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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】距離測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20221118BHJP
   G01S 17/42 20060101ALI20221118BHJP
   G01B 11/14 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
G01C3/06 120Q
G01S17/42
G01C3/06 110Z
G01B11/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018066822
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178886
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 京
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-090422(JP,A)
【文献】実開平01-074582(JP,U)
【文献】特開平11-120361(JP,A)
【文献】特開2003-202213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01S 17/42
G01B 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離測定装置であって、
本体と、
測定対象点までの距離を計測する距離計測部と、
前記本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記距離計測部による距離測定中の前記本体の変位を検出する変位検出部と
を備え、
前記距離計測部によって計測した任意の2点の測定対象点それぞれまでの距離と、前記姿勢検出部によって算出した前記距離計測部により第一の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第一の姿勢と、前記姿勢検出部によって算出した前記距離計測部により第二の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第二の姿勢と、前記変位検出部によって算出した前記第一の姿勢から前記第二の姿勢までの前記距離測定装置の変位量を用いて、前記2点間の距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記姿勢検出部は地磁気センサを含み、前記変位検出部は加速度センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
距離測定装置であって、
本体と、
測定対象点までの距離を計測する距離計測部と、
地磁気センサを含み、前記本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
加速度センサを含み、前記距離計測部による距離測定中の前記本体の変位を検出する変位検出部と
を備え、
前記距離計測部は、第一の測定対象点までの距離と第二の測定対象点までの距離を計測し、
前記姿勢検出部は、前記第一の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第一の姿勢と、前記第二の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第二の姿勢とを前記地磁気センサを用いて算出し、
前記変位検出部は、前記第一の姿勢から前記第二の姿勢までの前記距離測定装置の変位量を、前記加速度センサを用いて算出し、
前記第一の測定対象点までの距離、前記第一の姿勢、前記第二の測定対象点までの距離、前記第二の姿勢、前記変位量を用いて、前記第一の測定対象点から前記第二の測定対象点までの距離を測定することを特徴とする距離測定装置。
【請求項4】
前記第一の測定対象点までの距離と前記第一の姿勢とから、前記本体から前記第一の測定対象点までのベクトル量である第1のベクトルを算出し、前記第二の測定対象点までの距離と前記第二の姿勢とから、前記本体から前記第二の測定対象点までのベクトル量である第のベクトルを算出し、前記第1のベクトルと前記第2のベクトルと前記変位量を用いたベクトル演算によって前記第一の測定対象点から第二の測定対象点までの距離を測定することを特徴とする請求項3に記載の距離測定装置。
【請求項5】
距離測定装置を備えた距離測定システムであって、
測定対象点までの距離を計測する距離計測部と、
距離の測定時における前記距離計測部の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記距離計測部によって第一の測定対象点までの距離を計測してから、第二の測定対象点までの距離を計測する間の、前記距離計測部の変位量を検出する変位検出部と
を備え、
前記距離計測部によって測定した任意の2点の測定対象点までのそれぞれの距離と、前記姿勢検出部によって算出した前記距離計測部により第一の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第一の姿勢と、前記姿勢検出部によって算出した前記距離計測部により第二の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第二の姿勢と、前記変位検出部によって算出した前記第一の姿勢から前記第二の姿勢までの前記距離測定装置の変位量を用いて、前記2点間の距離を測定することを特徴とする距離測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を利用して対象物までの距離を測定する距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からレーザー光を利用して、対象物までの直接距離を測定する距離測定装置が知られている。また本技術を応用して、任意の2点間距離を測定する技術や装置も知られている。特許文献1には、測定対象点へレーザー光を投射した上で、測定対象点が含まれる範囲の画像を撮像し、前記の画像内におけるレーザー光の位置情報にもとづいて対象物までの直接距離や2点間距離を算出する距離測定装置が開示されている。また、特許文献2には、レーザー光を偏向させて任意の2点間の距離を算出する測距装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-090422号公報
【文献】特開2012-058124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の距離測定装置は、装置を測定台に固定するなどした上で、あらかじめ決められた方向に離れた2点間の距離を測定するものであった。したがって、距離測定装置をユーザが手に持って使用するような測定を行いづらいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる距離測定装置は、上記を鑑み、
本体と、
測定対象点までの距離を計測する距離計測部と、
前記本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記距離計測部による距離測定中の前記本体の変位を検出する変位検出部と
を備え、
前記距離計測部によって計測した任意の2点の測定対象点それぞれまでの距離と、前記姿勢検出部によって算出した前記距離計測部により第一の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第一の姿勢と、前記姿勢検出部によって算出した前記距離計測部により第二の測定対象点までの距離を計測した時点における前記距離測定装置の姿勢である第二の姿勢と、前記変位検出部によって算出した前記第一の姿勢から前記第二の姿勢までの前記距離測定装置の変位量を用いて、前記2点間の距離を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、任意の2点間距離を測定する際の誤差を低減し、測定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の内部構成を示すブロック図。
図3】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の直接距離測定方法を示す図。
図4】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の各種センサ設置方法を示す図。
図5】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の姿勢検出方法の説明図。
図6】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の変位検出方法の説明図。
図7】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の2点間距離測定原理を示す図。
図8】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の2点間角度測定原理を示す図。
図9】本発明の一実施形態に係る距離測定装置の2点間距離測定モードの動作フローチャート。
図10】本発明の一実施形態に係る距離測定装置のスマートフォン向けアプリケーションの制御画面の一例。
図11】本発明の一実施形態に係る距離測定装置のスマートフォンとの連携による2点間距離測定システムの一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる距離測定装置1の外観を示す斜視図である。図1左側に距離測定装置1の正面側を、図1右側に距離測定装置1の背面側を示している。本体10の天面部には、測定対象点に向けてレーザー光を投射する投射部20と、測定対象点からの反射光を受光する受光部30が設けられている。
【0010】
また、本体10の正面部には距離測定の実行や各種設定の変更などを行う操作部40と、測定結果や各種設定項目を表示する表示部50が設けられている。本実施形態に係る距離測定装置1は、ユーザが手に持って使用することができるようになっており、距離測定装置1を手に持った状態で操作し易い位置に操作部40が配置されている。
【0011】
また、本体10の背面部には電池蓋60があり、距離測定装置1内の各部へ電源を供給する電気回路である電源部61と電池が内蔵されている。
【0012】
以下の説明では、距離測定方式として時間差方式を採用しているものとする。時間差方式とは、レーザー光の発光タイミングと、反射光の受光タイミングとの時間差から、測定対象点までの距離を算出する方式である。距離測定方式は必ずしも時間差方式である必要はなく、その他の測定方式としてよく知られている位相差方式や三角測距方式でも良い。
【0013】
<内部構成>
図2には、本発明の一実施形態に係る距離測定装置1の内部構成を示している。図2に示すように、投射部20はレーザー光の光源となるレーザーダイオード21と、前記のレーザー光を測定対象点に向けて平行に投射する投射レンズ22と、レーザーダイオード21の発光を制御するレーザードライバ23から構成されている。
【0014】
レーザードライバ23は、制御部70内にある距離計測部71からの発光制御信号を受けてレーザー光の出力を行う。またレーザードライバ23は、レーザーダイオード21の発光タイミング信号S1を出力するものとする。
【0015】
発光タイミング信号S1は、必ずしもレーザードライバ23が出力する必要はなく、別の手段で出力できるように投射部20を構成しても良い。たとえば、レーザーダイオード21の発光を検出するための受光センサを別に設けて、その出力信号を発光タイミング信号S1としても良い。
【0016】
受光部30は、測定対象点からの反射光を1点に集光する集光レンズ31と、集光した反射光を検出して受光タイミング信号S2を出力する受光センサ32と、受光タイミング信号S2を増幅する信号増幅部33から構成されている。
【0017】
なお、受光タイミング信号S2の電圧レベルが、後述の時間差計測部80の検出能力に対して十分に大きい場合は、信号増幅部33を省略する構成としても良い。
【0018】
投射部20からの発光タイミング信号S1、および受光部30からの受光タイミング信号S2は、それぞれ時間差計測部80へ入力される。この時間差計測部80において、2つの信号S1、S2がそれぞれ入力されたタイミングを検出し、その時間差ΔTを算出する。距離計測部71は、時間差計測部80からこの時間差ΔTの情報を受け取り、距離の算出を行う。
【0019】
なお、時間差ΔTは必ずしも時間差計測部80で算出する必要はなく、時間差計測部80では2つの信号S1、S2の入力時刻のみを出力し、その情報をもとに距離計測部71で時間差ΔTを算出する構成としても良い。
【0020】
距離測定装置1には、センサ部90が設けられている。センサ部90は、地磁気センサ91と加速度センサ92から構成されている。
【0021】
図2では、センサ部90の構成を地磁気センサ91と加速度センサ92のみとして例示しているが、その他のセンサを設ける構成としても良い。たとえば、地磁気センサ91と加速度センサ92にそれぞれ温度特性がある場合には、温度センサを設置することで、温度変化による各種センサの出力データ校正を行う構成としても良い。また、任意のセンサを設け、その検出結果を表示部50に表示しても良い。
【0022】
地磁気センサ91では、地球により生じる磁界の大きさと方向を表すベクトルを検出する(以下、地磁気ベクトルと呼ぶ)。制御部70は、通信インターフェースを介して地磁気センサ91と接続されており、地磁気ベクトルをリアルタイムに取得することができる。
【0023】
加速度センサ92では、装置に印加される重力と装置の移動に伴って発生する加速度の合成ベクトルを検出する。制御部70は、通信インターフェースを介して加速度センサ92と接続されており、装置に加わる重力と加速度の合成ベクトルをリアルタイムに取得することができる。
【0024】
図2では、制御部70から地磁気センサ91と加速度センサ92に対して独立な通信ラインで接続しているが、地磁気センサ91および加速度センサ92として、同じ通信インターフェース仕様のセンサを採用して、通信ラインを共通化する構成としても良い。たとえば、IICシリアル通信に対応の地磁気センサ91および加速度センサ92を採用して、それぞれのセンサに異なるアドレスを設定すれば、上記の共通化が可能である。これにより、制御部70の通信インターフェース資源を節約することができる。
【0025】
地磁気センサ91と加速度センサ92を距離測定装置1内に配置する際、それぞれのセンサがもつ座表系XYZは、互いに一致するように配置しておくことが望ましい。詳細については後述するが、これにより後述の姿勢検出、変位検出を容易に行うことが可能である。
【0026】
制御部70には、地磁気センサ91と加速度センサ92からの取得データをもとに、距離測定装置1の3次元空間における姿勢を検出する姿勢検出部72と、距離測定装置1の3次元空間における変位量を検出する変位検出部73が含まれる。また、距離計測部71、姿勢検出部72、および変位検出部73の結果をもとに、3次元空間内の任意の2点間距離を算出する2点間距離算出部74と、3次元空間内の任意の2点間がなす角度を算出する2点間角度算出部75が含まれる。詳細な2点間距離の算出方法については後述する。
【0027】
<直接距離測定>
以下では、距離測定装置1から測定対象点までの直接距離の測定方法について説明する。距離計測部71は、レーザードライバ23に対して発光制御信号を出力する。レーザードライバ23は発光制御信号を受け、レーザーダイオード21の発光を行う。発光されたレーザー光は、投射レンズ22を介して平行光となり、投射部20から測定対象点に向けて出力される。また同時に、レーザードライバ23はレーザーダイオード21の発光タイミング信号S1を時間差計測部80へ出力する。
【0028】
投射されたレーザー光は、測定対象点を反射して受光部30へ入射する。受光部30へ入射したレーザー光は、集光レンズ31を介して、受光センサ32の受光面上に集光される。受光センサ32はレーザー光を検出して、受光タイミング信号S2を出力する。受光タイミング信号S2は、信号増幅部33を介して増幅され、時間差計測部80へ入力される。
【0029】
時間差計測部80は、発光タイミング信号S1が入力された時刻tと、受光タイミング信号S2が入力された時刻tの時間差ΔT(=t-t)を計測し、その結果を距離計測部71へ出力する。この時間差ΔTは、レーザーダイオード21から照射されたレーザー光が受光センサ32に到達するまでの飛行時間でもある。
【0030】
距離計測部71は、時間差ΔTの情報をもとに、距離測定装置1から測定対象点までの距離Dを算出する。一般に、測定距離Dはレーザー光の飛行時間ΔTの半分でレーザー光が進む距離であり、光の速度をcとすると、次式により求めることができる。
【数1】
【0031】
ただし、ここで距離Dは図3(a)に示すように、レーザーダイオード21の発光面と受光センサ32の受光面が、同一平面P上に存在するように配置されているものとし、この面Pから測定対象物上の測定対象点に至る距離である。
【0032】
レーザーダイオード21の発光面と受光センサ32の受光面が同一面上にない場合、また、距離測定の基準面Pを異なる別の基準面P′に採用する場合は、以下のように求める必要がある。すなわち、図3(b)に示すように、基準面P′からレーザーダイオード21の発光面までの距離をD、基準面P′から受光センサ32の受光面までの距離をDとして、次式により求めることができる。
【数2】
【0033】
一般に、回路上では信号の伝達に時間的な遅延が発生する。時間差計測部80で計測される時間差ΔTには、この遅延時間が含まれており、レーザー光の発光から受光までの正確な時間差を知るためには、ΔTに対してこの遅延時間を補正する必要がある。すなわち、発光タイミング信号S1の回路上の遅延時間をΔt、受光タイミング信号S2の回路上の遅延時間をΔtとすると、時間差計測部80が検出した時刻t、tと、レーザー光をレーザーダイオード21が発光、受光センサ32が受光した真の時刻t′、t′の間にはそれぞれ次の関係がある。
【数3】
【0034】
上記の関係から、レーザー光の発光から受光までの真の時間差ΔT′は、次式により求めることができる。
【数4】
【0035】
すなわち、前記の式2におけるΔTを上記のΔT′で置き換えることにより、正確に距離を算出することが可能である。
【数5】
【0036】
式4からわかるように、発光タイミング信号S1の遅延時間Δtと、受光タイミング信号S2の遅延時間Δtが同じであれば、ΔTとΔT′は等しくなる。すなわち、遅延時間ΔtとΔtが同じになるように回路を構成することで、距離計測部71の計算上で前記の遅延時間Δt、Δtを無視するようにしても良い。
【0037】
<姿勢検出>
以下では、距離測定装置1の姿勢を検出するために、姿勢検出部72で行う処理内容についての一例を示す。数式を扱う上で、スカラー量とベクトル量を区別するために、ベクトル量については「ベクトル」と明記し、数式中においては太字で表す。
【0038】
距離測定装置1内における地磁気センサ91と加速度センサ92、それぞれがもつ座表系XYZは、図4に示すように、互いに方向が一致するように配置しているものとする。また、レーザー光の投射方向はX軸方向になるように配置しているものとする。また、距離測定装置1は3次元空間内で静止しており、加速度センサ92は重力ベクトルのみを検出しているものとする。
【0039】
ただし、加速度センサ92が重力ベクトルのみを検出していれば、距離測定装置1が必ずしも静止している必要はない。すなわち、距離測定装置1が等速直線運動をしている場合であれば、以下の姿勢検出方法を適用することができる。
【0040】
姿勢検出部72は、通信インターフェースを介して、地磁気センサ91から地磁気ベクトルを、加速度センサ92から重力ベクトルを、それぞれ取得する。各センサから出力されるデータは、各センサが検出するベクトルの座標系XYZに対する座標成分である。以下では、この地磁気ベクトル、重力ベクトルを、それぞれ地磁気ベクトルB、重力ベクトルGで表すことにする。
【0041】
座標系XYZは各センサ、ひいては距離測定装置1に固定された座標系であるため、距離測定装置1の姿勢変化に伴って、地表に対して動的な座標系である。そこで、各センサから得られる地磁気ベクトルBと重力ベクトルGを利用して、地表に対して静的な座標系を以下の手順で形成する。
【0042】
地磁気ベクトルBと重力ベクトルGは、地表で考えるかぎり常に一次独立の関係にある。しかし、地磁気は地表に対して伏角をもつため、地磁気ベクトルBと重力ベクトルGは互いに直交関係にはない。そこで図5(a)に示すように、重力ベクトルGに垂直な平面Pを考え、その平面上への地磁気ベクトルBの射影ベクトルから地磁気ベクトルB′を求める。この方法はグラム・シュミットの直交化法としても知られており、以下の式により求めることができる。
【数6】
【0043】
ここで、地磁気ベクトルBの射影ベクトルを長さが1となるように正規化したものを地磁気ベクトルB′、重力ベクトルGを長さが1となるように正規化したものを重力ベクトルG′としている。B・G′は地磁気ベクトルBと重力ベクトルG′の内積を、|G|は重力ベクトルGの絶対値を表す。上記の地磁気ベクトルB′は、地磁気ベクトルBと地表に対して同じ方向を向き、かつ重力ベクトルGと互いに直交関係にあるベクトルとなる。
【0044】
前記の地磁気ベクトルB′と重力ベクトルG′から、外積ベクトルNを次のように定義する。
【数7】
【0045】
ここで、G′×B′は重力ベクトルG′と地磁気ベクトルB′との外積を表す。
【0046】
上記の手順で求めた重力ベクトルG′、地磁気ベクトルB′、外積ベクトルNの3つのベクトルは、それぞれのベクトルの長さが1に正規化され、かつ互いに直交関係にあるベクトル群である。また、上記のベクトルG′、B′、Nは、地磁気ベクトルBと重力ベクトルGが地表に対して常に一定であるため、地表に対して静的なベクトル群である。そこで、上記のベクトルG′、B′、Nをそれぞれベクトルe′、e′、e′と書き直し、それぞれが指す方向をX′軸、Y′軸、Z′軸とすると、座標系X′Y′Z′は右手系の直交座標系を形成する。この座標系X′Y′Z′を距離測定装置1の新たな基準座標系として採用する。
【0047】
上記の座標系の求め方は一例であり、この限りではない。たとえば、上記のベクトル群e′、e′、e′を空間回転したものを、新たな座標系として採用しても良い。また、必ずしも直交座標系である必要はなく、たとえば斜交座標系を採用しても良い。
【0048】
前述のように、レーザー光の投射方向は各センサのX軸方向になるように配置している。したがって図5(b)のように、座標系X′Y′Z′におけるX軸方向の座標成分を求めれば、地表に対する装置の姿勢を知ることが可能である。
【0049】
以下では、座標系X′Y′Z′におけるX軸方向の座標成分の求め方について、一例を示す。センサ上の座標系XYZにおけるX軸、Y軸、Z軸方向の単位ベクトルを、それぞれベクトルe、e、eとする。このとき、3次元空間内の任意のベクトルRは座標系XYZにおいて、次のように表すことができる。
【数8】
【0050】
ここでR、R、Rはそれぞれ、ベクトルRのX軸、Y軸、Z軸方向の座標成分である。一方、ベクトルRは座標系X′Y′Z′において、次のように表すことができる。
【数9】
【0051】
ここでR′、R′、R′はそれぞれ、ベクトルRのX′軸、Y′軸、Z′軸方向の座標成分である。上記の式8と式9は、3次元空間内の同じベクトルRを表すため、それぞれの右辺を等式で置くことができる。
【数10】
【0052】
上式を行列形式で書き直すと、次のようになる。
【数11】
【0053】
ここで(e′e′e′)は、ベクトルe′、e′、e′を列ベクトルにもつ行列を表す。式11の左側から、行列(e′e′e′)の逆行列(e′e′e′)-1を掛けると次式が得られる。
【数12】
【0054】
これは、座標系XYZから座標系X′Y′Z′への座標変換式である。すなわち、座標系XYZで表されたベクトルの座標成分を、座標系X′Y′Z′で表したい場合は、上式に基づいて変換を行えば良い。
【0055】
レーザー光の投射方向は座標系XYZのX軸方向であるため、式12においてR=1、R=0、R=0とすれば、座標系X′Y′Z′におけるX軸方向の座標成分が求められる。
【0056】
以上説明した姿勢の検出方法、計算方法は一例であり、この限りではない。距離測定装置1の3次元空間における姿勢を、一意的に決定することができる構成、計算方法であれば良い。
【0057】
姿勢変化が仰角方向のみに限定される場合、すなわち、重力方向を軸として、その周りの回転方向の姿勢変化を無視できる場合は、加速度センサ92から取得した重力ベクトルGのみを使用して仰角方向の姿勢変化を検出することで、地磁気センサ91を省略する構成としても良い。また、姿勢変化が仰角方向のみに限定されない場合であっても、地磁気センサ91を用いずに、加速度センサ92のみを用いて重力方向を軸とする回転方向以外の方向への姿勢変化のみを算出することによって、姿勢変化を検出しない場合に比べて後述する2点間距離の算出精度を向上することができる。
【0058】
<変位検出>
以下では、距離測定装置1の静止状態からの変位を検出するために、変位検出部73で行う処理内容について説明する。本実施形態に係る距離測定装置1は、ユーザが手に持って使用することが可能である。また、後述する2点間の距離測定を行う際に、2点に対する直接距離測定を行う間に距離測定装置1が変位してしまうことがあり、特に距離測定装置1を手に持って使用する場合にそれが顕著となる。以下に説明する変位検出を行いその結果を用いることによって、2点間距離測定の精度を向上することができる。
【0059】
変位検出部73は、図2に示すように、通信インターフェースを介して、地磁気センサ91と加速度センサ92から一定の時間間隔Δtでそれぞれのデータを取得するものである。
【0060】
前述のように、加速度センサ92から得られる情報は、図6(a)のようにセンサに印加される重力と加速度の合成ベクトルである。装置の変位を求めるためには、変位中に装置へ印加される加速度の時系列データが必要である。そのため、加速度センサ92から得られる情報から重力成分を除去し、加速度成分のみを抽出する必要がある。
【0061】
以下では、加速度センサ92から得られる情報から重力成分を除去し、加速度の時系列データを抽出する方法について一例を示す。なお、時刻tにおける重力ベクトルをG(t)、加速度ベクトルをa(t)、加速度センサ92から得られる重力と加速度の合成ベクトルをM(t)、また、地磁気センサ91から得られる地磁気ベクトルをB(t)とする。
【0062】
時刻tを、距離測定装置1が変位を始める直前の静止状態とする。このとき、加速度センサ92には距離測定装置1の変位による加速度が印加されていないため、加速度センサ92が検出する合成ベクトルM(t)は重力ベクトルG(t)に等しい。すなわち、次式が成り立つ。
【数13】
【0063】
この重力ベクトルG(t)を変位検出部73内に記憶しておく。また、時刻tにおいて地磁気センサ91が検出した地磁気ベクトルB(t)もあわせて変位検出部73内に記憶しておく。
【0064】
からΔt秒後の時刻をtとする(t=t+Δt)。また、時刻tには、距離測定装置1は変位を始めていたとする。このとき、加速度センサ92には重力と加速度の両者が印加されており、その合成ベクトルM(t)を検出する。時刻tにおける加速度ベクトルa(t)は、このM(t)と重力ベクトルG(t)との差、すなわち、a(t)=M(t)-G(t)から求めることができる。しかし、重力ベクトルG(t)は未知量である。そこで、Δtを十分に短い時間とすると、装置の姿勢は時刻tからほとんど変化していないと考えることができる。すなわち、重力ベクトルG(t)はG(t)に等しいとみなすことができ、加速度ベクトルa(t)は次式で表すことができる。
【数14】
【0065】
しかし、実際には時刻tでの装置の姿勢は時刻tから変化しており、それにともなって時刻tでの重力ベクトルG(t)は、G(t)から変化していると考えられる。そこで、時刻tでの重力ベクトルG(t)を地磁気ベクトルB(t)の変化から予測する。
【0066】
地表において、地磁気と重力の方向関係は本実施形態においては常に一定である。すなわち、時刻tからtの間における地磁気ベクトルB(t)の方向変化がわかれば、重力の方向変化も一意的に決定することができる。そこで図6(b)のように、地磁気ベクトルB(t)と重力ベクトルG(t)をそれぞれ、座標系XYZにもとづいた球座標表示で表すと、それぞれの天頂角θ(t)、θ(t)と方位角φ(t)、φ(t)は次式で表すことができる。
【数15】
【0067】
ここで、B(t)、B(t)、B(t)は座標系XYZにおける地磁気ベクトルB(t)のX軸、Y軸、Z軸方向の座標成分、また、G(t)、G(t)、G(t)は座標系XYZにおける地磁気ベクトルG(t)のX軸、Y軸、Z軸方向の座標成分である。
【0068】
地磁気ベクトルB(t)の、時刻tからtの間における方向変化ΔθB0、ΔφB0は、それぞれ次式により求めることができる。
【数16】
【0069】
これに伴って、重力ベクトルG(t)も時刻tからtの間に同様の方向変化を受けているはずである。すなわち、時刻tでの重力ベクトルの方向θ(t)、φ(t)は、それぞれ次式で表すことができる。
【数17】
【0070】
式17から、重力ベクトルG(t)の座標系XYZにおける各座標成分は、(式15)の逆変換として次式により求めることができる。
【数18】
【0071】
ただし、ここで重力ベクトルG(t)の大きさは|G(t)|は、地表では常に一定であるとし、時刻tから変化していないとした。上記手順で求めた加速度ベクトルa(t)と重力ベクトルG(t)を、変位検出部73内に記憶しておく。
【0072】
からさらにΔt秒後の時刻をtとする(t=t+Δt)。このとき、加速度センサ92は、距離測定装置1に印加される重力と加速度の合成ベクトルM(t)を検出する。ここで、再びΔtが十分に短い時間であれば、装置の姿勢は時刻tから大きく変化していないと考えることができ、重力ベクトルG(t)はG(t)に等しいとみなすことができる。すなわち、時刻tに加速度センサ92が検出した加速度ベクトルa(t)は次式で表すことができる。
【数19】
【0073】
また、地磁気ベクトルB(t)の時刻tからtの間における方向変化ΔθB1、ΔφB1から、時刻tにおける重力ベクトルG(t)は以下のように求められる。
【数20】
【0074】
上記手順で求めた加速度ベクトルa(t)と重力ベクトルG(t)を、変位検出部73内に記憶しておく。
【0075】
上記手順を時間間隔Δtで繰り返すことにより、加速度ベクトルa(t)と重力ベクトルG(t)の時系列データを得ることができる。一般に、時刻tでの加速度ベクトルa(t)、重力ベクトルG(t)は、以下のように表すことができる。
【数21】
【0076】
上記手順により得られた加速度ベクトルa(t)の時系列データから、距離測定装置1の時刻tからの変位を求める方法について、以下に一例を示す。一般に、加速度ベクトルa(t)と位置ベクトルx(t)は以下の微分方程式を満たしており、これを解くことにより加速度ベクトルa(t)に起因する位置ベクトルx(t)を求めることができる。
【数22】
【0077】
ここで、時刻tでは装置は静止していたため、初速度ベクトルは0である。また、静止状態からの相対的な変位を求めれば良いため、初期位置ベクトルについても0と置いて差し支えない。すなわち、速度ベクトルをv(t)とすると、以下の初期条件をもとに式22を解けば良い。
【数23】
【0078】
一般に、式22を位置ベクトルx(t)について解くためには、加速度ベクトルa(t)を時間tに関して2回積分を行う必要がある。しかし、いま得られている加速度ベクトルa(t)の情報は、時間間隔Δtの離散的な情報であるため、連続的な積分を実行することはできない。そこで、以下のように離散的な和によって解を求める。
【数24】
【0079】
ここでtは変位終了の時刻であり、nは時刻tからtまでの時間を時間間隔Δtで割った分割数である。式24から得られた解ベクトルx(t)が、求めるべき距離測定装置1についての静止状態からの変位である。以下、この解ベクトルx(t)をΔxと表すことにする。
【0080】
上記手順によって得られた変位ベクトルΔxは、座標系XYZから見た変位である。これを地表に対して静的な座標系X′Y′Z′から見た変位に置き換えるためには、式12によって、座標変換を行えば良い。すなわち、座標系X′Y′Z′から見た変位ベクトルをΔx′と表すと、次式により求めることができる。
【数25】
【0081】
上記の手順において、座標系XYZにおける変位ベクトルΔxを計算してから、座標系X′Y′Z′への座標変換を行い、変位ベクトルΔx′を求めたが、変位ベクトルΔx′を求める方法はこの限りではない。たとえば、加速度ベクトルa(t)について先に座標系X′Y′Z′への座標変換を行った上で、その積分(あるいは級数)計算を行っても良い。すなわち、座標系X′Y′Z′における加速度ベクトルと速度ベクトルを、それぞれa′(t)、v′(t)として、次式のように計算しても同様に変位ベクトルΔx′を求めることができる。
【数26】
【0082】
また、変位検出部73は地磁気センサ91、および加速度センサ92から、一定の時間間隔Δtでデータを読み取るとしたが、一定である必要はない。変位ベクトルx(t)を求めるために十分に短い時間間隔であれば、Δtの幅を任意に選んでも良い。この場合、時刻tからの時間間隔Δtを時系列で変位検出部73内に記憶しておき、式24を以下のように変更して計算を行えば良い。
【数27】
【0083】
また上記手順において、任意の時刻における重力ベクトルG(t)を予測するために、地磁気ベクトルB(t)の時間的な方向変化を用いたが、予測方法はこの限りではない。たとえば、距離測定装置1にジャイロセンサを設けることで、装置の角加速度をあわせて取得し、その情報から重力ベクトルG(t)の方向を予測する構成としても良い。
【0084】
<2点間距離測定>
以下では、前述の『直接距離測定』、『姿勢検出』、『変位検出』を応用して、3次元空間内の任意の2点間距離を算出するために、2点間距離算出部74で行う処理内容について、図7をもとに説明する。測定対象となる3次元空間内の2点をそれぞれA点、B点とする。
【0085】
まず、距離測定装置1によってA点までの直接距離を測定する。このときの3次元空間における装置の位置をOとする。O点からA点までの距離は『直接距離測定』で述べた方法によって測定することができる。また同時に、『姿勢検出』で述べた方法によって、地表に対して静的な座標系X′Y′Z′における装置の姿勢も検出することができる。これにより、O点からA点に向かうA点距離ベクトルrを求めることができる。
【0086】
次に、距離測定装置1によってB点までの直接距離を測定する。しかし、装置をB点の方向に向ける際、B点の測定基準位置は、先ほどA点を測定した時の基準位置Oから一般にずれている。このO点からのずれを、『変位検出』で述べた方法によって検出する。いま、装置の方向をA点からB点に向けたことにより、3次元空間における装置の位置がO点からO′点にずれたとすると、O点からO′点に向かうベクトルは、まさに『変位検出』で求めた変位ベクトルΔx′そのものである。
【0087】
ここで、装置の位置をO点、O’点としたが、実際には、『直接距離測定』を行う距離計測部71の位置をO点、O’点とすることが好ましい。すなわち、変位検出としては、距離計測部71の変位を検出することが望ましい。すなわち、『変位検出』を行う加速度センサ92の位置と距離計測部71とを、例えば距離測定装置1におけるY軸方向に重なる位置に隣接して配置することによって、距離計測部71の変位を算出しても良い。また、距離測定装置1内における距離計測部71と加速度センサ92との相対的な位置に基づいて、加速度センサ92が検出した変位から、距離計測部71の変位を算出して用いても良い。
【0088】
上記を踏まえて、O′点からB点までの直接距離を測定する。O点からA点までの直接距離を測定したときと同様に、『直接距離測定』によってO′点からB点までの距離を、『姿勢検出』によって座標系X′Y′Z′における装置の姿勢をそれぞれ検出し、O′点からB点に向かうB点距離ベクトルrを求める。
【0089】
上記で求めた3つのベクトルr、Δx′、rを利用すると、図7から2点間距離ABは次式により求められることがわかる。
【数28】
【0090】
式27の計算は、各ベクトルの成分の和を求めてから絶対値をとっても良いし、ベクトルの内積を利用して、以下のように計算しても良い。
【数29】
【0091】
<2点間角度測定>
以下では、前述の『直接距離測定』、『姿勢検出』を応用して、3次元空間内の任意の2点をなす角度を算出するために、2点間角度算出部75で行う処理内容について、図8をもとに説明する。測定対象となる3次元空間内の2点をそれぞれA点、B点とする。
【0092】
まず、距離測定装置1によってA点までの直接距離を測定する。このときの3次元空間における装置の位置をOとする。座標系X′Y′Z′におけるO点からA点に向かうA点距離ベクトルrは、『2点間距離測定』で述べた方法と同様に求めることができる。
【0093】
次に、距離測定装置1によってB点までの直接距離を測定する。このときの装置の3次元空間内の位置をO′とする。座標系X′Y′Z′におけるO′点からB点に向かう距離ベクトルrについても、上記と同様に求めることができる。
【0094】
上記で求めた2つのベクトルr、rを利用すると、3次元空間において2つのベクトルr、rがなす角度、すなわち、2直線OA、O’Bがなす角度θは、図8からベクトルの内積計算により、次のように求められることがわかる。
【数30】
【0095】
ここで、rAx、rAy、rAzは距離ベクトルrのX′軸、Y′軸、Z′軸方向の座標成分、また、rBx、rBy、rBzは距離ベクトルrのX′軸、Y′軸、Z′軸方向の座標成分である。
【0096】
上記の説明において、装置をA点からB点に向ける際に伴う、測定基準位置の変位(O点からO′点に向かう変位ベクトルΔx′)を考慮しなかったが、『2点間距離測定』の場合と同様に、変位ベクトルΔx′を考慮に入れて、O点でのOA、OBがなす角度、あるいは、O′点でのO′A、O′Bがなす角度を計算する仕様としても良い。このとき、O点でのOA、OBがなす角度θを計算する場合はベクトルrとΔx′+rの内積を、O′点でのO′A、O′Bがなす角度θを計算する場合はベクトルr-Δx′とrの内積を、式29と同様の手順で計算すれば良い。
【0097】
<動作モード:直接距離測定モード>
以下、制御部70によって制御される距離測定装置1の動作モードについて説明する。本実施形態に係る距離測定装置1は、動作モードの一例として直接距離測定モードを有する。
【0098】
制御部70に対し、直接距離測定モードでの動作指示が、操作部40に対する操作入力にもとづいて入力されると、制御部70が距離測定装置1を直接距離測定モードに設定する。制御部70は操作部40からの操作入力にもとづいて、直接距離を測定するために以下の制御を行う。
【0099】
ユーザは距離測定装置1を測定対象点に向けて、操作部40からレーザー光の投射指示を行う。制御部70は前記の指示を受けて、投射部20へ発光制御信号を出力し、投射部からレーザー光を測定対象点に向けて投射する。なお、この段階では直接距離の測定は行わないものとする。
【0100】
ユーザは測定対象点に映るレーザー光の照射点を確認しながら、真に測定したい位置を定める。その上で、操作部40から直接距離の測定実行指示を行う。制御部70は前記の指示を受けて、『直接距離測定』で述べた方法によって、測定対象点までの直接距離の測定を実行する。
【0101】
測定した直接距離の結果は、表示部50へ表示することによって、ユーザへ通知する。ユーザは表示された結果を確認して、再度測定を行いたい場合はレーザー光の投射指示を、また、測定を終了したい場合は直接距離測定モードの終了指示を、操作部40から行う。
【0102】
上記の説明において、直接距離の測定を「レーザー光の投射」と「距離の測定実行」の2段階のステップに分け、2段階の指示をユーザへ求めるようにしたが、この限りではない。たとえば、一定の時間間隔で「レーザー光の投射」と「距離の測定実行」を自動で繰り返すことで、連続的に直接距離の測定を行い、測定結果をリアルタイムに表示部50に表示する仕様としても良い。
【0103】
また、「レーザー光の投射」と「距離の測定実行」の2段階のステップは、操作部40の1つのスイッチによって指示するように構成しても良い。たとえば、スイッチを押し続けることで「レーザー光の投射」指示を行い、スイッチを離したタイミングで「距離の測定実行」指示を行う構成としても良い。これにより、レーザー光を常時投射し続けることがなくなり、ユーザや周囲の人の目にレーザー光を晒し続ける危険性を回避することができると共に、スイッチを押下する操作としては1度の操作で距離測定を実行することができ、操作性が向上する。
【0104】
また、「レーザー光の投射」を指示後、一定時間「距離の測定実行」が行われなかった場合、レーザー光の投射を停止する構成としても良い。これにより、上記と同様の危険性を回避できると同時に、レーザー光を投射し続けることによる電源部61の電力消費を低減することができる。
【0105】
また、1回の「距離の測定実行」指示に対して、複数回の測定を実行し、その平均値を制御部70内で算出して表示する構成としても良い。これにより、測定結果のバラつきを抑えることが可能である。また、この測定回数を操作部40からの操作によって、設定できる構成としても良い。
【0106】
また、距離測定装置1にスピーカーやブザーなどの発音部を設ける構成としても良い。これにより、ユーザへの測定完了通知を表示部50に表示するだけでなく、聴覚的に通知することで、ユーザは表示部50を確認せずに測定完了を認識することができる。
【0107】
また、距離測定装置1にLEDなどのランプを設ける構成としても良い。たとえば青色と赤色のLEDを搭載することにより、測定が正常に完了すれば青色LEDを点灯、測定中に異常が発生すれば赤色LEDを点滅するなど、ユーザへの視認性を向上することができる。
【0108】
<動作モード:2点間距離測定モード>
本実施形態に係る距離測定装置1は、動作モードの一例として2点間距離測定モードを有する。本動作モードの測定方法は、前記の『2点間距離測定』に準ずる。
【0109】
制御部70に対し、2点間距離測定モードでの動作指示が、操作部40に対する操作入力にもとづいて入力されると、制御部70が距離測定装置1を2点間距離測定モードに設定する。制御部70は操作部40からの操作入力にもとづいて、3次元空間における2点間距離を測定するために以下の制御を行う。
【0110】
ユーザは距離測定装置1を、1点目の測定対象点に向けて、直接距離測定モードと同様の手順により測定を行う。このとき、測定結果を表示部50へ表示することによって、ユーザへ1点目の測定が完了したことを通知する。
【0111】
また、1点目の測定実行と同時に『変位検出』の機能を有効にし、1点目の測定位置からの、3次元空間における距離測定装置1の変位を検出する。
【0112】
ユーザは距離測定装置1を、2点目の測定対象点に向けて、直接距離測定モードと同様の手順により測定を行う。このとき、「レーザー光の投射」ステップ中は『変位検出』機能を継続して有効にしておき、「距離の測定実行」指示がなされたことに基づいて終了する。これにより、『2点間距離測定』で詳述した、O点からO′点までの変位ベクトルΔx′を正確に検出することができる。
【0113】
2点目の測定結果、および2点間距離の測定結果を、表示部50へ表示することによって、ユーザへ測定が完了したことを通知する。ユーザは表示された結果を確認して、再度測定を行いたい場合は1点目の測定開始指示を、また、測定を終了したい場合は2点間距離測定モードの終了指示を、操作部40から行う。
【0114】
本動作モードは、『変位検出』機能の有効/無効を、操作部40から選択できる機能を有する。これにより、たとえばO点とO′点が一致することが保証されている場合などに、式28における距離測定装置1の変位ベクトルΔx′を0とおくことができ、制御部70での処理内容を軽減できる。このとき、式29は以下の余弦定理へ帰着し、式31のようになる。
【数31】
【0115】
上記の2点間距離測定モードについて、動作フローチャートを図9に示す。距離測定装置1に2点間距離測定モードが設定されると、ステップF1において、測定回数を数える測定カウンタNを0に初期化し、操作部40へレーザー投射指示が入力されるのを待機する(ステップF2)。
【0116】
操作部40によってレーザー投射指示が入力されると、レーザー光の投射を実行し(ステップF3)、次にステップF4において、操作部40へ距離測定実行指示が入力されるのを待機する。
【0117】
距離測定実行指示を受けると、測定カウンタNをインクリメントする(ステップF5)。インクリメントした結果、Nが1の場合(1点目の測定の場合)は、変位検出を開始し(ステップF7)、地磁気センサ91及び加速度センサ92を用いて距離測定装置1の3次元空間における変位の検出を開始する。インクリメントした結果、Nが2の場合(2点目の測定の場合)は、変位検出機能を終了し(ステップF8)、ステップF7で変位検出を開始してからの変位量を算出する。
【0118】
そして、ステップF9において距離計測部71によってN点目の距離測定を実行し、その測定結果を表示部50へ表示する(ステップF10)。このとき、距離計測部71によって距離の計測を開始するのと同時に地磁気センサ91を用いて距離計測部71の姿勢を検出する。
【0119】
この時点で測定カウンタNの値が2の場合、すなわち、2点間距離の対象となる2点の測定が完了した場合は、2点間距離の算出を行い(ステップF12)、その結果も併せて表示部50へ表示する(ステップF13)。測定カウンタNの値が1の場合、すなわち、まだ1点目の測定しか完了していない場合は、ステップF2へ戻り、2点目の測定サイクルの実行を待機する。ここで、上述したように、2点目の測定指示、すなわち本動作モードにおいてはレーザー投射指示が所定時間の間なされない場合には、2点間距離測定モードを終了するようにしても良い。
【0120】
ステップF14において、操作部40へ継続測定指示がない場合は、2点間距離測定モードを終了する。継続測定指示があった場合は、ステップF1へ戻り、上記のステップを繰り返す。なお、ステップF14において、ステップF2に相当する操作部40へのレーザー投射指示を受け付けたことを以って、継続測定指示があったと判定し、測定カウンタNを初期化(ステップS1)し、そのままステップF3に進んでも良い。
【0121】
<動作モード:2点間角度測定モード>
本実施形態に係る距離測定装置1は、動作モードの一例として2点間角度測定モードを有する。本動作モードの測定方法は、上述した『2点間角度測定』に準ずる。
【0122】
制御部70に対し、2点間角度測定モードでの動作指示が、操作部40に対する操作入力にもとづいて入力されると、制御部70が距離測定装置1を2点間角度測定モードに設定する。制御部70は操作部40からの操作入力にもとづいて、3次元空間における2点がなす角度を測定するために以下の制御を行う。
【0123】
測定手順は、基本的に2点間距離測定モードと同様である。すなわち、ユーザはまず、距離測定装置1を1点目の測定対象点に向けて測定を行い、距離測定装置1を2点目の測定対象点に向けて測定を行う。
【0124】
2点それぞれの測定結果、および2点間をなす角度の算出結果を、表示部50へ表示することによって、ユーザへ測定が完了したことを通知する。ユーザは表示された結果を確認して、再度測定を行いたい場合は1点目の測定開始指示を、また、測定を終了したい場合は2点間角度測定モードの終了指示を、操作部40から行う。
【0125】
本動作モードは、測定角度の対象を操作部40から選択できる機能を有する。『2点間角度測定』において詳述したように、算出する角度の対象として、O点での直線OA、OBがなす角度、O′点での直線O′A、O′Bがなす角度、変位ベクトルΔx′を無視したrとrの相対角度、が考えられる。これが選択できることにより、ユーザは所望の角度を測定することができる。なお、これらの角度を選択可能にしても良いし、すべてまたは一部を表示部50に表示するようにしても良い。また、複数の算出角度を組み合わせた結果を表示しても良く、例えば平均値を表示しても良い。また、これらの場合、変位ベクトルΔx′が所定値を超える場合には、エラーを表示するようにしても良い。測定し直すことで変位ベクトルΔx′が所定値を下回るようにすることで、角度の算出精度を向上することができる。
【0126】
また本動作モードは、角度だけに限らず、図7に示すような3つのベクトルr、Δx′、rで閉じた図形の任意の角度を測定できる構成としても良い。これにより、ユーザはr、Δx′、rで閉じた図形において、知りたい角度部分を選択することにより、所望の角度を測定することができる。なお、表示部50にこの閉じた図形自体を表示して、それぞれの角度の一部または全部を表示するようにしても良い。
【0127】
(第2実施形態)
<外部機器からの自動制御の例>
本実施形態においては、距離測定装置1に外部機器との通信機能を搭載可能にした場合の他の制御態様を以下に説明する。ここでの外部機器とは、PC、スマートフォン、タブレット端末、またシーケンサをはじめとした各種産業用電子機器などが挙げられる。以下の説明においては、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、それ以外の説明は省略する。
【0128】
この態様においては、距離測定装置1は内部構成として外部機器との通信インターフェース部を備え、制御部70によって管理、制御される。この通信インターフェース部としては、USBをはじめとした有線通信や、Wi-Fiをはじめとした無線通信が含まれる。また通信プロトコルは、MODBUS(登録商標)など産業用電子機器との接続手段として一般的なものを採用しても良いし、独自のプロトコルを作成して採用しても良い。
【0129】
制御部70には、距離測定装置1の各種制御に対応したコマンド群が用意されるように構成しても良い。これにより、外部機器は所望の制御に対応した指示コマンドを距離測定装置1に送信することで、距離測定装置1の任意の制御が行えるように構成しても良い。たとえば、「直接距離の測定実行」や、「測定結果の読み出し」などの制御指示を用意しても良い。
【0130】
制御コマンドの一例を表1に示す。想定し得る制御の種類は、この限りではない。
【表1】
【0131】
PCやスマートフォン、タブレット端末上から制御を行う場合は、各デバイス向けのアプリケーションを用意しても良い。たとえば、iOS(登録商標)やAndroid(登録商標) OSに対応したスマートフォン向けのアプリケーションを用意し、スマートフォン上のタッチ操作から、Wi-Fi経由で前記の指示コマンドを送信し、距離測定装置1の各種制御を行う構成としても良い。
【0132】
距離測定装置1をスマートフォン2から操作した場合の様子と、スマートフォン2上で動作するアプリケーションの画面構成について、図10に一例を示す。アプリケーションの画面構成は一例であり、この限りではない。
【0133】
図10においては、スマートフォン2を用いて距離測定装置1を動作させて2点間距離測定モードでA点とB点との距離を測定し、その結果をスマートフォン2の表示画面上に表示した状態を示している。この表示画面上においては、距離測定装置1からA点までの距離とB点までの距離のそれぞれと、A点とB点の2点間の距離を併記して表示するようにしている。
【0134】
<外部機器との連携による2点間距離測定システム>
上述した通信機能を利用して、外部機器と連携した場合の制御態様を以下に説明する。これまでの説明においては、距離測定装置1内に地磁気センサ91や加速度センサ92を設け、姿勢検出や変位検出、ひいては2点間距離測定などの各種測定を、距離測定装置1単体で行える構成としていた。
【0135】
ここでは、距離測定装置1内には地磁気センサ91や加速度センサ92を設けず、通信機能を介して、外部機器がもつ地磁気センサや加速度センサのデータを利用することで、2点間距離測定などの各種計算を行う構成について、図11をもとに説明する。外部機器としてはスマートフォン、タブレット端末などが挙げられる。以下では、外部機器をスマートフォン2として説明する。
【0136】
図11(a)に示すように、距離測定装置1とスマートフォン2は、固定部品3によって互いに連結されている。これにより、距離測定装置1とスマートフォン2は、3次元空間における互いの姿勢および位置関係を、常に一定に保つことができる。すなわち、スマートフォン2内の地磁気センサ、および加速度センサが検出するそれぞれのデータは、距離測定装置1内に各センサが設置されていた場合に検出するデータと同等である。なお、固定部品3は、距離測定装置1を構成する一部品と一体に構成されていても良い。固定の仕方としては、例えばスマートフォン2が有するコネクタに挿抜される接続子によって固定されるようにしても良く、その場合には、コネクタを介したデータの送受信が可能なように構成しても良い。
【0137】
スマートフォン2上ではアプリケーションが起動しており、自身がもつ地磁気センサ、および加速度センサからそれぞれの検出データを、リアルタイムで読み込んでいる。
【0138】
距離測定装置1は、地磁気センサと加速度センサのデータが必要なタイミングで、スマートフォン2に対して要求を出す。スマートフォン2はこの要求を受け、地磁気センサと加速度センサそれぞれの現在値を、通信インターフェースを介して距離測定装置1へ送信する。
【0139】
距離測定装置1は、スマートフォン2から地磁気センサ、および加速度センサのデータを受信し、そのデータを利用することで、姿勢検出や変位検出などの各種計算処理を行う。これにより、距離測定装置1に各種センサを設けることなしに、同様の機能を実現することができる。
【0140】
ただし、スマートフォン2内の加速度センサが検出する加速度ベクトルa(t)をもとに変位検出の計算を行うと、それはスマートフォン2本体の変位ベクトルΔx′を求めることになる。それは一般に、距離測定装置1の変位ベクトルΔx′とは異なる。
【0141】
そこで、図11(a)に示すように固定部品3によって連結した時の、距離測定装置1とスマートフォン2との相対的な位置を指し示す、座標系XYZにおける相対位置ベクトルrをパラメータとして設定できるように構成しておくと良い。これにより、スマートフォン2内の加速度センサでも、距離測定装置1の変位ベクトルΔx′を以下のように求めることができる。相対位置ベクトルrの設定としては、例えばスマートフォン2の機種ごとに予め設定されていても良い。その場合、例えばスマートフォン2上で動作するアプリケーション上で機種名を入力する、もしくはスマートフォン2内に記憶された機種情報を取得することによって相対位置ベクトルrを設定しても良い。スマートフォン2の機種ごとの相対位置ベクトルrについては、不図示のサーバに保存されたテーブルから取得するなどの方法を用いても良い。
【0142】
1点目と2点目それぞれの測定時において、ベクトルrの座標系X′Y′Z′における座標成分を座標変換により求め、それぞれrs1′、rs2′とする。すると、図11(b)からわかるように、距離測定装置1の変位ベクトルΔx′は次式により算出することができる。
【数32】
【0143】
また上記の説明において、距離測定装置1側で姿勢検出や変位検出などの各種計算処理を行う構成としたが、この限りではない。たとえば、距離測定装置1はスマートフォン2からの要求を受けて距離測定を実行し、スマートフォン2はその結果を受け取ることで、スマートフォン2側で各種計算処理を行う構成としても良い。
【0144】
(第3実施形態)
本実施形態においては、第1実施形態もしくは第2実施形態と同様の構成であるが、2点間距離測定モードを実行した際の表示制御が異なる。以下の説明においては、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、それ以外の説明は省略する。
【0145】
本実施形態においては、操作部40の操作によって、『水平距離測定モード』、もしくは『鉛直距離測定モード』を選択可能に構成されている。
【0146】
『水平距離測定モード』が選択された場合には、第1実施形態において説明した『2点間距離測定モード』において算出した2点間距離における水平成分、すなわちX’Y’Z’座標において地表と平行なY’Z’平面上における距離もしくはY’軸方向やZ’軸方向における距離を算出して表示する。但し、X’Y’Z’座標で算出した3次元空間での距離などの他の距離と同時に表示部50に表示することを妨げない。
【0147】
『鉛直距離測定モード』が選択された場合には、同様に、第1実施形態において説明した『2点間距離測定モード』において算出した2点間距離における鉛直成分、すなわちX’Y’Z’座標において地表と垂直なX’Y’平面もしくはY’Z’平面上における距離またはX’軸方向における距離を算出して表示する。但し、X’Y’Z’座標で算出した3次元空間での距離などの他の距離と同時に表示部50に表示することを妨げない。
【0148】
このように、『水平距離測定モード』、もしくは『鉛直距離測定モード』を選択可能に構成することで、ユーザが所望する平面上や軸上における距離を算出することができるため、測定対象点の物理的な形状などに関わらず、所望の距離を測定することができる。
【0149】
以上説明した実施形態においては、測定対象点までの距離を計測した時点で姿勢や変位検出を実行したが、必ずしも距離計測と同時に行わなくても良い。例えば、図9を用いて説明した方法によれば、レーザー光を投射して距離計測を開始するのと同時に姿勢検出を行ったが、レーザー光の投射直前や、レーザー光の投射後に受光して測定対象点までの距離を算出した後などに姿勢検出を行っても良い。
【0150】
同様に、変位検出においても、1点目の測定対象点までの距離計測を開始してから2点目の測定対象点までの距離計測を終了するまで計測し続けている例を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、1点目の測定対象点までの距離計測を開始してから所定の時間経過や変位量の検出があったことを以って2点間距離算出に用いる変位検出を開始しても良い。また、2点目の距離計測が実行されるまでに所定のタイミングで間欠的に変位を検出しており、2点目の距離計測の実行指示がなされた時点から、所定の時間かサンプル数遡った時点からの変位量データを除いて、変位量を2点間距離算出に用いるようにしても良い。
【0151】
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0152】
1 距離測定装置
2 スマートフォン
3 固定部品
10 本体
20 投射部
21 レーザーダイオード
22 投射レンズ
23 レーザードライバ
30 受光部
31 集光レンズ
32 受光センサ
33 信号増幅部
40 操作部
50 表示部
60 電池蓋
61 電源部
70 制御部
71 距離計測部
72 姿勢検出部
73 変位検出部
74 2点間距離算出部
75 2点間角度算出部
80 時間差計測部
90 センサ部
91 地磁気センサ
92 加速度センサ
図1
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