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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】LED発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20221118BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221118BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20221118BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20221118BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20221118BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221118BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
H01L33/60
F21V19/00 170
F21S2/00 312
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018150266
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020027814
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正博
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐治
(72)【発明者】
【氏名】松村 一輝
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/069671(WO,A1)
【文献】特開2010-263128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0187839(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106356439(CN,A)
【文献】特開2013-182917(JP,A)
【文献】国際公開第2012/165007(WO,A1)
【文献】特開2018-032693(JP,A)
【文献】特開2009-206246(JP,A)
【文献】特開2015-008329(JP,A)
【文献】特開2018-056360(JP,A)
【文献】特開2014-225600(JP,A)
【文献】特開2014-112635(JP,A)
【文献】特開2017-163001(JP,A)
【文献】特開2010-147318(JP,A)
【文献】特開2011-096739(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0088142(US,A1)
【文献】特開2011-254079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21V 19/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装された複数の第1LEDダイ及び第2LEDダイと、
前記第1LEDダイと第2LEDダイとの間に充填され、第1LEDダイ及び第2LEDダイの側面を覆う白色反射樹脂と、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの上面をそれぞれ個別に覆う第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂と、
前記白色反射樹脂並びに前記第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂を覆う透明樹脂と
を備え、
高い色温度で発光する前記第1蛍光樹脂を有する第1発光領域と、低い色温度で発光する前記第2蛍光樹脂を有する第2発光領域とを市松模様状に配列すると共に、
前記第1LEDダイと第2LEDダイとの間に前記白色反射樹脂だけを配することで、前記第1LED及び第2LEDの上面からのみ出射させ、
前記第1蛍光樹脂と前記第2蛍光樹脂は、底面積および樹脂の厚みが互いに異なることを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記白色反射樹脂は、前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの側面を覆うと共に両側面の間で断面がメニスカス状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第2蛍光樹脂は、底面積および樹脂の厚みが前記第1蛍光樹脂よりも大きい請求項1に記載のLED発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚の基板上に第1色で発光する領域と、第2色で発光する領域とを備えたLED発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一枚の基板上に、第1色で発光する領域(以下「第1発光領域」という)と、第2色で発光する領域(以下「第2発光領域」という)とを備え、第1発光領域と第2発光領域の発光強度を調整し、調光及び調色することが可能なLED発光装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、渦巻き状の第1発光領域と第2発光領域を備えたLED発光装置100が記載されている。そこで、特許文献1の図1を、本願の図6に引用し、LED発光装置100について説明する。図6は、LED発光装置100の平面図である。
【0004】
図6に示すように、LED発光装置100は、基板101、LEDダイ102(LEDチップ)、ワイヤ103、印刷抵抗素子104、第1樹脂ダム105、第2樹脂ダム106、第1蛍光体含有樹脂層107、第2蛍光体含有樹脂層108、電極ランド110~113を備えている。第1及び第2蛍光体含有樹脂層107、108が充填された領域は、それぞれ第1発光領域及び第2発光領域となる。LEDダイ102は、青色発光ダイオードであり、それぞれの発光領域でワイヤ103により直列接続している。第1発光領域は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードの発光の一部を波長変換して緑色に発光する蛍光体を含有する第1蛍光体含有樹脂層107とにより、青色光と緑色光が混色した発光色となる。第2発光領域は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードの発光の一部を波長変換して赤色で発光する蛍光体を含有する第2蛍光体含有樹脂層108とにより、青色光と赤色光が混色した発光色となる。
【0005】
例えば、特許文献2には、長方形の第1発光領域と第2発光領域が市松模様状に配列したLED発光装置120が記載されている。そこで、特許文献2の図1及び図3を、それぞれ本願の図7及び図8に引用し、LED発光装置120について説明する。なお、引用に当たり符号を変更している。また、図7においては、断面線であるAA´線を加えてある。
【0006】
図7は、LED発光装置120の斜視図である。図7に示すように、LED発光装置120は、モジュール基板121、電極122a~122d、ダム123、白色反射部材124、寒色発光で発光する第1発光領域125、暖色で発光する第2発光領域126を備えている。
【0007】
図8は、図7に示すAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置120の断面図であり、第1発光領域125と第2発光領域126がそれぞれ1つずつ示されている。図8に示すように、モジュール基板121上には、2つのLEDダイ131が実装されている。それぞれのLEDダイ131は、側面と上面が寒色蛍光体132及び暖色蛍光体133で被覆されている。寒色蛍光体132及び暖色蛍光体133の間には、白色反射部材124が充填されている。
【0008】
寒色蛍光体132及び暖色蛍光体133を平面視したとき、寒色蛍光体132及び暖色蛍光体133が占める発光領域は、それぞれ第1発光領域125及び第2発光領域126となる。また、LEDダイ131と寒色蛍光体132は、いわゆるCSP135(チップサイズパッケージ)を構成する。LED発光装置120では、CSP135は、モジュー
ル基板121にフリップチップ実装されている。同様に、LEDダイ131と暖色蛍光体133は、いわゆるCSP136を構成し、CSP136は、モジュール基板121にフリップチップ実装されている。白色反射樹脂124は、CSP135、136をモジュール基板121に実装したあと、CSP135、136の間に充填されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-34287号公報(図1
【文献】特開2014-225600号公報(図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
LED発光装置100は、混色性を高くするため、第1発光領域(第1蛍光体含有樹脂層107)と第2発光領域(第2蛍光体含有樹脂層108)をそれぞれ渦巻き状にし、互いに嵌め込んでいる。LED発光装置120は、混色性を高くするため、寒色で発光する第1発光領域125と、暖色で発光する第2発光領域126を市松模様状に配列している。
【0011】
しかしながら、LED発光装置100は、第1発光領域107と第2発光領域108の間にダム(第2樹脂ダム106)があるため、第1発光領域中のLEDダイ102と第2発光領域中のLEDダイ102とを近接できない。すなわち、LED発光装置100には、LEDダイ102を密集させることにより発光強度を高めることが困難である、という課題がある。
【0012】
同様に、LED発光装置120は、LEDダイ131の側面に蛍光樹脂132a、133aを備えている(図8参照)。すなわち、LED発光装置120には、蛍光樹脂132a、133aがあるため、LEDダイ131を密集させることにより発光強度を高めることが困難である、という課題がある。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、1つの基板上に異なる色で発光する発光領域を備えたLED発光装置において、高い混色性を維持しながら、それぞれの発光領域に含まれるLEDダイ同士を近接配置できるLED発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明のLED発光装置は、基板と、前記基板に実装された複数の第1LEDダイ及び第2LEDダイと、前記第1LEDダイと第2LEDダイとの間に充填され、第1LEDダイ及び第2LEDダイの側面を覆う白色反射樹脂と、前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの上面をそれぞれ個別に覆う第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂と、前記白色反射樹脂並びに前記第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂を覆う透明樹脂とを備え、高い色温度で発光する前記第1蛍光樹脂を有する第1発光領域と、低い色温度で発光する前記第2蛍光樹脂を有する第2発光領域とを市松模様状に配列すると共に、前記第1LEDダイと第2LEDダイとの間に前記白色反射樹脂だけを配することで、前記第1LED及び第2LEDの上面からのみ出射させ、前記第1蛍光樹脂と前記第2蛍光樹脂は、底面積および樹脂の厚みが互いに異なることを特徴とする。
【0015】
本発明のLED発光装置では、第1発光領域に1個の第1LEDダイと第1蛍光樹脂とが含まれ、第2発光領域には1個の第2LEDダイと第2蛍光樹脂とが含まれる。第1LEDダイと第2LEDダイは、基板上で市松模様状に配列しているので、第1発光領域と第2発光領域も基板上で市松模様に配列する。隣接する第1LEDダイと第2LEDダイとの間には、白色反射樹脂が充填されているため、第1LEDダイ及び第2LEDダイの発光は、上面からのみから出射する。この光の一部は、第1LEDダイ及び第2LEDダイの上面に配された第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂により波長変換される。第1発光領域
及び第2発光領域では、波長変換されなかった光と波長変換された光が、第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂を保護する透明樹脂を通ってLED発光装置の外側に放射される。
【0016】
前記第1蛍光樹脂は、前記第2蛍光樹脂と高さが異なっても良い。
【0017】
前記白色反射樹脂は、前記第1蛍光樹脂と前記第2蛍光樹脂の間で、断面がメニスカスとなっていても良い。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のLED発光装置は、1枚の基板上において、それぞれ発光色の異なる第1発光領域と第2発光領域とが市松配置しているため混色性が高い。さらに、第1発光領域に含まれる第1LEDダイと第2発光領域に含まれる第2LEDダイとは、それらの間に白色反射樹脂だけが配されていることから、近接して実装することが可能となる。
【0019】
したがって、本発明のLED発光装置は、1つの基板上に異なる色で発光する複数の発光領域を備えていても、高い混色性を維持しながら、それぞれの発光領域に含まれるLEDダイ同士を近接配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態として示すLED発光装置の平面図である。
図2図1に示すLED発光装置の部分断面図である。
図3図1に示すLED発光装置の平面図である。
図4図1に示すLED発光装置の回路図である。
図5】本発明の第2実施形態として示すLED発光装置の断面図である。
図6】従来技術として示すLED発光装置の平面図である。
図7】他の従来技術として示すLED発光装置の斜視図である。
図8図7に示すLED発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1~5を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0022】
(第1実施形態)
図1~4により、本発明の第1実施形態として示すLED発光装置10について説明する。
【0023】
図1は、LED発光装置10の平面図である。図1に示すように、LED発光装置10は、基板13と、基板13の2つの隅に形成された電源電極16、17、18、19と、電源電極16~19より内側の領域に形成されたダム15と、ダム15の内側に充填された白色反射樹脂44と、白色反射樹脂44から露出するようにして市松模様状に配列する第1発光領域11d及び第2発光領域12dとを備えている。なお、ダム15の内側の領域では、白色反射樹脂44並びに第1発光領域11d及び第2発光領域12dの上面を透明樹脂41が覆っている。第1発光領域11dに含まれる第1LEDダイ11b(図2図3参照。)同士や、第2発光領域12dに含まれる第2LEDダイ12b(図2図3参照。)同士を結ぶワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0024】
図2は、図1のCC´線に沿って要部を描いたLED発光装置10の部分断面図である。図2には、第1発光領域11dと第2発光領域12dがそれぞれ1つずつ示されている
図2に示すように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bは、基板13上に接着剤45を介して実装されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間は、白色反射樹脂44が充填されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面は、それぞれ第1蛍光樹脂11c及び第2蛍光樹脂12cで覆われている。白色反射樹脂44、第1蛍光樹脂11c及び第2蛍光樹脂12cは、透明樹脂41によって覆われている。
【0025】
第1蛍光樹脂11c及び第2蛍光樹脂12cを平面視したとき、第1蛍光樹脂11c及び第2蛍光樹脂12cが占める領域は、それぞれ第1発光領域11d及び第2発光領域12dとなる(図1参照)。また、第1発光領域11d及び第2発光領域12dには、それぞれ1個の第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bが含まれる。白色反射樹脂44は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを基板13に実装したあと、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間に充填されたものである。白色反射樹脂44の充填後、第1LEDダイ11b同士又は第2LEDダイ11b同士を結ぶワイヤ14(図示せず、図3参照。)で接続してから、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ11bにそれぞれ第1蛍光樹脂11c及び第2蛍光樹脂12cを塗布し、最後に透明樹脂41で上面を被覆する。
【0026】
図3は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bに係る結線が目視できるよう、透明樹脂41、白色反射樹脂44、第1蛍光樹脂11c及び第2蛍光樹脂12cを除去した状態で描いたLED発光装置10の平面図である。なお、図3において、第1発光領域11dに含まれる第1LEDダイ11bと、第2発光領域12dに含まれる第2LEDダイ12bは、ともに同一サイズ及び同一特性の青色発光ダイオードであるが、それぞれ第1発光領域11d及び第2発光領域12dに含まれるため、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bを区別できるよう、第2LEDダイ12bをドットで塗りつぶしている。
【0027】
図3に示すように、LED発光装置10は、基板13上に、72個の第1LEDダイ11b及び60個の第2LEDダイ12bが実装されている。基板13の上面には、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを取り囲むように、ダム15が設けられている。第1LEDダイ11bは、図の縦方向にジグザグ配列するようワイヤ14で接続され、第1LED列11a(図4参照)を構成する。第1LED列11aの上端の第1LEDダイ11b及び下端の第1LEDダイ11bは、それぞれ基板13上に形成された配線電極16a及び配線電極18aに接続している。
【0028】
同様に、第2LEDダイ12bは、図の縦方向にジグザグ配列するようワイヤ14で接続され、第2LED列12a(図3参照)を構成する。第2LED列12aの上端の第2LEDダイ12b及び下端の第2LEDダイ12bは、それぞれ基板13上に形成された配線電極17a及び配線電極19aに接続している。なお、配線電極16a~19aは、それぞれ電源電極16~19に接続している。第1LED列11a及び第2LED列12aは、それぞれ6列及び5列存在する。
【0029】
第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、1つの辺に沿うようにしてワイヤボンディング用の端子(アノード及びカソード)が偏在している。例えば、図の最上段の行では、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの1つの辺は、すべて左側にある。これに対し、図の2段目段の行では、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの1つの辺は、すべて右側にある。また、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bは、市松模様状に配列しているので、図の縦方向では、隣接する第1LEDダイ11bの1つの辺と、第2LEDダイ12bの1つの辺は、互い違いとなっている。
【0030】
前述のように、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、すべて同一特性、同一サイズの青色発光ダイオードである。電源電極16、17を+側、電源電極18、19を-側とした場合、1つの辺に沿って形成されたボンディング用の端子は、上側がアノード、下側がカソードとなる。一方、奇数列では1つの辺は左側、偶数列では1つの辺は右側にある。すなわち、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bには、ミラー反転した関係にある2種類の青色発光ダイオードが含まれている。
【0031】
図4は、LED発光装置10の回路図である。LED発光装置10は、高い色温度で発光する回路11eと、低い色温度で発光する回路12eからなる。なお、図3に示した部材と図4に示した部品等とは直接的な関係にあるので、部品、配線及び端子について図3の用語を使う。
【0032】
図4に示すように、回路11eでは、第1LEDダイ11bが12個直列接続した第1LED列11aが6個並列接続している。第1LED列11aに含まれる初段の第1LEDダイ11bのアノードは、配線電極16aを介して電源電極16に接続している。第1LED列11aに含まれる最終段の第1LEDダイ11bのカソードは、配線電極18aを介して電源電極18に接続している。
【0033】
同様に、回路12eでは、第2LEDダイ12bが12個直列接続した第2LED列12aが5個並列接続している。第2LED列12aに含まれる初段の第2LEDダイ12bのアノードは、配線電極17aを介して電源電極17に接続している。第2LED列12aに含まれる最終段の第2LEDダイ12bのカソードは、配線電極19aを介して電源電極19に接続している。
【0034】
基板13は、そのベース材が、アルミナからなる白色のセラミクスである。なお、基板13のベ-ス材は、表面を反射処理した窒化アルミニウムや、表面に絶縁層を備えたアルミニウムであっても良い。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、平面サイズが0.65mm×0.65mmの青色発光ダイオードである。なお、前述のように、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、同じサイズで同じ特性を有し、アノードとカソードが1つの辺に沿って配列している青色発光ダイオードであるが、アノードやカソードなどミラー反転関係にある2種類の青色発光ダイオードが含まれている。第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの間隙は、0.1~0.4mmである。ダム15は、白色のシリコーン樹脂からなり、太さが0.7~1.0mm、高さが0.5~0.8mmである。白色反射樹脂44は、シリコーン樹脂中に酸化チタンの微粒子を混練したものである。基板13の上面に形成した配線電極16a~19a及び電源電極16~19は、Cu上にNi,Auを積層した金属膜である。
【0035】
図1に示すように、第1発光領域11dと第2発光領域12dは、市松模様状に配列している。第1発光領域11dは、5000°K程度の高い色温度で発光する。第2発光領域12dは、3000°K程度の低い色温度で発光する。LED発光装置10には、第1LED列11aが、6列、第2LED列12cが、5列あった。つまり、LED発光装置10の発光に係る領域は、左右の端部(辺部)が第1発光領域11dだけになっている。このようにして、LED発光装置10の発光に係る領域は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bをジグザグに結線することにより、対称性が崩れそうになるところ、左右の端部を高い色温度(第1LEDダイ11b)で発光させ、照射光の対称性を維持している。なお、第1発光領域11dに含まれる第1蛍光樹脂11cと、第2発光領域12dに含まれる第2蛍光樹脂12cとは、それぞれ緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有しているが、それぞれの色温度に応じて蛍光体の配合比率を変えている。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の第1実施形態として示すLED発光装置10では、図2に示すように、第1蛍光樹脂11cと第2蛍光樹脂12cの断面形状が等しい。しかしながら、前述のように第1蛍光樹脂11cが含有する蛍光体と第2蛍光樹脂12cは、蛍光体の材料や分量が異なっている。
【0037】
ふつう、LED発光装置は、蛍光体の濃度や蛍光樹脂の厚さを調整し、所望の発光色を得ている。この状況は、本発明のLED発光装置でも同じである。しかしながら、本発明のLED発光装置は、発光色の異なる2種類の第1発光領域と第2発光領域を備えているため、それぞれの発光領域ごとに蛍光体の濃度や蛍光樹脂の厚みを調整しなければならない。すなわち、第1蛍光樹脂と第2蛍光樹脂とは、断面形状が異なる場合が多い。そこで、第2実施形態として、図5により、第1蛍光樹脂と第2蛍光樹脂の断面形状が異なるLED発光装置50について説明する。
【0038】
図5は、LED発光装置50の要部断面図であり、図2と同様に、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bがそれぞれ1個ずつ含まれる範囲でLED発光装置50の断面を示している。なお、図5では、図2と共通する部材には同一符号を付し、図2と同様に第1LEDダイ11b同士及び第2LEDダイ12b同士を接続するワイヤ14は図示していない。また、LED発光装置50は、LED発光装置に対し第1蛍光樹脂51c及び第2蛍光樹脂52cの断面形状のみが異なっているだけなので、LED発光装置50に係る平面図及び回路図は図示していない。
【0039】
図5に示すように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bは、基板13上に接着剤45を介して実装されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間は、白色反射樹脂44が充填されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面は、それぞれ第1蛍光樹脂51c及び第2蛍光樹脂52cで覆われている。白色反射樹脂44、第1蛍光樹脂51c及び第2蛍光樹脂52cは、透明樹脂41によって覆われている。LED発光装置50では、第2蛍光樹脂52cは、第1蛍光樹脂51cより大きくなっている。すなわち、第2蛍光樹脂52cの断面形状は、第1蛍光樹脂51cの断面形状に対し、底面積が大きく、図の縦方向に厚くなっている。
【0040】
第1蛍光樹脂51c及び第2蛍光樹脂52cを平面視したとき、第1蛍光樹脂51c及び第2蛍光樹脂52cが占める領域は、それぞれ第1発光領域51d及び第2発光領域52dとなる。また、第1発光領域51d及び第2発光領域52dには、それぞれ1個の第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bが含まれる。
【0041】
LED発光装置10、50では、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを基板13に実装したあと、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間に白色反射樹脂44を充填する。このとき、第1LEDダイ11bの上面及び第2LEDダイ12bの上面と白色反射樹脂44の上面とを同じ高さにしていた。しかしながら、これらの高さは、必ずしも同じにする必要はない。
【0042】
例えば、白色反射樹脂44の充填量を少なめに設定し、表面張力により第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を白色反射樹脂44で覆うようにしても良い。このとき、白色反射樹脂44上面は、下に凸な曲面(メニスカス)となる。反対に、白色反射樹脂44の充填量を多めに設定し、白色反射樹脂44で第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を覆うとともに、表面張力により第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの間から白色反射樹脂をメニスカス状に盛り上げても良い。このようにすると、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの間隙に白色反射樹脂44を充填する際、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの側面から放射される光を確実に遮
ることができ、例えば、第1LEDダイ11bにより第2蛍光樹脂12cが励起されるようなことがなくなる。すなわち、白色反射樹脂44に前述のメニスカスな部分を持たせることにより、簡単な製造方法でありながら発光色に係る特性を劣化させないで済ませることができる。
【0043】
また、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bをフリップチップ実装する場合は、白色反射樹脂44を充填した後、白色反射樹脂44を研磨し、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bと同じ高さにしても良い。
【0044】
第1蛍光樹脂11c、51c及び第2蛍光樹脂12c、52cには、インクジェット法やマスクを用いたスプレイ塗布法が採用できる。
【符号の説明】
【0045】
10、50…LED発光装置、
11a…第1LED列、
11b…第1LEDダイ、
11c、51c…第1蛍光樹脂、
11d、51d…第1発光領域、
11e、12e…回路、
12a…第2LED列、
12b…第2LEDダイ、
12c、52c…第2蛍光樹脂、
12d、52d…第2発光領域、
13…基板、
14…ワイヤ、
15…ダム、
16~19…電源電極、
16a~19a…配線電極、
41…透明樹脂、
44…白色反射樹脂、
45…接着剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8