(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】電池ホルダおよび電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20221118BHJP
【FI】
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2017127530
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-05-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】高辻 秀保
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】井上 信一
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-225552(JP,A)
【文献】特開2012-212591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池により構成されている組電池を保持する電池ホルダであって、
前記複数の電池の電極タブ同士を接続して保持するための電極タブ保持部と、
前記組電池
の前記電極タブが設けられていない
少なくとも一方の主面に当接して
固定手段とともに前記組電池を保持するための組電池保持部と、
を備え、
前記電極タブ保持部は、前記組電池保持部と直接接続されて、前記組電池保持部と一体的に形成されており、
前記電極タブ保持部は、前記複数の電池の複数の電極タブが貫通するための複数の貫通孔を有しており、
接続されるべき前記電極タブ同士がそれぞれ前記貫通孔を貫通して折り曲げられた状態で、雄ネジを用いて接続されるように構成されている、
ことを特徴とする電池ホルダ。
【請求項2】
接続されるべき前記電極タブ同士が、前記雄ネジと、前記雄ネジと螺合する雌ネジとを用いて接続されるように構成されており、
前記電極タブ保持部は、前記雌ネジを保持するための雌ネジ保持部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池ホルダ。
【請求項3】
前記雌ネジ保持部は、前記電極タブ同士の接続箇所毎に、複数の前記雄ネジと螺合する複数の前記雌ネジを保持するように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電池ホルダ。
【請求項4】
前記電極タブ保持部は、前記雄ネジと螺合するネジ受け部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池ホルダ。
【請求項5】
前記ネジ受け部は、前記電極タブ同士の接続箇所毎に、複数の前記雄ネジと螺合するように構成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電池ホルダ。
【請求項6】
前記組電池保持部は、前記組電池の第1の面に当接する第1の当接部と、前記第1の面と対向する第2の面に当接する第2の当接部とを備える、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の電池ホルダ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の電池ホルダと、
複数の電池の電極タブ同士を接続してなる組電池と、
を備え、
前記組電池が前記電池ホルダに保持されていることを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池により構成されている組電池を保持する電池ホルダ、および電池ホルダにより組電池が保持された構造を有する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池により構成されている組電池を保持するための電池ホルダが知られている。
【0003】
特許文献1には、そのような電池ホルダを有する電池パックが記載されている。具体的には、複数の電池により構成されている組電池と、複数の電池の電極タブが貫通する複数の貫通孔を有する電池ホルダと、電池ホルダの外側に設けられ、複数の電池の複数の電極タブが接続される電極タブ接続部を有する基板とを備えた電池パックが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電池パックでは、電極タブ接続部を有する基板および電池ホルダが複数の電池の電極タブが設けられている側に設けられており、電池ホルダは、電池の電極タブを保持する構成とされている。このため、この電池パックに振動や衝撃などが加わると、組電池の本体と電極タブの固定部分とが異なる位相で変位する場合がある。この場合、電極タブを固定している部分に過大な応力が集中し、電極タブが破損する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、振動や衝撃などが組電池に加わった場合でも、電極タブの破損を抑制することができる電池ホルダ、および電池ホルダにより組電池が保持された構造を有する、信頼性の高い電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池ホルダは、
複数の電池により構成されている組電池を保持する電池ホルダであって、
前記複数の電池の電極タブ同士を接続して保持するための電極タブ保持部と、
前記組電池の前記電極タブが設けられていない少なくとも一方の主面に当接して固定手段とともに前記組電池を保持するための組電池保持部と、
を備え、
前記電極タブ保持部は、前記組電池保持部と直接接続されて、前記組電池保持部と一体的に形成されており、
前記電極タブ保持部は、前記複数の電池の複数の電極タブが貫通するための複数の貫通孔を有しており、
接続されるべき前記電極タブ同士がそれぞれ前記貫通孔を貫通して折り曲げられた状態で、雄ネジを用いて接続されるように構成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
接続されるべき前記電極タブ同士が、前記雄ネジと、前記雄ネジと螺合する雌ネジとを用いて接続されるように構成されており、前記電極タブ保持部は、前記雌ネジを保持するための雌ネジ保持部を有する構成としてもよい。
【0010】
前記雌ネジ保持部は、前記電極タブ同士の接続箇所毎に、複数の前記雄ネジと螺合する複数の前記雌ネジを保持するように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記電極タブ保持部は、前記雄ネジと螺合するネジ受け部を有するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記ネジ受け部は、前記電極タブ同士の接続箇所毎に、複数の前記雄ネジと螺合するように構成されていてもよい。
【0013】
前記組電池保持部は、前記組電池の第1の面に当接する第1の当接部と、前記第1の面と対向する第2の面に当接する第2の当接部とを備えていてもよい。
【0014】
本発明による電池パックは、
上述した電池ホルダと、
複数の電池の電極タブ同士を接続してなる組電池と、
を備え、
前記組電池が前記電池ホルダに保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電池ホルダによれば、複数の電池の電極タブ同士を接続して保持するための電極タブ保持部と、組電池の、複数の電池の電極タブが設けられている面とは異なる面に当接して組電池を保持するための組電池保持部とが直接接続されているので、組電池に対して外部から衝撃や振動が加わった際に、組電池の本体部分と、複数の電池の電極タブの固定部分は同位相で変動する。これにより、電極タブへの応力集中を緩和して、電極タブの破損を抑制することができる。また、電極タブ保持部は、組電池保持部と一体的に形成されているので、組電池に外部から衝撃や振動が加わった場合に、電池の本体部分と、各電池の電極タブの固定部分とは、より同位相で変動しやすくなる。これにより、電極タブへの応力集中を効果的に緩和して、電極タブの破損を効果的に抑制することができる。
【0016】
また、本発明の電池パックによれば、上述した本発明による電池ホルダと、複数の電池の電極タブ同士を接続してなる組電池とを備え、組電池が上記電池ホルダにより保持されているので、電池パックに衝撃や振動が加わった際に、組電池の本体部分と、複数の電池の電極タブの固定部分は同位相で変動する。これにより、電極タブへの応力集中を緩和して、電極タブの破損を抑制することが可能な信頼性の高い電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態における電池ホルダの斜視図である。
【
図2】第1の実施形態における電池ホルダと、組電池とを備えた電池パックの斜視図である。
【
図6】電極タブ保持部の雌ネジ保持部に、雌ネジであるナットが取り付けられた状態を示す図である。
【
図7】複数の電池の電極タブ同士の接続方法を説明するための図である。
【
図8】第2の実施形態における電池ホルダの電極タブ保持部の平面図である。
【
図9】第3の実施形態における電池ホルダの斜視図である。
【
図10】一対の電極タブ保持部を有する電池ホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに具体的に説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における電池ホルダ10の斜視図である。
図2は、第1の実施形態における電池ホルダ10と、組電池20とを備えた電池パック100の斜視図である。また、
図3は、組電池20を構成する電池30の平面図である。
【0020】
電池30は、例えばリチウムイオン二次電池であり、本体部31と、電極タブである正極タブ32および負極タブ33とを備える。本体部31は、ラミネートフィルムにより形成されているラミネートケースに、電池要素を収容した構造を有する。電池要素には、例えば、正極、負極および電解質が含まれる。
【0021】
正極タブ32は、本体部31内の正極と接続され、負極タブ33は、本体部31内の負極と接続されている。本実施形態では、正極タブ32および負極タブ33は、
図3に示すように、本体部31から同一の方向に突出するように設けられている。
【0022】
正極タブ32には、後述する雄ネジが貫通する正極用ネジ穴34が設けられている。また、負極タブ33には、後述する雄ネジが貫通する負極用ネジ穴35が設けられている。
【0023】
なお、電池30がリチウムイオン二次電池に限定されることはなく、他の種類の電池であってもよい。また、本体部31の外装ケースがラミネートケースに限定されることもない。
【0024】
図4は、組電池20の側面図である。本実施形態では、組電池20は、4つの電池30、すなわち、第1の電池30a、第2の電池30b、第3の電池30c、および第4の電池30dにより構成されている。4つの電池30は積層されており、積層方向に隣接する電池30同士は、例えば、両面テープや接着剤などを用いて接着されている。なお、組電池20を構成する電池30の数が4つに限定されることはない。
【0025】
本明細書では、組電池20の表面のうち、各電池30の積層方向における外側表面を、組電池20の主面と呼ぶ。すなわち、組電池20は、最上層に位置する第1の電池30aの外側表面である第1の主面21と、最下層に位置する第4の電池30dの外側表面である第2の主面22とを有する。
【0026】
組電池20を構成する各電池30の正極タブ32および負極タブ33は、組電池20の側方に突出している。すなわち、組電池20の第1の主面21および第2の主面22は、各電池30の正極タブ32および負極タブ33が設けられていない面である。
【0027】
図1に示すように、第1の実施形態における電池ホルダ10は、複数の電池30の電極タブ同士を接続して保持するための電極タブ保持部1と、組電池20の第1の主面21に当接して組電池20を保持するための組電池保持部2とを備える。
【0028】
電極タブ保持部1は、組電池保持部2と直接接続されている。本実施形態では、電極タブ保持部1と組電池保持部2は、一体的に、例えば樹脂により形成されている。
【0029】
図5は、電極タブ保持部1の平面図である。電極タブ保持部1は、組電池20を構成する4つの電池30の正極タブ32および負極タブ33がそれぞれ貫通する8つの貫通孔11a~11hと、4つの電池30の電極タブ同士を接続するために用いられる雄ネジと螺合する雌ネジを保持する雌ネジ保持部12とを有する。
【0030】
後述するように、4つの電池30の接続されるべき電極タブ同士は、雄ネジ70a~70e(
図7参照)と、当該雄ネジ70a~70eと螺合する雌ネジ60a~60e(
図7参照)とを用いて結合されて、電気的に接続されるように構成されている。この実施形態では、雌ネジ60a~60eとしてナットが用いられ、雄ネジ70a~70eとして、ドライバにより回転させることができるように、頭部に+溝が形成されたビスが用いられている。
【0031】
本実施形態では、雌ネジ保持部12として、電極タブ同士の接続箇所毎に、2つの雄ネジと螺合する2つの雌ネジを保持する2つの雌ネジ保持穴12a、12b、12c、12d、12eが設けられている。すなわち、雌ネジ保持部12は、雌ネジが取り付けられる10個の雌ネジ保持穴12a~12eである。
【0032】
図6は、電極タブ保持部1の雌ネジ保持部12である10個の雌ネジ保持穴12a~12eに、雌ネジである10個のナット60a~60eがそれぞれ取り付けられた状態を示す図である。各ナット60a~60eは、各雌ネジ保持穴12a~12eに確実に保持されるように、例えば、各雌ネジ保持穴12a~12eにある程度の力で押し込まれるような態様で取り付けられる。
【0033】
複数の電池30の電極タブ同士の接続方法を、
図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、各電池30a~30dの正極用ネジ穴34をそれぞれ正極用ネジ穴34a~34d、各電池30a~30dの負極用ネジ穴35をそれぞれ負極用ネジ穴35a~35dと呼ぶ。
【0034】
第1の電池30aの第1の正極タブ32aは、第1の貫通孔11aを貫通して、下方へと折り曲げられている。2つの第1の雄ネジ70aは、第1の正極タブ32aの2つの正極用ネジ穴34aをそれぞれ貫通して、2つの第1のナット60aとそれぞれ螺合されている。
【0035】
第1の電池30aの第1の負極タブ33aは、第2の貫通孔11bを貫通して、下方へと折り曲げられている。また、第2の電池30bの第2の正極タブ32bは、第3の貫通孔11cを貫通して、上方へと折り曲げられており、その一部は、第1の負極タブ33aの一部と重なり合っている。
【0036】
2つの第2の雄ネジ70bは、第1の負極タブ33aの2つの負極用ネジ穴35a、および、第2の正極タブ32bの2つの正極用ネジ穴34bをそれぞれ貫通して、2つの第2のナット60bとそれぞれ螺合されている。これにより、第1の電池30aと第2の電池30bは、直列に接続されている。
【0037】
第2の電池30bの第2の負極タブ33bは、第4の貫通孔11dを貫通して、下方へと折り曲げられている。また、第3の電池30cの第3の正極タブ32cは、第5の貫通孔11eを貫通して、上方へと折り曲げられており、その一部は、第2の負極タブ33bの一部と重なり合っている。
【0038】
2つの第3の雄ネジ70cは、第2の負極タブ33bの2つの負極用ネジ穴35b、および、第3の正極タブ32cの2つの正極用ネジ穴34cをそれぞれ貫通して、2つの第3のナット60cとそれぞれ螺合されている。これにより、第2の電池30bと第3の電池30cは、直列に接続されている。
【0039】
第3の電池30cの第3の負極タブ33cは、第6の貫通孔11fを貫通して、下方へと折り曲げられている。また、第4の電池30dの第4の正極タブ32dは、第7の貫通孔11gを貫通して、上方へと折り曲げられており、その一部は、第3の負極タブ33cの一部と重なり合っている。
【0040】
2つの第4の雄ネジ70dは、第3の負極タブ33cの2つの負極用ネジ穴35c、および、第4の正極タブ32dの2つの正極用ネジ穴34dをそれぞれ貫通して、2つの第4のナット60dとそれぞれ螺合されている。これにより、第3の電池30cと第4の電池30dは、直列に接続されている。
【0041】
第4の電池30dの第4の負極タブ33dは、第8の貫通孔11hを貫通して、上方へと折り曲げられている。2つの第5の雄ネジ70eは、第4の負極タブ33dの2つの負極用ネジ穴35dを貫通して、2つの第5のナット60eとそれぞれ螺合されている。
【0042】
このように、本実施形態では、隣接する電池30の電極タブ同士を接続する際に、1つの電極タブ同士を接続するために用いる雄ネジを1つではなく2つ用いることにより、電極タブ同士を安定的に固定することができる。
【0043】
図2に示すように、電池パック100は、複数の電池30により構成されている組電池20に、
図1に示す電池ホルダ10を取り付けて、上述したように、複数の電池30の電極タブ同士を接続し、さらに、電池ホルダ10が取り付けられた組電池20の長手方向における中央部を、固定テープ40で締結した構造を有する。固定テープ40として、例えば、シュリンクフィルムを用いることができる。ただし、組電池20と電池ホルダ10との固定方法が固定テープ40を用いた方法に限定されることはない。
【0044】
本実施形態における電池ホルダl0によれば、複数の電池30の電極タブ同士を接続して保持するための電極タブ保持部1と、組電池20の第1の主面21に当接して組電池20を保持するための組電池保持部2とが直接接続されているので、組電池20の本体部分に外部から衝撃や振動が加わると、直接接続されている電極タブ保持部1および組電池保持部2を介して、各電池30の正極タブ32および負極タブ33の固定部分に伝わる。すなわち、組電池20に外部から衝撃や振動が加わった場合に、組電池20の本体部分と、各電池30の正極タブ32および負極タブ33の固定部分は同位相で変動する。これにより、正極タブ32および負極タブ33への応力集中、より詳細には、正極タブ32および負極タブ33の折り曲げ部分や、正極タブ32および負極タブ33が設けられている位置のラミネートフィルムのシール部分への応力集中を緩和して、正極タブ32および負極タブ33の破損を抑制することができる。
【0045】
特に、本実施形態における電池ホルダl0では、電極タブ保持部1は、組電池保持部2と一体的に形成されているので、組電池20に外部から衝撃や振動が加わった場合に、電池20の本体部分と、各電池30の正極タブ32および負極タブ33の固定部分とは、より同位相で変動しやすくなる。これにより、正極タブ32および負極タブ33への応力集中を効果的に緩和して、正極タブ32および負極タブ33の破損を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態における電池ホルダ10では、電極タブ保持部1は、組電池20を構成する複数の電池30の正極タブ32および負極タブ33がそれぞれ貫通する複数の貫通孔11a~11hと、複数の電池30の電極タブ同士を接続するために用いられる雄ネジ70a~70eと螺合する雌ネジ60a~60eを保持する雌ネジ保持部12とを有しているので、上記特許文献1に記載の電極タブ接続部を有する基板のような、複数の電池30の電極タブ同士を接続するための専用の接続板を別途設ける必要がない。これにより、低コストで容易に、複数の電池30の電極タブ同士を接続することができる。また、複数の電池30の電極タブ同士を接続するための専用の接続板を別途設ける必要がないので、電池ホルダ10に組電池20を取り付けて構成される電池パック100を軽量化することができる。
【0047】
さらに、本実施形態における電池ホルダ10によれば、電極タブ保持部1は、複数の電池30の電極タブ同士を接続するために用いられる雄ネジ70a~70eと螺合するナット60a~60eを保持する雌ネジ保持部12(12a~12e)を有するので、既存の雄ネジ70a~70eと、既存の雌ネジであるナット60a~60eを用いて、電極タブ同士を接続することができる。
【0048】
また、上述の作用効果を奏する電池ホルダ10を用いて組電池20を保持するように構成した電池パック100によれば、外部から振動や衝撃が加わった場合でも、電池30の電極タブへの応力集中を緩和して、電極タブの破損を抑制することが可能となり、信頼性が向上する。
【0049】
<第2の実施形態>
第1の実施形態における電池ホルダ10において、電極タブ保持部1は、複数の電池30の電極タブ同士を接続するために用いられる雄ネジ70a~70eと螺合する雌ネジであるナット60a~60eを保持する雌ネジ保持部12を有している。
【0050】
第2の実施形態における電池ホルダ10Aでは、電極タブ保持部1Aは、複数の電池30の電極タブ同士を接続するために用いられる雄ネジ70a~70eと螺合するネジ受け部を有する。
【0051】
図8は、第2の実施形態における電池ホルダ10Aの電極タブ保持部1Aの平面図である。電極タブ保持部1Aは、組電池20を構成する4つの電池30の正極タブ32および負極タブ33がそれぞれ貫通する8つの貫通孔11a~11hと、複数の電池30の電極タブ同士を接続するために用いられる雄ネジ70a~70eと螺合するネジ受け部15とを有する。
【0052】
本実施形態では、ネジ受け部15として、電極タブ同士の接続箇所毎に、2つの雄ネジと螺合する2つのネジ穴15a、15b、15c、15d、15eが設けられている。各ネジ穴15a、15b、15c、15d、15eには、雄ネジ70a、70b、70c、70d、70eとそれぞれ螺合するネジ溝が内側に設けられている。すなわち、ネジ受け部15は、10個の雄ネジ70a~70eとそれぞれ螺合するネジ溝が内側に設けられた10個のネジ穴15a~15eである。
【0053】
第2の実施形態における電池ホルダ10Aでも、第1の実施形態における電池ホルダ10と同様に、組電池20の本体部分に外部から衝撃や振動が加わった場合に、各電池30の正極タブ32および負極タブ33への応力集中を緩和して、正極タブ32および負極タブ33の破損を抑制することができる。
【0054】
ここで、第1の実施形態における電池ホルダ10では、複数の電池30の電極タブ同士を接続する際に、雌ネジ保持部12を構成する10個の雌ネジ保持穴12a~12eに、雌ネジであるナット60a~60eを設置する必要があった。
【0055】
しかしながら、第2の実施形態における電池ホルダ10Aによれば、電極タブ保持部1Aは、雄ネジ70a~70eと螺合するネジ受け部15を有するので、複数の電池30の電極タブ同士を接続する際に、雌ネジを設置する必要がない。これにより、容易に複数の電池30の電極タブ同士を接続することができる。
【0056】
また、第1の実施形態における電池ホルダ10のように、複数の電池30の電極タブ同士を接続する際に雌ネジを設置する構成では、設置した雌ネジが落下して、電極タブ同士の接続が外れると、意図しない電極タブ同士が接触して、複数の電池30の間で短絡が生じる可能性がある。しかしながら、第2の実施形態における電池ホルダ10Aによれば、上述したように、雌ネジを設置する必要がないので、上述したような電池30間の短絡を防止することができる。
【0057】
<第3の実施形態>
第1の実施形態における電池ホルダ10では、組電池保持部2は、組電池20の第1の主面21に当接して組電池20を保持するように構成されている。
【0058】
これに対し、第3の実施形態における電池ホルダ10Bでは、組電池保持部2Aは、組電池20の第1の主面21および第2の主面に当接して、組電池20を保持するように構成されている。
【0059】
図9は、第3の実施形態における電池ホルダ10Bの斜視図である。第3の実施形態における電池ホルダ10Bは、複数の電池30の電極タブ同士を接続して保持するための電極タブ保持部1と、組電池20の第1の主面21および第2の主面22に当接して組電池20を保持するための組電池保持部2Aとを備える。
【0060】
組電池保持部2Aは、組電池20の第1の主面21に当接する第1の当接部211と、第1の主面21と対向する第2の主面22に当接する第2の当接部212とを備える。
【0061】
電極タブ保持部1と、組電池保持部2Aを構成する第1の当接部211および第2の当接部212とは、一体的に、例えば樹脂により形成されている。
【0062】
第3の実施形態における電池ホルダ10Bでも、第1の実施形態における電池ホルダ10および第2の実施形態における電池ホルダ10Aと同様に、組電池20の本体部分に外部から衝撃や振動が加わった場合に、各電池30の正極タブ32および負極タブ33への応力集中を緩和して、正極タブ32および負極タブ33の破損を抑制することができる。
【0063】
特に、第3の実施形態における電池ホルダ10Bは、第1の当接部211と第2の当接部212によって、複数の電池30の積層方向の外側から組電池20を挟み込んで保持するように構成されている。このような構成により、第3の実施形態における電池ホルダ10Bは、組電池20をより確実に保持することができる。
【0064】
なお、第1の実施形態における電池ホルダ10、および、第2の実施形態における電池ホルダ10Aにおいても同様に、組電池保持部2が組電池20の第1の主面21および第2の主面22に当接して、組電池20を保持するように構成されていてもよい。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0067】
隣接する電池30の電極タブ同士を接続する際に、1つの電極タブ同士を接続するために用いる雄ネジを2つ用いるものとして説明したが、雄ネジを3つ以上用いてもよいし、1つだけ用いるようにしてもよい。ただし、電極タブ同士を安定的に固定するためには、複数の雄ネジを用いることが好ましい。
【0068】
上述した各実施形態では、組電池20を構成する各電池30の電極タブである正極タブ32および負極タブ33は、本体部31から同一の方向に突出するように設けられているものとして説明したが、正極タブ32と負極タブ33が電池30の本体部31から反対方向に突出するように設けられていてもよい。そのような構造を有する組電池20を保持する電池ホルダの構成を
図10に示す。
【0069】
図10に示す電池ホルダ10Cは、複数の電池30の電極タブ同士を接続して保持するための一対の電極タブ保持部1Bと、組電池20の第1の主面21に当接して組電池20を保持するための組電池保持部2とを有する。一対の電極タブ保持部1Bと、組電池保持部2とは、一体的に形成されている。ただし、一対の電極タブ保持部1Bおよび組電池保持部2がそれぞれ別の部材で、それらが直接接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1、1A、1B 電極タブ保持部
2、2A 組電池保持部
10 第1の実施形態における電池ホルダ
10A 第2の実施形態における電池ホルダ
10B 第3の実施形態における電池ホルダ
10C 一対の電極タブ保持部を有する電池ホルダ
11a~11h 貫通孔
12 雌ネジ保持部
12a~12e 雌ネジ保持穴
15 ネジ受け部
15a~15e ネジ穴
20 組電池
21 組電池の第1の主面
22 組電池の第2の主面
30 電池
31 本体部
32 正極タブ
33 負極タブ
34 正極用ネジ穴
35 負極用ネジ穴
40 固定テープ
60a~60e ナット
70a~70e 雄ネジ
211 第1の当接部
212 第2の当接部