(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】回路パターン連続製造装置
(51)【国際特許分類】
C25D 7/06 20060101AFI20221118BHJP
C25D 1/04 20060101ALI20221118BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20221118BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20221118BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20221118BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C25D7/06 D
C25D1/04 311
C25D1/00 Z
C25D7/00 J
C25D17/00 G
C25D17/00 L
H05K3/18 L
(21)【出願番号】P 2021531027
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2019016410
(87)【国際公開番号】W WO2020111751
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0150906
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518300582
【氏名又は名称】サムウォン アクト カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョン ユル
(72)【発明者】
【氏名】チェ,クァン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,フン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウン ユ
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-014506(JP,A)
【文献】特開2014-062294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 9/00- 21/22
C25D 5/00- 7/12
C25D 1/00- 3/66
H05K 3/10- 3/38
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールツーロール工程及び連続電鋳工程を適用した回路パターン連続製造装置において,
転写フィルムを水平方向に広がった状態にアンワインディングするアンワインダー;
回転する陰極ドラムの表面上に電鋳めっきによって第1金属層からなる回路パターンを形成する回転ドラム型連続電鋳部;
前記回転ドラム型連続電鋳部の陰極ドラムの表面上に形成された回路パターンを,前記転写フィルムに転写する連続転写部;
前記転写フィルムに転写された回路パターンに前記回転ドラム型連続電鋳部と同一の材質の金属からなる第2金属層を追加でめっきして設ける第1水平めっき槽;
第2金属層上に前記連続電鋳部と互いに異なる材質の金属からなる第3金属層をめっきして設ける第2水平めっき槽;及び
前記転写フィルムをリワインディングするリワインダー;
を含
み,
第1水平めっき槽によって追加的にめっきすることで回路パターンの厚さを調節して,
第2水平めっき槽によって第2金属層の上に延性及び剛性を調節するため第3金属層をめっきすることで合金で形成された回路パターンを形成することを特徴とする回路パターン連続製造装置。
【請求項2】
ロールツーロール工程及び連続電鋳工程を適用した回路パターン連続製造装置において,
転写フィルムを水平方向に広がった状態にアンワインディングするアンワインダー;
回転する陰極ドラムの表面上に電鋳めっきによって第1金属層からなる回路パターンを形成する回転ドラム型連続電鋳部;
前記回転ドラム型連続電鋳部の陰極ドラムの表面上に形成された回路パターンを,前記転写フィルムに転写する連続転写部;
前記転写フィルムを水平方向に広がった状態から垂直方向に立てられた状態に切り換える第1ターンバー;
垂直方向に切り換えられて移送する転写フィルムに転写された回路パターンに前記連続電鋳部と同一の材質の金属からなる第2金属層をめっきして設ける第1垂直めっき槽;
前記転写フィルムをリワインディングするリワインダー;
を含むことを特徴とする回路パターン連続製造装置。
【請求項3】
前記リワインダーの前段に,第1垂直めっき槽を通る転写フィルムを垂直方向に立てられた状態から水平方向に広がった状態に切り換える第2ターンバー;
をさらに含むことを特徴とする請求項
2記載の回路パターン連続製造装置。
【請求項4】
前記第1垂直めっき槽と前記リワインダーとの間に,前記第2金属層上に前記連続電鋳部と互いに異なる材質の金属からなる第3金属層をめっきして設ける第2垂直めっき槽をさらに含むことを特徴とする請求項
2記載の回路パターン連続製造装置。
【請求項5】
前記リワインダーの前段に,前記第2垂直めっき槽を通る転写フィルムを垂直方向に立てられた状態から水平方向に広がった状態に切り換える第2ターンバーをさらに含むことを特徴とする請求項
4記載の回路パターン連続製造装置。
【請求項6】
前記回転ドラム型連続電鋳部,前記第1ターンバー,前記第1垂直めっき槽,前記第2垂直めっき槽,前記第2ターンバーが「コ」字状をなすように配置されたことを特徴とする請求項
5記載の回路パターン連続製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ロールツーロール(Roll To Roll)工程と回転ドラム型連続電鋳めっき工程を用いた回路パターン連続製造装置に関するものである。さらに詳細には,十分な厚さの回路パターンを迅速に製造することができる回路パターン連続製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に,ロールツーロール(Roll-to-Roll)連続製造装置は,ロール(Roll)状のフィルム(Film)又はウェブ(Web)(以下,本発明では,フィルムと通称する。)に,様々な種類の工程を行う装置を意味する。このようなロールツーロール連続製造装置は,ロール状に巻き取られたフィルムを繰り出すアンワインダー(Unwinder)を含む。また,フィルムに印刷工程など,様々な工程を行う工程ユニットを含む。また,前記フィルムを再びロール状に巻き取るリワインダー(Rewinder)を含み,これらの間で,フィルムを移送するための種々の移送ユニットを備えることができる。
【0003】
【0004】
図1に示すものは,ロールツーロール連続製造装置及び回転ドラム型連続電鋳装置を用いたものである。
【0005】
図1に示す回路パターンロールツーロール連続製造装置は,回転ドラム型連続電鋳部(200)の前段にロール状に巻き取られた転写フィルムを,水平方向に広がった状態にアンワインディングするアンワインダー(102)を配置する。回転ドラム型連続電鋳部(200)の陰極ドラム(130)の表面に形成された回路パターン(137)を水平方向に広がったままで移動する転写フィルム(104)に連続的に転写する。また,最終的に連続電鋳部(200)の後段に配置されたリワインダー(180)を通じて回路パターン(137)が転写された転写フィルム(104)をロール(roll)状に巻き取るようにしたものである。
【0006】
回転ドラム型連続電鋳部(200)は,第1金属材料の金属層からなる回路パターンを形成する。ここで,第1金属は,銅であることが好ましい。
【0007】
回転ドラム型連続電鋳部(200)は,補助タンク(110),めっき槽(120),陰極ドラム(130),陽極バスケット(170)を含む。
【0008】
めっき槽(120)は,陰極ドラム(130)の表面にめっきするためのめっき液(121)を収容する水槽である。連続的に回路パターン(137)を製造する場合,めっき槽(120)に収容されためっき液(121)だけでは不十分な場合があるので,別途の補助タンク(110)をめっき槽(120)に連結してめっき液(121)を循環させる。
【0009】
陰極ドラム(130)は,印加される電源の陰極(-)に接続され,めっき槽(120)に回転可能に設けられる。
【0010】
そして,陰極ドラム(130)の表面には,製造しようとする回路パターン(137)の形状に対応するネガティブ形状を有する陰刻部(図示せず)が形成される。陰刻部以外の部分は,絶縁体が塗布される。陰刻部はめっきしようとするめっき液の成分によって,単一の金属又は合金で形成してもよいし,直接陰極ドラム(130)の表面を加工して陰極ドラム(130)と一体に形成してもよい。
【0011】
陰極ドラム(130)の表面で,陰刻部は導電体で形成され,それ以外の部分は絶縁体で形成されているので,陰刻部にのみめっきが行われる。
【0012】
説明していない符号210,220,240は,それぞれめっき液除去部,洗浄部,水洗液乾燥部である。
【0013】
連続転写部(250)は,陰極ドラム(130)の外周面上部に設けられる。連続転写部(250)は,陰極ドラム(130)がめっき槽(120)内で回転することによって,陰刻部(図示せず)にめっきされた回路パターン(137)を転写フィルム(104)に転写する。
【0014】
転写フィルム(104)に転写された回路パターン(137)は,水洗部(150)及び乾燥部(160)を経て洗浄及び乾燥される。最終的に転写フィルム(104)がリワインダー(180)に巻き取られる。
【0015】
一方,陽極バスケット(170)は,中央部に半分が切開された円弧状に形成され,内部に陰極ドラム(130)を収容する。陽極バスケット(170)は,めっき液(121)に完全に浸漬され,印加される電源の陽極(+)に接続され,陰極ドラム(130)の表面にめっき液(121)でめっきされるように陰極ドラム(130)と一定の間隔離隔して設けられる。
【0016】
陽極バスケット(170)には,めっき液(121)と同一の成分である金属クラスターが収容されるが,金属クラスターが溶解された陽(+)イオンが陰極ドラム(130)の表面に形成された陰刻部に移動して析出されることによって,回路パターン(137)が陰極ドラム(130)表面に電鋳めっきされる。
【0017】
図1に示された従来の回路パターン連続製造装置(100)は,連続電鋳及び連続転写によって回路パターン(137)を連続的に製造することができるというメリットを有する。
【0018】
しかしながら,従来の回路パターン連続製造装置(100)は,回路パターンの厚さが厚い場合,製造に長時間がかかるというデメリットがある。
【0019】
図1に示す従来の回路パターン連続製造装置(100)で,回路パターン(137)の厚さは,陰極ドラム(130)表面に形成された陰刻部はめっき液(121)に浸漬されている時間,すなわち,陰極ドラム(130)の回転速度によって決定される。
【0020】
つまり,回路パターンの厚さを増やすためには,陰極ドラム(130)がめっき液(121)に浸漬されている時間を長くしなければならない。
【0021】
一方,アンワインダー及びリワインダーによって転写フィルムを移送させる速度は,陰極ドラム(130)の回転速度と同期する場合にのみ一定の間隔で回路パターンを転写させることができる。
【0022】
回路パターン(137)の厚さが厚いほど,陰極ドラム(130)の回転速度を遅くしなければならず,そのため,転写フィルムを移送させる速度も陰極ドラム(130)の回転速度と同期するように遅くしなければならない。
【0023】
そのため,厚さが厚い回路パターンほど,その製造時間が長くなる。
【0024】
もう一方で,従来の回路パターン連続製造装置(100)は,回転ドラム型連続電鋳部(200)によって一種類の金属のみからなる回路パターンを提供することができるのみで,様々な種類の金属層からなる回路パターン,つまり,合金からなる回路パターンを提供することができないというデメリットがある。
【0025】
合金からなる回路パターンは,合金金属によって様々な機械的特性を実現することができるため,非常に有用であるが,従来の回路パターン連続製造装置ではこれを実現することができない。
【0026】
例えば,回路パターンの延性,剛性,耐食性などを調節することが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は,前記問題点を解決するために開発されたものであって,ロールツーロール工程と回転ドラム型連続電鋳めっきを用いた回路パターン連続製造装置において,十分な厚さの回路パターンを迅速に製造することができる回路パターン連続製造装置を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は,回路パターンの機械的特性を調整することができる回路パターン連続製造装置を提供することにある。
【0029】
本発明のさらに他の目的は,製造ラインの長さを短くすることによって,スペースの使用効率を高めることができる回路パターン連続製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前記目的を達成するための本発明に係る回路パターン連続製造装置の第1実施例は,ロールツーロール工程及び連続電鋳工程を適用した回路パターン連続製造装置において,
転写フィルムを水平方向に広がった状態にアンワインディングするアンワインダーを構成する。
【0031】
回転する陰極ドラムの表面上に電鋳めっきによって第1金属層からなる回路パターンを形成する回転ドラム型連続電鋳部を構成する。
【0032】
前記回転ドラム型連続電鋳部の陰極ドラムの表面上に形成された回路パターンを,前記転写フィルムに転写する連続転写部を構成する。
【0033】
前記転写フィルムに転写された回路パターンに前記回転ドラム型連続電鋳部と同一の材質の金属からなる第2金属層を追加でめっきして設ける第1水平めっき槽;及び前記転写フィルムをリワインディングするリワインダー;を含むことを特徴とする。
【0034】
ここで,前記第1水平めっき槽と前記リワインダーとの間に,前記第2金属層上に前記連続電鋳部と互いに異なる材質の金属からなる第3金属層をめっきして設ける第2水平めっき槽をさらに含むことを特徴とする。
【0035】
本発明に係る回路パターン連続製造装置の第2実施例は,ロールツーロール工程及び連続電鋳工程を適用した回路パターン連続製造装置において,
転写フィルムを水平方向に広がった状態にアンワインディングするアンワインダーを構成する。
【0036】
回転する陰極ドラムの表面上に電鋳めっきによって第1金属層からなる回路パターンを形成する回転ドラム型連続電鋳部を構成する。
【0037】
前記回転ドラム型連続電鋳部の陰極ドラムの表面上に形成された回路パターンを,前記転写フィルムに転写する連続転写部を構成する。
【0038】
前記転写フィルムを水平方向に広がった状態から垂直方向に立てられた状態に切り換える第1ターンバーを構成する。
【0039】
垂直方向に切り換えられて移送する転写フィルムに転写された回路パターンに,前記連続電鋳部と同一の材質の金属からなる第2金属層をめっきして設ける第1垂直めっき槽を構成する。
【0040】
前記転写フィルムをリワインディングするリワインダー;を含むことを特徴とする。
【0041】
ここで,前記リワインダーの前段に,第1垂直めっき槽を通る転写フィルムを垂直方向に立てられた状態から水平方向に広がった状態に切り換える第2ターンバーをさらに含むことを特徴とする。
【0042】
ここで,前記第1垂直めっき槽と前記リワインダーとの間に,前記第2金属層上に前記連続電鋳部と互いに異なる材質の金属からなる第3金属層をめっきして設ける第2垂直めっき槽をさらに含むことを特徴とする。
【0043】
ここで,前記リワインダーの前段に,前記第2垂直めっき槽を通る転写フィルムを垂直方向に立てられた状態から水平方向に広がった状態に切り換える第2ターンバーをさらに含むことを特徴とする。
【0044】
ここで,前記回転ドラム型連続電鋳部,前記第1ターンバー,前記第1垂直めっき槽,前記第2垂直めっき槽,前記第2ターンバーが「コ」字状をなすように配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る回路パターン連続製造装置は,一次的に回転ドラム型連続電鋳部によって形成された回路パターン上に追加的なめっきを行うようにすることによって,迅速に目標とする厚みを有する回路パターンを製造することができるようにする効果を有する。
【0046】
本発明に係る回路パターン連続製造装置は,回転ドラム型連続電鋳部によって形成された回路パターン上に互いに異なる種類の金属層を追加的に形成することによって,機械的特性が調整された回路パターンを形成することができるというメリットを有する。
【0047】
本発明に係る回路パターン連続製造装置は,ターンバー及び垂直めっき槽によって製造ラインの長さを小さくして生産性を高めることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】従来の回路パターン連続製造装置の構成を示す。
【
図2】本発明に係る回路パターン連続製造装置の第1実施例を示す。
【
図3】本発明に係る回路パターン連続製造装置の第2実施例を示す。
【
図6】本発明に係る回路パターン連続製造装置の第3実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図3は,本発明に係る回路パターン連続製造装置の第2実施例を示す。
【0050】
図3において,
図1に示すものと同一の構成要素については同一の参照符号を付し,詳細な説明を省略する。
【0051】
図3に示す本発明に係る回路パターン連続製造装置(400)は,回転ドラム型連続電鋳部(200)及び連続転写部(250)の後に,第1ターンバー(402),第1,2垂直めっき槽(410,420)及び第2ターンバー(404)を設けたことを特徴とする。
【0052】
ターンバー(402,404)は,転写フィルムの広がる方向をそれぞれ水平から垂直に又は垂直から水平方向に変える役割をする。
【0053】
具体的には,第1ターンバー(402)は,回転ドラム型連続電鋳部(200)の後に設けられるものであって,水平方向に広がったまま移動する転写フィルム(104)を垂直方向に立てて移動するように切り換える役割をする。
【0054】
第2ターンバー(404)は,垂直方向に立てられて移動する転写フィルム(104)をリワインダー(180)によって巻き取ることができるように水平方向に広がった状態に切り換える役割をする。
【0055】
【0056】
図4を参照すると,第1ターンバー(402)は,第1ガイドロール(402a),第1ガイドロール(402a)に対して上方に45°方向に傾いた傾斜ロール(402b)及び第2ガイドロール(402c)を備える。転写フィルムは,傾斜ロール(402b)の表面に沿って巻かれて移送されながら,傾斜ロール(402b)の前後で送り方向及び広がる方向が変わることになる。
図4には,水平方向に広がった状態で移送される転写フィルムが,傾斜ロール(402b)を経て垂直方向に広がった状態に切り替えられることが示されている。
【0057】
図5は,垂直めっき槽の例を示す。表面には,小さい孔が空いており,傾斜ロール(402b)の内部は中空である。傾斜ロール(402b)の一端には吸気バルブが連結されている。
【0058】
吸気バルブを介して傾斜ロール(402b)の内部に外部の空気を吸入すると,転写フィルムが傾斜ロール(402b)の表面上に軽く付着した状態で移送される。このような吸気作用によって転写フィルムが傾斜ロール(402b)の上下に流動することが防止される。
【0059】
転写フィルムは,アンワインダー(102)及びリワインダー(180)が引っ張る力によって移送され,傾斜ロール(402b)によって進行方向及び広がる方向が変わることになる。
【0060】
傾斜ロール(402b)の傾斜方向,ガイドロール(402a)と傾斜ロール(402b)の配置などを互いに異なるように組み合わせることによって,様々な形態のターンバーを構成することができる。
【0061】
第2ターンバー(404)の構成も,第1ターンバー(402)の構成と類似しているが,ただし,転写フィルムの進行方向のみが異なるだけであるので,図示を省略する。
【0062】
陰極ドラム(130)によって第1金属層からなる回路パターン(137)が得られ,第1垂直めっき槽(410)によって追加的なめっきを行うことによって回路パターン(137)の厚さを増やすことができる。
【0063】
このとき,第1垂直めっき槽(410)の電流密度を回転ドラム型連続電鋳部(200)の電流密度より相対的に高くすることによって,目標とする回路パターンの厚さを迅速に達成することができる。
【0064】
次いで,第2垂直めっき槽(420)によって第1金属とは異なる種類の金属をめっきして設けることによって合金からなる回路パターン(137)を製造することができる。
【0065】
【0066】
前段にアンワインダー(102)を配置し,陰極ドラム(130)の表面に電鋳めっきによって形成された回路パターン(137)を,連続転写部(250)を介して水平方向に広がったままで移動する転写フィルム(104)に転写する。回転ドラム型連続電鋳部(200)は,第1金属材料の金属層からなる回路パターンを形成する。ここで,第1金属は,通常の銅であってもよい。
【0067】
続いて,第1ターンバー(402)によって転写フィルム(104)を水平方向に広がった状態から垂直方向に立てられた状態に変える。転写フィルム(104)を第1垂直めっき槽(410)に通過させて追加的にめっきする。
【0068】
つまり,陰極ドラム上に金属パターンを形成し,連続転写部(250)を介して回路パターン(137)をフィルム上に転写し,第1垂直めっき槽(410)を介して回路パターン(137)の厚さを補強する。
【0069】
第2垂直めっき槽(420)は,異なる種類の金属をめっきするためのめっき液(421)を収容するめっき槽である。
【0070】
つまり,回転ドラム型連続電鋳部(200)での第1金属とは異なる種類の金属,例えば,ニッケル,スズなどをめっきして設けることによって合金に形成された回路パターン(137)を得ることができる。
【0071】
次いで,第2ターンバー(404)によって転写フィルムを垂直方向に立てられた状態から水平方向に広がった状態に変える。
【0072】
最終的に,後段に配置されたリワインダー(180)を介して回路パターン(137)が転写された転写フィルム(104)を巻き取る。
【0073】
第1垂直めっき槽(410),第2垂直めっき槽(420)はいずれも垂直形態のものである。すなわち,第1垂直めっき槽(410)及び第2垂直めっき槽(420)は,転写フィルム(104)が垂直方向に立てられて進行する間,めっきを行うものである。
【0074】
図3に示された装置で合金を形成するために,1つのめっき槽(420)のみを使用することを開示しているが,必要に応じて,複数個の合金形成用めっき槽を備えることも可能である。
【0075】
また,厚さを形成するための第1垂直めっき槽(410)と合金を形成するための第2垂直めっき槽(420)の位置を変えてもよい。
【0076】
図3に示された装置は,第1ターンバー(402)と第2ターンバー(404)の作用によって転写フィルム(104)が第1ターンバー(402)と第2ターンバー(404)との間で垂直方向に立てられて進行する。
【0077】
このようにする理由は,垂直形態のめっき槽を使用できるようにするためである。
【0078】
表1は,水平形態のめっき槽及び垂直形態のめっき槽のメリットとデメリットを比較して示す。
【0079】
【0080】
表1を参照すると,水平方式は,装備価格,駆動安定性などで有利であるが,垂直方式に比べて微細パターンのめっき可能性,添加剤及び薬液管理の面で不利であることが分かる。一方,
図2及び
図3を参照すると,めっき槽を水平形態のもので構成する場合,製造ラインの長さ(L)が非常に長くならなければならないことが分かる(L>>L’)。
【0081】
すなわち,本発明は,ターンバー(402,404)によって転写フィルム(104)を垂直方向に立てることによって垂直めっき槽(410,420)を狭い間隔でジグザグに連続的に配置することができるので,全体として製造ラインの長さが短くなることができる。
【0082】
これにより,作業者(502)の作業領域も短くなることが分かる。
【0083】
一方,
図3に示された装置で,第2ターンバー(404)を除いた構成も可能である。この場合,リワインダー(180)を水平状態ではなく,垂直状態で構成する。
【0084】
【0085】
図5を参照すると,転写フィルムは,A1方向に流入してA6の方向に搬出される。垂直めっき槽は,前処理段(A2),第1段のめっき槽(A3),第2段のめっき槽(A4)及び後処理段(A5)で構成されてもよい。
【0086】
それぞれの処理段は,隔離段によって隔離される。すなわち,第1段のめっき槽(A3)と第2段のめっき槽(A4)内の薬品が互いに連通しないように,両方の間に一つの段が離間されている,いわゆる分段方式で構成される。第1段のめっき槽(A3)で電気めっきされた後,隔離段を通ってさらに第2段のめっき槽(A4)に進入して電気めっきされる。
【0087】
左上の矢印の方向は,転写フィルムの移動方向であり,垂直めっき槽の前後のテンションロールによって支持される。
【0088】
めっき完了後,後処理段(A5)に進入するので,後処理段は,多数個の小さいタンクで構成され,洗浄,乾燥処理を行う。A8,A9は,電源印加のためのローラである。
【0089】
発明を実施するための形態
以下,例示的な実施例を添付図面を参照してより詳細に記述し,これらの図面において同一の参照符号は同一の要素を指す。
【0090】
しかし,本発明は,様々な異なる形態で実施されてもよいし,本明細書における実施例を例示するもののみに限定されるものと解釈されてはならない。このような実施例は,本開示を徹底かつ完全にするための,本技術分野の当業者に本発明の態様及び特徴を完璧に伝えるための例として提供される。
【0091】
本発明の態様及び特徴の完璧な理解のために,本技術分野の当業者に不要なプロセス,要素及び技法は記述されていないこともある。特に注目されない限り,同一参照符号は,添付図面及び記述された説明において同一の要素を指し,したがって,それらに関する説明は繰り返さない。
【0092】
図において,要素,層,及び領域の相対的な大きさは,明瞭性のために誇張することがある。
【0093】
以下,添付された図面を参照して,本発明の構成及び動作を詳細に説明する。
【0094】
図2は,本発明に係る回路パターン連続製造装置の第1実施例を示す。
【0095】
図2において,
図1に示されたものと同一の構成要素には同一の参照符号を付し,詳細な説明を省略する。
【0096】
図2に示された本発明に係る回路パターン連続製造装置(300)は,回転ドラム型連続電鋳部(200)の後段に第1,2水平めっき槽(310,320)を設けたことを特徴とする。
【0097】
第1水平めっき槽(310)は,回路パターン(137)の厚さを増やすためにめっきさせるめっき液(311)を収容する水槽である。
【0098】
陰極ドラム(130)によって第1金属層からなる回路パターン(137)が得られ,第1水平めっき槽(310)によって第1金属層と同一の材質の第2金属層を追加的にめっきすることによって,回路パターン(137)の厚さを増すことができる。
【0099】
第1水平めっき槽(310)は,オーバーめっき,厚めっきを行うものであって,相対的な高電流密度で,目標とするめっき厚さを高速で製造する。
【0100】
第2水平めっき槽(320)は,機械的特性を調節するための合金を形成するためのものであって,めっきしようとするめっき液(321)を収容する水槽である。
【0101】
第2水平めっき槽(320)によって第1金属とは異なる種類の第3金属をめっきして設けることによって合金からなる回路パターン(137)を製造することができる。
【0102】
第3金属層(あるいは,後続の追加的なめっき層)は,回路パターンの物性補強機能を目的とする。対象となる物性は,延性,剛性,耐食性などを挙げることができる。
【0103】
【0104】
前段にアンワインダー(102)を配置し,陰極ドラム(130)の表面に電鋳めっきによって形成された回路パターン(137)を,連続転写部(250)を介して水平方向に広がった状態で移動する転写フィルム(104)に転写する。
【0105】
続いて,転写フィルム(104)を第1水平めっき槽(310)に通過させて追加的にめっきする。つまり,回路パターン(137)を転写フィルム(104)上に転写し,第1水平めっき槽(310)を通過させて回路パターン(137)の厚さを補強する。
【0106】
このとき,第1水平めっき槽(310)の電流密度を回転ドラム型連続電鋳部(200)の電流密度より相対的に高くすることによって,目標とする回路パターンの厚さを迅速に達成することができる。
【0107】
次いで,第2水平めっき槽(320)を通過させて延性,剛性,耐食性などを補強するための異なる種類の金属(第3金属)を,回路パターン(137)にめっきして合金を形成する。
【0108】
第2水平めっき槽(320)によってめっきする第3金属は,回路パターン(137)に要求される機械的特性に応じて選択することができる。
【0109】
最終的に,後段に配置されたリワインダー(180)を介して回路パターン(137)が転写されたフィルムをロール状に巻き取る。
【0110】
通常,めっき槽は水洗部を含む。このような水洗部は,残存薬液を除去することによって,他のめっき槽に与える影響を除去するようにしている。したがって,本発明の図面で水洗部を別途に図示しなくても,めっき槽自体で水洗を行うものと理解されなければならない。
【0111】
図2に示された装置において,合金を形成するために,1つのめっき槽(320)のみを使用することを開示しているが,必要に応じて,複数個の合金形成用めっき槽を備えることも可能である。
【0112】
また,厚さを形成するための第1水平めっき槽(310)と,合金を形成するための第2水平めっき槽(320)の位置を変えてもよい。
【0113】
図6は,本発明に係る連続回路パターン形成装置の第3実施例を示す。
【0114】
図6に示す実施例は,
図3に示す装置の配置形態を「コ」字状から「一」字状に変えたものである。
【0115】
図6に示す「一」字状の配置から,
図3に示すように「コ」字状の配置に変えることによって,メンテナンスのための作業者の動線がさらに短くなり,その結果,作業者の移動及びメンテナンス作業が容易になり,また,管理人員も減らすことができるようになる。
【0116】
一方,めっき槽の長さが1個当たり約10メートル余りに達することを考慮すると,
図6の場合,作業者が50メートルを移動しなければならないのに対し,
図3の場合は,20メートル余りのみを移動するようになるので,作業者の作業領域が極めて縮まることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は,ロールツーロール工程と回転ドラム型連続電鋳めっきを用いた回路パターン連続製造装置において,十分な厚さの回路パターンを迅速に製造することができる回路パターン連続製造装置を提供することによって,産業上の利用可能なものである。