(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】飲料容器のための使い捨て蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
B65D47/06 110
(21)【出願番号】P 2018569159
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(86)【国際出願番号】 SE2018050071
(87)【国際公開番号】W WO2018147783
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-10-14
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519002092
【氏名又は名称】リプリッド アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レフホルム、ホーカン ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ベンディクス、ラース
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04085861(US,A)
【文献】実開昭54-070745(JP,U)
【文献】米国特許第02106453(US,A)
【文献】特表2014-508690(JP,A)
【文献】特表2010-510941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 蓋(100)を容器(200)に取り付けるのを可能にするための、シール(170)と、前記容器(200)の頂部(210)の下に配置されるファスナ(160)と
を備える、飲料(300)を対象とした前記容器(200)のための使い捨て蓋(100)であって、
- 前記蓋(100)が、前記容器上に配置されるときに全体として又は部分的に前記容器(200)の内部に開いているコンパートメント(145)を形成し、
- 前記コンパートメント(145)が、定位置にあるとき、前記容器(200)の前記頂部(210)の下方に配置され、
- 前記コンパートメント(145)が前記シール(170)の頂部まで延在し、
- 前記コンパートメント(145)が、複数の開口部(150)を備えるフロア(140)を装備し、それにより前記飲料(300)が前記開口部(150)を通過するのを可能にし、
- 前記蓋(100)が
通して挿入されているとき、前記コンパートメントが前記容器(200)の壁(220)に対して部分的に開いており(130)、それにより前記飲料(300)の消費時に人の唇が前記容器(200)の前記頂部(210)に接触することが可能となり
、前記ファスナ(160)が、前記容器の前記頂部(210)の下方で、前記容器(200)の前記壁(220)の上側部分のところで外側を囲む、
ことを特徴とする
使い捨て蓋(100)。
【請求項2】
前記フロア(140)では、前記フロア(140)が前記容器(200)の公称半径を部分的に越えて延在し、前記蓋の前記部分的に開いている部分の位置(141)では、前 記蓋(100)が挿入されない、請求項1
に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項3】
前記フロア(140)が前記容器(200)の前記壁に接するところの前記開口部(130)に向かうような長円形(141)の形態を有する、請求項1
又は請求項2に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項4】
前記複数の開口部(150)が、存在する場合、コーヒー豆などの、消費される前記飲料中に含まれる粒子状物質を制限することを実現する、請求項1から
3までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項5】
前記蓋(100)が定位置にあるとき、前記複数の開口部(150)が、0mmから3mmの間、好適には0mmから2mmの間の、前記壁(220)から一定の距離のところに配置される、請求項1から
4までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項6】
前記複数の開口部(150)がスリット(150)を形成する、請求項1から
5までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項7】
前記スリット(150)が、0.1mmから0.5mmの間、好適には0.2mmから0.4mmの間の狭い開口部である、請求項
6に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項8】
前記スリット(150)が、前記容器(200)の水平方向エリア(230)の5%から100%の間の、好適には20%のエリアにわたって分布される、請求項
6又は請求項
7に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項9】
前記蓋が前記容器の上に置かれるとき、前記スリット(150)が前記容器壁(200)から好適には3mmのところに配置される、請求項
6から
8までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項10】
前記スリット(150)が、70度から90度の間、好適には75度から85度の間のくさび角度を有するくさび形状である、請求項
6から
9までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項11】
前記複数の開口部(150)が前記蓋(100)の一体化される部分である、請求項1から1
0までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項12】
前記フロア(140)の上方にコンパートメント(142)を備え、前記コンパートメント(142)が、消費中に前記飲料(350)の一部を前記コンパートメント(142)内に留めるのを可能にする、請求項1から1
1までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項13】
前記フロア(140)が、前記容器(200)の前記頂部(210)の下方にあるが前記コンパートメント(142)の上方に達する突出部(146)を装備し、前記突出部(146)が前記飲料を通過させるための前記開口部(150)を備える、請求項1
2に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項14】
前記開口部(150)が飲料の流れを制限するために小さく、前記開口部(150)の一般的な総面積が3mm
2から50mm
2の間、好適には5mm
2から15mm
2の間である、請求項1から1
3までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項15】
前記開口部150が前記突出部(146)の少なくとも1つのキャビティ(147)に接続され、前記開口部(150)が前記フロア(140)の前記端部位置(141/141b)のところに配置される、開いている構造である、請求項1
3に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項16】
前記少なくとも1つのキャビティ(147)が、前記飲料(300)を保管するところの前記容器の内側部分のための開口部(151)を装備する、請求項1
5に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのキャビティ(147)が少なくとも1つのしぶきガード(153)を備える、請求項1
5又は請求項1
6に記載の使い捨て蓋(100)。
【請求項18】
前記ファスナ(160)が、前記容器(200)に対しての前記蓋の接触を改善するための隆起部(165)を備える、請求項1から1
7までのいずれか一項に記載の使い捨て蓋(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料容器のための蓋の分野に関し、より詳細には、飲料容器のための改善された使い捨て蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
1930年代から飲料容器のための使い捨て蓋が使用されている。使い捨て蓋は、飲料容器の頂部の上に取り付けられるための低コストのデバイスとして定義される。ここでの低コストとは、コーヒー、お茶、炭酸飲料、水などのよく目にする飲み物に関しての、売り手及び買い手にとっての有意なコストに一切なることなく配置され得るような、飲料容器のための蓋を意味する。容器は、通常、紙のカップ、Styrofoamのカップ、或いは他のカップ及びマグカップである。
【0003】
飲料容器のための使い捨て蓋の主要な機能は、意図されずに飲料がこぼれるのを防止することである。初期の蓋は開口部を有さないただの蓋であり、これは、容器の中身を消費する前に蓋を取り外す必要があることを意味し、このプロセスは、車又は他の輸送手段の中などといったような、周囲環境が非静止状態であるような場合は特に、流出を引き起こし得る。このため、飲用前に取り外す必要のない使い捨て蓋の需要がある。初期の1つの解決策は、米国特許第4215793(A)号に示されるような、蓋の一部分を剥ぎ取るというものであり、この場所において口が容器に接触することになる。しかし、この従来技術の蓋は多くの利点及び問題を有する。1つには、飲料の流れを制限するものが存在しないことであり、これは、不必要に大量の高温飲料が意図されずに消費される可能性があり、それにより消費者の唇又は口をやけどさせる可能性がある、ということを意味する。さらには、口のための比較的大きい開口部により流出の危険があるということがある。取り外し可能な部分を剥ぎ取るときでも、カップの中身がこぼれる危険があり、これは剥ぎ取るときに急な動きが発生する可能性があることが理由である。
【0004】
開口部が大きいことによる問題を回避するために、容器のリムを囲むような蓋を用いて隆起構造が開発されており、米国特許第4345695(A)号で説明されて示されるように、ここでは蓋が隆起部分つまり上方に延在する飲み口を備え、カップの中身がこの隆起部分つまり上方に延在する飲み口を通って流れる。この飲み口は、非常に小さい場合であっても、高温飲料の場合、口を容易にやけどさせ得るような流体の流れを形成することになる。さらに、飲料がカップのリムの高さを越える必要があり、これは流出の危険があることを意味する。紙のカップは平坦ではない継ぎ目をほぼ常に有することから、飲料がカップの頂部を越えるときに漏洩を引き起こしやすい。一般的ではないより悲惨な状況は、蓋及びカップが分離する場合に大きい流出を引き起こすことであり、これは高温飲料の場合には大変危険なものとなり得る。飲み口は一部の構成では閉じられていてよく、それにより輸送中にこぼれる危険性を低減するが、容器の中身を消費する場合の飲み口の使用時にはこの問題が残る。
【0005】
カップ又は容器のための使い捨て蓋に関して解決すべき問題が多くある。最も重要な制約のうちの1つはコストである。機能的でありながら高いコスト効率を有する必要がある。コストの制約により、しばしば、ポリマーで作られる蓋が一部品にまで単純化される。対処する必要がある問題点は他にもあるが、コストの制約により、1つの解決策ですべての問題点を解決することは困難である。解決すべき問題の選択の優先順位をつけなければならない。非使い捨ての蓋の場合、状況が異なり、洗練された費用のかかる解決策が達成され得る。パッケージングも1つの問題点であるが、これは機能にかかわる性質のものではなく、保管及び輸送にかかわる性質のものである。これを解決するために、カップの蓋が好適には積み重ね可能であるが、それにより機能のためのオプションが減る。解決すべき性質は、輸送中の漏洩防止性、飲用中の漏洩防止性、飲料残留物が存在する場合の使用後の漏洩防止性などである。最も不都合で危険度の高い危険要素の1つは、高温飲料によりやけどする恐れがあることである。望ましい性質は、飲用中にコーヒー豆又は茶葉を口に入れることがないような形で、コーヒー又はお茶をカップ内で直接に作ることである可能性がある。楽しみのために、口及び唇にとっての適切な感触が得られることが、また好適には開いているコーヒー・カップに近い適切な感触が得られることが重要であり、開いているコーヒー・カップでは香りが鼻まで自由に流れることができる。好適な解決策は、人が一口ずつ飲んだり又はもっと言えばすすったりすることができ、やけどの危険性を低減するために又は不快な熱を下げるために高温飲料を低温の空気と混ぜることができるような解決策である。
【0006】
コーヒーは、通常、最も良い結果を得るためには摂氏92度から97度で作られる。最も良い香りでの飲用温度は通常は摂氏62度から67度である。摂氏70度を超える飲用温度は不快であり、やけどの恐れがあるために危険である可能性もある。使い捨て蓋の従来技術は過度に高温の飲料に関連する列挙した問題を解決しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4215793(A)号
【文献】米国特許第4345695(A)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の従来技術の欠点を鑑みて、本発明は複数の問題を解決するものであり、また複数の特徴を提供するものである。これらの解決策及び特徴は請求項1で特許請求される蓋によって達成され、請求項1は、飲料を対象とした容器のための使い捨て蓋によるものであり、この使い捨て蓋が、シール、及び上記容器の頂部に配置されるファスナを備え、この使い捨て蓋が全体として又は部分的に上記容器の内部に開いているコンパートメントを形成し、上記コンパートメントが上記容器の上記頂部の下方に配置され、ここでは、上記コンパートメントが上記シールの頂部まで延在し、上記コンパートメントが複数の開口部を備えるフロアを装備し、それにより飲料が開口部を通過するのを可能にし、コンパートメントが上記容器の壁に対して部分的に開いており、それにより蓋の挿入時、飲料の消費時に人の唇が上記容器の上記頂部に接触することが可能となる。
【0009】
本発明は、口(又は、唇)が容器に接触するところの位置にある、開いている構造により、例えばカップ又はマグカップなどの容器から飲料を飲用することにおいての自然な感触を得るのを可能にする。容器と蓋との間のインターフェースのところでの漏洩及び流出に関連する一般的な問題が、飲料の飲用者が例えばカップのリムなどの容器の頂部のところで直接に飲用するという事実により排除される。飲用位置に配置されている蓋の中のコンパートメントの小さい開口部が液体の自由流れを低減し、それによりやけどの危険性を低減し、また飲料からの熱を下げ、またそれにより容器が迅速に動かされるときの流出を低減する。別の利点は、飲料が容器のリムを越える高さに到達するのではなく、飲料の高さが容器のリムの下にあり、それにより飲用中の容器の角度が小さくなることである。飲料が容器のリムを越える高さに到達する場合、容器のより大きい傾斜角度が必要となる。
【0010】
本発明は特別な特徴を有する複数の実施例を含む。長くて密接した開口部、又はスリットを有する一実施例では、コーヒー又はお茶の中に含まれるコーヒー豆又は茶葉などの粒子状物質の通過を制限し、それにより透水性フィルタとして機能する。
【0011】
別の実施例によると、コンパートメントのフロア内にあるが容器の頂部の下方にある突出部が提供され、それにより飲料をフロア上で捕捉することが可能となり、飲用プロセス中に飲料を冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】スリットを備える蓋及び容器を示す上側面図である。
【
図3】スリットを備える蓋及び容器を示す断面図である。
【
図5a】開口部を備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図5c】蓋の底部のところに開口部を備える蓋を備える傾斜した容器を示す図である。
【
図6a】突出部内に開口部を備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図6b】頂部の突出部のところに開口部を備える蓋を示す上面図である。
【
図6c】突出部の上側縁部のところに開口部を備える蓋を示す上面図である。
【
図6d】飲料が容器壁の頂部に到達した状態の、突出部のところにある開口部を備える蓋を備える傾斜した容器を示す側面図である。
【
図6e】飲料が突出部の頂部に到達した状態の、突出部のところにある開口部を備える蓋を備える傾斜した容器を示す側面図である。
【
図6f】後方に傾斜させられて蓋の上に飲料を残した状態の、突出部のところにある開口部を備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図7a】容器が傾斜している状態の、開口部と、突出部に向かって傾斜しているフロアとを備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図7b】容器が水平に配置されている状態の、開口部と、突出部に向かって傾斜しているフロアとを備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図8a】容器が傾斜している状態の、開口部と、突出部から傾斜しているフロアとを備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図8b】容器が水平に配置されている状態の、開口部と、突出部から傾斜しているフロアとを備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図9a】開口部と、壁を備えるフロアとを備える蓋を備える容器を示す側面図である。
【
図9b】開口部と、壁を備えるフロアとを備える蓋を示す上面図である。
【
図10a】伸ばされた長円形形状のフロアを備える蓋を示す図である。
【
図10b】開口部を備える非対称に配置される突出部を備える蓋を示す上面図である。
【
図11a】ファスナ上にある隆起部を備える蓋を示す上面図である。
【
図11b】ファスナ上にある隆起部を備える蓋を示す側面図である。
【
図12a】応力緩和部分を備える蓋を示す側面図である。
【
図13】補助蓋又は補助カバーを備える蓋を示す図である。
【
図14a】キャビティを備える、蓋の中の突出部を示す図である。
【
図14b】一連のキャビティを備える、蓋の中の突出部を示す図である。
【
図14c】キャビティ及びしぶきガードを備える、蓋の中にある突出部を示す図である。
【
図14d】一連のキャビティ及びしぶきガードを備える、蓋の中にある突出部を示す図である。
【
図14e】金型のための抜き勾配を備えるキャビティを備える、蓋の中にある突出部を示す正面図である。
【
図14f】金型のための抜き勾配を備えるキャビティを備える、蓋の中にある突出部を示す側面図である。
【
図15a】容器壁に接触している蓋の鋭利な縁部を示す図である。
【
図15b】容器壁に接触している蓋の可撓性の縁部を示す図である。
【
図16a】補助開口部の上にある蓋/カバーを示す側面図である。
【
図16b】補助開口部の上にある蓋/カバーを示す側面図である。
【
図16c】補助開口部の上にあるドーム状の蓋/カバーを示す側面図である。
【
図16d】補助開口部の上にある蓋/カバーを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本明細書で説明される解決策をより容易に理解するのを可能にするために、図面と併せて、例示の実施例の詳細な説明を提示する。
【0014】
本発明は使い捨て蓋を開示し、使い捨て蓋が実施例によると一部品で製造され得る。別の実施例では、蓋が複数の部品で作られ得る。蓋が、PLA(ポリ乳酸(poly lactide acid)又はポリラクチド(polylactide))、PP(ポリプロピレン(polypropylene))、PS(ポリスチレン(polystyrene))、PE(ポリエチレン(polyethylene))、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitride butadiene styrene))などの、例えばポリマーなどの環境に優しい材料で作られ得る。蓋はポリマーの射出成形によって作られてよいが、真空成形、及び他の方法が使用されてもよい。
【0015】
本明細書の実施例によると、蓋が、容器のところの、口のための位置のところに開いている部分を備え、開いている部分が、容器の壁と共に、飲料を飲用する準備が整っている場所であるコンパートメントを形成する。一実施例では、コンパートメントが容器の上に配置されるときに容器の内側スペースの一部分を占有し、別の実施例ではコンパートメントが容器の内側領域の全体又はほぼ全体を占める。この飲用コンパートメントが容器の内部の任意のスペースを占めることができる。容器内の飲料の量が少ないとき、飲料を容器の頂部に到達させるためには容器をより大きく傾斜させる必要がある。傾斜の角度が大きいと、鼻が蓋の内側部分に接近することになる。
【0016】
コンパートメントの高さは、飲用手順中に消費者の上唇を容器の内側に楽に配置するのを可能にするように、選択される。したがって、コンパートメントのフロアが容器の頂部又はリムよりも低い。適切な高さは約5mmから15mmであり、好適には7mmから13mmである。過度に深いコンパートメントは飲料スペースに入り込むことになり、したがって容器内に充填され得る飲料の量を低減することになる。
【0017】
コンパートメントのフロアが開口部を備え付けているか又は装備し、それにより飲料が容器とコンパートメントの間を流れることが可能となる。一実施例が、コーヒー豆又は茶葉などの粒子状物質のためのフィルタとして機能する、小さい開口部を備える大きいエリアを有する。この特定の実施例の場合のフロア内での制限は、主として、飲料の流れではなく粒子状物質を妨げることを目的とする。別の実施例によると、開口部が飲料の流れを低減するくらいに十分に小さく、それによりやけど及び流出の危険性を低減する。開口部は、図のうちのいくつかと併せて説明するように、多様な形態を有することができる。別の実施例によると、上述のメイン・コンパートメントの内部に別のマイナー・コンパートメントが提供され、それにより、飲料を捕捉すること及び高温飲料を冷ますことが可能となる。本発明はこれらの実施例によって限定されない。
【0018】
高温飲料を飲用する場合、飲用速度が自然と遅くなる。自然な動作は「一口ずつ飲む」ことである。一口ずつ飲む量は通常は5mlから10mlの間であり、高温飲料の場合はより少ない。非常に速い飲用者の場合、3秒ごとである一口が10mlであり、したがって1分間で2dl飲むことになる。より一般的な飲用者では15秒ごとである一口が5mlであり、したがって10分間で2dl飲むことになる。これは、蓋を通過する飲料の流速が非常に低くなり得、飲用の自然なフィーリングに影響しない、ということを意味する。
【0019】
図1を参照すると、本明細書の実施例による使い捨て蓋の概略的な上面斜視図が示されている。この蓋は、コーヒー・ショップ又はティー・ショップで入手され得るか及び/又は持ち帰り用の飲み物を販売するドリンク・ストアで入手され得る飲料容器に適する。蓋100が、容器200の開いている端部或いは頂部又はリム210(
図2)のところで開口部を覆う環状カバー部分110を備える。蓋100は、シール170及びファスナ160により容器200の頂部210上にスナップ式に嵌め込まれ得る。シール170は環状カバー部分110の外側周囲縁部として定義されてよく、ファスナ100はシール170の周りに配置される周囲側壁部分として定義されてよい。ファスナ160により、蓋100が頂部210より小さい直径を有することで容器200の頂部210に確実に固定されるようになる。好適には、ファスナ160が容器200を囲み、それにより蓋100が容器200に確実に強固に取り付けられるようになる。しかし、一実施例では、ファスナ160が必ずしも容器を囲む必要はない。実施例によると、容器210の頂部の上にある蓋100の部分、つまりシール170が、人が口で飲用するところの位置で開いている130。開口部130はシール170の切断部分とみることができ、ここを通して容器200の頂部210の一部分が導入され得るか又は挿入され得る。この部分により、消費者が唇を容器200に直接に接触させることが可能となる。
【0020】
使い捨て蓋100が、フロア140と、開口部150とを装備するコンパートメントを形成する(例えば、
図5a又は5bの145を参照されたい)。フロア140が蓋100の頂部120の下方に配置され、したがって定位置にあるときに容器200の頂部210の下方に配置される。この実施例では、開口部150が、コンパートメント145の又は蓋100の壁120Aに向かって径方向に延在するスリットを形成する。スリットは狭い。狭いスリットを使用することは、飲料の消費中にコーヒー豆がスリットを通過することを妨げられるということを意味する。孔の代わりにスリットを使用することは、コーヒー豆が互いに積み重なっている場合でもコーヒー豆の間を液体が自由に通過することができるということを意味する。コーヒー豆がスリットを多少とも塞ぐ可能性があることから、大きいフィルタ・エリアが好ましく、例えば、容器200の水平方向の断面積の25%を超えることが好適であるが、これは限定するものではなく、また必須でもない。有用なスリット幅は、通常、0.1mmから0.5mm、好適には0.2mmから0.4mmの間の開口部にまで狭められる。
【0021】
実施例によると、スリット150は上記フロア140の部分のところの上記容器200の水平方向エリアの5%から100%の間のエリアにわたって分布され、好適には上記容器200の水平方向の頂部エリアの20%以上のエリアにわたって分布される。実施例によると、スリット150は上から下の方向にくさび形状となっており、ここでは、スリット150のくさびが上側で最も大きい寸法を有し、スリット150のくさび角度が70度から90度の間であり、好適には75度から85度の間である。実施例によると、蓋が容器200の上に置かれるとき、スリットが容器壁200から約3mmのところに配置される。スリット150は蓋100の一体化される技術であってよい。
【0022】
スリット150は、寸法を小さくすることでスリット幅を安定させるために通常は5mmから20mmの間である一定の距離で好適には互いに接続されるリブによって作られ得る。スリットが安定しない場合、リブが曲がる可能性があり、その結果スロットの寸法にばらつきがでることになる。例示の実施例によると、リブの間の接続部は8.5mmであるが、これは限定するものではなく、また必須でもない。上で説明したように、フロア140が壁120Aにより蓋100の頂部120に接続され、蓋100が開口部130を有し、開口部130のところで唇が容器200のリム210に触れる。容器200の壁がコンパートメント145の壁として機能する。
【0023】
図1に示されるように、蓋100が、容器200の内側に向かって延在する突出部180或いは壁又は管180によって形成される開口部190を備えることができ、それにより、例えば、熱湯、砂糖、コーヒー、お茶などの、食品添加物を飲料容器に充填するのを容易にする。蓋100が、好適には、縁部のところで薄くなっている寸法を有し、それによりこの材料により開いている部分130のところをより良好に密閉させ、つまり開いている部分130のところでこの材料に可撓性をもたせてより良好に密閉するのを可能にする。
【0024】
図2に示されるように、蓋100が容器200上に配置されて示されている。さらに、容器200の部分210が蓋の開いている部分つまり部分130の中に挿入されて示されている。これにより、消費者が自然な流量で容器の中身を消費することが可能となり、したがって最後の一滴まで完全に自然な流量とすることができる。
【0025】
図3は、上に示される蓋100、及び容器200の技術の概略的な側面斜視断面図である。同じ参照符号が使用される。容器の頂部120を挿入するときに通過させるところの開いている部分30が明瞭に示されている。蓋100が、シール170及びファスナ160により容器200の頂部210の上にスナップ式に嵌め込まれる。
【0026】
図4が、頂部120の下側120B及び壁の下側140Aを示している、蓋100の下側の図つまり底面図を描いている。
【0027】
図5aを参照すると、本明細書の別の実施例による容器200及び蓋100の側面図が示されている。
図5bが蓋の上面図である。示されるように、開口部150がスリットの代わりに孔の形態である。蓋100が容器200に取り付けられ、ファスナ160が蓋100を容器200に固着する。蓋100が容器200に対してのシール170として機能するが、これは容器200の頂部210を露出させているところの開いている部分130を除く。
【0028】
フロア140が、必須ではないが、好適には、そのうちの1つが飲用時に口を位置させるところの開いている部分130の近くである、2つの異なる場所で開口部を有し、さらにはフロアの隣接する側部上に配置され得る補助開口部190を有する。補助開口部190は非常に小さくてよく、主開口部150を飲料が通過するときの圧力差をなくすための「湯気用」孔190として機能する。補助開口部190は人の鼻に向かっての香りの蒸気の出口としても機能することができる。実施例では、フロア140が水平方向の容器エリア230のほぼ全体を覆い、これは、開いているコンパートメント145が低い位置にきてしたがって人の鼻が開いているコンパートメント145の中にちょうど収まるようになり、したがって飲用中に容器の角度を小さくすることが必要になる、ということを意味する。これは、飲用中に頭を後方に傾けることが軽減され得、飲用の快適さが向上する、ということを意味する。
【0029】
フロア140は、フロアの端部141のところで容器200の壁220と交差するように成形される。
【0030】
本発明の一実施例が、所望の飲用温度より高い温度を有する容器内の飲料による問題を解決する。飲料の温度が摂氏95度もの高さになると、やけどしないように注意しなければならない。通常、従来技術は「注意:中身高温」という表示を有し、これは、明らかに、消費者に通知するのみであり、問題を解決するものではない。高温飲料が一気に流れ込むことによる問題は蓋100の中に小さい開口部150を有することによって解決され得、ここでは、開口部が高温の飲料の流れを制限するように機能する。開口部150は飲料の流れを制限するために小さく、上記開口部150の一般的な総面積は3mm2から50mm2の間、好適には5mm2から15mm2の間であり、開口部150の数は2から15の間、好適には2から5の間である。1つの開口部の代わりに複数の開口部を使用することにより、流量が多い場合により制限するようになり、したがって飲料の速度が制限され、流出の危険性が低減される。開口部を通過する飲料の速度が高いと、流出の危険性が増す。飲料の運動エネルギーが高いと、飲料の移動し得る距離が延びる。多数の小さい開口部を用いることにより、飲料の速度が低減されるが、複数の開口部により望まれる流量を可能にする。開口部の寸法及び開口部の数を選択することにより、飲料の速度及び流量の両方が所望される通りに制御され得る。この原理はシャワーヘッドに類似しており、多数の小さい孔を備える大きいシャワーヘッドでは流体の速度が低下する。
【0031】
飲用中の高温飲料によるこの問題は、蓋の底部のところにあるフロア140と、蓋の壁120Aと、蓋の部分的に開いている部分130のところにある容器200の壁220との間に形成されるコンパートメント145を使用することにより、さらに解決され、ここでは、一口ずつ飲むように高温飲料が収集され得る。この場合、コンパートメントが容器200の頂部210の下方にくる。このコンパートメントは、飲料を一口ずつ飲むようにし、それにより快適な温度を達成するのに使用される。
【0032】
したがって、上述の実施例による利点は、小さい開口部を使用することにより蓋の一口ずつ飲むためのコンパートメント(142又は145)に入る高温飲料の流量を低減することである。(高温)飲料が一気に流れ込むことが回避される。小さい孔(開口部)の代わりにスリットが使用される場合でも、上述したようにスリットの幅が十分に小さい限りにおいて、この利点が達成される、ことに留意されたい。
【0033】
蓋のフロア140を冷却エリアとして使用することにより、高温飲料が人にとって最適な温度まで効果的に迅速に冷却され得る。冷却時間は、容器内の飲料温度と、所望の飲用温度と、蓋上の容量、蓋上の飲料エリアと、周囲温度と、口からの強制空気流れにより飲料が冷却されているか否か及びその方法と、によって決定される。cpで示される飲料の定圧比熱容量は一定であるとみなされてよく、水の場合は4190J/kgKで同じである。自由対流の場合、熱交換は5W/m2Kと概算され得、ここでは、温度差は周囲温度を基準とする。飲料が口によって作られるエア・ストリームによって冷却される場合、迅速な冷却が達成される。次いで、周囲空気が摂氏37度の息と混ぜられる。混ぜられた温度は流量及び物体までの距離によって決定される。したがって、冷却温度は飲用者によって容易に調整され得る。しかし、話を単純にするために、冷却の推定には摂氏30度の概略の温度が使用されてよい。強制的なエア・ストリームの場合、熱交換は対流熱伝導率によって推定され得、対流熱伝導率は最大25W/m2Kと推定される。ある程度高温である(摂氏30度)のエア・ストリームであっても、冷却効果は自由対流よりも大幅に高い。摂氏95度の飲料、摂氏23度の周囲温度の場合、強制冷却の効果は約4.5倍である。摂氏65度であっても、強制冷却がより大幅に効果的であり、ここでは実験データによると4.2倍であると推定される。
【0034】
冷却時間が人自体によって容易に制御され得る。表面の80%を冷却表面として使用する9cmの直径の蓋の場合、蓋に息を吹きかけるだけで、摂氏95度の飲料が5mlの場合には5秒から10秒の範囲で摂氏65度まで冷却され得る。
【0035】
高温飲料が静止するところのフロアは、下にある高温飲料によりいくらかの程度で加熱され得る。実験により、満杯の容器内にある摂氏95度の飲料の場合に、蓋上のフロアが摂氏50~60度の温度に達し、ここでは、断熱されていない容器の外側が摂氏60~70度に達する、ことが示されている。
【0036】
飲料の冷却は微分方程式の計算に従う。微分方程式はかなり複雑であり、温度によって決定されることから、時間依存の熱流束が提示される。熱流束は:
Q0(T飲料_蓋、F、T空気)、対流
Q1(T飲料_蓋、T周囲空気)、空気への伝導
Q2(T飲料_蓋、T周囲空気)、輻射
Q3(T飲料_蓋、Tフロア)、フロアへの伝導
【0037】
全熱流束Qtotが次のように与えられる:Qtot=Q0+Q1+Q2+Q3
ここでは、Q0が支配項(dominating term)である。
【0038】
Q0がhc(t、F)*A*[T飲料_蓋(t)-T空気(t)]に比例する。
【0039】
ここでは、hc(t)が対流熱伝導率であり、Aが一方側の冷却面積であり、T飲料_蓋(t)が蓋上の飲料温度であり、T空気(t)が強制空気流れの温度であり、T周囲空気が周囲空気温度であり、Fが空気流量であり、tが時間である。理解され得るように、冷却効率は主として空気流量及び飲料の温度によって制御される。Tフロアはコンパートメント内のフロアの温度であり、これは容器内の飲料温度によって決定される。
【0040】
冷却エリア上の飲料の温度は、単純化のため、1階微分方程式を用いて概算され得る。
T=T0*e-t/Tau
ここでは、Tauが時定数であり、この時定数が以下のように概算で推定され得る:
Tau=V*d*Cp/[hc*0.5(T飲料+T飲用)-T空気]*A
ここでは、T飲用が望ましい/所望の飲用温度であり、Vが蓋上の飲料の体積であり、dが飲料の密度である。
【0041】
冷却エリア/マイナー・コンパートメント142(
図6a~6fを参照されたい)を充填することは容器200を傾斜させることによって実施され、蓋上の開いているコンパートメント145が飲料で充填されている場合、容器200が後方に傾斜させられ得、飲料が開口部150を備える突出部146(
図6aを参照)の頂部に到達するまで飲料330が開口部150を介して容器200へ流し戻されることになる。周囲開口部150は容器の壁220の方を向いている。この場合、残っている飲料350(
図6d~6fを参照されたい)が蓋100のマイナー・コンパートメント142のところでフロア142上で捕捉され、それにより冷却される準備が整う。容器200を再び傾斜させると、冷却された飲料350が飲用されるために開口部まで誘導される。
【0042】
(マイナー)コンパートメント142を充填するのを可能にするために、飲料350を容器200へ流し戻すのを妨げるための突出部146がフロア140上に設けられる。この突出部がフロアの高さ140よりも上に開口部150を装備するが、これらの開口部は容器200の頂部210より低いところにある。
【0043】
飲料330(
図6d)が非常に高温である場合、蓋100上の飲料350を補助開口部190まで誘導することにより、少量の飲料350(
図6e~6f)が蓋のフロア上で使用され得る。
【0044】
フロア140(又は、142)上に大量の飲料350があることが望まれる場合、傾斜後に容器200と共に蓋100が回され、それにより開口部150をより高い位置に置く。マイナー・コンパートメント142上の飲料350の量を増大させる別の手法は容器を迅速に後方に傾斜させることであり、これは、開口部150内での制限により飲料350が容器200へと完全には流し戻されず、マイナー・コンパートメント142上に残される、ということを意味する。
【0045】
このように、コンパートメント142が、コンパートメントの表面上で高温飲料を冷却するか又はコンパートメント上の高温飲料に対して口で空気を吹きかけることにより、飲料の温度を制御するための手法を提供する。これはスプーンの上で高温のスープを冷却するのに似ている。このようにして、コンパートメント142が、消費中に飲料の一部又は飲料のうちのいくらかの量をコンパートメント内に留めるのを可能にする。
【0046】
図5cが、傾斜時に、容器200内の飲料300により、コンパートメント145が如何にして飲料330で充填されるかを示している。コンパートメント145内の飲料330は容器200の頂部210のところで楽に一口ずつ飲まれ得る。ここでは、突出部146が存在しないことに留意されたい。
【0047】
図5の蓋をさらに改善するために、
図6a~cが小さい流量のための蓋100の他の実施例を示している。これが、上述したように、飲料を通過させるための開口部150を有する突出部146を提供することによって達成される。
図6aがフロア140の上の高さd2のところに突出部146を示しており、ここではd2がフロアから容器200の頂部210までの高さd1より小さい。突出部146がフロア140と共に、コンパートメント145の中における、飲料330のためのマイナー・コンパートメント142を有効なものとし、つまりコンパートメント145の中に飲料330のためのマイナー・コンパートメント142を作る。
図6bが別の実施例を示しており、ここでは、飲料のための開口部150が突出部の上側部分内にある。
図6cが実施例を示しており、ここでは、飲料のための開口部150が突出部146の上側部分の端部141bのところにあり、つまり蓋の定位置時に飲料容器の壁の近くにあり、これはすべての飲料300が容器200から容易に出され得ることを意味する。蓋100が容器200の上に挿入されると、開口部150が好適には容器の壁220の近くに配置され、例えば0mm~3mm、また好適には0mm~2mmのところに配置される。
【0048】
図6d~fが、飲料330を冷却するためのマイナー・コンパートメント142が如何にして充填されるかを示している。最初に、容器200が、突出部146内の開口部150を飲料が通過することになるのに十分な大きさの角度で傾斜させられる必要がある(
図6dを参照されたい)。このとき、マイナー・コンパートメント142が充填され始める。容器200が後方に傾斜させられると、高さが突出部146の頂部に到達するまで、飲料350が容器200内の飲料300へと流し戻される(
図6e)。容器200が後方にさらに傾斜させられると、飲料の一定量350がマイナー・コンパートメント142内で捕捉される(
図6f)。マイナー・コンパートメント内の飲料350が飲用者からの空気流れにより容易に冷却され得る。これはスプーンの上のスープを冷却するのと同様に自然な動作である。力及び時間が冷却パワーを決定する。マイナー・コンパートメント内の捕捉される飲料350は強制的な空気対流なしでも冷却され得る。5W/m2Kの自然冷却対流及び輻射冷却により、捕捉された飲料が冷却されるが、これは速度が低い。容器200が再び傾斜させられると、捕捉されて冷却された飲料が飲用エリアに入り、容器200からの飲料300といくらかの程度で混ぜられる。フロア140から容器200の頂部210までの高さd1を基準とした突出部146の高さd2が、冷却された飲料350と高温飲料300とを混ぜるのを制御する。突出部146(距離d2)が高いと、より低温の高温飲料300が、冷却された飲料350と混ぜられることになる。
【0049】
図7a~bが実施例を示しており、ここでは、冷却された飲料350のためのマイナー・コンパートメント142が突出部146に向かって傾斜しており、それにより容器200の水平の配置時も捕捉された飲料350を捕捉しておくようにする(
図7b)。
【0050】
図8a~bが実施例を示しており、ここでは、冷却された飲料350のためのマイナー・コンパートメント142が突出部146から後方に傾斜しており、それにより容器200の水平の配置時も、捕捉された飲料350を補助開口部190により容器200内の飲料300へ流すようにする(
図8b)。
【0051】
図9a~9bが実施例を示しており、ここでは、冷却された飲料350のためのマイナー・コンパートメント142が突出部壁148によって捕捉され、それにより、水平位置から容器200がいくらかの程度で傾斜させられる場合でも、捕捉された飲料を捕捉しておくようにする。したがって、蓋が、マイナー・コンパートメント142を蓋100の補助開口部190から分離するために突出部壁148を装備する。
【0052】
図10aが蓋100の実施例を示しており、ここでは、容器200の壁に接するところの開いている部分又は開口部130に向かうような長円形の形態を有する。対応する容器の公称半径の寸法を越えて延在するフロア140がフロア又は突出部の縁部141のところでの密閉を強化する。これにより、例えば、部分的な変形及び/又は容器の公称寸法からの逸脱が生じるような場合において、フロア140と壁220との間に隙間ができる可能性を排除するか又は低減し、したがってフロア140と壁220との間をより良好に密閉することが達成される。フロア又は突出部の形状は、説明されるように、好適には縁部141のところで幾分か長円形になっている。開口部130のところの縁部141のところでフロア140の寸法が相対的に大きいことにより、蓋100と容器200との間の最も強固な嵌合部分が開いている部分130のところに生じやすくなる。また、開口部150は、フロア140の端部位置141/141b(
図11aを参照されたい)のところに配置される、開いている構造である。
【0053】
図10bが、蓋100の開いている部分130を基準として非対称に配置される飲料のための開口部150を備える突出部146を備える蓋100を示している。これは、より多い量の飲料350が蓋100上で捕捉され得ることを意味する。本発明の実施例の開口部は、存在する場合、コーヒー豆などの、消費される飲料中に含まれる粒子状物質を制限することを実現する。
【0054】
図11a~bが蓋を示しており、ここでは、ファスナ160が、フロア又は突出部の縁部141又は141bのそれぞれの嵌合を強化するための隆起部165を備える。隆起部165が容器200の頂部210の下にスナップ式に嵌め込まれることになり、それにより蓋100がより安全に取り付けられるようになり、またフロア又は突出部の縁部141/141bをより良好に密閉することが可能となる。ファスナのところの隆起部165が、好適には、蓋100の開いている部分130の端部135に向かう方向においてより小さい寸法を有し、それにより蓋100をより容易に取り付けるのを可能にし、また容器200の上側部分210への蓋100の挿入時及び容器200の上側部分210からの蓋100の取り外し時の材料の応力を低減する。隆起部165は、実施例では、蓋100の開いている部分130の一部分のみを変位させることができる。
【0055】
この場合、蓋100の開位置において、隆起165がファスナ上のその内側に配置され、これは、ファスナが容器の壁の外側を密に圧迫することを意味する。隆起部165が2つの機能を有する。1)容器の壁をその公称位置から湾曲させないようにすることを確かにする。このように湾曲してしまうと、容器の内側の蓋のフロアと容器の壁との間に隙間を生じさせる可能性がある。公称位置又は公称寸法は、応力又は他のファクタにより一切変形していないときの容器の幾何学的寸法を意味し、つまり円形容器は円形であることを前提とする。しかし、一般に、力により、又はその製造プロセスにより、容器はいくらかの程度で変形し、例えば、円形形状がある程度は長円形となり得る。2)蓋を確実に安全に取り付けることを目的として容器のリムの下の定位置でファスナを確実に保持することを確かにする。ファスナの上方には材料が存在しないことから、ファスナがこの位置でより湾曲しやすく、それにより蓋の嵌合が不完全となる可能性がある。しかし、隆起部がリムを下側から握持し、蓋を適切な位置に安全に配置し、ここではファスナがリム上で滑る危険性がほぼない。また、蓋100は隆起部165の端部のところでより小さい深さ167を有するように示されている。
【0056】
図12aが、蓋100の挿入時又は取り外し時の材料応力を低減するための、蓋100のファスナ160と頂部120との間にある滑らかな移行部分168を示している。
【0057】
図12bが、蓋100を容器100に取り付けるときに蓋のファスナ160が容器200の頂部120の下に如何にして挿入されるかを示している。蓋100が開いている構造130を有することから、蓋100の挿入中に蓋100及び容器200が湾曲することになり、それにより挿入の力を低減する。しかし、
図12aに示されるように蓋が挿入されているときは湾曲することが不可能である。その理由は、ファスナ160が容器200を囲んでいるからである。自然に湾曲すること及び挿入の力が小さいことを理由として、剛性の高いファスナ160が使用され得、したがって蓋100を容器200により堅固に取り付けることが可能である。
【0058】
容器の壁の外側を圧迫するファスナは容器から蓋を取り外すときの力を増大させることに言及しておかなければならない。ほとんどの容器は頂部にリムを備える円形形状であり、これはリムの下側の壁の上側部分のところでスナップ式に嵌め込まれるファスナがより安全に取り付けられるようになること意味する。ファスナが外周を完全に囲んでいる場合、つまりファスナが円形である場合、取り付けがさらに強化される。本発明は容器のリムのところにある飲用位置のところに開いている部分を組み込むことから、ファスナがこの位置に嵌められ得、ここでは、ファスナがリムの下にある状態で、蓋が例えば20度から60度までのある角度のところに配置され、次いで「カチッ」という音がするように折り曲げられる(
図12bに示されるように)。蓋を載せられていないときは容器が湾曲することができることから、ある角度で蓋を嵌めるための力が非常に小さくなり、開いている部分の上のファスナがリムの下の定位置にある場合、蓋がリム上に容易にスナップ式に嵌め込まれる。
【0059】
図13が別の実施例を示しており、ここでは、輸送中に飲料がこぼれる危険性を低減するために、蓋100の上に配置されるための補助蓋400が提供される。補助蓋400が隔離をさらに補助することになり、また容器内の飲料を冷却する速度を下げることになる。(主)蓋100が、補助蓋400上の凸形部分450に適合するための凹形部分169をファスナ160上に装備する。
【0060】
図14aが、出口開口部150と入口開口部152の間の下側にキャビティ147を組み込むことによりしぶきガードとしても機能する突出部146を示している。飲料が下側の開口部151の方に押し込まれるとき、流れが制限され、キャビティ147をゆっくりと充填する。キャビティ内では如何なる強制流れもその勢いを減衰される。小さい開口部150/151及びキャビティ147が(流動性の)ロー・パス・フィルタ(low pass filter)として機能する。示されるように、開口部150が、飲料を保管するところの容器の内側部分のための開口部を装備するキャビティに接続される。
【0061】
図14bが、連続する制限箇所150/151及びキャビティ147を組み込むことによるより効果的なしぶきガードを示しており、中間にある制限箇所149がキャビティ147の間にある。中間にある制限箇所が垂直方向のチャンネルを有する。垂直方向のチャンネルは、次のキャビティ147を充填する前に第1のキャビティ147を充填する必要があることを意味する。中間にあるキャビティが微小な開口部152によって排水され得、微小な開口部152には飲料が入り込まない。
【0062】
図14c~dがキャビティ147を有する突出部146の別の実施例を示している。示されるように、キャビティ147が、下側開口部151、152から注入される飲料を突出部の外へ広げるのを妨げるための少なくとも1つのしぶきガード153を備える。各キャビティ147が、コンパートメント142を蓋100の補助開口部190から分離するために少なくとも突出部壁148によって形成される接続部149を備えるものとして示されている。
図14dでは、突出部146が、壁148によって作られる接続部149によって分割される一連のキャビティを装備するものとして示されている。既に説明したように、開口部150がキャビティ147に取り付けられるか又は接続される。
【0063】
図14e~fが、突出部46内にくさび形状のキャビティ147を形成する縦方向の成形によって作られ得るしぶきガードの別の実施例を示している。
【0064】
図15aが、蓋100と容器200との間により良好な密閉を作るために、好適には、開いている部分130にある、蓋100の鋭利な縁部105を示している。鋭利な縁部105が蓋と容器200又は容器壁220との間により大きい密閉圧力を発生させる。
【0065】
図15bが可撓性を有する縁部105の別の実施例を示している。この事例でもやはり、可撓性の縁部105が蓋100と容器200との間により良好な密閉を作り、蓋と容器200又は容器壁220との間により大きい密閉圧力を発生させる。
【0066】
既に説明したように、蓋100が補助開口部190を備える。この実施例では、
図16a~16cに示されるように蓋192が開口部190の上に設けられる。このような蓋192は、容器の移動時又は容器の圧迫時に拒否されるべき(つまり、上方に注入されるべき)飲料を妨げる。蓋192がポスト194により蓋100のフロア140に取り付けられ得る。
【0067】
図16bが、補助開口部190内に導入されるべき壁(又は、管)180を備え付けている蓋192を示している。
図16cがドーム形状の蓋192を示しており、
図16dが蓋192及びポスト194の上面図を示している。
【0068】
上述の実施例は多くの利点及び特徴を提供し、これらの多くの利点及び特徴には以下のものが含まれる:
- 容器から自然に一口ずつ飲むのを可能にする。例えば、少量の飲料の流れが、飲用する人により、及び口で息を吹きかけることにより、容易に制御され得、高温飲料が低温の空気を用いて冷まされ得、これが飲料以外のものを飲む場合における自然な方法である。
- 小さい開口部を使用して蓋/容器の一口ずつ飲むためのコンパートメントに入る高温飲料の流量を低減する。この場合、高温飲料が急に流れ出ることが不可能である。
- 蓋と容器との間で飲料が漏洩しない。その理由は、飲用中に飲料を通過させるようなシールが存在しないからである。
- 飲用することが容器に対して直接にのみ実施されることから、蓋及び容器の分離時に飲料が漏洩しない。
- ファスナ上の隆起部及び蓋上の開いている部分により、蓋の挿入の力が低減され、それでも確実に取り付けられる。
- この構造が挿入の力を低減するのを可能にし、したがって曲がりにくいファスナが使用されることを理由として、蓋が確実に取り付けられる。
- 表面のところで高温飲料を低温にすることにより、又はより効果的にはスプーンの上で高温のスープを冷却するときの自然なことのようにマイナー・コンパートメント上の高温飲料に対して口で空気を吹きかけることにより、温度を制御するのに蓋内のマイナー・コンパートメントを使用することが可能である。温度降下が時間及び息を吹きかける力によって容易に制御される。
- 蓋のフロアの端部のところに配置される開口部が飲料を完全に消費するのを可能にし、ここでは容器内で飲料を捕捉する必要がない。
- 本発明の構造はしぶき防止の解決策を可能にし、ここでは、飲料出口のための流体力学的なロー・パス・フィルタが存在すること、「湯気用孔」が小さいこと、及び蓋を使用してしぶきを止めるような形のしぶき防止の補助開口部が存在することにより、飲料が開口部を通ってしぶきをあげることができない。
- ほとんどの漏洩防止の解決策において、輸送中に主蓋の上に一時的に取り付けられる、開口部を備えない補助の単純な蓋が用いられる。
- 補助蓋が、輸送中の流出を排除することに加えて、飲料の温度をより長時間にわたって保持する隔離状態を強化する。
- 補助開口部の上の追加の蓋が、容器が(急に)動かされるとき又は容器が圧迫されるときに飲料が外に出るのを低減するか又は妨げる。
【0069】
本明細書の実施例の追加の利点及び特徴は既に説明されていることから、繰り返し説明する必要はない。
【0070】
本発明は示される実施例のみに限定されない。例えば、容器は、正方形、長円形などの、任意の形状を有することができる。飲料のための開口部が任意の形状を有することができる。