(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】興行映像表示プログラム及び興行映像配信システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/437 20110101AFI20221118BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221118BHJP
H04N 21/237 20110101ALI20221118BHJP
H04N 21/239 20110101ALI20221118BHJP
H04N 21/4725 20110101ALI20221118BHJP
【FI】
H04N21/437
G06Q50/10
H04N21/237
H04N21/239
H04N21/4725
(21)【出願番号】P 2022091798
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2021191063の分割
【原出願日】2021-11-25
【審査請求日】2022-08-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521516226
【氏名又は名称】内田 滋啓
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】内田 滋啓
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-120098(JP,A)
【文献】特開2020-017242(JP,A)
【文献】特開2019-139672(JP,A)
【文献】特開2002-271815(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舞台で演じる1以上の演者が撮影された興行映像を外部の装置から受信可能な興行映像受信部と、
前記興行映像のうち画面に表示中の表示映像から指定された指定部分が前記1以上の演者のいずれかである場合に、前記指定部分に対応する前記演者に利益を付与可能な利益付与部と、
を有する表示装置とネットワークで接続されているサーバであって、
カメラによって撮影された興行映像を前記表示装置に配信可能な配信部と、
前記表示装置から受信した前記利益を特定通貨での利益に換算し、換算後の利益を前記1以上の演者のそれぞれに割り当て可能な利益割当部と、
を有する、
サーバ。
【請求項2】
前記興行映像は、カメラによって撮影された映像であり、
前記表示装置は、前記興行映像から前記画面に表示させる前記表示映像の表示倍率及び画角の指定操作を受付可能な表示条件指定部をさらに有する、請求項1に記載のサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、興行映像表示プログラム及び興行映像配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
演劇、音楽ライブ、舞踏の公演、及びスポーツの試合等によって例示される観客に娯楽を提供する興行において、従来、公演会場にいる観客から演者、選手等に金銭等の「おひねり」(「御捻り」「紙捻り」「ご祝儀」「投げ銭」等とも称する。)を渡すことが行われている。観客は、「おひねり」を渡すことを介して、興行において得られた感動への感謝の気持ちを演者、選手等に伝え得る。また、「おひねり」を渡された演者、選手等は、「おひねり」を介して観客の感動と感謝の気持ちとを実感し、観客との関係性であるエンゲージメントを高め得る。
【0003】
「おひねり」を渡すことに関し、特許文献1は、選手の試合を観戦した観客による、選手に対するおひねり及び感動に関する情報の少なくとも1つを含む入力情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得した入力情報を選手ごとに評価する評価手段と、前記評価手段によって評価された評価情報を外部へ提供する提供手段とを備えることを特徴とするサーバ装置を開示している。特許文献1は、入力情報として、選手ごとに表示されるボタンが押下されたときに表示される入力画面を介して入力される情報等を示している。
【0004】
特許文献1の発明は、スポーツの選手又はチームに対する「おひねり」を好適に徴収しつつ、観客が受けた感動を評価し、当該選手等の影響度を評価して外部へ発信し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、興行に関し、観客が利用するスマートフォン、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータ等によって例示される表示装置へ興行の映像を配信することが行われている。興行の映像を配信することにより、観客は、興行会場と異なる場所で興行を楽しみ得る。また、興行の映像を配信することにより、興行の主催者は、会場の定員、興行に係る費用面、安全面、衛生面等による制限に縛られることなく、興行を観る楽しみを多数の観客に提供し得る。
【0007】
特許文献1の発明は、スポーツの試合を観戦した観客から「おひねり」を好適に徴収し得るものの、興行の映像を配信する点において、さらなる改良の余地がある。
【0008】
また、特許文献1の発明では、選手ごとに表示されるボタンを介して「おひねり」に係る入力情報を入力する。ここで、スポーツにおいては、審判等がスポーツに関する裁定を円滑に行うことを助ける等の目的のため、通常、選手を識別可能な情報が提供される。このような情報として、例えば、ユニフォーム及びトランクス等の選手が身につけるものが含む背番号、選手名、及びデザイン等、並びに、選手がいるコートサイド等が挙げられる。観客は、選手を識別可能な情報を用いて、選手たちを識別し、選手ごとに表示されるボタンを介して「おひねり」に係る入力情報を入力し得る。
【0009】
しかしながら、演劇、音楽ライブ、及び舞踏の公演等によって例示される舞台で行われる興行を楽しむ場合においては、スポーツの観戦と異なり、選手に相当する演者を識別可能な情報が必ずしも提供されるとは限らない。これにより、舞台で行われる興行を楽しむ観客は、演者を識別することに困難を生じ得る。
【0010】
したがって、特許文献1の発明を用いて、舞台で行われる興行を行う演者に「おひねり」を渡そうとすると、観客は、演者の演技等に感動した場合に、当該演技等を行った演者及び/又は当該演者に対応するボタンを識別できず、演者ごとに表示されるボタンを介して「おひねり」を渡せないリスクが生じ得る。
【0011】
したがって、特許文献1の発明は、舞台で行われる興行の映像を配信した場合に、演者を識別可能な情報を提供していない演者について、観客が「おひねり」を渡す等の当該演者に利益を付与することを可能とする点において、さらなる改良の余地がある。
【0012】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、配信された興行の映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、舞台で演じる1以上の演者が撮影された興行映像を外部の装置から受信し、興行映像のうち画面に表示中の表示映像から指定された指定部分が1以上の演者のいずれかである場合に、指定部分に対応する演者に利益を付与可能とすること等によって上述の課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0014】
第1の特徴に係る発明は、表示装置に、舞台で演じる1以上の演者が撮影された興行映像を外部の装置から受信可能な興行映像受信ステップと、前記興行映像のうち画面に表示中の表示映像から指定された指定部分が前記1以上の演者のいずれかである場合に、前記指定部分に対応する前記演者に利益を付与可能な利益付与ステップと、を実行させることが可能な興行映像表示プログラムを提供する。
【0015】
第1の特徴に係る発明によれば、観客は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等によって例示される表示装置の画面に、外部の装置から受信した興行映像のうち表示映像を表示させることができる。
【0016】
そして、第1の特徴に係る発明によれば、観客は、画面に表示中の表示映像から1以上の演者のいずれかに対応する指定部分を指定し、指定された演者に「おひねり」等の利益を付与できる。表示された表示映像から演者のいずれかに対応する指定部分を指定する手順を介して利益の付与が行われるため、観客は、演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、利益付与の対象としたい演者を間違えることなく指定し、指定された演者に「おひねり」等の利益を確実に付与できる。
【0017】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【0018】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記興行映像は、全方位カメラによって撮影された映像であり、前記プログラムは、前記表示装置に、前記興行映像から前記画面に表示させる前記表示映像の表示倍率及び画角の指定操作を受付可能な表示条件指定ステップをさらに実行させることが可能である、プログラムを提供する。
【0019】
第2の特徴に係る発明によれば、興行映像が全方位カメラによって撮影された映像であることにより、表示装置は、1以上の演者が演じる舞台の全てに加えて、舞台の周囲をも撮影した興行映像を用いて表示映像を表示できる。
【0020】
そして、第2の特徴に係る発明によれば、表示映像の表示倍率及び画角の指定操作を受付可能であることにより、観客は、舞台の全てに加えて舞台の周囲をも撮影した興行映像から、任意の部分を好みの表示倍率及び/又は画角で表示させ得る。
【0021】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、利益付与の対象としたい演者が全方位カメラから離れた場所及び/又は舞台から離れた場所にいる場合であっても、観客は、利益付与の対象としたい演者を間違えることなく指定し、指定された演者に利益を確実に付与できる。また、これにより、観客は、自分好みにカスタマイズした好みの表示倍率及び画角で表示映像を表示し、興行を楽しめる。
【0022】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【0023】
第3の特徴に係る発明は、観客席が常設されていない公演会場に設置される全方位カメラと、第1又は第2の特徴に係る発明のプログラムを実行可能な表示装置と、前記表示装置とネットワークで接続されているサーバと、を備え、前記サーバは、前記全方位カメラによって撮影された興行映像を前記表示装置に配信可能な配信部と、前記表示装置から受信した前記利益を特定通貨での利益に換算し、換算後の利益を前記1以上の演者のそれぞれに割り当て可能な利益割当部と、を有する、興行映像配信システムを提供する。
【0024】
観客席が設けられた公演会場に全方位カメラを設置する場合、観客席を利用する観客の姿等が興行映像に含まれ得る。これにより、表示装置を用いて興行を楽しむ観客は、舞台で演ずる演者を観ることに支障をきたし得る。
【0025】
また、観客席が設けられた公演会場に全方位カメラを設置し、観客を入れて公演中の興行を撮影する場合、伝染病対策等の衛生上の事由等によって興行及び撮影を行えないリスクがあり得る。加えて、観客席が設けられた公演会場に全方位カメラを設置し、観客を入れて公演中の興行を撮影する場合、観客席を常設することに関する負担に加えて、常設された観客席を観客が利用することによってもたらされる費用面、安全面、衛生面等における興行の主催者の負担が多大なものとなり、撮影に支障をきたし得る。
【0026】
第3の特徴に係る発明によれば、観客席が常設されていない公演会場に全方位カメラが設置されるため、上述の事由等によって興行及び撮影が行われないリスクと、観客席の常設に関する各種の負担によって撮影に支障をきたすリスクと、を低減できる。これにより、興行映像をよりいっそう確実に配信し、配信された興行映像の表示を介して観客が演者に利益をよりいっそう確実に付与できる。
【0027】
また、第3の特徴に係る発明によれば、観客席が常設されていない公演会場に全方位カメラが設置されるため、観客の入退場等を待つことなく興行を撮影できる。これにより、第3の特徴に係る発明の興行映像配信システムは、観客席が設けられた公演会場に全方位カメラを設置する場合より、同じ時間内においてよりいっそう多くの興行映像を撮影し、配信できる。
【0028】
第3の特徴に係る発明によれば、サーバがネットワークで接続された表示装置に興行映像を配信するため、観客は、公演会場までの移動に費用及び/又は時間等を費やすことなく、興行を楽しみ、「おひねり」等の利益を演者に付与できる。また、公演会場で興行を楽しむ場合、観客は、公演会場の定員等で興行を楽しめないリスクがあり得る。第3の特徴に係る発明によれば、サーバがネットワークで接続された表示装置に興行映像を配信するため、このようなリスクを低減できる。
【0029】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、配信された興行の映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本実施形態の興行映像配信システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、興行映像テーブル321の一例である。
【
図4】
図4は、サーバ2で実行される配信処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、表示装置3で実行される表示処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、全方位カメラを備える撮影装置1が設置された公演会場Tの一例を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、観客が表示映像Dを用いて演者Aを指定する様子の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
<興行映像配信システムS>
図1は、本実施形態の興行映像配信システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。以下、
図1を用いて本実施形態の興行映像配信システムSの好ましい構成の一例を説明する。
【0034】
興行映像配信システムSは、撮影装置1と、サーバ2と、サーバ2とネットワークNを介して接続可能な表示装置3と、を含んで構成される。
【0035】
〔撮影装置1〕
撮影装置1は、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者A(例えば、
図7の第1演者A1及び第2演者A2等。)を撮影可能である。撮影装置1は、特に限定されず、従来技術のカメラ等でよい。
【0036】
撮影装置1の数は、特に限定されない。撮影装置1の数が1つであることにより、撮影装置1の数が2つ以上である場合より、配信における通信帯域を低減し得る。撮影装置1の数が2つ以上であることにより、舞台TSを複数の視点から撮影した多視点映像を配信できる。
【0037】
撮影装置1は、水平方向において実質的に全方位を撮影可能な全方位カメラを含むことが好ましい。これにより、1以上の演者Aが演じる舞台TSの全てに加えて、舞台TSの周囲をも撮影した興行映像を用いて表示映像Dを表示できる。
【0038】
全方位カメラの種類は、特に限定されない。全方位カメラは、互いに異なる方向を撮影可能な2以上のカメラを含むことが好ましい。魚眼レンズ等の広い水平画角を撮影可能なカメラでは、水平画角が広くなるにつれて、撮影範囲の外周付近における映像の歪みが増し得る。全方位カメラは、互いに異なる方向を撮影可能な2以上のカメラを含むことにより、1つのカメラで全方位を撮影する場合よりカメラそれぞれの水平画角を狭くし得る。これにより、全方位カメラは、撮影範囲の外周付近において映像が歪むことを低減し得る。
【0039】
全方位カメラが含むカメラの数は、4以上であることが好ましい。これにより、全方位カメラは、通常、60°以上100°以下の水平画角を有する広角レンズを用いたカメラによって構成され得る。したがって、4以上のカメラを含む全方位カメラは、広角レンズより広い水平画角を有する魚眼レンズを必要とする3以下のカメラを含む全方位カメラより、撮影範囲の外周付近における歪みを軽減し得る。
【0040】
[公演会場T]
撮影装置1が含む全方位カメラが設置される公演会場Tは、観客席が常設されていないことが好ましい。
【0041】
観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置する場合、観客席を利用する観客の姿等が興行映像に含まれ得る。これにより、表示装置3を用いて興行を楽しむ観客は、舞台TSで演ずる演者Aを観ることを妨げられ得る。
【0042】
また、観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置し、観客を入れて公演中の興行を撮影する場合、伝染病対策等の衛生上の事由等によって興行及び撮影を行えないリスクがあり得る。加えて、観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置し、観客を入れて公演中の興行を撮影する場合、観客席を常設することに関する負担に加えて、常設された観客席を観客が利用することによってもたらされる費用面、安全面、衛生面等における興行の主催者の負担が多大なものとなり、撮影に支障をきたし得る。
【0043】
観客席が常設されていない公演会場Tに全方位カメラが設置されるため、上述の事由等によって興行及び撮影が行われないリスクと、観客席の常設に関する各種の負担によって撮影に支障をきたすリスクと、が低減され得る。これにより、興行映像配信システムSは、興行映像をよりいっそう確実に配信し、配信された興行映像の表示を介して観客が演者Aに利益をよりいっそう確実に付与できる。
【0044】
また、観客席が常設されていない公演会場Tに全方位カメラが設置されるため、撮影装置1は、観客の入退場等を待つことなく興行を撮影できる。これにより、興行映像配信システムSは、観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置する場合より、同じ時間内においてよりいっそう多くの興行映像を撮影し、配信できる。
【0045】
公演会場Tの外観は、特に限定されない。公演会場Tの外観は、例えば、桃山風の意匠を取り込んだ近代建築の外観等でよい。同様の外観を有する公演会場として、京都市にある南座が挙げられる。公演会場Tの外観が桃山風の意匠を取り込んだ近代建築の外観であることにより、観客は、公演会場Tの外観をも楽しみ得る。
【0046】
〔サーバ2〕
サーバ2は、サーバ制御部21と、サーバ記憶部22と、サーバ通信部23と、を備える。
【0047】
[サーバ制御部21]
サーバ制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0048】
サーバ制御部21は、必要に応じてサーバ記憶部22及び/又はサーバ通信部23等と協働し、サーバ2のソフトウェア構成要素である配信部211、利益割当部212、等を実現可能である。
【0049】
[サーバ記憶部22]
サーバ記憶部22は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。サーバ記憶部22は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0050】
サーバ記憶部22には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、興行テーブル221、表示装置3を利用する観客それぞれにおける利益の付与手段に関する登録観客情報、等が記憶されている。
【0051】
(興行テーブル221)
興行テーブル221は、興行映像及び1以上の演者情報を含む興行の情報を格納する。
【0052】
興行映像は、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者Aが撮影された映像であれば、特に限定されない。興行映像のフォーマットは、特に限定されず、映像データに用いられる従来技術の各種フォーマットでよい。興行映像は、当該映像に関する音声を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、音声を含む興行映像を配信できる。興行映像は、当該映像に関する字幕を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、字幕を含む興行映像を配信できる。
【0053】
興行映像は、撮影装置1によって撮影された映像を含むことが好ましく、撮影装置1が備える全方位カメラによって撮影された映像を含むことがより好ましい。興行映像が全方位カメラによって撮影された映像であることにより、1以上の演者Aが演じる舞台TSの全てに加えて、舞台TSの周囲(例えば、公演会場Tの内部等。)をも撮影した興行映像を用いて表示映像Dを表示できる。
【0054】
撮影装置1によって撮影された映像を含む興行映像は、特に限定されず、例えば、撮影装置1から配信された映像を含んでもよく、撮影装置1によって撮影された映像を外部の映像編集手段等を用いて編集した映像を含んでもよく、興行に関するリアルタイムの映像を含んでもよい。
【0055】
興行映像は、撮影装置1によって撮影された映像を外部の映像編集手段等を用いて編集した映像を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、単に撮影された映像を配信するだけでなく、編集によって臨場感等を増した映像を配信し得る。このような編集として、例えば、デジタル編集によって舞台装置を興行映像に合成する編集、デジタル映像を興行映像に合成する編集、演者Aを興行映像に合成する編集、等が挙げられる。
【0056】
興行映像は、興行に関するリアルタイムの映像を含むことが好ましい。これにより、観客は、配信されたリアルタイムの映像を介して、時間的な臨場感がある興行を楽しみ得る。
【0057】
興行は、公演会場Tの舞台TSで1以上の演者Aが演じるものであれば、特に限定されない。興行は、例えば、演劇、コント等のお笑いの公演、音楽ライブ等でよい。
【0058】
興行は、演劇を含むことが好ましい。演劇は、多数の演者Aが演じ得るものである。そして、演劇では、多数の演者Aそれぞれが楽器等によって例示される、演者Aを識別可能な要素を、演者Aが身に着けておらず、多数の演者Aそれぞれの識別が困難な場合があり得る。興行が演劇を含む場合、特に、群衆等を演じる役名の無い脇役を役名及び衣装等によって指定することが困難となり得る。興行が演劇を含むことにより、観客は、利益を付与したい演者Aが役名及び衣装等によって指定することが困難な演者Aであっても、そのような演者Aたちを表示された映像から容易に指定し得る。
【0059】
興行テーブル221は、興行映像の代わりに演者Aに相当する人物を含む各種映像と1以上の演者情報を含む映像の情報を格納できることが好ましい。このような各種映像として、例えば、映画、ドラマ、ニュース、動画コンテンツ等が挙げられる。上述の各種映像では、映像が含む人物たちが人物たちを容易に識別可能な衣装等を身に着けていない場合があり得る。したがって、興行テーブル221が興行映像の代わりに各種映像を格納可能であることにより、観客は、このような人物たちを表示された映像から容易に指定し得る。
【0060】
以下、興行映像が興行の映像であるものとして説明するが、興行映像が上述した各種映像である場合も同様に、興行映像配信システムSは、配信及び演者Aに相当する人物を指定し、利益を付与することが可能である。
【0061】
興行の情報は、演者Aと映像との対応付けに関する対応情報を含むことが好ましい。興行の情報が対応情報を含むことにより、対応情報を表示装置3に配信できる。
【0062】
興行の情報は、演者Aに対応する利益(「おひねり」とも称する。)に関する情報を含むことが好ましい。興行の情報が利益に関する情報を含むことにより、当該利益を対応する演者Aに付与できる。
【0063】
興行テーブル221は、興行の情報を識別可能な興行IDと当該興行IDによって識別される興行の情報とを関連付けて格納可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、興行IDを用いて興行の情報を格納及び/又は取得できる。
【0064】
興行テーブル221は、興行映像をネットワークN上で識別可能なネットワーク上識別情報と興行とを関連付けて格納可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、ネットワーク上識別情報に応じた興行映像を配信できる。また、観客は、ネットワーク上識別情報を用いて自らが感動等を得た興行映像を友人等に推薦し得る。さらに、興行の主催者及び/又は演者Aは、ネットワーク上識別情報を用いて興行映像を宣伝等し得る。
【0065】
ネットワーク上識別情報は、特に限定されず、例えば、興行映像と関連付けられたURL(Uniform Resource Locator)、URI(Uniform Resource Identifier)等が挙げられる。
【0066】
図2は、興行テーブル221の一例である。
図2に示す興行テーブル221の興行ID「P0001」によって識別される興行は、以下の情報を含んでいる:
舞台TSに立つ第1演者A1と舞台TSに設けられた階段を有するバルコニーに立つ第2演者A2とを撮影した「興行映像」と、
興行映像のうち第1演者A1に対応する部分を示す「対応情報」及び第1演者A1に付与される利益「20万円」を有する「第1演者情報」、並びに、
興行映像のうち第2演者A2に対応する部分を示す「対応情報」及び第2演者A2に付与される利益「12万円」を有する「第2演者情報」、
を含む「演者情報」。
【0067】
興行テーブル221が格納する興行が上述の各情報を含んでいることにより、サーバ2は、興行映像を配信し、興行映像のうち第1演者A1及び/又は第2演者A2に対応する部分が指定されたときに、各々に対応する利益を付与できる。
【0068】
[サーバ通信部23]
サーバ通信部23は、サーバ2をネットワークNに接続して表示装置3等と通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth(登録商標)規格等に対応した近距離無線装置、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0069】
〔表示装置3〕
表示装置3は、表示装置制御部31と、表示装置記憶部32と、表示装置通信部33と、画面34と、表示装置入力部35と、を備える。
【0070】
表示装置3は、特に限定されず、例えば、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯端末、パーソナルコンピュータ等の据置型端末、並びに、スマートTV等のネットワークNを介して受信した映像を表示可能な装置等でよい。
【0071】
[表示装置制御部31]
表示装置制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0072】
表示装置制御部31は、必要に応じて表示装置記憶部32、表示装置通信部33、画面34、及び/又は表示装置入力部35等と協働し、表示装置3のソフトウェア構成要素である興行映像受信部311、利益付与部312、表示条件指定部313、映像表示部314、等を実現可能である。
【0073】
[表示装置記憶部32]
表示装置記憶部32は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。表示装置記憶部32は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0074】
表示装置記憶部32には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、興行映像テーブル321等が記憶されている。
【0075】
(興行映像テーブル321)
興行映像テーブル321は、サーバ2から受信した映像であって、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者Aが撮影された興行映像を格納する。興行映像は、興行テーブル221に格納される興行映像と同様でよい。
【0076】
興行映像は、演者Aと映像との対応付けに関する対応情報と関連付けられて格納されることが好ましい。興行映像が対応情報と関連付けられて格納されることにより、表示装置3は、対応情報を用いて指定された指定部分に対応する演者Aを判別できる。これにより、表示装置3は、演者Aを判別する精度を高め得る。また、表示装置3は、画像認識技術等を用いて演者Aを逐一認識する等の処理負荷が比較的大きな処理を行うことなく、対応情報を用いた比較的簡易な処理によって演者Aを判別できる。
【0077】
興行映像テーブル321は、興行映像を識別可能な興行映像IDと当該興行映像IDによって識別される興行映像とを関連付けて格納可能であることが好ましい。これにより、表示装置3は、興行映像IDを用いて興行映像等を格納及び/又は取得できる。
【0078】
図3は、興行映像テーブル321の一例である。
図3に示す興行映像テーブル321の興行映像ID「V0001」は、以下の情報と関連付けられている:
舞台TSに立つ第1演者A1と舞台TSに設けられた階段を有するバルコニーに立つ第2演者A2とを撮影した「興行映像」と、
興行映像のうち第1演者A1に対応する部分を示す「第1対応情報」、及び、
興行映像のうち第2演者A2に対応する部分を示す「第2対応情報」、
を含む「対応情報」。
【0079】
興行映像テーブル321が格納する興行が興行映像を含んでいることにより、表示装置3は、興行映像を画面34に表示できる。また、興行映像テーブル321が格納する興行が対応情報を含んでいることにより、表示装置3は、対応情報を用いて興行映像のうち第1演者A1及び/又は第2演者A2に対応する部分を容易に識別できる。
【0080】
[表示装置通信部33]
表示装置通信部33は、表示装置3をネットワークNに接続してサーバ2等と通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth(登録商標)規格等に対応した近距離無線装置、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0081】
[画面34]
画面34は、興行画像のうち表示映像Dを表示可能であれば特に限定されず、例えば、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネル付ディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等によって例示される従来技術の表示手段を用いて構成されたものでよい。
【0082】
[表示装置入力部35]
表示装置入力部35は、表示映像Dの表示倍率及び画角の指定操作を受付可能であれば特に限定されず、キーボード及び音声入力等によって例示される文字入力手段、並びに、マウス、トラックボール、及びタッチパネル等によって例示される位置指定手段等の1以上を有するものでよい。
【0083】
〔利益〕
指定された演者Aに付与可能な利益は、特に限定されない。利益は、各種の法定通貨と交換可能な通貨でもよく、特典ポイント等によって例示される、指定された一群の対象に含まれるいずれかの金品等と引き換え可能な通貨でもよい。
【0084】
利益は、人気投票における票数によって例示される、指定された演者Aを評価する情報を含んでもよい。これにより、演者Aは、演者Aを評価する情報を介して観客からの評価を実感し得る。
【0085】
利益は、特定の興行及び/又は特定の映像への出演権等によって例示される、演者Aに与えられる所定の権利の付与可能性を高める情報を含んでもよい。これにより、指定された演者Aは、所定の権利を介して観客からの評価を実感し得る。また、所定の権利が出演権である場合、観客は、指定した演者Aを出演する興行及び/又は映像等でさらに楽しみ得る。
【0086】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、サーバ2と表示装置3とを通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、Wi-Fiネットワーク、携帯電話ネットワーク、あるいはこれらのネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。
【0087】
〔配信処理のメインフローチャート〕
図4は、サーバ2で実行される配信処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図4を用いて、サーバ2で実行される配信処理の好ましい流れの一例が説明される。
【0088】
[登録判別ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ2は、表示装置3を利用する観客がサーバ2に利益の付与手段に関する登録観客情報を登録した登録観客であるか判別する登録判別ステップを実行可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、登録観客情報を登録した、利益をより確実に付与可能な登録観客に利益を付与する手段を提供できる。登録判別ステップは、特に限定されず、例えば、表示装置3から受信した観客に関する情報(例えば、登録観客を識別可能な登録観客ID及びパスワード。)を用いて登録観客であるか判別する方法でよい。
【0089】
まず、サーバ2は、興行映像を配信する配信ステップ(ステップS1からステップS3)を実行する。これにより、サーバ2は、表示装置3からの配信指令に応じて興行映像を表示装置3に配信できる。
【0090】
[ステップS1:配信指令を受信したか判別]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して配信部211を実行し、表示装置3等から興行映像の配信を指令する配信指令を受信したか判別する処理を行う(ステップS1)。受信したならば、サーバ制御部21は、処理をステップS2に移す。受信していないならば、サーバ制御部21は、処理をステップS4に移す。
【0091】
必須の態様ではないが、配信指令を受信したか判別する処理は、複数の興行映像から配信される配信対象興行映像を選択可能な興行映像選択画面を表示する指令を表示装置3に送信し、興行映像選択画面の配信先から選択された興行映像の配信指令を受信する処理を含むことが好ましい。これにより、観客は、複数の興行映像から視聴したい興行映像を選択し、当該興行映像の配信を容易に指令できる。
【0092】
[ステップS2:興行映像を取得]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22と協働して配信部211を実行し、興行テーブル221から興行映像等を取得する処理を行う(ステップS2)。サーバ制御部21は、処理をステップS3に移す。
【0093】
興行テーブル221が格納する興行の情報が演者Aと映像との対応付けに関する対応情報を含む場合、ステップS2の処理は、対応情報を取得する処理を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、興行映像に加えて対応情報を配信できる。
【0094】
[ステップS3:興行映像を配信]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して配信部211を実行し、ステップS2において取得した興行映像等をステップS1で受信した配信指令の送信元に配信する処理を行う(ステップS3)。サーバ制御部21は、処理をステップS4に移す。
【0095】
続いて、サーバ2は、表示装置3から受信した利益を特定通貨での利益に換算し、換算後の利益を1以上の演者Aのそれぞれに割り当てる利益割当ステップ(ステップS4からステップS6)を実行する。
【0096】
これにより、サーバ2は、表示装置3から受信した利益に応じた換算後の利益を1以上の演者Aのそれぞれに割り当てられる。したがって、興行映像配信システムSは、配信された興行の映像に映っている演者Aについて、観客が「おひねり」等の利益を当該演者Aに付与できる。
【0097】
[ステップS4:利益を受信したか判別]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して利益割当部212を実行し、表示装置3等から利益を受信したか判別する処理を行う(ステップS4)。受信したならば、サーバ制御部21は、処理をステップS5に移す。受信していないならば、サーバ制御部21は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS6の処理を繰り返す。
【0098】
受信する利益は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を含んでいれば、特に限定されない。受信する利益は、表示装置3において表示された映像において指定された演者Aを含む部分に関する情報及び演者Aを識別可能な情報等の1以上を含む情報でよい。
【0099】
受信する利益が演者Aを識別可能な情報を含まない場合、利益を受信したか判別する処理は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を用いて当該演者Aを識別する処理を含むことが好ましい。当該演者Aを識別する処理は、特に限定されず、例えば、対応情報を用いて当該演者Aを識別する処理、各種画像認識を用いて当該演者Aを識別する処理等でよい。
【0100】
必須の態様ではないが、受信する利益は、利益の多寡に関する情報を含むことが好ましい。受信する利益が利益の多寡に関する情報を含むことにより、観客は、感動の度合い等に応じた利益を演者Aに付与し得る。
【0101】
[ステップS5:利益を換算]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して利益割当部212を実行し、ステップS4において受信した利益を特定通貨での利益に換算する処理を行う(ステップS5)。サーバ制御部21は、処理をステップS6に移す。
【0102】
特定通貨での利益に換算する処理は、特に限定されない。
【0103】
特定通貨での利益に換算する処理は、受信した利益を所定の額の特定通貨に換算する処理を含んでもよい。これにより、観客は、付与する利益の多寡を逐一指定することなく、演者Aを指定する簡易な操作によって演者Aに利益を付与できる。
【0104】
特定通貨での利益に換算する処理は、演者Aを指定した回数及び/又は演者Aを指定した時間の長さ等によって例示される、感動の度合いに関する情報を特定通貨に換算する処理を含んでもよい。これにより、観客は、演者Aを指定した回数及び/又は演者Aを指定した時間の長さ等によって、演者Aに所望の額の利益を付与できる。
【0105】
特定通貨は、特に限定されない。特定通貨は、各種の法定通貨と交換可能な通貨でもよく、特典ポイント等によって例示される、指定された一群の対象に含まれるいずれかの金品等と引き換え可能な通貨でもよい。
【0106】
受信した利益を特定通貨での利益に換算する処理は、受信した利益を特定通貨での利益に換算する代わりに、受信した利益を、人気投票における票数によって例示される、指定された演者Aを評価する情報に換算する処理を含んでもよい。これにより、演者Aは、演者Aを評価する情報を介して観客からの評価を実感し得る。
【0107】
必須の態様ではないが、受信した利益を特定通貨での利益に換算する処理は、指定された演者Aに関する映像、画像、音声、及び/又は文章をステップS4で受信した利益の送信元に配信する処理を含んでもよい。これにより、観客は、配信された映像、画像、音声、及び/又は文章を介して、指定された演者Aに利益が付与されることを確認できる。また、観客は、配信された映像、画像、音声、及び/又は文章を鑑賞する楽しみを得うる。
【0108】
[ステップS6:換算した利益を割り当て]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して利益割当部212を実行し、ステップS5において換算した利益をステップS4において受信した利益に対応する演者Aに割り当てる処理を行う(ステップS6)。サーバ制御部21は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS6の処理を繰り返す。
【0109】
必須の態様ではないが、換算した利益を割り当てる処理は、指定された演者Aに関する所定利益を観客に付与する処理を含んでもよい。所定利益として、例えば、指定された演者Aに関する品物、指定された演者Aのファンクラブにおいて観客に付与されるポイント等が挙げられる。これにより、観客は、感動等を伝えるだけでなく、演者Aに関する所定利益を楽しみ得る。
【0110】
[購入画面提供ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して、表示装置3に興行に関する商品を購入可能な購入画面を表示するよう指令する購入画面提供ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、利益の付与だけでなく、興行に関する商品を購入することによっても、興行によって得られた感動等を演者A等の興行の関係者に伝え得る。また、サーバ制御部21が購入画面提供ステップを実行可能であることにより、演劇等の興行の収益性を高めることが可能な課金モデルが構築され得る。そして、構築された課金モデルが提供する収益性は、演劇等の興行を文化として浸透させるためのベースとなり得る。
【0111】
購入画面提供ステップに関する商品は、特に限定されない。購入画面提供ステップに関する商品として、例えば、興行映像の一部又は全部、興行及び/又は演者Aに関する冊子、写真、小物等のグッズ、興行及び/又は演者Aに関するデジタルデータ、並びに、演者Aの肖像の商業的利用に関する権利、等が挙げられる。
【0112】
商品がデジタルデータを含む場合、購入画面提供ステップにおいて表示を指令される購入画面は、デジタルデータを非代替性トークン(「non-fungible token」、「NFT」とも称する。)と関連付けて購入可能とする画面であることが好ましい。これにより、観客は、デジタルデータと関連付けられたNFTによって当該デジタルデータに関する権利を示し得る。
【0113】
これにより、NFTと関連付けられたデジタルデータを購入した購入者は、当該NFTが示す権利に基づいて、当該デジタルデータを映画、テレビ放送、及びオンデマンド配信等によって例示される、各種媒体で発表し得る。また、NFTと関連付けられたデジタルデータを購入した購入者は、当該NFTが示す権利に基づいて、当該デジタルデータを用いた広告画像及び広告映像等の製作、配信、及び/又は販売等を行い得る。
【0114】
デジタルデータをNFTと関連付けて購入可能とする手段は、特に限定されず、ブロックチェーン技術を用いて所有権の正当性を示す方法等によって例示される、従来技術の非代替性トークンの取引に関する方法を含む手段でよい。
【0115】
[ネットワーク上識別情報配信ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ2は、興行映像をネットワークN上で識別可能なネットワーク上識別情報を表示装置3、興行の主催者及び/又は演者Aが利用する端末等の各種装置に配信するネットワーク上識別情報配信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、配信されたネットワーク上識別情報を用いて自らが感動等を得た興行映像を友人等に推薦し得る。また、興行の主催者及び/又は演者Aは、配信されたネットワーク上識別情報を用いて興行映像を宣伝等し得る。
【0116】
[観客映像受信ステップ]
必須の態様ではないが、興行映像が興行に関するリアルタイムの映像を含む場合、サーバ2は、表示装置3から観客が撮影されたリアルタイムの観客映像を受信する観客映像受信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、観客映像を演者A等に配信し得る。したがって、観客は、演者A等と双方向の映像通信を行い得る。双方向の映像通信を行うことにより、観客は、演者A等とリアルタイムの交流を楽しみ得る。また、観客は、リアルタイムの交流において、演者Aに利益を付与し得る。
【0117】
〔表示処理のメインフローチャート〕
図5は、表示装置3で実行される表示処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
図6は、
図5に続くフローチャートである。以下、
図5及び
図6を用いて、表示装置3において、興行映像表示プログラムの実行を介して実行される表示処理の好ましい流れの一例が説明される。
【0118】
[観客情報送信ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ2が登録判別ステップを実行可能である場合、表示装置3は、観客に関する情報であって、当該観客が登録観客であるか判別可能な情報である観客情報をサーバ2に送信する観客情報送信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、観客情報を用いて観客が登録観客であるか判別できる。
【0119】
まず、表示装置3は、興行映像を受信する興行映像受信ステップ(ステップS11からステップS14)を実行する。これにより、表示装置3は、興行映像を受信できる。
【0120】
[ステップS11:配信指示を受信したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して興行映像受信部311を実行し、表示装置3を利用する観客から興行映像の配信を指示する配信指示を受信したか判別する処理を行う(ステップS11)。受信したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS12に移す。受信していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS13に移す。
【0121】
配信指示を受信したか判別する処理は、観客が指定した指定興行映像の配信を指示する配信指示を受信したか判別する処理を含むことが好ましい。これにより、観客は、表示装置3を介して指定した指定興行映像の配信を指示できる。
【0122】
[ステップS12:配信指令を送信]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置通信部33と協働して興行映像受信部311を実行し、ステップS11で受信した配信指示に基づく配信指令をサーバ2に送信する処理を行う(ステップS12)。表示装置制御部31は、処理をステップS13に移す。
【0123】
[ステップS13:興行映像を受信したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置通信部33と協働して興行映像受信部311を実行し、サーバ2から興行映像を受信したか判別する処理を行う(ステップS13)。受信したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS14に移す。受信していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS15(
図6に記載)に移す。
【0124】
[ステップS14:興行映像を格納]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32と協働して興行映像受信部311を実行し、ステップS13で受信した興行映像を興行映像テーブル321に格納する処理を行う(ステップS14)。表示装置制御部31は、処理をステップS15(
図6に記載)に移す。
【0125】
続いて、表示装置3は、興行映像の少なくとも一部を画面34に表示する映像表示ステップ(ステップS15からステップS18及びステップS22)を実行する。これにより、表示装置3は、興行映像を表示できる。
【0126】
[ステップS15:表示指示を受信したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して映像表示部314を実行し、表示装置3を利用する観客から興行映像の表示を指示する表示指示を受信したか判別する処理を行う(ステップS15)。受信したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS16に移す。受信していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS11(
図5に記載)に移し、ステップS11からステップS22の処理を繰り返す。
【0127】
必須の態様ではないが、興行映像が全方位カメラによって撮影された映像である場合、表示装置3は、興行映像から画面34に表示させる表示映像Dの表示倍率及び画角の指定操作を受付可能な表示条件指定ステップ(ステップS16からステップS17)を実行することが好ましい。表示装置3が表示条件指定ステップを実行することにより、観客は、舞台TSの全てに加えて舞台TSの周囲をも撮影した興行映像から、任意の部分を好みの表示倍率及び/又は画角で表示させ得る。
【0128】
したがって、表示装置3が表示条件指定ステップを実行することにより、利益付与の対象としたい演者Aが全方位カメラから離れた場所及び/又は舞台TSから離れた場所にいる場合であっても、観客は、利益付与の対象としたい演者Aを間違えることなく指定し、指定された演者Aに利益を確実に付与できる。また、これにより、観客は、自分好みにカスタマイズした好みの表示倍率及び画角で表示映像Dを表示し、興行を楽しめる。
【0129】
[ステップS16:指定操作を受付したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して表示条件指定部313を実行し、興行映像から画面34に表示させる表示映像Dの表示倍率及び画角の指定操作を受付したか判別する処理を行う(ステップS16)。受付したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS17に移す。受付していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS18に移す。
【0130】
指定操作は、表示映像Dの表示倍率及び画角を指定する操作であれば、特に限定されない。指定操作は、例えば、2本の指でタッチパネルに触れながら広げていくことで表示映像Dの拡大倍率を上げるよう指定するピンチアウト操作、2本の指でタッチパネルに触れながら狭めていくことで表示映像Dの拡大倍率を下げるよう指定するピンチイン操作、マウスのホイールを用いて表示映像Dの表示倍率及び画角を指定する操作、画面34に表示された倍率指定領域及び/又は画角指定領域を用いて表示映像Dの表示倍率及び画角を指定する操作、等の従来技術の表示映像Dの表示倍率及び画角を指定する各種操作でよい。
【0131】
指定操作は、興行映像のうち画面34に表示させる表示映像Dの位置を変更する操作を含むことが好ましい。これにより、観客は、興行映像の任意の位置を画面34に表示させ得る。これにより、観客は、利益を付与する対象となる演者Aをよりいっそう容易に指定し得る。
【0132】
[ステップS17:表示倍率及び画角を指定]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置記憶部32と協働して表示条件指定部313を実行し、ステップS16で受付した指定操作に応じて画面34に表示する表示映像Dの表示倍率及び画角を指定する処理を行う(ステップS17)。表示装置制御部31は、処理をステップS18に移す。
【0133】
[ステップS18:表示映像を表示]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して映像表示部314を実行し、ステップS13で受信した興行映像のうち表示映像Dを画面34に表示する処理を行う(ステップS18)。表示装置制御部31は、処理をステップS19に移す。
【0134】
表示装置3は、興行映像のうち画面34に表示中の表示映像Dから指定された指定部分が1以上の演者Aのいずれかである場合に、指定部分に対応する演者Aに利益を付与可能な利益付与ステップ(ステップS19からステップS21)を実行する。これにより、表示装置3は、指定された演者Aに利益を付与できる。
【0135】
[ステップS19:指定部分が指定されたか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して利益付与部312を実行し、ステップS18において表示された表示映像Dから指定部分が指定されたか判別する処理を行う(ステップS19)。指定されたならば、表示装置制御部31は、処理をステップS20に移す。指定されていないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS22に移す。
【0136】
利益付与ステップは、指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理(ステップS20)を含むことが好ましい。これにより、指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理をサーバ2が実行することが避けられる。これにより、サーバ2が興行映像を配信する表示装置3の数が多い場合であっても、判別する処理によってサーバ2が過大な処理負荷を被ることが防がれ得る。
【0137】
[ステップS20:指定部分が演者のいずれかであるか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して利益付与部312を実行し、ステップS19において指定された指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理を行う(ステップS20)。指定部分が演者Aのいずれかであるならば、表示装置制御部31は、処理をステップS21に移す。指定部分が演者Aのいずれにも該当しないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS22に移す。
【0138】
指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理は、特に限定されず、例えば、対応情報を用いて指定部分に対応する演者Aを判別する処理、各種画像認識を用いて指定部分に対応する演者Aを判別する処理等でよい。
【0139】
[ステップS21:対応する演者に利益を付与]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して利益付与部312を実行し、ステップS19で指定された指定部分に対応する演者Aに利益を付与する処理を行う(ステップS21)。表示装置制御部31は、処理をステップS22に移す。
【0140】
利益を付与する処理は、対応する演者Aを特定して利益を付与可能な演者特定情報(「表示装置3が送信する利益」とも称する。)をサーバ2に送信する処理を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、送信された演者特定情報を用いて演者Aに利益を付与できる。
【0141】
演者特定情報は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を含んでいれば、特に限定されない。演者特定情報は、表示装置3において表示された映像において指定された演者Aを含む部分に関する情報及び演者Aを識別可能な情報等の1以上を含む情報でよい。
【0142】
演者特定情報が演者Aを識別可能な情報を含まない場合、利益を受信したか判別する処理は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を用いて当該演者Aを識別する処理を含むことが好ましい。当該演者Aを識別する処理は、特に限定されず、例えば、対応情報を用いて当該演者Aを識別する処理、各種画像認識を用いて当該演者Aを識別する処理等でよい。
【0143】
必須の態様ではないが、演者特定情報は、利益の多寡に関する情報を含むことが好ましい。演者特定情報が利益の多寡に関する情報を含むことにより、観客は、感動の度合い等に応じた利益を演者Aに付与し得る。
【0144】
付与される利益は、特に限定されない。付与される利益は、各種の法定通貨と交換可能な通貨による利益でもよく、特典ポイント等によって例示される、指定された一群の対象に含まれるいずれかの金品等と引き換え可能な通貨による利益でもよい。
【0145】
付与される利益は、人気投票における票数によって例示される、指定された演者Aを評価する情報を含んでもよい。これにより、指定された演者Aは、演者Aを評価する情報を介して観客からの評価を実感し得る。
【0146】
付与される利益は、特定の興行及び/又は特定の映像への出演権等によって例示される所定の権利について、所定の権利が演者Aに与えられる可能性を高める情報を含んでもよい。このような情報として、例えば、演者Aに所定の権利が与えられることを支持する情報、演者Aを評価する情報等が挙げられる。これにより、指定された演者Aは、所定の権利を介して観客からの評価を実感し得る。また、所定の権利が出演権である場合、観客は、指定した演者Aを出演する興行及び/又は映像等でさらに楽しみ得る。
【0147】
必須の態様ではないが、対応する演者Aに利益を付与する処理は、指定された演者Aに関する映像、画像、音声、及び/又は文章を表示する処理を含んでもよい。これにより、観客は、表示された映像、画像、音声、及び/又は文章を介して、指定された演者Aに利益が付与されることを確認できる。また、観客は、表示された映像、画像、音声、及び/又は文章を鑑賞する楽しみを得うる。
【0148】
必須の態様ではないが、対応する演者Aに利益を付与する処理は、指定された演者Aに関する所定利益を観客に付与する処理を含んでもよい。所定利益として、例えば、指定された演者Aに関する品物、指定された演者Aのファンクラブにおけるポイント等が挙げられる。これにより、観客は、感動等を伝えるだけでなく、演者Aに関する所定利益を楽しみ得る。
【0149】
[ステップS22:表示を終了するか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して映像表示部314を実行し、画面34への表示を終了するか判別する処理を行う(ステップS22)。表示を終了するならば、表示装置制御部31は、処理をステップS11に移し、ステップS11からステップS22の処理を繰り返す。表示を終了しないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS16に移す。
【0150】
[購入画面表示ステップ]
必須の態様ではないが、表示装置制御部31は、表示装置記憶部32、表示装置通信部33、画面34、及び表示装置入力部35と協働して、画面34に興行に関する商品を購入可能な購入画面を表示するよう指令する購入画面表示ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、利益の付与だけでなく、興行に関する商品を購入することによっても、興行によって得られた感動等を演者A等の興行の関係者に伝え得る。
【0151】
購入画面表示ステップは、サーバ2から送信された購入画面を受信する処理を含むことが好ましい。これにより、観客は、サーバ2を介して興行に関する商品を購入できる。
【0152】
[観客映像送信ステップ]
必須の態様ではないが、興行映像が興行に関するリアルタイムの映像を含む場合、表示装置3は、観客が撮影されたリアルタイムの観客映像をサーバ2に送信する観客映像送信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、演者A等とリアルタイムの交流を楽しみ得る。また、観客は、リアルタイムの交流において、演者Aに利益を付与し得る。
【0153】
表示装置3が上述の流れの表示処理を実行することにより、観客は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等によって例示される表示装置3の画面34に、サーバ2から受信した興行映像のうち表示映像Dを表示させることができる。
【0154】
そして、表示装置3が上述の流れの表示処理を実行することにより、観客は、画面34に表示中の表示映像Dから1以上の演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を付与できる。表示された表示映像Dから演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定する手順を介して利益の付与が行われるため、観客は、演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、利益付与の対象としたい演者Aを間違えることなく指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を確実に付与できる。
【0155】
したがって、表示装置3が上述の流れの表示処理を実行することにより、配信された興行映像に映っている演者Aについて、当該演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者Aに付与できる。
【0156】
<興行映像配信システムSの使用例>
続いて、本実施形態における興行映像配信システムSの使用例を説明する。
【0157】
〔興行映像を撮影〕
興行の主催者に依頼された撮影スタッフ等は、観客席が常設されていない公演会場Tに設置された全方位カメラを備える撮影装置1を用いて、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者Aを撮影する。撮影スタッフ等は、撮影した映像を編集等して、撮影した映像を含む興行映像をサーバ2に格納する。
【0158】
図7は、全方位カメラを備える撮影装置1が設置された公演会場Tの一例を示す概略平面図である。
図7に示す一例では、全方位カメラを備える撮影装置1が、舞台TSの外側であり、公演会場Tの内部である位置に設置されている。これにより、撮影装置1は、公演会場Tの舞台TSで演じる第1演者A1及び第2演者A2に加えて舞台TS周囲をも含む公演会場Tを撮影できる。
【0159】
〔登録観客であることを判別〕
表示装置3を利用する観客は、サーバ2に観客に関する情報を送信する。サーバ2は、送信された情報を用いて当該観客が利益の付与手段に関する登録観客情報を登録した登録観客であるか判別する。
【0160】
〔興行映像の配信を指示〕
表示装置3を利用する観客は、表示装置3を介して、サーバ2に興行映像の配信を指示する。サーバ2は、表示装置3に興行映像を配信する。表示装置3は、配信された興行映像を受信し、興行映像テーブル321に格納する。
【0161】
〔興行映像の表示を指示〕
表示装置3を利用する観客は、表示装置3を介して、配信された興行映像の表示を指示する。表示装置3は、興行映像の少なくとも一部を画面34に表示する。
【0162】
〔表示映像の表示倍率及び画角を指定〕
表示装置3を利用する観客は、画面34に表示される表示映像Dの表示倍率及び画角を指定する。表示装置3は、指定された表示倍率及び画角で興行映像の少なくとも一部を画面34に表示する。
【0163】
〔利益の付与対象となる演者Aを指定〕
表示装置3を利用する観客は、画面34に表示される表示映像Dから演者Aに対応する部分を指定することを介して、利益の付与対象となる演者Aを指定する。表示装置3は、指定された部分に対応する演者Aを特定して利益を付与可能な演者特定情報をサーバ2に送信する。
【0164】
図8は、観客が表示映像Dを用いて演者Aを指定する様子の一例を示す概略図である。
図8に示す一例では、舞台TSに立つ第1演者A1と舞台TSに設けられた階段を有するバルコニーに立つ第2演者A2とを撮影した興行映像の一部である表示映像Dが、表示装置3の画面34に表示されている。
図8に示す例において、画面34は、表示装置入力部35を構成する要素の少なくとも一部であるタッチパネルを有している。
【0165】
表示装置3を利用する観客は、指Fを用いて第1演者A1に対応する指定部分Pを指定する。これにより、表示装置3は、第1演者A1と第2演者A2とが衣装等によって識別できない場合であっても、指定部分Pに対応する演者Aを特定して利益を付与可能な演者特定情報をサーバ2に送信できる。
【0166】
〔指定された演者Aに利益を付与〕
サーバ2は、演者特定情報を受信し、演者特定情報によって特定される演者Aに、特定通貨での利益に換算した利益を付与する。
【0167】
〔表示を終了〕
表示装置3を利用する観客は、表示装置入力部35を介して興行映像の表示を終了するよう指示する。表示装置3は、興行映像の表示を終了する。
【0168】
本実施形態の興行映像配信システムSによれば、観客は、表示装置3の画面34に、外部の装置から受信した興行映像のうち表示映像Dを表示させることができる。
【0169】
そして、本実施形態の興行映像配信システムSによれば、観客は、画面34に表示中の表示映像Dから1以上の演者Aのいずれかに対応する指定部分Pを指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を付与できる。表示された表示映像Dから演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定する手順を介して利益の付与が行われるため、観客は、演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、利益付与の対象としたい演者Aを間違えることなく指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を確実に付与できる。
【0170】
したがって、本実施形態の興行映像配信システムSによれば、配信された興行の映像に映っている演者Aについて、当該演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者Aに付与できる。
【0171】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0172】
S 興行映像配信システム
1 撮影装置
2 サーバ
21 サーバ制御部
211 配信部
212 利益割当部
22 サーバ記憶部
221 興行テーブル
23 サーバ通信部
3 表示装置
31 表示装置制御部
311 興行映像受信部
312 利益付与部
313 表示条件指定部
314 映像表示部
32 表示装置記憶部
321 興行映像テーブル
33 表示装置通信部
34 画面
35 表示装置入力部
A 演者
A1 第1演者
A2 第2演者
D 表示映像
F 指
N ネットワーク
P 指定部分
T 公演会場
TS 舞台
【要約】
【課題】、配信された興行の映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供すること。
【解決手段】本発明の興行映像表示プログラムは、表示装置3に、舞台TSで演じる1以上の演者Aが撮影された興行映像をサーバ2から受信可能な興行映像受信ステップと、興行映像のうち画面34に表示中の表示映像Dから指定された指定部分Pが1以上の演者Aのいずれかである場合に、指定部分Pに対応する演者Aに利益を付与可能な利益付与ステップと、を実行させることが可能である。
【選択図】
図1