現された。この手法によって固体が得られたが、残念ながら2-プロパノールがこの固体に取り込まれる。従来の乾燥条件では、残留2-プロパノールの量を5%(w/w)未満に減少させることはできなかった。この問題を克服するために、VAS203を生じさせるための最終凍結乾燥工程が含まれうる。より多くの量を与える単一のバッチをプールすることができる。
【0129】
VAS203の構造帰属の証明は合成経路によって与えられ、元素分析、核磁気共鳴(1H-NMRおよび13C-NMR)、UVおよびIR分光法によって裏づけられた(データは示さず)。
【0130】
実施例2 - 薬品の説明および組成
VAS203は、保護雰囲気としての窒素下で50mLガラスバイアルに充填された白色~淡赤色または淡褐色の滅菌凍結乾燥粉末として供給される。各バイアルは、4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンの遊離塩基650±60mgおよび結晶水140±30mgを含む。前記バイアルはさらに、塩化ナトリウム(NaCl)350±30mg、リン酸水素二ナトリウム二水和物(Na2HPO4・2H2O)70±7mg、およびリン酸二水素ナトリウム二水和物(NaH2PO4・2H2O)16.5±2mgを含む。薬品組成物の許容限界は相対的に高い(±10%)。これは、VAS203の塩酸塩含有量にばらつきがあるためである。VAS203の塩酸塩含有量は、バッチごとに(2.03 HClから2.24 HClまで)最大10%のばらつきがある。本発明では、薬品の調製中に、水酸化ナトリウムおよびリン酸ナトリウム緩衝液を加えて塩酸塩を中和することで、生理的pH値を有する等張液を得た。したがって、中和中に生じる分子(塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素ナトリウム)の含有量も、各VAS203バッチの塩酸塩含有量によって異なる。品質関連パラメータであるpHおよび浸透圧の規格に適合するためには、所与の許容限界が必要である。1g VAS203バイアルの定性的組成を表2に列挙する。
【0131】
(表2)
* 製剤の調製中、原薬の塩酸塩が水酸化ナトリウム溶液と反応する際に塩化ナトリウムが生じる。両成分は欧州薬局方を遵守している。
【0132】
製剤開発
注入液の調製用のVAS203の固体凍結乾燥剤形をここで開発する。
【0133】
最終pH 7.4を有する水酸化ナトリウム/リン酸水素ナトリウム緩衝溶液10g中VAS 203 1gを滅菌処理するように選択し、膜濾過で滅菌し、50mLガラスバイアルに充填した。続いて、この溶液を、優れた安定性を有する凍結乾燥品を生成する選択された凍結乾燥プログラムに従って凍結乾燥させた。この固体組成物中では、VAS 203は遊離塩基4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンとして存在する。バイアルを窒素下で閉鎖し、凍結乾燥ストッパで密封し、白色真空閉鎖装置で閉鎖した。注射用水50mLによる再構成後に生理的pHを有する等張液が得られるように、賦形剤を加える。最終等張液のpHは6.5~7.6である。原薬VAS203の最終濃度は20mg/mLである。
【0134】
製造プロセスおよびプロセス制御の説明
pH 7.4で、緩衝溶液に溶解した4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン二塩酸塩二水和物(VAS203)は非常に不安定であり、酸化されて2つの代謝産物 4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリンおよび4-アミノ-L-ビオプテリンになる。したがって、脱気緩衝液を用いてVAS203溶液を調製することが重要であり、VAS203溶液の調製後には凍結乾燥を遅延なく開始すべきである。
【0135】
50mLバイアル中での凍結乾燥を可能にするには、濃縮VAS203緩衝溶液を調製しなければならない(緩衝液10g中VAS203 1g)。緩衝溶液は、以下のストック溶液を混合することで調製される。
5N 水酸化ナトリウム(NaOH)溶液 14%(w/w)
500mmol/L、pH 7.4のリン酸水素ナトリウム(NaPB)緩衝溶液 10%(w/w)
注射用水 76%(w/w)
【0136】
次に、窒素を用いて、酸素含有量が1.0ppm未満になるまで滅菌緩衝溶液を脱気する。各バイアルでは、VAS203 1.0gを溶解させるために、この緩衝溶液9.0gを使用する。窒素を通気したフラスコに緩衝溶液を充填し、固体(凍結乾燥)VAS203を保護雰囲気としての窒素下で15分以内に慎重に加える。pH値の点検後、VAS203溶液を0.22μm Millipak 200フィルターで滅菌濾過する。使用後、0.22μmフィルターの完全性を試験する。試料100mLをバイオバーデンの試験に供する。滅菌濾過前の薬品溶液のバイオバーデン限界を10cfu/100mLと規定する。残りの溶液を再度濾過し、50mLバイアルにバイアル当たり10gで分注する。充填前にバイアルを欧州薬局方5.1.1.節に従って乾熱滅菌する。凍結乾燥後、バイアルを窒素下で閉鎖し、凍結乾燥ストッパで密封し、白色真空閉鎖装置で閉鎖した。凍結乾燥の直前にVAS203溶液を調製する。無菌充填プロセスは、培地充填試験法を使用して実証されている。各工程に使用される成分を示す、製造プロセスの連続的工程の流れ図を図2に示す。結果は、VAS203が遊離塩基4-アミノ-(6R,S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンとして存在する固体組成物である。
【0137】
安定性
安定性のモニタリングを24ヶ月間行った。試料を5℃で「長期」保存した(真)。加速安定性試験を40℃/75% RHで6ヶ月間行った(真)。安定性プログラムにおいて使用した分析手法としては、アッセイ、純度、および関連物質に関する試験が挙げられる。適用した規格および使用した方法は薬品リリースに関するものと同じである。
【0138】
安定性のモニタリングを少なくとも60ヶ月間行った。表3は、安定性調査における条件および保管期間を示す。試料を5℃で「長期」保存した(真)。加速安定性試験を40℃/75% RHで6ヶ月間行った(真)。表4は、種々のタイムポイントでの試験スケジュールを示す。安定性プログラムにおいて使用した分析手法としては、アッセイ、純度、および関連物質に関する試験が挙げられる。適用した規格および使用した方法は薬品リリースに関するものと同じである。安定性試験の例示的結果を表5(図4として示される)に示す。
【0139】
(表3)実施される安定性モニタリングの条件
【0140】
(表4)安定性タイムポイントでの試験スケジュール
* 実施される試験は以下の通りである。
A: 全有効期間を考慮した規格
B: 試験項目「無菌性」、「エンドトキシン」、および「粒子」がない、全有効期間を考慮した規格
【0141】
考察
5℃および40℃/75% RHで保管され、光から保護されたバッチについて安定性データが入手可能である。両温度で最大24ヶ月間保管された試料について微小な変化が観察されたが、これらは一貫した傾向を示さなかったし、分析誤差変動の範囲内であると考えられる。分解生成物は形成されなかった。原薬(4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリン)の第1の代謝産物(酸化生成物)のわずかな増加が観察できた。5℃で24ヶ月の保管後、10個のバイアルのうち7個において合計15個の目に見える粒子が発見された。
【0142】
5℃および40℃/75% RHで保管され、光から保護されたバッチについて安定性データが入手可能である。両温度で最大36ヶ月間保管された試料について、有意な変化は検出されなかった。分解生成物は形成されなかった。
【0143】
結論
VAS203薬品バイアルは、5℃で保管され、光から保護される場合、少なくとも36ヶ月間安定である。VAS203薬品バイアルは、40℃/75% RHで保管され、光から保護される場合、少なくとも6ヶ月間安定である。上記を考慮すると、保護雰囲気としての窒素下で50mLガラスバイアルに充填される凍結乾燥VAS203粉末1gについて有効期間42ヶ月が設定される。保管説明書は、バイアルを2~8℃で保管するためのものであり、光からバイアルを保護するには、バイアルをアルミニウム箔で包み、段ボール箱に詰めなければならない。すべての再構成薬品を粒子状物質について目視検査すべきである。保管説明書は、バイアルを2~8℃で保管するためのものである。
【0144】
1g VAS203バイアルおよび50mLプラセボバイアルについて同時に行われる安定性試験から適切な長期安定性データおよび加速安定性データが入手可能であり、かつ結果が現行の規格に適合している場合に、有効期間を延長することができる。有効期間は、ICH Q1Eガイダンスに記載の原理に従って決定される。
【0145】
有意な変化が6ヶ月にわたる加速条件下で検出されず、かつ長期データがほとんどまたは全く経時的変化を示さず、低い変動性を示す場合、リアルタイムデータが網羅する期間の2倍が延長有効期間として使用されるが、有効期間は、入手可能な長期データの長さを12ヶ月を超えて超過することができない。
【0146】
実施例3 - 投与用調製中および注入過程中の安定性
臨床試験において使用される透明50mLポリプロピレン(PP)シリンジ中での再構成溶液の任意の分解を試験するために、原薬VAS203について室温での安定性試験を行った。安定性試験中、PPシリンジを通常の昼光に曝露した。溶液含有量、純度、関連物質、およびpHを48時間(調製当初、6時間後、24時間後、48時間後)モニタリングした。表6は、安定性試験の結果を示す。
【0147】
考察
溶液含有量(アッセイ)は48時間、指定の限界(650±60mg)の範囲内で一定にとどまった。試験期間中、両ジアステレオマーのクロマトグラフィー純度は十分に指定の限界の範囲内であり、有意な変化は観察できなかった。関連物質の相対含有量は48時間、指定の限界の範囲内で一定にとどまった。分解生成物は形成されなかった。VAS203(4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリン)の第1の代謝産物のわずかな増加が観察できた。しかし、この酸化はおそらく、シリンジ中の残留酸素が原因であり、6~48時間で変化は有意ではなかった。再構成VAS203溶液のpHは48時間、指定の限界の範囲内で一定にとどまった。変化は観察できなかった。光感受性は48時間まで観察されなかった。
【0148】
結論
実施された調査は、VAS203の再構成溶液が、通常の昼光に48時間曝露された室温でのその適用装置(50mL PPシリンジ)中で安定であることを示す。しかし、微生物の混入を回避するために使用期限を減少させた。使用期限は、VAS203溶液の調製時点プラス27時間と規定された。
【0149】
(表6)室温で保管された50mL PPシリンジ(適用装置)中でのVAS203の再構成溶液の安定性
N.T.: 試験せず
§: 50mL WFI中で再構成
* A: 4-アミノ-7,8-ジヒドロ-L-ビオプテリン; B: Σ (6R)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリンおよび(6S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-L-ビオプテリン; C: Σ 1-[(6R)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパノールおよび1-[(6S)-2,4-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-6-イル]プロパノール
【0150】
本明細書において使用される単数形「a」、「an」、および「the」が、文脈上別途明らかな断りがない限り、複数に対する言及を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「試薬(a reagent)」に対する言及は、1つまたは複数のそのような異なる試薬を含み、「方法(the method)」に対する言及は、修正可能または本明細書に記載の方法に置換可能な、当業者に公知である等価の工程および方法に対する言及を含む。
【0151】
本開示において引用されるすべての刊行物および特許は参照によりその全体が組み入れられる。参照により組み入れられる資料が本明細書と矛盾しているかまたは本明細書と一致していない場合、本明細書が任意のそのような資料に優先する。
【0152】
別途指示がない限り、要素の連続に先行する「少なくとも」という用語は、該連続中のあらゆる要素を指すものと理解すべきである。当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な態様の多くの等価物を認識するか、または該等価物を単なる日常的な実験を使用して確認可能であるであろう。そのような等価物は本発明に包含されるように意図されている。
【0153】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別途要求されない限り、「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、記載される整数もしくは工程または記載される整数もしくは工程の群の包含を含意するが、任意の他の整数もしくは工程または任意の他の整数もしくは工程の群の排除を含意するものではないと理解されよう。本明細書において使用される際の「含む(comprising)」という用語は、「含有する」という用語で置換するか、または本明細書において使用される際は時々「有する」という用語で置換することができる。
【0154】
本明細書において使用される際の「からなる」は、請求項の要素において指定されない任意の要素、工程、または成分を排除する。本明細書において使用される際の「から本質的になる」は、請求項の基礎的でかつ新規の特徴に実質的に影響しない材料または工程を排除しない。本明細書の各場合において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語のいずれかを他の2つの用語のうちいずれかで置き換えることができる。
【0155】
本明細書の本文を通じていくつかの文献が引用される。前出であれ後出であれ、本明細書に引用される各文献(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造者の規格書、説明書などを含む)は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書における何物も、先行発明によるそのような開示に先行する資格が本発明に与えられないことの承認として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3-1】
図3-2】